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摂食態度と自尊感情,不安との関連

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Academic year: 2021

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(1)摂食態度と自尊感情,不安との関連              学校教育専攻            臨床心理学コース.                M07㏄6d                派内彩乃. 第1章 問題と目的. からの検討を試みる。.  摂食障害は摂食行動に異常がみられる精神疾患. 第2章 方法. であり,神経性無食欲症(以下,拒食症)と神経性. 1.調査対象. 大食症(以下,過食症)に分類される。.  A県にある大学3校の大学生および大学院生.  菊地(1996)は,摂食障害は母子関係の中で良い. 711名を対象とし,質問紙を用いて行った。調査. 対象関係を十分内在化できず,対象を喪失し自己. は2007年11月∼2008年1月に,無記名で実施. が枯渇あるいは解体してしまうという深刻な不安. し,有効回答者の576名(女子313名,男子263. に対する病的防衛の表現としている。また松木. 名)を分析対象とした。また質問紙に記入しだした. (2006)は,摂食障害の人たちの背後には行動・行. 者の中から,面接調査への同意が得られた8名(男. 為で防衛している抑うつ不安が存在し,彼らは惨. 子4名,女子4名)に2008年2月∼2008年3. めで無価値な自分,絶望的な抑うつ感情などを抱. 月に半構造化面接を行った。. えていると述べている。摂食障害の病因について,. 2.調査内容一自己記入式質問紙表. 従来より低い自尊感情との関連が多く報告されて. (1)Eating Attitudes Test 日本版26項目. いるのも,こうした抑うつ不安が症状の背景にあ. (EAT−26). ると考えられる。つまり不安をどのように防衛す. (2)大食症質問紙表Bu1imic Investigatory Test. るか,自尊感情をどのように回復するかが摂食態. Edinburgh 日本語版(BITE). 度に影響すると考えられる。. (3)State・冊aita㎜ietyII1ventory日本語版.  しかしながら摂食障害者の多くは,程度の大小. (ST㎜)のうち,ストレス状況に対して状態不安を. はあるにしても,拒食と過食の既往があり,拒食. 喚起させやすい比較的安定した個人内特性をとら. 症者と過食症者を明確に区別することは困難であ. える特定不安を測定する20項目(ST州・T)。. る。またその病態サイクルが始まると,摂食障害. (4)Rosenberg自尊感情尺度目本語版10項目. になったために特有の心理特性になったのか,特. (RSES). 有の心理特性をもった人が摂食障害になったのか,.  以上の4尺度に性別,年齢,身長,体重,成長. 因果関係が曖昧になってしまう。調査者は健常者. 停止年齢,最低体重および年齢,最高体重および. を対象とすることで,摂食障害の前景に立つ摂食. 年齢,体型評価および評価理由,初潮年齢,摂食. 態度と精神力動を理解することを目的とする。. 障害での通院歴を加えた。.  そして,集団に対する質問紙調査と個人に対す. 3.調査内容一半構造化面接. る面接調査を実施することで個人と集団の両側面.  対面式で,一人90分∼I20分で面接を行った。. 一146一.

(2)  主な質問内容は,質問紙を記入した時に考えた. 混合摂食群が拒食傾向群,正常摂食群よりも有意. こと,家族歴,成育歴,食生活,友人関係,異性. に得点が低く(pくO.05,pく0.01),過食傾向群が,正. 関係,自分の体型や体重についてなど。. 常摂食群よりも有意に得点が低かった(pくO.01)。. 第3章 結果. 4.男女間の比較. 1.記述統計量.  男女問のスコアにおいて,対応のないt検定を.  身長と体重からBody Mass Index(BMI,体重. 行った結果,体形評価,EAT・26,BITEでは,女. (kg)!身長(m)の2乗)を,成長停止以後の最高体重. 子が男性よりも得点が有意に高く(pくO.01),BMI,. から成長停止以後の最低体重を引いて体重差を算. 成長停止年齢では,男性が女性よりも得点が有意. 出した。. に高かった(pく0.01)。. 2.各尺度間の相関.   また男女それぞれでPearsonの相関係数を算.  4尺度とBMI,体形評価,成長停止年齢,体重. 出した結果,男女共BMIと体形評価に. 差について,Pe肛sonの相関係数を算出した。そ. (r=O.612,PくO.01)(r=0,698,pく0.O1),BMIと体重. の結果,BMIと体形評価(r:O.54,pく0.01),体. 差に(r=0,472,pく0.01)(r:0,411,Pく0.01)に有意な. 重差(r=0.43,pく0.01)に有意な正の中程度の相. 正の相関が,ST細丁とRSESに有意な負の相関. 関が認められた。また,RSESとST㎜・T(r=0.68,. がみられた(r=・0,698,pく0.O1)(r=・O.652,pくO.01)。. pくα01)に有意な負の中程度の相関が認められた。. みられた。女性にのみ体形評価とSTAI・Tに. 3.摂食態度と各尺度との関係. (r=0,578,pく0.01)に有意な正の相関が見られた。.  全体を次の4群に分けた。まずBITE得点12. 5.面接調査協力者. 以上およびEAT・26得点57以下である73名(女性.  面接調査への協力が得られた8名のうち,正常. 47名,男性26名)を過食傾向群とした。次にBITE. 摂食は3名(a,c,h),過食傾向は4名(b,d,e,. 得点11以下およびEAT26得点58以上である63. g),混合摂食は1名(O,拒食傾向が0名であった。. 名(女性41名,男性22名)を拒食傾向群とした。. 第4章 考察. そしてBITE得点12以上およびEAT−26得点58.  不安と摂食態度,自尊感情との関係は,性差が. 以上である78名(女性61名,男性17名)を混合摂. ないことが示唆された。また本研究から,不安が. 食群とした。最後に,BITE得点11以下および. 出現した時,拒食傾向または過食傾向といった摂. EAT26得点57以下の328名(女性141名,男性. 食行動が防衛として使われ,自尊感情が低下する. 188名)を正常摂食群とした。4群を独立変数に,. と推測される。そして摂食態度の維持または変化. 各尺度を従属変数にして多重比較を行った。その. に伴い,自尊感情は変化すると考えられる。. 結果,体重差では混合摂食群,過食傾向群が正常.  女性が男性に比し摂食障害傾向が高いのは,社. 摂食群よりもそれぞれ有意に得点が高く. 会的文化的背景から性的成熟に否定的になりやす. (pく.0.05,pく0.01),体形評価では過食傾向群,拒食. いため,また女性は母親と同一化して女性性を獲. 傾向群,混合摂食群が正常摂食群よりもそれぞれ. 得しながら心的分離をしなければならないといっ. 有意に得点が高かった(pく0.O1)。ST㎜一丁では混合. た複雑な構造が生じるため,摂食態度が男性より. 摂食群が拒食群,正常摂食群よりも有意に得点が. も混乱すると考えられる。. 高く(pくα05,pくOlO1),過食傾向群が正常摂食群よ.          主任指導教員 岩井圭二先生. りも有意に得点が高かった(pくO.01)。RSESでは.            指導教員 細澤仁先生. 一147一.

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