エ ゾ ノ ギ シ ギ シ (
R
um
e
X 0b
t
u
s
i
f
0l
i
μ
s
L.)
の防除に関する基礎的研究
1
.
種 子 の 熟 度 ・ 土 壌 水 分 が エ ゾ ノ ギ シ ギ シ 種 子 の 発 芽 に お よ ぼ す 影 響
緒 国安 井 芳 彦 ・ 村 山 三 郎 ・ 小 阪 進 一 ( 酪 農 学 園 大 学 〉
Fundamental S tudies on the Control of Broadleaf Dock (Rumex obtωifoluesL
.
)
1. Effects of grade of maturity seeds and soil moisture on the germination
of broadleaf dock
Yoshihiko YASUI, Saburo MURAYAMA
and Shin-ichi KOSAKA
(Rakuno Gakuen University. Ebetsu
,
069 Japn)牧草地は年次の経過にともない,雑草が侵入,繁茂し荒廃の原因となっている。とくにエゾノギシギシ (Rvmex obtωifoliuS' L.)は,刈取り後の再生力が極めて強く,多量の種子を生産して旺盛な繁殖
をする乙とから,草地の強害雑草とされている 4)5)。 そこで,本実験ではエゾノギシギシの防除に関する基礎資料を得るために,種子の熟度および土壌水分 条件を異にした場合,種子の発芽にいかなる影響をおよぼすかについて検討したので,その概要を報告す る。 材料および方法 実験場所は,北海道江別市文京台緑町の本学構内で行った。供試土壌は火山性土壌で,供試容器は,直 径
1
5
.
0
cm,深さ5
.
5
cmのシャーレを用いた。供試種子は,本学構内の牧草地で, 1989年8月15日に採 種し,室内に保存した種子を用いた。供試種子の熟度は表l
のような外観により,未成熟(
1
)
,未成熟(2), 成熟および完熟の4処理区を設けた。また土壌水分処理(水分/乾土g)は, 10係, 15%, 20弼および, 25係, 30%の5処理区を設けた。供試機器は,恒温機(NK
式人工気象器)を用い,温度条件は2O
.
C
で, 光条件は常時 10,000Luxを照射した。播種床はシャーレに所定の量の純水を注ぎ,その後火山性土壌を 充填した。燐種は,試験直前に内花被片を除去したエゾノギシギシ種子1
0
0
粒を幡いた。なお水分の蒸発 を防ぐため透明なビニーJレ袋で被覆した。実験は1990年4月16日から5月 6日まで, 3反復で実施した。 調査方法は,2
4
時間おきに発芽数を調べた。また発芽勢,発芽開始日,および平均発芽日数を算出した。 -77ーJ.Hokkaido Grassl.Sci. 25: 77 -81 (1991) 表 1 供試種子の外観 熟 成 度 葉 の 有 無 茎 の 色 外 花 被 片 の 色 果 穂 全 体 の 色 種 皮 の 色 未 成 熟 (1 ) あ り 黄 緑 色 未 成 熟 (2 ) あ り 黄 緑 色 成 熟 少々あり 黄 緑 色 完 熟 な し 黄 色 黄 緑 色 黄 緑 色 黄 色 うす茶色 うす茶色 うす茶色 茶 色 本 小 色 茶 色 褐 色 褐 色 茶 褐 色 結 果 1. 発 芽 率 エゾノギシギシにおける種子の熟度・土壌水分別の発芽率は,図lおよび表2のとおりである。すなわ ち,いずれの熟度においても, 10係区で初期段階から,顕著に発芽率が低くなり,最終日までその傾向が 認められた。 10各区以外の土壌水分処理区においては, 80"" 90係前後の高い発芽率を示した。完熟では, (%) 李成1t¥(1) 1回 91'1 回 布 団 団 尭 芽 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14(日) (%) 義 成 総(2) 1田 91'1 団 発 稲 田 芽 珂 40 ~3Ø 20 (%) 成費~
l
:
:
:
:
r
w砕窃噂:~写字母芳~か一 10%
凋T h -
。
ー
ー
15% 田~ f',' 1l--20% 発 7 O ↓ おー
ロ
-25% 団~r
食-...30% 芽田~ sI 率 必15
2
l
p
2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14(日) (%) 完熱 1田 91'1S
p
J
U
A
「
-
ぎ
詩
鋳
:
華
麗
回 尭7O 団 芽 田長
@
40 ~3Ø 泊 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14(日〉 1 2 3 4 5 6 7.8..9 10 11 12 13 14(日) 図1 エゾノギシギシ種子の熟度・土壌水分別の発芽率土壌水分処理区聞にばらつきがみられた。最高値は,成熟区,土壌水分
3
0
弼区,9
8
.
3
3
%であり,最低値 は,未成熟(
2
)
区,10%
区,1
4
.
3
3
係であった。また,30%
区において,成熟区で優り,未成熟(1)区,およ び未成熟(
2
)
区との聞に,それぞれ5
領水準の有意差が認められた。 表2
エゾノギシギシ種子の熟度・土壌水分別の発芽率(
%
)
ゴ二 埠量喜 スk づラ タ巴 玉里 l& 供 試 種 子 1 0 % 1 5 % 2 0 % 2 5 % 3 0 % 未 成 熟 (1 ) 未 成 熟 (2 ) 成 熟 完 熟 3 1 . 0 0 1 4 .3 3 2 5 .3 3 2 5 . 5 0 8 0 . 6 7 9 4 . 3 3 9 6 .0 0 8 1 . 3 3 8 7 . 3 3 9 3 . 6 7 9 7 . 6 7 9 6 . 3 3 8 6 .3 0 9 4 .3 3 9 5 . 7 4 8 8 . 3 3 8 8 . 6 7 b 8 9 . 3 3 b 9 8 . 3 3 a 9 2 . 0 0 ab l.s.d (5%) N S N S N S N S 8 .4 7 注 ) a.bの 異 な る ア ル フ ァ ベ ッ ト 間 に 有 意 差 あ り 2. 発芽開始日 エゾノギシギシにおける種子の熟度・土壌水分別の発芽開始日は,表3のとおりである。種子の熟度で みると,未成熟(1)区において,やや長い時聞を要した。そのほかの区で一定の傾向はみられなかった。土 壌水分別でみると,10%
区で,やや長くなる傾向がみられた。その他の区で、は,2
日の値を示し,一定の 傾向はみられなかった。 表3 エゾノギシギシ種子の熟度・土壌水分別の発芽開始日、
l J 口 H / ' t 、 こと 土麗 フ}く づヨト タ品 玉里 l& 供 試 種 子 1 0 % 1 5 % 2 0 % 2 5 % 3 0 % 未 成 熟 (1 ) 未 成 熟 (2 ) 成 熟 完 熟 3 .3 3 2 .6 6 2 . 3 3 2 .3 3 2 . 0 0 3 . 0 0 2 . 0 0 2 . 0 0 2 . 0 0 2 . 0 0 3 .0 0 2 .0 0 2 . 0 0 2 . 0 0 2 . 0 0 3 .0 0 2 .0 0 2 . 0 0 2 . 0 0 2 . 0 0 3. 発 芽 勢 エゾノギシギシにおける種子の熟度・土壌水分別の発芽勢は,発芽締切日を5日として,算出すると表4
のとおりである。種子の熟度別でみると,未成熟(1)区および完熟区において,低くなる傾向がみられた -79ーJ.Hokkaido Grassl.Sci. 25: 77 -81 (1991) そのほかの区では大差がなく,一定の傾向はみられなかった。土壌水分別でみると,いずれの熟度におい ても, 10係区で低い値を示した。最高値は,成熟区,土壌水分30%区の 97.67領,最低値は,未成熟(1)区, 土壌水分
1
0
係区の9.33%であった。 20%区では,成熟区,完熟区で優り,未成熟(1)区との間 5%水準で 有意差が認められた。また, 25%区および30%区では,成熟区で優り未成熟(1)区との聞に有意差が認めら れた。 表 4 エゾノギシギシ種子の熟度・土壌水分別の発芽勢 (%) ニヒ 主喪 フk づヨト タ晶 玉里 l2:S: 供 試 種 子 1 0 % 1 5 % 2 0 % 2 5 % 3 0 % 未 成 熟 (1 ) 1 7 .0 0 7 6 . 0 0 7 6 . 0 0 b 7 3 . 0 0 b 7 8 . 6 7 b 未 成 熟 (2 ) 9 .3 3 8 9 .3 3 8 7 .6 7 ab 9 0 . 0 0 ab 8 2 . 6 7 ab 成 熱 2 1 . 6 7 9 3 . 3 3 9 6 . 6 7 a 9 5 . 7 4 a 9 7 . 6 7 a フ聖堂ロ, 熱 1 3 . 6 7 6 9 . 0 0 9 4 . 0 0 a 7 3 . 3 3 ab 8 9 . 6 7 ab l.s.d (5%) N S N S 1 4 . 7 2 2 2 .4 8 1 6 . 9 6 注 )a.bの 異 な る ア ル フ ア ベ ッ ト 聞 に 有 意 差 あ り 4. 平均発芽日数 エゾノギシギシにおける種子の熟度・土壌水分別の平均発芽日数は表5のとおりである。種子の熟度で みると,未成熟(1)区においてやや長くなる傾向にあったが,そのほかの区間では大差がなく,一定傾向は みられなかった。土壌水分別でみると, 10%区では 4""'6日と長くなり,ほかの土壌水分処理区聞には, 一定の傾向はみられなかった。 10領区においては,完熟区でやや長くなり他の熟度区との聞に, 20%区で 表5 エゾノギシギシ種子の熟度・土壌水分別の平均発芽日数 (日) ニヒ 怠麗 フk づヨト タ晶 玉里 IR 供 試 種 子 1 0 % 1 5 % 2 0 % 2 5 % 3 0 % 未 成 熟 (1 ) 6 . 1 8 3 . 3 0 b 4 . 2 8 a 4 .4 7 a 4 .3 8 a 未 成 熱 (2 ) 6 .5 2 3 . 5 4 b 3 . 6 1 b 3 .4 0 b 3 . 6 7 ab 成 熱 4 .6 4 3 . 3 9 b 3 . 1 5 c 2 .9 8 b 2 . 9 5 c 信 7念t 熱 6 .7 8 4 . 1 0 a 3 .3 9 bc 4 .0 7 a 3 . 3 4 b l.s.d (5%) N S o .5 3o
.3 3 1 . 0 6 o . 7 1 注 )a. b. cの 異 な る ア ル フ ァ ベ ッ ト 聞 に 有 意 差 あ りは,未成熟(1)区で長くなり,未成熟(2)区および成熟区との間, 25係区は,未成熟(1)区および完熟区で長く なり,未成熟(2)区および成熟区との聞に,それぞれ 5係水準で有意差が認められた。また 30係区では,未 成熟(1)区やや長くなり,成熟区および完熟区との聞に5領水準で有意差が認められた。 考 察 清 水8)は,エゾノギシギシ種子の登熟期間は30,...._,40日かかるが,温度が高ければすみやかになる。 登熟過程での種子の発芽習性は変化するが,開花後約