(原田史織)論文内容の要旨
主 論 文
Effectiveness of a photoscreener in identifying undiagnosed unilateral amblyopia at vision screening of 3-year-old children in Japan
(3 歳児健診での片眼性弱視発見におけるフォトスクリーナーの有効性)
(著者名〔原田史織、中嶋有美子、上松聖典、森本心平、Yasser Helmy Mohamed、
北岡隆、森内浩幸〕)
Japanese Journal of Ophthalmology (in press)
長崎大学大学院医歯薬学総合研究科博士課程医療科学専攻
(主任指導教員:北岡隆教授)
緒 言
眼の機能は3歳頃までに急速に発達し、6~8歳頃までにほぼ完成する。3歳児健診に おいて、弱視が見逃されると治療が遅れ、不可逆的な視力不良へとつながる可能性が ある。3歳児健診において、屈折検査導入により今まで見逃されていた多くの弱視を 発見できることがわかってきた。現行の視力検査に加え、3歳児健診における屈折検 査の導入は不可欠である。本研究は、フォトスクリーナーを長崎市3歳児健診に導入 し、その有効性を評価し、フォトスクリーナー検査に対する親の満足度を評価するこ とを目的とした。
対象と方法
2018 年 10 月から 2019 年 3 月までの間に、長崎市の中央、北、または東地区で行われ た3歳児健診にて、現行の家庭での視力検査に加え、フォトスクリーナーを用いた屈 折検査を行った。3歳児健診の方法は、一次健診(保健所から各家庭に郵送された視 力 0.5 相当のランドル環を使用して、両親が片眼ずつの視力を測定する。)と、二次 健診(保健所で、保護者の同意が得られた受診者全員に、スタッフがフォトスクリー ナーを用いた屈折検査を施行し、続いて小児科医による身体検査を施行。)によって 行われた。問診票、視力検査、フォトスクリーナーのいずれかの検査で異常を認めた 子どもは、要精密検査と判定された。本研究の対象は、要精密検査と判断され、長崎 大学病院眼科に紹介された子どもとした。除外基準は、(1)フォトスクリーナーの結 果が得られなかった子ども、(2)以前に弱視または斜視と診断された子ども、(3)別
の病院を受診した子ども、および(4)小児科医によって正常と判断された子どもと した。フォトスクリーナーは、Spot Vision Screener (v.2.0.16, Welch Allyn)を用いた。
精密検査は、視力検査、眼位検査、調節麻痺下の屈折検査、前眼部および眼底検査を 行った。弱視の診断は、the Multi-Ethnic Pediatric Eye Disease Study (MEPEDS) の診断基準を用いて行った。
結 果
視力検査とフォトスクリーナー検査の両方の検査を完了した子どものうち、52人(視 力検査異常3 人、フォトスクリーナー検査異常49人)が長崎大学病院を受診した。
研究に含まれた 52 人の子どものうち、フォトスクリーナー検査異常の主な理由は乱 視32人(65.3%)であり、遠視11人(22.5%)がそれに続いた。フォトスクリーナ ー検査異常 49人のうち、12 人は弱視と診断された。そのうち10 人(83.3%)は遠 視性不同視を伴う片眼性弱視、および2人(16.7%)は乱視と遠視を伴う両眼性弱視 であった。健診でのフォトスクリーナー検査は弱視の 12 例すべてを検出したが、健 診での視力検査では2例しか検出できなかった。本研究では、斜視弱視または形態覚 遮断弱視の子どもはいなかった。
フォトスクリーナー検査に参加したすべての保護者に、フォトスクリーナーを用いた 3 歳児健診に対する満足度について、3 つの質問を行った。質問に回答した 1035 人
の親の80%以上がフォトスクリーナー検査に満足していた。
考 察
遠視性不同視を伴う片眼性弱視は、家庭での視力検査では見落としがあったが、フォ トスクリーナー検査では検出可能だった。フォトスクリーナーは、子どもの弱視発見 における効果的なスクリーニングツールであることが証明された。また、多くの親が フォトスクリーナー検査に満足していた。