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Whistleblowing System and the Corporate Governance

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神奈川大学大学院経営学研究科 『研究年報』第14号 2010年 3月 69

■ 研究論文

コーポレー ト ガバナンス と内部告発制度

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神奈川大学大学院 経営学研究科 国際経営専攻 博士前期課程

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■キーワー ド コーポ レー ト・ガバ ナ ンス/コーポ レー ト・ガバ ナ ンス原則/内部告発/企業不祥事/内部告発制度 の 構築

1 は じめに

コーポ レー ト・ガバ ナ ンスは、企業不祥事への 対処 と企業競争力の強化 を目指 している。企業 は、 コーポレー ト・ガバナ ンスを導入 し、実践 してい る。企業 は、 コーポレー ト・ガバナ ンスを実践 し ているが、企業不祥事 は収 まるところを知 らない 状況 にある。 近年発覚 している企業不祥事には、共通点がみ られてい る。 まず、企業不祥事発覚の端緒の側面 か らみ ると、従業員などによる内部告発が多いこ とで ある1。 また、企業不祥事 の落着方法 か らみ ると、消費者や社会的批判が強 まり経営者が辞任 す ることによ る2。企業不祥事発覚 の端緒 となっ ている内部告発に 目を向けると、内部告発者 が企 業か ら不 当な解雇 や異動、降格や減給 などの不利 益な扱いを受 けている。そのようななか、内部告 発者 を不利益 な扱いか ら保護 し、内部告発 を制度 として確立 しようとす る動 きがみ られている。 そこで、本稿では、 コーポ レー ト・ガバ ナ ンス と内部告発に関す る研究の意義 と課題 を明 らかに す ることを目的に検討 してい く。 まず、第2節で は、 コーポ レー ト・ガバ ナ ンスに関す る議論の背 景や先行研究 をもとに、 コーポ レー ト・ガバ ナ ン スの 目的や定義、体系 を明 らかにす る。 また、第 3節では、内部告発の定義や問題点 を明 らかにす る。そ して、第4節では、今 日に至 るまでの内部 告発制度の構築 に向けた展 開や コーポ レー ト・ガ バナ ンスと内部告発の関係 を検討す る。

2

コーポ レー ト ・ガバナ ンス とは何 か

2.1 コーポ レー ト・ガバナ ンス問題の背景 コーポ レー ト・ガバナ ンス問題 にいち早 く直面 す るようになったのは、市場経済先進諸国であっ た30 コーポ レー ト・ガバナ ンスは、歴史、社会、 制度、文化、慣習 などを異 にす るそれぞれの国に 制度化 され、定着す るものである4。そのため、コー

(2)

70 神奈川大学大学院経営学研究科 『研究年報』第14号 2010年3月 表 1 コーポ レー ト・ガバナ ンス問題の背景 (1)先進国に共通するコーポレー ト.ガバナンス問題 ∈) 所有 と経営が人格的に分離 した大企業において、株主が経営か ら疎外 され、株主の利益が充分 に保護 されてこなかつたことo ♂ 企業はさまざまな利害関係者 を含む社会的存在であり、利害関係者の影響力の調和 を考慮に入 れた経営が不可欠になったこと○ @ 資本市場の国際化が進む中で、内外の機関投資家が 「物言 う株主」 として目覚め、経営者は株 主重視の経営 を行わざるを得なくなったことo ④ 企業統治 (コーポレー ト.ガバナンス-筆者)には、企業不祥事の発生 を抑止する機能 と企業 競争力の強化を促進する機能 とが本来ある、 と固 く信 じられてきたことo

(

2

) 日本特有のコーポレー ト.ガバナ ンス問題 ① バ ブル経済の崩壊により、銀行 .証券 .事業会社などの不祥事が相次いで顕在化 したことC ㊨ バブル経済崩壊後の企業業績の低迷が株主などの利害関係者に不利益 を与 えたことo (∋ 株主代表訴訟手続 きの簡素化により、経営者は株主を意識 しつつ、経営失敗の リスクを最小に しようとす る考 え方が広 まったことo ㊨ 低成長下の企業にとって、従来以上に機動的な経営や事業転換 を行 う必要性が高 まったこと○ (出所)平田光弘【2008]38-40貢より引用 し、筆者が表 を作成する。 ポ レー ト・ガバ ナ ンス問題 も、それぞれの国に特 有 の理 由ない し要 因が加 わ るO コーポ レー ト・ガ バ ナ ンス問題 は、表1の よ うに (1)先進 諸国 に 共 通 す るコーポ レー ト・ガバ ナ ンス問題、 (2) 日本特有 の コーポ レー ト・ガバ ナ ンス問題、 に分 類 されてい る5。 まず、 (1) は、①所有 と経営 が人格 的 に分離 した大企業 において、株主 が経営 か ら疎外 され、 株主 の利益 が充 分 に保護 されて こなか った こと、 (参企業 は さま ざまな利害 関係者 を含 む社会的存在 で あ り、利害 関係者の影響力の調和 を考慮 に入れ た経営が不可欠 になった こと、(丑資本市場の国際 化が進む中で、内外 の機 関投資家が 「物言 う株主

として 目覚 め、経営者 は株主重視 の経営 を行 わ ざ るを得 な くなった こと、④企業統治 (コーポ レー ト・ガバ ナ ンス-筆者) には、企業不祥事 の発生 を抑止す る機能 と企業競争力の強化 を促進す る機 能 とが本来 ある、 と固 く信 じられて きたこと、の 4つ が挙 げ られ る6。 また、(2)は、①バ ブル経済の崩壊 によ り、銀行 ・ 証券 ・事業会社 などの不祥事 が相次 いで顕在化 し た こと、(参バ ブル経済崩壊後の企業業績 の低迷 が 株主 な どの利害 関係者 に不利益 を与 えた こと、⑦ 株主代表訴訟手続 きの簡素化 によ り、経営者 は株 主 を意識 しつつ、経営失敗 の リスクを最小 に しよ うとす る考 え方 が広 まった こと、(む低成長下 の企 業 にとって、従来以上 に機 動的な経営や事業転換 を行 う必要性 が高 まった こと、⑨企業のグ ローバ ル化の進展 によ り、 日本 的経営の効率性 が問われ た こと、の5つ が挙 げ られ る。 この よ うに、 コー ポ レー ト・ガバ ナ ンス問題 は、企業不祥事 と収益 力の低下 を背景 に議論 されて きたので あった。 2.2 コーポ レー ト ・ガバナ ンスの展開 コー ポ レー ト・ガバ ナ ンスは、1990年代 前半 よ り盛んに議論 が行 われ、今 日、多 くの研究成果 と企業 の実践 が行 われてい る7。 これ は、平 田光 弘【20081において、 「第一 に、企業不祥 事へ の対 処 をめ ぐって議論 され、企業不祥事の再発 を防止 す るには、経営監視 ・監督の仕組みはどうあるべ きかが問われて きた。 そ こでは、違法経営の遵法 経営化 (不健全経営の健全経営化) が模索 されて

(3)

コーポレー ト・ガバナンスと内部告発制度 71 きたので ある。第二 は、企業競争力の強化 をめ ぐ る議論で ある。企業競争力 を高 め るには、 どの よ うな経営意思決定の仕組み と経営監視 ・監督の仕 組み とが望 ま しいかが議論 されて きた。 そこでは、 非効率経営の効率経営化が模索 されて きたのであ る8」 と述べ られてい る.つ ま り、 コーポ レー ト ガバ ナ ンスは、 「企業不祥事へ の対処」 と 「企業 競争力の強化」 の2つ を中心に議論 されて きた。 コーポ レー ト・ガバ ナ ンスは、経営学のみな ら ず、財務論や法学、会計学や経済学 などの関連諸 学問領域 によって研究 され、多種 多様 なアプロー チが な され て い る9。 その ため、 コーポ レー ト ガバ ナ ンスは、今 もなお定 まった定義が存在 して いないが、おおむね、企業競争力の強化 と企業不 祥事への対処 を目的 とし、情報開示 と透 明性 を確 保 しなが ら企業経営 システムを構築す ること、 と いって差 し支 えないで あろ う。 さらに、 コーポ レー ト・ガバ ナ ンスは、図1の ような体系で実践 されてい る。具体 的に、企業 は、 企業経営機構改革 を狭義の コーポ レー ト ・ガバ ナ ンスとして、利害 関係者 の利害調整 を しなが ら情 報開示 と透 明性の確保 を広義の コーポ レー ト・ガ バナ ンス として、実践 してい る。今 日では、狭義 と広義の コーポ レー ト・ガバ ナ ンスに くわ えて、 利害関係者のみ な らず、市民社会 をも範 囲に、社 会 システ ム全 体 と企 業 の関係 が最広 義 の コーポ レー ト・ガバ ナ ンス として考 え られてい る10。

3

内部告発 とは何 か

3.

1

企業不祥事の変化 と内部告発 日本 にお け る企 業 不祥 事 は、 内容 と特 徴 か ら 表2の よ うに、 (

1)1

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年代後半 か ら

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7

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年 の 第1次石油 危機、 (2)第 1次石油危機 後、 (3)

1

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9

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年代、 (4)

2

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0

年代初 頭、の4つ の時期 に 分類 されてい る

。4

つ の時期の企業不祥事 は、結 果 的に反社会的行為 になった (1) と、意図的に 引 き起 こされた (2)、 (3)、 (4) に細分す るこ とがで きる。 (1) は、高度経済成長下 において、 企業行動の過程 で、事後的 または副次的に発生 し て、結果 的に反社会 的行為 になった ものが多か っ た。 つ ぎに、 (2) は、最初 か ら反社会 的行為 で あ ることを知 りなが ら、世 間の 目を掠 めて うまい汁 を吸 お うとして、意図的に引 き起 こ された もので あ り、企業 の倫理性 が問われ る もの が多か った。 (3) 早 (4) は、最初 か ら反社会 的行為 で ある ことを知 りなが ら、意図的に引 き起 こされた もの で あったが、その行為の悪質 さか ら、経営行動の 倫理性 を厳 しく糾弾 されねばな らない ものがほ と ん どで あった。 さらに、近年発覚 してい る企業不祥事 には、共 通点がみ られてい る。 それ は、企業不祥事発覚の 端緒 の側面 か らみ ると、従業員 などによる内部告 発 が多い ことで あ る11。 また、企業不祥事 の落着 方法か らみ ると、消費者や社会 的批判 が強 ま り経 (出所)小島大徳

2

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4

1

3

5

頁.

(4)

72 神奈川大学大学院経営学研究科 『研究年報』 第14号 2010年3月 表2 日本 にお ける企業不祥事 の内容 と特徴 年代 主な企業不祥事の内容 発生 した企業不祥事の特徴 (1)1960年代 後半か ら1973年 産業公害、環境破壊、欠陥 .有害商 企業行動の過程で、事後的または副次的に発生 して、 の第1次石油危 品、誇大広告、不当表示など 結果的に反社会的行為 になったものが多かつたo 機 ) (2)第1次石 投機、買 占め、売 り惜 しみ、便乗値上げ、株価捜作、脱税、背任、贈収賄など 最初 か ら反社会的行為であることを知 りなが ら、世間の 目を掠めて うまい汁 を吸お うとして、意図的に 油危機後 引 き起 こされた ものであり、企業行動の倫理性 を問われ るものが多かつたo (3)1990年代 価格 カルテル、入札談合、贈収賄、 最初か ら反社会的行為であることを知 りなが ら、意業務上過失致死、私文書偽造 .行使 図的に引 き起 こされた ものであったが、その行為の不正融資、インサイダー取引、利益 悪質 さか ら、企業行動の倫理性 を厳 しく糾弾 されね 供与、損失補填、粉飾決算など ばな らない ものがほとんどであったo (4)2000年代 衛装備品の代金水増 し請求、有価証券報告書虚位記載など集団食中毒、食肉 .産地偽装、自動車のクレ-ム .リコ-ル隠 し、原子炉の損傷隠 し .点検記録の攻究、防 最初か ら反社会的行為であることを知 りなが ら、意図的に引 き起 こされた ものであり、1990年代のそれ 営者 が辞任 す るこ とに よ る12。企業 不祥事 発覚 の 端緒 となってい る内部告発 に 目を向 け ると、 内部 告発者 が企業 か ら不 当 な解雇 や異動、降格 や減給 な どの不利益 な扱 い を受 けてい る13。 その よ うな なか、内部告発者 を不利益 な扱 いか ら保護 し、内 部告発 を制度 と して確 立 しよ うとす る動 きがみ ら れてい る。 3.2 内部告発者 に対 す る不利益 な扱 い 内部告 発 に よって発覚 した企業不祥事 をまとめ た もの が、表3で あ る14。 まず、通報者 と企 業 の 関係 をみ ると、 その 多 くが従業員 によ るもので あ るとい えよ う。 また、従業員 に よる内部告 発 とと もに、 内部告 発者 が企業 と如何 な る関係 に あるの か不 明 な場合 も多 くみ られ る。詳 しくは後述す る が、 この よ うな事象 は、 内部告発す ることに よ り、 企業 か ら不利 益 な扱 い を受 け る恐れ が あることに よるもので あろ う。 従業員 な どが、 内部告発す ることに関 して、吉 森 賢【20071が

「(企業 内部 に一筆者)違反者 を通 報す る制度 が存在 しないか、 あって もそれが実効 性 に欠いてい る場合 に生 じる事態 で ある。特 に倫 表3 内部告発 に よって発 覚 した企業不祥事 年 月 企業名 事件内容 通報者 通報方法および発覚の経緯 2008年1月 グ ッ ドウィル 労働者の二重派遣 登録 をしていた派遣 スタッフの女性 静岡労働局に実情 を話 し、給与明細 を提出 したo 2007年8月 松下電器ノキ ア 携帯電話用電池の発熱事故隠ペい 不明 マスコ ミに対す る投書により発覚 したo 2007年6月 コムスン 介護報酬の過大請求 介護サービスの 東京都 に対す る利用者か らの苦情や企利用者や企業内 業内の関係者 による通報により発覚 し の関係者 た○

(5)

コーポレー ト・ガバナ ンスと内部告発制度 73 2006年11月 東芝 労働者 の偽装請負 偽装請負 の状態で働 か されていた従業員 大 阪労働局 に対す る通報 によ り発覚 した○ 2006年10月 キヤ ノン 労働者の偽装請負 偽装請負 の状態で働 か されていた従業員 栃木労働局 に対す る通報 によ り発覚 したo 2006年8月 トヨタ車体精工 労災隠 しと労働者 の 偽装請負 の状態偽装請負 で働 か されていた従業員 朝 日新聞社 に対す る通報 によ り発覚 したo 2006年2月 東芝 東京電力の原子力発 不 明電所 の機器 データ改 2005が あ り、東芝 とともに調査 した結果 、年9月に、東京電 力に対 して通報 ざん 発覚 したo 2005年5月 松下 プ ラズマデ ィスプ レイ 労働者 の偽装請負 偽装請負 の状態で働 か されていた従業員 大 阪労働局 に対す る通報 によ り発覚 したo 2005年5月 オ リエ ンタル ラン ド 右翼 団体への利益供与 不 明 新 聞社への証言 によ り発覚 したo 2005年5月 小 田急電鉄 名義株 に関す る有価証券報告書の無訂正 不 明 金融庁 に対す る通報 によ り発覚 した○ 2005年3月 いす ゞ自動車 無届 けによる行動試 不明 国土交通省 に対 して通報 が あ り、立 ち 験 の実施 入 り検 査の結果発覚 したo 2004年10月 中部電力 浜岡原発 における建設時の コ ンク リー ト骨材試験 の不正 浜 岡原発 に砂利の元従業員を納入 した企業 元従業員か ら保安 院対 して通報 が あ り、中部電 力の調査 の結果、発覚 したo 2004年6月 UFJ銀行 金融庁 による検査 を妨害 不 明 金融庁 に 「別 の資料が隠 されてい る」 とい う電話があ り発覚 した○検査 で出 してい るもの とは 2002年9月 四国電力 . 伊方原発 におけるコび割れ隠 しンク リー ト架台のひ 不 明 原子 力市民 団体 の原子 力資料情報室 に対 して通報 が あ り、発覚 したo 2002年6月 三井物産 電設備 の不正入札へ国後島デ ィーゼル発の関与 不明 朝 日新聞に対 して通報が あ り発覚 した○ 2002年5月 協和香料科学 無認可添加物 の使用 不明 監督官庁 に対 して通報 が あ り発覚 したo 2002年5月 ダスキ ン 無認可添加物 を使用 取引先の従業員 取引先の従業員 か ら厚生労働 省 に対 し した肉 まんの販売 て通報 が あ り発覚 した○ 2002年2月 東京電力 原子力発電所 の トラブル 隠 し GE従業員の子会社 の 通産省資源 エ ネルギー庁 (書 したが、送 られて ない と言 われたためRAXにて再送 した○ 当時) に投 2000年10月 三洋電機 太陽光発電 システムの出力不足 品販売 匿名 通商産業省 (庁 に通報 があ り、三洋電機 が調査 した結果発覚 した○当時)の資源 .エ ネル ギ ー 2000年7月 三菱 自動車 自動車 の リコール隠 匿名 運輸省 自動車交通局 (当時)へ匿名 の し 電話 が あ り、調査 の結果発覚 した○ (出所)各事件 に関す る新 聞記事や雑誌記事 などを参考 に筆者作成 。

(6)

74 神奈川大学大学院経営学研究科 『研究年報』第14号 2010年3月 理 ・行動規範 が制定 されていて も違反者 を通報す る制度 がないか、 あって も通報 された違反者 に対 す る調査や制裁 がな されず、 あるいは通報者 に関 す る機密保持 に関 して社員の信頼 を得 ていない場 合 に生 じる事態で ある。 この場合 に、社員が取 り 得 る最後の選択肢 は外部機 関への内部告発で ある 15」 と指摘 してい る。つ ま り、企業 内部 に不正 を 通報す る制度 がないか制度 が存在 した と して も効 果 がないのであるな らば、企業外部へ通報 がな さ れ るとい うことで ある。 さらに、企業不祥事のなかには、調査 がな され た際な どに不正 が見つ か らないよ うに隠 していた 事例 もある16。企業 内で不正行為 を隠そ うとして いたな らば、企業 内の事象 を知 ってい る従業員 な どか ら、情報 が提供 され なければ公 になることは 難 しくなるで あろ う。 こうした ことも、従業員 に よる内部告発 によって企業不祥事 が発覚す る要因 で あると考 え られ る。 くわ えて、内部告発 は、 日 本社会 において負 の印象 を持 たれ ることが多いが、 現実 的に内部告発が辛 うじて株式会社の体面 を維 持 させてい るとい える17。以上 の ことか ら、 内部 告発 は、法律違反や生命 ・財産 に関わ る企業 内の 不正行為 を、企業外部へ通報す ることであると定 義づ け られ よ う18。 3.3 社会 において内部告発 が持 たれている印象 研究者や実務家 が、 内部告発 に対す る負 の印象 に関 して指摘 してい る内容 をまとめた ものが表4 表4 研究者 や実務家による内部告発 に関 する見解 論者 .出所 内容 杉原充志【2003】90頁. 感が強かつたoそれを裏付けるように、告発 したがために会社か ら差別的 .報復日本では、内部告発は 「密告」 あるいは 「裏切 り」行為 ととられ、 これまで抵抗 的な処遇 を受け、最悪の場合は解雇 され るとい うような事例 も少なくなかったo 宮本一子【2003】298頁. 内部告発 とい うタイ トルには、「密告

「裏切 り」 といったイメージがあったo 新田健一【2004】25頁. そのような組織風土の中にあつては、自分の会社 を傷つけることは仁義に反する ことであり、それはまた自己の破滅 を意味することでもあるo したがって、たと え社会正義のためとはいえ、会社の不正 を発見 して外部に漏 らす ことは到底許 さ れることではなく、「密告者

「卑怯者

「異端者

「変わり者

「心許せないもの」、「果 てはチ ンコロ (関西ヤクザ隠語)」 と罵 られ ることになるo 近藤勝彦【2005]20貢. 告」や 「内部告発 といえば、従来わが国では、私怨や企業内の権力闘争などに関係 した 「たれ込み」 といったダーティーなイメージで語 られがちで したo 密 増測隆史【2005】79頁. 組織内部の問題 を外部に公表するという行為は、通常われわれが非道徳、的だとみ なしている裏切 りや密告、あるいは誹誘、中傷 といった行為 と共通するところが あるし、欧米では成功 した内部告発者はしば しば英雄 となり、金銭的利益 を得 る こともで きるため、内部告発は売名行為や私利 を得 るための行為 とみなされるこ ともあるからであるo 斎藤実【2005】62頁. テルを貼 られ、従来、企業等では解雇 一降格 .減給 ー左遷など、不利益な取扱いもっとも、従来公益通報者 は通報 したことにより、「密告者

「裏切 り者」の レツ を受けてきたo 奥村宏[2006]204-205頁.これまで 日本の会社で、会社に都合の悪いことを内部告発す るということは、会社への裏切 り行為だとされ、そのようなことをする人はいなかったO もしかりに いたとすれば、会社の中で 「村八分」にされていたo 羽生正宗【2007】106頁. 内部告発 とい う言葉は、わが国では古 くか ら 「ブなイメージが定着 しており、告発者は組織内の不正 を外部に通報 (ことを理由に、解雇、懲戒処分、降格および昇給停止等、人事上の処分を受けて裏切 り」や 「密告」といったネガティ公表) した きたo 浜口厚子[2008111頁. 元来、企業内部の不祥事を外部に告発す ることは、企業への 「ネガティブなイメージをもってとらえられることも多 く、従業員等 としても、 こ裏切 り」 といった (出所)筆者作成。

(7)

コーポレー ト・ガバナンスと内部告発制度 75 表5 内部告発 に関する消費者の意識調査 間 最近の食品表示偽装事件等では、「内部通報」により事件が顕在化 しています。こうした通報についてあ なたはどのように感 じていますか。 内容 割合 公益確保のために望 ましい 36.9% 一度組織内部で警告 して、それでも改善 されなければ外部へ通報する等手続 きを踏めば 34.5% 止むを得ない 公益のためには止むを得ない 24.1% 誹誘中傷が増える等を考えると望 ましくない 1.8% 無回答 1.7% その他 1.0% (出所)内閣府国民生活局[20031を基に筆者が表 を作成する。 である。 内部告発や内部告発者 は、表4のよ うに、 「密告 (者)」や 「裏切 り (者

)

」、「たれ込み」や 「卑怯者」、 「異端者」や 「変 わ り者」、「心許せ な い者」などの印象 を持たれ ることが指摘 されてい る19。内部告発が、 こうした負の印象 を持 たれて いることは、内部告発制度 を構築 してい くうえで、 解決 しなければな らない問題であるといえよ う。 一方、内部告発 に対す る負の印象は、近年少 し ずつではあるが変わ りつつ ある。内閣府国民生活 局が、内部告発に対す る消費者の意識調査 をした 結果、表

5

の ような回答が得 られた。 まず、内閣 府国民生活局[2003]によると、「公益確保の ため に望 まし

」 との回答 が最 も多かった。 また、 こ の調査では、内部通報 について どのように感 じて いるのか とい う問いに対 して、 「公益確保のため に望 ましい (36.9%)」、「一度組織内部で警告 して、 それで も改善 されなければ外部へ通報す る等手続 きを踏めば止む を得 ない (34.5%)」、「公益のため には止むを得 ない (24.1%)」の順 に回答 が多かっ た。 そ して、 「誹誘 中傷 が増 えることを考 えると 望 ま しくない (1.8%)」 とい う内部告発 に対 す る 否定的な回答 は少 なかった。 このように、近年では、内部告発に対 して肯定 的な印象 も持たれつつ あるが、内部告発 に対す る 負の印象は、根強 く存在 しているといえよう。 そ の理由として、内部告発は、企業の存続 に大 きな 影響 を与 えることが挙 げ られ る。たとえば、吉森 賢[20071が、「内部告発 は通報者 に とって は もち ろん会社 にとって も深刻 な結果 をもた らす。通報 者 は良心 と企業への忠誠 との葛藤 に苦 しみ、企業 はその評判 を失墜 し、業績 は急速に悪化す る。最 悪の場合 は倒産 に至 る20」 と指摘 してい る。つ ま り、内部告発は、企業の不正行為 を明 るみにす る が、同時に企業の存続 を危 うくす ることもあると いえよう。上記の点か ら内部告発が、負の印象 を もたれ、内部告発者 に対す る不利益 な扱いがみ ら れ るので あろう。

4

コーポ レー ト・ガバナ ンス と内部告発

の関係

4.1 内部告発制度構築の必要性 内部告発が、密告や裏切 りなどの負の印象 を持 たれてい ることや、内部告発者が企業 などか ら不 利益 な扱いを受 けていることを背景 に、内部告発 者 を不利益 な扱いか ら保護 しよ うとす る制度 が構 築 されてい る。 アメ リカや イギ リスをは じめ とす る国々では、内部告発 を制度 として確立 しようと す る動 きがいち早 くみ られていた。 まず、 アメ リカで は、 ケ イ ・タム (QuiTam) 行為 といって、違法の通報者 に報奨金 を出す こと が行 われていた21。 くわ えて、内部告発者保護法 (Wh istleblowerProtectionAct1989)やサーベ ン ス ・オ クス レ一法 (Sarbanes-0Ⅹ1eyActof2002)

(8)

7

6

神奈川大学大学院経営学研究科 『研究年報』第

1

4

2

0

1

0

3

月 などの内部告発者保護 に関す る法律 が制定 されて い る。 また、 イギ リスで は

、1

9

8

0

年代 か ら

1

9

9

0

年代前半にかけて、多 くの企業不祥事が発生 した ことと、市民団体 による内部告発者保護 に関す る 活動が契機 とな り内部告発制度の構築が進め られ てい る22。 くわ えて

、1

9

9

7

年 に、民間部門 と公的 部門における内部告発者保護 を定めた 「公益開示 法 (PublicinterestDisclosureA

c

t1

9

9

8

)

」が制定 されてい る。 今 日、 日本で も、内部告発 を制度 として確立 し よ うとす る動 きがみ られて い る。 まず、 日本 で は、表3で まとめたよ うに、内部告発 によって多 くの企業不祥事が発覚 し、内部告発者が不利益 な 扱いを受けてい ることが明 らか とな り、内部告発 制度の構築が進め られて きた。 また

、2

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0

6

年 には、 日本の内部告発者保護法である公益通報者保護法 が施行 された。 しか し、 日本では内部告発制度が、 構築 されは じめたばか りであり、充実 した制度 と は言い難い状況 にある。

4.

2

内部告発制度の構築 に向 けた取 り組みの系 譜 とコーポ レー ト・ガバナンス 内部告発制度 の構築 に向 けた取 り組 み は、図 2の よ うに、萌芽期

(

1

9

8

8

年 か ら

1

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3

年)、活発 期

(

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4

年 か ら

1

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9

9

年)、発展期

(

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年か ら現 荏)、に分類す ることがで きる24。萌芽期の特徴 は、 内部告発者保護法の制定や内部告発 に関す る活動 を目的 とす る市民団体 が結成 され るなど、今 日に 至 る内部告発制度の構築に向けた取 り組みがは じ まった時期 で ある25。 主 な内容 と して、 (1) 内 部告発者保護法の制定、 (2) 内部告発 に関す る 活動 を目的 とす る市民団体の結成、が挙 げ られ る 260 (1) は、 アメ リカやオ ース トラ リアの州法 において内部告発者保護法が制定 された。 (2)は、 オース トラ リアのホイ ッスル ブロワー ・オース ト ラ リア(WBA)や イギ リスのパ ブ リック・コンサー ン ・ア ッ ト・ワーク (PCaW)が結成 された。 つ ぎに、活発期の特徴 は、 あまり目立 った動 き はみ られないが、多 くの機関が内部告発に関心 を 寄せは じめ、内部告発 に関す る取 り組みが活発に な りは じめた時期である。主な内容 として、 (1) 内部告発者保護法の制定、 (2) 内部告発 に関す る活動 を目的 とす る市民団体の活動、が挙げ られ る。 (1) は、オ ース トラ リアの州法 において内 部告発者保護法 が制定 された。 (2) は、PCaW における、内部告発者保護法の制定に向けた活動 や内部告発 に関す る啓蒙活動がな されていた27。 さらに、発展期の特徴 は、内部告発者保護法の 制定が多 くの国でみ られ、国際機関や国内機関に おいて も内部告発に関 して取 り組 まれ、内部告発 制度 の構築 が進 め られてい る。主 な内容 として、 (1)内部告発者保護法の制定、 (2)内部告発に 関す る活動 を目的 とす る市民 団体の結成 と活動、 (3) 国際機 関や国内機 関による内部告発 に関す る市民団体 による活動、 がある。 (1) は、 イギ リスやニュージーラン ド、南 アフリカやオース ト ラ リア、 アメ リカや 日本 などにおいて内部告発者 保護法 が制定 され た。 (

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は、南 アフ リカにお け るオ ープ ン ・デ モ ク ラシー ・ア ドバ イス ・セ ンター (ODAC)や 日本の公益通報支援センター (PISA)の結成、各市民団体による内部告発者保 護法の制定に向けた活動や内部告発に関す る啓蒙 活動がな されてい る。 (3) は、経済協力開発機 棉 (OrganisationforEconomicC'010perationand Development,OECD) において内部告発 に関す る会議が開かれたことや、各機 関が策定す る原則 において内部告発に関す る内容が盛 り込 まれてい る。

4.

3

内部告発制度の構築 とコーポ レー ト・ガバ ナンスの関係 内部告発制度の構築 に向けた展開は、おおむね 図3に示 した よ うに、 (1)政府 による内部告発 者保護法 の制定、 (2) 国際機 関や国内機 関によ る企業への要請、 (3)企業 による内部通報制度 の構築、が挙 げ られ る。 まず、 (1) は、オース トラリアや 日本、ニュージーラン ドや南 アフ リカ、 イギ リスやアメ リカなどの国々で内部告発者保護 法が制定 され、企業の自浄作用 を促進 しようとし てい る。 また、 (2) は、 内部告発 に関す る会議

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コーポレー ト・ガバナンスと内部告発制度 77 図2 内部告発制度 の構築 に向 けた活動の系譜 特穂 内部 告発者を保護することを目的とする法律 の制 定や 内部 告発 に関する活 動を目的とす る市 民団体 が組織 さ れ るなど、今 日に至る内部 告発制 度の構 築 に向 けた取 り組 みが はじまった時期である。 内容 (1)内部告発者保護法の制 定 内部告発者 保護法(栄) 公益開示 法 、開示保護 法 、内部 告発者 保護法 〔表(州法)〕 (2)内部 告発 に関する活動を目的とする市 民団体 の錯 成 ホイッスルブロワ- ・オ-ストラリア (WBA〔秦〕) パブリック・=ンサ->・アット ワーク(pcaw〔英〕) 特徴 あまりE]立 った動きはみ られ ないが .多くの頼 関が 内 部 告発 に関心を寄せ はじめ、内部 告発 制度 の構 築 に向 けた取り糸且みが活発 になりはじめた時期である。 内容 (1)内部 告発 者保護法 の制 定 開示保護法 〔秦(州法)〕 (2)内部告発 に関する活動を目的とする市 民 団体の活動 pcaw(美)による,公益開示法制定-の活動 内部告発に関する啓蒙活動など 特徴 内部告発者保護 法の制 定が 多くの国で見 られるように なり、国際 機関 や 国 内機 関 においても内部告 発 に関 す る取 り組まれ、内部告発制度の構築 が進められている。 内容 (1)内部 告発者保護 法の制定 公益開示法 (美) 公益開示法(節) 開示保喜‡法(南ア) 公益開示法 、内部告発者保護法〔套(州法)〕 会社 法(秦) サーベンス・オウスリー法(栄) 公益通幸辰看保護法(日) (2)内部 告発 に関する活動を目的とする市 民団体の 結 成と活 動 結 成 オープン・デモクラシー ・ アドバイス ・センター (ODAC〔南ア〕) 公益通報 支援センター (PlSA〔日〕) 活動 内部告発者保護 法の制 定に向けた活動 内部告発 に関するレクチャーなど (3)国際械 関と国 内機 関 による内部告発 に関する活動 主な国際株関 バーゼル銀行監督委員会 (BCSC) 経済産 業諮 問委 員会 (BIAC) グローバ ル ・コーポレート ガバナンス・フォーラム (GCGF) 経 済協 力開発機構 (OECD) 労働組 合諮問委 員会 (TUAC) 主な国 内税 闇 日本経 団連 (経 団連〔日〕) 日本労働組合連合会 (連 合〔日〕) 財務報 告審議会 (FRC〔英〕) ビジネスラウンドテーブル (BRT〔米〕) (注)オース トラリアの州法はつ ぎのようになる。 オース トラリア首都特別地域 (ACn 公益開示法 (1994年)、ニュー ・サ ウス ・ウェールズ州 開示保護 法 (1994年)、 クイーンズラン ド州 内部告発者保護法 (1994年)、サウスオース トラリア州 内部告発者 保護法(1993年)、タスマニア州 公益開示法 (2002年)、ヴィク トリア州 内部告発者保護法 (2001年)、ウェ スタンオース トラリア州 公益開示法 (2003年) (出所)筆者作成。 が開 かれ た ほ か、 各機 関 が策 定 した コ-ボ レー 従業員 な どか らの通報や相談 を受 け付 け る制度 を ト・ガバ ナ ンス原則 (原則) に内部告 発制度 の構 構築 し、不正行為 の芽 を事前 に摘 み、企業不祥事 築 に関す る内容 を明記 してい る。 そ して、(3) は、 の発生 に対処 しよ うと して い る。

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78 神奈川大学大学院経営学研究科 『研究年報』 第14号 2010年3月 図3 内部告発制度の構築に関する展開 内容 (出所)著者作成。 さらに、企業 が、内部告発制度 を構築 してい く ために、企業不祥事への対処 を目的の1つ として いるコーポ レー ト・ガバ ナ ンスとともに検討 して い く必要があろう。 まず、内部告発制度の構築に 関 して コーポ レー ト・ガバ ナ ンス とともに検討す ることは、 (1) 内部告発 が、企業不祥事発覚の 端緒であることや (2)原則のなかで、内部告発 制度の構築 に関す る内容が明記 されてい ることか らもいえよう。原則 は、企業がその利害関係者間 の利害調整 を行いなが ら、健全で効率的な企業経 営 を行 える企業構造の一形態 を示 した ものである 27。原則 の 目的は、最終 的に企業 に対 して コーポ レー ト・ガバナ ンス構築 を目指す ものでな くては な らない 28。 しか し、内部告発 によって企業不祥 事 が発覚 してい るとい う事象 は、 コーポ レー ト・ ガバナ ンスにおける企業不祥事への対処策 を考 え ると矛盾 が生 じているとの指摘がある。 コーポ レー ト・ガバナ ンスにおける企業不祥事 への対処策 は、小島大徳 【2007】において 「コーポ オーストラリアや 日本、ニュージーラン ドや南アフリカ、イギリスやアメリカなど の国々で内部告発者保護法が制定 され、企業の 自浄能力を促進しようと している。 内容 国際機関や国内機関において、内部 告発 に関する会議が行われているほ か、各機 関が策定するコーポレート・ ガバナンス原則に内部告発制度の構 築に関する内容を明記しているO 内容 従業員などからの通報や相談を受け 付ける制度を構築し、不正行為の芽 を事前に摘み、企業不祥事の発生に 対処しようとしている。 レー ト・ガバ ナ ンスにおける企業不祥事への対処 策では、主 として企業内部 (経営者)T=よるセル フ ・ガバ ナ ンスにより事前 に不祥事の種 を摘みつ つ、企業外部者 によるチ ェックにより常 に緊張感 を もった企業経営 を行 な うことを要求 してい る 29」 と述べ られている。つ まり、内部告発は、コー ポ レー ト・ガバ ナ ンスにおける企業不祥事の対処 策 として想定 されている機能ではない と考 えられ る。そこで、企業が、内部告発制度 を構築す るた めには、図

4

のように、企業経営において、内部 告発 をコーポ レー ト・ガバナ ンスの制度 として組 み込んで考 えてい くことが求め られよう。

5

おわりに

本稿では、 コーポ レー ト・ガバナ ンスと内部告 発に関す る研究 における意義 を明 らかにす るため に、 (1) コーポ レー ト・ガバ ナ ンスに関す る議 論の背景や先行研究 をもとに、 コーポレー ト・ガ

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コーポレー ト・ガバナンスと内部告発制度 79 図4 コーポ レー ト・ガバナ ンス と内部告発 制度として 組み込む 内部 告 発 コーポレー ト ガバナンスの企業 不祥事への対処策と内部告発 近年、多くの企業不祥事が内部告発 によって発覚しているが、内部告発 は、コーポレートガバナンスにおける 企業不祥事の対処策として想定され ていない。 (出所)著者作成O バ ナ ンスの 目的や定義、体系 を明 らかにす ること、 (2) 内部 告 発 の定義 や 内部告 発 の問題 点、 (3) 今 日に至 るまでの内部告発 に関す る動向や コーポ レー ト ・ガバ ナ ンス と内部告発の関係 、 を検 討 し て きた。 コー ポ レー ト ・ガバ ナ ンス は、1990年代 初 頭 か ら、市場経済先進諸国で議論 され は じめ、企業 不祥事 の発生 や収益 力の低 下 を背景 に議論 されて きたO また、 コーポ レー ト ・ガバ ナ ンスは、企業 不祥事へ の対処 と企業競争 力の強化 を 目的 として お り、 おおむね、企業競争 力の強化 と企業不祥事 への対処 を 目的 と し、情報 開示 と透 明性 を確保 し なが ら企業経営 システムを構築す ることで あると 定義づ け られ よ う。 そ して、 コーポ レー ト・ガバ ナ ンスの体系 は、企業経営機構改革 を狭義の コー ポ レー ト ・ガバ ナ ンス と し、利害 関係者 の利害調 整 を行 い情報 開示 と透 明性 の確保 を広義 の コーポ レー ト ・ガバ ナ ンス と して いた。 内部告 発 は、企業不祥事発覚 の端緒 となってい ることな どか ら、法律違反 や生命 ・財産 に関わ る 企業 内の不正行為 を、企業外部へ通報す ることと 定義づ け られ よ う。 内部告発 には、「裏切 り」や 「密 告」 な どの負 の印象 を持 たれ ること、 内部告 発者 コーポ レー ト ガバナンス コーポレートガバナンスの 企業不祥事への対処策 主として企業内部(経営者)のセルフ・ ガバナンスにより事前に不祥事の種を 摘みつつ、企業外部者によるチェック で常に緊張感を持った企業経営を行う ことを要求している。 が不 当な解雇 や異動、降格 や減給 な どの不利益 な 扱 い を受 けてい ること、の大 き く2つ の問題点 が 存在 していた。 くわ えて、 アメ リカや イギ リス を は じめ とす る国々で は、 内部告 発 を制度 と して確 立 しよ うとす る動 きがみ られて いた。一方 、 日本 で は、2006年 に内部 告 発者 保 護 法 で あ る公 益 通 報者保護法 が制定 され るな ど、制度 が構築 され は じめたばか りで ある。 その ため、 日本 で は、充実 した制度 で あるとは言 い難 い状況 にある。 さらに、 内部告 発 は、企業不祥 事へ の対処 を 目 的の1つ と してい るコーポ レー ト ・ガバ ナ ンスに おいて企業不祥事 の対処策 と して想 定 されてい な い こ とが指摘 され て い る。 これ は、 内部告 発 が、 会社制度 の なかで確立 されてい ない とい うことで あろ う。 そ こで、企業 が、 内部告発制度 を構築 し てい くために、 内部告発 をコーポ レー ト ・ガバ ナ ンスの なかに組 み込 んで検討 してい くことが求 め られ よ うO以上 の ことか ら、 コーポ レー ト ・ガバ ナ ンス と内部告発 を研究 す る意義 は、企業 が、健 全 な経営 を行 うために、如何 に して内部告 発 を制 度 と して構築 し、実践 して い くべ きで あるのか を 検討す ることで あるとい えよ う。

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80 神奈川大学大学院経営学研究科 r研究年報』第14号 2010年3月 注 1 小島大徳 【2007】172頁. 2 小島大徳 【2007】172頁. 3 平田光弘 [2008138頁. 4 この ことは、平田光弘[2008】において詳 しく 述べ られてい る。 5 また、平田光弘先生 は、 コーポ レー ト・ガバ ナ ンス問題 がいつ ごろか ら問われ るよ うに なって きたのかにつ いて、 「大企業 が産業 の 中枢 を担い、所有 と経営の分離が一層露わに なった1910年代 が問題 の始 ま りだった と見 ている (平田光弘【2008】38頁)」 としている。 6 平 田光弘先生 によると、「企業統治 (コーポ レー ト・ガバ ナ ンスー筆者) は、企業不祥事 が頻発す る中で、 これ を抑止 し得 る切 り札 と して、 また、企業競争力が低下す る中で、 こ れを強化 し得 る切 り札 として、非常な期待感 をもって迎 えられ、 ブームを呼び起 こしたの である。 それはやがて、実践の側 に、企業統 治 を改革すれば、企業不祥事 はな くなるとか、 企業競争力が強 まるとい うように思い込んで、 企業統治 に安易 に頼 ろうとす る風潮 を生み出 した (平 田光 弘【2008】40頁)」 と、指摘 して いる。つ まり、企業不祥事が起 きた り企業競 争力が低下す るとす ぐにコーポ レー ト・ガバ ナ ンスが問題 として挙 げ られ、コーポレー ト ガバナ ンスを改革すれば全て解決す るとい う 風潮が少 なか らず存在 していると考 えられよ う。 くわえて、平田光弘先生 は、 コーポレー ト・ガバ ナ ンスに過度 な期待 を寄せ ることは つつ しまなければな らない と指摘 している。 7 小島大徳 【2004】25毘 8 平田光弘【2008]40-41頁. 9 詳 しくは、平 田光弘【2001】や小島大徳[2007] を参照の こと。 また、 コーポ レー ト・ガバ ナ ンスの学説 は論者 によって さま ざまで あ り、 定 まった定義 は存在 していない。 た とえば、 小 島大徳[20071において、 「ところで、一言 にコーポ レー ト・ガバ ナ ンスをめ ぐる議論 と いって も、論者によって さまざまであり、非 常に多岐にわたる。た とえば、コーポレ- 卜・ ガバ ナ ンスの定義 を1つ とってみて も、経営 効率化 を主 目的 とす るものか ら、企業不祥事 の防止 を主 目的 とす るものまで、 さまざまに 語 られ る. また、 コーポ レー ト・ガバナ ンス をめ ぐる議論 ともなると、 そ もそ も、 『会社 とはなにか』 といった企業本質論か ら入 るも の もあれば、 『会社 は誰の ものか』、 『会社 は 誰のために運営 され るべ きか』 といった会社 所有者 をめ ぐる問題や企業の存在意義 を問 う 問題 を中心に取 り上げるもの までがある (小 島大徳【2007】155頁)」 と論 じられている。 こ のように、 コーポ レー ト・ガバナ ンスを巡 る 議論 は活発化 したが、同時に、コーポ レー ト・ ガバ ナ ンスを巡 る議論 は混迷 したと考 えられ よう。 10 小島大徳 【2007】第11章. 11 小島大徳 [20071172頁. 12 小島大徳 【2007】172頁. 13 た とえば、内部告発者が不利益 な扱いを受 け たこととして、(1) トナ ミ運輸の闇カルテル、 (2)エ ンロンにおける粉飾決算、 (3)東京 電力 における原発のひび割れ隠 し、 (4)宮 崎信用金庫 におけ る不正融資事件、 (5)医 療法人 思誠会 における薬剤の過剰投与、な どを例 に挙 げて検討 したい。 (1) は、闇カ ルテル を内部告発 したことにより、長年 にわ たって昇給 ・昇格 がなかったことや、退職 を 強要 させ られていた。 また、異動によ り、草 刈 りや布団上 げなどの雑務に従事 させ られて いた。 (2) は、不正会計 を経営者 らに指摘 したことにより、解雇 が検討 されていた。(3) は、検査 を委託 されてい た

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の従業 員 とし て、 問題 に対 す る懸念 を訴 えて いた こ とに よって解雇 された とみ られ る。 (4) は、 コ ンピュータの不正 アクセスや金庫文書の無断 コピーや持 ち出 しを した と して解雇 された。 (5) は、カルテのメモや検査報告書のコピー と持ち出 しを行 ったとして解雇 された。 この

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コ-ポレー ト・ガバナンスと内部告発制度

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1

ような事例以外 に も、不当な解雇 や異動、降 格や減給 などの不利益 な扱いが明 らかに され ている。

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に挙 げた企業不祥事の他 に も、船場吉兆 や ミー トホープなどの事件 が内部告発によっ て明 らかになった。 しか し、 これ らの企業 は、 所有 と経営 が未分離状態 にある企業 である。 本論文では、所有 と経営が分離 している大規 模株式会社 を研究対象 としてい るため、検討 しなかった。、

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吉森賢

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た とえば、三菱 自動車の リコール隠 し事件や

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銀行の金融庁 による検査の妨害 などが挙 げ られ る。 また、不当な異動や減給、解雇 な どの他 に、同僚 か らの差別 なども明 らかに さ れている。

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小島大徳

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また、内部告発に関す る学説 を検討 してみ る と

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】は、 「内部告 発 は意 図的で非義務的な開示行為で、公的に記録 さ れ る行為で あり、組織 のデータや情報にアク セスす る特権 を持つ または持 って いた人 に よって、不正行為が行われているか、疑わ し いか、予期 され るのかを問わず、組織 に関係 し、統制下 にある重大 な違法行為やその他の 不正行為 について、それ らの不正行為 を正す 可能性 を持 っている外部機 関に対 してな され る行為で ある」 としてい る。 また、宮本一子

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】は、「内部告発は、わか りやす く言 えば、 組織 内で行われている公益 に害のある行為 を、 従業員が公に通報す ること」 としている。 さ らに、吉森 賢

[

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】は、 「内部告発 とは違法 行為の事実 を知 った社員 (従業員一筆者)が、 これ を会社外部の行政 ・規制機 関、報道機 関 などに、多 くの場合匿名によりな され る通報 で ある」 としている。

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また、 日本において、 そのように印象を持た れ る要因には、雇用慣行の変化 なども指摘 さ れている。 また、この ことは、近藤克彦

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や宮坂純一

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などが指摘 してい る.

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吉森賢

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宮本一子

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イギ リスで は

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年代後半 か ら

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年代 前半 にかけて、多 くの企業不祥事が発生 した。 たとえば

、1

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年 に起 きた

P&

0社のフェ リー 転覆事故

、1

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年 の ク ラフ ァム手 同列 車正 面衝突事故やハ イパ ーアル ファ社のオイル工 場爆発事故

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年 に起 きた ロン ドンシテ ィ 列車 の二重衝突事故 や

BCCI

銀行事件、 な ど が挙 げ られ る。

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内部告発に関す る取 り組みは、 アメ リカでは、 古 くか らケイ ・タム

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行為 と呼ば れ るような、違法行為 を通報 した者 に対 して 報奨金 を提供す るとい うことが行 なわれてい た。 しか し

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年代 後半 か ら、大型企 業 不祥事が、内部か ら危険 を訴 えられていたに もかかわ らず発生 したことや、内部告発 を主 目的 とす る法律 が制定 され は じめた点 か ら、 今 日行われてい る内部告発に関す る取 り組み の萌芽期であると位置づ け られ よう。

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それ まで も、内部告発者の保護 に関す る規定 は存在 したが、対 象 とな る範 囲 は限定 的で あった。 また、市民 に よ る活 動 も

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年代 頃か らみ られたが、今 日展 開 されてい るよう な活動にまでは至 らなかった。 そこで、内部 告発者の保護 を目的 とす る法律や内部告発に 関す る活動 を目的 とす る市民団体の結成 など がみ られ は じめた

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年 頃 を契機 と して今 日に至 ると考 える。

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この頃、 イギ リスで起 きた企業不祥事 には、

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年 に起 きた

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0の フ ェ リー転 覆 事 故、

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年 の ク ラフ ァム手 同列 車正面衝 突事故 やハ イパ ーアル ファ社のオイル工場爆発事故、

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年 に起 きた ロ ン ドンシテ ィ列 車 の二重 衝突事故や

BCCI

銀行事件、などが挙 げ られ る。

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イギ リスの公益開示法 は、世界で初 めて包括 的な内部告発者保護法 として制定 された。 日 本や南 アフ リカなどは、 自国の内部告発者保 護法 を制定す る際に、 この法律 を参考 に して い る。 また、公益開示法の制定 に至 るまでに

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82 神奈川大学大学院経営学研究科 『研究年報』 第14号 2010年3月 おいて、市民団体の活動が大 きな影響 を与 え ていた。 27 小島大徳【2004】9頁. 28 小島大徳【2004]9頁. 29 小島大徳【2007】172頁.

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参照

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