偏微分方程式とグリーン関数
Partial differential equations and Green’s functions
非線形解析研究室
BV14019
小沢 新平 指導教員:
竹内 慎吾 教授1
はじめにラプラス方程式やそれをみたす関数である調和関数
,
およびポアソン方程式は,
楕円型とよばれるタイプの偏 微分方程式を考えるうえで基本的である.
本研究では
,
前半でこれらの事項についてまとめる.
後 半では,
それらを踏まえた上で偏微分方程式に境界条件 を加えた場合の解を求める境界値問題L[y] = [p(x)y ′ ] ′ + q(x)y = − f (x) B a [y] = αy(a) + α ′ y ′ (a) = 0
B b [y] = βy(b) + β ′ y ′ (b) = 0
の解が
,
グリーン関数を用いて簡単な形で表せることを 述べる.
調和関数とその性質については
[1]
を,
ラプラス方程 式,
ポアソン方程式については[3], [4]
を,
境界値問題に ついては[2]
を参考にした.
2
調和関数とその性質調和関数の性質として
,
算術平均の性質と最大値の原 理について紹介する.
一般に,
関数u = u(x 1 · · · x n )
に対 してラプラス方程式は,
∆u =
∑ n
i=1
u x
ix
i= 0
と表せる
.
ここでは,
簡単のためにn = 2
とし, D
をR 2
の領域とする.
また,
一般にn
次の場合でも同様のこと が成り立つ.
2.1
調和とは2
次のラプラス方程式∆u = u x
1x
1+ u x
2x
2= 0
を考える
.
このとき, u ∈ C 2 (D)
が方程式をみたすとき, u
は調和関数または調和であるという.
2.2
算術平均の性質u
はD
で調和であるとする.
このときD
内の任意の1
点(x 1 , x 2 )
を中心とした半径r
の円C
を考えるとu(x 1 , x 2 ) = 1
2π
∫ 2π 0
u(x 1 + r cos θ, x 2 + r sin θ) dθ (1)
となる
.
この式より, C
の中心におけるu
の値が, C
の円 周上におけるu
の平均値になっていることがわかる.
こ のことを調和関数は算術平均の性質を持つという.
(1)
の両辺にr
をかけ, r
について積分した式を考え るとu(x 1 , x 2 ) = 1 πr 2
∫∫
(ξ − x
1)
2+(η − x
2)
2≤ r
2u(ξ, η) dξdη (2)
が成り立つ.
このように, C
の中心におけるu
の値は, C
における円板でのu
の平均値にも等しいことがわかる.
また
, D
で算術平均の性質を持っている連続な関数を 考えたとき,
その関数は何回でも微分可能であって,
しか もD
で調和である.
前者は(2)
を偏微分してu x
1, u x
2を 求めると,
それぞれが算術平均の性質を持つことから証 明でき,
後者は背理法によって証明することができる. 2.3
最大値の原理D
で調和な関数は, D
で定数でなければ, D
の内部で 最大値を取らない.
特にD
の境界まで連続であるならそ の境界∂D
で最大値をとる.
この証明は背理法を用いて できる.
3
ラプラス方程式の基本解n
次のラプラス方程式の球対称な解を求める.
関数u 1 (x)
をu 1 (x) = v(r), r = | x | = (x 2 1 + · · · + x 2 n )
12 とすると, v(r)
は常微分方程式v ′′ + n − 1 r v ′ = 0
をみたす.
これを解くとu 1 (x) = v(r) =
{ b log r + c
(n
=2
のとき)
b
r
n−2+ c
(n ≥ 3
のとき)
を得る.
(ただし, b, c
は定数).
このような
u 1 (x)
をラプラス方程式の基本解という.
4
ポアソン方程式の導出ラプラス方程式の基本解を用いて
, u 2 (x) =
∫
R
nu 1 (x − y)f (y) dy
という関数を考える
.
この
u 2 (x)
はポアソン方程式∆u = f (x)
をみたす:
定理
1 (
ポアソン方程式の解). f ∈ C 1 ( R n )
がコンパ クトな台を持つ連続関数であるとする.
このときu 2 ∈ C 2 ( R n )
であって, ∆u 2 = f
が成り立つ.
5
グリーン関数非斉次境界値問題
L[y] = [p(x)y ′ ] ′ + q(x)y = − f (x) B a [y] = αy(a) + α ′ y ′ (a) = 0 (P ) B b [y] = βy(b) + β ′ y ′ (b) = 0
を考える
.
ただし, p(x)
は[a, b]
で連続微分可能かつ 正, q(x), f (x)
は[a, b]
で連続,
定数α, α ′ , β, β ′
は, α 2 + (α ′ ) 2 ̸ = 0, β 2 + (β ′ ) 2 ̸ = 0
をみたす実数であると 仮定する.
(P)
の解を,
ある関数G(x, ξ)
を用いて次のように表 したい:
y(x) =
∫ b a
G(x, ξ)f (ξ) dξ
この
y
が(P )
の解であるためには, G
が次の性質(a)
〜
(d)
をみたせば十分である.
(a) G(x, ξ)
はa ≤ x, ξ ≤ b
で連続かつξ
に対してx ̸ = ξ
で2
回連続微分可能.
(b) G x (x, ξ)
はx = ξ
でG x (ξ + 0, ξ) − G x (ξ − 0, ξ) = − 1 p(ξ)
をみたす.
(c)
任意のξ
に対して, G(x, ξ)
はx ̸ = ξ
でL[G] = 0
をみたす
.
(d)
任意のξ
に対して,
境界条件B a (G) = 0, B b (G) = 0
をみたす.
このような
G
は, (P )
に付随する斉次境界値問題L[y] = [p(x)y ′ ] ′ + q(x)y = 0
B a [y] = αy(a) + α ′ y ′ (a) = 0 (Q) B b [y] = βy(b) + β ′ y ′ (b) = 0
の解が
y 0 ≡ 0
に限るとき存在する.
このとき, (P )
の解 は, G(x, ξ)
を用いて,
次のように示せる.
y(x) =
∫ b a
G(x, ξ)f (ξ) dξ
このG(x, ξ)
を(P )
のグリーン関数という.
6
広義のグリーン関数非斉次境界値問題
(P )
に付随する斉次境界値問題L[y] = 0
B a [y] = 0, B b [y] = 0 (Q)
が
0
でない解y 0
を持つ場合の(P)
の解y
について考え る.
まず, y 0
を正規化しておく.
∫ b a
y 0 (x) 2 dx = 1
定理
2. (P )
が解を持つためには, y 0
とf (x)
が直交し なければならない.
すなわち,
∫ b a
y 0 (x)f (x) dx = 0
でなければならない.
このとき
,
次の定理が成り立つ.
定理
3. y 0
とf (x)
が直交しているとする.
このとき,
次 の性質(a)
〜(e)
を持つG(x, ξ)
が存在する.
(a) G(x, ξ)
はa ≤ x, ξ ≤ b
で連続かつξ
に対してx ̸ = ξ
で2
回連続微分可能.
(b) G x (x, ξ)
はx = ξ
でG x (ξ + 0, ξ) − G x (ξ − 0, ξ) = − 1
をみたす. p(ξ)
(c)
任意のξ
に対して, G(x, ξ)
はx ̸ = ξ
でL[G] = y 0 (x)y 0 (ξ)
をみたす.
(d)
任意のξ
に対して,
境界条件B a (G) = 0, B b (G) = 0
をみたす.
(e)
任意のξ
に対して,
∫ b a
G(x, ξ)y 0 (x) dx = 0
をみたす.
このとき
,
y p (x) =
∫ b a
G(x, ξ)f (ξ) dξ
は
(P)
の解である.
このG(x, ξ)
を(P )
の広義のグリー ン関数という. (P )
のすべての解はy p (x)
を用いるとy(x) = y p (x) + cy 0 (x) (c
は任意定数)
と表せる.
参考文献