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中学校における暴力行為予防のための実践プラン:―SVPP(School Violence Prevention Program)による取り組み―

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Academic year: 2021

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(1)     中学校における暴力行為予防のための実践プラン. ーSVP P(Schoo1Wo1ence Preventi㎝Program)による取り組み一                       専  攻 教育実践高度化専攻                        コース 心の教育実践コース.                       学籍番号   P09047B                       氏  名    西村 純一 1 問題の所在とプランの目的. 作用に着目し,変化を促進することである。第.  近年,児童生徒のr暴力行為」が深刻な問題. 三は,協働意識のもとにプログラムを実施する. として注目されている。2009年度の文部科学. 一ことで,教師にプラスの作用が働き,ひいては. 省の問題行動調査によれば,暴力行為が小中高. 生徒を含め学校全体を元気にすることである。. 全体で過去最多となり,6万件を超えたことが. 2 暴力行為発生の心理過程. 報告された。学校種別では小学校が7115件,.  暴力行為の発生にはフラストレーション. 中学校は4万3715件,高校は1万83件で,中.  (欲求不満)の発生が根底に存在すると考え. 学校が突出している。発生件数のみで各発達. られる。さらに,「怒り(anger)」「敵意(hosti1ity)」. 段階における暴力の出現特性を論じることは.  「攻撃性(aggfeSSiVeneSS)」それぞれの感情が. できないが,中学生の時期は暴力が顕在化しや. 大きく関係している。そもそも,フラストレー. すい時期と捉えることができる。. ションは人間が生きていく上で避けることの.  2010年度に実施したA市での教師の意識. できないものであるが,そのために引き起こさ. 調査(A市内11校256人を対象に調査)にお. れる行動は周囲の対応によって変わってくる。. いては,r現在,生徒からの暴力行為に対して脅.  学校において,多くの生徒は,フラストレー. 威を感じながら仕事をしている」という教師. ションが発生した時に,他人の何らか行動や言. が26%にものぼり,r過去に生徒からの暴力行. 動に触発されて怒りの感情が沸いてくると考. 為に対して脅威を感じて仕事をしていたこと. えられる。その怒りを覚えた状態で,自分にと. があった」という教師については,67%という. って納得のいかない態度や言葉を受けると,攻. 高い数字が示された。暴力の脅威を感じて仕. 撃性や敵意が芽生える。この状態で生徒の中. 事をしなければならない状態は精神的に極め. に攻撃に対しての自制心や理性が働かなけれ. て厳しい状態にあり,些系軍なきっかけで教師の. ば,暴力行為という行動化が起こることになる。. 自己崩壊(バーンアウト)に陥ることもある。.  rキレル」という暴力行為もあるが,その場合. 国際労働機関(I L O)がかつて指摘したよ. においても,フラストレーションの発生に関連. うに「教師は戦場なみのストレスにさらされ. して怒り,敵意,攻撃性が絡んだ状態で発生し. ている」と言える。. ていることが多い。.  本プランの目的は次の3点である。第一は,. 3 SVPPの概要. 生徒が将来に亘り「暴力行為」を引き起こさ.  プログラムを構想するにあたって,まず学校. ないようにすることである。第二は,暴力を振. 現場の教師の意見を聞き,組み込むことを重要. るう主体だけでなく,教師をはじめ周囲の相互. 視した。職員研修を行う上で個人のスキルア. 一90一.

(2) ップだけでなく,「暴力行為の予防」という共. た結果と思われる。女子に特徴的な内面的攻. 通の目的を意識することで,教師集団に協働性. 撃(無視する,悪い噂を流す,孤立させる)を含. が芽生えることもプラスアルファーの効果と. んだ攻撃性の抑止をめざすプログラムを開発. なると思われる。教師向けSVPPを実施する. することが今後の課題である。なお、対象学. ことで,教師の個人対応能力が向上し,生徒の. 年の暴力行為件数は昨年度と比べると大幅に. 微妙な心情や行動の変化を感じる危機対応意. 減少した。2年生の不安定な時期から3年生. 識が職場レベルで向上すると考えられる。. への移行というプログラム以外の要因も考え.  生徒向けのSVPPでは道徳と学活を活用し. られるが,実態的な数値として,一定の効果が. て,非行予防におけるエクササイズや,暴力行. あったと考えられる. 為に対しての学習も行った。多面的なアプロ. 5 まとめ. ーチによって,暴力行為抑制のための幅広いオ.  生徒指導というと問題の後追い指導に陥り. プションを持つことをねらいした。特に,アン. がちであるが,実際には予防的・開発的な取り. ガーマネジメントにおいては,セルフトレーニ. 組みが重要であることはいうまでもない。し. ングをすることにより,生徒の内面からの変化. かし,学校現場では事件が起きた事後対応,事. が起きることが予想される。こうしたプログ. 後指導が殆どである。本プランでは,事前の予. ラムの実施によって,教師と生徒の関係にも変. 防的・開発的なプログラムを実施することで. 化が生じ,学校の安心・安全が促進されること. 教員間の危機意識を高めるとともに,生徒の暴. が期待されるプログラムと考えることができ. 力行為への関心と理解を深めることができた と考えている。. る。. 4 考察.  学校における暴力行為の発生は,学校崩壊だ.  中学生用攻撃性質間用紙23項目を用い,プ. けでなく教師の崩壊へもつながりかねない大. ログラム実施前後で対応のあるt検定を行っ. きな社会問題でもある。本プランの開発を通. た。その結果,「警戒心」(C(201)=1.97,ρ. じて感じたことは,学校現場では危機への対. く.05)と「身体的攻撃」(C(201)=2.30,ρく.05). 処にあたって即効性を求めがちであるが,重要. に有意差がみられた。プログラムにおいて焦. なことは生徒の将来を見据え,先の展望を持っ. 点化した「身体的攻撃」が減少したことは一. た教育を行うことである。そのためには回り. 定の成果と考えられる。ただ,男子に対しての. 道に見えても理論や学問的な知見を基盤とし. み効果がみられ,女子に対しては効果がみられ. た時間をかけた地道な実践を具体化すること. なかったことは,女子の身体的な攻撃性が男子. が重要であると考える。実践にあたっては,絆. に比べてもともと低かったことが要因のひと. (socia1bond)を意識し,同僚や生徒との信頼関. つと考えられる。また,プログラムの内容が男. 係を築くことが不可欠の前提となる。. 子に特徴的な身体的攻撃を中心に組まれてい たことも要因であると思われる。. 修学指導教員 新井 肇.  「警戒心」の数値が高くなったことは,生徒 が周囲の悪口や暴言,暴力に対して敏感になっ. 一9!一.

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