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The trend of education and learning system

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Academic year: 2021

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徳島大学)○矢野米雄、越智洋司、金西計英*

教育・学習システムの動向

* {yano,ochi,marukin}@is.tokushima-u.ac.jp

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1. はじめに

はじめに

はじめに

はじめに

理科の実験には誰もがわくわくした経験を持つ ものだが,日本の科学教育の危機が指摘されて久し い.科学教育を隆盛させる取り組みの一つとして, 化学教育への計算機利用の試みは重要だといえる. 一方,日常生活へのネットワークの浸透,バーチ ャル・リアリティ技術の進歩や人間中心のインター フェースの広まり等,計算機を取り巻く環境が大き く変化している.その中で,計算機の教育利用のあ り方も大きく変化してきた.認知科学等の影響を受 け,知識を伝達するティーチングマシンから,学習 活動の支援ツールへと変わりつつある. 化学における計算機利用分野として教育への利 用は必ずしも中心的な課題とはいえない.しかし, 最近の教育・学習システムの成果から化学教育でも 十分な教育成果を上げることができると思われる. そこで,本稿では,科学教育での計算機利用につ いて新しい指標を示すことを目指す.まず,教育・ 学習システム研究の変化の様子を概観する.次に, 教育・学習システムの最も新しい流れである協調学 習支援について考察する.最後に,化学教育を対象 にした新しい教育・学習システムのデザインを提案 する.

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2. 教育・学習システムの変遷

教育・学習システムの変遷

教育・学習システムの変遷

教育・学習システムの変遷

従来,教育システムは,知識を伝達するためのテ ィーチングマシンと考えられていた.しかし,最近 では知識獲得(構成)を支援するツールと捉えられ るようになってきた. これは,人工知能や認知科学の研究によってもた らされた学習観(知識観)の変化に負うところが大 きい.これまで我々は,記号で表現できるような, 実体を持った知識が存在すると考えてきた.そして, 知識は教師から学習者へ伝えることができると考 えてきた. しかし,80年代後半以降,状況論と呼ばれる考 えが広がり,知識は学習者が様々な体験(外部との インタラクション)を通して,自らの内に構築する ものと考えられるようになった.例えば,数学の因 数分解の公式や式変形規則を呪文のように暗記し ても,問題を解くことはできない.問題が解けたと き因数分解が分かったのであり,公式を文字列とし て憶えることと理解することは本質的に異なって いる. 一方,インターネットの爆発的な普及により,計 算機の利用形態がスタンドアロンからネットワー クへと変化し,この利用形態の変化は教育・学習シ ステムにも大きな影響を与えることになった. さらに,状況論では,知識を社会や文化といった 文脈の中で捉える必要があると考えるようになっ た.社会や,ある特定の集団に属していない人間は 居らず,グループの中で知識獲得がおこなわれてい る.つまり,学習は個人的な営みではなく,グルー プ内での活動であることが分かってきた.そこで, 複数の学習者とのインタラクションの提供を目指 す協調学習支援の考えが生まれてきた. 現在,協調学習支援システム(Computer Supported Collaborative Learning)は確実に広がっている.CSCL では,ソフトウェアエージェント,遠隔通信,スト リーミング等の最新の技術が取り入れられ,高度な 学習環境が整備されつつある.

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3. 協調学習支援システム(

協調学習支援システム(

協調学習支援システム(

協調学習支援システム(CSCL

CSCL

CSCL

CSCL)

))

まず,CSCL の広がりに先立ち CSCW(Computer

Supported Cooperative Work)の研究が始められた.

CSCWは共同作業支援システム,協調作業支援シス テムと呼ばれる.CSCW は,ネットワーク利用を前 提とし,グループの作業効率や生産性を高めること を目的としている.グループの構成員には目的・課 題が共有され,CSCW システムの利用によって目的 の達成が目指される.遠隔地の構成員を繋ぐテレビ 会議システム,スケジュール共有機能や掲示版等を 提供するグループウェア,グループの発想を支援す る gIBIS[1],D-ABDUCTOR[2]等の様々なシステム が研究,開発されている. 一方 CSCL が CSCW と異なる点は,個々の学習 者の学習が目的であるという点である.あるグルー プに課題が与えられ,グループで一つの課題を解く という点では CSCW と同じように見えるが,与えら れた課題は表面的なものであり,真の課題は個々の 学習者の学習が進んだかどうかである.極端な言い 方をすれば,グループに与えられた課題が達成しな くても,学習効果が得られれば個々の学習者にとっ ては成功ということになる.全体の生産性が重要な のではなく,あくまでも協調した学習環境の提供が 目指されている. CSCLにおける学習効果としては,一般的な知識 の獲得以外に,以下のようなものが考えられる.

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・触発 ・気付き(アウェアネス) ・メタレベルの学習 CSCL の持つ他者とのインタラクションを通し て独りの学習では得難い高次の学習効果が得られ る . 大 規 模 な CSCL の 実 践 と し て CoVis[3] や CSILE[4]が有名であり,また我々はアウェアネスの 支援を対象に Sharlok[5]を開発している. 図1. 図1.図1.

図1.SharlokSharlokSharlok の画面例Sharlokの画面例の画面例 の画面例

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4. 化学教育への利用

化学教育への利用

化学教育への利用

化学教育への利用

化学教育の計算機利用の対象として以下のよう なものが考えられる. ・知識の伝達 ・トレーニング ・経験・体験の支援 まず,“知識の伝達”は,良い意味での電子教科 書(Web 等を用いて実現)である.学習者が新しい 知識を獲得する場合,最低限の教科書的知識は必要 である.単純な知識の習得には CAI が有効であり, 学習者の進度に合わせた個別学習は計算機の最も 得意とするところである. 化学を対象にした,分子モデリング等,様々なソ フトウェアが存在しているが,初心者がそうしたソ フトを使いこなすことは困難である.そこで,“ト レーニング”は,適切な操作の訓練を提供するもの である.高度な機能を持つソフトの多くは操作や思 想の理解が困難であり,適切な導入がなければ使い こなすことはできない.最近,キーボードやワープ ロの練習ソフトが多数市販されていることからも トレーニングの必要性を理解できる. また,“経験・体験の支援”は,一般にシミュレ ーション,バーチャル・リアリティの技術を用いて 実現される.新しい事象を理解するとき,体験や経 験を通した理解は,本を読むだけの理解と異なるこ とが分かっている.しかし,化学変化等の本質の微 細な世界を直接観察することは困難である.そこで, 計算機によって見えない世界を眼前に現すことで, 抽象的な概念の理解過程で具体的な経験を補うこ とができる. 無論,上に示したような利用形態は,単独で用い られるのではなく,CSCL 環境下のグループ学習と することによって一層効果が上がる. 現在,我々は分子配座情報等の視覚化を利用した CSCLを構築している[6].また,化学の実験を対象 に,グループ学習を支援する CSCL を示すことがで きる.仮説-検証は実験の根幹であるが,仮説を検証 するための実験が,実験のための実験になっている ことが多い.そこで,学習者に電子実験ノートを作 成させ,仮説,目的,準備,手順,予想される結果 を書き込ませる.そして,グループ全体の実験ノー トを作成させる.グループの実験ノートを作成させ るにあたり学習者間の議論が発生し,例えば自分の 意見の説明を通して曖昧だった化学の理解が深め られる等の効果が得られる.さらに,実験からのノ ートへフィードバックによって,実験ノートは修正 され,グループ全体としてのインタラクションが一 層活性化する.

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5. おわりに

おわりに

おわりに

おわりに

本稿では,教育・学習システム研究の観点から, 化学教育における新しい方向を提案した.教育・学 習システムは,知識観の変化から,ティーチングマ シンから教具・支援ツールへと変化してきた.さら に,ネットワークの普及を背景に,グループ学習を おこなう CSCL が中心になってきた.学習には集団 内でのインタラクションという側面があり,CSCL システムはますます増えると考えられる.我々は, 化学教育での計算機の利用法について分類し,協調 学習と化学教育について,新しいモデルを示した. 今後,化学教育の分野でも多くの成果が生まれるこ とが期待される.

参考文献

参考文献

参考文献

参考文献

[1] Conklin, J. and Begeman, M.L.: gIBIS: A Hypertext Tool for Exploratory Policy Discussion, ACM Transaction on Office Information Systems, 6, 4, 303-331, (1988).

[2] Misue, K., Nitta, K, Sugiyama, K., Koshiba, T. and Inder, R.: EnhancingD-ABDUCTOR towards a diagrammatic user interface platform, Proc. of the 1998 Second International Conference on Knowledge-Based Intelligent Electronic Systems, 359-368, (1988).

[3] CoVis Project, http://www.covis.nwu.edu/ [4] CSILE Project, http://kf.oise.utoronto.ca/

[5] 緒方広明, 矢野米雄:アウェアネスを思考した開 放型グループ学習支援システム Sharlok の構築, 電子情報通信学会論文誌(D-II),J78-D-II, 8, 1-10, (1995). [6] 矢野謙典,馮誠,中馬寛,矢野米雄:多次元的な分子 構造の理解を支援する協調型仮想環境, 第 24 回 情報化学討論会, 印刷中, (2001).

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