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幼児・児童の心的動詞表現の確実性判断に関する研究:点推定法・区間推定法を用いて

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(1)

幼児・児童の心的動詞表現の確実性判断に関する研

究:点推定法・区間推定法を用いて

著者

小泉 嘉子

雑誌名

東北教育心理学研究

10

ページ

13-20

発行年

2006-03-25

URL

http://hdl.handle.net/10097/00121895

(2)

幼児・児童の心的動詞表現の確実性判断に関する研究:

点推定法・区間推定法を用いて

小 泉 嘉 子

(東北大学大学院教育学研究科)

要約

本研究の目的は、子どもの心的動調表現の確実性の理解 について検討すること、そしてそのような理解を検討す るための方法を開発することであった。対象は6、 7、 8歳児、 72名であった。「点推定法課題」では、あり うる強さについて検討が行われた。最初に、子どもは 「赤 い箱にケーキが入っているかどうかわかりません」とい う文を提示された。 2番目に、「かなえさんは赤い箱に 入 っ て い る と 知 っ て い ま すJ (または「思っています/ す こ し 思 っ て い ま す / か な り 思 っ て い ま すJ)という文 が提示された。子どもは「ケーキは赤い箱にどのくらい 入っていると思いますか」と質問され、 6つの選択肢 (50 %以下:0・16.67, 16.67-33.33、 33.33-50/ 50%以 上:50-66.67、 66.67-83.33、 83.33-100)の中から 1 つ選択するよう 2段階で求められた。「区間推定法課題」 では、ありうる範囲について検討が行われた。子どもに は点推定法で用いられたのと同じ文が提示された。子ど もは「ケーキは赤い箱にどのくらい入っていると思いま すか」と質問され、

o

-

100 %の尺度の中から上限と 下限を答えるよう求められた。主な結果は次の通りであ る。(1 ) 6歳 児 は へッジ と 組 み 合 わ さ れ た 心 的 動 詞 表 現について2値 的 な 理 解 を 行 っ て い た (50%以下か 50 %以上か)0

(2) 7

歳児は「思う・知る」という心的動調 表現問の識別理解を行っていた。 (3)8歳児はヘッジ(程 度副詞)と組み合わされることによって心的動調表現の ありうる強さが段階的に変化することを理解していた。 キーワード :心的動詞表現;点推定法;区間推定法 問題と目的 コミュニケーション場面において、我々は限られた時間の 中でことばのやり取りをして、互いに理解しあわなければ ならない。そのため、話し手の発話の中から他者の知覚・ 欲求・感情・信念といった心的状態を表す情報を見つけ出し、 推測することが必要となる。その際、「思うJi知る」とい った人の心の状態を表す動調表現(心的動詞表現)は、伝 達する情報の確実性(不確実性)を示し、コミュニケーシ ョンを進めていく上で重要な役割を担っている(森山,1992)。 たとえば、我々は会話場面で「今日は雨が降ると思う」と いった表現を使用する。この表現は「今日は雨が降る」と いった断定表現とは異なり、 i"",と思うJを付加すること によって「今日は雨が降る」といった情報が不確実である ことを表している。このことから、聞き手は心的動詞表現 から確実性(不確実性)を理解していく必要があり、情報 が確実かどうかといった点についての理解は、相手の意図 を知る上で重要であると思われる。 それでは、心的動調表現の表す確実性(不確実性)はど のように聞き手に理解されているだろうか。従来、「思うJi知 る」といった心的動調表現の表す確実性(不確実性)につ いて、心的動調表現を確実性の高いもの (know. wish . pretend' ・・・)と不確実性の高いもの (think. guess . be possible . be true . want .・・)とに分け、その外延 を理解しているかによって確実性(不確実性)の理解を捉 え よ う と す る 研 究 が 行 わ れ て き た(Harris. 1975; Hopeman & Maratsos. 1978; Abbeduto & Rosenberg. 1985; Moore. 1989a; Moore. 1989b;玉 瀬.1995・1997)。しかし、この外延的定義に基づいた理 解の検討方法では、具体的に情報の確実性を表わす心的動 調表現と情報の不確実性を表わす心的動調表現とでは、ど の程度確実性の「ありうる程度 (degree of reliability) J が異なるのかといった点については検討がされていない。 しかし、「不確実一確実J 聞には、段階的な程度が存在し ていると考えられる。 この確実性(不確実性)の「ありうる程度」の研究とし ては、大人を対象に行なわれているものがある(青山,1997・ 小泉.2004・小泉,印制中)。青山 (1997) は「信じる Ji思 う」のような心的動詞表現の表す「ありうる程度J につい て調査を行っている。具体的には、「太郎は結婚すると思 います」などの複文について、「太郎が結婚するJ という 命題のありうる程度を

o

(不確実である)から 100 (確実 である)の問で評定させている。その結果、動詞の種類に よって確実性評定が異なり、確実性が高い「知る」と確実 性の低いグループ「感じる、思う、考える、信じている」 町 、 U 咽EE--‘

(3)

とでは明確にありうる度合いが異なることが報告されている。 また小泉 (2004) は、心的動調表現に「少し・かなり・絶 対J などのヘッジ(程度副詞、以下へッジ)を組み合わせ た場合に命題についての確実性がどのように変化するのか 調査を行っている。ここでヘッジとは、事柄の断定性を弱 めたり強めたりする表現のことであり、ヘッジの中でも「少 し・かなりJ といった程度副調は、心的動調表現・形容調 などに修飾することでその程度を限定する表現である。 また山下(1992ab) によれば、段階的なありうる程度 は「点で示されるもの(ありうる強さ)J と「幅で示され るもの(ありうる範囲)J によって示されるという。そこ で小泉(印刷中)では、大学生を対象として確実性の高さ(あ りうる強さ)と確実性の幅(ありうる範囲)について検討 した。具体的には、 2つの心的動調表現(知る・思う)と、 そして2つの心的動調表現と 2つのへッジ(すこし・かなり) とを組み合わせた計6組の組み合わせ(思う・少し思う・ かなり思う・知る・少し知る・かなり知る)を作成し、こ れらを主動詞としたターゲット文(例「りささんは 赤い 箱に(ポールが)入っていると少し思っていますJ)を提 示し、ポールのありうる程度について評定を行わせた。そ の際、確実性の評定方法については、竹内(1994) 、青山 (1997)、小泉(2004) などで使用されている 0"'100の数直 線上のL点を回答させる「点推定法」によって「確実性の 高さ・低さ(ありうる強さ)J を、竹内(1991) で使用さ れている0'"100などで示される数直線上の2点を「ここか らここまで」と回答させる 「区間推定法jによって「確実 性の幅(ありうる範囲)Jを評定させた。その結果、点推 定法と区間推定法の結果は「少し思う〈思う〈少し知るくか なり思う〈知るくかなり知るJという順番で評定値が並んで おり、ありうる程度の段階的理解がなされていた。さらに 心的動詞表現とヘッジとを組み合わせた場合、単純に「思 うよりも知るの方が、確実性が高いJ 1少しーヘッジなし ーかなりの順で確実性が高い」といった規則に沿って変化 するわけではなく、 点推定法・区間推定法のいずれの評定 値でも 「かなり思う一少し知るJ問において確実性の高い はずの「知る」が確実性の低い 「思うjよりも評定結果が 低くなっていた。また、大人では心的動調表現・ヘッジの もつ順序性を超え、心的動調表現間の差異の理解とありう る程度の段階的理解との組み合わせによる新たな系列の創 出が見られたと考えられた。 しかし、このような心的動調表現は、他の語と組み合わ され、 真偽判断では示されないような段階的性質をもっと いう点で、幼児・児童にとってその理解は容易ではないと 考えられる。また、このような段階的なありうる程度(あ りうる程度・ありうる度合い)の理解がどのように獲得さ れていくのかについてはまだ調査が行われていない。そこで、 本研究では、このような心的動調表現の段階的なありうる 程度を幼児・児童がどのように理解するようになるのかと いった点について明らかにすることを目的とした。より具 体的には、幼児・児童を対象に、心的動詞表現における段 階的なありうる程度の理解の発達過程を明らかにすること を第1の目的とした。 本研究では、このような段階的なありうる程度を捉える ための方法を開発することを第2の目的とした。従来の研 究では、点推定法・区間推定法は大人を対象に質問紙調査 といった方法でも回答が容易なものとして開発され利用さ れてきた。しかし、幼児・児童の心的動詞表現のありうる 程度の理解の発達過程を明らかにするためには、幼児・児 童も回答が可能である点推定法・区間推定法の開発が必要 である。そこで、本研究では心的動調表現の中間段階的あ りうる程度を測定するために以下の4つの方法を用いた。 (1)絵と音声による視覚的・聴覚的提示:第1に、 W飢必,wsXPの表計算ソフトであるEx倒内にあるVBA

N

祖.Ial Basic for Applications) プログラムを利用し、プログラ ムの中に絵や音声を埋め込み「理解の手がかりJ として提 示することによって課題を理解しやすいように工夫する。 (2 )ゲーム感覚的な課題構成:第2に、提示された課題 構成がゲーム感覚的であるようにする。たとえば、 「箱の 中にウサギの人形(あるいはくまの人形・ケーキ)が入っ ているかをヒントを元に当てるJ、といったクイズ形式を 採用し、幼児・児童の課題への動機づけを高める。 (3) 点推定法における2段階 (2択・ 3択)による評定尺度 第3に、 点推定法の回答方法に新たな工夫をしたことである。 通常、点推定法では 10'"1 00数直線上の 1点を回答させるJ という方法を行う。しかし、本研究では6"'8歳児が対象 であるため、小泉(印刷中)を参考に2段階の回答方法を 行うことにした。具体的には、 ①提示された刺激に対し、 「あ りうる強さ」がどれくらいかを50%より上か下かで答えさ せる。次に、②50%より上の場合はさらに3つの選択肢 (50 -66.67、66.67-83.33、83.33-100の 3択)の中から選ばせ るという方法を用いる。50%より下の場合は同様に3つの 選択肢 (0-16.67,16.67-33.33、33.33-50の 3択)の中か ら選ばせるという方法を用いる。 (4)区間推定法におけ る具体物を用いた評定尺度:本研究ではパソコンを使った 方法ではなく、 具体物を使用した方法を採用する。 具体的 には、木製の小さな鉄棒のような道具に2つの赤いリング を通し、横棒部分には0から 100のメモリをふった。 2つ のリングは横棒上で自由に動かすことができ、 2つのリン グを動かすことで「ここからここまで」といった区間を提 示することが可能である。この道具を使用し直接自分で 「区

-1

4

(4)

-間Jの幅を操作することによって、自己の操作の結果がよ りわかりやすいものになると考えられる。 以上のような4つの工夫によって、幼児・児童・そして 大人を対象としたありうる程度(ありうる強さ・ありうる 範囲)理解の測定を行い、今まで検討されていなかった幼児・ 児童の中間段階的ありうる程度理解の過程について検討を 行う。その際、本研究では以下の仮説を設定した。 仮説:幼児・児童は、年齢が上がるにつれ心的動調表現の 段階的理解をするようになる。

I

I

.

方法 1.被験児: 6歳児24名 (6歳1ヶ月""'6歳11ヶ月、平均 6歳4ヶ月、男児13名・女児11名)、 7歳児24名 (7歳0 ヶ月""'7歳11ヶ月、平均7歳6ヶ月、男児9名・女児15名)、 8歳児24名 (8歳0ヶ月""'8歳11ヶ月、平均8歳5ヶ月、 男児12名・女児12名)。 2.調査期間:2004年12月""'2005年6月に調査を行った。 3. 提示する刺激:心的動調表現は、人の確実性理解を検討 する従来の研究

G

色町is1975; Hopemann&陥 肥 田 万1978; Sco吋lle

&

Gordon 1980 ; Abbeduto

&

Rα,;;enberg 1985 ;

M

re.Bryan

.

t

& Furrow 1989; M

re& Da吋dge 1989)で最もよく使用され、青山 (1997)、小泉 (2004)、 小泉(印刷中)でも採用した「思う・知るJ という2つの心 的動詞表現を使用した。ヘッジについては、 「すこし・かな り」を用い、計4問の組み合わせ伎日る・すこし思う・思う・ かなり思う)を作成した。 4.課題の手続き:本研究では「確認課題J

r

点推定法によ る評定課題J

r

区間推定法による評定課題」という3つの 課題について、この順序で課題を行なった。 (1)確認課題:点推定法・区間推定法の2つの課題に入る 前に、 PCのキー操作に慣れるために確認課題を設定した。 練習1問、 3つの棒の問題 3問の計 4問をこの順序で提示 した。 (2)点推定法による評定課題:PCを操作する前に 絵カードを使って課題の主旨を理解させる2問の説明課題、 PC操作を理解させる3問の練習問題、そして4問の基本問 題の合計10問の問題をこの順序で提示した。提示順序に よる影響を排除するため、 4つの基本問題の提示順序につ いては2つのパターンを作成し、カウンターバランスを取 った。 (3)区間推定法による評定課題:道具を使つての回 答に慣れさせるための3つの説明問題、回答形式に慣れさ せるための2つの練習、 4問の基本問題との合計 9問の問 題をこの順序で提示した。提示された基本問題は点推定法 による評定課題と同じものを使用した。区間推定法につい ては竹内 (1991)で使用された方法 (0""'100などで示さ れる数直線上の2点を「ここからここまでJ と回答させる もの)を使用した。また、本研究では2つのリングを数直 線上で動かすことのできる道具を作成し、その道具を操作 させて回答させることにした。 5.課題の内容 (1)確認課題:確認課題は、 3つの棒の中から一番長い ものを選択させ、 3つのキーを使って回答させた。

r

画面 にいくつかの棒が出てきます。その中でどれが一番長いの かを出来るだけ早く答えてください。」と教示し、キー押 しによって回答させた。 (2)点推定法による評定課題 (Figure1)点推定法によ

③ Figurel点推定法による評定課題で提示した絵 る評定課題では、説明問題と練習問題のあとに4つの基本

問題を提示した。基本問題は、M

re.Bryant. & Furrow

(1989)、M

re& Davidge (1989)、玉瀬 (1995)、 小泉 (2005)の研究を参考にして、話の動機を示す「動機 文」 ・確実性評定の対象となる 「ターゲット文」・点推定 法によって確実性評定をさせる「質問」とで構成された。 具体的には、①動機文(例「赤い箱に、ケーキが入ってい るかどうか、わかりません。 J)と②ターゲット文(例「り ささんは赤い箱に入っているとd思っています。 J)を提示 した。そして確実性評定をさせるために③質問1

r

ヒント を聞いて、どのくらい入っていると思いますか。絶対入っ ていない場合がO、どちらかわからない場合が50、絶対入 っている場合が、 100です。入ってなさそうなら小さい方を、 入っていそうなら大きい方を答えてください。」を提示し、 2つの選択肢 (50%より上・下)より回答させた。次に④ 質問2では、質問1で50%より高い方を選択した場合には「大 きい方と答えてくれましたが、 それでは絶対入っていそ うな場合は赤、それより入ってなさそうな場合がオレンジ、 さらにそれより入つてなさそうな場合が黄色だと、どの色 のところですか?J を提示し3つの選択肢(黄色・オレンジ・ 赤)から選択させた。 50%より低い方を選択した場合も、 同様の教示が行われた。 4つの基本問題で提示したターゲ ット文は、 「りささんは赤い箱に入っていると思っています、 F 同 υ -E E且

(5)

アキラさんは青い箱に入っていると知っています、けんさ んは青い箱に入っていると少し思っています、ちかさんは 赤い箱に入っているとかなり,思っています」の4つであった。 (3 )区間推定法による評定課題:まず、 「区間を作るJ という課題の主旨を理解させるために、宝物が公園のどこ かに隠されていて、登場人物のヒント(宝物は砂場にある) をもとに宝物を探す場所をここからここまでと示すように 求める、といった説明問題を行った。次に、点推定法と同 じ練習問題、 4つの基本問題を提示した。具体的には、ま ず動機文(例「赤い箱に、ポールが入っているかどうか、 わかりません。 J)とターゲット文(例「りささんは 赤 い箱に入っていると d思っています。 J)を提示した。そ して確実性評定をさせるために質問「ヒントを聞いて、あ なたはどのくらい入っていると思いますか。絶対入ってい ない場合がO、どちらかわからない場合が50、絶対入っ ている場合が100です。ヒントをもう一度聞いて2つのリ ングを動かして教えてください。」を提示し、 0'""-'100% の聞の2区間を回答させた。 6.刺激の提示と計測:本研究では、刺激の提示から回答 までの時間を統一するため、 PCによる課題の提示を行なっ た。課題の提示はエクセル (VBAプログラム)で作成した F絵と音声」によって行い、被験者に 3つのキーを操作さ せて回答させ、回答結果はエクセルのシート上に計測された。

i

l

l

. 結果

1.確認課題の結果 この課題は、 PCのキー操作に慣れるための課題であった。 そこで、そのことが達成されていたかどうかについて、確 認課題の回答結果に着目した。その結果、確認課題におい てすべての問いでミスした子どもはいなかったことから、 本研究における被験者はPCのキー操作に問題がなかったと 考えられた。 2.点推定法による評定結果 この課題は、心的動調表現における段階的なありうる程度、 その中でも「ありうる強さ」の理解について、点推定法に よって評定させた課題であった。そこで、年齢別に点推定 法によって提示された心的動調表現(思う・知る)を単独 で提示した2つ、心的動詞表現(思う)とへッジ(少し・ かなり)を組み合わせた2つの計4組の基本問題について 平均評定値を算出し、まとめてFigure2に示した。さらに、 年齢別にFigure4、 5、 6に示した。検定の結果(符合検 定、 Table1)、 6歳児では「少し思うーかなり思う・知る」 の間で (Figure4の 2つの点線の丸)、 7歳児では「少し 思う一思う・かなり思う・知るJ (Figure5の 2つの点線 の丸)と「思う一知るJ (Figure5の 2つの実線の四角) の間で、 8歳児では 「少し思う一思うーかなり思う・知るj (Figure6の 3つの点線の丸)と「思うーかなり思う・知 るJ (Figure6の 2つの実線の四角)の間で有意差が見ら れた。 90 80 70 60 50 40 30 少し思う 思う かなり思う 知る Figure2年齢別の点推定平均評定値 n u n u n u n u n u n u n u n u n u n u n u n u n g 向 む 守 f 内 O F O a 斗 内 d 内 4 4 1 ー 少し思う 思う かなり思う 知る FIGURE4 6歳点推定・区間推定の結果 100 90 80 70

z

74.31I -74.17 60 50 40 30 20 10

少し思う 思う かなり思う 知る FIGURE5 7歳点推定・区間推定の結果 一

1

(6)

6-nununununununununununu n u n B n u 守 I F O F 3 a 斗 内 d n t t

ー Table1 少し思う 思う かなり思う *.05 **.01 ** ** 3.区間推定法による評定結果 この課題は、心的動調表現における段階的なありうる程度、 その中でも「ありうる範囲」の理解について、区間推定法 によって評定させた課題であった。そこで、区間推定法に ついても心的動調表現(思う・知る)を単独で提示した2つ、 心的動調表現(思う)とヘッジ(少し・かなり)を組み合 わせた2つの、計 4組の基本問題について、区間推定法の 上限・下限問の中央値を算出し、 Figure3に示した。 Figure 3より、年齢別の区間推定の中央値は、点推定の評 定値と同じ傾向であり、 「思う」が「知る」よりも高くな っており、また「思うJ とヘッジとの組み合わせについて も「少しーヘッジなしーかなり」という順序で中央値が点 85 75 65 55 45 35 思う かなり思う 知る 少し思う Figure3年齢別の区間推定の中央値 推定と同様に高くなっていた。さらに、区間推定の上限・ 下限それぞれの平均評定値をFigure4、5、6に示した。 Figure4、5、6より、いずれの組みあわせでも点推定の 平均評定値が区間推定の上限・下限の幅の間に位置していた。 さらに、 4つの基本問題について区間推定の上限・下限の 差を算出し、年齢別に対応のある1元間配置の分散分析を 行ったところ、有意差は見られなかった。

N. 考察

本研究は、幼児・児童を対象に、心的動調表現の確実性(不 確実性)について段階的なありうる程度の理解がどのよう になされるようになるのかといった発達過程を明らかにす ることを第1の目的とした。また、幼児・児童の2つのあ いまい性理解を捉えるための方法を開発することを第2の 目的とした。そこで、本研究では 6歳から 8歳の幼児・児 童を対象に、心的動詞表現「思うj i知る」とヘッジ「少し」 「かなり」との組み合わせによる段階的なありうる程度(あ りうる強さ・ありうる範囲)の変化を、どのように理解し ているかについて検討を行った。またその方法として、被 験児に点推定法・区間推定法によって評定を行なわせ、検 討を行った。 1.段階的なありうる程度の理解の発達について まず、点推定法においては、 6歳児では「少し思うーか なり思う・知る」の間で、 7歳児では「少し思う一思う・ かなり思う・知る」と「思う一知るJの問で、 8歳児では「少 し思う一思うーかなり思う・知る」と「思うーかなり思う・ 知る」の間で有意差が見られた。また、区間推定法の中央 値に着目した場合でも、同様の傾向が見られていた。この ことから、 6歳児では、へッジと組み合わせると、 50%よ り上か下かといった i2値的理解」がなされていた。 7歳 になると、 「思う一知る」といった心的動調表現聞の違い が理解されていた。さらに8歳になるとヘッジと組み合わ せるとありうる強さが段階的に変化するということが理解 されていた。このことから、年齢が上がるにつれてより段 階的な理解が進む様子が伺え、仮説は支持されたと考えら れる。この結果は、小泉(印刷中)における大人の識別に 近いものであったが、 「かなり思う・知る」についてはま だ識別されておらず、この点は大人と異なる点であった。 また、大人で見られたような「心的動詞表現・へッジのも つ順序性を超え、心的動調表現聞の差異の理解とありうる 程度の段階的理解との組み合わせによる新たな系列の創出」 はまだ見られなかった。 しかし、本研究では9歳以降の児童についての検討を行 っておらず、児童と大人との聞をつなぐ発達の過程につい ては明確にされなかった。この9歳という年齢は、確率概 念の理解の発達に限らず、さまざまな認知発達の転換期で あると言われている(大津,1992) 。たとえば 9歳""""10歳は、 円 t -E E A

(7)

数概念を心的数直線に表象し計算することができるように なるという(岡本.2005) 。具体的には、 「りんごが6個 あります。みかんもあります。りんごはみかんより 2個多 くあるそうです。みかんは何個あるでしょう ?J という数 学の文章問題について、 9歳"""-'10歳は「りんごが 6個ある (0.1.2.3

.

4

.5.⑥.7.8.9 :心的数直線上の 6に丸をつける)。 みかんもある (0.1.2.3

.

4

.5.6.7.8.9:心的数直線上にまだ印 はつかない)。りんごはみかんより 2個多くある (0.1. ②.3.4.5.6.7.8.9 :もう lつの心的数直線上の 2に丸がつく)。 よって、みかんはりんごより2個少ない (0.1.2.3

.

4

←5

⑥.7.8.9 : 2つの心的数直線の統合) Jのように、心の中の 数直線上に表象し、問題を解決することができるという。 また、 9歳前後の年齢は、点推定法や区間推定法の理解 に関わる「系列化操作の理解J、そして「ありうる程度」 の理解に関わる「確率概念、の理解」などが獲得される年齢 である。前述のように、系列化操作の理解は 4歳 """-'9歳の 聞に獲得されるとしていた (Sinclair.1977)o Piaget & Inhelder(1975)は子どもの確率概念の理解の発達について、 ①偶然や確率といった概念を持たない5"""-'6歳(前操作期)、 ②可逆的な操作の理解が痩得されることによって、 「不可 逆的で推論が不可能なもの」としての偶然概念の理解が獲 得される7歳"""-'10歳(具体的操作期)、③確率を合理的に 理解できる基礎が出来上がるとされる11歳"""-'12歳(形式的 操作期)、という3つの段階があると述べている。 これらのことから、小泉(印刷中)において見られた「新 たな系列の創出」は、 4歳 """-'9歳の系列化操作の理解、 7 歳"""-'10歳の偶然概念の理解や数概念の理解、 11歳 """-'12歳 の偶然の確率の基礎的理解の獲得、といったさまざまな認 知的発達の理解が関係していると思われるが、この点につ いては検討の余地があると考えられる。 2. 測定方法の工夫について 本研究では、心的動調表現のありうる程度(ありうる強さ・ ありうる範囲)の理解を捉えるための方法として、区間推 定法・点推定法を採用した。また、 6歳から 8歳の幼児・ 児童に対して測定うために、①絵と音声による視覚的・聴 覚的提示、②ゲーム感覚的な課題構成、③点推定法におけ る2段階 (2択・ 3択)による評定尺度、④区間推定法に おける具体物を用いた評定尺度、という4つの工夫を行った。 そしてこれら4つの工夫により、本研究では段階的なあり うる程度の理解過程を捉えることが可能となった。この方 法により、これまで十分に検討されることのなかった他の 心的状態語の理解についても、 「どのようなありうる程度 のものとして理解されているのかJ を測定することが可能 になると考えられる。 また、 「ありうる範囲」については、 6歳児 """-'8歳児の 結果より、ほぽ同じ区間 (20"""-'30%) を示していることが 明らかになった。また、この傾向は大人を対象とした小泉(印 刷中)や、形容調「良いJを扱った竹内 (1991) において も同様の結果が得られていた。いいかえれば、心的動詞表 現のありうる範囲は「思う・知るJといった心的動詞表現 の違い、または心的動調表現に付加されるへッジの違い、 といったものにかかわらず、幼児・児童・大人ともにそれ ぞれの平均が20"""-'30%の区間であった。しかし、このよう な結果が得られたのは、区間推定法の結果を平均するとい う集計方法によるかもしれない。そ乙で、小泉(印刷中)に おける40名分のデータを対象に竹内 (1991) の集計方法 によって再集計を行い、本研究と同様の結果が得られるの かに行いて検討を行った。竹内 (1991) は区間推定法の集 計方法として、区間推定法の結果を平均するという集計方 法だけではなく、被験者ごとに0"""-'100の問で示された「区 間」とそうでない部分とを(1.0)で示し、擬似的に区間の 度数分布を作成するという方法も行っている。たとえば、 ある被験者が「思う」という心的動調表現について区間推 定法によって ["40-60J という評定をつけたとする。この 場合、 0"""-'100を10の区間に分け、 "[0.0.0.0

.

1

.1.1.0.0.0.0 J とデータ化する。このようなデータを被験者分作成し、そ れぞれの区間について全員のデータを合計して擬似的に度 数分布を作成するという。この方法を参考にし、小泉(印 制中)における40名分の区間推定法の結果についても度数 分布化を行い、 60%以上の被験者 (24名以上)が「区間」 内に指定したものを抽出した。その結果、どの組み合わせ でも20"""-'30%の区間内に収まることが示された。 これらの結果は本研究の結果と同様のものであった。し かし、この20"""-'30%という範囲が、具体的にどのような心 的動調表現の理解や使用の経験を経て得られるものなのか、 また心的動調表現に限らず感情語などのその他の心的状態 語にも当てはまるものなのか、といった点については検討 の余地があると考えられる。

v

.

文献 Abbesuto.L.& R偲enberg.S. 1985. Children' s knowledge

of廿lepresup以)Sitionsof know and other cognitive

verb.Journal of Child Language

.

1

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R

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(8)

-18-study offactivity and negation incomplex syn回 ぇ JournalofChildLanguage. 5.295-309. 小泉嘉子.2004.言語的ヘッジが心的動詞の確信度判断に及 ぽす影響 東北大学大学院教育学研究科研究年報,第53 集 第1号pp.255-266. 小泉嘉子.印刷中.点推定法・区間推定法による心的動詞の確 信度判断の測定に関する研究:程度副調「少しJ

r

かなりj に焦点をあてて東北大学大学院教育学研究科研究年報 M

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-

1

9

(9)

-A Study on the Judgment of the Degree of Children's Certainty in Mental Verbs :Using "Point Estimation Method" and "Interval Estimation Method"

Yoshiko Koizumi

Graduate School of Education, Tohoku University Abstract

The purposes of the present study were toexamine children' s comprehension of the certaintyofthe mental verbs and to devise the measuring method for i

.

t

The subjects were 7 2 children aged 6, 7 and 8 years old. In "the Point Estimation Task", the intensity of reliability was examined. Firs

t

.

childrenwere presented the sentence,“No one knows whether there is a cake in the red box" Second, they were presented the sentence, "Kanae knows it's in the red box." (or "think/ think a little/think considerably ") . They were asked “Do you think how reliable a

cake is in the red box?", and were reQuired to select one from six choices(lower from 50 percent: 0-16.67、16.67 -33.33、33.33-50/higher from 50 percent: 50-66.67、66.67-83.33、83.33-100)at two stages. In "the Interval Estimation Task", the range ofreliability was examined. Childrenwere presented the same sentences with them

i

加n冗hePoint Estimation Ta部skピEピ♂".They were asked

reQuired to select the upper limit and the lower limit in the 0ひ-10

o

percent scale. The main results were as follows:

(印Sixye訂soldchildrenhad a binaryunderstanding of mental verbs with hedges (lower from 50 percent or upper

from 50 percent).(月)Sevenyears old children comprehend the differences between "know" and可hink".火()Eight

years oldchildren comprehended that the intensity of reliability in mental verbs with hedges(adverbs of degree) changed gradually.

Key Words: mental verbs; Point Estimation Task; Interval Estimation Task

参照

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