―ノート―
繊維型大麻草およびその濃縮物中のカンナビノイド含有量の調査
杉江謙一
1,阿久津守
2 1厚生労働省関東信越厚生局麻薬取締部 鑑定課 〒1028309 東京都千代田区九段南 121 九段第三合同庁舎17階 2厚生労働省九州厚生局沖縄麻薬取締支所 〒9000022 沖縄県那覇市樋川 11515 那覇第一地方合同庁舎Concentrations of cannabinoids in Fiber type
Cannabis sativa
L. and in
butane hash oil produced from the plant
Ken-ichi Sugie
1and Mamoru Akutsu
21
Narcotics Control Department, Kanto-Shin'etsu Regional Bureau of Health
and Welfare, Ministry of Health, Labour and Welfare, 1
21
Kudan-Minami, Chiyoda-ku, Tokyo 102
8309, Japan
2
Okinawa Narcotics Control O‹ce, Kyushu Regional Bureau of Health and
Welfare, Ministry of Health, Labour and Welfare, 115
15 Higawa,
Naha-shi, Okinawa 9000022, Japan
(Received 17 April 2019; accepted 11 July 2019;
Published online 23 August 2019 in J
STAGE
DOI: 10.3408/jafst.763)
The cultivar cannabis (Cannabis sativa L.) `Tochigi-shiro' has been developed
by the Tochigi Prefectural Institute of Public Health and Environmental Science
and Tochigi Prefectural Agricultural Experiment Station. It is considered nontoxic
and a ˆber-type cannabis because of its low concentration of the hallucinogen D
9
tetrahydrocannabinol (THC). Recently, concentrated forms of cannabis, such as
butane hash oil (BHO), have spread globally, and seizures of BHO have increased
in Japan. We expect that the use of BHO prepared from Tochigi-shiro may be
detrimental to health. However, the concentrations of cannabinoids in Tochigi-shiro
have not previously been reported. In this study, the concentrations of THC,
can-nabidiol (CBD), cannabinol, and tetrahydrocannabivarin in Tochigi-shiro
cultivat-ed in Tochigi Prefecture were measurcultivat-ed. Further, BHO was produccultivat-ed from the
leaves of Tochigi-shiro using commercially available extraction devices to determine
the extraction e‹ciency of THC and CBD. THC was detected in Tochigi-shiro, and
concentrations of each cannabinoid diŠered between plants grown at three sites in
Tochigi Prefecture. However, the concentration ratio of CBD to THC was almost
the same in plants from all three sites. In BHO, the concentrations of THC and CBD
were 6.59 w/w and 35.0 w/w, respectively. This indicates that the
concentra-tions of THC and CBD were approximately 55and 35fold greater, respectively, in
BHO than in the leaves of plants before butane gas extraction. We conˆrmed that
the concentration of THC in plants was low, whereas the concentration in BHO was
high. In the BHO manufactured from Tochigi-shiro, the CBD concentration was
ˆve times higher than that of THC. Moreover, CBD can antagonize the
psychotomi-metic symptoms caused by THC. Therefore, even if BHO produced from this plant
was used, the eŠect of THC would hardly be obtained. Currently, interest in
canna-bis is increasing worldwide. The traditional industry producing cannacanna-bis as a source
of ˆber may be aŠected by the theft of Tochigi-shiro. The results of the present
study are relevant to prefectural and city governments and cultivators, and suggest
the need for additional protection of cultivated ˆelds against theft.
Key words: Tochigi-shiro, Butane Hash Oil, Cannabinoid
諸
言
大麻(アサ,Cannabis sativa L.)はアサ科に属 する一属一種の植物であり,最も古い繊維作物の一 つである.大麻の利用は,1940年代,主に綱の原料 としてその栽培が奨励され,日本各地で栽培,収穫 されていたが,その後合成化学繊維に取って代わら れ,その収穫量は激減した.現在大麻は,綱の原料 ではなく,神事,仏事の諸調度品として用いられ, そ の 収穫 の90 以上 は栃 木 県内 で栽 培 され てい る1).1960年代,幻覚成分である D9 tetrahydrocan-nabinol(THC)を含有する麻の盗難が相次いだこ とから,栃木県衛生研究所(現栃木県保健環境セン ター)と栃木県農業試験場は,THC の含有が少な い無毒大麻と言われている品種「とちぎしろ」を開 発した25).現在もその無毒性を維持するため,栃 木県により種子の管理が徹底して行われており,大 麻関係法令により収穫した大麻草については,厳し く盗難対策が講じられているところである. 近年の大麻乱用状況については,世界的にBu-tane Hash Oil(BHO)などの高濃度の THC を含
有する大麻濃縮物が乱用されており68),日本国内 においても押収事例が増加し社会問題になってい る.さらに,BHO はインターネット上で詳細な製 造方法が掲示されており,製造の際に必要となるブ タンガスや製造器具も購入でき,大麻を入手できれ ば容易に大麻濃縮物を製造できる状況にある.大麻 には大きく二つの生理種が存在し,THC のカルボ ン 酸 体 で あ る D9 tetrahydrocannabinolic acid (THCA)を含有する薬物型大麻草と Cannabidiol (CBD)のカルボン酸体である Cannabidiolic acid (CBDA)を含有する繊維型大麻草がある9).日本 国内で栽培されている大麻のほとんどは繊維質に富 む上述のとちぎしろであり,繊維型大麻草に該当す る.これまで押収されている BHO などの大麻濃縮 物は THC 含有率が高く,薬物型大麻草から製造さ れたものと思料されるものがほとんどである.他 方,今後,THC 含有量が低く,低毒性であると言 われているとちぎしろなどの繊維型大麻草から大麻 濃縮物が製造され,幻覚成分である THC が高濃度 になる可能性がある.そのため,繊維型大麻草から BHOなどの大麻濃縮物が製造された場合,THC などのカンナビノイドの濃縮効果などを検証するこ とは健康被害を予測する上で有用であると考えられ る.また,上記の懸念から,今後,適正なとちぎし ろの栽培を行っていく上で,とちぎしろ中のカンナ ビノイド含有量について把握する必要があると考え られるが,これまでとちぎしろ中の THC などカン ナビノイド含有量について具体的なデータは報告さ れていない. そこで,本研究では栃木県内で栽培されている繊 維用および種用とちぎしろに含有されるカンナビノ イドの定量分析を実施した.さらに,繊維型大麻草 から大麻濃縮物を製造することによる THC および CBDの濃縮効果を検証するため,市販されている BHO 製造器具を用いて,とちぎしろの葉および表 皮から BHO を調製し,THC および CBD 含有量に ついて検証した.
Fig. 1 `Tochigi-shiro' cannabis plants used in this study. A: Tochigi-shiro cultivated for ˆber; B: Tochigi-shiro cultivated for seed.
材料および方法
試薬および試料 THCは国立医薬品食品衛生研究所から提供され たものを使用した.CBD, Cannabinol(CBN)お よび Tetrahydrocannabivarin(THCV)は Cayman chemical社から購入した.Tribenzylamine(TBA) はシグマアルドリッチ社から購入した.その他の試 薬は特級品を関東化学株から購入した.ブタンガス ボンベはヨシナガ株から購入した.ホップはイン ターネットを介して購入した.とちぎしろは繊維採 取用として栽培されたものと種収穫用として栽培さ れたものを栃木県保健環境センターから譲渡を受け た.提供された繊維用とちぎしろおよび種用とちぎ しろを Fig. 1 に示す.繊維用は栃木県内 3 つの地 域(地域 1,地域 2,地域 3)の圃場で栽培され, 平成30年 7 月に収去された検体を用いた.各地域に つき 3 検体ずつ計 9 検体の提供を受けた.種用につ いて,雄株は同年 9 月,雌株は同年10月に地域 1 の 圃場から収去されたもので,両株とも 3 検体ずつの 計 6 検体の提供を受けた. 装置および器具 粉砕機 ハイスピードミル(回転数25000~ 30000 rpm)ラボネクト株,超音波洗浄機VS F100アズワン株 試料調製 3.1 試料採取 種用については葉,花穂,表皮の各部位を試料と して用いた.繊維用については収去時に開花してい なかったため葉のみを用いた.葉および花穂につい ては,各圃場から収去後,直ちに茎から分離し,約 30日間乾燥させた.茎についても同様に約30日間乾 燥させた.表皮は茎の表層部を用いることとし,茎 乾燥後,ピーラーを用いてその表層部を約0.2 mm の厚さで削ぎ取ることで採取した. 3.2 ブタンガス抽出による BHO の調製 店舗で購入した BHO 製造器具を Fig. 2 に示す. 同製 造器 具 はプ ラ スチ ック 製 の円 筒形 状 であ り (Fig. 2A),片側に抽出物排出口(Fig. 2B),反 対側にブタンガス注入口(Fig. 2C)がある.また, 抽出物排出口の内側には抽出物をろ過するためフィ ルターが取り付けられる構造になっている(Fig. 2 D).BHO の調製には種用とちぎしろの葉または 表皮を用いた.BHO 調製の際には多量の試料が必 要となることから,葉および表皮をハイスピードミ ルで 1 分間かけて粉砕した.その後,粉砕した試料 約34 g を BHO 製造器具に充填した.製造器具のガ ス注入口からブタンガスを注入することで黒茶色の 抽出物を得た.抽出物に含有されるブタンガスを除 去するため抽出物は一晩放置し,その後,抽出物の 定量分析を実施した. 3.3 試料前処理 本研究における定量分析は,国連薬物犯罪事務所 の分析マニュアルに従い,同様の溶媒を用い,試料 と溶媒を同様の量比として抽出操作を以下のとおり 実施した10).とちぎしろの各部位はそれぞれ80 mg を試料として用いた.BHO は 3 株のとちぎしろの 葉(Leaf1,Leaf2 および Leaf3)および茎の表Fig. 2 Device for extracting BHO (A). B: Side for the elution of the extract. C: Side for the injec-tion of butane gas. D: Filter for the ˆltrainjec-tion of extract. 皮を原料として「3.2 ブタンガス抽出による BHO の調製」により調製した.調製された BHO の量は 各原料により異なったことから,各 BHO 試料量は Leaf1 からの調製品は80 mg,Leaf2 からの調製 品は50 mg,Leaf3 の調製品は20 mg,表皮からの 調 製 品 は 3 mg 用 い た . 上 記 試 料 に エ タ ノ ー ル 8 mLを加え,内部標準液として0.5 mg/mL TBA エ タノール溶液0.1 mL を添加し,攪拌した後,超音 波抽出(100 kHz,15分間)を行った.抽出液をシ リンジフィルター(口径0.45 mm 材質PTFE) を用いてろ過し,ろ液 1 mL を1.5 mL のガラスバ イアルに入れ,150°Cのドライブロックバスで12分 間加熱し脱炭酸を行った.ガラスバイアルに残った 残渣を 1 mL のエタノールで溶解し,さらにエタ ノールで100倍希釈 した ものを試料液とし,Gas chromatography/Mass spectrometry(GC/MS)で 測定した.また,一部のとちぎしろ葉および花穂中 THC,CBD の測定についてさらにエタノールで20 倍希釈,BHO 中 THC,CBD の測定についてエタ ノールで800倍希釈したものを試料液とした. 分析条件 GC/MS 分析条件 GC/MS においては,高感度かつ選択性の高い selected ion monitoring(SIM)モードを選択し, 次の条件で測定した. 装置Agilent 社製7890B GC/5975 MSD 分析カラムAgilent 社製 DB5MS(30 m×0.25 mm i.d,膜厚0.25 mm) 注入口温度250°C カラム温度60°C(1 min 保持)-10°C/min 昇 温-300°C(5 min 保持) トランスファーライン280°C 注入量1 mL 注入法スプリットレス キャリアーガスヘリウム(1.2 mL/min) イオン化法電子衝撃イオン化法(EI) イオン化電圧70 eV イオン源温度280°C 四重極温度150°C 測定方法SIM THC測定用イオン m/z 299,確認用イオ ン m/z 231 CBD測定用イオン m/z 231,確認用イオン m/z 174 CBN測定用イオンm/z 310,確認用イオン m/z 295 THCV測定用イオンm/z 203,確認用イオ ン m/z 271 検量線の作成 ブランク試料には Stolker らの報告を参考に大麻 と生物学的に種が近いホップを使用した11).エタ ノ ー ル で 濃 度 調 製 し た THC, CBN, CBD, THCV の検量線用標準液を調製し,粉砕したホップ80 mg に同標準液 8 mL を加え攪拌した.その後,「3.3 試料前処理」と同様の操作を実施した後,GC/MS を実施した.検量線は各カンナビノイドのピーク面 積と内部標準物質とのピーク面積比を算出して作成
Fig. 3 Calibration curves of THC, CBD, CBN, and THCV measured by GC/MS. した.また,検出限界は S/N>3,定量下限は S/N >10とした. バリデーション(測定値の安定性) 低濃度0.5 mg/mL,中濃度4.5 mg/mL,高濃度9 mg/mL にエタノールで濃度調製された各カンナビ ノイドの溶液を調製し,「5 検量線の作成」と同様 の試験を 1 日 3 回,5 日間実施した.真度は各濃度 における測定値との誤差,精度は併行精度および室 内精 度 を一 元配 置 分散 分析 に より 相対 標 準偏 差 (RSD)を算出することにより評価した.
結果および考察
バリデーション 1.1 検出限界,定量下限および検量線 各カンナビノイドの検量線用標準液を用いて「5 検量線の作成」のとおり試験を行い,検出限界,定 量下限を算出した.THC, CBN, THCV の検出限界 は0.1 mg/mL,定量下限は0.25 mg/mL であった. CBD の検出限界は0.025mg/mL,定量下限は0.05 mg/mL であった.THC, CBN, THCV の検量線を 0.25~10mg/mL,CBD の検量線を0.05~10 mg/mL の範囲で作成したところ,各化合物における検量線 の相関係数は THC が0.998,CBD が0.999,CBN が0.999,THCV が0.995であった(Fig. 3). 1.2 真度および精度(測定値の安定性) 再現性試験の結果,各カンナビノイドの真度は± 4未満,精度は±5未満と良好な結果が得られ た. とちぎしろ中カンナビノイド含有量の定量分析 2.1 繊維用とちぎしろの定量分析 繊維用とちぎしろは栃木県内 3 ヵ所の地域の圃場 から収去された検体を用いた.各地域圃場から収去 された繊維用とちぎしろの葉を試料とし GC/MS で測定した.カンナビノイド含有率はとちぎしろ中 の重量パーセント(w/w)として算出した.その結 果を Table 1 に示す.各地域圃場から収去されたと ちぎしろ中カンナビノイド含有率は CBD が最も高 く,THC, CBN, THCV の順に低くなった.地域 1 と 2 のとちぎしろ中カンナビノイド含有率に殆ど差 はなかったが,地域 3 のカンナビノイド含有率は他 の地域より低くなった.また,CBD と D9THC 濃 度の比率(CBD/THC)を計算すると地域 1 で14.1,Table 1 Concentrations of cannabinoids in leaf of Tochigi-shiro cultivated for ˆber, grown at three diŠerent sites in Tochigi Prefecture.
Compounds
Concentration of cannabinoids() (n=3)
Site 1 Site 2 Site 3
THC 0.13 0.15 0.07
CBD 1.81 2.19 0.98
CBN 0.05 0.06 0.04
THCV 0.01 0.01 0.01
Table 2 Concentrations of cannabinoids in leaf and ‰ower of Tochigi-shiro cultivated for seed, grown at Site 1 in Tochigi Prefecture.
Compounds Concentration of cannabinoids in male Tochigi-shiro (n=3) Concentration of cannabinoids in female Tochigi-shiro(n=3)
leaf ‰ower leaf ‰ower
THC 0.06 0.13 0.07 0.24
CBD 0.87 2.00 1.00 3.66
CBN 0.04 0.06 0.04 0.09
THCV N.D. 0.01 0.004 0.02
Table 3 Concentrations of cannabinoids in Tochigi-shiro leaf before extraction and in BHO.
Sample Concentration of cannabinoids in Tochigi-shiro leaf (), (n=3) Concentration of cannabinoids in BHO(), (n=3) THC CBD THC CBD Leaf-1 0.13 1.09 4.19 23.1 Leaf-2 0.12 0.99 6.59 35.0 Leaf-3 0.30 2.20 4.32 24.3 Epidermis N.D. 0.0018 N.D. 0.0066 N.D.: not detected 地域 2 で15.0,地域 3 で14.5であった. 以上のことから,とちぎしろ中には CBD が最も 多く含有されており,微量ながら THC も含有され ていることが確認された.また,栽培地域によりカ ン ナ ビノ イド 含 有率 に差 が でる 可能 性 があ るが CBDと THC の濃度比はほぼ一定となることが示 唆された. 2.2 種用とちぎしろの定量分析 種用とちぎしろは地域 1 から収去した雄株および 雌株を使用した.それぞれの葉と花穂を採取し,含 有される THC, CBD, CBN および THCV について GC/MS で測定した.得られた各部位のカンナビノ イド含有率を Table 2 に示す.雄株および雌株の葉 では各カンナビノイドの含有率に殆ど差はなかった が,花穂部分では雌株の方がカンナビノイドの含有 量はおよそ 2 倍高くなった.また,種用とちぎしろ でも繊維用と同様に CBD の濃度が最も高くなり, THC, CBN, THCV の順で濃度が低くなった.ま た,雌株の花穂中においても THC 含有率は葉中と 同様に CBD より低くなった.次に,同じ地域 1 の 圃場で収去された繊維用とちぎしろの葉中カンナビ ノイド含有率(Table 1,site 1)と種用とちぎしろ の葉中カンナビノイド含有率(Table 2)について 比較すると,THC,CBD の含有率は繊維用とちぎ しろの方が種用とちぎしろより高くなる傾向がみら れた. BHO中カンナビノイドの定量分析 種用とちぎしろの葉 3 検体および表皮 1 検体から ブタンガスを用いて BHO を調製し,その濃縮効果 について検証した.調製した BHO,濃縮前の葉お よび表皮に含有される CBD および THC について GC/MS で測定した.その結果を Table 3 に示す. 種用とちぎしろの葉から調製した BHO 中 THC と CBD含有率は Leaf2 から調製した BHO で最高値 となり,それぞれ含有率は6.59,35.0であり, その濃縮率は THC で約55倍,CBD で約35倍であ った.また,表皮から THC は検出されず,0.0018 の CBD が微量検出された.表皮から調製した BHOに つ い て も CBD の み 検 出 さ れ , 含 有 率 は 0.0066と若干上昇しただけであった. 以上のことから,とちぎしろの葉を用いることで THC および CBD を効率よく濃縮し,BHO などの 大麻濃縮物を製造することが可能であることが示唆 された.しかしながら,今回,調製した BHO 中の CBD 含有率は THC よりも 5 倍以上高く,CBD に は THC による幻覚作用を減少させるといった作用 もあることから1213),とちぎしろなどの繊維型大麻
草から大麻濃縮物を製造し,それを乱用目的で使用 したとしても THC による幻覚作用はほとんど得ら れないと考えられた.
結
論
無毒大麻と言われているとちぎしろから微量では あるが THC が検出されたが,CBD の方がより高 濃度含有されていた.また,ブタンガスを用いるこ とでとちぎしろの葉から THC,CBD を効率良く抽 出することが可能であった.調製した BHO 中の CBD 含有量は幻覚成分の THC よりも 5 倍以上高 く,仮にとちぎしろなどの繊維型大麻草から製造し た BHO を摂取したとしても,THC による幻覚作 用はほとんど得られないことが推察された.しかし ながら,薬物型大麻と同じ効果があるものと思い込 み同様な BHO を作成・使用してしまう乱用者が現 れるおそれもあり注意が必要である. 現在,とちぎしろの栽培は,交雑種の検査を行う など適切な管理がされているが,世界的に大麻に関 する関心が高まっており,栽培中のとちぎしろが盗 難にあうなど我が国の伝統産業に影響を及ぼす事態 を避けるためにも,都道府県等の関係機関,栽培者 等に本研究の結果をフィードバックし,圃場の盗難 対策等の見直しの一助としたい.謝
辞
本研究において,とちぎしろの資料を提供してい ただきました栃木県保健環境センター食品薬品部の 市本範子部長および若林勇輝主任に深謝いたしま す.参考文献
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