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第25回教育システム若手の会報告 -対話を通じた教育システム研究者の絆-

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25 回教育システム若手の会報告

-対話を通じた教育システム研究者の絆-

Reports on the Young Researcher Workshop on Educational Systems, 2014

- Bonds of Young Researchers on Education System through Dialogue Interaction -

東本崇仁

1

後藤田中

2

林佑樹

3

大山牧子

4

野村敏弘

5

谷口博紀

3

藤岡僚太

6

清水利音

7

三木裕太

8

近藤啓史

9

Takahito TOMOTO

1

, Naka GOTODA

2

, Yuki HAYASHI

2

, Makiko OYAMA

3

Sakiko NIHONYANAGI

2

, Raiya YAMAMOTO

4

, Masatsugu SASAI

3

, Shun SASAKI

5

1

東京理科大学

2

国立スポーツ科学センター

3

大阪府立大学

4

大阪大学

5

広島大学

6

静岡大学

7

信州大学

8

関西大学

9

尚美学園大学

1

Tokyo University of Science,

2

Japan Institute of Sports Sciences,

3

Osaka Prefecture University,

4

Osaka University,

5

Hiroshima University,

6

Shizuoka University,

7

Shinshu University,

4

Kansai University,

5

Shobi University

Abstract: This paper reports on the design, implementation and results of the Young Researcher Workshop on Educational Systems in 2014. We held the workshop under the theme: “Bonds of Young Researchers on Education System through Dialogue Interaction” in Maishima, Osaka. The workshop design consisted of poster and group discussion session. Thirty-five faculty members and students from 20 universities/institutes contributed to the poster presentation, review and discussion on their own research topics as well as new research conjunction possibilities. The design of the workshop was favorably evaluated by the participants.

1.はじめに

第25 回教育システム若手の会(SakaSaka2014:以 下,本会)[1]が,2014 年 11 月 14 日(金)~16 日 (日)の2 泊 3 日の日程で,ロッジ舞洲(大阪市此 花区)にて実施された。後藤田中(国立スポーツ科 学センター),東本崇仁(東京理科大学)がプログラ ム幹事,林佑樹(大阪府立大学),大山牧子(大阪府 立大学)が会場幹事を務め,20 大学・機関から学部 生:12 名,大学院生:7 名(うち博士課程 2 名),教 職員等:16 名の計 35 名が参加した。 本稿では,本会の実施報告と成果について述べる。

2.実施概要

2.1

テーマ設定の背景

本会の目的は,教育システム研究に携わる学生・ 若手研究者が集い,合宿研究会の形式で議論を深め ることで,参加者個々の研究に対する意識を高め, 視野を広げるとともに,大学・機関の枠を超えた幅 広い情報交換を通じて,教育システム研究の新たな 可能性を見出すことである。 昨年度は,参加者が自らの研究をブラッシュアッ プするとともに,発信力の獲得を目指すこととした。 このため,その手法の一つとして,3 Minute Thesis Competition(3MT:3 分間研究プレゼンテーション コンテスト)[2]に着目し,自身の研究内容に関する 3 分間プレゼンテーションと,各自の研究を統合, 発展させた内容をグループで構想し,この3 分間プ レゼンテーションの内容を競った。その結果,参加 者アンケートでは,8 割以上の回答者が,取り組み に対し,肯定的に評価していた[3]。一方で,研究内 容の共有がグループ内だけに限られる等の改善点が 明らかになる等,特に学生に対する議論の場の改善 があげられていた。 そこで本会では,「対話を通じた教育システム研究 者の絆」をテーマとし,昨年度の参加者アンケート で得られた要望をくみ取りつつ,対話を通じて,広 く,そして深く「意見をもらえる」点を重視した。 人工知能学会研究会資料 SIG-ALST-B403-04

(2)

2.2

プログラム構成

本会は3 日間のプログラムで構成された。 1 日目のオープニングセッションでは,自己紹介 など通じて参加者間の交流を深めた。 2 日目はメインセッションとして,まず学生によ る個人ポスター発表により,個人研究のアピールと 意見交換を広く行える場を提供した。次に,参加者 がグループに分かれ,それぞれメンバーの中から研 究テーマをピックアップしてもらい,メンバー全員 でより良い研究となるよう深い意見交換(討論)を 通じた発表を行う協調活動の場を提供した。本会で は,以上により,教育システム研究における実践・ 分析・開発等,多様な視点の体験・交流を実現し, 様々な視点を柔軟に融合した上で横断的に活動でき る若手の育成を狙った。これら活動を通して,分野・ 世代を超えた教育システム研究者の絆を築くことを 目指した。 そして,3 日目は本会の総括,評価を行い,次年 度への足掛かりとした。

2.4

ポジションペーパーの作成

当会では例年,参加者自身のプロフィールや研 究・実践内容をまとめたポジションペーパーを作成 し,これを共有して交流に活用している。今年度の テーマに基づき,特に,参加者間での意見交換(議 論)する上で興味内容を共有するために,例年の内 容に加え,研究キーワード,「意見が欲しい(議論し たい)点」および「意見として述べることができる点 (※学生は無くても良い)」を記述する形式とした。

2.5

メインセッションの流れ メインセッションは,個人ポスター発表(前半) ならびに,グループディスカッション(後半)から 構成されており,プログラム上の時間構成に応じて 5 つのセッションに分かれている。表 1 に,メイン セッションの流れを示す。ポスター発表者は,主に 学生を対象として,事前に応募を呼びかけた。なお, ポスターの仕様は,本テーマに基づき,自身の研究 が,様々な立場の参加者と広く・深く議論でき,ま た今後より発展できるよう意図している。これらは, 学生発表であることと,発表時期のタイミングを考 慮し,いわゆる「Work in progress」のポスター内容 となる。ただし,通常の学会ポスター発表とは異な り,聴講者(質問者)と議論したい内容を中心に記載 するよう配慮を促している。具体的には,簡潔な研 究の目的(背景)に加えて,「自分の研究の面白さ」 や「手段・手法」の箇所を中心に発表し聴講者(質問 者)と議論できるポスター内容を依頼している。 <ポスターの内容に関する事項> 研究の全体的な内容を盛り込み過ぎないように注意 し,以下を中心に伝達  自分の研究の面白さを伝えたい  自分の研究の手段・手法(例えば,システムの診 断方法など)を伝えたい 発表における議論は,以下の内容で主に展開  現状の手段・手法についての意見提供と妥当性 の検討  今後の発展(質問者の専門領域を活かした)の ためのアイデア提供と導入検討 メインセッション(1)における活動では,学生 19 名が2 つのグループ(前半:10 名,後半:9 名)に分 かれ,それぞれ1 時間ずつ発表を行う形式である。 併せて開催される審査会では,社会人参加者に対し, 予め,各自に特定の4, 5 名の学生の審査を依頼した 上で,同学生らに対する議論と評価を担当してもら った。ただし,依頼分の担当学生に加えて,他の学 生の審査も可とし,評価の公平性の観点から審査は ポスター1 件あたり,15 分間の目安を設けた。評価 基準は,「着眼点」,「手段・手法」,「質疑応答」(そ れぞれ10 点,合計 30 点)とし,それぞれ,主に研 究の面白さ,妥当性,発展的な議論の質に関する評 価を実施した。評価が高かった6 名は,午後にメイ ンセッション(2)~(5)におけるグループリーダーに 任命し,各グループディスカッションにおけるいわ ゆる議論の司会役(コーディネーター)を務めても らった。このうち,特に評価が高かった者3 名に対 しては,奨励賞を授与した(4 章で詳述する)。

3.グループディスカッションの成果

メインセッション(2)~(5)におけるグループでの 活動で発展させた内容について,研究概要とあわせ て,以下に示す。各グループのテーマは,グループ 内で相談の上,グループリーダー・社会人を除く学 生の研究テーマから1 つが選択されている。なお, 審査会の評価基準は,ポスター発表と同じであるが, 社会人だけでなく,学生も評価を行い,同様に評価 結果に反映される。グループ発表は,1 件あたり 10 分(+質疑応答時間:約 5 分)で実施した。

3.1

KIZNA-Build 概念マップを用いた協調

活動の支援システムの提案

従来研究では,キットビルド概念マップ(以下 KB マップ)を用いた知識共有を目指した授業内グルー プワークにおいて,学習者の理解を評価し,それを 基に教授が行えること,個人からグループ,そして

(3)

表1 メインセッションの内容 項目 活動内容 時間 0 イントロダクション 個人ポスター発表の目的,ルール,審査基準(審査方法)に等ついての解説を聞く 30 分 1 個人ポスター発表会・審査会 ポスター発表・聴講ならびに質疑応答行い,併せて審査(目安:1 件あたり 15 分程度)も行う 120 分 2 各研究の紹介・テーマ選定 ポスター発表の結果に基づき,グループに分かれ,研究を紹介 し合った上で,1 名の研究をピックアップする 30 分 3 グループディスカッション(意見交換&討論) グループ内のメンバーの研究を統合したり,新たなアイデアを 加えたりして,研究内容を発展させる 110 分 4 PPTスライド作成と発表に関する準備 議論を通じて得られた内容を1 枚のパワーポイントスライドに まとめると同時に,発表準備を行う 80 分 5 グループ発表会・審査会 個人ポスターとの差分を明確にしながら,発展させた内容につ いて10 分間の発表時間のプレゼンテーションを行う 80 分 再び個人という学習の中での知識の伝搬を分析でき ることを示した。 概念マップとは,二つ以上の概念(ノード)とそれ らの関係(リンク)を図的に表現したもので,知識の 外化・整理に有効だといわれている。キットビルド 概念マップは,教授者が作成したマップ(ゴールマッ プ)をノード・リンク(キット)に分解し,学習者はキ ットを組み立てることで自らの理解を外化する。こ の方式では,全てのマップの構成要素が等しいため, マップの比較を計算機上で自動化することができる。 従来研究では,学習者同士の理解が初めから一致 している場合,即合意に達し,あまり議論が行われ ず,理解の変化が起こりにくいという考察が得られ ている。これは,学習者が議論する命題は学習者自 身の意思決定に依存しており,マップの構造の差分 にのみ着目し議論するためだと考えられる。 本提案では,以下の2つを目標とする。 1. 学習者が議論すべき対象のさらなる明示化 2. 活発な議論を促すグループ割けのための理解 度の定量化 本班では,グループメンバーの命題に関する確信 度にバラつきが大きいとき,議論が活発化するとい う仮説を立て,確信度を明示化する仕組みをKB マ ップに組み込んだ Kizna-Build 概念マップを提案す る。これは上述のKB マップのリンクに確信度を付 与することで実現でき,マップを用いた議論の際に 確信度の差分への着目を促し,1 つ目の目標を実現 できる。その結果マップの構造が一致していても, 確信度の違いが議論を促すと考えている。また,確 信度の付与によって,仮説に則りグループ分けを確 信度の分散が大きくなるように設定することができ, 2 つ目の目標も実現できると考えている。

3.2

タスク管理態度改善のための学習支援

システム-研究活動を対象として-

学生が研究活動におけるタスクを計画通りに遂行 できるように適切な遂行期限の設定とタスク遂行の モチベーションの維持,向上を目的としたタスク管 理システムを開発している。  立案支援:他の学生の計画を参考にして適切な 遂行期限の設定を支援  遂行支援:論文ファイルやプレゼンテーション 資料等の更新履歴によりタスクの遂行状況を 可視化し,他者と共有することでタスク遂行の 動機付けを支援  自己評価:遂行期限内にタスクを遂行できたか どうかの自己評価を行い,次の計画立案,遂行 に活かす <発展した研究内容> タスクに対して適切な遂行期限を設定できていな いことは問題の本質ではなく,学生のタスクを遂行 するための準備状態(レディネス)が重要であるこ とがグループディスカッションで挙げられた。例え ば,論文を執筆するというタスクの遂行計画を立案 する際に,研究背景が固まっていない等のレディネ スができていない学生はこの計画を立案していいレ ベルではなく,遂行期限を見誤るのは当たり前であ る。しかし,タスクを遂行するためのレディネスが できているかどうか,またその重要性に気づくこと は困難である。そこで,タスクを遂行するための自 身のレディネスやその重要性への気づきを与えられ たら面白いと考え,これらの気づきを与えるシステ ムの構築を目的として,以下のアプローチを提案し た。  立案支援:先輩の同等タスクの成功例,失敗例 を参考にして計画を立案  遂行状況の把握:自身が計画の立案時に参考に した成功他者の過去のタスクの遂行状況と自 身の遂行状況を比較することで,成功他者と自 身のレディネスの違いに気づく

(4)

 自己評価:自分がタスクを遂行できる準備状態 にあったかどうかを評価する。自己評価時に自 身と成功他者の遂行状況の比較を用いて,自身 のタスク遂行を振り返り,タスク遂行に対する レディネスはどうだったのか,レディネスの重 要性への気づきを与える

3.3

自閉症傾向のある児童に対する支援者

の指導力の向上を促すケース蓄積・検

索システムの開発

自閉症傾向のある児童に指導を行う際,コミュニ ケーションをとりながら状況分析と方略の提案を行 うことが効果的である。そのような児童に対して実 際に使われている支援法としてコミック会話がある。 コミック会話では支援者と児童が一緒に簡単な線画 を用いてコミックを作り,それを通して支援者は状 況分析と方略の提案(指導)をする。指導は必ずし も正解となるものは存在せず,またリアルタイムに 行われるため,その場でより良い指導を考えながら 実施することは難しい。そこで私は支援者の指導実 践知獲得を促すために,タブレット型端末を用いて 振り返りやすい環境を構築しようとしている。 私の研究ではシステムとして具体的にどのような ことをするのかまだ定まっていなかったため,議論 を通して一つの具体案が出来た。  コミック会話を用いた指導後に自分が行った 指導とは別の指導がなかったか考え,それを一 般化したものを自己評価し,自己評価の高かっ た指導を,次回の指導の選択肢としてシステム が提供し,蓄積していくことで指導力向上につ ながるのではないか。 しかし,指導はリアルタイムに行われるため,指導 時に選択肢を見るという手法は難しいと考え,  指導時ではなく,指導終了後即座に振り返るの と,終了後から次の指導が行われる間に振り返 ることにより,指導実践知獲得を促すのはどう か。  指導は必ずしも正解となるものは存在し ないので,支援者がシステムを利用するこ とによってその効果があったのかは他者 視点では評価できない。支援者の主観によ って評価されるのが妥当。支援者の主観に よる評価は,即座に振り返るのと,後日振 り返ることによって,本当にその指導が良 かったのかを考えることができるのでは ないか。 後省する際に,どのような問題があって,どのよ うな指導をしたか,またその指導の結果はどうだっ たのかをケースとして蓄積し,検索出来る機能が必 要だと考えた。

3.4

アルゴリズム的思考を備えたプログ

ラミング学習デザイン

これまでにプログラムの挙動を視覚化するツール が多く開発されているが,教材作成者の説明意図を 対象世界の見え方に反映させることができるものは 少ない。そこで,対象世界の見え方を教材作成者が 定義できるオーサリングツールと,その定義に基づ きプログラムの挙動を視覚化するシステムを構築し た。 グループ討論ではシステムを用いたプログラミ ングの授業の設計を行った。アルゴリズムを用いた コードを書けるようになる手順としてアルゴリズム を理解する,アルゴリズムをコードに落とし込むと いう2 つの工程が必要となる。そこで,我々は 2 つ の工程を分け体系的に学習を行えるような体系的な 授業を設計した。授業は3 段階に分かれており以下 の3 段階である。 1. アルゴリズム理解 2. プログラミング言語への移行 3. コーディング 1 ではアルゴリズムの説明を行いアルゴリズムに ついての理解を促す。ここではブロックの連結によ ってプログラムを記述できるツールを自習教材とし て提供することで支援を行う。これによりコーディ ングとアルゴリズムの学習を分けて行うことができ る。2 では実際にプログラミングを行うためにプロ グラミング言語への移行を促す。3 では学習者がコ ードを実際に書くことでアルゴリズムをコードに落 とし込むということを学習する。3 においては,プ ログラムの挙動を視覚化するシステムを反転授業の 教材として用いて学習の支援を行う。学習者の作成 したプログラムの挙動を視覚化することで自分のプ ログラムが意図通りに動作しているかを確認する負 担を減らしながら学習を行うことができる。また, 正しく動作の挙動を視覚化したものを提示すること で,学習者の作成したプログラムを視覚化したもの との比較が容易に行うことができ正誤のチェックを 行うことができる。設計した授業の評価方法として 直接評価と間接評価が考えられる。以上によりシス テムを用いた授業の設計と評価方法へと発展した。

3.5

歴史事象の仮説生成に基づいた教訓

の適用能力育成手法の提案

歴史学習では「歴史事象から先人の問題解決の知 恵を発見する能力は重要である」と言われている。 そこで,本研究では歴史から学んだ教訓を自分の問

(5)

題解決へと活かせる能力の育成を目的としている。 研究室ではこれまでに,歴史事象のイベントに対す る登場人物のプロパティの変化を表現し,同様の意 図を持つ歴史事象のプロパティ変化との共通する点 を比較することで教訓を抽出するシステムを構築し てきた。このシステムでは共通点だけに着目してお り,意図の成功・失敗の要因となるプロパティ変化 は特定することができていなかった。特定の状況に 対する意図の成功・失敗を判断するには,登場人物 間の関係,イベントの意図とプロパティの関係を理 解する必要がある。そこで,成功と失敗の要因とな るプロパティを特定し,歴史的事象の中でそのプロ パティを変化させた「もしも<登場人物>の<プロ パティ>が〇〇だったら」という問題を学習者に与 え,他のプロパティがどのように変化するのかを学 習者に考えさせるシステムを構築する。正しく解答 するには,意図や登場人物の関係が各プロパティに もたらす影響を理解しなければならないため,問題 に解答することで,成功・失敗の要因だけでなく, 登場人物間の関係と意図がもたらすプロパティの変 化を習得することが可能となる。 午前の部ではプロパティ間の関係に対して着目 していたが,ここではイベントに対して着目した。 イベントが登場人物のプロパティをどのように変化 させるのか考えることで,イベントに対する理解が 深まる。また,そのイベントがある場合とない場合 を考えたりすることで,歴史事象を考慮した未来の 推測ができるようになることが考えられる。さらに, 学習者が作成したプロパティ変化を比べることでど この理解が不足していたのかが把握でき,他者のも のと比べることで協調学習も可能となる。

3.6

プレゼンを通じた世界史学習支援シ

ステム

1.ベースとなった研究概要 歴史学習では,学習指導要領でも触れられているよ うに,機械的な暗記ではなく,学習者が知識を構造 化し,より深い理解を得ることが重要である。その ため,本システムでは底面に地図,縦軸に時間を取 った 3D 空間上の適する位置へ歴史事象を配置し, それらの関連図を作成することで,構造化された知 識の獲得を目指す。また学習者が定義した関連図か ら,教授者が学習者の理解度を把握し,授業改善に 役立てる事が出来る。 2.発展させた内容 2-1 着眼点 ベースとなった研究のように,関連図を作成する ことで知識の構造化を支援する学習方略は,歴史分 野に限らず広く研究されている。そこで,当グルー プでは,永井の「メタ学習教材作成支援システム」 と組み合わせる事で,全く新しい知識構造化支援シ ステムを構築できるのではないかと考えた。 2-2 メタ学習教材作成支援システム スライド選択方式を用いたプレゼンテーション設 計活動を通し,対象知識を理解したつもりになって いる学習者に「本当は十分に理解できていない」と 気付かせることで,学習者により深い理解を促すこ とができる。しかし,メタ学習を促すスライド教材 の作製は必ずしも容易ではないため,スライド教材 の作成を支援するシステムを構築する。 2-3 具体的なシステム案 ‐教授者‐ ①学習内容を用意 ②学習内容に適したスライドを用意 ③学習内容に適さないダミースライドを用意 ④②,③を学習者に提示 ‐学習者‐ ①スライドの選択,並べ替え ②スライドを使ってプレゼンテーションを行う 学習者は,学習内容についてのプレゼンテーション が要求されるため,事象間の関連により深く着目し た学習が出来る。また,教授者は学習者のプレゼン テーションを聞くことで,学習者がどのような根拠 をもって事象間の関連を定義したかがわかるため, 学習者の理解度をより正確に把握する事が出来る。

4.若手の会奨励賞の授与

本会では,例年,議論活性化のための手段とのひ とつとして「若手の会奨励賞」の表彰を行っている。 今年度の受賞者名を以下に,個人発表部門について は,それぞれの発表資料を図1~3 に示す。 ■若手の会奨励賞(グループ発表部門) 「KIZNA-Build 概念マップを用いた協調活動の支援 システムの提案」 光原 弘幸(徳島大学),益川 弘如(静岡大学),田 和辻 可昌(早稲田大学),野村 敏弘(広島大学), 大西 挙(関西大学) ■若手の会奨励賞(個人発表部門) 【最優秀賞】 【優秀賞】 田和辻 可昌(早稲田大学) 佐久間 大(東京工業大学) 竹花 和真(早稲田大学)

5.メインセッションに対する評価

本会参加者を対象に,アンケート調査を行い,31 名から回答が得られた。質問項目は次の通りである。 (1) 時間配分は適切だったと思うか? (2) 今後の教育・研究活動に活きる有意義なもの だったと思うか?

(6)

図1 田和辻 可昌(早稲田大学)資料 図2 竹花 和真(早稲田大学)資料 図3 佐久間 大(東京工業大学)資料 なお参加者は, 5 件法で回答した(5:とてもそう思う 4:そう思う 3:どちらともない 2:そう思わない 1:全 くそう思わない)。図4 にその集計結果を示す。 図4.アンケートに対する回答結果 (2)より,参加者のすべてが本会の内容が教育・研 究活動に活きる有意義なものであると回答し,過半 数が最高の評価をつけた。一方,(1)より時間配分の 適切さについては約半数の参加者が3 以下の評価を つけている。2014 年度の同項目の評価においては 80 パーセントを超える参加者が肯定的に評価をしてい た点と比較し,悪い評価となったといえる。自由記 述欄を詳細に調査したところ,「時間が足りない」「午 前のポスターでもっと議論したい・他の人のポスタ ーを見たい」といった意見が合計で19 件得られた。 会自体の合計時間は昨年度と同じであるにも関わら ず,時間を短く感じた参加者が多かったことはうれ しい悲鳴であり,来年度以降の参加意欲につながる と思われる。また,この点は本会を他者に進めたい かという問い(10 段階評価)に対し,10 が 10 名,9 が8 名,8 が 10 名,7が 2 名,5 が 1 名(理由:周 りに対象となるものがいないため)という回答結果 が得られた点からも推察可能である。

5.まとめ

昨年度は短い時間で自身の研究の魅力を伝えるこ とで発信力を鍛えることを目的としたが,本年度は 事前に自分の研究を詳細にポスターとしてまとめさ せ,それを当日他の研究者と深く議論させることを 目的とした。本会における活動を通して,自身の教 育・研究活動の推進につながるという声が寄せられ, 参加者の今後の活躍,研究の成果が大いに期待され る。今後の課題として,議論や評価についての質を 保ちながらも,効率化を図ることで一層の満足感を 実現することがあげられる。 なお,次回の教育システム若手の会は2015 年秋頃 に関東地区にて開催予定である。

謝辞

本会の企画・運営においては,人工知能学会 先進 的学習科学と工学研究会,及び電子情報通信学会 教 育工学研究会のご協賛と日本教育工学会,教育シス テム情報学会関西支部のご後援をいただきました。 謹んで御礼申し上げます。

参考文献

[1] 第 25 回 教 育 シ ス テ ム 若 手 の 会 SakaSaka2014 : http://sakasaka.kis.osakafu-u.ac.jp/ (accessed 2015.01.18) [2] Three Minute Thesis: http://threeminutethesis.org/

(accessed 2014.1.28)

[3] 今野文子ら,第 24 回教育システム若手の会報告 −教 育システム研究の交流と発信−,人工知能学会研究会 資料(先進的学習科学と工学研究会(第 70 回)), pp.11-16(2014)

表 1  メインセッションの内容  項目  活動内容  時間  0  イントロダクション  個人ポスター発表の目的,ルール,審査基準(審査方法)に等 ついての解説を聞く  30 分  1  個人ポスター発表会・審査会  ポスター発表・聴講ならびに質疑応答行い,併せて審査(目安: 1 件あたり 15 分程度)も行う  120 分  2  各研究の紹介・テーマ選定  ポスター発表の結果に基づき,グループに分かれ,研究を紹介 し合った上で,1 名の研究をピックアップする  30 分  3  グループディスカッショ
図 1  田和辻 可昌(早稲田大学)資料  図 2  竹花 和真(早稲田大学)資料  図 3  佐久間 大(東京工業大学)資料  なお参加者は,   5 件法で回答した(5:とてもそう思う 4: そう思う   3: どちらともない   2: そう思わない   1: 全 くそう思わない) 。図 4 にその集計結果を示す。  図 4.アンケートに対する回答結果    (2)より,参加者のすべてが本会の内容が教育・研 究活動に活きる有意義なものであると回答し,過半 数が最高の評価をつけた。一方,(1)より時間配分

参照

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