中学校における暴力行為予防のための実践プラン:―SVPP(School Violence Prevention Program)による取り組み―
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(2) ップだけでなく,「暴力行為の予防」という共. た結果と思われる。女子に特徴的な内面的攻. 通の目的を意識することで,教師集団に協働性. 撃(無視する,悪い噂を流す,孤立させる)を含. が芽生えることもプラスアルファーの効果と. んだ攻撃性の抑止をめざすプログラムを開発. なると思われる。教師向けSVPPを実施する. することが今後の課題である。なお、対象学. ことで,教師の個人対応能力が向上し,生徒の. 年の暴力行為件数は昨年度と比べると大幅に. 微妙な心情や行動の変化を感じる危機対応意. 減少した。2年生の不安定な時期から3年生. 識が職場レベルで向上すると考えられる。. への移行というプログラム以外の要因も考え. 生徒向けのSVPPでは道徳と学活を活用し. られるが,実態的な数値として,一定の効果が. て,非行予防におけるエクササイズや,暴力行. あったと考えられる. 為に対しての学習も行った。多面的なアプロ. 5 まとめ. ーチによって,暴力行為抑制のための幅広いオ. 生徒指導というと問題の後追い指導に陥り. プションを持つことをねらいした。特に,アン. がちであるが,実際には予防的・開発的な取り. ガーマネジメントにおいては,セルフトレーニ. 組みが重要であることはいうまでもない。し. ングをすることにより,生徒の内面からの変化. かし,学校現場では事件が起きた事後対応,事. が起きることが予想される。こうしたプログ. 後指導が殆どである。本プランでは,事前の予. ラムの実施によって,教師と生徒の関係にも変. 防的・開発的なプログラムを実施することで. 化が生じ,学校の安心・安全が促進されること. 教員間の危機意識を高めるとともに,生徒の暴. が期待されるプログラムと考えることができ. 力行為への関心と理解を深めることができた と考えている。. る。. 4 考察. 学校における暴力行為の発生は,学校崩壊だ. 中学生用攻撃性質間用紙23項目を用い,プ. けでなく教師の崩壊へもつながりかねない大. ログラム実施前後で対応のあるt検定を行っ. きな社会問題でもある。本プランの開発を通. た。その結果,「警戒心」(C(201)=1.97,ρ. じて感じたことは,学校現場では危機への対. く.05)と「身体的攻撃」(C(201)=2.30,ρく.05). 処にあたって即効性を求めがちであるが,重要. に有意差がみられた。プログラムにおいて焦. なことは生徒の将来を見据え,先の展望を持っ. 点化した「身体的攻撃」が減少したことは一. た教育を行うことである。そのためには回り. 定の成果と考えられる。ただ,男子に対しての. 道に見えても理論や学問的な知見を基盤とし. み効果がみられ,女子に対しては効果がみられ. た時間をかけた地道な実践を具体化すること. なかったことは,女子の身体的な攻撃性が男子. が重要であると考える。実践にあたっては,絆. に比べてもともと低かったことが要因のひと. (socia1bond)を意識し,同僚や生徒との信頼関. つと考えられる。また,プログラムの内容が男. 係を築くことが不可欠の前提となる。. 子に特徴的な身体的攻撃を中心に組まれてい たことも要因であると思われる。. 修学指導教員 新井 肇. 「警戒心」の数値が高くなったことは,生徒 が周囲の悪口や暴言,暴力に対して敏感になっ. 一9!一.
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