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64ビットOSにおける大規模メモリ効果

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Academic year: 2021

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64ビットOSにおける大規模メモリ効果

爲重 貴志† 高本 良史 大辻 彰 中島 隆夫‡ (株)日立製作所中央研究所† (株)日立製作所ソフトウェア事業部‡ 1.はじめに いった型が存在する。また、検索条件カラムに 対しては、インデックスが作成されている。 近年、CPU チップ・レベル、OS レベル、アプ リケーション・レベルで 64 ビットへの対応がな され、64 ビットシステムが実用化され始めてい る。データベース分野では、リレーショナル・ データベース(RDB)における VLM(Very Large Memory ) あ る い は 、 LIMD ( Large-scale In-Memory Database)と呼ばれる高速化手法によっ て、64 ビット処理の有効性が明らかになりつつ ある。今後、主に情報系データベースを中心と したビジネスアプリケーションを基盤として 64 ビット化が進むと考えられる。 表1.各テーブルとレコード数 テーブル名 レコード数 PART 1,400,000 CUSTOMER 1,050,000 ORDERS 10,500,000 LINE_ITEM 42,000,000 SUPPLIER 70,000 2.2.実行 SQL 本稿では、データベース分野における 64 ビッ ト OS における大規模メモリ効果について定量的 な測定を行った。具体的には、構築した大規模デ ータベースに対し、シーケンシャルとランダム というアクセス特性をもつ SQL を発行し、クエ リ実行に要する全処理時間や CPU 処理時間など の評価パラメータを用いて、大規模メモリ効果 を性能向上率*という形で定量的に評価した。 実行した SQL は、(1)全件テーブル検索、 (2)3ウェイ・ジョイン、(3)4ウェイ・ ジョイン、の3種類である。ディスクアクセス に関して、表2に示すような特性を持っている。 シーケンシャル特性を持つクエリでは、順番に データが検索される。ランダムアクセス特性を 持つクエリでは、無秩序にデータが検索される。 全ての測定は、warm start で実行した。 * 性能向上率 =[最小メモリ構成時の処理時間]/[最大メモリ構成時の処理時間](倍) 表2.各 SQL のディスクアクセス特性 # SQL ディスクアクセス特性 (1) 全件テーブル検索** シーケンシャル (2) 3ウェイ・ジョイン 小規模ランダム (3) 4ウェイ・ジョイン 大規模ランダム 2.64ビット OS における実機測定 2.1.データベース構成 使用データベースのベンチマークは、情報系 データベースの評価では標準となっている TPC-H を用いた。今回、データベースの大きさを表す 指標である SF(Scale Factor)を SF=7 とした。 これにより、データベース全体は 9600MB となり、 64 ビット OS の性能効果の一つである大規模メ モリ効果を測定するためには十分なデータベー ス量を確保できる。 ** インデックス使用せず。 他の2クエリではインデックス使用。 2.3.測定環境 図1に本実機測定に用いたデータベースエン ジン、データベース用メモリ、データベースの 概略図を示す。本実機測定では、データベース 用メモリを変化させた時の全処理時間と CPU 処 理時間を測定した。 本データベースは、表1に示すように4つの テーブルから構成されている。各テーブルは、 4 ∼ 9 つ の カ ラ ム か ら 成 り 、 各 カ ラ ム に は integer 型・varchar 型・decimal 型・date 型と

データベース

エンジン データベース

データベース用 メモリ

Performance Analysis of Very Large Memory on 64bit Operating System

†Hitachi Ltd., Central Research Laboratory ‡Hitachi Ltd., Software Division

図1.測定環境の概略図

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2.4.実機測定結果 (1)全件テーブル検索 クエリ実行に必要なデータがメモリ上に常駐 化される 4GB 以上で大規模メモリ効果による高 速化が実現されている。メモリが 128MB のとき を基準として、メモリが 4GB 以上のときの性能 向上率を計算すると、全処理時間で 1.63 倍、 CPU 処理時間で 1.01 倍を確認した。ただし、ク エリ実行に必要なデータがメモリに常駐化され るまで高速化は図れず、またその間、メモリ上 に使用しないデータを常駐することになる欠点 がある。 それに対し、プリフェッチを使用した場合、 メモリヒット率が大きく向上、全処理時間が大 幅に短縮できた(図2参照)。これは、本クエ リがデータアクセスの面から見てシーケンシャ ル性が強いことに起因する。このことから、デ ータアクセス特性がシーケンシャルの場合には、 プリフェッチによるメモリ制御がクエリ実行の 高速化に有効であることが分かった。 0 20 40 60 80 100 120 10 100 1000 10 000 メモリ[MB] 全処理 時 間 、C P U 処理時間 (規格化) 全処理時間 CPU処理時間 プリフェッチ 図2.全件テーブル検索における測定結果 (2)3ウェイ・ジョイン 本クエリ実行では、クエリ実行に必要なデー タ(インデックス)が 128MB でメモリ上に常駐 化され、高速化が実現されている。 0 20 40 60 80 100 120 10 100 10 00 10000 メモリ[MB] 全処理時間、 C P U処 理時間(規格化 ) 全処理時間 CPU処理時間 図3.3ウェイ・ジョインにおける測定結果 このように、32 ビット OS の範疇で高速化が可 能なクエリも存在した。また、本クエリのディス クアクセス特性はランダムのため、プリフェッ チ機能によるメモリヒット率向上は見られなか った。本クエリでは、インデックスのメモリ常 駐化が有効であった。 (3)4ウェイ・ジョイン メモリが 64MB のときを基準として、メモリが 2GB 以上のときの性能向上率を計算すると、全処 理時間で 10.20 倍、CPU 処理時間で 1.28 倍を確 認した。クエリ実行に必要となる全てのデータ (インデックス)がバッファリングされたこと によって、ディスクアクセス回数が削減され、 CPU にほとんど待ち時間を与えることなくデータ を処理することが出来た結果である。このとき、 メモリのヒット率は 100%に達した。また、メモ リのミスヒット処理が削減された事で、CPU 処理 時間の性能向上につながっている。本クエリの ディスクアクセス特性は(2)3 ウェイ・ジョイ ン同様、ランダムアクセスのため、プリフェッ チ機能による高速化は見られなかったが、イン デックスのメモリ常駐化が効果的であることが 分かった。 0 20 40 60 80 100 120 10 1 00 1000 10000 メモリ[MB] 全 処理時 間、C P U 処理時 間( 規 格化) 全 処理 時間 CPU処 理時 間 図4.4ウェイ・ジョインにおける測定結果 3.おわりに 64 ビット OS による大規模メモリ効果について、 TPC-H を用いて定量的に評価を行い、その有効性 を示した。インデックスをメモリに常駐化するこ とで、10.20 倍の性能向上率を得られる場合を示 した。また、シーケンシャルなデータアクセスの 場合には、プリフェッチによるメモリ制御が有 効であることを述べた。ランダムなデータアク セスの場合や、データベースが超大規模な場合 には、どのデータをメモリ内に常駐させるかを 制御する必要がある。ディスクやテーブルのア クセス密度を用いたメモリ制御方法などが考え られるが、効果的なメモリ制御方式の検討が今 後の課題である。

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