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環境配慮型まちづくりにおける森林資源管理 : 施策展開の限界と産業ビジネスの参入による持続可能な森林資源管理と里山保全の可能性

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1.はじめに  2010 年,名古屋で開催された生物多様性条 約第 10 回締約国会議(CBD/COP 10)に お い て,SATOYAMA イニシアティブが提唱され て以降,少しずつではあるが生物多様性保全の 観点から里山保全の活動に関心が寄せられつつ ある.SATOYAMA イニシアティブは,有限 な環境資源の持続可能な利用,自然資源の循環 利用,伝統文化の価値と重要性の認識,貧困削 減に資する社会向上,自然資源や生態系サービ スにおける多様なステークホルダーの協力によ る持続可能な管理という 5 つの視点を備え,多 様な生態系サービスとその価値の確保や伝統的 手法と近代的技術との融合,土地の共同管理を 実施しながら,自然との共生社会の形成を目指 している(SATOYAMA イニシアティブパン フレット).海外に対してもこの概念の普及促 進が進められている.里山は自然由来の環境と 人工的に手が加えられた二次的な環境が融合し た地域である.この地域を維持し続けるために は,継続的な管理の担い手と管理していく上で の財政の確保が不可欠である.しかしながら, 現在の里山管理の多くは,不安定な活動費を基 盤に,NPO に代表される非営利団体に所属す る高齢者らに託されている.また里山の多くは 個人所有であることもあり,保全には所有者の 理解も必要となる.現状を改善するためには, 次世代を対象とした里山管理への参加促進や安 定的な財政確保,詳細な情報発信等,さまざま な施策の策定が必要となるが,限界は残る.本 稿は,持続可能な里山保全に向けた今後の方策 について明示する.持続可能な里山保全を導く 適切な施策について,関連する森林保全や緑化 促進が自治体の施策の中でどういった位置づけ にあるのかを都市の規模別に整理する.都市 規模ごとの共通点を見出しながら,持続可能な 森林資源管理に向け,自治体の施策展開におい ての今後の課題についても整理する.また,ビ ジネス産業は里山保全の補完的役割を果たす可 能性があることから,本稿では自治体の施策展 開が抱える課題の緩和に向けた 1 つの方策とし て,ビジネス産業による参入について明示する とともに,より持続可能な里山保全活動が実施 できるような施策の 1 つであることを明示す る. 2.森林資源 2. 1  森林資源が備える特徴と周辺環境にもた らす影響  森林資源は生態系の一部である.生態系が有 する多様なサービスは,人びとの生活を含む幅 広い規模の中で恩恵として享受される(ヘラー ト・三村 2011 年:p. 58).森林資源は再生可 能な資源であり,炭素を循環する機能を有して いる.加えてさらに少ないエネルギー量で森林

環境配慮型まちづくりにおける森林資源管理

──施策展開の限界と産業ビジネスの参入による持続可能な森林資源管理と

里山保全の可能性──

渡  耒     絢

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資源の加工を可能する機能も有している.こ れらの特質は,大気中の CO2吸収を可能とす るだけではなく,炭素の固定や化石燃料の代替 エネルギーとして活用することによる温室効 果ガス(GHG)排出量の低減に資する(柿澤 2011 年:pp. 150─156).森林資源は環境全体の 状態を管理・維持できる機能を活用し,よりよ い環境状況を生み出す可能性を秘めている.こ のような森林資源を機能させるためには,森林 資源が有する特徴と多機能性をしっかりと認識 することが重要である.明確な認識は,森林資 源の持続可能な管理および活用に寄与すること はもちろん,持続的かつ有効的な活用を通じた CO2排出量の低減や森林産業に従事する人びと の現金収入の向上,雇用促進,地域活性化や伝 統文化や風習の継承等,環境・社会・経済等の 多様な側面に対してよい影響を与える(柿澤 2011 年(前掲書):p. 149, pp. 156─158).有効 的な森林資源の活用と管理は,低炭素社会や持 続可能な社会の構築に大きな貢献となる. 2. 2 日本における森林資源  森林資源は生物多様性の生息地となるほか, 土砂崩れや局地的な豪雨による洪水といった 天災防止,CO2吸収源としての地球温暖化対策 に資する.加えて農産物の収穫量の増加や森林 浴による人びとの心身に与えるリラックス効果 等,森林資源の持続可能な保全は,生物のみな らず人びとの生活を豊かにしうるようなプラス の多面的機能を有している(表 1 参照).  日本の森林面積は国土の 3 分の 2 を占める. 天然林と人工林の比率では人工林が多く,天然 林は山岳高地を含めても 20% にも満たない(茅 野 2011 年:p. 99).これは歴史的な人間活動 や社会・経済的変化等に伴う土地の利活用の変 化に由来する.年々人工林によって創生され 項目(機能) 評価額 生物多様性保全機能 遺伝子保全生物種保全 生態系保全 地球環境保全機能 地球温暖化の緩和(CO化石燃料代替(2,261億円/年)2吸収(1兆2.391億円/年) 地球気候システムの安定化 土砂災害防止機能/土壌 保全機能 表面侵食防止(28兆2,565億円/年) 表層崩壊防止(8兆4,421億円/年) その他土砂災害防止 雪崩防止 防風 防雪 水源涵養機能 洪水緩和(6兆4,686億円/年)水質源貯留(8兆7,407億円/年) 水量調節・資質浄化(14兆6,361億円/年) 快適環境形成機能 気候緩和大気浄化 快適生活環境形成 保健・レクリエーション機能 療養 保養(2兆2,546億円/年) 行楽 スポーツ 文化機能 景観・風致 学習・教育 芸術 宗教・祭礼 伝統文化 地域の多様性維持 物質生産機能 木材 食料 工業原料 工芸材料 2自治体以上で実施している施策 都市独自の自然・森林資源に関する取り組み ①環境にやさしいまちづくり 緑の保全と拡大―(都市緑化の推進) ①ライフスタイルの促進 地球温暖化対策促進―(菜の花プロジェクト) ②環境配慮型事務事業 環境共生型建築物の導入―(ビルの断熱化・屋上緑化等の促進) 森林の保全・整備―(森林保全・整備,持続可能な森林運営の確立,木材資源の 有効活用) ③環境国際協力の推進 農山村との連携―(大都市・農山村モデルの構築) ④森林吸収源対策 緑地の保全と拡大―(豊かな緑地の確保) 民有林の森林管理への支援―(適正管理作業助成,適正管理活動助成,労働 育成技術研修助成,里山空間などの多様な森林の設備) 緑化推進―(市営林の適正な管理) 都市緑化―(市街地の緑化,都市緑化活動の推進) 技術導入―(緑化技術の導入) 郊外・特定地域の緑化―(里山保全活動の推進,緑の回廊創生事業の実施) 都市公園,公共施設等の緑化推進―(都市公園の整備,工場・産業団地の緑化 推進,公共施設等の緑化) 緑と水辺の継承―(生態系の活性化,緑化,ヒートアイランド対策) 木材資源の有効利用促進 ①低炭素都市・街づくり 緑化増進・市内緑化 ②エコライフスタイルの創造 グリーンプロジェクトによる自然保全・創 出・緑地拡大        ①低炭素都市・街づくり 森林管理保全 市内産木材利用事業の推進 公共施設の木造化の率先的推進 間伐材の活用(ガードレール) 市内の森林整備促進 ②国内外への発信・連携事業 森林県との連携 ③環境ファンドの創設 森林環境税の創設の検討 大都市規模 地 球温暖化 対 策 実 行 計 画 環 境 モ デ ル 都 市 実 行 計 画 表 1 森林の有する多面的機能  出典:林野庁 2012 年.『平成 23 年度森林・林業白書』;p. 68

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141 環境配慮型まちづくりにおける森林資源管理(渡耒) ている森林面積は増加している(林野庁 2012 年:p. 69).  日本における森林面積は,1966 年から 2007 年 までの約 40 年間,約 2,510 万 ha から 2,525 万 ha のあたりを増減している.面積で見ると森林資 源の減少はあまり見られない.しかし人工林お よび天然林の内訳で見てみると,約 40 年間で 天然林の面積が減少している.1966 年におけ る 天然林面積 は 1,551 万 ha で あった が,2007 年時点におけるその面積は 1,338 万 ha へと約 220 万 ha ほど縮小している.天然林の減少に 伴い,人工林の増加が見られ,森林面積の拡 大となっている.1966 年の人工林は 793 万 ha であったのに対し,1986 年には 1,000 万 ha を 超え,1,022 万 ha となった.2007 年時点では, 1,035 万 ha へと微面積ではあるが拡大してい る(林野庁ウェブサイト(2007 年 3 月 31 日時 点資料)).年々拡大傾向にある森林面積は,国 内の木材自給率を 27.8%(2009 年時点)まで高 めている.加えて,国内における木材需要と輸 出木材量の減少により,木材として利用可能 な森林が国内で増加し続けているという現象が 引き起こされている.10 年後には今の森林量 よりも 60% も増加するとされている(林野庁 2012 年:p. 70).このような状況のため,ます ます適切な森林資源管理が望まれている.森林 資源は適用量を伐採しながら管理することが望 ましい.このような策を講じなければ,森林資 源のよりよい状態を継続的に維持していくこと ができないからである.しかし現代社会におい て今後の管理について懸念がある.少子高齢化 という社会的課題の中において,伐採を通じた 森林資源管理に従わる林野業者数は,ますます 限られてくる可能性がある.  日本の森林資源の現状は,面積的には豊富で あるものの,天然林と人工林の比率には偏りが ある.森林資源を活用する機会が減少し続け れば,木材保有量は今後増加する可能性があ る.また少子高齢化社会に突入している現代に おいて,森林資源管理が不十分となり,森林地 域に生息する生態系のバランスにも悪影響をも たらしうる.このような課題から,日本ではい くつかの森林・林業に関連する政策・計画を策 定し,森林資源の持続的な経営管理を目指して いる2).日本が抱える現代の森林資源の状況は, まさに里山の保全・管理にも大きく関係する. このような森林資源を「いかに健全な状態に 保全管理していくか」(嘉田 2011 年:p. 214) が昨今の課題となっている. 2. 3 日本における里山  里山は,人の手が加えられていない自然空間 と,人間社会を円滑に機能させるために現代社 会に適応可能な伝統手法を意図的に組み入れた 環境が融合した地域を指す.里山は自然環境と 人間社会が調和する空間,つまり自然共生社 会と位置づけられる(渡耒 2012 年:p. 152). 森林保全や農用地等の土地の持続可能な活用, 生物多様性の保全等から構築される自然共生社 会は,CO2排出量の少ない低炭素社会や自然エ ネルギーの有効活用や廃棄物排出量を削減する 循環型社会をもたらし,持続可能な社会を構築 する.また嘉田良平が,都市郊外の里山やその 緑資源が果たす役割として,新鮮で安全な農産 物の供給と大災害といった予期せぬ事態に対す る常備のための食料安全保障要素,災害時の避 難地や避難路の確保や雨水貯留機能や洪水防止 のための防災・保水要素,気候変動や大気汚染 の抑制に資する環境・生態系保全要素,環境教 育・コミュニティの場・機会の提供要素の 4 要 素を挙げているように,里山は多機能性を備え ている(嘉田 2011 年(前掲書):p. 216).里 山は既存の自然資源を保全・保護するだけでは なく,人びとや動植物の生活に大きく関係する 持続可能な社会の構築にも大きな役割を担って いると言える.しかし里山では人口減少,特に 若年者人口が減少している.若年者を中心とし た都市部への人口流出は,豊かな森林資源を有 する郊外地域の人口減少を引き起こし,自然資 源管理におけるマンパワーおよびノウハウ双方 (643)

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の不足をもたらす.里山の管理が行き届かなく なり,自然の劣化・荒廃を引き起こす.人間活 動による経済的・社会的変化は,日本国内の自 然環境のバランスを不均衡にしている.このよ うな危機的状況が日本国内の里地・里山で引き 起こされている(渡耒 2012 年(前掲書):p. 153).  近年,環境問題が世界問題の 1 つとして認識 され始めてから,環境保全活動に積極的に参 加する人びとや企業が増加傾向にある.林野 庁(2012)によると,森林ボランティア団体 数は 277 団体(1997 年)から 2,959 団体(2010 年)に増加している.また企業の社会的責任 (Corporate Social Responsibility/CSR) 活動 の一環としての森林保全活動場所も,493 ヶ所 (2004 年)から 1,299 ヶ所(2010 年)と増加し ている.加えて森林保全のための募金活動や国 民運動の台頭等,ソフト面を中心とした活動も 積極的になされている.各自治体では森林保全 のために独自の課税対策を導入する(林野庁 2012 年(前掲書):pp. 79─82)など,さまざま なステークホルダーの積極的な関わりと取り組 みが見られるようになった.彼らの積極的な活 動への参画は持続可能な自然環境の保全に資す る.このような多様なステークホルダーの関与 による保全活動は,里山保全でも見受けられる. 例えば,神奈川県では里山条例を策定し,さま ざまなステークホルダーが関わり,里山保全活 動を実践する環境を整えている.また横浜市で は,緑化増進や生物多様性活動のための課税制 度の導入3)や助成制度等の支援対策を実践して いる(渡耒 2012 年(前掲書):p. 155).  しかし里山の管理保全に資するマンパワーや 里山保全・管理費用等の要素不足に対する対策 は,い ま だ 不十分 で あ る(及川 2010 年:p. 102).先述したように森林資源保有量が増加し ているにもかかわらず,人口が減少するという 状況にある.これに伴い,税収による森林資源 の管理・運営に対する活動資金の確保は不安定 になる可能性がある.柿澤宏昭は,森林資源を 持続的に活用し管理していく社会を継続的に機 能させていくためには,その機能を継続的に支 えるガバナンスの構築が必要と述べている.ま たその機能を継続的に運営させる上で,多様な ステークホルダーによる積極的な関与も重要で あると述べている(柿澤 2011 年(前掲書): p. 161).嘉田は里山保全・再生の取り組みに 必要となる資金について,補助金への依存度を 極力減らし,農業や農村の活用や多様な取り 組みとの連携による保全活動の実施を提案して いる(嘉田 2011 年(前掲書):p. 215).つま り森林資源の管理運営を持続的に実施するため には,環境整備のためのガバナンス構築や,さ まざまなステークホルダーが関与できる環境整 備,補助金に頼ることのない運営資金源の確保 が必要である.多様なステークホルダーを円滑 に関与させ,持続可能な森林資源保全を実施す るには,森林資源を所有する自治体の積極的な 行動が必要である.そういった意味では自治体 の保全活動に向けた役割は重要である. 3. 各自治体の施策における自然・森林資源の 位置づけ  本章では,自治体において森林資源がどのよ うな位置づけにあるのかを明示するため,先駆 的な取り組みを通じ,低炭素都市の実現を目指 す環境モデル都市に選定された 13 都市4)の環 境関連施策を整理する. 3. 1  地球温暖化対策実行計画および環境モデ ル都市実行計画の施策整理  環境モデル都市に選定されている 13 都市の 地球温暖化対策実行計画および環境モデル都市 実行計画の中で,森林資源がどのように位置づ けられているのかについて整理すると,表 2, 3,4 の通りとなる.表左側に示している施策 は,2 自治体以上が森林資源に関する施策とし て位置づけているものであり,表右側に示して いる施策は自治体間で共通施策として挙げられ なかったものの,森林資源に関する施策として

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143 環境配慮型まちづくりにおける森林資源管理(渡耒) 位置づけられているものである.また表上は地 球温暖化対策実行計画,表下は環境モデル都市 実行計画を示している.  大規模都市(北九州市,京都市,横浜市,堺 市)における地球温暖化対策実行計画では,「都 市・まちづくり」の中で緑化増進させるという 施策を通じて森林資源を扱っている.市街地内 や公園,公共施設,水辺等を中心に,「生活の 中で緑に触れ合える機会を提供」することを目 指した要素の 1 つと位置づけられていると言え る.加えて屋上緑化の実施は,数多くの建築物 が立ち並び,緑化増進のスペースに限りがある 大都市を特徴づけた施策の 1 つとして挙げるこ とができる.  環境モデル都市実行計画でも,温暖化対策実 行計画と類似する施策整理の結果となった.森 林資源に関する施策は,環境配慮型都市・まち の空間を構築する施策と関連づけられている. 環境配慮型の日常生活を促進するため,公共施 設の木材利用や森林資源関連の情報提供,森林 資源管理のための税制度の検討等は,日常的に 環境に対して意識や関心を持てるような環境整 備につながっている.大都市圏における森林 資源は,「まち・都市における継続的な緑の維 持・管理およびさらなる増進に向けた基盤づく り」に資する要素であると同時に,環境配慮型 の日常生活へと移行させる要素としても機能す るものと言える.  中規模都市(帯広市,豊田市,富山市,飯田 市)における地球温暖化対策実行計画では,2 (645) 項目(機能) 評価額 生物多様性保全機能 遺伝子保全生物種保全 生態系保全 地球環境保全機能 地球温暖化の緩和(CO化石燃料代替(2,261億円/年)2吸収(1兆2.391億円/年) 地球気候システムの安定化 土砂災害防止機能/土壌 保全機能 表面侵食防止(28兆2,565億円/年) 表層崩壊防止(8兆4,421億円/年) その他土砂災害防止 雪崩防止 防風 防雪 水源涵養機能 洪水緩和(6兆4,686億円/年)水質源貯留(8兆7,407億円/年) 水量調節・資質浄化(14兆6,361億円/年) 快適環境形成機能 気候緩和大気浄化 快適生活環境形成 保健・レクリエーション機能 療養 保養(2兆2,546億円/年) 行楽 スポーツ 文化機能 景観・風致 学習・教育 芸術 宗教・祭礼 伝統文化 地域の多様性維持 物質生産機能 木材 食料 工業原料 工芸材料 2自治体以上で実施している施策 都市独自の自然・森林資源に関する取り組み ①環境にやさしいまちづくり 緑の保全と拡大―(都市緑化の推進) ①ライフスタイルの促進 地球温暖化対策促進―(菜の花プロジェクト) ②環境配慮型事務事業 環境共生型建築物の導入―(ビルの断熱化・屋上緑化等の促進) 森林の保全・整備―(森林保全・整備,持続可能な森林運営の確立,木材資源の 有効活用) ③環境国際協力の推進 農山村との連携―(大都市・農山村モデルの構築) ④森林吸収源対策 緑地の保全と拡大―(豊かな緑地の確保) 民有林の森林管理への支援―(適正管理作業助成,適正管理活動助成,労働 育成技術研修助成,里山空間などの多様な森林の設備) 緑化推進―(市営林の適正な管理) 都市緑化―(市街地の緑化,都市緑化活動の推進) 技術導入―(緑化技術の導入) 郊外・特定地域の緑化―(里山保全活動の推進,緑の回廊創生事業の実施) 都市公園,公共施設等の緑化推進―(都市公園の整備,工場・産業団地の緑化 推進,公共施設等の緑化) 緑と水辺の継承―(生態系の活性化,緑化,ヒートアイランド対策) 木材資源の有効利用促進 ①低炭素都市・街づくり 緑化増進・市内緑化 ②エコライフスタイルの創造 グリーンプロジェクトによる自然保全・創 出・緑地拡大        ①低炭素都市・街づくり 森林管理保全 市内産木材利用事業の推進 公共施設の木造化の率先的推進 間伐材の活用(ガードレール) 市内の森林整備促進 ②国内外への発信・連携事業 森林県との連携 ③環境ファンドの創設 森林環境税の創設の検討 大都市規模 地 球温暖化 対 策 実 行 計 画 環 境 モ デ ル 都 市 実 行 計 画 表 2 自治体における森林資源の位置づけ(大都市)  出典:各自治体の地球温暖化実行計画および各自治体の環境モデル都市実行計画をもとに作成

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自治体以上が展開している施策は見られなかっ たが,森林資源の保全と有効的な活用に関する 施策が展開されている.大都市同様,市街地の 緑化形成を実践している他,住宅等の省エネ化 促進としての屋外緑化の促進や木材利用促進 等,「環境との共生社会を創造しながら住みや すいまち」を構築する上で不可欠な要素として 位置づけられている.  環境モデル都市実行計画では,「市民の日常 的なライフラインおよび環境配慮型のライフス タイルへの変革」のために不可欠な要素の 1 つ として,森林資源を位置づけている.地球温暖 化対策実行計画では,森林資源はどちらかとい うと,「見える化」として位置づけられ,持続 的な保全・活用がなされている.しかし環境モ デル都市実行計画では,エネルギー資源の 1 つ として持続的に活用するという位置づけがなさ れている.森林資源を活用したエネルギーの地 産地消による持続可能な産業都市の構築や環境 配慮型生活の創出を基盤に備えたまちと位置づ けられる.加えて地産のエネルギーは環境教育 教材として利用され,環境意識の向上にも活用 されている.  小規模都市(水俣市,宮古島市,下川町(北 海道),檮原町(高知県))の地球温暖化対策実 施計画においても,中規模都市同様,2 自治体 以上で実践されている施策は該当しない.小規 模都市は大規模・中規模都市と比べ,森林資源 が多いこともあり,森林資源は多様な施策に位 置づけられている.特に代替エネルギーとして 2自治体以上で 実施している施策 都市独自の自然・森林資源に関する取り組み 該当なし ①住宅等省エネ化促進 緑の保全・促進―(屋外緑化や壁面緑化等の促進) ②森林保全 森づくり事業の推進 緑化の推進 木材利用促進プロジェクトの推進 水と緑のネットワークの形成 一体的な市街地の形成 ネットワーク型市街地の形成 ①エネルギー資源の活用 (木材利用と森林管理の 推進―地域産材の需要拡 大,森林管理(吸収源), 竹やぶの間伐と活用) ①低炭素都市・街づくり 緑の育成・活用とみどりのまちづくり―(市民活動センターを活用した森の育成と活用,ペレット 工房整備とバイオマス資源の利活用,植樹計画,環境配慮型公園整備) 中心市街地の活性化(低炭素化不動産)―(環境技術,施設緑化の導入促進制度の創設) 市街地の熱需給システム構築―(太陽熱と木質ペレットの組み合わせによる熱需給システム の検討) ②持続可能な産業都市・地産地消地域 自然共生の循環型・環境保全型地域づくり―(防風林の多面的活用) 森林資源管理―(間伐材管理,植林推進,ボランティアによる里山・森林保全) ③低炭素型企業活動 温暖化防止実行計画の推進(市役所の取り組み)―(都市公園・施設の屋上・壁面の緑化) ④エコライフスタイルの創造 ライフスタイルの変革―(木質ペレットの普及) ⑤エネルギー資源の活用 木材利用と森林管理の推進―(間伐の推進と木質バイオマスエネルギーの安定供給) 太陽エネルギー活用プロジェクト―(木質バイオマスエネルギー熱の供給システムの導入) ⑥人材育成 環境教育の実施―(教育現場でのPVエネルギー・木質バイオマスエネルギー・雨水利用などを 通じた意識) フード&ウッドマイレージを活用したGHG削減行動への参加促進―(地域産食材・木材利用の 推進(市民・公共施設),地産地消の促進(飲食店,建設業)) 地球温暖化対策 実行計画 環境モ デ ル 都市実行計画 中堅都市規模 表 3 自治体における森林資源の位置づけ(中規模都市)  出典:各自治体の地球温暖化実行計画および各自治体の環境モデル都市実行計画をもとに作成

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145 環境配慮型まちづくりにおける森林資源管理(渡耒) の活用が中心である.加えて企業・市民・市役 所職員といったステークホルダーの森林資源保 全の協力促進に資する施策が実施されている. 小規模都市は森林資源が豊富にある分,すべて のステークホルダーの理解や認識があってこそ 森林資源の保全が可能となる.小規模都市では 「街づくりの活性化や地域経済」に資する促進 剤として森林資源を位置付けていると言える.  環境モデル都市実行計画における森林資源 は,地球温暖化対策実行計画と類似するような 施策形成となっている.エネルギー生成は地産 地消に加え,企業・産業の参加促進にもつなが り,地域活性化に寄与する.資源や森林資源そ のものの保全管理は,自然との共生社会の構築 を可能にするだけではなく,環境学習としての 機会構築にも資する.小規模都市の施策におけ 表 4 自治体における森林資源の位置づけ(小規模都市)  出典:各自治体の地球温暖化実行計画および各自治体の環境モデル都市実行計画をもとに作成 小都市規模 該当なし 該当なし 地球温暖化防止実行計画 環境モ デ ル 都市実行計画 ①企業・市民によるエコアクション 地域産業によるエコアクション促進―(エコツアーと植林の連携事業) ②人・仕組みづくり エコライフ促進のための枠組み構築―(木質住宅の健康産業化) 森林セラピーの推進 ③森林吸収源 森づくり事業の展開―(官民共同事業,資金調達のための排出権取引制度の活用) 確実な森林施業と作業の効率 ④エネルギー対策 助成制度の導入―(家庭用ペレットストーブの導入助成,家庭用ペレット炊き給湯設備導入助成) さとうきび増産アクションプランの実施 自然・エネルギー循環システムの学術的検証―(さとうきび利活用による資源エネルギー(循環型シス テムの実証的検証) ペレット使用機器の導入―(ハウス園芸用ペレット焚き温風機の導入,町内施設のペレット焚き冷暖房 機器の導入,事業のペレット焚き給湯設備導入 バイオエタノール増産設備の導入―(さとうきび増産) ⑤建築物 家庭への省エネ機器導入助成―(家庭用ペレットストーブへの助成,家庭用ペレット焚き給湯設備導 入の助成) ペレット使用機器の導入―ハウス用ペレット焚き温風機の導入,町内施設のペレット焚き冷暖房機器 の導入,事業用ペレット焚き給湯設備の導入) ⑥市役所の取り組み 環境配慮型施設整備・維持管理―木質バイオマスボイラー) 環境配慮型建築―LCAによる環境設備の少ない木材を使用した施設の整備) ①環境配慮型産業づくり GHG排出削減を目指した産業構築―(環境配慮型土木・建築事業の確立,安心安全な農林水産物づ くり) 仕組みづくり―(木質住宅の健康産業化,森林セラピーの推進) ②森林管理・自然との共生促進 自然共生型まちづくりの促進―(森づくり(つどいの森,公園設備)の実践) 森林管理―(森林施業と作業の効率化,環境先進企業との共同森づくり,水源地森林整備交付金事 業,循環型森林経営による適切な森林管理,早生樹(やなぎ)の栽培と利活用,やなぎの植栽の実施) ③エネルギー供給 新エネ導入促進―(森林バイオガスプラントの導入,森林バイオエネルギーによる地域熱供給システ ム(地域冷暖房)導入,サトウキビガスによる自給自足・EV供給) ④企業・産業の事業展開(公民協働の木質バイオマス地域循環事業―環境先進企業との協働森づくり, 木質ペレットの製造販売,森林セラピーの推進,森林学習・研修制度の推進,森林整備と森林整備手法 の標準化・伐採の効率化) ⑤低炭素型建築物(建物への導入―公共施設の森林バイオマスボイラー,民間事業者への森林バイオ マスボイラー),(技術の促進―木造住宅の開発研究) ⑥人材育成(森林環境教育と森のツーリズム―NPOと連携した森のツーリズム,子どもを対象とした新エ ネ教室の開催) 2自治体以上で 実施している施策 都市独自の自然・森林資源に関する取り組み (647)

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る森林資源は,市民の日常的生活の変革や産業 促進に資する要素に加え,環境学習教材として の役割を担っている. 3. 2 施策整理を通じた比較・分析  先述したように森林保全関連施策と一概に 言っても,都市部と郊外・地方では施策展開や その用途が異なる.緑化増進や代替エネルギー としての活用のほか,森林資源保全と管理,関 連活動のための人材育成の実施,環境税の導入 等,各自治体は持続かつ有効に活用できる範囲 において森林資源に関する施策を展開してい る.この点は,各自治体の特徴を備えた持続可 能な都市・まちの形成に寄与している.また「環 境にやさしいまち」を目指し,市民生活にとっ ても環境にとってもよりよい環境を創造しよう と施策を実践する点については,環境モデル都 市に選定された自治体すべてにおいて共通す る.  しかしながら,森林資源保全は自治体の施策 だけでは限界となる部分もあるといえる.例え ば森林資源を活用した意識改革において,子ど もを対象としたプログラムや事業に関する施策 が展開される傾向にあり,若手世代を対象とし た関連事業やプロジェクトの展開はあまり見ら れない.子どもたちが森林資源管理に従事する までには数十年要する.現在そして近い将来に 必要となる森林資源管理者は,現在の若手世代 である.また再生可能エネルギーの生成や導入 においても助成金に依存した実践や,公共施設 のみの利用や設置にとどまるなど,全ての市民 がこのような環境にアクセスできるような体制 が整っているとはいえない可能性もある.加え て,施策では森林資源管理の 1 つとして自然資 源の有効活用を可能にするインフラ整備を行っ ているが,その管理や利用方法等といったノウ ハウや技術のソフトインフラを提供する施策 は,発展途上であるといえる.里山地域に関し て言えば,個人所有のところが多く,個々人の 理解促進も合わせて必要となり,荒廃を阻止す る活動を迅速に実施できるとは言い難い.また 里山を所有する多くの地域では高齢化社会が進 んでおり,森林を保全する後継者の確保や森林 保全・管理に充当される課税等からの一定以上 の歳入は今後見込めない可能性もある.この点 に関して,常緑広葉樹は,自力で成長する力が 強く,そのため植林後は人工的な管理をあまり 必要とせず,成長させることができるとされて いる.しかしながら管理をあまり必要としない とはいえ,ある程度の定期的な管理は必要であ る.定期的な管理に向け,安定的に人材を確保 できるよう,その基盤を整備しておく必要があ る.また常緑広葉樹を植林する際,広葉樹の苗 木を調達する必要があり,一定以上の費用が必 要となる.定期的に植林をするのであれば,安 定的な財政確保も必要となる.このように定期 的な自然資源の管理は,森林資源管理・保全を 継続的に実践していく上での重要な要素であ り,人材や財政の安定的な確保は,森林資源管 理・保全を支える上で必要な要素である.  上記の課題を克服する上でさらなる法整備の 構築・強化や,地域活性化の実践,幅広い世代 を対象とした環境学習機会の創出等,さまざま なアプローチが考えられる.しかし安定的な人 材確保と資金調達,そして管理に必要とする適 切な技術やノウハウを提供するインフラ基盤が なければ,持続可能な森林資源管理の安定性は 容易ではない.この点において森林資源管理へ のビジネス産業の参入は,森林資源環境の現状 維持と今後の持続可能な管理に資するツールの 構築,すなわち安定的な人材確保と財政確保に 適したアプローチの 1 つとして挙げることがで きる.次章では環境配慮型のビジネス産業の参 入による,自然資源保全と持続可能かつ環境配 慮型都市の構築の可能性について論ずる.次章 で扱う事例は森林資源管理に直接寄与するもの ではない.しかし,自然資源と人間社会の生活 環境が調和された里山の保全においては,有用 なアプローチとして機能する可能性を有してい るため,事例として扱うこととする.

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147 環境配慮型まちづくりにおける森林資源管理(渡耒) 4. 既存資源を活用した環境配慮型ビジネス産 業の参入―環境配慮型地産地消事業を通じ たステークホルダーの環境に対する意識向 上の可能性5)  現在,地球上には約 70 億人以上の人びとが 生活している.紛争や政治的不安定,食糧問題, 貧困,人口増加,経済危機,社会的制約,環境 問題等,全人類が抱える問題は多種多様である. 中でも環境問題,特に気候変動問題は全人類に 共通した地球問題として認識されている.  世界 に お け る 2010 年 の GHG 排出量 は CO2 換算で約 330 億トンとされている(吉田 2012 年:p. 40).地球規模で問題となっている気候 変動は,人びとの生活に大きな影響を与えるこ とはすでに認識されている.局地的な降雨は農 作物の収穫量の減少をもたらす.現金作物の減 少となるだけではなく,自給自足作物の不足に もつながり,農民の経済社会,さらには彼らと その家族の健康面に大きなダメージを与える. また長期的な降雨あるいは洪水の発生により, 土砂崩れの発生頻度を高め,住民は住み慣れた 土地を追い出される可能性もある.長期間の日 照りによる乾燥化は,局地的な降雨と同様に農 作物の収穫量に大きな影響を与えるほか,森林 火災の可能性を高めるため,生物多様性の減少 や生態系の生息地の減少をもたらす.このよう に気候変動は環境的側面のみならず,人びとの 経済・社会的側面に大きく関連している,現状 維持もしくはよりよい社会を持続的に維持して いくためには,気候変動問題の解決が必須であ る.  加えて人口増加も地球規模で考えなければな らない問題である.現時点で 70 億もの世界人 口は今後もますます増え続け,2030 年までに は 83 億人まで膨れ上がるとされている.約 20 億人分の食糧を確保するためには,現在の食糧 自給率よりも 30% ほど増加させる必要がある. しかしながら自給率を高められるだけの肥沃な 土地は確保できていない.日本も例外ではない. 日本の人口は年々減少傾向にあるが,日本の農 産物の自給率は年々低下しており,輸入産品に 大きく依存している.世界中で食糧供給が困難 となった場合,その影響は輸入産品に依存して いる日本にも大きな打撃となる.栄養価の高い, 高品質を備えた農産物を効率よく生産すること は,食料自給率が低い日本にとって安定的な食 料供給を可能とする.  ここからは,環境に配慮しながら,安定的か つ持続的に高品質の農産物を生産することを可 能とする事業例を紹介する.宮崎市にある企業 (宮崎みどり製薬株式会社)は,肥沃な土地を 拡大させるため,農家・農業団体の協力の下, 森林資源の間伐材6)や樹皮を原料とした農・畜 産資材を開発している.特に,樹皮炭を原料と する土壌改良材を土壌に施用することで肥沃な 土地を創生し,その土地で農作物(ピーマン, きゅうり,ミニトマト,にんじん,大葉,にら, など)を栽培する事業を展開している.この農 家・農業団体では昔から農産物を生産していた が,農薬散布や化学肥料による土壌の劣化によ る農産物の収穫量や質の低下が問題になり,農 地の肥沃化(土壌改良)を必要としていた.そ ういった中,企業側から農家・農業団体への樹 皮炭を原料とする土壌改良材の使用が提案さ れ,この事業が開始された7).開始後十数年経っ た現在もこの事業は継続されている.  この事業は,間伐材を含む既存自然資源を農 畜産資材として活用し,定期的な森林資源管理 に資するだけではなく,農作物の収穫量の増 加,そして CO2排出量の削減にも貢献してい る.耕作地に施用された樹皮炭が炭素固定化の 大きなカギとなり,生産農産物の CO2吸収を 可能にしている.この事業を通じて生産された 農産物は,2008 年および 2009 年の比較による と,全体的に各農作物の作付面積 1a あたり 0.5t から 1.5t の収穫量の増量が見られている(表 5 参照).  また表 6 に示す各農作物の作付面積 1a あた りの CO2固定量は,農作物によって差異があ (649)

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る も の の,6.3t か ら 22t 弱 ま で CO2排出量 の 削減を可能にしている8)(算出方法については 注 8 参照のこと).ミニトマトを例にした場合, ミニトマト栽培における樹皮炭使用量から換算 すると 6.31t の CO2固定量につながり,同量の CO2を相殺することが可能となる9)  このような環境に配慮し,かつ栄養豊富な 農産物生産手法のもとで生産された農作物は, カーボンオフセット野菜として販売することが 可能となる.市場において,環境配慮型農産物 としての付加価値が付与され,環境配慮型行動 を積極的に日常生活に取り入れている人や,食    作付面積(a) 炭の使用量 kg) 収穫量(t/a) 年・ 2008 2009年 比較 総収穫量 ミニトマト 前比: +1t 86a 1,720kg 688t トマト(大玉) 108a 2,160kg 前比:+1t 1,296t キュウリ 12t/a 前比:+1.5t 220a 4,400kg 2,460t ピーマン 前比:+0.5t 200a 4,000kg 2,500t にんじん 前比:± 0 100a 2,000kg 400t *注1:炭の施用量は10aあたり200kg *注1:炭の施用量は10aあたり200kg *注2:2009年より,にらと大葉の土壌にて炭を使用した. 8t/a 12t/a 12.5t/a 4t/a 品 種 1,720kg 2,160kg 4,400kg 4,000kg 2,000kg 2,000kg 6,000kg 6.31t 7.91t 16.15t 14.68t 7.34t 7.34t 22.02t 2,500t 688t 1,296t 2,460t 400t 1,000t 1,500t 9.17kg/t 6.12kg/t 6,12kg/t 5.90kg/t 18.40kg/t 7.34kg/t 14.68kg/t ミニ トマト 86a トマト (大玉) 108a きゅうり 220a ピーマン 200a にんじん 100a にら 100a 大葉 300a 0.917g /100g 0.612g /100g 0.612g /100g 0.590g /100g 1.840g /100g 0.734g /100g 1.468g /100g 作 付面積 (a) 炭施用量 (kg) CO2 固 定 量(t) 農産物総 収 穫 量(t) CO2固定 量(kg)/農 作物(t) CO2固定 量(g)/農作(100g) 品 種 (kg) 比較 ミニトマト 86a 1,720kg 前比:+1t 688t トマト(大玉) 前比: +1t 108a 2,160kg 1,296t キュウリ 12t/a 前比:+1.5t 220a 4,400kg 2,460t ピーマン 前比:+0.5t 200a 4,000kg 2,500t にんじん 100a 2,000kg 前比:±0 400t *注1:炭の施用量は10aあたり200kg *注1:炭の施用量は10aあたり200kg *注2:2009年より,にらと大葉の土壌にて炭を使用した. 8t/a 12t/a 12.5t/a 4t/a 1,720kg 2,160kg 4,400kg 4,000kg 2,000kg 2,000kg 6,000kg 6.31t 7.91t 16.15t 14.68t 7.34t 7.34t 22.02t 2,500t 688t 1,296t 2,460t 400t 1,000t 1,500t 9.17kg/t 6.12kg/t 6,12kg/t 5.90kg/t 18.40kg/t 7.34kg/t 14.68kg/t ミニ トマト 86a トマト (大玉) 108a きゅうり 220a ピーマン 200a にんじん 100a にら 100a 大葉 300a 0.917g /100g 0.612g /100g 0.612g /100g 0.590g /100g 1.840g /100g 0.734g /100g 1.468g /100g 作 付面積 (a) 炭施用量 (kg) CO2 固 定 量(t) 農産物総 収 穫 量(t) CO2固定 量(kg)/農 作物(t) CO2固定 量(g)/農作(100g) 品 種 表 5 炭入り土壌で生産した農作物の収穫量(2008 年・2009 年比較) 表 6 炭入り土壌で生産された農作物による CO2固定量(2009 年)  *注 1:炭の施用量は 10a あたり 200kg  *注 2:2009 年より,にらと大葉の土壌にて炭を使用した  出典: 渡耒仁.2009 年.『ネッカリッチによる人と地球に優しい取り組み~食糧自給率の向 上と CO2削減による地球温暖化防止~』(第 32 回全国ネッカリッチ研究会発表資料) をもとに著者が加筆・修正  *注 1:炭の施用量は 10a あたり 200kg  出典: 渡耒仁.2009 年.『ネッカリッチによる人と地球に優しい取り組み~食糧自給 率の向上と CO2削減による地球温暖化防止~』(第 32 回全国ネッカリッチ研 究会発表資料)をもとに著者が加筆・修正

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149 環境配慮型まちづくりにおける森林資源管理(渡耒) 材の安全性を常に考慮している人を購入者とし て確保することが可能である.またその他の人 びとに対しても,環境配慮型農作物を通じて, 環境に対する意識の変革や理解・認識する機会 を提供することができる.フードマイレージや 地産地消商品として,環境教育や環境学習の教 材の 1 つとしても活用が可能である.環境配慮 型農産物は多様な側面から,幅広い世代を対 象に環境に対する認識・行動の変革を可能にす る.このように人びとの生活の中に「食」とい う側面から環境問題を考えることができる環境 を提供することができる.そういった意味で, 森林資源を含む里山においても,この環境配慮 型の「食」というツールからより多くの人の理 解や認識を向上させる可能性は十分ある.里山 は環境に配慮した形で人びとや多様な生態系が 生活する空間である.そういった空間の中で環 境配慮型農業を里山保全と共同で実践すること は,さまざまな側面から森林管理や里山保全を 可能にする.例えば,環境配慮型農産品の収穫 と森林を含む里山保全管理をパッケージ化した 市民参加型の活動の展開により,環境配慮型活 動に対してより関心を示すだけではなく,自然 資源管理の人材の確保にもなる.また農産物の 売上げを里山保全管理に活用することも可能で あろう.さらには環境配慮型農業と里山保全管 理をパッケージ化した就農研修の実施は,後継 者の育成に資する.このようにビジネス産業の 参入による環境配慮型農業の実践は,持続可能 な里山保全に必要な人材と財政の確保に資する 可能性を秘めている. 5.まとめ  森林資源は都市の規模により,その面積や用 途,保全・保護方法も異なる.しかし都市の中 に緑を増やそうとする試みや保全しようとする 試みを通じ,自然との共生・共存の中で人びと の生活は成り立っているということを認識させ ようとする点は共通している.そういった中で, 持続可能な里山保全活動を継続的に実践してい くためには,さまざまな人の関わりが不可欠で ある.さまざまな人びとを関与させ,継続的に 活動を機能させるためには,自治体の施策にお ける森林資源の位置づけが基盤となる.その施 策は環境保全という単一的な側面ではなく,経 済・産業振興や地域の活性化といった複合的な 側面を有したものであることが望ましい.  里山は,人びとの生活と自然環境が調和した 共生社会である.しかし先述したように,現在 里山保全・保護活動では,後継者不足や管理運 営資金等の問題を抱えている.自治体もさまざ まな策を講じているが,活動を運営していくと いう意味での持続性においては,高齢化問題や 後継者不足,財政的課題,加えて継続的に自然 資源を管理・保全していくための技術等におい て,自治体が策定する関連施策だけでは限界が ある.ビジネス産業の参入は,このような施策 だけでは解決が容易ではなかった点も解決に導 いてくれる可能性を備えている.本稿で扱った 事業事例は,直接的に森林資源や里山保全・管 理に資するものではない.しかし現在森林資源 管理を含む里山保全・管理の上で抱えている課 題を緩和する可能性を有している.  ビジネス産業の参入のさらなる促進と継続性 に向け,企業誘致が積極的にできる法整備やそ の地域で活動する企業の事業フォローアップが できる体制構築,そして環境配慮型農作物の売 上金を好適かつ持続的に運営・活用できるサイ クルの構築は重要である.企業誘致に資する法 整備は,ビジネス産業に対して幅広い機会を提 供する.例えば,短期的には企業の CSR 活動 の一環としての財政支援と人的支援が可能とな る.中長期的には,環境ビジネスとしての土地 所有者との土地貸しに関する取引の改善や協働 実施による技術開発,地産地消の向上が可能と なる.地域経済の活性化や地域社会の状況改善 に寄与し,多様なステークホルダーの関心を高 め,率先した活動への参画促進も可能にする. 継続的な人材および管理・保全費用の捻出も見 込まれる.事業フォローアップ体制構築は官民 (651)

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連携の強化が期待されよう.そして売上金の用 途として農用地の管理・整備と炭の生成や森林 資源の保全や管理に配分できるシステムの構築 は,より安定的な事業運営を可能とする.加え てビジネス産業の参入が環境配慮型まちづくり に寄与するという情報や啓発活動を幅広い世代 に提供できる環境構築も必要である.関連情報 提供や啓発活動の提供は,エコツーリズムの実 施や農業・収穫体験,オーガニック食材を扱っ たカフェやオンラインショップの開店,子ども たちのプレイグラウンドの建設等,ビジネス産 業にとっての多様なビジネスチャンスとなる. またこのような事業の展開は,その地域の一村 一品運動のような地域活性化を促す要素にもな る.ますますの地域活性化と地域保全の可能性 をもたらし,市民の環境配慮型生活行動の促進 を可能にする環境との共存を可能にしたまちを 創出する大きなメリットとなる.ビジネス産業 が手軽に参加できるようなインフラ整備,そし て関連情報をより多くのステークホルダーに提 供することができる環境整備は,森林資源およ び里山の継続的な保全・管理に大きな貢献を果 たすものと言える. 謝 辞  本稿を執筆するにあたり,大阪府立大学大学院 生命環境科学研究科 の 渡耒仁氏 に は,CO2排出量 削減に資する炭を活用した環境配慮型農産物生産 の事例(4 章参照)の情報を提供していただき,ま た一部資料の活用もさせていただいた.ここに記 して感謝の意を示したい. 参考文献 A. 論文・書籍 S. ヘラート・三村信男.2011 年.「アジアの気候 および生態系の変化─適応対策の設計」,小 宮山宏・武内和彦・住明正・花木啓祐・三 村信男(編)『サステイナビリティ学5持続 可能なアジアの展望』,東京大学出版会,pp. 55─80. 及川敬貴.2010 年.『生物多様性というロジック 環境法の静かな革命』,勁草書房. 柿澤宏昭.2011 年.「低炭素社会構築に果たす森 林・林業 の 役割」,吉田文和・深見正仁・藤 井賢彦(編著)『持続可能 な 低炭素社会─国 家戦略・個別政策・国際政策─』,北海道大 学出版会,pp. 149─165. 嘉田良平.2011 年.「都市近郊里山の役割と創生 への課題」,佐土原聡・小池文人・嘉田良平・ 佐藤裕一(編)『里山創生 神奈川・横浜 の 挑戦』,創森社,pp. 212─226. 茅野恒秀.2011 年.「自然保護問題」,船橋晴俊 (編).『環境社会学』,弘文社,pp. 94─109. 吉田謙太郎.2012 年.「地球環境問題と環境経済 政策」,環境政策研究会編『地球環境政策』, ミネルヴァ書房,pp. 36─50. 渡耒絢.2012 年.「持続可能な社会と里山保全活 動─地域の人びとを含む多様なステークホル ダーの関与を通じて─」,『横浜国際社会科学 研究』,第 17 巻 2 号,pp. 149─166. B. 報告書・その他 飯田市.2009 年(a).『第 1 次飯田市役所地球温 暖化防止実行計画』 飯田市.2009 年(b).『飯田市環境モデル都市行 動計画』 帯広市.2009 年.『帯広市環境モデル都市行動計 画』 帯広市.2010 年.『第 3 期帯広市エコオフィスプ ラン 帯広市の事務および事業に於ける地球 温暖化防止実行計画』 北九州市.2006 年.『北九州市地球温暖化対策地 域推進計画』 北九州市.2009 年.『北九州市環境モデル都市行 動計画(北九州グリーンフロンティアプラ ン)』 京都市.2006 年.『京都市地球温暖化対策計画~ 理解から行動へ~』 京都市.2009 年.『京都市環境モデル都市行動計 画』 堺市.2009 年.『環境モデル都市行動計画』   SATOYAMA イニシアティブパンフレット. <http://satoyama-initiative.org/wp-content/ uploads/2011/09/satoyama_leaflet_web_jp_ final.pdf>,ACCESS:2012/10/01 下川町.2010 年.『第 2 期地球温暖化対策実行計 画「下川町 CO2排出量削減計画」』 下川町.出版年不明.『環境モデル都市アクショ ンプラン(行動計画)』 富山市.2009 年.『富山市環境モデル都市行動計 画』 富山市.2011 年.『第 2 期富山市地球温暖化防止 実行計画 地球温暖化対策の推進に関する法

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151 環境配慮型まちづくりにおける森林資源管理(渡耒) 律に基づく実行計画(事務事業編)』 豊田市.2008 年.『豊田市地球温暖化防止行動計 画』 豊田市.2009 年.『豊田市環境 モ デ ル 都市 ア ク ションプラン─人と環境と技術が融合する環 境先進都市─「ハイブリッド・シティとよた プラン」』 千代田区.2009 年.『環境モデル都市行動計画』 水俣市.2009 年(a).『水俣市役所環境 ISO 報告 書(平成 21 年度)』 水俣市.2009 年(b).『水俣市環境モデル都市行 動計画』 宮古島市.2009 年.『宮古島市環境モデル都市行 動計画』 梼原町.2009 年.『梼原町環境モデル都市行動計 画』 横浜市.2011 年(a).『横浜市地球温暖化対策実 行計画(区画施策編)』 横浜市.2011 年(b).『横浜市地球温暖化対策実 行計画(事務事業編)』 横浜市.出版年不明.『環境モデル都市提案書』 林野庁.2011 年.『平成 22 年度森林・林業白書』, <http://www.rinya.maff.go.jp/j/kikaku/ hakusyo/22hakusho/zenbun.html> ACCESS: 2013/01/11 林野庁.2012 年.『平成 23 年度森林・林業白書』, <http://www.rinya.maff.go.jp/j/kikaku/ hakusyo/23hakusyo/zenbun.html>ACCESS: 2013/01/11 渡耒仁.2009 年.「ネッカリッチによる人と地球 に優しい取り組み~食料自給率の向上と CO2 削減による地球温暖化防止~」(『第 32 回全 国ネッカリッチ研修会』(2009 年秋,ホテル メトロポリタンエドモント(池袋)発表資料) C. ウェブサイト 環境モデル都市.<http://ecomodelproject.go.jp/>, ACCESS:2012/5/5,2012/08/19 林野庁.「間伐等の推進について」,林野庁ウェブサ イト.<http://www.rinya.maff.go.jp/j/kanbatu/ suisin/index.html>,ACCESS:2012/06/11 林野庁.「森林面積蓄積 の 推移」,林野庁 ウェブ サ イト.<http://www.rinya.maff.go.jp/j/keikaku/ genkyou/pdf/gaiyou2_1.pdf >,ACCESS: 2012/5/3, 2012/6/11 1)本稿は著者の見解を述べたものである. 2)2009 年 12 月に森林・林業再生を目指した「森 林・林業再生プラン」が策定された.このプラ ンは 2010 年の新成長戦略において国家戦略プ ロジェクトの 1 つとして位置づけられた(林 野庁 2011 年:p. 2).また 2010 年 10 月には, 公共建築物の木材利用の促進や地方公共団体や 民間企業を対象とした幅広い範囲での木材利用 を促進する「公共建築物等における木材の利用 の促進に関する法律」が施行される(林野庁  2011 年(前掲書):p. 5)な ど,国内消費 の 積 極的な動きを促進させている. 3)林野庁によると,自治体ではないが,2011 年 度時点で 31 の県で独自に課税制度を実施して いる(林野庁 2012 年(前掲書):pp. 80─81). 4)環境モデル都市は 2008 年から開始された環境 配慮型の都市構想である.低炭素型社会・都市 を目指し,GHG 排出量の削減に資する取り組 みを積極的に実践する日本国内の自治体が選定 されている.選定自治体は大都市(北九州市, 横浜市,京都市,堺市),中堅都市(帯広市, 飯田市,豊田市,富山市),小規模都市(水俣 市,宮古島市,下川町(北海道),檮原町(高 知県),特別区(千代田区)に区分されている (環境モデル都市構想.「環境モデル都市の取 組紹介」, 環境モデル都市構想~未来へのまち づくりウェブサイト <http://ecomodelproject. go.jp/ecomodel/>,ACCESS:2012/08/19). なお特別区は 1 都市のみのため,本稿では施策 展開の分析として取り扱っていない. 5)本節は主として渡耒仁(2009)「ネッカリッチ による人と地球に優しい取り組み~食料自給 率の向上と CO2削減による地球温暖化防止~」 (「第 32 回全国 ネッカ リッチ 研修会」(2009 年 秋,ホテルメトロポリタンエドモント(池袋) 発表資料)を参考にして記述している. 6)利用可能な人工林が数多く生息する中で,森 林地帯の国土保全や生態系バランスを保ってい くためには適切に森林整備・保全が必要であ る.日本では 2007 年度から 6 年間で 330 万 ha の間伐を実施することを目的に間伐を進めてい る.また「森林の間伐等の実施の促進に関する 特別措置法」が 2008 年に施行され,京都議定 書の目的達成に向け 2012 年度までに集中的に 間伐を推進している(林野庁 2012 年(前掲 書):p. 70). 7)樹皮炭の新たな付加価値として,CO2の固定 化が指摘されたためである.樹皮炭の製造とい う新たな産業は,林業に活性化をもたらしてい る(渡耒仁氏とのメールベースのインタビュー. 実施日:2012 年 8 月 23 日). 8)炭素(C)分子量 は 12,酸素(O)分子量 は 16 で あ る た め,炭素(C)1mol(物質量 の 単 位)の 重 さ は 12g,酸素(O)1mol の 重 さ は 16g となる.炭素(C)が燃えて発生する CO2 の 1mol の 重 さ は,12+(16×2)=44g と な る. 炭素を 12g 燃焼させると 16×2=32g の酸素が (653)

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つき,44g の CO2が発生する.炭素重量の 3.67 倍(44/12)が産生される CO2の重さになる. 炭素 を 燃焼 さ せ な け れ ば,炭素 の 3.67 倍 の CO2が固定されることになる.また樹皮炭はほ ぼ純度の高い炭素である.燃焼させることなく, 土壌に埋め込むことで炭素の 3.67 倍の CO2が 固定される(なお 3.67 倍の CO2の固定は,炭 を土壌に埋め込む場合の数値である.樹皮炭の 製造過程で排出される CO2量を差し引く必要 があるという展開は,炭製造における CO2の 固定化という議論となり,本稿の意図とは異 なる.).ミニトマトに当てはめてみると,ミ ニトマトの場合 1,720kg の炭(炭素)が畑に蒔 かれている.すなわち 1,720kg×3.67=6,312.4kg (6.31t)の CO2が畑に固定されている計算にな る(渡耒仁氏とのメールベースのインタビュー. 実施日:2012 年 8 月 20 日). 9)たとえば,1,000cc の自動車 1 台あたり 1L の ガソリンで約 2.3kg の CO2を排出するが,注 7 の算出方法によると,ミニトマトの CO2固定 量だけで約 2,743.5L のガソリンから産生される CO2量を相殺することが可能になる計算であ る.また蛍光灯では,1 分あたり 0.65g の CO2 を排出するが,食卓でこの土壌で生産された農 作物を摂取すると,ミニトマトを 200g 摂取す れば,1.834g の CO2固定量となり,40W の蛍 光灯使用時間は 2.8 分使用できる.にんじんを 200g 摂取 す れ ば 3.68g の CO2固定量 と な る. 40W の蛍光灯を約 5.7 分使用することが可能と なる.仮にこの農産物を使ったサラダを食卓で 摂取することだけでも CO2排出量の相殺に大 きな貢献となる(渡耒仁(2009)「ネッカリッ チによる人と地球に優しい取り組み~食料自給 率の向上と CO2削減による地球温暖化防止~」 (「第 32 回全国 ネッカ リッチ 研修会」(2009 年 秋,ホテルメトロポリタンエドモント(池袋) 発表資料)を参考).また農作物の光合成によ る CO2固定量 は,消費 さ れ た 農作物 の 場合, 消化分解されたものは生体のエネルギーとして 使われ,最終的に CO2として排出される.一 方,未消化のものや,消費されなかったものは, 環境中で分解される.分解により最終的に CO2 となって排出されるため,成長段階で固定化 していた CO2はすべて排出される結果となる. また農産物を炭化し,CO2を固定化する試みは 現実的ではない.農作物に含まれる水分が多 く,炭化するために多くのエネルギー(CO2排 出)を必要とするだけでなく,炭化するための 農作物も集約化する上においても,多くのエネ ルギー(CO2)を必要とするためである.その ため,土壌改良のために炭(樹皮皮)を埋め込 むことによる CO2固定化の果たす役割は大き い(渡耒仁氏とのメールベースのインタビュー. 実施日:2012 年 8 月 23 日). [わたらい あや 横浜国立大学大学院国際社会 科学研究科博士課程修了]

参照

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