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平成30年度石油技術協会特別見学会(地質編)参加報告

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Academic year: 2021

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平成 30 年度石油技術協会特別見学会(地質編)参加報告

石田美津希

1*

A report on the 2018 special field trip by the Japanese Association for Petroleum Technology

Mizuki Ishida

1* は じ め に 石油技術協会特別見学会(地質編)は,石油技術協会が 主催して平成 30 年度で開催 11 回目になる.私が所属する コースの村越直美先生に案内をいただき,11 月 8 日に開催 された見学会に参加した.この見学会では,養老川沿いの 田淵の崖(“チバニアンの崖”)(Stop 1),養老川沿いの中瀬 遊歩道(Stop 2),大多喜町天然ガス記念館(Stop 3),瑞沢みずさわ川がわ 西門 さいかど 橋 ばし (Stop 4),関東天然瓦斯開発(株)の七なな井い土どプラント (Stop 5),長柄な が ら町役場横の道沿い(Stop 6)を順に見て回っ た.“チバニアンの崖”の見学は今年の目玉であり,これ が目当ての参加者が多かった.各地点を第 1 図に示した. 産業技術総合研究所の徳橋秀一先生,東京農業大学の会田 信行先生,関東天然瓦斯開発(株)の岩本広志先生に案内 していただき,参加者の安全管理等をする関東天然瓦斯開 発(株)のサポーターの方 3 名,石油技術協会事務局の方 2 名,そして一般参加者 37 名の合計 45 名で見学会が行われ た.サポーターの方々以外は 1 台の大型バスで見学地点を 回った.当日の天気は晴れで過ごしやすい 1 日だった. 以下に見学会案内時の先生方の解説内容を中心にまと め,詳細な説明が必要なところは見学時に配布された案内 書(徳橋,2018)から部分的に引用している. 見 学 内 容 往路のバスの中で 8 : 30 に JR 千葉駅東口に集合してバスに乗り込み,予定 通り 8 : 40 に出発した.各参加者には,100 ページを超え るカラー印刷の(徳橋先生の血と汗と涙の結晶の)案内書, チバニアン期(第四紀更新世中期に相当)の解説パンフレッ ト,岩本先生お手製の粒度表,名札が配布された.案内書 巻末には茶封筒がつけられており,チバニアン期の解説パ ンフレットと粒度表をしまえるように配慮されていた.バ ス内は基本的に相席だったが,運良く私の隣は空席だった ので,182 cm・100 kg 超の巨漢である私にはとてもありが たかった.バスは館山自動車道を利用し,途中,市原サー ビスエリアでトイレ休憩した.その後,Stop 1 の到着 30 分 受付 : 2019 年 1 月 7 日 1 信州大学理学部理学科物質循環学コース 3 年 〒390-8621 長野県松本市旭 3-1-1

Course of Environmental Sciences, Department of Science, Faculty of Science, Shinshu University, Matsumoto 390-8621, Japan

Corresponding author: [email protected]

堆積学研究 第 77 巻 第 2 号 115-119(2019)

Journal of the Sedimentological Society of Japan Vol. 77, No. 2, p. 115-119 (2019)

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学会参加報告

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前頃から,バス車内で千葉県における水溶性天然ガスに関 する白黒のビデオが流された.ビデオの中の水溶性天然ガ スが湧出する川の水面上で火がメラメラと燃えているのは 印象的だった.年季の入ったビデオも味があっていいのだ が,いつカラー版に更新されるのだろうか?ビデオ観賞後, 岩本先生による水溶性天然ガスに関する補足説明と質問対 応があり,気づいたらバスは最初の見学地点に到着してい た. Stop 1 : 養老川沿いの田淵の崖(“チバニアンの崖”) バスの降車場所からチバニアンの崖まで数百 m あった が,その道中,崖への道案内の看板があちらこちらにあり, 迷うことはなかった.養老川沿いの崖を見学するために, 河床に降りた.日によって水位の変化があり,滑りやすい ので長靴などが必須である.この見学地点では徳橋先生だ けではなく,チバニアンの崖に大変詳しい古地磁気学の専 門家である会田先生が解説された.第 2 図は上総層群国本 層で,下部におよそ 77 万年前に長野県と岐阜県の県境に 位置する御嶽山から噴出した火山灰層が見られる.火山灰 層の約 40 cm 上位に松山逆磁極期と磁極遷移期の境界が存 在し,さらにその約 70 cm 上位に磁極遷移期と現在と同じ ブリュンヌ正磁極期の境界が存在する.ちなみに崖に見ら れる穴は会田先生が古地磁気研究用のサンプルを取った跡 第 2 図 松山-ブリュンヌ境界を確認できる露頭.黒 線は各期の境界.白線は地層境界.スケールは 1 m. 第 3 図 記念集合写真(関東天然瓦斯開発(株)の国末彰司氏撮影).前列右端から 6 番目が徳橋秀一先生, 7 番目が会田信行先生.最後列左端から 4 番目が岩本広志先生.参加者の笑顔がまぶしい.

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である.地磁気の逆転は過去 360 万年間で 11 回確認され ており(岩本ほか,2018),今回見学したのはその最後にあ たるもので,古地磁気逆転境界(松山-ブリュンヌ境界)は この火山灰層の約 1.1 m 上位に位置すると説明を受けた. 地層の写真を撮ろうと多くの参加者が並んだため,徳橋先 生の予想以上に見学に時間がかかり,バスの出発時刻が予 定より数十分遅れた.その出発を待っていた間に私は河床 を観察していたところ,生物が這った跡であろうか,生痕 化石を見つけて喜んでいた.そこで,私はもっとここでい ろいろな生痕化石を探したくなったのだがそれには短い時 間だったので残念だった.最後にチバニアンの崖で記念撮 影した「ハイ,チー(バーニアン!!)」(第 3 図). Stop 2: 養老川沿いの中瀬遊歩道 養老川沿いのルートマップを示す(第 4 図).ここでは 学生・院生と社会人の 2 グループに分かれて,それぞれの グループを徳橋先生と岩本先生が案内された.観音橋から 養老川の右岸を上流側に歩いていくと,すぐに高さ数十 m 程の対岸の崖に砂岩優勢砂泥互層が見られた(第 5 図). 砂層中に平行葉理などの堆積構造が見られたり,砂層下部 に泥岩偽礫が挟まっていたりした.この地層は上総層群 梅ヶ瀬層の最下部にあたる.ここでの地層の走向はおおよ そ東西で,北に約 10°傾いているため,遊歩道に沿って南 下するとより下位の地層が見られた.この地層の観察後, 川を横断して左岸側に移動し,川沿いにさらに南下した. 少し歩くと,対岸の崖に泥岩優勢砂泥互層が見られた.こ の層は上総層群大田代層の最上部にあたる.さらに南下す ると,泥岩優勢砂泥互層の下位にスランプ堆積物があった. ここで徳橋先生は「スランプ堆積物は必ず正常層に覆われ るから,終わりのないスランプはないんだよ」と笑いを誘っ ていた.さらに川沿いを歩き,弘こう文ぶん洞どう跡あとで足を止めた(第 6 図).ここでは,北側の崖はいつも乾燥しているのに対し て,南側の崖の表面が湿っているのはなぜか?という徳橋 先生のオリジナルジオクイズが出題された.先生は解答を 明かさず,各参加者に考えさせた.私の回答も明かさず, 読者のみなさんに考えてもらおう. Stop 3: 大多喜町天然ガス記念館 天然ガス記念館に入ると,職員さんの 2 体の人形が受付 で歓迎してくれた.展示パネルには,見た人が深い知識が なくても理解できるように,千葉県産天然ガスの歴史や採 取・供給等についてかみ砕いて説明されていた.今回は時 間が押していたため,10 分程しか滞在できなかった. Stop 4: 瑞沢川西門橋(天然ガス自然湧出現場) 瑞沢川の西門橋から川岸へ下りると,川の水面に天然ガ スの気泡があちらこちらで絶えず湧出していた(第 7 図). また,足元には割れ目が見られ,この割れ目からも天然ガ スが湧出しているそうだ.足元の割れ目が浸るくらい水位 第 4 図 養老川沿いのルートマップ(徳橋,2018). 第 5 図 養老川の対岸の高さ数十 m 程の崖に見られ た砂岩優勢砂泥互層.互層の縞々模様がきれいだ.

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が上昇したときにこのことを確認したと徳橋先生はおっ しゃった.そして,この割れ目は地下の岩盤に応力がか かってできたものだと説明を受けた. Stop 5: 関東天然瓦斯開発(株)の七井土プラント 関東天然瓦斯開発(株)の七井土プラントで実際に使わ れている水溶性天然ガスの生産井を見学した(第 8 図). 関東天然瓦斯開発(株)の方の解説によると,井戸の深さ は最大深度 1400 m で,Stop 2 で見学した大田代層の下位の 黄和田層と大原層から水溶性天然ガスが汲み上げられてい る.汲み上げられた水溶性天然ガスはセパレーター内に入 れられ,地層水(かん水)と天然ガスに分離される.ここ で分離された天然ガスは様々なユーザーに向けて供給され る.また,天然ガスの一部はパイプを経由して地下に吹き 込まれて水溶性天然ガスを取り出すのに使われる.吹き込 まれる先の地層とは Stop 2 で見学した梅ヶ瀬層である.か ん水から不純物を除去した後で,かん水はヨウ素工場へポ ンプで送られる.参加者はかん水を舐める機会があり,徳 橋先生に「舐めると寿命が 10 年延びる水だよ」と冗談交じ りに言われた.舐めてみると寿命がなんとなく延びた気が した.かん水はとてもしょっぱかった. Stop 6: 長柄町役場横の道沿い 上総層群最上部に相当する,陸棚堆積物からなる笠森層 の地層を観察した.浅海環境に特徴的な Rosselia socialis, Teichichnus pescaderoensis などの生痕化石を,徳橋先生の 説明を受けた上で見つけることができた.見学を始めてか ら 15 分も経たないうちに,辺りは暗くなり今年の見学会 は終了してしまった. お わ り に 私は昨年の特別見学会(地質編)にも参加しており,こ の見学会に参加するのは 2 回目になる.私は昨年の参加報 告も書いたが,今回ももしかすると参加報告の執筆依頼を 受けるかもしれなかったので,少しでも聞き漏らさないよ うに話を聞いていた(仮に執筆依頼されなかったとしても しっかりと聞いていないといけないものだが).案の定, 徳橋先生から依頼されたときには心の準備も万端で,飛び つくように「やります!」と返答した.今回の見学会では, 専門の先生の話を聞きながら最近話題の“チバニアンの 崖”が見られて楽しかった.また,学部 3 年になり,地質 分野の知識量が昨年よりもパワーアップしていたので,見 学地点で聞いた地層に関する話の多くを理解できたつもり である.実は,先生の話を理解できた度に,決してふざけ ていたわけではないが,私はニヤニヤしていた.そして, 第 7 図 天然ガス自然湧出の様子.私たちを歓迎す るかのように天然ガスが勢いよく湧出していた. 第 6 図 弘文洞跡. 第 8 図 七井土プラントの水溶性天然ガスの生産井.

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私にとって初めて見る生痕化石が案内書に詳しく載ってい て勉強になった.他にも,関東天然瓦斯開発(株)の七井 土プラントにおける各装置の仕組みは昨年に勉強済みだっ たので,解説内容はすんなりと頭に入ってきた.どの見学 地点においても興味深い話を聞くことができたので楽しく 過ごせた. 謝辞 : 徳橋先生や岩本先生,会田先生をはじめとして,石 油技術協会の皆さま,関東天然瓦斯開発(株)の皆さまの 準備等のおかげで,とても貴重な経験ができました.村越 先生にこの原稿を書く中で厳しくご指導をいただきまし た.以上の皆さま,本当にありがとうございました. 徳橋秀一,2018,平成 30 年度石油技術協会特別見学会(地質編). 131p. 岩本広志,会田信行,伊藤彰秀,大木淳一,小川政之,上加世田 聡,楠 恵子,小林康夫,斉藤尚人,佐藤伸司,品田正一, 鈴木久仁博,東 将士,堀内正貫,三島幸弘,渡辺拓美,宮 地良典,竹下欣宏,2018,チバニアン(千葉時代)解説パン フレット.30p.

参照

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