導 電 性樹 脂 電極 お よ び これ によ る不 導 体試 料 の分 光分 析
松
下
寿
米
男*
(昭 和37年1月17日 受 理)
Eine
neue Elektrode
aus elektrischleitendem
Kunststoff
zur spektrochemischen
Analyse
von nichtleitenden
Substanzen
Sumeo
MATSUSHITA
(The Tokyo Metropolitan Industrial Research Institute)
Eine neue Elektrode fiir die spektrochemischen Analyse von nichtleitenden Substanzen wurde dadurch hergestellt, dass die pulverformige Probe mit leitendem Kunststoff im Verhaltnis 1:3 oder 1:4 zu-sammengemischt and das Gemisch in eine porose Form(ein Sackloch der Spektralkohle)eingefiillt and dann in der Temperatur von 120•Ž fur 3 Std.oder langer geheitzt wurde.Dabei wurde das Gemisch durch chemische Reaktion des Kunststoffes ohne die Presse gehart and geformt.Als leitender Kunststoff wurde Ag-Alkyd Harz(spez.Widerstand 2.5•~10-2 Qcm) benutzt.Mit diesen Elektroden,die mit dem Feussner Funkenerzeuger(3500-5100 pF,0.08-0.8 mH,10.6 kV)angeregt wurden,wurden Al and Fe im Glassand,Eu,Sm,and Gd im Silikat spektrographisch analysiert.Das Ergebnis der Analyse zeigt,dass mit den neuentwickelten Elektroden Eu im Silikat bis auf die Ordnung von 2•~10-5% quantitativ bestimmbar ist.Den Schluss bilden einige Bemerkungen iiber die Entladung mit diesen Elektroden. 1.緒 論 発光 スペ ク トル 線 を得 る た め に は試 料 中 の分 析 元 素 は,原 子(帯 スペ ク トル に よ るも の は分 子)ま た は イオ ンよ りな る気 体 状 態 に あ っ て 励 起 され なけ れ ば な らな い.そ れ ゆ え 固体 試 料 の 場 合 発 光 分 光 分 析 を 行 な うた め に は第 一 試 料 を気 化 させ る操 作 と第 二 に この 気 体 を励 起 して発 光 させ る操 作 が 必 要 で あ る.一 般 に 固 体 の気 化 お よ び励 起 に は高 エ ネル ギ ー を必 要 とす るの で,現 在 は放 電 現 象 の エ ネル ギ ー を利 用 した 気化 お よ び励 起 の方 法 が 広 く採 用 され て い る.こ の 方 法 で は 電極 間 の放 電 と い う 一 つ の 操 作 で,気 化 お よ び励 起 発光 の二 つ の過 程 が 行 な わ れ,励 起 は 主 と して電 子1,2)に よ りな さ れ る.ま た 試 料 が 溶液(水 ま た は有 機 溶 液)に な る場 合 は 金 属 元 素 は 一 般 に イオ ン また は 分 子 で 存 在 す るか ら,溶 液 を高 温 焔 (電 弧 も含 め)に 導 入 す る こ とに よ り容 易 に 気化 さ せ て 励 起 す る こ とが で き る(炎 光 分光 分 析). 分 析 試料 が 導 電 体 で そ の ま ま 電極 とな る場 合 に は放 電 エ ネ ル ー が利 用 さ れ る が,不 導体試料 につ いて放電 エネ ル ギ ー を利 用す る に は導 電 性 物 質 と組 み 合 わ せ て電 極 を 作 り導 電 性 物質 の 放 電 に よ る エ ネル ギ ー に よ り気 化 させ 励 起 す る必 要 が あ る.導 電 性 物 質 との 組 み 合 わ せ は 広 い 意 味 で 種 々の 方 法 が 挙 げ られ る.試 料 が 気 体 お よ び 溶 液 の 場 合 を除 き,固 体 の 不 導 体 試料 の 場 合 に つ きそ の導 電 性 物 質 との 組 み 合 わ せ を形 態 的 に 分 類 す る とTabelle1, 1∼7の よ うに な る.著 者 は導 電 性 樹 脂 を用 い て 不 導 体 試 料 を固 め て 電 極 を作 っ て,発 光 させ た と ころ良 好 な結 果 を得 た の で,こ れ を 記述 便 宜 の た め導 電 性 樹 脂 電 極 と 仮 称 し8と して添 加 す る も の で あ る.こ れ は7の 方 法 と 類 似 の形 を とる よ うに見 え る漆,本 文 にお い て 詳 述 す る よ うに そ の電 極 の組 成 構 造 は7の そ れ と異 な る もの で あ り,ま た強 力 な プ レス を必 要 と しな い特 徴 が あ る. 本 報告 は導 電 性 樹 脂 電 極 の成 形 法 と性 質 を記 し本 電 極 *東 京都 立 工 業 奨 励 館,東 京 都 千 代 田 区丸 内三 ノー 日本 分光 学 会 秋 季 研 究 発 表 会 講演 昭和35.11.1導 電 性 樹 脂 で 固 め た 不 導 体 試 料 の 電 極 昭 和36.10.10導 電 性 樹 脂 電 極 に よ る分 光 分 析, 希 土 類 元 素 の 分 析
1)W.Weizel,R.Rompe:Z.Physik,117,545
(1941).
2)F.M.Penning:Electrical
Discharges in Gases
p.14(1957).
158 分 光 研 究 第10巻 第3号
Tabelle 1.Die morphologische Klassifikation der Anregungsmethoden der nichtleitenden Substanzen
1.Anregt
mit
den Tragerelektroden(meistens
aus Kohle,oder
aus Kupfer,Silber,Aluminium
u.a.),worauf
oder worin die Probe gebracht
wird.
2.Anregt
dadurch,dass
man die Probe von
Fein-pulver in ein Entladungsplasma
fallen lasst.1,2 )
3.Anregt
dadurch,dass
man Papier,worauf
sich
die pulverformige
Probe gleichmassig
befindet,
in ein Entladungsplasma
bringt.3)
4.Anregt
dadurch,dass
man die Probe im Vakuum
oder in einem
Ofen erhitzt
and die daraus
verdampften
Gase in ein
Entladungsplasma
einfiihrt.4,5,6)
5.Hohlkathodenentladung.7,8)
6.Hochfrequenzentladung.9)
7.Anregt
mit den Elektroden,die
dadurch
her-gestellt sind,dass
die pulverformige
Probe mit
leitendem
Pulver(Kohie,silber,Kupfer
u.a.)
vermengt and in einer Presse briquettiert
wird.
2.Anregt
mit den Elektroden,die
dadurch
her-gestellt sind,dass
die pulverformige
Probe mit
leitendem
Kunststoff
vermengt
and in einer
Form and zwar
in einer bestimmten
Tem-peratur,die
chemische
Reaktion
des
Kunst-stoffes verursacht,gehart
wird.Dabei
braucht
man keine Presse.
出 さ れ た*).樹 脂 に導 電 性 粒 子 を混 合 し て導 電 性 を与 え る場 合 に 二 っ の導 電 機構 が考 え られ る.第 一 の場 合 は 導 電 性 粒 子 の 大 き さが 樹 脂 粒 子 の大 き さ に 比 し同 程度 か そ れ よ り大 きい 場 合 で,こ こで は そ れ らの 配列 は模 型 的 に Abb.1の よ うに考 え られ る.第 二 の場 合 は導 電 性 粒 子 の大 き さ が樹 脂 粒 子 の 大 きさ に比 しは るか に 小 さい 場 合 で そ れ らの配 列 は模 型 的 にAbb.2の よ うに な る こ とが 考 え られ る. Abb.1. Abb.2. 門 永 氏 の 形 容 に よ る``箱 詰 の リン ゴ と もみ が ら"の 配 列 で リン ゴが 樹 脂 粒 子 に,も み が らが 導 電 性 粒子 に あ た る. 第 一 の場 合 に は,導 電 性 粒 子 の量 が 少 な い と導 電 性 が な く,あ る量 以 上 に な る と急 に導 電 性 に な るが 導 電 性 を 与 え るた め に は か な り多 量(容 積30∼50%)の 粒 子 を混 入 す る必 要 が あ る.こ う した状 態 で は樹 脂 の量 が 少 ない た め 導 電 性 粒 子 の 接 着 が 弱 く全 体 と して脆 い破 壊 しやす い も の に な る.こ れ に 反 し第 二 の場 合 は混 入 す る導 電 性 粒 子 の量 は 少 量(容 積5%)よ り導 電 性 を 与 え,全 体 と し て充 分 強 度 の あ る しか も電 気 比 抵 抗 の 小 さい(10-4Ωcm 程 度)樹 脂 を得 る こ とが で き る.こ れ を導 電 性樹 脂 と呼 ぶ こ とにす る.導 電 性 粒 子 と して は 銀,銅,炭 素 な どの 微 粉 末 が 使用 さ れ樹 脂 と しては 広 範 囲 にわ た る種 々の 樹 脂が 考 え られ る.門 永 氏等 の実 験 に よ る と樹 脂 粒 子 の 大
1)K.Toishi:Sci.Parpers
Inst.Phys.Chem.Res.,
38,87(1940).
2)C.Feldman,J.T.Ellenberg:Anal.Chem.,27,
1714(1955).
3)A.K.Rusanov:Bull.acad.sci.U.R.S.S.Phys.,
4,145(1940).
4)H.Rose,R.Bose:Naturwiss.23,354(1935).
5)E.Preuss:Zeit.angew.Mineral,3,8(1940).
6)D.M.Shaw,0.I.Joensuu,L.H.Ahrens:
Spectrochim.Acta,4,233(1950).
7)F.T.Birk:ibid.,6,169(1954).
8)J.K.Brody,D.M.Fred,F.S.Tomkins:ibid.,
6,383(1954).
9)A.Gatterer:ibid.,3,214(1948).
を用 い て分 光 分 析 を行 なっ た 実 験 例 を報 告 す る もの で あ る が,電 極 の微 細 な構 造 と導 電 機 構 を示 す 必 要 か ら最初 に 導 電 性樹 脂 に つ い て の紹 介 を行 なっ た.最 後 に 本 電 極 を用 い て行 な っ た実 験 に つ い て の所 見 を二 三 記 した. 2.導 電 性 樹 脂 電 極 合 成 樹 脂 は元 来 誘 電 体 で あ るが これ に導 電 性 物 質 の 微 粉 末 を混 合 す る と,導 電 性 物 質 粒 子 の 接 触 に よ り樹 脂 に 全 体 と して導 電 性 を 与 え得 る こ とが門 永 氏 等3)に よ り見 *)米 国 で は1949年'マ ー カ イ ト'の 名 で導 電 性 樹 脂 の発 表 が あっ た が,わ が 国 で は 詳 しい情 報 が入 らず そ の組 成 な ど につ い て は 全 く不 明 で あ っ た. 3)門 永,水 野,飯 野:電 気4学 会 連 合 大 会 講 演(昭 32).門 永:高 分 子,6,614(昭32).門 永:化 学 と工 業,51,334(昭33).き さ は,0.5μ 程度 で 導 電 性 粒 子 の大 き さは,0.1μ 程 度 の金 属 粒子 を使 用 してい る. 著 者 は この導 電 性 樹 脂 と不 導 体 試 料(粉 末)と を混 合 し成 形 して分 光 用 電 極 を作 っ た.導 電 性 樹 脂 電 極 と して 用 い る導 電 性 樹 脂 につ い ては,放 電 に際 し電 極 の 形 状 が で き る限 り熱 変 形 を起 こ さ ない よ うにす るた め 樹 脂 は 熱 硬 化 性 樹 脂,た と えば フ ェ ノ ール,ユ リア,メ ラ ミン, シ リコン,エ ポ キ シ,不 飽 和 ポ リエ ス テル,ア ル キ ッ ド な ど の樹 脂 が 適 し,導 電 性 粒 子 と し ては,銀,銅,金, 白金,炭 素 な ど の良 導 体 微 粒 子 が 使 用 され る.こ れ らの い ず れ の組 み 合 わ せ の 導 電 性 樹 脂 を使 うに せ よ,分 光 用 と し ては 樹 脂 お よ び導 電 性 粒 子 は 分 析 に 関 係 す る元 素 に 対 し て分 光 的 に純 で あ る こ とが 必 要 で あ る.電 極 成 形 法 と して は,粉 末 試 料 と導 電 性樹 脂 とを よ く混 合,練 り合 わ せ これ を多 孔 性 型 に 入 れ て加 熱 硬 化 させ る.導 電 性 樹 脂 は 有 機 溶 剤 に 分 散 さ せ た ペ ー ス ト状 の も のが 多 い の で 1加熱 硬 化 に 際 して 溶 剤 の蒸 発 を 円滑 に行 なわ させ るた め に 型 は 多 孔 質 の もの が よ く,分 光 分 析 用 炭 素 電 極 に穴 を あ け た もの は 良好 な 型 とな る.加 熱 温 度,硬 化 時 間 な ど は そ れ ぞ れ の樹 脂 に よ り最 適 の値 を選 ぶ.硬 化 した 樹 脂 ,は型 よ り取 り去 り或 は そ の ま ま一 部 を削 り去 り電 極 とす る.加 熱 に際 し溶剤 な ど の気 化 に よ り樹 脂 が 膨 脹 す る こ と が あ る の で,加 熱 の初 期 に時 々軽 く圧 縮 して ガ ス を逸
Abb.3.Spezifischer Widerstand der Glassand-proben,die mit dem leitenden Harz in verschiedenen Verhaltnissen gemischt wurden,and einer Spektralkohle
散 させ る こ とが 好 ま しい.し か し高 圧 プ レス を用 い る必 要 は 全 くな い.こ れ は樹 脂 の 硬化 反 応 に よ り電 極 が 成 形 され るの で あ り,物 理 的 に導 電 性 粉 末 と試 料 を圧 縮 して 成 形 す るTabelle1,(6)に 挙 げ た プ レス を用 い て電 極 を成 形 す る方 法 と根 本 的 に異 な る点 で あ る.こ うし て作 っ た 電極 は樹 脂 と試 料 との混 合 割 合,試 料 の性 質,粒 度 な どに よ り電 気 比抵 抗 は異 な る が,試 料:導 電 性 樹 脂= 1:3∼4(重 量 比)に 混 合 した も の は10-2Ωcm程 度 の比 抵 抗 を もち 火花 放 電,断 続 弧 光 放 電 に耐 え る充 分 の強 度 を もっ 電極 を得 る こ とが で き る.た だ永 続 弧 光 で は 電 極 の変 形 が起 こ り放 電 が 困 難 の場 合 が あっ た. 導 電 性 樹 脂 と して 銀 粒 子-ア ル キ ッ ド樹 脂 を用 い 珪 酸 粉 末 試 料 と種 々 の割 合 に混 合 して成 形 した 電 極 の 電 気 比 抵 抗 と混 合 割 合 と の関 係 を測 定 した 結 果 をAbb.3に 示 す. Abb.4は 炭 素 電極 を 型 に して成 形 した 珪 酸 塩 試 料 の 導 電 性 樹 脂 電 極 で炭 素 極 はそ れ の保 持 棒 に なっ て い る.
Abb.4.Die Elektroden,die mit dem leitenden Harz geformt wurden,and Kohlenhalter
3.導 電 性 樹 脂 電 極 に よ る 分 光 分 析 本 電 極 を用 い た 分 析例 と して 1珪 砂 中のAl203お よ びFe203の 分 析 H珪 酸 塩 中の 希 土 類元 素Eu,Gd,Smの 分 析 を行 なっ た 結 果 に つ い て 報 告 す る. 3.1.試 料 試 料1に お い て は,NBSNo.81珪 砂 試料 お よ び これ にFe,Al(溶 液 の 形)を 一 定 量加 え て 調 製 した試 料 と, 化 学 分 析 を行 な っ た 珪石 試 料 を標 準 試 料 と した.試 料 は い ず れ も150メ ツシ ユ以 下 の微 粉 末 でSiO2を90%以 上 含有 す る もの で あ る。 試 料IIは 希 土類 元 素 に っ き分 析 され た珪 酸 塩 試 料 が 入 手 で きな か っ た た め珪 酸 塩(SiO290%以 上)に 一 定 量
160 分 光 研 究 第10巻 第3号 のEu,Gd,SmをHCl溶 液*)で 加 え調 製 した試 料 を標 準 試料 と した.珪 酸塩 中 に含 まれ るTiを 内 部 標 準 と し た.分 析域 はTabelle2に 示 す. 導 電 性 樹 脂 銀-ア ル キ ッ ド系 導 電 性 樹 脂 を使 用 した.こ れ の 重 量 組 成 は 下 記 の よ うで あ る. アル キ ッ ド系 樹 脂8% 銀 粒 子20% 溶 剤(ソ ルベ ッソ ーNo.100)72% この樹 脂 を120℃,3時 間 加 熱 した も のは 電 気 比 抵 抗 が2.5×10-2Ωcmで あっ た. 導 電 性樹 脂 電 極 成 形 法 粉 末 試料 と導 電 性樹 脂 との 割合 を重 量 比1:3∼4に と り,ガ ラ ス板 上 で スパ ー テ ル を用 い て充 分 に よ く混 合, 練 り合 わ せ る.こ れ を分 光 用 炭 素 極5mmφ に3mmφ の 穴 を約10rnmの 深 さに あ け た もの に充 填 し,120℃ の 乾 燥 器 中で3時 間 以 上加 熱 す る.最 初1∼2分 の間 に 溶 剤 の蒸 発 に際 し樹 脂 が 膨 脹 す る こ とが あ るの で,1,2 回軽 く圧 縮 してや る.硬 化 成 形 物 は 炭 素 極 か ら と り出 す か,ま た は炭 素 極 の周 りを刃 物 また は グ ラ イ ンダ ー で 削 り去 り,そ の ま ま電 極 とす る. 3.2.実 験 方 法 と装 置 発 光 方 法 と しては 通 常 の フ ォ イ ス ナ ー高 圧 火 花 放 電 を 用 い た.放 電 条 件 は あ ま りク リチ カ ル な もの で は な い が,あ ま り容 量 を大 にす る とバ ッ クグ ラウ ン ドを増 大 す る.露 出 時 間 は 予備 実 験 に よ り決 めた.実 験 条 件 の 詳 細 はTabelle2に 記 す. Tabelle2.Arbeitsvorschrift 3.3実 験結 果 以 上 の 条件 で 分 析 して得 た検 量線 図 をAbb.5∼Abb. 10に 示 す.い ず れ も良 好 な 傾 斜 を もっ 検 量線 が 得 ら れ た.特 にEuは2×10-5%ま で 定 量 さ れ た.1×10-5% につ い て は バ ック ラ ン ドの 影 響 を うけ定 量 が困 難 ま た は 不 能 で あっ た.ま た 各 濃 度 に っ き偏差 率 平均8%の 良好 な再 現 性 が 得 られ た が,こ のバ ラ ツキ は電 極 成 形 法 に よ る所 が大 き く,成 形 法 を よ く規 定 す る こ とに よ り再 現 性 は 一 層 向 上 で き る. *)試 料 が 酸化 物 そ の他 複 雑 な形 で 存 在 す る場 合 は, 塩 酸 系試 薬+)を 用 い て分 解 し塩 化 物の 形 にす る と この 標 準試 料 の希 土 元 素 の形 と同形 に な る.希 土 元 素 を酸 化 物 の 形 で作 っ た試 料 にっ き この電 極 を 用 い て 発 光 させ た結 果 は,塩 化 物 の場 合 の方 が 酸 化 物 の場 合 よ りや や 高 感度 に検 出 され た. +)R.C.Vickery:Analytical Chemistry of the Rare Earths(1961)6.
161 Abb.5. Abb.6. Abb.7. Abb.8. Abb.9. Abb.10.
162 分 光 研 究 第10巻 第3号 3.4.実 験 に 関 す る所 見 本 電 極 を 用 い て 分 析 を 行 なっ た際 の 高 圧 火花 放電 を観 察 す るに,(1)放 電 中 に 多 くの 層電極 点 を生 じ これ が 明 瞭 に 観 察 さ れ る場 合 と(12)明 るい 光 芒が 電 極 表 面 全 体 を蔽 い 特 に 霊 極 点 を認 め られ な い場 合 が あっ た.(1)の 場 合 は光 が 弱 く撮 影 さ れ た スベ ク トル も強 度 が 弱 い が,こ れ に 反 し(2)の 場合 は 試 料 スベ ク トル線 が強 く現 わ れ 分折 元 素 の 感 度 も 高か っ た.さ らに(2)の 場 合は電 極の 消 粍 が 激 しく放 電 間 隙 は 最 初2.5mmで あっ たが 放電 後は 3∼4mmに 開 く ことが あ り,放 電 中 に 間 隙 を 調 整 し た もの もあっ た.Abb.11は 比 較 的 良 好 な 放電 が 行 な われ た極 の 表面 の写 真 で あbAbb.12は 銀 が 溶 解 して塊 ま り この 部 分 で 放電 が 主 と して 行な わ れ た 悪 い極 の 写 真 で あ る.こ の 放 電 の 良 否 は放 電 条 件 に 関 係 し容 量が 大 き過 ぎ る と銀 粒 子 の 析 出,融 合が 起 こ りや すい.さ らに電 極 の 硬 さ,比 抵 抗,樹 脂 の 性 質,試 料 と樹 脂 を混 合す る11寺の 稠 度,溶 剤 の 量,硬 化 条 件な どに より 影 響 さ る と ころ が
Abb.11.Elektrodenoberflache
nach einer
Abfunkzeit(gut
abgefunkt)
Abb.12.Elektrodenoberflache nach einer Abfunkzeit(schlecht abgefunkt) 大 きい.電 極 長面 が 一 様 に 放電 され 銀 位 子の 塊 りをあま り認 め な い場 合の 結 果は,再 現 性 も よ く,線 強 度の 経時 変 化 を測 定 す る と内部/票準 線 に対 し一 定 に近 い価を与 え た. 本 電 極 を 用 いTabelle2(I,II1)の 条 件で放 電 して 得 られ た スべ グ トル写 真 はCN帯(赤),c2ス ワ ン帯 は 殆 ど認 め られ な く,CN帯(紫)もO-O帯(帯 頭3883A) 以 外 は ほ とん ど認 め られ な か っ た.た だO-O帯 だ けが 弱 く現 わ れ た.II2の 条 件で 得 られ た写 貞で はCN帯 も か な り現 わ れ たが,こ れ はEuの 分析 に は妨 害 にな らな か つた. 本 研究 こお いて は 導 電 性 樹 脂 として 銀-ア ル キッ ド系 樹 脂を 使 用 したが,こ れ は 任意 の選 択 であり これ が 最良 の結 果 を与 え た とい う意 味 で は な い.導 雷 性 樹 脂 につ い て は 今 後 種 々の も の に つ き実 験 を 行 な う積 りで あ る. 分 析 例 に 挙 げ た 対 象試 料 は,試 料 工は 当 館 に お いて 取 り 扱 う珪石 の化 学 分 析 に 関連す る も の であり,試料IIは あ る種 の工 業材 料 として 分 析 を 依 頼 され たものに 関 連 し て 行 なっ た もの で あ る. 4.総 括 不 導 体 物 質の 発 光 分光 分析 用 壱 極 として,導 電性 樹 脂 と粉末 試 料 を混 合 しこれ を 多孔 性 型(炭 素 電 極 に 穴 を明 け た もの)に入 れ 加 熱 硬 化 した電 極 を作 つ た.こ の 際強 力 な プ レス は必 要 とし ない. この電 極 を 用 い珪 酸 塩 中の(1)鉄,アル ミニ ウ ムお よ び(2)希 土類 元 素Eu,Gd,Smの 分光 分析 を行 なっ た. い ず れ も良 好 な 結 果が 得 られ,Euは2×10-5%ま で 定 量 さ れ た.励 起 に は フォ イ スナ ー 高 圧 火花 放 電3500∼ 5100pF,0.08∼0.8mH,10.6KVを用 いた.ス ベ ク ト ル 写 真は 極 微量Euの 定 量 の場 舎 を除 き,CN帯 お よび C2帯 は 弱 ま り また は ほ とん ど 認 め られ なか っ た.最 後 に 実 験 に 関 ず る二 三 の 所 見 を記 した. 本 報 告 中 希土 元 素 の 分 析 に つ い て は 当 館 研 究 員熊 谷典 子 氏 の実 験 に よ る と こ ろが 多 く,本 会 秋 季 講 演 会(昭36) で は 共同 研 究 で 発 表 した もの で あ る. 厚電 性 樹 脂 に っ き種 々 険討 を頂 い た 当館 化学 部 長岩 井 信 次 氏 に感 謝 します. 導 電 性 樹 脂試 料 につ き御 協力下 さつ た 東 洋 でン キ製 造 株 式 会 社学 友 中 山 宣雄 氏 に感 謝 し ます.