• 検索結果がありません。

指導教員推薦文

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "指導教員推薦文"

Copied!
2
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

指導教員推薦文

著者

藤井 美和

雑誌名

関西学院大学社会学部紀要

106

ページ

193-193

発行年

2008-10-30

URL

http://hdl.handle.net/10236/1179

(2)

〈指導教員推薦文〉

人間福祉学部 准教授

(2008年4月より現職) 畝山 佳子「流産・死産・早期新生児死と配偶者の死の悲嘆の違い ――ソーシャルワークの視点から必要なケアを考える――」 推薦理由 最優秀論文賞を受賞した畝山佳子氏の論文、「流産・死産・早期新生児死と配偶者の死の悲嘆の違い ―ソーシャルワークの視点から必要なケアを考える―」は、流産、死産、早期新生児死を経験した母親 がたどる悲嘆過程を明らかにし、ソーシャルワークの視点からどのような支援が必要かを考察するもの である。 本論文は、テーマ設定における独創性、文献研究における分析力、調査方法と結果の妥当性、さらに 明らかとなった結果からソーシャルワーク援助実践について具体的な提言を行っている点で、優れた論 文であると言える。 まずテーマの独創性についてである。これまでの悲嘆研究は、配偶者や子どものように既に家族関係 を有する者の死と悲嘆を対象としてきた。しかしながら、見えない家族の死、つまり出生前、出生直後 の子どもの死についての悲嘆研究はほとんど行われていないのが実情である。流産・死産・早期新生児 死については、当事者が語ることもまた語られることも少なく、そのことが流産や死産の悲嘆そのもの を見えなくしている。同じ家族の一員を失うことでありながら、社会の中でタブー視された命の喪失に ついて、あえて正面からその悲嘆を取り上げたところに、この論文の独創性があるといえる。 論文の構成は、流産・死産・早期新生児死の定義、とそこにまつわる背景を概観し、悲嘆理論のレ ビューと先行研究レビューから仮説を導き出し、それを検証するものである。仮説は、配偶者の死に見 られる悲嘆過程と共通のものと、出産前後の胎児・新生児の死に特有のものとから構成されている。そ れらを検証するため、流産・死産・早期新生児死を経験した事例・手記をテキストデータとし、内容分 析と分類化によって、その悲嘆段階を明らかにし、さらに配偶者喪失の悲嘆との違いを明らかにしてい る。配偶者の悲嘆と同様の反応だけでなく、流産・死産・早期新生児死に特有の罪悪感の強さや悲嘆再 燃が見られること、さらに、流産・死産・早期新生児死の3つの死においてもその悲嘆過程に共通点と 相違点があることを明らかにしている。 さらに本論文の優れた点として、ここから明らかになった結果をソーシャルワーク実践に結びつけて いることがあげられる。畝山氏は、ソーシャルワーカーの専門的役割として、悲嘆者の感情表出とその 承認、チームの一員としての媒介・家族と医療者の仲介、資源紹介と開発、悲嘆に関する教育的役割を あげている。 わが国では、見える死やその悲嘆過程についてはソーシャルワーク介入の重要性がようやく認められ つつある状況であるが、見えない死については、看護領域はもとより福祉の中で話題に上ることはほと んどない。しかし、現在厚生労働省が示すように、不妊症の女性が増加するなかで、やっと授かった命 を失うことの精神的打撃は大きく、悲嘆作業をどのように進めるかについては、家族だけでなく社会の 理解や支援が必要である。 本論文の全体は9万字を超える大作であった。テーマの独創性にとどまらず、方法論、分析の緻密 さ、結論の妥当性において優れたものである。さらに、今後の流産・死産・早期新生児死の悲嘆とその 支援について、ソーシャルワークの可能性を示唆する点で意義深いものと評価できる。

【L:】Server/関西学院大学/社会学部紀要/社会学部紀要第106号/ 藤井美和【安田賞指導員推薦文】 October 2008 ―193―

参照

関連したドキュメント

「PTA聖書を学ぶ会」の通常例会の出席者数の平均は 2011 年度は 43 名だったのに対して、2012 年度は 61 名となり約 1.5

「PTA聖書を学ぶ会」の通常例会の出席者数の平均は 2011 年度は 43 名、2012 年度は 61 名、2013 年度は 79 名、そして 2014 年度は 84

「PTA聖書を学ぶ会」の通常例会の出席者数の平均は 2011 年度は 43 名、2012 年度は 61 名、そして 2013 年度は 79

2011

今年度は 2015

今回のアンケート結果では、本学の教育の根幹をなす事柄として、

検索キーワード 編・章 節 見出し ページ 取り上げられている内容 海との関わり 海洋生物 多様性 生態系 漁業 水産. ○ 巻末,生物図鑑