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周期箱玉系と超離散リーマンテータ関数(可積分系数理の眺望)

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(1)

周期箱玉系と超離散リーマンテータ関数

東大総合文化

国場敦夫

(Atsuo Kuniba)

Graduate School

of

Arts

and

Sciences,

University

of

Tokyo

東大理 坂本玲峰

(Reiho Sakamoto)

Graduate

School of Sciences,

University

of

Tokyo

はじめに

周期箱玉系について, ベーテ仮説による逆散乱法

[KTT]

と初期値問題の解の

rational

char-acteristioe

超離散リーマンテータ関数による明示式

[KS, KS2]

について報告する.

箱玉系は, 量子群 $U_{q}$ に付随する可解格子模型の結晶化$(qarrow 0)$

[HKT, HHIKTT, FOY]

とソリトン方程式の超離散化

[TTMS]

という二つの側面を持つ. 可解格子模型 [B] の解法 としてはべーテ仮説

[Be]

が代表的であり, 箱玉系はそれがソリ トン方程式に対してどのよ うに機能するかを研究する題材を提供する. 実際, Kerov-Kirillov-R\’ehetikhin (KKR)理論 [KR] はべーテ仮説の組合せ論的なバージョンであるが, 誕生から20年近くを経て, 箱玉系 の解析にその真価を発揮したともいえる

[KOTY].

KKR

理論は $q=1$ の状況に相当する. もう一つの系統的な結果は$q=0$ の場合であり, ベーテ方程式の線形化としてストリング中 心方程式が得られ, その解の数え上げからウエイト多重度公式が従うことが知られている

[KN].

これら $q=0$ と $q=1$ の「組合せベーテ仮説」 を更に組合せることにより周期箱玉 系

[YYT]

の逆散乱法が定式化される

[KTT].

KKR

理論ではべーテ根の様子を模式化した

rigged configuration

と呼ばれる組合わせ論 的対象物が登場する. この rigged

configuration

を, ストリング中心方程式の解の同値関係 により同一視したものが周期箱玉系の作用・角変数になる. 作用変数はソリ トンの振幅のリ ストであり, 保存する. 一方角変数はソリトンの位相であり, 線形に時間発展する.

KKR

全単射は周期系に適合するよう整形することができ, 順・逆散乱写像を与える. 角変数の集 合はヤコビ多様体の超離散類似

(14)

をなし, 周期箱玉系の非線形動力学はその上の直線運 動に変換され変数分離される

(

定理

1).

以上の結果は, 周期箱玉系の初期値問題の解法アルゴリズムを提供する

.

陽な例は既に

[KTT]

Example 3.13,

3.14 や

[KS]

Example

2.3 などにあるので参照されたい. 与え られた作用角変数に対応する状態は超離散リーマンテータ関数により明示される

(

定理

2

(25), (31), (35)). これは初期値問題の解の明示式を与え, ソリ トン方程式の準周期解

[DT]

の超離散類似を実現する. 導出は二つの結果に基づく. 第一は,

KKR

全単射の区分線形公

式である

[KSY].

これにより無限系の場合は

rigged

configuration から箱玉系の状態を再構

成する操作が

KP

の超離散タウ関数により記述される. 第二は周期箱玉系の状態 $P$ が実効

的に$P\otimes p\otimes p\otimes\cdots$ という無限系とみなせることである

[KTT].

このような無限系の超離

(2)

関数が現れる.

その際ストリング中心方程式の係数行列が周期行列の役割を果たす

.

詳しい 導出は文献

[KS]

section

3を参照されたい. ソリトン方程式の超離散化を

top-down

とするなら, 本稿のアプローチは組合せべーテ 仮説による

bottom-up

である. 初期値問題の解法として, 単にアルゴリズムだけでなく,

rigged

configuration, KKR

全単射, ストリング中心方程式など組合せべーテ仮説の手法を 準周期解の理論の超離散化に結びつけ, 周期箱玉系の作用・角変数, 超離散ヤコビ多様体, 超離散リーマンテータ関数といった概念を提起する. また, 技術的に

KKR

全単射はより一 般の代数, 表現(クリスタル) への系統的な拡張が知られた標準的手法であり

,

超離散化の 際に不可欠な正定値性を保証する困難に苛まれないという利点がある

.

KKR

理論のオリジナルな文献

[KR]

では

riggegd

configuration

Robinson-Schensted

対応における $Q$ タブロー

(Littlewod-Richardson タブロー)

との全単射が扱われている.

稿での

KKR

全単射とは

riggegd configuration

highest state

との1:1対応のことを指す.

その具体的なアルゴリズムは例えば

[KOTY],

[KTT]

Appendix

$A$,

[KSY]

Appendix

$C$ 等に記述されている. これらと

convention

は異なるが

A

型の最も一般の場合のレヴュー が

[S]

にある. 周期箱玉系の非例外型アフィンリー環への拡張,

A

型一般での状態数の数 え上げ公式, 力学的周期と $q=0$ ベーテ固有値に関する予想等については

[KT]

を参照され たい. 状態と時間発展 $U_{q}(A_{1}^{(1)})$ のスピン$l/2$表現のクリスタルを$B_{l}=\{(x_{1}, x_{2})\in(\mathbb{Z}\geq 0)^{2}|x_{1}+x_{2}=l\}$ とする [Ka,

KMN].

元 $(x_{1}, x_{2})$ は文字$i$ を $x_{i}$ 個含む準標準盤としても表示する

.

(ただし枠は略す る.) 例えば $(1, 3)\in B_{4}$ は 1222 とも書く. 特に $B_{1}$ の元$(1, 0)$

,

$(0,1)$ は1,2 と表記される.

1は空箱、

2

は玉が一つ入った箱と解釈する

.

$L\in \mathbb{Z}\geq 1$ を固定する. $B_{1}^{\otimes L}$ の元をシステム

サイズ $L$ の周期箱玉系の状態という. 状態$p=b_{1}\otimes\cdots\otimes b_{L}$ で, 古典ウエイトが非負の元,

即ち $\#\{i|b_{i}=1\}\geq\#\{i|b_{i}=2\}$ を満たすものからなる部分集合を $\mathcal{P}$ とする. 以下では状態

の集合を $\mathcal{P}$へ制限する.

1

2

の総入れ替えに関する対称性があるのでこれにより一般性

は失れわれない. $P\in \mathcal{P}$ に対し, その時間発展 $T_{l}(p)\in \mathcal{P}$ を以下のように定義する.

$(l, 0)\otimes p\simeq p^{*}\otimes v_{l}$

,

$v_{l}\otimes p\simeq T_{l}(p)\otimes v_{l}$

.

(1) ここで $\simeq$ はクリスタルの同型で, 組み合わせ$R$ [KMN,

NY]

$B_{l}\otimes B_{1}arrow B_{1}\otimes B_{l}$

$(x_{1},x_{2})\otimes 1rightarrow\{\begin{array}{ll}1\otimes(l, 0) if (x_{1}, x_{2})=(l,0)2\otimes(x_{1}+1,x_{2}-1) otherwise,\end{array}$

$(x_{1},x_{2})\otimes 2\mapsto\{\begin{array}{ll}2\otimes(0, l) if (x_{1},x_{2})=(0, l)1 @ (x_{1}-1,x_{2}+1) otherwi se\end{array}$

を $L$回適用して得られる.

(1)

の第一式により

$P$ に依存して $v_{l}\in B_{l}$ が定まり, 第二式にそ

れを用いて $T_{l}(p)$ が定まる. ($p^{*}\in \mathcal{P}$ は以下では登場せず, $v\iota$ が第二式の右辺にも現れるこ

とは非自明な性質.)

関係式 $R(u\otimes b)=b’\otimes u’$ を頂点 ($+$ 記号) の周りに $u,$$b,$$u’,$$b’$ を左から時計回りに配置

(3)

計算例として$p=1121221\in B_{1}^{\otimes 7}$ (記号 $\otimes$ 略) をとる. 定義 (1) から $v_{2}=(1,1)=12\in B_{2}$

となり, $T_{2}(p)$ は図

1

1

2

1

2

2

1

122 111 11112211112122212

から $T_{2}(1121221)=2112112$ と求められる.

$R$ $B_{1}\otimes B_{1}$

上で恒等写像なので婿は巡回的シフト

$T_{1}(b_{1}\otimes\cdots\otimes b_{L})=b_{L}\otimes b_{1}\otimes\cdots\otimes b_{L-1}$ と

なる. 組み合わせ$R$の満たす

Yang-Baxter

方程式$(R\otimes 1)(1\otimes R)(R\otimes 1)=(1\otimes R)(R\otimes 1)(1\otimes R)$

から可換性 $T_{l}T_{k}=T_{k}T_{t}$ が従う. 各勾にはある保存量瓦が付随し

,

$E_{l}(T_{k}(p))=E_{l}(p)$ が

成立する. また拡張アフィンワイル群の任意の元$w\in\overline{W}(A_{1}^{(1)})$ について$wT_{t}(p)=T_{l}(w(p))$

,

$E_{l}(w(p))=E_{l}(p)$ が成立する

([KTT]

Theorem

2.2,

Proposition

2.3).

周期箱玉系のオリジ

ナルな定式化

[YYT]

で扱われているのは $\tau_{\infty}$ であり, 玉の移動規則による記述がある. 上

記のようなクリスタルを用いた定式化ではこの玉の移動は拡張アフィンワイル群の作用と同

定される

([KTT] Proposition

2.5).

$q=1$ と $q=0$ における組み合わせベーテ仮脱

$\mathcal{P}$ のうち, $sl_{2}$ について

highest

な元からなる部分集合を$\mathcal{P}+$ とする. 即ち, $\mathcal{P}+=\{p\in$

$\mathcal{P}|\tilde{e}_{1}p=0\}$ であり, これは $p=b_{1}\otimes\cdots\otimes b_{L}$ と表示した際に, $b_{1}\otimes\cdots\otimes b_{k}$ が任意の $k$ に

ついて非負ウエイトを持つものの集合である. 組み合わせべーテ仮説 $(q=1)$

[KR]

によれ

ば, $\mathcal{P}+$ と rigged configuration の集合にはKerov-Kirillov-Reshetikhin(KKR)全単射 $\phi$ に

より 1 対 1 対応がある. これを $\phi(p_{+})=(\mu, J)$ と書く.

(30)

の後に例があるので参照さ

れたい. 右辺が

rigged

configuration

である. $\mu$ は升目の総数が $L/2$ 以下の任意のヤング

図であり, $confi_{1}ration$ と呼ばれる. 以下では, ヤング図 $\mu$ の相異なる行の長さの集合を

$II=\{il <i_{2}<\cdots<i_{g}\}$ とし, 長さ $i\in II$ の行の数を $m_{i}(\geq 1)$ とする. ヤング図を分割と

同一視し、

Macdonald

の本のように大きい順にその行の長さを記す表示では

$\mu=$ $(i_{g}^{m_{i_{9}}}$

...

$i_{1}^{m_{l_{1}}})$ (2)

となる. つまり

configuration

$\mu$は

II

と $m_{i_{1}},$$\ldots$

,

$m_{t_{g}}$ というデータと等価である.

ヤング図 $\mu$ の各行には非負整数が割り当てられており,

rigging

と呼ばれる. これをあら

わしているのが $(\mu, J)$ という記号の $J$ の部分である. 具体的に、 ヤング図 $\mu$ には長さ $i$

の行が鱗個あるが, これらに割り当てられた

rigging

を下から順に $J_{i,1}$

,

. .

.

,$J_{i,m_{i}}$ としよ

う. このとき, $0\leq J_{i,1}\leq\cdots\leq J_{i,m}:\leq p_{i}$ が各 $i\in II$ について満たされているときに

rigged

configuration

と呼ぶ. ここで $Pt$ は

$p_{i}=L-2 \sum_{j\in I}\min(i,j)m_{j}$ (3)

で定義される整数であり、$\mu$ が

configuration

ならば、 つまり升目の総数$\sum_{i\in I}im_{i}$ が $L/2$

以下ならば、 非負である.

KKR

全単射を $\phi(p_{+})=(\mu, J)$ と書く際, $J$ とは上の条件を満

たす

rigging

$(J_{i,\alpha})_{i\in 1,1\leq\alpha\leq m}$

: を象徴してあらわすものと了解する. ここで添え字の対 $(i, \alpha)$

はヤング図 $\mu$ の各行をラベルし、今後頻出するので以下その集合を

(4)

と書く. 成分が$II\sim$

でラベルされる $\gamma$ 次元のベクトルと行列として以下のものを導入する.

$\tilde{h}_{j}=(\min(i,j))_{(i,\alpha)\in\overline{I}}\in \mathbb{Z}^{\gamma}$ $(j\in II)$

,

(5)

$\tilde{J}=(J_{i,\alpha}+\alpha-1)_{(i,\alpha)\in I}\sim\in \mathbb{Z}^{\gamma}$

,

(6)

$A=(A_{i\alpha,j\beta})_{(i,\alpha),(j,\beta)\in\overline{I}’}A_{i\alpha,j\beta}= \delta_{i,j}\delta_{\alpha,\beta}(p_{i}+m_{i})+2\min(i,j)-\delta_{i,j}$

.

(7)

(6)

には $+\alpha-1$ というシフトが入っていることに注意されたい. 先に導入された

$II=\{i_{1}, \ldots, i_{g}\}$ は、ヤング図 $\mu$ の相異なる行の長さの集合であり、上の添え字集合

$II\sim$

を「束

ねた」 ものである. これに相当して、

II

を添え字集合に持つ $g$ 次元ベクトル, 行列として以

下のものを導入する.

$h_{j}=(\min(i,j))_{i\in\#}\in \mathbb{Z}^{g}$

,

(8)

$p=(p_{i})_{i\in\#}=Lh_{1}-2\sum_{j\in I}$$mjhj\in \mathbb{Z}^{g}$

,

(9)

$J=$ $(J_{i,1}+ \cdot..+J_{i,m:})_{i\in I}\in \mathbb{Z}^{g}$

,

(10)

$F=(F_{i,j})_{i,j\in I},$ $F_{i,j}= \sum_{\beta=1}^{m_{j}}A_{i\alpha,j\beta}=\delta_{ij}p_{i}+2\min(i,j)m_{j}$

,

(11)

$M=diag(m_{i})_{i\in I}$

,

(12)

行列$A,$ $F$ $q=0$ におけるべーテ方程式の解析

[KN]

において導入された. 特に $A$ は線形

化されたべーテ方程式 (ストリング中心方程式) の係数行列であり、正定値であることが知

られている.

作用・角変数と逆散乱法

任意の状態 $p\in \mathcal{P}$ は適当に巡回的シフトを施せば

highest

状態にすることができる。即ち

ある整数 $d$ と

highest

状態$P+\in \mathcal{P}+$ を用いて$p=T_{1}^{d}(p_{+})$ と表示される. $d$ と $P+$ のとり方

は一意的でないが, $\phi(p_{+})$ の

configuration

は一意的であることが示される

([KTT]

Lemma

C.3). 従って状態の集合は $P+$ の

configuration

$\mu$ により $\mathcal{P}=U_{\mu}\mathcal{P}(\mu)$ と分解される. $\mu$ を

作用変数と呼ぶ. 実は $\mu$ は $E\downarrow$ からも構成され, 保存量であることが知られている. 具体的

には

([KTT]

Proposition

3.4)

$E_{l}(p)= \sum_{j\in I}\min(l,j)m_{j}$ (13)

が成立する. つまり $\{E_{l}\}$ を知れば$II=\{il, . .. , i_{9}\}$ と $m_{i_{1}},$$\ldots$

,

$m\iota_{9}$ が決まり, ヤング図 $\mu$

(2)

により再構成される. 周期箱玉系において,

II

はソリトンの振幅のリストであり, $m_{i}$

は振幅 $i$ のソリトンの個数である.

$\mu$ は保存量なので各等位集合 $\mathcal{P}(\mu)$ は時間発展で不変に

保たれる.

作用変数 $\mu$ を指定したとき, 角変数の集合

(ヤコビ多様体の超離散類似)

$J(\mu)=(\mathcal{I}_{m_{i_{1}}}\cross\cdots\cross \mathcal{I}_{m_{1_{9}}})/\Gamma$

,

$\Gamma=A\mathbb{Z}^{\gamma}$

,

(14)

と定める. ここで$\mathcal{I}_{n}=(\mathbb{Z}^{n}-\Delta_{n})/\mathfrak{S}_{n}$ は $n$ 次元格子から集合$\Delta_{n}=\{(z_{1}, \ldots, z_{n})\in \mathbb{Z}^{n}|$

(5)

つまり, 相異なる $n$ 個の整数の組 (並べる順序による識別をしない) の集合のこと. 行列 $A(7)$ は

(14)

の積と対応するブロック構造をしており、(14) の

mod

$\Gamma$ は意味を持つ.

以下

$\mathcal{I}_{m_{i_{1}}}\cross\cdot\cdot\cross \mathcal{I}_{m_{i_{9}}}$ の元とその $\mathcal{J}(\mu)$ への像を同じ記号で表す. $\mathcal{J}(\mu)$ は有限集合であり,

$| \mathcal{J}(\mu)|=(\det F)\prod_{i\in I}\frac{1}{m_{i}}(\begin{array}{l}m_{i}p_{i}+-lm_{i}-1\end{array})=\frac{L}{p_{i_{9}}}\prod_{i\in I}(\begin{array}{l}p_{i}+m_{i}-1m_{|}\end{array})$

(15)

であることが知られている

([KN, KTT]).

$\mu$ が

confi

ration

であれば (15) は正整数で

ある.

(

空箱と玉の数が一致する場合は$p_{i_{g}}=0$ となるが, その場合は第二の表式の因子

$\frac{L}{p_{i_{g}}}(^{P:_{g}+m_{i_{9}}-1}m_{i_{9}})$ を $\frac{L}{m_{1_{9}}}$ と解釈する)

(30)

の下で扱われている例$II=\{1,4,9\},$$(m_{1}, m_{4}, m_{9})=$

$(1,2,1),$$L=45$ では $|\mathcal{J}(\mu)|=3515$ である. ソリトン状態の完全性を表す等式

$\sum_{\mu}|\mathcal{J}(\mu)|=(\begin{array}{l}LM\end{array})$ $(0\leq M\leq L/2)$

も知られている

([KN],

Theorems

3.5

and

4.9). ここで和は $\sum_{i\geq 1}im_{t}=M$ を満たす任意

の非負整数 $m_{1},$ $m_{2},$$\ldots$ にわたる.

状態 $P\in \mathcal{P}(\mu)$ に対応する角変数を指定しよう

.

上記のように $P$

highest

状態$P+$ と巡

回的シフト乃を用いて

$p=T_{1}^{d}(p_{+})$ と表示し,

KKR

全単射を施して $\phi(p_{+})=(\mu, J)$ となっ

たとする.

configuration

$\mu$ からは

(2)

により $II=\{il <i_{2}<\cdots<i_{9}\}$ と $m_{i_{1}},$$\ldots,m_{i_{9}}$ が定 められる. さらに $J=(J_{i,\alpha})_{(i,\alpha)\in\overline{\#}}$ に定義 (5), (6), (7) を適用して

$\Phi$ : $\mathcal{P}(\mu)arrow \mathbb{Z}x\mathcal{P}+arrow$ $\mathcal{J}(\mu)$

(16)

$p$ $rightarrow(d,p_{+})\mapsto(\tilde{J}+d\tilde{h}_{1})/\Gamma$

で指定されるのが角変数である.

(6)

におけるシフト $+\alpha-1$

rigging

の条件$0\leq J_{i,1}\leq$

.

.

.

$\leq J_{i,m_{i}}\leq Pt$ に注意すると、$\tilde{J}+d\tilde{h}_{1}$

の成分は $i\in II$ でラベルされる各ブロック内で全て

相異なることがわかる. 従って

(16)

において $\tilde{J}+d\tilde{h}_{1}$ は$\mathcal{J}(\mu)$ の代表元を定める. さらに

$d,$$p+$ のとり方の任意性が

mod

$\Gamma$ により相殺され, $\Phi$ は

well-defined

であることが示される

([KTT]

ProPosition

3.7). 定理 1([KTT]

Theorem

3.12). $\Phi$ は全単射であり, 次の可換図が成立. $\mathcal{P}(\mu)arrow^{\Phi}\mathcal{J}(\mu)$ $\tau_{l}\downarrow$ $\downarrow T_{l}$ $\mathcal{P}(\mu)\underline{\Phi}\mathcal{J}(\mu)$ ただし$\mathcal{J}(\mu)$

上の時間発展は勾

$(\tilde{J})=\overline{J}+\tilde{h}_{l}$ により定義される. 合成 $\Phi^{-1}\circ T_{l}^{t}\circ\Phi$ が初期値問題の逆散乱法による解である

.

計算のステップ数は $t$ によ らない. $\Phi^{\pm 1}$ は順逆散乱写像であり、それにより周期箱玉系の時間発展易は集合$\mathcal{J}(\mu)$ 上の速度 $\tilde{h}_{l}$ の直線運動に変換される. この意味で$\mathcal{J}(\mu)$ はソリトン方程式の準周期解にお

(6)

けるヤコビ多様体の超離散類似である. 任意の時間発展$T= \prod_{l}T_{l}^{c\iota}$ のもとでの generic な 周期 $\mathcal{N}$ は, $\mathcal{N}(\sum_{l}c_{l}\tilde{h}_{l})\in\Gamma$

(17)

をみたす最小の正整数として定式化される

.

クラメールの公式を用いると $\mathcal{N}$ は $A$ のある 小行列式の比の最小公倍数となることが導かれる

([KTT] Theorem 4.6).

特に果 $=\delta_{l,\infty}$ の 場合は

[YYT]

の結果に帰着する. 一般の $l$ こついて $T_{l}^{\mathcal{N}}(p)=p$ を満たす最小の正整数, 即ちのに関する $P$ の基本周期の閉じた公式は

[KTT]

(4.26)

に得られており, 例えば $P=$

12112211122211121112211111 の時間発展乃に対して

$\mathcal{N}^{*}=130$ を与える

([KTT]

Example

4.10). これは

generic

な周期公式では

260

となってしまう状態である

.

角変数$\tilde{J}(6)$ に対する時間発展 (定理 1) は, それを束ねた変数$J(10)$ に対する時間発展 $T_{l}(J)=J+Mh_{l}$ (18) を引き起こす. ここで $M$ は

(12)

で定義される

.

超離散リーマンテータ関数とタウ関数

作用変数 $\mu(2)$ を固定する. $\mu$ に付随して、

rational

characteristic

$a\in(\mathbb{Q}/\mathbb{Z})^{g}$ の超離散

リーマンテータ関数を以下のように定義する.

$\Theta_{a}(z)=-\min_{n\in Z^{g}}\{{}^{t}(n+a)\Omega(n+a)/2+{}^{t}(n+a)z\}$ $(z\in \mathbb{R}^{g})$

,

(19)

$\Omega=MF=(\Omega_{t,j})_{i,j\in I},$ $\Omega_{i,j}=\delta_{ij}p_{i}m_{1}+2\min(i,j)mm_{j}$

.

(20)

$F,$$M$ の定義は

(11),

(12) を見よ. $\Omega$ は正定値対称行列である. $v\in\Omega \mathbb{Z}^{g}$

に対して擬周期性 $\Theta_{a}(z+v)=\Theta_{a}(z)+tv\Omega^{-1}(z+v/2)$ を持つ. $\Omega h_{1}=LMh_{1}$

(21)

が成り立っ. $\Theta_{a}(\mathbb{Z})$ 以外にもう一つの補助関数$\chi(s;\overline{I})$ が必要である. これは $\tilde{I}=(I_{i,\alpha}+\alpha-1)_{(i,\alpha)\in I}\sim\in$

$\mathcal{I}_{m_{i_{1}}}\cross\cdots\cross \mathcal{I}_{m}$: と $s=(s_{t})_{i\in I}\in \mathbb{Z}^{g}$ から定まる有理数値関数であり、

$\chi(s;\tilde{I})=\chi(s’;\tilde{I})$

if

$s\equiv s’$ mod $M\mathbb{Z}^{g}$, (22)

$\chi(s;\tilde{I})=\sum_{i\in I}\frac{1}{m_{i}}\sum_{1\leq\alpha\leq\epsilon_{*}<\beta\leq m_{i}}(I_{i,\beta}-I_{i,\alpha}-\frac{p_{i}}{2})$

(23)

if

$0\leq s_{i}<m_{i}$

,

$I_{i,1}\leq\cdots\leq I_{i,m}$

:

for

all

$i\in II$

(24)

で定義される. ここで,

(23)

の第二の和は対 $(\alpha, \beta)$ にわたる. 特に $\chi(0;\tilde{I})=0$ である.

与えられた $I\in \mathbb{Z}^{g}$ と $\overline{I}=(I_{i,\alpha}+\alpha-1)_{(i,\alpha)\in\overline{I}}\in \mathcal{I}_{m}:_{1}\cross\cdot..$

$x\mathcal{I}_{ms_{9}}$ }こついて,

(8),(9),(12)

を用いてタウ関数を以下のように定義する.

(7)

以上は$\tau_{r}(k)$ の定義であり,

I

I

は任意のものでよい. 初期値問題の解の明示式 与えられた状態 $P\in \mathcal{P}(\mu)$ からタウ関数

(25)

のパラメータを指定する. $M,$$p,$$h_{j}$ にっぃ ては既に述べたように

(12), (9), (8)

で定義される.

I

(16)

に従って$P\in \mathcal{P}(\mu)$ の角変数にとり, それを束ねることにより

I

を以下のように 定める. $\Phi(p)=\tilde{I}=:(I:,\alpha+\alpha-1)_{(i,\alpha)\in\overline{I}}\cdot\in \mathcal{J}(\mu)$

,

(26)

I:

$=(I_{i,1}+\cdots+I_{i,m}:)_{i\in I}\in \mathbb{Z}^{g}/F\mathbb{Z}^{g}$

.

(27)

これは (6) と

(10)

の関係と同じである. ただし、

I

は$\Gamma=A\mathbb{Z}^{\gamma}$ による同一視があることを 反映して

I

には$F\mathbb{Z}^{g}$ による同一視がはいる. これは $A$ と $F$ の関係式

(11)

から導かれる. 補題 1. $\overline{I}\equiv\tilde{I}’$

mod

$\Gamma$ とし, それぞれに対応するタウ関数を

$\tau_{r}($ん$)$

,

\mbox{\boldmath$\tau$}r/(ん)

とすると $\tau_{r}(k)-$

$\tau_{r}’(k)$ は $r$ と $k$ の1次関数である.

この補題の証明は, $\Gamma$ のある基底

([KTT]

slide

$\sigma_{k}$ に相当

)

に対して (25) の

max

の中

の変化が, 1 次関数を

modulo

として

characteristics

$M^{-1}s$ の変化 $s_{k}arrow\rangle$$s_{k}+1$ に吸収でき

ることによる.

なお, $\tau_{r}(k)$ は整数値関数であることも示される

.

定理2. 与えられた作用変数$\mu$, 角変数

I

を持つ状態$p=(1-x_{1}, x_{1})\otimes\cdots\otimes(1-x_{L}, x_{L})\in \mathcal{P}(\mu)$

は以下で与えられる.

(

$x_{k}$ は左から $k$

番目の箱の中の玉の個数)

$x_{k}=\tau_{0}(k)-\tau_{0}(k-1)-\tau_{1}$(k)+\mbox{\boldmath $\tau$}l(ん$-1$

).

(28)

補題1により, 同一の角変数$I\equiv\tilde{1}’$

mod

$\Gamma$ からは矛盾無く同じ $x_{k}$ が定まる. 定理2の 証明は

[KS]

section

3 と同様である.

定理

1

と定理

2

から初期値問題の解の明示式が従う

.

即ち,

(28),

(25) において角変数を $\tilde{I}-’\tilde{I}+\sum_{l}c_{l}\tilde{h}_{l}$ (29)

と置き換えれば時間発展した状態

$( \prod_{l}T_{l}^{c_{l}})(p)$ が得られる. その際, $\chi(s;\tilde{I})$ は, (23) にお いて差$I_{i,\alpha}-I_{i,\beta}$ は不変に保たれるため, 変化しない. また,

(25)

の中の超離散リーマン テータ関数は,

束ねられた角変数 I

に依存しているが, これの時間発展は

(18)

で与えられ,

(29)

に相当する変化は $I\mapsto I+M(\sum_{l}c_{l}h_{l})$

(30)

である. 特に, $T_{1}^{L}(I)=I+LMh_{1}$ であるが,

(21)

に注意すると $T_{1}^{L}(I)=I+\Omega h_{1}$ となり, タウ関数は擬周期性によるシフトしか変化せず

,

(28) は不変である. これは巡回シフト $T_{1}$ をシステムサイズ$L$ だけ施しても状態は不変であることと整合し,

(28)

$k$ について周期 $L$ の周期関数になっている.

(8)

定義

(8)

により, $l \geq\max II=i_{g}$ 即ちソリ トンの最大振幅以上の $l$ \iota こついては $h_{l}=h_{\infty}$

である.

従って時間発展笏の効果 (30)

は$I\mapsto I+Mh_{\infty}$ となり, これは

(25)

$rarrow r+1$

とするのと等価になる. 即ちこのような時間発展に関しては $r$ が時間変数となる.

系. 与えられた作用変数 $\mu$, 角変数

I

を持つ状態を $P$ とする. このとき $l \geq\max II$ ならば

状態$T_{l}^{t}(p)$ の左から $k$ 番目の箱の中の玉の数 (31) $=\tau_{t}(k)-\tau_{t}(k-1)-\tau_{t+1}(k)+\tau_{t+1}(k-1)$

.

例として長さ $L=45$ の状態 ($B_{1}^{\otimes 45}$の元) の時間発展 $p=111222221111222222221111111111111112222111211$

(32)

$T_{9}(p)=111111112222111111112222222221111111111222122$ を考えよう. $P$ は

highest

状態 $P+=$

111111222211121111122222111122222222111111111

を用いて $p=T_{1}^{29}(p+)$ と書ける.

KKR

全単射で $P+$ に対応する

rigged

configuration

である. 従って $II=\{1,4,9\},$ $M=diag(m_{1}, m_{4}, m_{9})=diag(1,2,1)$

.

また, (26) の $I_{i,\alpha}$

は, $(I_{1,1}, I_{4,1}, I_{4,2}, I_{9,1})=(39,31,35,29)$ となる. そのほか$P(9)$, I(27), $\Omega(20)$ は

$p=(\begin{array}{l}p_{1}p_{4}p_{9}\end{array})=(\begin{array}{l}37199\end{array})\prime I=(\begin{array}{l}396629\end{array})$

,

$\Omega=(\begin{array}{lll}39 4 24 70 162 l6 27\end{array})$

.

タウ関数 (25) の引数は

$I+M(rh_{\infty}-kh_{1}-\frac{p}{2})=(\begin{array}{ll}+41/2r-k -8r2\text{ん }+47+49/29r-\text{ん }\end{array})=: z_{r,k}$

.

(33)

補助関数 $\chi(s;II)\sim(23)$ $s=(0,1,0)$ において非自明な値$\frac{1}{m_{4}}(I_{4,2}-I_{4,1_{2}}-L^{4})=-T$

持つ. 以上から

$\tau_{r}(k)=\max\{\Theta_{0,0,0}(z_{r,k}),$ $e_{0_{2}^{\iota},o(z_{r,k})-\frac{11}{4}\}}$

(34)

となる. これが整数値をとることも確認できる. $l\geq 9$

の場合は時間発展した状態野

$(p)$ は

(31) により得られる.

(9)

一番左が $(\tau_{0}(0), \tau_{1}(0),$$\tau_{2}(0))=(15,28,41)$ であり, 一番右では $(\tau_{0}(45), \tau_{1}(45),$$\tau_{2}(45))=$

$(13,8,3)$ という値を持つ.

状態瑠

$(p)(32)$ においてソリトンの先頭と終わりの位置に相当

するたのところで確かに $\tau_{t}(k)$ または $\tau_{t+1}$(た) の傾きが変化していることが視察できる.

タウ関数 (25) は, 同じ長さのソリ トンが複数いない状況, 即ち $\forall m_{i}=1$ の場合は相当簡

略化する

[KS].

この場合, $\chi(s;\tilde{I})=0$ であり, $\overline{II}=II,$ $\Omega=F=(\delta_{ij}p_{i}+2\min(i,j))_{i,j\in 1}$

なる.

characteristics

が $0$ の超離散リーマンテータ関数を $\Theta(z)=\Theta_{0}(z)$ と書くと (28)

$x_{k}=\Theta$

(

$I-\frac{p}{2}-$ ん$h_{1}$

)

$- \Theta(I-\frac{p}{2}-(k-1)h_{1})$

(35)

$-\Theta$

(

$I-\frac{p}{2}-$ ん$h_{1}+h_{\infty}$

)

$+ \Theta(I-\frac{p}{2}-(k-1)h_{1}+h_{\infty})$

.

と簡単になる. これは

Date-Tanaka

による周期戸田格子のリーマンテータ関数解

[DT]

を 超離散化したものと類似の構造をしている.

(35)

を逆超離散化した関数のプロットが

[KS]

にあり, 滑らかなソリトンの周期的衝突が観測できる. あとがき 式

(35)

で $g=2$ の場合は本質的に周期的戸田方程式の

2-

ソリトン解の超離散化 $[KmT]$

に帰着することを井上玲氏より教えていただいた:

ここに感謝いたします.

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