グリーンバイオ戦略フォーラム タスクフォース報告書
グリーンバイオ・環境バイオの課題と対策
平成18年3月
財団法人 バイオインダストリー協会
目 次
はじめに
第1章 工業バイオにおける問題点と対策 (大政健史) ··· 3
1-1 はじめに··· 3
1-2 蛋白質医薬品生産の現状・今後と環境調和型バイオ産業··· 4
1-3 まとめ··· 5
第2章 工業生産における微生物プロセスの現状と課題 (片岡道彦) ··· 7
2-1 はじめに··· 7
2-2 発酵生産技術の現状··· 7
2-3 バイオコンバージョン技術の現状··· 8
2-4 微生物プロセスの課題と今後··· 9
第3章 限りなくペトロケミストリーに近いバイオケミストリーの実現を目指して 統合型工業バイオ(Integrated Industrial Biotechnology) のすすめ (石渡哲義)··· 11
3-1 はじめに··· 11
3-2 わが国および諸外国の現状とそこから見えてくるもの··· 11
3-2-1 米国の現状··· 11
3-2-2 EUの現状··· 12
3-2-3 日本の現状··· 12
3-2-4 サイエンスの現状··· 12
3-2-5 今までの実績··· 12
3-3 課題と対策··· 13
3-3-1 研究開発··· 13
3-3-2 社会制度・構造面 3-4 最後に··· 18
第4章 バイオプラスチックにおける問題点と対策 (小原仁実)··· 19
4―1 バイオプラスチックの最近の動向··· 19
4―1―1 ポリ乳酸の動向··· 19
4―1―2 ジカルボン酸系··· 19
4―1―3 微生物産生プラスチック(PHA)··· 20
4―1―4 その他のバイオプラスチック··· 20
4―2 一般的動向··· 21
4―2―1 木質系原料への転換··· 21
4―2―2 製造エネルギーのグリーン化··· 21
4―2―3 バイオマス原料の問題··· 21
4―2―4 ゼロエミッション··· 22
4―2―5 安定供給··· 22
4―2―6 LCA評価の困難さ··· 22
4―3 パラダイムシフトの提言··· 22
4―3―1 微生物反応の捉え方··· 22
4―3―2 食糧問題への同時対応··· 24
4―3―3 プロセスの統合化··· 25
4―4 具体的提言··· 25
第5章 バイオマス・プラスチックの耐久製品応用における問題点と 対策 (森浩之)··· 27
5-1 わが国および諸外国の現状··· 27
5-2 課題··· 27
5-2-1 材料物性··· 27
5-2-2 コスト··· 28
5-2-3 ベースポリマーの供給··· 28
5-3 対策··· 29
5-3-1 コストパフォーマンスの高いポリマーの開発促進··· 29
5-3-2 供給安定化への支援··· 29
第6章 環境バイオにおける問題点と対策 (野尻秀昭)··· 31
6-1 わが国および諸外国の現状··· 31
6-2 課題··· 31
6-2-1 易分解性有機物・栄養塩の処理(各種廃水処理)··· 31
6-2-2 有害金属汚染··· 32
6-2-3 難分解性物質による汚染の処理··· 32
6-3 対策··· 33
6-3-1 易分解性有機物・栄養塩の処理(各種廃水処理)··· 33
6-3-2 有害金属汚染··· 33
6-3-3 難分解性物質による汚染の処理··· 33
第7章 バイオエタノールにおける問題点と対策 (澤山茂樹)··· 35
7-1 はじめに··· 35
7-2 原料··· 35
7-3 発酵微生物··· 36
7-4 木質系バイオマスの前処理··· 36
7-5 アセトン・ブタノール発酵··· 37
7-6 おわりに··· 37
第8章 計測・分析技術の動向と環境・工業バイオ (江原克信)··· 39
8-1 はじめに··· 39
8-2 現在の動向··· 39
8-2-1 小規模機関:硝酸態窒素の例··· 39
8-2-2 中規模機関:生菌測定の例··· 40
8-2-3 大規模機関:pH計の例とその他··· 41
8-3 おわりに··· 42
第9章 国外における環境バイオ、グリーンバイオの動向 (江口有)··· 44
9-1 米国··· 44
9-2 欧州··· 44
9-3 日米欧の戦略の関係 ··· 45
付属資料1
Sustainable Chemistry Strategic Research Agenda 2005 (SusChem) 抄訳 付属資料2
Sustainable Chemistry Strategic Research Agenda 2005 (SusChem) Appendix 抄訳 付属資料3
タスクフォース
はじめに
18 世紀に始まった産業革命は、わが国を含む多くの先進国に物質的な繁栄をもたらした 反面、公害問題や南北問題など、種々の歪をもたらした。その中でも「環境問題は」全地 球的な問題であることが広く認知されてきている。
近年の動きを振り返ると、1992年にブラジル・リオデジャネイロで「国連環境開発会議」、
いわゆる「地球環境サミット」が開催され、地球環境憲章が調印されたことが一つの転機 であった。さらに 1997 年にはわが国において「地球温暖化防止京都会議」が開催された。
この会議では温室効果ガスに対する取り組みが議論され、京都メカニズムが盛り込まれた
「京都議定書」(Kyoto Protocol)が議決された。
これら環境問題の一つの原因が科学技術の発展に付随することは否定できないが、諸問 題を解決するのも科学技術である。特にバイオテクノロジーは本質的に環境、すなわち生 命に親和性のある技術であり、環境問題の解決に欠かせない技術として注目されている。
財団法人バイオインダストリー協会では、1999年にグリーンバイオ戦略フォーラムを設 立し、2000年2月に「グリーンバイオテクノロジーの可能性と戦略提言」を発表した。提 言では「21 世紀の質的産業革命—自然との共存共栄で実現する経済発展と質的に豊かな生 活への挑戦—」を基本理念とし、2010年を念頭にバイオテクノロジーの技術的課題例を提 示した。提言に盛り込まれた内容はその後の科学技術の発展により多少の修正は必要かも しれないが、大筋では現時点でも充分通用するものである。
バイオインダストリー協会ではこの提言に従い、グリーンバイオ戦略フォーラムを中心 に各種の場にて具体的な提言を行い、研究開発プロジェクトを推進してきた。今般、提言 から 5 年経ったことも踏まえ、改めてグリーンバイオ戦略について検討するタスクフォー ス委員会を設置した。本委員会のミッションは2000年提言以来の科学技術の進歩、及び欧 米を含む社会的情勢の変化を鑑み、基本理念を堅持しつつ提言案の実現をより強固なもの にするための方策を提示することにある。委員は国内の大学、公的研究機関、民間企業に て研究開発及び開発成果の実用化の現場に携わる方にお願いした。本報告書はこれらの検 討にも資するべく、委員より現状の問題点整理を執筆いていただいたものである。またお りしも欧州では次期の科学技術戦略が検討されており、”Innovating for a Better Future;
Sustainable Chemistry Strategic Research Agenda 2005”の仮訳を資料編として添付した。
本報告書がグリーンバイオテクノロジーにおける議論の一助となれば幸いである。
平成18年3月
財団法人バイオインダストリー協会 グリーンバイオ戦略フォーラム タスクフォース委員会委員長
京都工芸繊維大学教授 小原仁実
第 1 章 工業バイオにおける問題点と対策
大阪大学大学院工学研究科生命先端工学専攻 大政健史
1-1 はじめに
醸造、各種アミノ酸生産や、医薬品および医薬中間体生産、乳酸飲料など、
発酵生産技術を用いた「ものつくりのバイオテクノロジー」は、日本のお家芸 とも言える分野であり、これほど多くの工業バイオとも呼ばれる分野を発展さ せてきた国は、他には存在しない。
しかし近年、これほどリードしてきた発酵生産技術にかげりが見えつつある。
これは、筆者だけの危惧ではなく、発酵技術の現場に携わる第一線の研究者・
技術者に共通する認識ではなかろうか。では、その原因の一端はいったい何と 分析できるのであろうか。一つの要因として、この優位性の根拠が正しく理解 されず、過小評価されてきたためではないかと推定される。近年の分子生物学 的、生化学的技術手法の発展に伴い、より実験の簡単な「つかえるかもしれな いもの」、「論文の出やすい」、「(遠い)将来、有効であるかもしれない」研究は 多数増えているが、現実のレベルで「使える」ための準備となる時間のかかる かつ地道な「研究」はかえって減少・衰退する傾向にある。試験管レベルでの
「もの」ができたからといって、工場のレベルでのものつくりまでにはまだま だこなさなければならないハードルが多数存在する。現場の技術者・研究者は その重要さは体感し、理解しているものの、大学においては、最終的な出口を 見据えた「基礎研究」の重要性(これは純粋な基礎科学でもなく、完全な応用 でもない、泥臭く、かつ極めて論文の出ない研究であるが)が評価されず非常 に軽視されているからではないだろうか。これ現代の生物学が極めて過渡的な 状況にあるのも大きな一因である。
19世紀においては、「物理学」は「電気工学」や「機械工学」と厳然たる区別 はなかった。現在、あきらかに電気工学、電子工学、機械工学と「物理学」は 厳然たる区別が存在する。「化学」は「応用化学」や「化学工学」とこれまた厳 然たる区別が存在するが、その区別は電気・機械に比べてはまだ浅いといえよ う。では、「生物学」と「生物工学(バイオテクノロジー)」はどうであろうか。
未だに厳然たる区別は意識されていないのが現状である。すなわち、上記の電 気工学、機械工学、応用化学、化学工学の発展の歴史を鑑みると、明らかに「生 物学」の研究者ではなくて、「生物工学(バイオテクノロジー)」が今後の工業 バイオの発展を支える力とならざるを得ないのは間違いないと思われる。
本項では、蛋白質医薬品生産系の現状と今後の課題を具体例として、上記課題
における問題点を抽出し、今後の対策について考察したい。
1-2 蛋白質医薬品生産の現状・今後と環境調和型バイオ産業
蛋白質医薬品(通称バイオ医薬品)とは、バイオテクノロジーを用いて生産 される医薬品を指す。80年代においては、インシュリン、ヒト成長ホルモン、
インターロイキン、テュッシュプラスミノーゲンアクティベーター(tPA)、顆粒 球コロニー刺激因子、エリスロポエチンなどの細胞内微量生理活性因子の発見 と、その医薬品としての期待により、非常に活発に生産系の構築研究が行われ た。さらに近年の抗体医薬の高まりにより、その需要は益々増加している。国 内バイオ市場調査(日経バイオテク2005年2月)より、国内バイオ製品市場1 兆2500億円のうち、蛋白質医薬品のしめる割合は4000億程度になり、全体の 1/3にものぼっている。特に抗体医薬は2003年の250億円から2004年には440 億円となり、さらに2005年には中外製薬から国内初の抗体医薬も上梓されるに 至っている。
現在、蛋白質医薬品生産に用いられている物質生産系は、微生物もしくは動 物培養細胞である。これは、既存の物質生産系における実績があること、生産 性がある程度高いことが要因である。少なくとも医薬品の場合は、ICH に代表 される非常に厳しいレギュレーションを受けるため、既存の系以外の生産シス テムが一般的に受け入れられることは無い。下記に、各生産系の特徴を示す。
表 ヒトに投与する蛋白質医薬品生産系の特徴
生産系 遺 伝 子 組 換 え の 容 易 さ
培 養 方 法 の 確 立
生 産 系 立 ち 上 げ ま で の時間
生 産 濃 度 (g/L レ ベ ル の達成)
国 内 最 大 生 産 容量
生 産 コ ス ト(精 製 プ ロ セ ス ま で 含 め て)
医 薬 品 の 生 産 実績
翻 訳 後 修 飾能
ヒ ト へ の ウ イ ル ス 感 染 の 可 能性
微 生 物
細胞 ◎ ◎ ◎ 10g/L レ
ベル
数百tス ケール
○ ◎ × ×
植 物 細
胞培養 ○ ○ ○ ? ? ○ × △ × 動 物 細
胞培養 ○ ○ ○ 5g/Lレベ ル
10t スケ ール
△ ◎ ◎ ×(報 告 例無) 昆 虫 細
胞培養 ○ △ ◎ g/L レ ベ ル
? ○ △(動
物薬) ○ × ト ラ ン
ス ジ ェ ニ ッ ク 植物
△ △ × ? ? △ × △ ×
ト ラ ン △ △ × 10g/L レ ? △ × ◎ △
ス ジ ェ ニ ッ ク 動物
ベル
ト ラ ン ス ジ ェ ニ ッ ク 鳥
△ △ △ g/L レ ベ ル
? △ × ○ △
ト ラ ン ス ジ ェ ニ ッ ク 蚕
○ ○ △ gレベル ? × ○ ×
蛋白質医薬品生産系の最も重要な問題点は、医薬品としての基準を満たす生 産系であるという点にある。すなわち、医薬品としての品質を満たす基準の物 質まで精製するところを含めたトータルコストとして有利でなければ、実際の 生産系としては用いることはできない。既存の系以外の生産系を用いる場合に は明らかに規格(特に安全性)満たすための基準策定から行わなければならず、
生産性として相当なる優位性が無ければ、実際の生産系として成立しない。ま た、医薬品として特許が有効な範囲内でのできるだけ速やかな生産系立ち上げ および厳密な品質管理が必要とされており、生産系構築まで時間がかかり、か つ品質管理の手法が確立されているとは言いにくいトランスジェニック体を用 いた生産システムは不利な条件にある。また、生産コストとして費用が安くな るのではなく、その下流の「ダウンストリーム」のコストまで含めた優位性が 発揮される必要があり、その点のブレークスルーがなされなければ、生産コス トとしては安価と考えられる系でも、実際の蛋白質医薬品生産系として期待は されても、採用されることはあり得ない。また、医薬品生産は安全性を追求す ることはなされているが、現在のところ、環境調和に関する事柄は全くと言っ ていいほど考慮されていない。個々の要素技術開発が全くバラバラになされて いる状況であり、トータルとして、遠未来ではなく、「近」未来の蛋白質医薬品 生産はこうあるべき、既存の系はこう変更すべきという観点からの技術開発や 研究開発提言はなされていないのが現状である。
1-3 まとめ
工業バイオにおける問題点を蛋白質医薬品生産系を例にとって述べた。大き な問題点は、個別技術開発・研究によるブレークスルーではなく、工業バイオ 全体における問題点を見通し、個々の技術的問題点、解明すべき点、解決すべ き科学的問題を把握する必要がある。それには、現場レベルでの問題点を把握 した上で、研究開発を行う項目を決定する必要がある。また、これまで行われ てきた研究開発がなぜ失敗に終わっているのか、なぜ成功と至っていないのか
についても十分に検証する必要がある。また、それを支える産官学の現場、特 に学における現場は急激にその環境が変化しつつある。来るべき人口減少に備 えて、日本のあるべき方向性を十分に議論するべき時に至ったと結論づけられ るであろう。
第 2 章 工業生産における微生物プロセスの現状と課題
京都大学大学院農学研究科応用生命科学専攻 片岡道彦
2-1 はじめに
バイオ、特に微生物による有用物質生産を中心に内外の現状と課題をまとめ る。微生物を用いる有用物質生産法は、主に2つに分けられる。ひとつは安価 なバイオマスを原料とした直接発酵による方法である。日本における発酵法の 代表例としては、アミノ酸・核酸発酵が挙げられるが、複雑な生合成経路を経 て目的物質が生産される。発酵法においては、基本的に生合成経路に則った天 然物の生産しかできない。一方、もう一つの生産法としては、バイオコンバー ジョン(微生物変換法)と呼ばれる方法がある。これは、微生物菌体あるいは そこから抽出した酵素を触媒として、出発基質を1段階あるいは数段階の反応 を経て目的物質に変換する。また、化学合成法との組み合わせにより、非天然 型の物質の生産も可能である。これら2つの方法を環境に与える影響、特にCO2
排出の面から比較すると、発酵法の場合、原料バイオマスが植物由来であるこ とから CO2削減効果が大きい。一方、バイオコンバージョンの場合は化学合成 プロセスの一部を置き換えることで、使用エネルギーの削減などによる CO2排 出削減に貢献できる。
2-2 発酵生産技術の現状
アミノ酸発酵は日本から生まれた技術であり、スクリーニングから生産菌育 種まで精力的に行われてきている。グルタミン酸、リジンを中心とするアミノ 酸については、現在発酵法による生産が国内外で行われている。これらは長年 の育種により得られた菌株を用いることにより行われているが、その一方、ア ミノ酸発酵技術にも新しい技術が取り込まれつつある。アミノ酸発酵の代表的 な菌株Corynebacterium glutamicumの全ゲノム配列が明らかとなったことか ら、これを利用する技術開発が行われている。例えば、「ゲノム育種」と呼ばれ る生産菌株の改良技術が構築されている。また、国内外の研究グループにより、
代謝フラックス解析やバイオインフォマティックスによるアミノ酸生産性向上 の試みも行われている。
動植物由来のものに依存していた脂質の発酵生産も近年発展してきている。
例えば、糸状菌を中心とした微生物による高度不飽和脂肪酸の生産技術が確立 している。アラキドン酸などの高度不飽和脂肪酸を著量蓄積する微生物を用い
て作られる油脂は「発酵油脂」と呼ばれ、栄養補助食品などに利用されている。
乳酸発酵は古くから知られている現象であるが、ポリ乳酸がプラスチック原 料として利用できることから、近年需要が大きく伸びている。生分解性プラス チック分野は、現在では生分解性に必ずしもこだわらず、植物バイオマス原料 からポリ乳酸などのポリマーを作り出すことが重要になりつつある。
アルコール発酵については、応用微生物学研究が発展する以前からアルコー ル飲料としての生産が行われてきたが、現在燃料用のアルコール(バイオエタ ノール)の需要が伸びている。バイオエタノールについては、アメリカやブラ ジルなどですでに自動車燃料などとして実用化されており、日本でも2010年ま でにバイオエタノール入りガソリンを導入する方向で進んでいる。今後、ます ます拡大していく可能性が高い。
グリーンバイオプロセスとして、この他に国内外で「バイオリファイナリー」
の研究が進められている。上記の乳酸やバイオエタノールもこれにあたるが、
米国の DuPont 社では、微生物の分子育種により安価な糖源から汎用化成品で
ある 1,3-プロパンジオールを工業的レベルで生産できる技術を開発している。
今後、バイオマスからの石油由来汎用化成品の生産技術開発が進んでいくと思 われる。
本題から少しはずれるが、日本酒などの醸造において重要な麹菌のゲノム解 析が行われているが、欧州企業による発現系の開発など、日本やアジアを中心 に独自で扱ってきたと思われる微生物についても世界中の企業が研究の対象と 見ている。木質バイオマス処理に重要な役割を持つセルラーゼの開発なども世 界中が凌ぎを削っている。
2-3 バイオコンバージョン技術の現状
バイオコンバージョン(微生物変換)による有用物質生産は日本や欧州を中 心に研究・工業化が進められている。特に、医薬品やその原料となるファイン ケミカルに関するものが多い。
アスパラギン酸やアラニンなど多くのアミノ酸はバイオコンバージョンによ って安価な原料から生産されている。また、非天然型のD-型アミノ酸について も実際に工業生産されているものがある。一方、核酸系調味料の 5’-イノシン酸 に関してはいくつかの方法が提案されているが、最近開発されたイノシンのリ ン酸化法は進化工学的手法により改良された酵素が利用されており、伝統的な スクリーニングと新しい技術を組み合わせた成功例として注目されている。
近年のアミノ酸ブームに引き続き、ペプチド合成も進展している。ペプチド のバイオプロセスによる合成法についてもいくつか提案されているが、味の素
からは地道なスクリーニングによる新規合成酵素の発見、そして協和発酵から は遺伝子情報からのスクリーニングという新たな手法の開発も行われている。
この2つの技術開発はほぼ同時期に進められているが、従来技術のスクリーニ ングと新たな技術のバイオインフォマティクス利用という両面から成果が得ら れた点は、今後のバイオコンバージョンにおける技術開発の方向性を示す上で 大変興味深い。
この他に最近国内で工業化されたバイオコンバージョンプロセスとしては、
糸状菌ラクトナーゼによるラセミ体パントラクトンの光学分割、組換え微生物 の不斉還元反応によるキラルアルコール生産、新規酵素によるトレハロース生 産、などが挙げられる。これらはいずれも化学的プロセスに比べて CO2排出の 少ないグリーンバイオプロセスの好例として評価されている。
欧州でもバイオコンバージョン技術による物質生産が、化学品や医薬品メー カーを中心に研究・工業化されている。これらの技術はwhite biotechnologyや
green chemistryと呼ばれ、これらと比較しても日本の技術は世界の中でもトッ
プレベルにあると思われる。また、かつて欧州では、微生物由来の酵素を取り だして固定化するなどして利用することが多かったが、whole cell biocatalyst と呼ばれる菌体を直接触媒とする方法にも注目が集まっている。
2-4 微生物プロセスの課題と今後
アミノ酸発酵等の高付加価値化合物の生産に関しては、原料となる糖質はそ れほど大きな問題とはならないが、ポリマー原料としての乳酸や燃料目的での エタノールなどの汎用化成品の生産に関しては、その原料となるバイオマスの 与える比重が大きくなる。食糧自給率の極めて低い日本にとって、食糧バイオ マスを汎用化成品の工業用原料として大量に利用することは非常に困難である。
米国の穀物メジャーと化学メーカーを中心にバイオマスからの汎用化成品生産 に力が注がれているのは原料の供給が見込まれているからと理解することがで きる。このため、内外を含めて食糧以外のバイオマスである木材やマリンバイ オマスなどへの注目が集まっている。また、それらを利用するための新しい技 術開発も進められている。カーボンニュートラルである利点を除いては、日本 においてバイオマスから汎用化成品を生産する技術を開発していく上で、バイ オマス供給を含めたトータルな開発を行う必要があり、これを怠ると結局は石 油供給における現状と同じリスクを背負うおそれがある。
一方、バイオコンバージョンは先にも述べたようにファインケミカルを中心 とした生産技術と言える。扱いやすいバイオマス原料の生産が少ない日本では、
このような高付加価値の化合物を生産するプロセスの開発が盛んになるのも理
解できる。一方、すでに20年近く前に工業化されているニトリルヒドラターゼ によるアクリルアミド生産について言えば、汎用化成品の生産においてもバイ オコンバージョン技術の有効性が示されている。日本にとっては、バイオマス からの汎用化成品生産だけでなく、バイオコンバージョン技術による汎用化成 品生産についても改めて見直す必要がある。
第 3 章 限りなくペトロケミストリーに近いバイオケミストリーの実現を目指 して 統合型工業バイオ(Integrated Industrial Biotechnology)のすすめ
協和発酵工業(株) ・科学技術戦略室 石渡 哲義
3―1 はじめに
多種多様な形態と成分からなるバイオマス資源は、化石資源に比べて取扱いが容易ではなく、その 工業資源化は回収・運搬・変換におけるコストが高いことから、20 世紀の産業構造の中にあっては石油 由来の工業原料に主役の座を譲っていた。20 世紀は、石油と共に生活基盤が整う時代を我々は生きて きたことになり、人類の様々な所産、所業が環境に負荷をかけ続けてきた。そして今まさに地球環境が 破綻をきたすところまできてしまった。21 世紀は、この 20 世紀の反省の下、現行の産業構造を大きく変 換し、持続可能な発展を可能とする環境調和型循環システム構築のためのイノベーションへと歩み出さ なければならない。工業バイオテクノロジーは、ライフサイクルアセスメント(LCA)の観点からみて、省原 料、省エネルギー、省二酸化炭素排出量、省廃棄物、リサイクル促進など持続可能社会を実現する基 幹技術の要件を満たす理想的なテクノロジーである。環境汚染を発生源で絶つプリベンションの観点か らも、工業はよりクリーン化されなければならず、工業バイオの時代へとシフトすることは時代の趨勢でも ある。このように経済と環境の両立が求められるエコエコノミーの時代にあって工業バイオのイノベーショ ンの果たす役割は非常に増大している。本稿では、工業バイオを「現在、石油化学に負っている化学品 などの大量消費財や燃料・エネルギーなどの工業製品を製造するバイオテクノロジー、つまりポストペト ロケミストリーとしてのバイオテクノロジー」と限定して、今後の日本の競争力を維持、発展させるために 日本の工業バイオが今後どうあるべきかといった国家的視点にたってその現状と課題と対策について 私の考えるところを述べさせて頂く。
3―2 わが国および諸外国の現状とそこから見えてくるもの
一言で申せば、石油資源の枯渇、石油中東依存に対する安全保障上の問題、石油の高騰、京都議 定書の発効に象徴される地球温暖化の防止義務づけ、中国・インドの高度経済成長と環境汚染への危 惧、環境ニーズ・意識の高まりなど世界的に工業プロセスのバイオ化に期待感が高まってきており工業 バイオに追い風の環境が整いつつある。しかもその動きが年々加速している状況にあるというのが実感 である。
官による行政主導が効を奏し、製品のグリーン度が企業や製品評価の指標となり、国際競争力の新 たな要因となる兆しが見えつつあるのが現状である。今まさにコストのほかにグリーン度が決め手になる 時代に入ってきており、工業バイオの取り込み如何が実ビジネスの競争力を決める要因ともなってきた。
量産体制の確立や各種制度の支援などもありポリ乳酸などある一部の製品において、石油化学品に肉 薄するところまできている。
3―2-1.米国の現状:米国では、99 年 8 月、クリントン政権時代に出された大統領令(13134)「バ イオ製品やバイオエネルギーの開発の推進」にはじまるバイオマス国家戦略のもと、エネルギー省
(DOE)と農務省(USDA)が一体となってグリーンバイオの国家的推進が行われている。この流れは、ブ ッシュ政権以降も基本的に変わっていない。米国は、脱石油化学、グリーンケミストリーを産官学が連携 して国家的レベルで強力に推進している。DOE は、「Integrated Corn-Based Bioproducts Refinery
(ICBR)」プロジェクトを推進しており、2020 年までバイオリファイナリーの工場群を 10 ヶ所作り、2020 年 までに石油起源有機素材・材料の 10%、2050 年までに 50%をバイオマスで代替する計画を実行しつ つある。さらに、GTL(Genomes to Life)プログラムを 2002 年度から始め、5 年間で約 1 億ドルの予算が 発表されている。その中の Microbial Cell Project では、あのヒトゲノム解読で名を馳せたゲノムの革命児 J. Craig Venter らが参画し、微生物を利用したエネルギー生産や環境浄化を目的にゲノム工学を駆使 して人工生物(光合成と水素生産を効率よく行うことのできる微生物)を製造するという挑戦的な試みが
進行している。
3―2-2.EU の現状:一方昔から環境問題への意識が高い欧州でも、この工業バイオの分野は、
ホワイトバイオテクノロジーと称され、21 世紀の戦略分野として EU あげて注力されている。欧州の化学 およびバイオ産業団体などが参加するフォーラム「Sustainable Chemistry (SusChem)」は 2005 年 11 月 に業界の競争力を持った持続可能な発展に向けた将来像を公表し、工業用バイオプロセスの分野を戦 略研究領域に当てている。欧州化学薬品産業界を中心に「White Biotechnology 構想」が掲げられ、EU としても次期の長期研究計画(7th Research Framework Programme)において本格的なバイオリファイナ リーの R&D に取り組む方針を示している。
3―2-3.日本の現状:日本は、欧米の動きに呼応するかのように首相直轄の総合科学技術会議 主導のもと、バイオテクノロジー戦略大綱やバイオマスニッポン総合戦略が打ち出され、国全体を「バイ オマス資源を活用する社会」に転換していく戦略がうたわれた。総合科学技術会議ではゴミゼロ型・資 源循環型技術研究イニシアティブおよび地球温暖化研究(対策技術分野)イニシアティブでバイオ関連 省庁の連携・協力のもとに、バイオマス関連の研究開発の戦略的な推進を図ろうとしている。各省庁が 様々な関連の施策(将来ビジョン、技術ロードマップ、国家プロジェクト、行政支援など)を打ち出してい る。経済産業省は、最近、グリーンバイオ関連の研究開発プロジェクトを大幅に増強しており、工業バイ オに関して言えば「生物機能を活用した生産プロセスの基盤技術開発」「バイオプロセス実用化開発」
の主要な国家プロジェクトが進行中である。前者では、3 つのプロジェクトのうちの一つ「宿主細胞創製 技術」で、ブラックボックスで無い微生物宿主細胞(ミニマムゲノムファクトリー;MGF)の創出を目標に研 究が進められ、大腸菌においては、1Mb に及ぶ機能未知を中心とした不要遺伝子(千以上の遺伝子)
の削除された汎用性の高い宿主の構築に至っている。後者では、従来のバイオプロセスと比較して生 産効率を 50%以上向上させること、化学プロセスなど他の方法と比較して生産コストを 30%削減できる こと、従来の生産技術では生産困難な高機能物質の生産ができることのいずれかを達成することが求 められている。
3―2-4.サイエンスの現状:石油化学プロセスをバイオプロセスに代替してゆくためのサイエンス の成熟にもほんの 10 年前には想像もできなかったような目覚しい発展がある。例えば、生物の全ゲノム が解読され、生物反応の役者の全貌が見える時代になったこと。役者が揃ったことで各種 omics やシス テムバイオロジーの援用も可能となってきた。質量分析計の飛躍も大きく、生物内の各種代謝物を簡便 かつ高感度かつリアルタイムに把握できる技術の利用は、代謝のトレースを格段にスピードアップした。
微生物や酵素の保持や、バイオプロセスの連続反応化という意味ではナノテクノロジーの進展は大きな 支援となるであろう。バイオインフォマティクスやシミュレーションバイオロジーの進展も大きい。今まさに バイオプロセスの分野でもかつて無いほどのブレークスルーが期待できる時代に至っている。過去およ び現在進行中のグリーンバイオ関連の国家プロジェクトの成果や進捗を踏まえて、その上でさらに何を やらなければならないのかという視点で次期国家プロジェクトを考えてゆきたい。
3―2-5.今までの実績:工業バイオの分野では、今までも輝かしい業績がある。その代表例を2,
3挙げたい。京都大学・山田秀明先生らと日東化学工業(株)(現三菱レイヨン)のグループは、アクリルア ミドをバイオ法で工業的に合成するプロセスを確立した。これは汎用化学品のバイオ法生産の世界初の 成功例であり、このような工業バイオの金字塔が世界に先駆けて日本の産学連携の成果として打ち立 てられたことは特筆に値する。BASF 社はビタミン B2 において、8 工程からなる化学合成を発酵プロセス 1工程に変えることで、コスト 40%削減、環境負荷 40%削減、(二酸化炭素排出量 30%減少、資源消費 量 60%減少、廃棄物排出量 95%減少)を達成し、バイオプロセスが経済、環境の両面でプラス効果を もたらすことを示した。デュポン社は、ジェネンコアインターナショナル社と共同で、高品質ポリマー「ソロ ナ」の原料である 1,3-プロパンジオールを代謝経路工学を駆使してバイオ法で高生産する技術を確立 している。
今後、我々がやるべきことは、端的に言えば、上記成功例のような、既存の石油化学プロセスや、環 境負荷の大きい物理化学的プロセスを代替できるようなバイオプロセスを用いたバイオプロダクト製造の 成功実績をもっと上げてバイオプロセスの有効性を社会に示してゆくことである。
バイオニッポン総合戦略をはじめとする各省庁の構想や各種環境関連法案の整備、グリーンバイオ 関連の強大な国家予算投資など、官が先行するも、産業界がまだまだ本腰をあげていないというのが 実情だと思われる。その点、夢だけでは飯は食えないわけで、産業界は、現状を現実的なドライな目で 眺めているというのが本当のところだと思われる。産業界の重い腰を動かし、産官学が一体となったグリ ーンバイオの本格的な時代の幕開けを迎えるためには、何よりも、マーケットに訴えるだけの実績、競争 力を結果として示してゆかなければならないだろう。よって今後の国家プロジェクトもそのような視点で計 画されなければならない。以下、次期国家プロジェクトを視野に入れて、今後注力しなければならない 課題と対策を整理してみたい。
3―3 課題と対策
まず結論から申し上げるなら、今後、カーボンニュートラルなバイオマス資源がポスト石油時代の物質 生産とエネルギー供給の一翼を担うのは必至であり、二酸化炭素固定化機能の増強を含めて生物生 産を効率化するとともに未利用バイオマス資源を工業原料化し、段階的な高度利用を行うことによって 産業構造を石油資源・エネルギー多消費・環境負担型からバイオ技術を活用したバイオマス資源・循環 利用・低エネルギー消費・環境調和型構造に転換し、物質生産、エネルギー供給両面で化石資源への 依存度を下げる工業バイオのトータルシステムを構築することが最大の課題である。石油化学合成並み の汎用性や低コスト性を獲得し、バイオプロセスを石油化学合成に限りなく近づけるためには、個々の 要素技術の革新だけでは達成できるものではなく、個々の要素技術を統合して全体をより最適化してゆ く「統合型工業バイオ(Integrated Industrial Biotechnology)」を推進する必要がある。炭素源の確保から バイオプロセス生産、精製、最終製品、流通、分解・リサイクルまで含めた工業バイオの全バリューチェ ーンにおける研究開発面と社会制度・構造面(行政誘導・インフラ整備)両者の向上をめざすことになる。
以下、個々の課題と対策について研究開発面と社会制度・構造面に分けて述べてみたい。
3-3-1.研究開発
【課題】工業原料のバイオマス資源を如何に低コストで入手するか。さらにバイオマス資源の 食糧利用と工業利用の競合をどのように克服するか。
【対策】バイオプロダクトの全コストの内、原料費が占める割合は約半分に及び、安価な糖もしくはそれ に代わる炭素原料を確保することがコスト競争力の獲得には欠かせない。
(1)糖以外の安価で安定的に入手できる炭素源(C 源)の利用技術の開拓 例えば、メタノール や空気中の炭酸ガスを C 源として利用できる技術や生物の研究開発を進める。リニューアブルな原料 が糖質に偏重する限り、石油と同じで炭素源の争奪が惹起されいずれ高騰を招きかねない。戦略物資 は分散させた方が良い。しかも食糧と拮抗しない原料が望まれる。糖原料を安価に入手できない日本 の国土事情を逆手にとって、いち早く糖以外の安価で安定的に入手可能な原料からのバイオコンバー ジョン技術の確立に国を挙げて取り組むべきである。今現状で思い浮かぶ手段は以前から糖に代わる 安価な C 源として注目されてきたメタノールの利用であり、今後メタノール資化性を含めた C1 資化性微 生物の開発が望まれる。メタノールは、手付かずの化石資源であるメタンハイドレートを利用できるという 利点もあるが、それでは、石油と同じく地球温暖化の元凶拡大にもなってしまうので、非可食バイオマス、
廃棄物系バイオマスを、メタン発酵により効率よくガス化したものをメタノールに転化して利用するという ことを提案したい。工業利用できるだけの規模で、大量にメタノールへ変換供給できるメタノールステー ションと呼べるインフラ作りが必要となってくる。その他、バイオマス原料としては、植物油、リグノセルロ ース、天然ゴムなどからの製品化のパイプも太くしてゆきたい。
(2)廃棄物系バイオマスを原料とした低コスト製造システムの構築 日本は食糧バイオマスの 半分以上を海外から輸入してその 8 割方を廃棄物系バイオマスとして未利用で処分している国である。
日本のバイオマスとは、イコール廃棄物系バイオマスともいえ、この廃棄物系バイオマスの利用法で世 界標準技術を作ることは、同じような現状に直面する国は日本以外にもたくさんあることからも、一つの 日本らしい国際貢献のあり方であろう。食品残渣に代表される廃棄物系バイオマスを発酵の原料として 糖化、メタノール化して利用するシステムの開発は、真の循環型システムの構築に寄与するものであり
注目される。食品残渣でも非可食部分(リグノセルロース)の原料化の技術の動向が鍵を握っている。一 説によると世界の廃棄物バイオマスで全汎用化学品の 40%まで賄えるという数字がある。国家レベルで ゼロエミッションを達成する社会基盤、政策の準備も求められる。
(3)自前の工業用バイオマスの確保 ①遺伝子組み換え育種技術によるバイオマスの増産。ストレ ス耐性が強く粗放栽培が可能でバイオマス含有量などの増大した工業原料利用に特化した工業原料 作物の育種開発②新しいバイオマスの開拓。海洋国家らしく海洋植物、海洋藻類のバイオマス資源を 開拓する。成長著しいジャイアントケルプなどの海洋藻類の育種及び利用技術の見直しを図る。③新し い農地を確保する。バイオマスプランテーションに関しては、アジアにパートナーを求めるということも考 えられるが、安全保障の意味からもある割合の自前工業原料獲得の手段を構築しておく意義も感じる。
海洋国家日本は、陸上の面積は狭いが、四方を海に囲まれ、広大な海洋を有している。この属性を大 いに活かさなければならない。工業原料作物の生産に特化した人工の海上農地を開拓できないものか。
例えば新たな陸上地の確保が難しいために新規空港地を海上に見出すのと同じ要領で、海上の適当 な場所に日本の得意技術である海上フロート(メガフロート)を設置し農地となる基盤をつくり、そこに、
大量に廃棄されている生ごみ・食品残渣から製造した堆肥(コンポスト)を大量に利用した肥沃な大地層 を重層し、その上で工業原料作物を大規模に製造する。遺伝子組み換え工業専用植物を用いても、国 土から乖離しているので、交雑などの心配が非常に低下する。構造改革特区として組み換え規制を地 域限定で緩和するということも検討されたい。このようにしてつくられた海上農地を、日本の道州が各 1 個ずつもつだけでも、日本のバイオマスのかなりの割合を自前供給できる体制が整うのではないだろう か。バイオマスの輸送コストを抑えるために海上で糖化後、パイプラインで陸の工場へと送られる仕組み にしたい。そして、この海上農地構想の実現は、他の関連産業の景気浮揚策という副次的効果ももたら す。一考の価値はある。
【課題】石油化学工業から工業バイオへの無理のない移行
【対策】工業バイオを社会に根付かせてゆくためには、既存の構造を利用しながら段階的かつ漸次的に 進めることも必要。バイオ法で製造できる再生可能な工業原料であるメタノール、エタノール、メタン、水 素、各種炭化水素などを原料として、既存の化学合成のプラントをそのまま一部改良のもと転用して既 存の石油化学工業のルートにのせるという過渡的な段階を経て、将来的には、原料のみでなく、合成反 応の主要ステップで省エネ、省二酸化炭素排出、省廃棄物のバイオプロセスが活用されるような時代に 徐々に持ってゆくことが現実的なシナリオだと思われる。
【課題】利幅の小さいコモディティーの製造に対する企業の忌避感の解消
【対策】現在の化学品メーカーの戦略は利幅の大きなファインケミカルの拡大にある。石油代替によるコ モディティーケミカルなどに企業が本格的に取り組み始めるのはまだまだ先の話であるというのが大方 の企業のスタンスかと思われる。それだからこそ、将来の産業構造を見据えて、また国際的な生き残りを かけて企業が忌避するコモディティーケミカルズのバイオ生産を国家プロジェクトとして推進してゆく必 要がある。基幹化合物となる主要なコモデティーケミカルズの製造に目処が立てばそれ以降の利幅の 大きなファインケミカルズの製造にあたっては、各社独自に進めることが容易になる。
【課題】バイオプロセスの生産性の向上
【対策】菌や酵素の寿命が短く効率的な反応が組めない。反応速度が化学合成に比べ遅い。というバイ オプロセスの生産性に関する課題がある。微生物をあたかも触媒のように利用可能な連続発酵生産シ ステム。原料と生産物が常に入れ替わり老廃物も常に除去され、常にベストの状態であたかも化学反応 のごとく安定的にしかも連続的に反応を進められるようなフロー形式の 21 世紀型連続発酵・バイオコン バージョン技術の開発を進める。膜系を強化しストレス耐性、細胞死耐性を付与した汎用宿主の開発な ど細胞を長期に死滅させずに細胞内の酵素活性だけを高レベルで維持できる方法の開発なども必要と なる。そういう意味では、生物化学工学、発酵微生物工学、プラント工学などの専門家による理想の発 酵プラントの研究開発との連携の必要もある。宿主菌株の改良も発酵プラントや連続生産システムとリン クしたような形での改良が望まれる。すなわち個々の要素技術をてんでばらばらに行うのではなく、それ ぞれの要素のつながりや関係を前提にした全体の最適化を目指した部分の改良という視点での研究開
発を推進する必要がある。
【課題】バイオプロセス開発の短縮化
【対策】微生物探索、微生物の変異・育種による実生産菌の開発などバイオプロセスの開発には石油化 学プロセスに比べて時間がかかるという課題がある。バイオプロセスのバラエティー・レパートリーを増や し、バイオプロセスの汎用性を高める研究開発を重視したい。微生物は、地球型生物と称されるように 南極・北極のような氷点下の極低温の世界から、深海のような極高圧の世界、温泉のような 100℃前後 の高熱の世界まで生存しており、我々人類が、微生物から引き出せる機能には、多様性がある。しかも まだ人類が見出して利用している微生物は、全体の1%にも満たないことを知ると、今後、手付かずの 99%に及ぶ多様な微生物よりバイオプロセスに利用可能な機能を引き出し、バイオプロセスの可能性を 拡大することが大いに期待される。より一層、極限微生物、難培養性微生物、複合系・共生系微生物な どの探索と利用に注力したい。Diversa 社が精力的に行っているような環境中から微生物を単離せずに 有用な遺伝子をバイオインフォマティクスを援用して発掘するメタゲノム解析にももっと注力する必要が ある。国家的にバイオプロセスの多様性、レパートリー増大を目的としたシステマティックかつ戦略的な 探索を行い工業利用のストックを国家的に整備することが望まれる。一方で汎用宿主の育種開発も重 要で、工業利用に特化した省エネルギー、高生産型の微生物汎用宿主の育種開発も必要である。微 生物宿主のクリーン化 機能既知で工業用途に必要な遺伝子のみで構成されたクリーンホストの開発。
様々な工業用途に応じられるオーダーメイド対応のクリーンホストのラインナップを揃える。コストを下げ るためには、できる限り反応の工程数を下げることが望まれており、そのためには、菌体触媒に可能な 限り多くの反応系を導入する技術も不可欠である。目的に応じてカセット式に遺伝子群を導入して目的 の機能を高力価で付与できるようにしたい。酵素の選択性の高さが高いことによる汎用性のハードルは、
シャッフリング技術や分子進化工学的手法により基質特異性の拡充を狙う。酵素利用の汎用性を高め るために、特定の基質特異性を有する酵素をスクリーニングなしにラショナルにデザインする人工酵素 作製の技術開発。触媒抗体、および触媒抗体の低分子化などの研究開発も必要。多段階の反応を素 反応に分解し、それぞれの酵素反応を連結し、原料から最終精製物までもってゆけるバイオプロセスを 菌体の介在なしに行えるようなバイオリアクターが再び見直される時代がくるかもしれない。各種ツール のレパートリー拡大と遺伝子組み換え汎用宿主の開発で微生物や酵素のオーダーメイド化を図りプロ セス開発の時間短縮を図る。
【課題】バイオプロセス全体の総合力のアップ
【対策】原料調達からバイオ生産、精製などのダウンストリームプロセス、最終製品、廃棄、分解・リサイク ルまでの全バリューチェーンを通じてのコスト(経済面)、環境影響度(グリーン度、環境面)での最適化、
すなわちバイオプロセス全体の総合力のアップが課題としてある。各工程の革新的なイノベーションや 工業バイオを推進するバイオテクノロジーのツール(要素技術やモノ)の拡充が求められる。工業用酵 素、微生物、遺伝子などのモノ、バイオマスの糖化技術、安価な C 源利用化技術、バイオプロセス工学、
プラント工学、代謝工学、進化分子工学(蛋白質工学、DNA シャフリング技術)、精製技術、廃棄物利 用・生分解性の制御・リサイクル技術、超臨界技術、ナノテク技術などの応用など異分野技術も大いに 導入しながらバイオマス関連の研究開発と人材育成へ投資拡大を図る。これら底上げされた各要素技 術・モノ・人材の統合、有機的結合によるシステム化により、総合力アップを目指す。
【課題】バイオプロセス全体の経済性・環境性を一気通貫して確認できる大実験場の建設
【対策】原料から生産プロセス、精製プロセス、最終製品に至るまでの全て統合したバイオプロセス全体 の最適化を目的に、大実験場を国家主導のもと、化学工業メーカー、発酵工業メーカーのコンソーシア ム形式でバイオコンビナート研究開発プロジェクトとして立ち上げる。理論と実践の構築の場として、
様々な要素技術、専門知識を集め、経済性、環境負荷性共に世界のチャンピオンデータを実現し、世 界のスタンダードとなるようなバイオコンビナートを世界に先駆けて実現する。
【課題】バイオプロセスで製造できる化合物の多様性の拡大
【対策】乳酸、コハク酸、3-HP などの有機酸を初発原料とするインダストリーは既に展開が始まっている。
これらに続く初発原料のバイオ製造の確立。 米国 DOE が発表した基幹ブロック化合物として認定され
た 12 化合物をはじめとする基幹化合物原料の効率生産系の確立。バイオマスからバイオプロセスでつ くれそうな化合物のリストアップと市場性・応用性のありそうなものについての低コスト製造プロセスの確 立。それら初発原料からのデリバティブの製造のためのバイオプロセス開発。石油化学プロセスの素反 応を整理し、それぞれをバイオ法でできるように探索、開発を行う。未利用・未開拓微生物の探索と利用、
メタゲノム工学 発酵法は、補酵素や高エネルギー化合物の再生を必要とするような酸化還元反応に 強みを有する製造方法であるが、より発酵法の可能性を拡大するために耐熱性、耐酸性・アルカリ性、
耐有機溶媒性、耐圧性、耐塩性などの高機能性の微生物あるいは酵素を探索し利用技術を開発する 必要がある。発酵法では作りにくいとされる芳香族系化合物を製造できるような微生物の探索とそのメカ ニズム解析によるそれを可能とする遺伝子群の抽出と汎用宿主への導入による育種開発も望まれる。
バイオマスの、持っている天然の構造・機能を活かすということも重要で、全てを全て分解して糖化して 利用というものでもなくリグルセルロース、リグノフェノールからの新しい付加価値製品を生み出すプロセ スも必要となってくる。
【課題】次世代バイオコンバージョン宿主の開発
【対策】微生物バイオコンバージョンでは達成できないようなバイオコンバージョンに対してそれを補完 する宿主の開発は必要である。太陽光と空気中の炭酸ガスのみで特別な施設もなく最も安価に工業原 料を製造できる分子農業(MolecularFarming)は究極の環境調和型バイオコンバージョン技術として非 常に魅力がある。産業用酵素などは、既に植物で製造されたものも市場に出てきている。この植物の特 長をもちつつ、微生物で培った発酵システムによる製造が可能なちょうど植物と微生物の中間的な存在 である藻類による生産というものに再びスポットライトをあててみるのも面白い。光と炭素固定で有用物 質に変換する藻類のバイオリアクターなどは挑戦する価値がある。既に Scripps 研究所では、緑藻 Chlamydomonas reinhardtii を用いて一本鎖抗体を製造しているような例も出てきている。また、植物は 微生物には作れないような植物特有の二次代謝産物を多く合成する能力があることから植物培養細胞 に着目した工業マテリアル生産系の確立も魅力がある。産業用酵素などは、既に植物で製造されたも のも市場に出てきている。Venter への挑戦ではないが、太陽の光と空気中の炭酸ガスだけを原料に物 質生産できる究極の環境調和型微生物の開発と 21 世紀の環境調和型発酵工業の構築を目指す。
Venter らは、植物・藻類の光合成アパレイタスの遺伝子群で人工染色体をつくり微生物への移植を計 画しているようだが、逆の発想で日本がゲノム解読を行った藍藻の MGF でも良い。
【課題】ファインケミカルの多品種少量バイオ生産系の開発
【対策】マイクロバイオリアクターによる高付加価値製品の多品種少量製造法を確立する。マイクロ空間 を利用した合成システムであるマイクロリアクターをバイオプロセスへ応用展開する。マイクロリアクター は、数~数百µm のマイクロ流路を有する微小反応器の総称であり、高速かつ高選択性の反応系の構 築が可能であることから、将来の化学産業を支える重要な基盤技術の一つと位置づけられている。必要 な物質を必要な量だけ必要に応じて生産できるため、環境への負担が少ない化学合成のダウンサイジ ングを図れる。反応のスケールアップは、反応装置を大きくするのではなくマイクロリアクターを並列化、
多系列化することで、達成できる。21 世紀はテーラーメイドの時代とも言われており、個々のニーズにあ った製品を少量でも供給するといった需要に対してマイクロバイオリアクターは期待に応えてくれるかも しれない。
【課題】植物原料では代替できない石油化学品の製造
【対策】再生可能なバイオマス資源を原料とした石油生産菌による石油製造の研究開発を展開する。石 油の埋蔵量は限られ、いずれはなくなる運命にある。石油は何億年も前に地下に閉じこめられた動物 や植物の死がいが高温、高圧下で変成されてできたもので、人工合成は極めて難しいとみられていた。
しかし、その石油を作る菌(脂肪族炭化水素合成菌)が見つかってきている。現在、バイオプロセスで石 油化学製品を作る挑戦がなされてきているが、どうしてもバイオ法ではつくりにくいものもたくさんある。そ こで、ポストペトロケミストリーが主流の時代に至っても石油のニーズは消えない。化石資源としての石油 ではなく、微生物発酵で石油をつくることができれば、環境への貢献にもなる。その場合には、その原料 となる石油をバイオ法でつくればいくらかでも環境への負荷を軽減することに役立つ。また、エチレン生
産菌を人工的に育種するという道もある。植物において、エチレンガスは植物ホルモンとして機能し、植 物によって生産される。この植物の生産能力を利用して、遺伝子工学で生合成系を強化した植物を作 出し、エチレンを安価に大量生産する系を確立する。
【課題】国家プロジェクトを実ビジネスに結びつける力が弱い。
【対策】石油化学企業のバイオプロセスへの取り組みや欧米のグリーンバイオ関連のベンチャー企業の 動向をしっかりベンチマーキングして、現在、工業バイオのどのようなフェーズで企業が奮闘し、どこに 向かっているのかをしっかり研究し、近い将来実ビジネスとして何が求められているのか将来のグランド デザインを明確に描くことからプロジェクトを計画し実施することが重要である。あくまでも新産業の創出 に目標を置くならば一歩か二歩先の時代や社会を見据えたマーケットインの国家プロジェクトを志向し たいものである。
【課題】グリーンバイオ関連の国家プロジェクトの資産棚卸し
【対策】今後の新たな国家プロジェクトを始めるにあたって、今まで過去に、巨大な国家予算を費やして 行ってきたグリーンバイオ関連の国家プロジェクトの研究資産の棚卸しを国を超えて、省庁の枠を超え て行うべきである。過去の眠れる資産の中には、今後の展開のトリガー、要素技術となってくれるものが あるかもしれない。今後のプロジェクトの取っ掛かりとして過去の資産に目を向けることも重要である。80 年代や 90 年代初期に行われたプロジェクトの中には、その目指すべき方向性や着想は妥当でも、当時 の時代情勢やサイエンスなどの支援基盤のもとでは開花でず脱落したものも多く、現代的な視点で見 直すことで価値が蘇るようなケースも多々見つかる可能性がある。
3-3-2.社会制度・構造面
【課題】技術開発を図る際のモノサシ・スタンダード(標準)作り
【対策】技術革新を図る際の国際的なモノサシ、スタンダードを整備し、世界各国が同じモノサシのもと で、安心して、計画的に競争できるような環境づくりを構築する必要がある。
【課題】工業バイオ製品の普及・市場拡大 グリーン調達の増大
【対策】企業間でグリーン製品を相互に購買しあうネットワークを構築してゆくことも考えたい。これが拡 大してゆけば市場もスパイラル的に増大してゆく。社会の環境に対する意識の向上や市民意識の啓蒙 も不断に行う必要がある。 石油化学品を代替するだけでなく凌駕するくらいのバイオプロセスならでは の新機能の開拓、有用性の向上も一方で見出してゆく必要がある。さらに石油化学プロセスと共生して お互いが補完しあいつつ新たな高付加価値製品を生み出してゆくような互いのシナジー創出のテクノロ ジーを開発することも望まれる。バイオプロセスの特徴でもあるキラル活性や官能基変換技術を化学合 成プロセスと融合すれば今まで見たことも無いような新たな領域が切り拓かれる可能性がある。オリンピ ックや万博などの徹底的に管理された会場では、生分解性マテリアルのみを使用した循環型システム の成功をみているが、実験的な試みとして、これを拡大して、全国の市町村レベルで循環型システムを 行うモデルタウン構想を推進し、生分解性マテリアルの経済性や環境性を認知してもらうことも推し進め たい。
【課題】関連省庁が連携して国家予算の効率的かつ戦略的な活用を推進する。
【対策】米国は、エネルギー省と農務省が一体となってバイオマス国家プロジェクトを推進しており、両省 管轄の研究所がうまく連携して研究開発を効率的にかつ戦略的に進めている。日本もいち早く、米国 並に、工業バイオに関連する省庁全てが連合して、オールニッポンとして戦略的に研究開発を進められ る体制を整備すべきである。そのためには、総合科学技術会議のコーディネート力をより発揮してもらう 必要がある。本格的に進めるにあたっては、然るべき時に、内閣府にポスト石油化学社会・脱石油依存 社会へのシフトを目標にした戦略本部を設置し、首相のリーダーシップのもと全省あげて取り組む体制 をとることが望まれる。
【課題】工業バイオ推進の外部団体の連携
【対策】ケミストリー寄りの財団法人化学技術戦略推進機構(JCII)とバイオ寄りのグリーンバイオ戦略フォ ーラム(JBA)が互いに情報交流して両者連携のもとオールニッポンで、工業バイオを戦略的かつ効率的 に推進してゆくことが望まれる。それはバイオ関連企業と化学関連企業との連携の強化、ボーダーレス
化の推進ということでもある。
3―4 最後に
以上、工業バイオの現状及び課題と対策を整理してきて思うことは、工業バイオの要素技術やモノな どの基盤・インフラ整備に関しては、一方で新時代の最新のサイエンスとテクノロジーによりブレークスル ーを期待すると共に、今まで手がけてきた技術の再発掘やより一層の成熟化さらに個々の技術・モノの 融合・統合による総合力を利用することがより一層求められる時代に至ってきたのではないかということ である。石油化学といえども、昭和 33 年にエチレン製造を目的としてナフサの分解が開始されて以降大 きな発展を遂げ今の隆盛を誇るようになったわけでそれほど長い歴史があるわけではない。バイオプロ セスは今まさに黎明期を迎えているわけで、試行錯誤の中で石油化学のように短期間に整備完了とい うわけにはいかないかもしれないが、着実にその方向へ進んでゆくであろう。経済原理一辺倒で動いて いる世の中で、経済原理と環境を両立させた時代を新たに築いてゆこうということなので、初めからすん なりと社会や市場に受け入れられるものでもないであろう。軌道にのるまでには時間がかかるであろうが、
高い理想のもと、決してひるむことなく、地道に歩むことが肝要である。このような構造転換の黎明期に あっては、自助努力もさることながら、確固たる国家戦略・ビジョンの明示と国家レベルの誘導・支援は 欠かせない。今後の新しいグリーンバイオ関連国家プロジェクトや行政支援に大いに期待する所以であ る。少し腰を据えて将来を考え、21 世紀の工業バイオの革新的な姿を追い求めた国家プロジェクトにつ なげてもらいたい。そして、熟慮された骨太の国家プロジェクトのもと、産官学が一体となって知恵と実践 の試行錯誤の中で、工業バイオ分野で世界のスタンダードとなるような先端技術の知的資産を日本が 確保し、それらをベースにした日本発の工業バイオのテクノロジーやシステムが国内はもとより世界中に 流布し、製造の現場を席巻する時代を夢見て参りたい。
参考文献
1.グリーンバイオテクノロジー ―持続的社会のための生物工学 講談社サイエンティフィク2002年 2.キラルテクノロジーの新展開 2001年 CMC出版
3.「バイオリファイナリーの研究・技術動向調査」報告書 2005年7月 NEDO 委託先:財団法人バイオ インダストリー協会
4.ST/GSC技術開発プログラム構想 -ST戦略の具体化に向けて- 2005年3月 財団法人 化学技術 戦略推進機構 化学技術戦略推進会議
5.EUROPABIO ホワイトバイオテクノロジー:持続可能な未来への道
6.OECD 産業持続可能性へのバイオテクノロジーの利用 2002年3月 財団法人バイオインダストリー 協会
7.発酵ハンドブック(共立出版)