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あとがき 

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Academic year: 2021

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学生が抱えるバックグラウンドは、確かに年々「多様」になっているように思 う。経済面、自身のしょうがい等、様々な事情を抱えている学生のサポート体制 を大学として構築していくことは重要な課題であろう。しかし一方で、学生自身 はむしろ「一様化」することを望んでいるのではないかと感じることもある。友 達が授業を休むから自分も手をぬき、友達が就職するから自分も…と、他者の考 えや行動に同調することを自分の行動基準にしている学生が多いように思う。他 者と違うことをしたがらないという傾向は、大学生だけのことではないだろう。

しかし、大学生が自己を確立する時期であるならば、他者に同調するだけでな く、自分で考え、行動する、それが周囲にどのような影響を与えるのかというこ とを実体験してほしいものである。また、教える側としては学生のバックグラウ ンドが多様になってきているのであれば、その多様な考え、経験を活かし、学生 たちが自由に行動、思考できるような教育をしていきたい。

ところで、大学にとっての「多様性」を考えるうえで、多様な研究、教育が行 われていることは忘れてはいけないであろう。とりわけ、理学部は文系学部が大 多数の立教大学の中で、他学部とは異なる事情が多い。

たとえば、国際化に対する考え方。日本の数学や物理学の研究レベルは世界 的に高い水準にある。この理由のひとつとして、母国語である日本語で、それら を学ぶことができることがあげられる。以前に韓国の教授が、数学の専門用語が 韓国語に翻訳されていないため、外国語で数学を研究しなければいけない状況を 嘆いているのを聞いたことがある。数学を研究する前に外国語を学ぶ必要があ り、外国語ができるようになると、海外に留学し、そのまま海外で働く人も多 い。日本は先人たちの功績により、専門用語が日本語に翻訳されているため、自 らが最も慣れ親しみ、深く理解している言語を使って、日本で研究を行うことが できる。国際化のために、あえて「英語で」学ぶことも重要かもしれないが、「日 本語で」学ぶことができるという、日本ならではの利点を活かし、より中身のあ る学びを提供していくことも大切なのではないだろうか。

「本を読む」ということについても、事情が異なる。もちろん、学生にとって 本を読むことが重要であるという考えには賛成だ。しかし、数学に関する本を読 むためには、その土台となる基礎知識を必要とするのである。数学科の学生も、

3年間のトレーニングを積んで、4年生になって初めて「本を読む」ことを目的 とした授業がある。基礎知識のない学生の前に、いきなり数式が書かれた本が出 てきたらどうだろう。特に文系の学生たちに多い、「数学アレルギー」を発症して しまう人もいるかもしれない。読むことが「学び」につながる分野もあれば、学 んだからこそ「読む」ことができる分野もあると思う。

文系学部の多い立教大学にとって、理学部固有の事情は、ある意味でマイノ リティな考えかもしれない。全カリは全学の学生に提供するため、画一的なルー ルが必要ではあるが、学部ごとに多様な事情があることは、総合チームメンバー として心に留めておきたい。この「あとがき」の依頼もまた、その例外ではない。

こもり やすし

あとがき  理学部准教授/総合構想・運営チームメンバー 小森 靖

参照

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