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国際投信アジア・マーケット・マンスリー

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Academic year: 2021

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巻末の「本資料関してご留意頂きたい事項」および「本資料中で使用している指数について」を必ずご覧ください。 1

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アジア・マーケット・マンスリー

(*)本稿は、「エマージング・マーケット・マンスリー」にも掲載しています。

経 済 調 査 室

【マレーシア】 アジア最弱通貨から最強通貨に転じたリンギの今後の方向性を考える

*

【マレーシア】 アジア最弱通貨から最強通貨に転じたリンギの今後の方向性を考える ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1ページ

【エマージング・マーケット・ウォッチ】 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7ページ

【図1】 固定資本投資の急伸などによって1-3月期のGDP成長率は加速(右)

【図2】 急伸した農林漁業生産、底堅い製造業とサービス部門の伸び(左)

 市場予想を上回って加速した1-3月期のGDP成長率

出所)マレーシア統計局、CEIC 出所)マレーシア統計局、CEIC マレーシア・リンギ相場が堅調です。今年3月末より6月7日にかけて、同通貨は対 米ドルで+3.9%と、主要アジア通貨最大の上昇率を記録。昨年11月の米大統領選挙よ り今年3月末まで低迷を続け主要アジア通貨で最弱となった同通貨は、一転して同最 強通貨となりました。何が相場の反発をもたらしたのか、今後も相場は堅調に推移 するのか。本稿では、今後のリンギ相場の動向について考察します。まず、足元の 景気物価動向について概観し(1-3頁)、今後の金融政策の方向性について考察(3頁)。 次に昨年11月に行われた為替取引規制の強化の影響と海外債券投資家の動向や(4-5 頁)、今年4月以降の債券投資資本流入の再開と為替相場反発の背景について分析し た上で(5-6頁)、今後のリンギ相場の動向について考察します(6頁)。 足元の景気は極めて堅調です。5月19日、政府は1-3月期の実質GDPが前年比+5.6% と前期の+4.5%より加速し、市場予想(Bloomberg集計の中央値)の+4.8%を大きく上 回ったことを公表。季節調整済みの前期比年率は+7.5%と前期の+5.1%から加速、足 元の景気拡大の勢いは強い模様です(図1左)。需要側では、民間設備投資を中心に固 定資本投資が急加速するとともに民間消費も加速し、政府消費も反発(図1右)。内需 (在庫投資を除く)は前年比+7.7%と前期の+3.2%より急伸し、外需のマイナス寄与の 影響を相殺して成長率を押上げました。民間消費は前年比+6.6%と前期の+6.1%より 加速。低所得家計向けの政府の現金給付(BR1M)の増額や雇用環境の改善などにより ます(図3左)。政府消費は同+7.5%と前期の▲4.2%より反発。公務員給与と財サービ ス購入とも伸びが加速しました。固定資本投資は同+10.0%と前期の+2.4%より加速。 公的投資が同+3.2%と前期の▲0.4%から反転し3期ぶりにプラスとなり、民間投資も 同+12.9%と急加速しました。分野別では設備投資が同+21.8%と前期の+2.9%より急 伸し、GDP成長率を+2.0%ポイント押上げ。製造業部門の複数の大型投資によります。 -15 -10 -5 0 5 10 15 2007 2009 2011 2013 2015 2017 実質GDP成長率(四半期) (%) 前期比年率 (棒: 季節調整済) 前年比 (線) 注) 直近値は 2017年1-3月期 (年) -12 -10 -8 -6 -4 -2 0 2 4 6 8 10 12 14 16 2007 2009 2011 2013 2015 2017 民間消費 在庫投資 注) 直近値は 2017年1-3月期 (%) 実質GDP前年比と寄与度(四半期) 固定資本 投資 純輸出 政府消費 実質GDP (年) -20 -15 -10 -5 0 5 10 15 20 25 2007 2009 2011 2013 2015 2017 (%) 鉱業 製造 実質GDP(部門別)の前年比(四半期) 注) 直近値は 2017年1-3月期 (年) 建設 サービス 農林漁業 -12 -10 -8 -6 -4 -2 0 2 4 6 8 10 12 -20 -15 -10 -5 0 5 10 15 20 2009 2011 2013 2015 2017 鉱工業生産の伸び率(月次) (%) 前年比 (線:左軸) 前月比 (棒:右軸) 注) 前月比は季節調整済 直近値は2017年3月 (年) (%)

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 急伸した農林漁業と底堅い製造業・サービス部門

 今後も内外需にけん引され堅調な景気拡大が継続か

外需では、世界景気の回復に伴って総輸出が同+9.8%と前期の+2.2%より加速し、総 輸入も同+12.9%と前期の+1.6%より加速。資本財と中間財の輸入が急伸した影響です。 純輸出の寄与度は▲1.2%ポイントと前期の+0.5%ポイントより反落しました。 生産側では、鉱業以外の殆どの部門が加速。農林漁業が急反発するとともに製造業、 建設業、サービス部門が加速しました(図2左)。農林漁業は同+8.3%と前期の▲2.5%よ り急反発しました。油やしが同+17.7%、天然ゴムが同+23.5%と急伸し生産を押上げ (図3右)。天候条件の改善に伴う収穫量の増加によります。鉱業は同+1.6%と前期の +5.0%より鈍化。産油国による協調減産によります。製造業は同+5.6%と前期の+4.7% より加速。輸出の伸びにけん引されて、運輸機器が同+3.5%と前期の▲3.1%より反転 し、電子・電器も同+7.9%と前期の+7.3%より加速しました。建設業は同+6.5%と前期の +5.1%より加速。石油化学、発電、運輸部門の土木建築や住宅建設がけん引役となり ました。サービス部門は同+5.8%と前期の+5.5%より加速しました。内需と外需の回復 に伴って幅広い業種が改善。運輸・倉庫、通信、金融、不動産、政府サービスが加速し、 小売や飲食は前期よりやや鈍化しつつ同+7%台の高い伸びとなりました。 一昨年より鈍化を始めた景気は昨年半ばに底を打ち、足元で加速しているとみられ ます。雇用環境の改善、パーム油や天然ゴム価格の安定化に伴う農業所得の改善など が今後も民間消費を支えるでしょう。2017年度予算による低所得家計向け現金給付 (BR1M)は、2月、6月、8月に実施されます。現金給付による消費の押上げは一時的な ものであり、かつ、2020年度までの財政均衡を目指す政府にとって同様の支出を続け ることは困難です。しかし、2018年までの総選挙を控える中、歳出の大幅抑制は難し かった模様です。上記の給付は今年7-9月期までの家計消費を押し上げるでしょう。 1-3月期に急伸した民間設備投資は変動が大きく、4-6月期以降には反動減も予想さ れます。しかし、製造業とサービス部門の多額の投資計画や一次産品価格の安定化を 受けた鉱業部門の投資の増加もあり、同投資は減速しつつ底堅い拡大を続けるとみら れます。輸出は、世界景気の拡大や相対的に割安なリンギ相場(図4左)に支援され今後 も伸び、今年末にかけて世界的な電子需要の一巡とともに鈍化を始めると思われます。 生産側では輸出志向の製造業や天候条件の改善の恩恵を受ける農業の伸びが続くで しょう。今年通年の成長率は+5%強と昨年の+4.2%より加速すると予想されます。

【図3】 改善する雇用環境(左)、加速するパーム油とゴム生産の伸び(右)

【図4】 相対的に割安なリンギ相場(左)、4月の消費者物価の伸びは鈍化(右)

出所)マレーシア統計局、CEIC、Bloomberg 出所)マレーシア統計局、マレーシア・パーム油庁(MPOB)、CEIC 1.4 1.6 1.8 2.0 2.2 2.4 2.6 2.8 3.0 3.2 3.4 3.6 -6 -4 -2 0 2 4 6 8 2010 2012 2014 2016 失業率と製造業雇用者数(月次) 製造業雇用者数 前年比(左軸) 失業率(右軸) (%) 注) 3ヵ月移動平均 直近値は2017年3月 (年) (%) 75 80 85 90 95 100 105 110 115 120 125 130 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 タイ 韓国 フィリピン 台湾 シンガポール マレーシア インド インドネシア 香港 主要アジア通貨の実質実効為替相場 注) 2012年1月3日=100として指数化 直近値は2017年6月5日 (年) -50 -40 -30 -20 -10 0 10 20 30 40 50 2007 2009 2011 2013 2015 2017 天然ゴム 注) 3ヵ月移動平均 直近値は、2017年3月 (%) 主要農産物生産の前年比(月次) パーム原油 (年) -4 -2 0 2 4 6 8 10 2006 2008 2010 2012 2014 2016 (%) コア物価 総合物価 消費者物価の前年比(月次) 注2)直近値は 2017年4月 (年) 注1)コア物価は、総合物価より 自動車用燃料と飲食料を 除いて計算

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 3月に加速した物価は、燃料物価の鈍化で4月より低下

 中央銀行は今年末以降に利上げを開始か

今年3月にかけて上昇した物価は4月より低下しています。4月の総合消費者物価は前 年比+4.4%と前月の+5.1%より低下。昨年12月の+1.8%より3ヵ月連続で上昇した後、物 価はひとまず鈍化しました(図4右)。燃料が同+29.2%と前月の42.1%より低下し、総合 物価を押下げ。足元の燃料小売価格の低下と、前年同月の同価格引上げ(RON95ガソリ ン: 1リッター 1.6リンギ→1.7リンギ)からの反動(ベース効果)によります(図5左)。食品 は同+4.2%と前月の+4.1%よりやや上昇(図5右)。天候条件の改善で野菜や果物が鈍化し たものの、肉や魚など高タンパク食品が上昇しました。コア物価は同+2.5%と前月と 同率。堅調な景気拡大にもかかわらず、需要側からの物価上昇圧力は限定的です。 今年5月のガソリン価格(月中平均)は1リッター2.1リンギと4月の2.2リンギより低下 (図5左)。5月の燃料価格の前年比は4月より鈍化し、総合物価の前年比を+4%前後まで 押下げるでしょう。昨年は10-12月にかけて同価格が引上げられており、前年高ベース 効果から今年年末にかけて同物価の前年比はさらに低下すると予想されます。今後、 燃料小売価格の大幅な上昇がない限り、今年通年の総合物価の上昇率は+4%前後と、 バンク・ネガラ・マレーシア(BNM)の予想の範囲(+3-4%)に収まるとみられます。 今年3月にかけて消費者物価が上昇したものの、BNMは政策金利の据置きを続けて います。5月12日、BNMは政策金利を3%に維持。据置きは昨年9月以降5回連続であり (図6左)、Bloomberg集計でエコノミスト22人全員が予想した通りの決定でした。 BNMの声明は、世界景気について先進国と新興国の成長が同時に加速し成長見通し の改善が続く兆しがあると記述。国内景気については、昨年後半に始まった景気回復 は今年1-3月期に加速し今年いっぱい勢いが持続するであろうと、先行きに自信を深め た模様です。物価に関して、原油価格の動向次第ではあるが総合物価は今年後半に鈍 化すると予想。落着いた内需の下でコスト要因による物価押上げの影響は限定的で、 コア物価は穏やかにしか上昇しないであろうと指摘しました。現在の政策に関しては、 前回と同様に「緩和的で景気を支えている」と指摘。好調な景気と沈静化が見込まれる 物価の下、直ちに政策金利を変更する必要はないとの考えをうかがわせます。総合物 価の鈍化が見込まれる中、BNMは今後も当面政策金利の据置きを続けるでしょう。そ の後、景気拡大の継続に伴って産出ギャップが縮小し需要側からの物価上昇圧力が 徐々に高まる中、今年年末から来年初にかけて利上げの時期を探ると予想されます。

【図5】 ガソリン小売価格は足元で低下(左)、食品物価はやや上昇(右)

【図6】 政策金利を据置く中央銀行(左)、4月より上昇に転じたリンギ相場(右)

出所)バンク・ネガラ・マレーシア(BNM)、Bloomberg 出所)マレーシア財務省、マレーシア統計局、CEIC -2 -1 0 1 2 3 4 5 6 2011 2013 2015 2017 野菜・果物 穀物等 食品物価 食品物価の前年比(月次) (%) 注) 食品物価の前年比と主要項目別寄与度、 直近値は2017年4月 牛乳・卵・ 肉・魚 その他 (年) 1.4 1.6 1.8 2.0 2.2 2.4 2.6 2.8 3.0 3.2 2010 2012 2014 2016 ガソリン小売価格(日次) (リンギ/リッター) ガソリン (RON95) プレミアム・ガソリン (RON97) (年)

注) RON (Research Octane Number)は、ガソリンの オクタン価の指標 直近値は2017年6月7日 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 4.0 4.5 5.0 5.5 2006 2008 2010 2012 2014 2016 政策金利と市場金利(日次) (%) 10年国債 3年国債 政策 金利 注) 直近値は 2017年6月7日 銀行間3カ月 金利(KLIBOR) (年) 2.6 2.8 3.0 3.2 3.4 3.6 3.8 4.0 4.2 4.4 4.6 700 800 900 1,000 1,100 1,200 1,300 1,400 1,500 1,600 1,700 2008 2010 2012 2014 2016 為替相場と外貨準備 (億米ドル) (リンギ/米ドル) 外貨準備(左軸) 直近値:2017年5月31日 リンギ相場:(右軸) 直近値: 2017年6月7日 (年) リ ン ギ 高 ↕ リ ン ギ 安

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 昨年11月より低迷していたリンギは今年4月より反発

 中央銀行による為替取引規制強化を嫌気した市場

通貨リンギは、米大統領選挙のあった昨年11月8日から今年3月末にかけて対米ドル で▲5.1%下落した後、6月7日にかけて同+3.9%上昇。3月末までの主要アジア通貨最弱 の地位から一転、同最強通貨に転じました(図6右、図7)。 昨年11月から今年3月にかけての通貨低迷は、(a)為替取引規制の強化に伴う不透明 感の高まり、(b)外国人による多額のリンギ建て国債保有額(図8左)、(c)国内為替市場の 流動性の低さ(図8右)、(d)低水準の外貨準備残高(図9左)など対外収支の弱さへの懸念な どによるとみられます(本レポート1月号 4-6頁参照)。昨年11月8日の米大統領選挙の直 後より、米新大統領による減税やインフラ投資が米景気と物価を押上げるとの期待か ら米長期金利が上昇し、新興国債券に流入してきた投資資本が流出。同国からも多額 の資本が流出しリンギ相場を押し下げました。同選挙の直後の11月11日には、同国債 が売込まれ為替ヘッジのための先物ドル買いの動きも加速し、相対的に流動性の低い 同国の国内為替市場では流動性が枯渇。ドルの出し手が姿を消し、直物取引も一時成 立しなくなりました。為替市場の混乱に伴って投資家の間に広まった懸念は、その後 のマレーシア当局による規制強化の動きによって更に深まりました。 BNMは、投機的な為替取引を問題視。11月13日に、国内銀行による海外為替先物 (NDF: ドルによる差金決済)の取引が禁じられていることを改めて通知し、上記の規制 の実効性を高める措置を導入すると公表しました。一部の報道によれば、BNMは国内 銀行に対して海外の取引相手に「リンギのNDFを取引しない」という誓約書を提出させ るよう要求。BNM総裁は、11月18日の講演で、「NDF取引を行わないことを確約しな かった外国銀行とは取引しないよう国内銀行に通告した」と発言し、上記の報道が事実 無根ではなかったことを示唆しました。同国で事業を行う主要外国銀行が相次いで NDF取引を自粛する中、NDFの取引高は急減しました(図9右)。 BNMは、海外でのリンギ為替先物取引の根絶を目指す一方で、国内為替市場の育成 にも着手しました。12月2日には、国内為替取引の自由化を含む措置(12月5日より適 用)を公表。海外投資家は、リンギ建て資産の25%相当までを投資取引証明を提出する ことなく国内為替先物でヘッジすることが可能になり、国内投資家も同様に海外投資 資産の為替ヘッジが可能になりました。また、国内投資家による為替ヘッジは、1銀行 6百万リンギ以内(純額)であれば投資取引証明を提出することなく可能になりました。

【図7】 3月にかけて低迷したリンギはその後反発しアジア最強通貨に

【図8】 外国人による多額の国債投資額(左)、低水準の為替取引高(右)

出所)バンク・ネガラ・マレーシア(BNM)、CEIC、Bloomberg 出所)Bloomberg -14 -12 -10 -8 -6 -4 -2 0 2 4 韓国 台湾 シンガポール マレーシア タイ フィリピン インドネシア インド ブラジル メキシコ コロンビア ペルー ポーランド ハンガリー トルコ 南アフリカ アジア NIEs 東南 アジア 南アジア 中南米 欧州 中東 アフリカ (%) 主要新興国通貨の対米ドル相場騰落率 (2016年11月8日~2017年3月31日) -6 -4 -2 0 2 4 6 8 韓国 台湾 シンガポール マレーシア タイ フィリピン インドネシア インド ブラジル メキシコ コロンビア ペルー ポーランド ハンガリー トルコ 南アフリカ アジア NIEs 東南 アジア 南アジア 中南米 欧州 中東 アフリカ (%) 主要新興国通貨の対米ドル相場騰落率 (2017年3月31日~6月7日) 0 20 40 60 80 100 120 140 160 -10 -5 0 5 10 15 20 25 2015 2016 2017 為替取引高と先物金利( (日次) (%) 海外為替先物 金利: NDF-1m (線:左軸) 国内為替市場 日々取引高: 20日移動平均 (棒:右軸) 注) 直近値は 2017年6月7日 (年) (億米ドル) ( 0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 55 0 200 400 600 800 1,000 1,200 1,400 1,600 1,800 2,000 2006 2008 2010 2012 2014 2016 外国人の国債投資(月次) 残高 (棒: 左軸) 保有比率 (線: 右軸) (億リンギ) 注) リンギ建普通 国債(MGS) 直近値は 2017年5月 (年) (%)

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 昨年11月より保有国債の売却を進めた海外投資家

 3月の国債大量償還時に資本流出が加速

当局は、リンギ売りを抑制する措置も導入。リンギ建て借入を有する居住者による 国内での外貨建て資産購入への上限(個人: 百万リンギ、法人:5千万リンギ)、輸出業者 による外貨支払の先物ヘッジを6ヵ月以内のものに限る規制が設けられました。この他、 輸出代金の75%をリンギに交換する義務(従来は6ヵ月以内の国内持込のみ義務付け、 全額の外貨保有も可能)も設けられました。当局は、輸出業者に対して市場金利を上回 る年利3.25%の特別預金制度(SDF)を提供。輸出代金のリンギへの交換を促すための措 置とみられます。また、国内取引の決済をリンギで行うことも義務付けられました。 こうした中で、同国国債市場からの資本流出が継続。昨年11月から3月までに累計 486.7億リンギ(138.2億米ドル)の資本が流出しました(図10左)。BNMによると11-12月に は外国銀行、それ以降は海外機関投資家による売りが集中。銀行は、海外NDFを用い て調達したリンギ資金(NDFリンギ売り/直物リンギ買い)による国債投資(金利裁定取 引)を解消したとみられます。一方、海外機関投資家は不透明な政策運営などを嫌い、 参照債券指標に対してでオーバーウェイトとしていた同国債をアンダーウェイトとす るべく売却を進め、参照指標を持たない投資家も国債の処分を急いだ模様です。 今年3月には、同市場からの流出額が275.1億リンギまで拡大(図10左)。同月の国債償 還額は大きく、償還期限を迎えた国債を保有していた投資家は再投資を行わないこと で投資額の圧縮を図った模様です。市場参加者によれば、大手海外機関投資家の一部 は債券指標の算出先に対して同国債の比重引下げを打診。参照指標比で可能な限りア ンダーウェイトとしたものの、更なる売却ができないかを検討した模様です。代表的 な新興国債指標であるJPM-GBI-EMでは同国債の比重が若干引下げられたものの、ア ルゼンチン債等の追加が理由であり、マレーシアの国債や為替市場の流動性の低下が 理由ではありません。国債市場の流動性は相応に高く、相対的に流動性が低い国内為 替市場についてもBNMが直先物取引に応じて市場に流動性を供給していることを見る 限り、今後も主要指標の比重の引下げが行われる可能性は低いと考えられます。 3月まで低迷していたリンギ相場は4月より反発(図6右)。(a)規制の効果もあり達成さ れた国内市場の安定、(b)BNMによる為替取引自由化への評価、(c)国債売却の一巡、 (d)通貨の割安感などが相場の反転を促しました。4月13日、BNMは、外国人によるリ ンギ建て投資資産のアクティブ・ヘッジ上限を総資産の25%から100%に引上げました。

【図9】 短期対外債務と同水準の外貨準備(左)、低下するNDF取引高(右)

【図10】 4月以降国債市場に資金が回帰(左)、減少する純外貨準備(右)

出所)バンク・ネガラ・マレーシア(BNM)、CEIC 出所)バンク・ネガラ・マレーシア(BNM)、DTCC、CEIC、Bloomberg 0 250 500 750 1,000 1,250 1,500 1,750 2,000 2,250 2,500 1995 2000 2005 2010 2015 (億米ドル) 外貨 準備 (線) 注) 広義外貨準備は 銀行の対外資産を含む 直近値は 債務:2017年3月 広義外貨準備:同年4月 外貨準備:同年5月 対外債務と対外資産 長期 債務 (棒) 短期 債務 (棒) 広義 外貨 準備 (線) (年) 0 10 20 30 40 50 60 70 2016 2017 (億米ドル) 原数値 20日移動平均 リンギNDFの日々取引高(日次) 注) 直近値は 2017年6月6日 (年) -400 -200 0 200 400 600 800 1,000 1,200 1,400 1,600 1,800 2001 2006 2011 2016 (億米ドル) 注) 直近値は 2017年4月 外貨準備残高(月次) (年) 総外貨準備(a) 先物持高(b) 純外貨準備 (a+b) -300 -250 -200 -150 -100 -50 0 50 100 150 2014 2015 2016 2017 国債(MGS) 短期債 注) 短期債は中央銀行債 (BNB)と短期国債 直近値は2017年5月 合計 外国人の国債投資額増減(月次) (億リンギ) (年) イスラム 国債(GII)

(6)

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 4月以降、割安な同国資産を買戻した海外投資家

【図11】 海外への直接投資(左)と証券投資(右)は足元で鈍化基調

【図12】 世界景気の回復を受けて、電子・電器などの輸出の伸びが加速(左)

 資本流入の継続に伴ってリンギ相場は当面底堅く推移か

出所)マレーシア統計局、CEIC 前述のとおり、海外機関投資家は3月の国債大量償還の時期を捉えて、国債保有額を 圧縮。この時点で、参照指標に対するアンダーウェイトの上限に達した投資家も少な くなかったとみられます。年初からの米ドル安基調もあり、新興国資産の価格は堅調 に推移。新興国債券ファンドへの資金流入が続きファンドの資産規模が拡大する中、 同国債を買い増さざるを得なくなった投資家も少なくなかったとみられます。こうし た中、4月には6ヵ月ぶりに国債市場への資本が流入超過となりました(図10左)。BNM の規制緩和を好感した海外投資家は、年初より多くの新興国通貨が対米ドルで上昇す る中でも低迷を続け割安に放置されてきたリンギ(図4左)を買戻し始めた模様です。 今後の相場見通しには不透明感も残ります。今年9月15日と10月31日に多額の国債償 還期限が到来(9月:約160億リンギ、10月:約130億リンギ)。参照指標を用いない海外投 資家がこの機会に保有国債の再投資を行わず償還金を米ドルに交換する可能性も否定 できません。また、BNMの純外貨準備(先物持高を加算)は4月末時点で786.9億米ドル と昨年10月より149.6億米ドル減少(図10右)。先物市場でのドル売り介入によります。 今後の資本流入局面では、外貨準備の増強のためのドル買い介入も予想されます。 出所)マレーシア統計局、CEIC しかし、リンギ相場の支援要因も少なくありません。世界景気が底堅く拡大する一 方、米国の金融政策の正常化は漸進的に行われる見通しです。米長期金利や米ドル相 場が大きく上昇しない中、相対的に高金利の新興国への資本流入が続いています。同 国の株式市場には、年初より5月末にかけて累計23.4億米ドルの資本が流入。4月以降 の国債市場への資本流入再開もあり証券投資資本は流入基調です。加えて、居住者に よる対外投資(年金基金による対外証券投資や国有企業による対外直接投資など)も、 政府による投資抑制の指導の下、足元で投資額は抑制されています(図11)。 また、一次産品価格の底打ちと安定化に伴って同国の交易条件は改善。世界景気の 回復や半導体需要の高まりも加わり、輸出は堅調に伸びています(図12左)。これまで 続いてきた経常黒字の縮小が一巡しつつあることも支援材料の一つです(図12右)。加 えて、今年から来年にかけては中国国有企業による直接投資やサウジアラビアによる 同国石油公社との合弁出資(ジョホールの精製施設と石油化学施設で、約70億米ドル) などの資本流入も見込まれます。為替相場の安定化、4-5月の相場上昇後も残る通貨の 割安感にも支えられ、リンギ相場は当面底堅く推移すると予想されます。(入村) -100 -80 -60 -40 -20 0 20 40 60 80 100 120 140 160 2006 2008 2010 2012 2014 2016 財貿易 経常移転 所得 注) 直近値は 2017年1-3月期 サービス 経常収支 経常収支(四半期) (億米ドル) (年) -250 -200 -150 -100 -50 0 50 100 150 200 2000 2005 2010 2015 直接投資収支(四半期) (億米ドル) 注) 4四半期移動累計 直近値は2017年1-3月期 (年) 海外からの 投資(a) 海外への 投資(b) 純投資 (a+b) -400 -300 -200 -100 0 100 200 300 400 2000 2005 2010 2015 証券投資収支(四半期) (億米ドル) 注) 4四半期移動累計 直近値は 2017年1-3月期 (年) 海外からの 投資(a) 海外への 投資(b) 純投資 (a+b) -20 -15 -10 -5 0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 2010 2012 2014 2016 輸出額前年比と寄与度(月次) (%) 総輸出 電子・電器 石油 ガス等 その他 注)リンギ建輸出額前年比 石油ガス等にパーム油を含む 直近値は2017年4月 (年)

(7)

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【アジア・マーケット・ウォッチ】 (1) 株価

注1)直近値は、2017年6月7日。

注2)ベトナムとスリランカはMSCIフロンティア・マーケット インデックス、その他はMSCI オールカントリー・ワールド インデックスの国別指数(現地通貨ベース、配当込み)。 出所)MSCI、Bloombergより当社経済調査室作成 (すべて指数) 40 50 60 70 80 90 2013 2014 2015 2016 2017 (年) 中国 250 270 290 310 330 350 370 390 410 2013 2014 2015 2016 2017 (年) 台湾 10,000 11,000 12,000 13,000 14,000 15,000 2013 2014 2015 2016 2017 (年) 香港 450 500 550 600 650 700 750 2013 2014 2015 2016 2017 (年) 韓国 1,300 1,400 1,500 1,600 1,700 1,800 1,900 2013 2014 2015 2016 2017 (年) シンガポール 500 520 540 560 580 600 620 640 660 680 2013 2014 2015 2016 2017 (年) マレーシア 350 400 450 500 550 600 2013 2014 2015 2016 2017 (年) タイ 4,000 4,500 5,000 5,500 6,000 6,500 7,000 2013 2014 2015 2016 2017 (年) インドネシア 900 1,000 1,100 1,200 1,300 1,400 1,500 2013 2014 2015 2016 2017 (年) フィリピン 450 500 550 600 650 700 2013 2014 2015 2016 2017 (年) ベトナム 600 700 800 900 1,000 1,100 1,200 2013 2014 2015 2016 2017 (年) インド 500 550 600 650 700 750 800 850 2013 2014 2015 2016 2017 (年) スリランカ

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【アジア・マーケット・ウォッチ】 (2)自国通貨建国債利回り

注) すべて5年国債利回り、直近値は、2017年6月7日。 出所)Bloombergより当社経済調査室作成 2.0 2.5 3.0 3.5 4.0 4.5 5.0 2013 2014 2015 2016 2017 (%) (年) 中国 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2 1.4 2013 2014 2015 2016 2017 (%) (年) 台湾 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2 1.4 1.6 1.8 2013 2014 2015 2016 2017 (%) (年) 香港 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 2013 2014 2015 2016 2017 (%) (年) 韓国 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 2013 2014 2015 2016 2017 (%) (年) シンガポール 3.0 3.2 3.4 3.6 3.8 4.0 4.2 2013 2014 2015 2016 2017 (%) (年) マレーシア 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 4.0 2013 2014 2015 2016 2017 (%) (年) タイ 4.0 5.0 6.0 7.0 8.0 9.0 10.0 2013 2014 2015 2016 2017 (%) (年) インドネシア 2.0 2.5 3.0 3.5 4.0 4.5 5.0 5.5 2013 2014 2015 2016 2017 (%) (年) フィリピン 4.0 5.0 6.0 7.0 8.0 9.0 10.0 2013 2014 2015 2016 2017 (%) (年) ベトナム 6.0 6.5 7.0 7.5 8.0 8.5 9.0 9.5 10.0 2013 2014 2015 2016 2017 (%) (年) インド 6.0 7.0 8.0 9.0 10.0 11.0 12.0 13.0 2013 2014 2015 2016 2017 (%) (年) スリランカ

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【アジア・マーケット・ウォッチ】 (3)アジア通貨の対ドル相場

アジア通貨高 ドル安 アジア通貨安 ドル高 アジア通貨高 ドル安 アジア通貨安 ドル高 アジア通貨高 ドル安 アジア通貨安 ドル高 注) 単位は、アジア通貨/米ドル(1米ドル=アジア通貨)、直近値は、2017年6月7日。 出所)Bloombergより当社経済調査室作成 6.0 6.2 6.4 6.6 6.8 7.0 2013 2014 2015 2016 2017 (年) 中国元 28 29 30 31 32 33 34 2013 2014 2015 2016 2017 (年) 台湾ドル 7.74 7.76 7.78 7.80 7.82 7.84 2013 2014 2015 2016 2017 (年) 香港ドル 1,000 1,050 1,100 1,150 1,200 1,250 2013 2014 2015 2016 2017 (年) 韓国ウォン 1.20 1.25 1.30 1.35 1.40 1.45 1.50 2013 2014 2015 2016 2017 (年) シンガポール・ドル 2.8 3.0 3.2 3.4 3.6 3.8 4.0 4.2 4.4 4.6 2013 2014 2015 2016 2017 (年) マレーシア・リンギ 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 2013 2014 2015 2016 2017 (年) タイ・バーツ 9,000 10,000 11,000 12,000 13,000 14,000 15,000 2013 2014 2015 2016 2017 (年) インドネシア・ルピア 40 42 44 46 48 50 52 2013 2014 2015 2016 2017 (年) フィリピン・ペソ 20,500 21,000 21,500 22,000 22,500 23,000 2013 2014 2015 2016 2017 (年) ベトナム・ドン 58 60 62 64 66 68 70 2013 2014 2015 2016 (年) インド・ルピー 125 130 135 140 145 150 155 2013 2014 2015 2016 2017 (年) スリランカ・ルピー

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