NII-Electronic Library Service
社 会
を
指 向
し た
情 報 支 援
シ ス テ ム の デ
ザ
イ
ン
Society
−
oriented
Design
of
lnformation
Support
Systems
沼
晃
介
堀 浩
一
東 京 大 学 先 端 科 学 技 術 研 究セ ンタ
ー
NUMA
Kosuke
HORI
Koichi
Research
Center
for
Advanced
Science
and Technoiogy,
The University of「[bkyo
要
旨
本 稿で は、
工 学 技 術のみ な ら ず 実 社 会で の利 用 環 境 を 含め て情 報 支 援シス テ ム を デ ザ インするた めの一
手 法 を 示 す。既 存
の多
くの研
究のた めの実 験
では、
統 制
され
た環境
下で制御
しう るパ ラ メー
タに基 づ き、
数 値 化
可能
な 尺度
により技 術
を評価
し が ち である。
し かし実社 会
で の複 雑
で制御
でき ない環境
で の ユー
ザ
の利
用 を想
定し た と き、
有 効
な情 報
システ ムの設 計 は 純 粋 な 技 術 的 な 問 題で は解 決でき ない。
本 稿では わ れ わ れの、
市民 の表 現の支 援 を 対 象とする、
ワー
ク シ ョ ップに代 表 される 「メ デ ィア実 践」 を 開 発・
実 施す る ア ブ ロー
チを 示 す。 メ デ ィ ア実 践
と は、
メ デ ィ ア に媒 介
された社
会的
・
身 体 的
な実践
であ る。 こ の実践
では参加 者
に 活 動 を通 じて価 値
を提供
す ること を主
目的
と しつ つ、
そ の 実 現 の プロセスに よっ て副 次 的 に 情 報シ ス テム とそ の活 用 環 境 をデザイ ンする。
本 稿ではこ の アプロー
チ を 概 観 すると と もに、
わ れ わ れ がこれ まで行っ た 実 践 から、
同 じ形 式 を用 いた2
つの事 例を取 り上 げ、
実 社会
で の制 約
が シ ス テ ムや実
践の デ ザ イ ンに与える 影 響 を比較
・
分 析
し、
提 案
手法
の有 効性
と限 界 を議 論
す る。
Abstract
This
paper
describes
an approachto
design
information
sup−
port
systems,
which scopes social environments ratherthan
technological
problems
.
Typical
experimentationsin
engi−
neering research
field
have
tendencies
to
evaluatetechnolo
−
gies
just
based
on existing measures,
andthey
are usually conductedin
fully
controlled environment ;but
such artificialexperiments will not
lead
to
an effectivedesign
in
this
real,
complex and uncontrollable world
.
In
our approach,
wedevelop
and conduct“
mediapractices
,
”
which
include
participatory
workshops,
to support citizens’
media expressions
.
Media
practices
are social andparticipa
−
tory
activities enhancedby
information
media.
In ourpractic
−
es
,
wefirst
of allaimto
provide
valuesto
participants
.
Through
processes
to
realizepractices
,
wedesign
systems and envi−
ronments as a seco 冂dary
fruit
.
In
this
paper
,
we overview ourapproach and
discuss
its
effectiveness andIimitations
throughcomparison of
two
practices
weheld.
1 .
は じ め に 本 稿は、
情 報工学研究者
の 立場か ら、
し か し既 存の 工学の領 域 に留
まらな
い情 報 支援
シ ステ ム の デ ザ イン[
註1
]のた めの一
手法
を提
示 す ること を 狙 う も のであ る。
情 報工学の分 野で対 象 と する問 題 は、
通信
お よ び記 録
の手 法 や な ん ら かのタスク を 処 理 する アル ゴ リ ズ ム な どの よ うに、
定
まっ た評価 軸に沿っ て数値
で良
し悪し を決 定で き る、
あ る種の 正解
のある問
題ばか りで は ない。
現状
の情 報 技
術 活 用の 中に自 ら 問 題 を見出
し、
そ れ を解
決す る情 報シス テ ムや その要 素 技 術 を実
現す る よ う な、
問 題 発 見 型の研 究 も 多い。
しかし な が ら、
情
報工 学 分 野での 研 究 技 法 は、
既 存の 問 題 解 決 型の研 究 に 則 り、
な ん ら かの数 値 化 され た 基 準で の 「客 観 的 」 な 評価
を 求 め.
ら れ ること が多
く、
技 術改 善
に と ど ま ら ない総 合 的
な情報 利 用
環
境の デザイ ン は生ま れ に く い よ う に感
じ る。
わ れ わ れの提 案 す るアプロー
チでは、
技 術の開 発では な く社 会 へ の適 用 を 第一
の 目 的と お く。
実 社 会で利 用 さ れ るこ と を 優 先 して デザ イン・
開 発 する こと を 通 し て、
間接
的に技 術
の研究 開
発 に おいても ブ レ イ クスルー
が 生 ま れると期 待
する。第
一
義
に は、
モ ノ のた めの手 法(
情 報
シ ス テムの技 術 的
な研 究 開発
やデ ザ イン)
では な く、
コ トのため の手 法 (
社 会
におい て いか に利
用 され
るかという環 境
、
場
、
活動
のデザ
イン)
で あ る。
だ がこ のア プロー
チの射 程 に は、
コ トの デザ イン の過 程 に おいてモ ノ が改 善 さ れ るとい うこ とまでを 含 んでいる。
技 術の社 会へ の適用 の手 法に お い て わ れ わ れが 基 礎に据え る の は、
メ デ ィ ア実践 (
メディア・
プ ラク
ティ ス)
と呼 ば
れ る活 動
であ る。 メディア実
践とはメディア に 媒 介 さ れ た社
会 的・
身
体 的 な 実 践であ る [水 越2003
]。
最 初 か ら広 く社 会 全 体 を 対 象 と するわ けでは ないが、
実 際 に一
般の人 び と を 対 象 と したメ ディ ア実 践におい て、
情 報シ ス テ ムを 含む活 動 を 設 計、
構 築、
提 供
し、
市
民 の参
加の も と そ れ を行
う。 わ れ わ れが本 稿で扱 う 実 践およ び 情 報シス テム は、一
般の市 民 が 行 う 表 現 活 動 を 対 象とす る もの で あ る。
専 門 家 に よ る 業 務 活 動のよ う に 専 門 知 識 を 必 要 と す る 特 殊 な 問 題では な く、
すべて の人 び と が参
加 者=
ユー
ザ と な り うる。
表現活
動 はいわ ゆる 「正 解 」が 存 在 し ない問 題であ り、
表現 物
そ のものば か りでな く、
参
加者 自
身が そ の表
現プ ロ セ ス で得る知 識や視
座と いっ た ものが 重 要 な 成 果 と な る。
メ ディア実 践の内 容 や 活 動 プログ ラ ム、
な ら び にそれ を 支援
する情報
シ ス テム は、
こ の前 提
で設 計
され
る必 要
があ
る。 わ れ わ れ の 本 稿 を 通 じての 主 張 は、
人 ぴ と の 活 動 を 支 援 す る 目54
デ ザ イン学 研 究特 集号specid
issueofjapanese
society
torthe
science
o 「design
VDI
.
17・
4No
.
682011NII-Electronic Library Service
的で情 報システ ム をデザ インするた め に は、
情 報
シ ス テムの機
能 やユー
ザ インタフェー
スに と ど ま ら ず、 そ の利用 環 境 や利 用
時の人 び との活 動 を も 合 わ せて総合
的に デザイ ンする必
要 が あ る ということである。情 報
シ ス テム が実現 す
る活動
を設 計 す
る こと と、
活 動 を 支え る情 報
シ ス テ ムを 設計
す ること は、
別個
の 問 題な どでは な く表 裏一
体の も のであ る。
惰 報工学の視 点か ら情 報
シ ス テ ム を技 術 的に実 現す る だ けでは片 手 落ちで ある し、
実
践の デ ザ イ ナ が既 存の道 具のみで実 現でき る 活 動にも 限 界が あ る。本稿
で は両者
の視 点の密な結 合に基づ く メ デ ィ ア環 境の デ ザ インのア プロー
チ を、
情 報工学 研 究の視 点 か ら 記 述 す る。
この 通 り、
筆 者
ら は デ ザ イン領 域 を 専 門 と は して いないが、
わ れ わ れの行っ ている 研 究 開 発の手 法 は 情 報 デ ザ インそのもの と いえる の では ないか と考 える。
2 .
背
景
と アプ
ロー
チ2.
1
技 術 と 社 会情 報
工学分 野 に限らず 他の 工学分野に共通 す る が、
そ の応 用を考
え る と き、
最終
的に は実 社
会に お いて導 入され 活 用されるこ と が価
値を生む。
し か し な が ら、
多
く の学 術 会 議の場に おい て は、
技術
の精度
や速 度
、
効 率
な どといっ た 数 値で比 較 可 能 な 既存
の尺度
によっ て評価
さ れて いる。 純 粋 な 技 術 的 な改 善
を 積 み 重 ね る 目的 に おい て、
これ は 有 効 なアプロー
チであ る と 考 え ら れる。
だ が その結 果、
研 究 が 学 会で の評 価 を 得 や すい性 能 改 善 にと ど まって しまいが ちになる。
生み 出した 技 術は、
製品
な ど の形で産業
化 さ れ、
最 終
的に は社
会に還元さ れて い く こ と とな るが、
研 究と社 会とが乖 離
し て し ま う と いっ た こ と が起こっ て いる。
東 京 大 学 名 誉 教 授 の 原 島 博 は、
こ の研 究 と 社 会の乖 離 を 問 題 視 し、
ま ず 研 究 を 直接 社
会 に 対 して提
示する ことによっ て社 会
の 側 か らの フィー
ドバック を得
て、
そ れ を 産業
や学 会
、
研 究
に 還 元 す る 「オー
プン ス パ イ ラ ル モ デ ル 」 と い う研 究 手法 を提 唱し て い る(
図1
) [
註
2
]
。 わ れ わ れ の ア プロー
チ は ま さ にこの直 接 的な社
会へ の提
示 の一
手法で あ る とい え る。
技 術の社 会へ の適 用 は、
技 術の投 入 に か かるコ ス トやそ の影 響
範 囲、
あ るいは 後 戻 り可能 性
な どの周 辺 的課
題 や技術
の様 態
に 図 1.
原島博に よ るオー
プ ン ス パイラ ル モデ ル よ りい くつ かの アプロー
チが考
え られる。例
えば情 報
シ ス テ ム分 野
で い えば、
ソ フト
ウェ ア製 品 な
らば 事 前
にベー
タ版 や
RC
版 (
Release
Candidate
、
リ リー
ス候 補 版 )
を 公 開し フィー
ド バ ック を得
るこ とがあ
る し、
Web
のサー
ビスなど
では一
般
ユー
ザに向
けて 公 開し実 際
に利 用して も らいなが ら改善
して い くこ とも あ る [註3
ユ。一
方、
通 信 網 や 交 通 シス テム な どの社 会 イ ン フ ラ に関 わ るシステムは、
社 会 に投 入 さ れ る 以 前 に 十 分 に 設 計が完 了 さ れている 必 要 が あ る。
そのた め 技 術 的 な レベ ルでは しっ か りと実 験およ び テス ト さ れ た もの を 用い るし、
そ れ を活
用 す る 社 会 制 度 も 不 足 な く検 討 さ れて い る。
そ れでも利
用開 始
後 に 技 術 的 に も 社 会 的 に も 予 期 せ ぬ 問 題(
シス テムの障害
や意
図 せ ぬ 悪 用 な ど)
と 出 会 うこと は あるが、
だ から こ そな お事 前
に できるだけ多
く の こ と を想 定し検 討
し な け ればな ら ない。
ま た、
先 述の原島
ら の 「デジタ ル メ デ ィ ア作 品の制 作を支 援 する 基 盤技 術」 研 究 領 域 [註4
]が中 心と な っ て行っ た予 感 研 究 所[
註5
]
では、
デ ジ タ ル技 術を用いた メ デ ィ ア芸 術の領 域の研 究 成 果 を、一
般への展 示 という 形 式で提 示 し、
展 示 者であ る 研 究 者 と来 場 者であ る一
般
市 民 と の 間 のコミュニ ケー
ショ ンを 通 じて フィー
ドバ ック を 得 ること を 狙っ ていた。
このよ う に 技 術 を社
会 に適
用 す る に は、
対象
とす る 技 術 と その目 的 に 応 じて、
十 分 な 成 果 を 得てか ら実 用 化 を 行 うのか、
社 会への適 用 を 通 じ て技 術の改 善 を 行う のか、
な ど といっ た や り方 を 適 切に選 択 す る こと が 求 められる。
2
.
2
市
民の表
現 活 動の支援
わ れ わ れ が 対象
と する のは、一
般市
民の行
う 表現 活
動である。 近年
、
情 報
メデ ィア の普
及 に よ り、
これ まで情 報
の受
け 手で あっ た市
民 が自
ら表
現を行
い、
発信
す るこ とが容
易に なっ て い る。
デ ジタ
ル カメ ラや 携帯 電 話 な
どのデバイスによ り
写真 や 映
像 を 日 常のそこ ご こ で 撮 影 す ること も 可 能 と なっている し、
そ れ を 個 人の コ ン ピュー
タで編 集 す るソ フト ウェ アも 充 実 してい る。
絵 や 写 真、
動 画、
音 楽 な ど、
市 民のメデ ィア表現
を 公開
、
共 有 するた めのWeb
のサー
ビスも繁 栄
し て い る。確
か に メ デ ィ ア表 現 に 着 手 する敷居
は低
く なっ たし、
共有
する ことで相
互に刺
激しあうコミュ ニ テ ィも 生まれ
つ つ ある。 し か しな がら現状
におい て こ う し た ヂジタ
ル表
現を行
っ て い るのは、
社
会 全 体か ら考え れ ばごく一
部の ユー
ザ 層であ るとい え る。
技 術 的 に は 広 く市 民が表 現 を す る ツー
ル を 得 た といえ る 状 況 が き は じ めて い るが、
実 際 に は 市 民 が 表 現 を 行 う動機
や きっ か けが な く、
表 現
者 と受容
者の間
に は依 然 溝
が ある。本
研究
で扱
う表
現と は人 びと が自
らの体 験 や 考 え を 外 化 し た も の一
般
を指
し、
文章
、
絵、
写 真 や、
そ れ ら の 組 み 合 わ せ か ら 構成
さ れ る もの である。
デジ タ ルメ ディア の活 用によ りこ う した 表 現 を 支 援 する研 究 文 脈 から取 り組ん で い る も の の、
表 現そ の ものと してはメ デ ィアを限
定し て は考
え て い な い。
表
現は、
自
己内省
の観 点か らも、
他 者との コ ミュ ニケー
シ ョン の観 点か らも、
人 びと が社 会で生 活 する上で根
源 的 な営
み であ る といえ よ う。
表現
に よ り外化
する ことで一
歩 引
い て自
ら の考
え を 見る こと がで きる し、
振
り 返ること もでき る。
これ は 客 観 デサ.
イン学研 究特 集 号sp6cial
issueefjapaneSeSeCietytorthescience
of
deSign
Vol
.
17.
4 No.
68 2011NII-Electronic Library Service
的 に 捉 え ること や、
多面
的に捉
え るこ との助 け と なる。一
方 他者
に 自 らの こと を 伝 える にも、
まず表
現 しな け れ ば な ら ない。
コミュ ニ ケー
ショ ン のため に は 表 現 が 第一
歩と な る。
さ ら に は 逆に、
表 現を行
う こ と が コミュ ニ ケー
ションを 生む こ と も あ る。
きっ か け が なけ れ ば 言 うことのない こと も、
表
現 を 介 す る こ と で相
互に意
見 を 交 換 す る きっ か け と もな
る。表
現 という切 り ロで 自 らの生(
生活
、
生 き様 )
を切 り
取 り、
顕 し、
伝 え るこ と が 可 能 と なる。
わ れ わ れは市
民の表
現 活 動 を 支 援 する こ と を 通 して、
人 び との生活
を よ り豊
か な ものにすること を 目 指し て い る。
表 現の支 援 に は 大 き く3
つの フェー
ズ が ある と考
え られ る。
す な わ ち、
第一
に 人 が 表 現 する こ と自 体の きっ か け づ く り とい う 動 機づけの段 階
、
第
二に考
え た も のを実
際 に 表 現 作 品 と して具 現 化 する段階
、
第
三 に表
現を誰
にどのよ う に 見 せ る か という 伝 える段 階
である。情 報
の整
理、
構 造 化 や、
共 有、
推 薦、
検 索の ため の技 術
を組
み 込 ん だ 情 報 支 援シ ス テムによ り、
第
二、
第
三 のフェー
ズは部
分 的 に 支 援できると 考 えられる。
し か し表
現の 過 程 や 表 現の成 果 に は、
用い る情 報 支 援シ ス テ ムばか り でな く、
表 現 を どの よ う な 場で どのよう に行う か と いっ た環 境が与 え る影 響
が 大 きい。表 現
を促 進 す
るメディア 環境
の構 築 に は、
情報
支 援シ ス テ ム の みならず
、
その利 用 環 境 と の 総 合 的 な デ ザ イ ンが求
め られる。 その ため わ れ わ れ は、
社 会 に 適 用 し、
実 際 に人
びと に使
っ てもらうことを 通 じて、
シ ス テムの デザイ ン を 行 うア プロー
チ を とる。
これ は 前 節で述べた社
会へ の適 用を通 じて技 術 を 改 善 する方 法でも ある。
2
,
3
メ デ ィア実
践が駆 動 す る 情 報 支 援 シ ス テ ムのデ ザ イン 人 びとがメ ディアを活
用し自
ら表 現
する こ と を通し て社
会 的 な問
題 を克 服
して い くこと がわれ わ れ
の狙
うと ころ で あ る が、
こ れを人 びと の主体 的
・
身 体
的 な参
加 を もっ て行 うのが 冒 頭 に 紹介
したメ ディ ア実 践
のアプロー
チである。
わ れ わ れは こ の アプ ロー
チに基
づ き、
実社
会 に おいてある種の 目 的 を 持っ て、
時 空 間 や 対 象 を 限 定 し、
人 び と が 課 題 やルー
ル に則り能
動的かつ主 体 的 に 参 加 する表 現 実 践 を 行っ て き た。
わ れ わ れ の実践
は実社
会
を対 象
に行
わ れる活 動
で はあ るが、
ソフ トウェ ア製 品の公 開 のよ
う に広
く社 会全 体
を対象
とす る の で は な く、
時 空 間 的 に あ る程 度 制
限されたコ ミュ ニ ティを 対 象 と す る。
わ れ わ れの行 う 実 践 が一
般 的 な 実験
と異
なる のは、
参 加 者 本位
である点である。
実験
で は、
研究 者
や デ ザ イ ナ が検 証 し たい項 目に沿っ て設 計し、
実 験パ ラ メー
タと得られた結 果の間の 関 係 を調べる こ と ができ る。一
方でそ れ は あ く まで実 験のた めの環
境の中で の結 果であ り、
リアリ ティを 欠 く部
分 が あるとい わ ざ る を 得 ない。
1丿ア リテ ィ と は、
実世 界 環 境
に存 在
する複 雑
で制
御 不 能 なパ ラ メー
タ や その相
互の関係
、
ま たそ の結 果 受
け る制
約
か ら も たらさ れるもの である とわれ
わ れは考
えて い る。
わ れ わ れの実 践 は、
人 び との直面
する社 会 的 な問
題 を対 象
と し つ つ、
対 象 と する コ ミュ ニ テ ィや 実 践を行
う時
空 間な ど を定め る ことで、
社会
の一
部
を切
り取っ て い る と い える。
こう して一
定
の リア リティを 持 たせ ている一
方で、
社 会 全 体 よ り も 身 近 な56
デザイ ン学研究特 集号 sP ial[ssueofjapanesesocietytorthesGienceefdesign Vol.
17−4 No.
682011 手 の届 く範 囲を対 象として実 践の場 や 活 動 が設計で き る よ う に し て い る。
実 験 に 比べ 複 雑 なパ ラ メー
タ や制 約
が ある と同 時 に、
社 会 全 体 に 比べデザイ ン可能
な要素
が多
い こ とに よ り、
実 験 環 境で の 実 験 と社
会 全体
へ の適
用 を橋 渡
し す る 取 り 組 みであ る と考 えて い る。
具 体 的
なメ ディ ア実
践 の 手 法 と して挙 げ ら れる のは、
ワー
ク ショッ プで あ る。
ワー
クショ ップ とは、
参
加体 験
型のグルー
プ ワー
ク形 式で行 わ れる学 習 や 創 造、
合 意形成の手 法 やスタ イル をい う [中 野200
月。
アー
ト、
街
づく りや教 育
など、
さ まざ
ま な 領 域で近 年 広 がっ て い る。
ま た メ デ ィア実 践の 手 法 に は ワー
ク ショ ップ以 外
にも
、
本 稿
で述
べ る 放 送 局で の実 践のよ う に 個 別の参
加者
が物
理的
に同 じ場 に 集 ま ること な く、
シス テム と 放 送 を介
し て仮 想
的 につな が り表 現 を 行い交 換 するといっ た や り 方 も考
え られ る。 わ れ わ れ な りにわ れ わ れの メ ディア実
践を構 成 す る 必 要 な 要 素 を 整 理 して み ると、
以 下 の5
つ に集
約でき るよ うに思 う。
社 会 的 目的
わ れ わ れの実 践 を 他の実 践 (よくある ワー
ク ショ ップ な ど)と 分 け るのが社 会的 目的
である。わ れ
わ れの実 践
は、
実
践 そのも の を 自 己 目 的 と する の で はない。 コ ミュ ニ ティが 実 社 会で直 面 する、
例えば 地域
で の情 報
共有
やコ ミュ ニケー
ション の不 足 な ど といっ た問題
を、
メ デ ィア実
践 を 手 法 に 克 服 する。
場
こ こ で場
と は、
実空間のものと メ デ ィアに よっ て実 現 さ れる仮 想 的な も の と両 方を含 むが、
境 界 が 明 確であ れ 不 明 確であ れ内
と外の あ る、
人 びと が集 まる場 所 を 指 す。
実 空間
におけ る場
は 時 間 や 空 間 に よっ て範囲
が区
切 ら れるだろ う し、
仮 想 的
な場
で あ れ ば オン ライン のサー
ビスや放 送
な どの メ ディ アが 場 をつ く る だ ろ う。
実践
はこ の 「場
」 で行 わ
れ る。実践
に よっ ては、
複 数の場 を複合
的に用
い る場合
も考
え られ る。
活動 プ
ログ
ラ ム 目 的のも と場に人 が集
まっ て何
を行
う か を定めるのが活 動 プロ グラ ム である。
目 的をブレ イ クダウン し た課 題 を設 定 し、一
定 の ルー
ル に基 づいて表 現を行 うが、
これ らの 設 計 もこ こ に含
む。 道 具実 践
を実
現 す る た め に は、
適 切 な 道 具 を 用 意 す る 必 要 が あ る。
筆
記 具 や紙
や は さ み、
あるいは カメ ラな ど 表 現 形 式に基 づ き 道 具 を 揃 え る。
ま た、
情 報 支 援シ ス テ ムも 実 践 を 成 り立た し め る 道 具である。
道 具 は 場 や 活 動 プログラ ム に沿
っ て設計
、
準備
さ れ な け れ ば ならない。
人最 後
に、
実践
に集
ま る人 び
とが重
要な
要素
と な るが
、
人 び と の実 践
への関
わ りに はそ れ ぞ れ に 役 割 が あ る。
大 き くは一
般の参加 者
として の立 場、
フ ァシ 1丿テー
タの立 場 とが 挙 げら れ るが、
実
践の設 計 に応 じてはこ の限 りで はない。
_ _』
NII-Electronic Library Service
こ こ に挙
げ た5
つの要 素で は、
その実 践の社 会 的 目 的(
参
加 者 の た め の 目的 )
が もっ とも 重 要であ る。
目 的 を 達 成 するた め に、
場 をつ く り、
活 動の プログ ラ ム を 設 計 し、
道 具 を 用 意 す る。
2 .
4
他
の デザ イン手法
・
開発 手 法
と の 関連
わ れ わ れが提案
す る 情 報 支 援 シ ス テムの デザイ ン手 法は、
メ デ ィ ア実践 を
通 じて人
びとに実 際
に参
加 さ れる活 動 を 設 計 する 過 程で、
実 践の 目 的 に 沿っ て現 実の制 約 下で、
活 動 とシ ス テ ム を切 り離し がた く連 携 させな が ら 設 計 するという アプロー
チ で あ る。
本 節では、
既 存の情 報 シス テムの デザ イン手 法 や開 発 手
法な ど との関 連 を 示 す。
ま ず 提案
手 法 は、
実践
に参加 す
る人 び
とに対
して何
を提 供
す る か という視 点
から活動
も シ ス テ ム も デザ
インを 行 う。
こ の意 味 で、
ユー
ザ・
セン ター
ド・
デ ザ イン[
ISO
1999
ユの諸 手 法 と関連
する。
シ ナ リオ・
ベー
ス ド・
デザ イン は、
ユー
ザの利 用シ ナ リオをあら か じ め 作 成 し、
その シナリオに基づい て ソ フ ト ウェ ア を開 発 す る。
ペ ル ソナ・
シナ リ オ 法では、
ペ ル ソ ナと 呼 ばれ る 仮 想 的 なユー
ザ 像 を 設 定 し、
そ のユー
ザの行動
を時 系
列で記 述 した シ ナ リオ を 用いデザ インを行
う[
Carroll
2000
]
。 わ れ わ れの手 法でも、
メ デ ィア実 践 とい う場
におけ る参加 者
の 活 動 を 想 定 してシス テム を設 計
してお り、
共通 点
は多
い。 し か し 同 時 に、
情 報
シ ス テム を どのよう に活用 す
るかとい うシ ナリ オ を情 報
シ ス テ ム に 基 づ ぎ変 更 することも あ る点で 異 な る。
提案
手 法で は、
情
報シ ス テ ム を デ ザインす る た めの実 践の デ ザ イ ン であ ると同 時 に、
実 践 をデザ インするた めの情 報
シ ス テ ム デ ザ イ ン で あ る。
両 者 は 車の両 輪のよ う な 切 り離
しが たい関係
に あ る。
ま た わ れ わ れの手 法
で は、
ワー
クショ ップなど の メディア 実 践 に一
般 市
民の参 加
を得
て、
実 際
に 利 用 さ れ る 過 程の分 析 を 通 して シス テムを改 善
す る。
実 際の利 用 者 から の フ ィー
ドバ ッ ク をシス テム のデ ザ インに 活 か す 点 に おい て、
消費
者 をデザ イン プロセス に 組み込 む イン クルー
シブ・
デザイ ン[
Clarkson
2003
]の手 法 と 似 る。
し か し提 案手 法
では、
ユー
ザ
はデザ
イ ン のた め に 参 加 する の では な く、
提 供
する実践
へ の参 加 者
と し て情報
シ ス テム を利
用 する こ と と な る。 ユー
ザの 目的意
識 の 点 で異 なる。
ソ フ トウェ アの開 発 手 法 との関 連では、
情 報シ ス テ ム と メ ディ ア実
践での活 動 を、
そ の相 互の連環
の中でブラッシュ アッフ し て い く プロセ スを とる こと から、
最 初に シ ス テ ム の詳 細な仕 様 を 設 計 す る ウォー
ター
フォー
ル モ デ ル に基 づく開 発は困 難で あ る。
変更
に 迅 速に対 応
し て開
発を行
うアジャイ ル ソフ ト ウェ ア開発 [
Cockburn
2001
]
の手法
が有 効
であ ろ う。
ま た 研 究 手 法 と して は、
場 所 や 期間
な ど を限定
して新
し い制度
や 技 術 を 導 入 し、
その有 効性
を検証
する社 会実 験
との関連
が深 い。
実 際に人 びと の活
動に シ ス テ ム を投 入し効 果 を 観 察 して研 究 を 進め て い く点
で類 似
す るが、
提 供 し た 技 術の検 証 だ け が 目 的で は な く、
いか に活 動 その ものを 向 上 するか を主目的
に技術
を適用 し て い く点で、
立場が異 な る。
人 びと の活 動
そ の も の を情報
シ ステム と の関 連のも と 総 合 的 に デザイ ンす
るわ
れ わ れの ア プ ロー
チ は、
既存
工学 分 野 の 問 題 と い うよ りは、
情 報
デザ イン領 域の研 究 といえ るであ ろ う。
同 時 に、
情 報
システ ム を投
入 す るこ と に よ り人 び との メ ディア環 境 を自
ら デザ インして変 え よ う と する アプロー
チ は、
実 践 的 なメ ディア研 究であると もいえ よう。
情 報工学の領 域に お け る シ ス テ ム デザ イン の 壁 を 突 破 する には、
デザイ ン領 域 やメ デ ィア論 の領 域 な ど といっ た他
の関
連領 域
へ と越境 す
る必
要 が あ る。
3 .
実 践
事
例
わ れ わ れは これ まで、
前章
までに 述べ た研
究・
デザ イン の手
法 に 則 り、
複 数のメ ディア実 践 を 行っ てき た。
本 章
ではこ の具体
例 と して、
ケー
タ イ・
ト レー
ル !という わ れ わ れの開発
し た実
践 形 式 を 用い た2
つ の実 践 を紹
介 する。
こ の2
つの実践
の概
要 と と も に、
どの よ う な制
約の も と に ど のよう に情 報シス テム と 活 動 プログラ ム を デ ザ インし た か を示し、
提 案 手 法の利 点と課 題 を 明 ら か に す る。
2
つの実 践はオー
ス ト リア・
リンツ市 にて行
っ た メ デ ィア アー
ト展に おける 参 加 型 展 示の ワー
ク ショ ッ プ と、
愛媛
県 松 山 市 に おいて南 海 放 送 との連 撓で行っ た ク囗 ス メ デ ィア実
践であ る。
本章
では そ れ ぞ れ を 紹 介 す る 前 に ま ず、
ケー
タ イ・
トレー
ル1
の 形 式 を 紹 介 す ること か ら始 め る。
3.
1
ケー
タ イ・
ト レー
ル1
「ケー
タイ・
ト レー
ル1
」 は、
身
近 なツー
ルで あるケー
タ イ(
携 帯 電 話 端 末 )を用い て、
人 びとの 語 りを 集 め、一
定の ルー
ル に 従っ てその語 りをつ ないで いく 表 現 実 践の形 式である。 誰 も が 語る に 足 る物 語 を 持っ て い る に も関わ らず、
多
く の人が それ を表現
と し て他 者
に語 るこ と に困 難 さ を 感 じている。
自 身 の持
つ物語
か ら何
をど
う 切 り 取っ て 伝 え れ ばい い の か わ か ら な い、
語 り始
め る きっ か け をつか め ない、
といっ た 具 合である。
人
びとか ら 語 り を 引 き 出 す 試み と し て、
デジタ ル ス トー
リー
テ リン グ が あ げられる [Lambert
2002
]。
デ ジタ ル ス トー
リー
テ リング は、
典 型 的に は ワー
ク シ ョ ップ形 式で行 わ れ、
語 り を 写 真 や ナレー
ショ ン で構 成し、
PG
を 用 いて編集
してビ デオに する。語
りは、
聞
き手
と話 し手の共 同 行 為 の 結 果 といわ れ る が[
Bruner
1990
]
、
ワー
ク ショ ップ に はファシ リテー
タ や 他の参
加 者
と いっ た聞 き 手 が存
在 す る。
デ ジ タ ルス トー
リー
テ リングの ワー
クショッ プは、
参 加 者
の語 り を 引 き 出 すこ と に成 功して い る。
し か し、
大が か りなワー
ク シ ョ ップに参
加す る こ と な く、
もっ と気 軽 に、
日常 的 に、一
般 の人 びとが 語る こ と を促 進 したい。
そ れ がこの実践
の ひとつめ の狙い で あ る。
ケー
タ イ・
ト レー
ル1
の ワー
クシ ョ ッ プで は、
語 り を集
め、
引 き 出 す た めの道 具 と して、
ケー
タ イ を用
い る。 ケー
タ イ は 極 めて日 常 的 なデ バ イ ス であるが、
図2
のよ うにこ れ に 三 脚 を 取 り付
けて み ると、
急
にい つもの電 話とは 違 う 道 具 に 見 え て く る。
日常 的な世 界が ふ と し たきっ か けで別の見 え 方 を し て、
電 話が表 現の道 具に変 わる。
こ う し た 道 具 立て によっ て、
参
加 者の気 持 ち を、
日常
か ら非 日常
、 「語 り
の モー
ド」 へ と切り替えるこ とを 狙 う。
どのような もの で も、
視 点
を変
え る デザイ ン学研究特 集号sPecial
issueofjapanese
society
forthe
science
of
design Vol.17
−
4 NO.
682011_
謌
NII-Electronic Library Service
i
靉
萋
…
攀
晦
〆
搬 ゴ灘 饌
丶
も
勵
、
図2
.
三 脚 を 付 け た ケー
タ イ わtした ち は写奥を 厂制作す るた め k使って しま す 1中 賂 〉わ九 しは 写真を 伝え る ナ めL徳って』ます あなが が 伝K6 声 めtL 使って しる ものは な んでず カ7 図3
.
松 山で のケー
タイ・
トレー
ル1
実 践に おい て集め ら れ た 語 りの例 (一
部 ) と意 味
が変
わ るとい うこ と を 参 加 者に気 付 かせ る こ と で、
語る きっ かけ を与
え るのが 目 的である。
人 びとが 語る物 語は、
そ れ ぞ れ が完
結して存 在 するわ けで は な い。
それら は 互 い に関係
づけ られ、
位
置づけられ、
意 味づけ ら れ て い る。
こ の世の中は、
個 別の物 語がつな が り あっ た総体
と して の大 き な 物 語 と してわ れ わ れの前 に 立 ち 現 れる。
自
分自
身 の一
つ ひ とつ の 語 り は、
自 ら を 取 り巻 く文 脈 に 位置
づ け ら れて 意 味 を 持つ し、
その語 り が 新 た な 関係
や新
た な物 語
を誘
起し、
世の中に変化
を も たらす。Web
な どの 八 イ パー
テ ク ス ト は ま さに こ のよう な構
造を持
って い る が、
参
加 者の語 りに対 して こ の構 造
を強
調・
単
純 化して取 り入 れ るのが、
わ れ わ れの ワー
ク シ ョッ プ の ふ たつめの狙い で あ る。
そ のため に、
参
加者
が語
る表
現に以 下のよ う なルー
ル の フォー
マッ トを 適用
する仕 組
みを導
入した。 フ ォー
マ ッ ト は、
(
1
)
定 型文
に沿
っ て自
分に与
えられ た質
問 に 答 える、
回 答 を きっ か け に
自由
に話
す、
次の人 に
質
問 す る、
の3
パー
トか ら なる。
〔
3
〕
で の質 問 は、
次の人の(1
)にて回 答 さ れ、
前の人 から次の人へ とQ
&A
ゲー
ム や 文章
の し り と りのよう につ な がっ て い く。 語り の核
となる の は(
2
)
の パー
ト で あ るが、
これを引 き 出 す 仕 掛 けと し てもこ の フ ォー
マッ トは機能
す る。
ワー
ク ショ ッ プでは、
〔1
)〜
(
3
)
の ス ピー
チ を ケー
タ イの動 画 撮 影 機 能 を 用いて録 画 す る。
お 題 とフォー
マ ッ トの設 定 に よっ て、
テー
マ に沿っ た 人 び との 語 り を 集 め、
つ ない で い くこと ができる。
結
果の先
取 りになる が、
図3
に松 山で の実 践で集め ら れ た ムー
ビー
の一
部
のつな が り を示す。前
の人か ら の言葉
が次
の人
に引
き継
が れて い く さ ま が わ か る。
ケー
タ イ・
ト レー
ル1
の実 践には、
それ を 助 ける情 報
シ ス テ ム が 必須
である。集
めてき た ケー
タ イ ムー
ビー
を見
るため、
そ し て それら の間
のつな が りを 見るためである。一
つひ とつの語り
に注 目 す る うちは、
集
合 的 な 物 語の全 体 像 を 捉 え ることはでき ない。
リンツでの 実 践では、
会 場 内 壁 面 に 設 置 した 大スク リー
ン に接 続 関係
を投
影し て見せ た。松 山
で の実 践
で は、
これ をWeb
サイ トで見られ る よ うに し た。3
.
2
ア ル スエ レク トロ ニ カでの 実 践 第一
の事 例 は、
2008
年9
月にオー
ス トリ ア・
リ ン ツ市
に て開催
さ れ たArs
Electronica
2008
に お い て行
っ た ケー
タ イ・
ト レー
ル
1
ワー
クシ ョ ッ プであ
る[
Numa
2009
]
。
Ars
Electronica
[
註
6
]
は、
世
界有数
の メディア アー
トフェ スティバル の ひ と つであ
り、
人
口20
万 人 弱の リンツ 市 に おいて毎 年 多 数の参 加者
を得
て開催
されており、
この年 も3
万5
千 人 以 上 を 集めた。
し か し毎 年 多
数の来 場 が ある にも 関 わらず、
アー
ト 展参 加 者と 街 と が じゅうぶ ん に一
体 と なっ て いないといわ れ た。
そ こ で アー
ト展へ の来
場者
と街に住む人び と をつ な ぐ試 みの ひ とつ と し て、
参
加 型 展 示によ るワー
クショ ップ を 行い、
人 び と の語 り を集
め、
つ な ぐ試 み を 行っ た。
いか に 人 び と か ら語
り を 引 き 出 す か、
そ して いか にそれ をつな ぐ か とい っ た課
題に対
し、
「ケー
タ イ・
ト レー
ル1
」 というワー
クショ ッ フの形 式
と シ ス テ ム を 開発 し た。
わ れ わ れ出 展 者がフ ァ シ リ テー
タと し て、
展
示へ の来 場 者
や、
リン ツ市
街に いる一
般
の市 民 に 参 加 を依頼
し、
インタビュー
を撮 影 する。
携 帯 電 話 を 用い て、
参 加 者 の持
っ て い る もの(
携 帯 物 ) につ い て聞い た。
海 外で の実 践で 人 ぴとを 引 きつ け る 目 的 も 兼 ねて、
ファ シ リテー
タ は 江 戸 時 代 の旅 装 束 に 身 を 包 ん だ〔
当
時の旅
人 が 「携帯
」 の スペ シ ャ リ ス トであ る、
というアイデ ィアに基 づ く。図
4
参 照)
。
こ の ワー
クショ ッ プでは、
語 りと語 りの関 係 はシステム を 通 し て表 示 さ れ ることでは じ めて可 視 化 され る。
各 ムー
ビー
(語 り) をノー
ドとし、
そ れ らが 接 続 さ れるグラ フ構 造である。
グラ フ構
造の可 視 化
に は ば ねモ デ ル によるネ
ッ ト ワー
ク表
示も一
般 的
に 用いられるが、
こ の実 践
が一
般
の人
びとを対 象
とする アー
ト展
で の展 示であ
る こ と か ら、
旅
と いう一
貫 したコ ンセプ トに 基 づ く ビ ジュ ア ルデザ
インを行
っ た(
図5
)
。
画 面 右 時 間 方向
に 進 む旅 人
が携 帯物
を 順 に集
めつないでい く イ メー
ジである。
本 実 践は、
地 域で の コ ミュ ニ ケー
ショ ン を問題 と しつ つ、
広く つな ぐ こ と を狙った ワー
クシ ョ ッ プ設 計とし た。
システムも、
アー
ト展で の展 示 とい う制 約 か らデザ インを 施 し た。
3.
3
南海 放 送 メ
ディア リ テ ラ シー
プ
ロジ
ェク ト
で の実 践
第二の 実 践 は、
南 海 放 送(
愛 媛県松
山市)
との協働
にて行
わ れ58
デ ザ イン学 研究 特 集号sPec脚al Issueofjapanesesoci θtyforthescFencoofdesign
Vol