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小学校国語科文学教材における読みを深める発問の研究 : 第6学年教材「海の命」を手がかりにして

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Academic year: 2021

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(1)小学校国語科文学教材における読みを深める発問の研究.   一策6学年教材「海の命」を手がかりにして一                           教育実践高度化専攻                        小学校教員養成特別コース.                          P09068E鎌同ヨ裕規 新しい単元構想④実践時の発聞分析・再構成及び. 1 研究報告書の構成. 序 章研究の目的と方法. 授業モデル開発を行う。. 第I章 読みを深める発間構成. 3 研究の概要. 第皿章 教材「海の命」の教材分析. 第I章 読みを深める発間構成. 第皿章 授業モデル「海の命」の開発.  読むという行為の過程は,①教材に出会い,②. 終 章研究の成果と今後の課題. 感じ,③感想を持ち,④解釈し,⑤批評が可能と. 2 研究報告書の概要. なることだといえる(1)。読みが深まるとは,①か.  文化審議会答申「これからの時代に求められる. ら⑤の過程を経て,自分なりの思いを客観的に表. 国語力について」(2004)で,国語力として,論理. 現できることである。特に,④と⑤の過程で,言. 的思考力と言い換えられるr考えるカ」が重要で. 語情報に含まれる「事実」やr根拠の明確でない. あると提唱されている。また,『読解カ向上に関す. 推測」などを正確に見極め,さらに,内在してい. る指導資料一PISA調査(読解カ)の結果分析と改. る論理や構造などを的確にとらえていくことが求. 善の方向一』(2006)においても,分析力を含む論. められている。まさに分析的に読むということが. 理的思考カの育成が求められている。しかし,現. 読みの深まりにっながるといえる。一教師の発問が. 実には,児童が論理的に考え,読解することは難. 必要になるのは,③から④,④から⑤への段階で. しい。実地研究の際にも,印象で読解を進める場. ある。以上をまとめると,国語科文学教材におけ. 面を見ることが多かった。. る読みを深める発間とは,児童に解釈や評価・批.  実地研究において実践したr海の命」の授業で. 判をさせるために有効な発問であるといえる。つ. は,児童の読みが深まっていない,あるいは,読. まり,教師の教材分析が発間づくりには重要であ. みが深まるという状態も明らかにすることができ. る。. なかった。考えるカや読解力の向上が求められて. 第皿章 教材「海の命」の教材分析. いる中で,読みが深まる状態を明確な形で目標と.  教材分析として,文章分析と「視点」の考察を. して設定できなかったことに加えて,発間や指示. 行う。文章分析によって,場面ごとの文の数及び. が明確ではなかったという問題点が浮き彫りにな. 作中人物が主語になっている文の数を調査すると,. った。そこで,本研究は,第6学年教材「海の命」. 「視点」となっている人物(以下,視点人物と示す). を取り上げ,児童の読みが深まる授業実践を通し. と場面ごとに何を読み取るべきかが分かる。要す. て,読みが深まる小学校国語科の授業モデルを開. るに,視点人物を中心としながら,主語の多い作. 発することを目的とする。. 中人物の心情に迫ることが場面を読み取る上で有.  平成22年度K市立U小学校の第6学年児童(男. 効になる。視点人物は主語になっている文の数が. 子9人,女子4人,計13人)で行った全8時間の. 最も多い太一である。文章分析とr視点」の考察. 授業実践を研究対象とする。研究の方法は①「海. をもとに,場面ごとに読みが深まった状態を考察. の命」の教材分析②文学研究者の考察との比較③. する。そのために,人物関係図を作成する。例と. 一!16一.

(2) して第1場面の人物関係図を図Iとして示す。. 以上の5つのカテゴリーで,自らの発問を分類す. 「おとうといっしょに海にでるんだ。」. ることから発問の階層性を導きだす。階層性をも. 「太一はこう言ってはばからなかった。」. に発間を再構成することで,単元計画及び授業モ. ○白○二叉. デルを作成する。. 4 今後の課題 今後の課題としては,第1に,国語科文学教材に.  ,蟄謝     獲物. 「じま   トと なく」.  「海のどん荏一表情でも. おける読みが深まる発間について考察することで.    太一は好きだった。」. ある。教材「海の命」における読みが深まる発問.    「また住んでいた」. については考察できたが,それを一般化し,国語. ≠瘤なガ次. 科文学教材にまで広げることができていない。. よって今後は,国語科及び他教科における発間の. !○.㌃二㌻練∴.  第2に,実践をもとに授業モデルを修正するこ. @   rまるで岩のような魚ガ。」rロープを切る. とである。本研究では,作成した授業モデルを実. ・…一.   ζ二.∵    、/. 一般化についても視座を広げていきたい。. 践することができなかった。よって,授業モデル.   ’^・㌧へしか方渕ま在かるた。」 海のめぐみ.       図1第1場面の人物関係図. は児童の姿が十分には見えないものとなっている。.  各場面の人物関係図を比較することで,視点人. 児童の実態に合った授業に再構成しなければなら. 物太一一一のr尊敬」への対象が拡散していくことが. ないと考える。今後は,実践の中で授業モデルを. 分かる。その過程を読みが深まる過程とし,より. 修正していきたい。. 客観的にするために,文学研究者の考察と比較し, 尊敬の対象を以下に示す。. 註及び主な参考文献. 第1場面. 海の命を大切にする父. (1〕大槻和夫編『国語科教育改善のための国語能力. 第2場面. 海の命を大切にする与吉じいさ.  の発達に関する総合・実証的研究I. 第3場面. 与吉じいさを含む海の命. 第!−1場面. クエをも含む海の命. 第6場面. 家族を含む海の命. 一研究成果報告書一』1997。 (2)井上尚美『国語の授業方法論』一先杜,1983。. ・大内善一『国語科教材分析の観点と方法』明治. 第皿章 授業モデル「海の命」の開発.  図書,1990。.  第皿章では,実地研究皿での「海の命」を教材 とした自らの授業を分析する。授業記録から教師 の発問を抜き出し,分類することで,発問を再構 成していく。発問の分類は,以下のものを使用す. ・西郷竹彦監修 佐々木智治著『r海のいのち」の  授業』明治図書,2005。 ・田中実 須員千里編『文学の力×教材のカ 小.  学校編6年』教育出版,2001。. ・富安慎吾r文学教材における読みの可能性につ. る(2〕。. (T1). 指名・確認・説明・補足・整理などの発言.  いての検討一立松和平【海のいのち梅の命】の. (T2). 語句や事実についての知識を尋ねる発間.  場合一」『島根大学教育学部紀要 第44巻別冊』,. (T3). テキストに表現されている内容の解釈につ.  2011。. いての発問. ・野口芳宏「発問」日本国語教育学会『国語教育. (T4). 推論・予測など。「行間を読む」発間.  辞典』朝倉書店,2001。      他多数。. (T5). 評価・批判・鑑賞についての発問.             修学指導教員 闘清和. 一117一.

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参照

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