094 彦根論叢 2011 autumn / No.389 次に、資源小国・消費大国日本の今後のエネル ギー対策として、喫緊には、先進諸国が実施し、また 韓国でも実質的に行なわれているサマータイムを導 入し、先進諸国中類を見ない多さで普及している自 動販売機の撤去を行なうべしとされ、これによって 原子力発電所数基分の消費電力が賄えると説明さ れました。さらに根本的な対策としては、風力・火力・ 水力・植物などのバイオ・金属・土中など自然エネ ルギーの多様な活用と開発の必要性を、カレンダー の曜日になぞらえてわかりやすく解説されました。資 源小国に見える日本も、自然エネルギーに着目すれ ば豊富な資源大国であるとし、脱原発のための大胆 な発想の転換を訴えられました。 そのほか今後の日本をリードしていく企業や経営 者のあるべき姿、また自治体改革の方向性等につい ても、グローバルな経済人として武田薬品、伊藤忠 商事、日本生命、オムロン等、一流の企業人と接して こられた体験や出雲市長時代に様々な斬新な改革 によって地方自治体の活性化・復権を図られた経験 をもとにして、貴重な提言がなされました。 こうした岩國氏の実際の自治体・国政での改革 実践やグローバル経済での活動に裏打ちされた、高 邁で筋の通った未来への提言は、来場した多くの市 民・学生たちに、深い感動とともに、今後日本復興に 向けた静かな勇気を与えたといえましょう。 講演後は、岩國氏の主張する政府紙幣発行や年 金改革案等をめぐって活発な質疑応答が交わされま した。来場者は
200
名を超え、会場の講堂は満杯と なり盛況でした。講演会の準備に当たられた関係各 位に感謝いたします。 今秋(10
月頃)には、国際問題をテーマに今一度 岩國氏の講演会を予定しています。ぜひ多くの人の 参加を期待しております。 (経済学部教授 筒井正夫)伝統会計
の
行方
清水哲雄[滋賀大学/名誉教授] 2011.07.04[月]/13:00−14:30 /経済学部大会議室 会計の嚆矢は十字軍のイタリー通過による東西 交流を背景に、パチオリによる、自著「ズンマ」という 数学書の中での複式簿記についての記述であるとさ れている。これが世界最古の会計書である。会計は、 その後もヨーロッパ、とくにドイツとフランスで発展学内研究消息
【経済学部講演会】地震
を
越
えて
日本
の
自信
巨大地震の中に発想の転換と新鮮な政策を打ち出せ 災害に強い街づくりとエネルギー小国・消費大国からの 脱却 岩國哲人[バージニア大学経営大学院 客員教授、 南開大学周恩来政府管理学院 客員教授、前衆議院議員、元出雲市長] 2011.05.19[木]/14:30−17:00 /講堂5
月19
日午後2
時30
分より、滋賀大学経済学部講 堂にて、岩國哲人氏を招いて経済学部主催の講演 会が行なわれました。「地震を越えて日本の自信─ 巨大地震の中に発想の転換と新鮮な政策を打ち出 せ 災害に強い街づくりとエネルギー小国・消費大 国からの脱却─」と題するこの講演会は、経済経営 研究所が企画し、滋賀大学就業力育成協議会の共 催、彦根商工会議所並びに滋賀大学経済学部陵水 会の後援を得て開催されたものです。講演会は、東 日本巨大地震という未曾有の国難に直面して、今後 日本はどのような新たな発想で対処していったらよい のかというテーマで行なわれ、長年地方政治や国政 に携わり、アメリカやアジア諸国にも広い交流をもた れる岩國哲人氏が、今後の経済・財政・エネルギー 対策等にわたって幅広いご見解を開陳されました。 岩國氏は、まず災害復興を果たしつつ老後も安心 して暮らせる社会を目指すための財政再建・経済復 興策として、莫大な利子支払いに喘ぐ国債発行に代 わって政府紙幣の発行を主張されました。また少子 化を食い止め、安心した老後を望める社会にするた めの年金改革策として、「皆負担、皆年金」を原則と したわかりやすい一元化した制度設計が必要で、基 礎年金部分は、財源を年金保険料の代わりに消費 税で賄い、その上に各人の所得に応じた3
コースの 選択制度を設け、現在不明朗な年金の納入・受取の 記録は各人の「年金カード」によって明確に確認でき るという改革案が提示されました。 また政府紙幣発行によって経済全般の復興ととも に、被災地については政府買い上げによる復興を果 たします。さらに物資や情報流通を迅速化して経済 活性化を図るとともに災害時の対応策としても高速 道路の整備が特に重要であり、原則無料化し、全国 多数の料金徴収所を廃止する必要性を訴えられま した。095 学内研究消息 し、体系化されていった。まずは、静的会計観として、 財産計算による担保能力測定を主眼として展開され た。次に動的会計観が登場し損益計算中心の会計 学として発展してきた。動的会計観は普仏戦争、産 業革命の影響からのインフレによる時価評価困難 という状況に即応し、財産計算ではなく損益計算指 向の流れに呼応するものであった。中心となったの は碩学、シュマーレンバッハであり、その損益計算を 支える会計基準として、継続性の原則、比較性の原 則、計算確実性の原則、用心の原則、伝統尊重の原 則がある。 アメリカにおける会計は、第二次独立戦争の影響 下、アメリカが原料輸出国から近代工業国に変容を 遂げ、さらには第一次世界大戦で交通・通信網が発 達・整備されたことによる資金調達、銀行の間接金 融による債権者会計の展開、またニューヨーク市場 の株価暴落を契機として投資家会計の発展へと変 遷してきた。 戦後はインフレと技術革新を背景に価格変動を 考慮した時価情報の提供にも力を注がれた。アメリ カでは、その後、アイゼンハウアー時代の宇宙開発 等もあり、財政・国際収支赤字の状況に陥り、ター ニングポイントとして、