ASEA.Nの
「.拡
大 」 と 「深 化 」 に関 す る研 究
奥
田 孝
晴
A Study
on ASEANY s
Regional
Expansion
and
Development
of
Economic
Integration
Takaharu
Okuda
The purpose of this article is to clarify some charactristics of the Association of Southeast Asian Nations (ASEAN) through the analysis of the structure of its regional growth and its development of the economic integration throughout the region.
At the outset, ASEAN was established largely for political puropose; based on anticommunism rather than a solid economic goal. The relative neglect of the region's economic integration fosterded ASEAN's economic backwardness during the 1960's and 70's and even into the first half of the 1980's. During this period, its member nations adopted an inward-looking development based upon an "import-subsitution" type of industrialization.
The region's economic integration began in the latter half of the 1980's, when they turned towards "export-oriented" industrialization or an outward-looking strategy which was dependent upon foreign investment and the market outside the region. The influx of investment into the region occured due to an international structural arrangement, fueld mainly by the appreciation of the japanase Yen and the simultaneouos developement of Asian Newly Industrializing Econimies(A-NIES). The most important factor in the success during the past decade was the reform of its economic structure into a more liberal one. Thus far, ASEAN has persisted in "open- regionalism" which has meant the installation. of unilateral and non-discriminate liberalization within the region as well as throughout the Asia Pacific Economic Co-operation (APEC)..
The recent economic crisis in Southeast Asia has revealed the frailty of ASEAN's
socioeconomic structure - Some of the members' goverments have continued to engage
in nepotism and have adoped a self-aggrandizing
financial system, contrary to the
trend of globalization in their ecomonic activities. ASEAN has no option but to push
for the development of further regional eonomic liberalization through the establishment
of an ASEAN Free Trade Area (AFTA). This would strengten the region's economic
integration besed on a fundamental policy of "open-regionalism" , for the next step in
economic recovery.
In the region, ASEAN also fuctions as a catalyst for socialist countries
such as
Vietnam or dictatorial regime such as Myanmar developing into more outward-looking
or democratic states. The connection
of these states with the Asia-Pacific
market
economies should urge them to undertake such sociopolitical reform. In the process of
its regional expansion and the development of economic integration,
ASEAN will
perhaps succeed in contributing to the establishment of the
"salad bowl" society of
the Pacific Rim in the next century.
は じめ に 一 問 題 の 所 在 .東南 ア ジア諸 国 連 合(ASEAN)は ・ドトナ ム の加 單 を1995年7,月 に正 式 に承 認 した の に続 い て 、 97年7月 に は ラオ ス 、 ミャ ンマ ー2力 国 の加 盟 を 実 現 させ た 。 これ に よ り、 政 情 不安 定 の カ ソボ ジ ア を除 い た 東 南 ア ジ アの ほ ぼ 全 地 域 を 包含 す る 「ASEAN9」 が 成 立 した。3国 のASEAN加 盟 に よ り、 東 西 冷 戦 構 造 下 で の 民 族 運 動 の屎 開 に と もな い 、地 域 的 分 断 を余 儀 な くされ て きた 東 南 ア ジ ア は相 互 依 存 と有 機 的 な連 携 を 深 め て ゆ く新 時 代 を迎 え、・90年代 初 頭 か ら進 ん だ 同地 域 の 「戦場 か ら市 場 へ の移 行 」 化 は ほ ぼ そ の 形 態 を 整 え る こ と と な っ た。 新 メ ン バ ー諸 国 に と って:、 ASEAN加 盟 へ の最 大 の 誘 因 と な った もの.が、 この地 域 の近 年 に お け る急 速 な 経 済 発 展 に あ っ た ことは論 を待 たない・環 太平洋諸 国・輸 こ西太平洋地域 の発 飃 上諸 国は・ この畔 世紀 に 目覚 ま し∼・経 済 発 展 を 連 続 的 に遂 げ て き た。 そ の 中 た あ っ てASEAN諸 国 も ま た 、1985年 の ・;プラザ 合 意 以 後 生 じた 国 際 的 構 造調 整 を 追 い 風 と して 、 日本 ・NIES諸 国 等 か らの 直 接 投 資 を通 じた 後 発 性利 益 を享 受 し、工 業 技 術 や 経 営 資 源 の 移 転 を 比 較 的 成 功 裡 に進 め て きた 。 そ して進 出企 業 内 貿 易 と産 業 内 貿 易 の拡 大 を 背 景 に、 彼 らは 豊:富に 存 在 した人 的 資 源 を活 か した 製 造 業種 の 比 較 優 位 の も と に世 界 市 場 に参 入'し、 そ れ らの 商 品 輸 出 に 活 路 を 見 い だ して き た め で あ っ た 。 成 長 期 の 1985年 か ら10年 の間1こ、 シ ソガ ポ ー ル 、 タイ 、 マ レー シア 、 イ ソ ドネ シ ア、 フ ィ リピ ン(い わ ゆ る 「ASEAN5」)の 一 人 当 た りGDPの 年 平 均 増 加 率(ド ル ・ベ ー ス)は そ れ ぞ れ6.2%、8.4%、 5.7%、6.0%、1.5%と 、政 情 の 不 安 か ら経 済 停 滞 が 暫 く続 い て い た フ ィ リ ピ ソ を除 い て 、』・顕 著 な増 加 を 示 して き た。(1)新規 メ ソ バ ー 国 に と っ て 、ASEANへ の接 近 は 何 を もた らす の だ ろ うか 。 例 え ば 、 そ の 代 表 と も言 うべ きベ トナ ムで ぽ ドイ モ イ(刷 新)政 策 継 続 の うえで 不 可 欠 な外 資 導 、 入 や 先 進 技 術 ・経 営 資 源 へ の ア ク ヤ ス の た め に も、 ま た 中 国 へ め カ ウ ソ ター バ ラ ソス の 観 点 か ら も、ASEAN加 盟 が焦 眉 の 課 題 とな って い た 。 そ れ は 同 国 が 外 向型 経 済 へ の 漸進 的 転 換 を遂 げ つ つ 、 「世 界 の 成 長 セ ソ タ ー」 た る環 太 平 洋 地 域 経 済 に よ り安 定 的 に リ ソ ケー ジ し、 経 済 活 動 を 浮
揚 させ るた め に 、 是 が非 で も越 え る べ きハ ー ドル と して 捉 え られ た の で あ る。 一 方、 冷 戦構 造 の 崩 壊 を背 景 と して実 現 した カ ソボ ジ ア紛 争 の局 地 化 、 欧 州 や 北 米 で の 地 域 主 義 の 台 頭 、 そ して 米 国 主 導 に よ るア ジ ア太 平 洋経 済 協 力会 議(APEC)の 自由 貿 易 協 定 締 結 へ の 傾 斜 な ど、ASEAN諸 国 を 取 り巻 く国 際 環 境 は 、1990年 代 初 頭 か ら大 き な変 動 を 見 せ て きた 。 そ う した状 況 下 に あ っ て 、ASEANは 東 南 ア ジ ア地 域 の相 対 的 緊 張 緩 和 が もた ら した 政 治 的 結 集 軸 の 喪 失 とい う状 況 に直 面 す る と と もに 、有 効 な対 先 進 諸 国 交 渉 手 段 の 欠 落 を 自覚 す る こ と に な っ た 。90年 代 初頭 こそ は 、ASEANが 自 らの ア イ デ ソテ ィテ ィー の再 検 討 を迫 られ る状 況 に立 ち至 っ た と い う意 味 に お い て 、 一 つ の 〃危 機 〃 を迎 え た時 期 で あ った の で あ る。(2)その リア ク シ ョソ こ そ が、1992年 シ ソ ガ ポ ー ル首 脳 会 談 で の ア セ ア ソ 自由貿 易 地 域(AFTA)設 立 合 意 や94年 の ア セ ア ソ地 域 フ ォー ラ ム(ARF)開 催 とい っ た 一 連 の 新 構 想 の 実 現 で あ る。 そ れ ら は 「反 共 」 に代 わ る新 た な 求心 力 の 創 造 と、 ア ジア 太 平 洋 地 域 に お け る発 言 力 の 強 化 を 目指 すASEANの 組 織 的 再 編 、 も し くは 自己 革 新 運 動 に 他 な らな か っ た 。 今 日、ASEANは そ の 高 度 成 長 を可 能 と した対 外 依 存 性 と成 長 政 策 が も た ら した 経 済 の バ ブ ル 化 が 深 刻 と な り、 か つ て な い構 造 調 整 の圧 力 に さ ら され て い る。1997年 夏 以 来 の 一 連 の 通 貨 危 機 と金 融 シ ス テ ム安 定 化 を指 向 す る緊 縮 財 政 へ の 転 換 は 、地 域 的 拡 大 と経 済 連 携 の 深 化 を め ざ した ASEAN経 済 に 大 き な桎 浩 とな り、 地 域 各 国 は域 内 自 由化 と 国 内産 業 保 護 との ジ レン マ に直 面 し、 辛 吟 して い る か に 見 え る 。 際 限 無 く進 む 対 ドル 通 貨 下 落 と株 式 相 場 の 不 安 定 性 に 直 面 し、 ASEANの 「拡 大 」 と 「深 化 」 プ ロセ ス は ま さ に正 念 場 を迎 え た と言 え よ う。 本 論 文 は 、ASEAN発 展 の 経 緯 と経 済 成 長 メ カニ ズ ム に 見 る特 徴 を ふ ま え、 地 域 的 拡 大 と域 内 経 済 連 携 深 化 の 実 態 分 析 を通 じて 、 拡 大ASEANの 経 済 ダイ ナ ミ ク ス が 国 際 経 済 、 と りわ け APECフ レー ム を通 じた 環 太 平 洋 地 域 経 済 や 南 ア ジア 地 域 の経 済 発 展 に及 ぼす 影 響 を考 察 す る と と もに 、AS:EAN経 済 が 抱 え る構 造 的 脆 弱 性 と併 せ 持 つ 可 能 性 につ いて 論 ず る もの で あ る。 1.ASEANの 組 織 的 特 徴 と 「経 済 協 力 」 の 系 譜 発 足 に至 る経 過 か ら して 、ASEANは も と もと東 西 冷 戦 、特 に ベ トナ ム戦 争 の 直 接 の産 物 で あ っ た。 す な わ ち、 そ の 結 成 の 第 一 義 的 要 因 と な った もの は イ ソ ドシ ナ か らの 「ドミ ノ倒 し」 を危 惧 した東 南 ア ジ ア発 展途 上 諸 国 の政 治 的 共 通 利 害 で あ り、 そ れ に比 べ て 、経 済 的 な 意 義 は 当 初 は さ ほ ど大 き な もの で は な か った 。ASEAN発 足 を うた っ た1967年8月 の5力 国 共 同 宣 言(い わ ゆ る 「バ ソ コ ク宣 言 」)は 、 そ の結 成 目的 を次 の よ うに言 う。 「… 獲 得 して きた技 術 力 、政 治 的 経 験 、外 交 上 の洞 察 力 な ど 、 あ り とあ らゆ る我 々 の 国 家 的諸 資 源 を活 用 して 、 策定 され た 目的 を達 成 す る こ と こそ が急 務 な の で あ る。 不 安 定 か つ危 機 的 な状 況 の 中 で 、 今 こ そ我 々 の 生 存 を脅 か す勢 力 と 真 摯 に対 抗 す る時 がや っ て きた の で あ る。 」(3) こ こに 見 るASEAN発 足 時 に お け る政 治 目的 の優 位 性 は 歴 然 で あ る。 か よ うな 経 緯 こそ は 、馳こ の 組 織 の 特 質 を 見 き わ め る 上 で き わ め て 重 要 な フ ァ ク タ ー と思 わ れ る。 とい う の も 、 そ れ は ASEANが 通 常 認 識 され る よ う な地 域 的経 済 統 合体 、す な わ ち経 済 的 な共 通 利 益 の 達 成 を 第 一i義 と した地 域 的 協 力 の フ レー ム とは 、 もと もと 性 格 を異 に した 地 点 か らス ター トした組 織 で あ る こ と を示 して お り、 した が っ てASEANを 一 般 的 な そ れ と 同列 に置 くこ とは 必 ず し も妥 当で は な い、 と い う こ とを 意 味 して い る か らで あ る。 政 治 目的 の優 位 性 と は 、 つ ま る と こ ろ経 済 的利 害 が 相対 47
的 に 第 二 義 化 され る こ とを 意 味 す る。 初 期 に 付 与 され た そ う した 性 格 ゆ え に、ASEANは 経 済 統 合体 一 般 に 見 られ る 「規 模 の経 済 」 目的 型 の 関 税 同盟 組織 と して も、 或 い は 発 展 途 上 諸 国 間 で の 経 済協 力 と対 先 進 諸 国 バ ー ゲ ニ ソ グ ・パ ワー の 強 化 を 目指 した共 同 自助 型 の 自由 貿 易 協定 と して も アイ デ ソ テ ィテ ィニ を明 示 して して こ な か った 。 自然 条 件 に も人文 的 に も多様 性 の あ る東 南 ア ジ ア地 域 で の 組 織 と して 、ASEANも また 「多様 性 を 特 色 とす る組 織 」 で あ る と一 般 に は言 わ れ て い る。 しか し、文 化 的 な多 様 性 は と もか く、域 内 の 経 済 的 多様 性 、 す な わ ち 今 日で も残 る極 め て 大 きな経 済 格 差(ち なみ に 、1994年 の購 買 力 平 価 ベ ー スで 見 た一 人 当 りの 年 間 所 得 格 差 は シ ソ ガ ポー ル と イ ソ ドネ シ アで 約7倍 、 さ らに新 規 加 盟 の ベ トナ ム との 比 較 に お い て は実 に18倍 もの 格 差 が あ る)の 存 在 は、ASEA:Nが 当初 か ら明確 な 経 済 共 同体 と して の 性 格 を付 与 され て お らず 、 格 差 の 是 正 に 向 け て 積 極 的 な域 内協 力 が進 展 して こな:かった 経 緯 の 帰 結 と も言 え る。 初;期条 件 と して の 経 済 的補 完 ・相 互 依 存 イ ソ セ ソテ ィブ の 乏 しさ 、換 言 す れ ばASEANの 「経 済 的 早 熟 性 」(4)は、 そ の 貿 易 構 造 か ら も指 摘 で き る 。 表1はASEANの 経 済 発 展 が 本 格 化 した 1980年 代 後 期 か ら90年 代 前 期 ま で の タ イ 、 マ レ ー シ ア 、 イ ソ ドネ シ ア 、 フ ィ リ ピ ソ4力 国 (「ASEAN4」)の 地 域 別 輸 出 入 構 成 比(全 体 の 輸 出 入 額 に 占 め る各 地 域 へ の そ れ の 割 合)推 移 を 表 わ して い る 。 輸 出 ・輸 入 と もに この 期 間 のASEAN4:域 内貿 易 割 合 は3∼5%台 で あ り、 シ ソガ ポ7ル を加 え た 「ASEAN5」 で 見 て も20%に 満 た な い状 況 に 留 ま っ て い る。 そ の 一 方 、 NIESや 日本 と の貿 易 シ ェ ア は対 日輸 出 に お い て こ そ 漸 減 しつ つ あ る も の の 、 そ れ よ り も比 較 的 高 い 水 準 で 推 移 して お り、 これ に 自身 と 中 国 を加 え た 「西 太 平 洋地 域 」 全 体 で過 半 に達 す る とい うの が10年 来 の パ タ ー ンで あ る。 要 す る に 、ASEANの 貿 易 構 造 は ・「・自己 完 結 型 」 と言 うに は ほ ど遠 く、 「対 西 太 平 洋 地 域 開 放 型 」 と も言 うべ き特 徴 を持 って い る。 そ れ はASEAN域 内 の 市 場 規 模 の狭 隘 さや 、 「規 模 の 経 済 」 効 果 が今 日に 至 る まで 発 揮 され て こ な か った こ と を表 わ す もの で もあ り、ASEANの 経 済 的早 熟 性 が 今 日に至 る ま で 残 存 して きた 結 果 と も考 え られ る。 ま た ≦ そ れ に加 えてASEAN加 盟 諸 国 は タ イ を 除 い て は 植 民 地 支 配 の下 に お か れ 、 欧 米 列 強 本 位 の 垂 直 的分 業 に長 く組 み込 まれ て きた歴 史 を 共 有 して い る。 経 済 成 長 の テ ソ ポ の み が 喧 伝 さ れ る結 果 し ば しば 見過 ご さ れ て しま うの だ が 、ASEANは あ くま で も経 済 後 進 地 域 の 組 織 体 で あ る。 今 日 ま で急 速 な経 済 成 長 を 遂 げ た と は言 え 、ASEAN諸 国 が 一 次 産 品依 存 型 の経 済 構 造 か ら脱 却 して き た の は近 々20年 の こ とで あ り、 ま た 国 民 経 済 規 模 も依 然 と して きわ め て 小 さ な もので 、1996年 の ASEAN5総 体 で も、 そ のGDP合 計 は 日本 の1割 強 とい う状 況 で あ る。 経 済 面 か ら見 た 「早 熟 性 」 ・ 「後 進 性 」 の 特 徴 と、 そ う した 状 況 か らの脱 却 こそ は 、今 日のASEANに と っ て な お 重 要 な課 題 な の で あ る。 もっ と も以 上 の こ と は 、経 済 開 発 の 共 同 的 努 力 がASEAN諸 国 間 で これ まで 皆 無 だ っ た 、 とい う こと を 意 味 す る もの で は な い 。 例 え ば1976年 の バ リ首 脳 会 談 は 、ASEANが 域 内経 済 協 力 に 踏 み 出 した最 初 の イ ベ ソ トだ った 。 そ こで は域 内 経 済 開 発 と貿 易 の 拡 大 を 、主 と して加 盟 諸 国 間 の 特 定 品 目特 恵 取 り決 め(PTA)、 工 業 化 協 力 に よ る大 規 模 工 業 プ ラ ソ ト計 画 な ど の政 策 誘 導 に よ っ て実 現 しよ う と の路 線 が打 ち 出 され た 。PTAに お い て は 、主 と して 食 料 品 や 一 次 産 品 に関 す る 域 内特 恵 関 税 を設 定 し、対 象 品 目を 徐 々 に拡 大 して ゆ くと い う漸 進 的 な ア プ ロー チ が採 用 さ れ た 。 こ の ア プ ロ ー チ に よ っ て 、PTA開 始 時(1977年)に は わ ず か71品 目 しか な か っ た関 税 引 き 下 げ 対 象 品 目は 、82年 に は8,529品 目 に ま で増 加 した の で あ る。 しか し、 こ のPTAス キ ー ム は 域 内貿 易 の 増 加 に は ほ とん ど寄 与 しな か っ た 。 それ はPTA対 象 品 目の多 くが 従 来 か ら関税 率 が 低 い か 、 ま た は もと も と無 税 で あ った もの で 占 め られ て お り、 結
表1ASEAN4の 地 域 別 輸 出 入 構i成比 率(%) [輸 出]
相手先/年
1985 1986 ユ987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 iNE$4・ 、 20.1 19.2 20.7 21.1 20.2 21.9 23.1 23.8 2414 25.0 24.9*5 lASEAN4。, iASE姻5。 、 4.5 16.4 3.8 14.5 3.9 15.3 3.7 15.0 4.1 15.3 4.2 16.5 4.0 16.8 4.3 17.8 4.4 18.3 5.2 18.5 5.5 冖 i中 国 1.3 1.6 2.1 2.3 2.1 2.1 2.3 2.3 2.3 2.8 3.0 1日 本 31.1 28.3 26.0 24.6 24.4 24.3 22.9 20.2 19.2 18.0 18.1 西太 平 洋 地 域 。、 57.0 52.9 52.7 51.7 50.8 52.5 52.3 50.6 50.3 51.0 冖 米 国 19.8 20.1 20.1 19.7 20.6 19。3 18.3 19.8 20.5 21。3 20.3 EU 11.8 14.6 14.9, ユ5.4 15.1 16.0 16.4 16.4 15.4 18.0 17.6 [輸 入]相手先/年
1985 1986 1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 iNIES4。 、 16.5 17.3 18.2 18.2 19.1 19.6 21ユ 21.8 21.4 20.0 19.0*5 iASEAN4。, 3 5.0 4.9 4.9 4.5 4。5 3.9 4.0 4.5 4.4 5。3 5.5 iASEAN5・ ・ 14.7 14.2 14.8 12.9 13.0 12.7 13.6 13.9 13.6 13.7 一 i中 国 2.7 2.8 3.3 3.ユ 2.8 2.6 2.7 2。6 2.3 2.6 2.8 [日 本 23.3 24.1 23.9 24.3 25.3 25.7 25.9 25.6 26.7 27.6 27.4 西 太 平 洋 地 域 。、 47.5 49.1 50.3 50.1 51.7 51.8 53.7 54.5 54.8 55.5 『 米 国 16.1 17.0 15。3 15.8 14.5 13.9 13.8 14.3 14.4 14.3 13.7 EU 14.5 15.0 15。2 15.2 13.9 15.2 14.6 14。7 14.3 17.6 18.1 ・当該 年 の 各 地 域 輸 出(輸 入)額/総 輸 出(輸 入)額 で 算 出 *1… 韓 国 、台 湾 、香 港 、シ ソガ ポー ル *2… タイ 、マ レー シ ア、イ ソ ドネ シ ア 、フ ィ リ ピ ソ域 内 輸 出入 割 合 *3… 前 注4力 国+シ ソ ガ ポ ー ル域 内 輸 出 入 割 合 *4…NIES4十ASEAN4十 中 国 十 日本*5… シ ソガ ポ ー ル を 除 く 出所:IMF,DirectionofTradeStatistics,variousissues 果 と して 域 内 貿 易 促 進 効 果 を ほ と ん ど も た ら さな か った と い う理 由 の他(5)にも、 当 時 のASEAN 請 国 の 多 くが採 用 して い た 輸 入 代 替 工 業 化 政 策 の あ り方 に も起 因 して い た。 す な わ ち 、 彼 らは 消 費 財 の 輸 入 代 替 化 を進 め るた め に も工 業 中 間 財 ・資 本 財 の輸 入 が 必 要 だ っ た の だ が 、 そ の た め の 原 資 は 当 面 一 次産 品 の輸 出 に依 存 す る以 外 に は 無 か った 。 した が って マ レー シア の錫 の よ うに 、 PTA取 り決 め 以 前 の 段 階 に お い て 、 国 際 競 争 力 の あ る一 次 産 品 の 関 税 率 は 既 に低 く設 定 され て お り、 また 輸 入 代 替 工 業 化 の た め に輸 入 中 間 財 ・資 本 財 の関 税 率 も低 く押 さえ られ て い た 。'そ し て 特 恵 対 象 品 目は 先 進 諸 国 に輸 出 す る(し た が っ て 国 際 競 争 力 を 備 えた)一 次産 品 や 、 先 進 諸 国 か ら輸 入 す る 中 間 財 ・資 本 財 が ほ とん どで あg、 た とえ 関 税 譲 許 率 が 拡 大 した と して も、域 内貿 易 の 増 加 に 直 結 す る性 格 の もの で は な か った の で あ る。(6) 一 方、域 内 工 業 化 協 力 に つ い て も 、ASEANは 目立 った 成 果 を あ げ られ なか っ た。 域 内工 業 協 力 の 最 初 の 中 核 的 構 想 は 、1977年 の 「ASEA:N工 業 化 プ ロ ジ ェ ク ト」(AIP)で あ った 。 そ れ は 49各 国 に割 り当 て られ た特 定 の 製 造 業 種(イ ン ドネ シ ア 、.マレー シア の尿 素 肥 料 、 フ ィ リピ ソ の過 燐 酸 肥 料 、 タ イの ソー ダ灰 、 シ ソガ ポー ル の デ ィー ゼ ル エ ソ ジ ソ)を 、ASEAN全 体 の 協 力 に よ っ て 育成 しよ う と の構 想 だ った が、 育 成 目標 業 種 が 国 際 市 場 に お け る比較 優 位 性 を充 分 に 検 討 した もの で は な く、 育 成 対 象 と な った 国 営 企 業(ナ シ ョナ ル ・プ ロ ジ ェ ク トは 国 営 企 業 が担 うこ とに な った)の 非 効 率 性 が払 拭 で きな か った こ とや 、 加 盟 諸 国 自体 の市 場 開放 へ の 取 り組 み が 消 極 的 で あ った こ と な ど が ボ トル ネ ッ ク とな って挫 折 し、結 局 は イ ソ ドネ シ ア、 マ レー シ ア の 尿 素 肥 料 製 造 が 着 手 され た に と ど ま っ た。 た だ し、 両 国 で の 同 プ ロ ジ ェ ク トに して も製 品 は 国 際 競 争 力 を 持 た ず 、ASEAN市 場 で も販 路 を拡 げ る こ とが で きな か った た め に 、膨 大 な債 務 を抱 え こむ こ と に な った 。(7)しか も、1980年 代 前 半 期 か らASEAN諸 国 で はMESの 経 済 発 展 に刺 激 され 、 い わ ゆ る輸 出 指 向 工 業 化 へ の 政 策 転 換 が 明 瞭 と な って き た 。 彼 らが 生 産 活 動 の関 す る規 制 緩 和 と域 外 資 本 の 参 入 自 由度 を 高 め る こ とを基 調 と した 政 策 に転 じ る中 で 、 工 業 化 の担 い 手 は外 資 や 民 間 企 業 に 次 第 に移 行 し、 被 護 され て きた 国 営 企 業 は経 営 効 率 改善 の 上 か ら も、今 日で は そ の 民 営 化 が 急 が れ て い る。 域 内 需 要 の動 態 的変 化 ・市 場 メカ ニ ズ ム に依 拠 しな い政 府 主 導 の工 業 化 プ ロ ジ ェ ク トは 、 時 代 後 れ の もの と な っ て し ま った の で あ る。 同 様 の ケ ー ス は 、1983年 に始 ま ったASEAN 各 国 に よ る 自動 車 部 品 分 担 製 造 、 い わ ゆ る 「ア セ ア ソ ・カ ー」 構 想 に も該 当 した 。 自動 車 産 業 育 成 の た め に特 定 部 品 生 産 に こだわ る加 盟 諸 国 内の 対 立 と 、 各 国 の 自動 車 市場 開 放 へ の保 守 性 に よ っ て 、 構 想 を支 え る べ き域 内需 要 の拡 大 が期 待 で きず 、 結 局 全 て の 部 品 をASEAN域 内 で 生 産 で き な い と い う結 末 で 立 ち 消 え に な った 経 緯 が あ る。1980年 代 前 期 まで のASEAN工 業 化 協 力 の挫 折 は 、 経 済 的 後 進 性 を抱 え る地 域 的 組 織 に あ って は 、 先 進 諸 国 資 本 との協 力 関 係 を結 び 、利 潤 極 大 化 をめ ざ して展 開 す る彼 らの グ ロ ー バ リゼ ー シ ョ ソに 依 存 しな い 限 り、 有効 な 構 造 調 整 が 困 難 で あ る こ と を示 した 。 す な わ ち、 市 場 メカ ニ ズ ムを 充 分 に考 慮 しな い産 業 協 力 は 結 局 の と こ ろ 、域 内 賦 存 資 源 の有 効 な活 用 を もた らさず 、 した が って 域 内産 業 の 国 際 競 争 力 の 強 化 や 経 済 成長 に も 充 分 な寄 与 を して こな か っ た の で あ る。ASEAN諸 国 の 経 済 発 展 は 、 輸 出 指 向型 経 済 の シ ソ ガ ポ ー ル を除 い て は、 この時 期 まで は ご く限 られ た も の で あ り、 「規 摸 の 経 済 」 の モ ー メ ソ トも ま た 域 内経 済 に充 分 に働 くこ と は な か っ た。 おそ ら くASEAN内 で の 経 済 協 力 が よ うや く有 効 性 を持 ち、経 済 発 展 を支 え る もの と な っ た の は、1988年 の経 済 閣 僚 会 議 で 承 認 され た 相 互 補 完 計 画(BrandtoBrandComplementation= BBC)計 画 が最 初 で あ ろ う。 そ れ は 三 菱 、 ボ ル ボ 、 メ ル セ デ ス とい った 先 進 諸 国 自動 車 メ ー カ ー の生 産 拠 点 シ フ トと ア ウ トソー シ ン グ活 動 に依 拠 して 、 部 品 生 産 の 合 理 的 分 散 を す す め る代 わ り に 、 自動 車 の 域 内共 通 製 造 の た め の部 品 取 り引 きに は 特 恵 条 件 を 付 与 す る と い う もの で あ る。(8) そ こ で は 先 進 諸 国 資 本 の 諸 経 営 資 源 、 た と え ば域 内 マ ー ケ テ ィソ グ能 力や 資 本 、技 術 力 に依 存 す る こ と を通 じて 、域 内経 済 協 力 と域 内 貿 易 の 拡 大 を 図 る と の指 向 性 が見 られ る。 後 述 す る よ うに 、 AFTA構 想 や そ の 中核 を な す共 通 実 効 特 恵 関 税(CommonEffectivePreferentialTariff=CEPT) ス キ ー ム は そ う した方 向 の延 長 に あ る もの と言 え る。 そ れ らは域 内 自立 的 とい う よ りは 、域 外 資 本 に依 拠 した 形 で 域 内 経 済 の連 携 密 度 を高 め るア プ ロー チ を基 本 と して お り、 そ う した 形 で の み 域 内協 力 と共 同 的経 済 成 長 が 可 能 で あ る と い う意 味 か ら も、ASEANは 域 外 排 他 的 組 織 へ の 傾 斜 を避 け な け れ ば な ら な い 。 す な わ ち 、`ASEANの 域 内 経 済.協力 は 参 入 資 本 の 無 差 別 性 ・無 制 限 性 を徹 底 した 「開 か れ た 地 域 主 義 」 へ の 指 向 を強 め 、 域 内 に展 開 す る外 資(先 進 諸 国 、NIES企 業) の 生 産 活 動 と結 び つ くこ と に よ って 、 よ うや く意 義 あ る もの とな って きた と言 え よ う。
2.ASEANの 経 済 成 長 メ カ ニ ズ ム と そ の 特 質 西 太 平 洋 地 域 発 展 途 上 諸 国 の経 済 成 長 が 、 狭 隘 な 国 内 市 場 を ター ゲ ッ トと した保 護 主 義 的 工 業 化 路線(い わ ゆ る 「輸 入 代 替 工 業 化 」 政 策)か ら、輸 出指 向 工 業 化 路線 へ の転 換 に 対 応 して テ ソ ボ ア ップ して きた こ とは 、 既 に 多 くの 論 者 が 指 摘 して い る。(9)1985年の プ ラ ザ合 意 以 後 生 起 した 円 高 ドル 安 に伴 う 日本 製 造 業 の 海 外 展 開 や 、労 働 コ ス ト上 昇 ・工 場 立 地 不 足 な ど を 原 因 と した NIES資 本 の生 産 拠 点 移 転 動 向 が重 な って 、ASEAN諸 国 に は 巨 額 の域 外 資 本 が シ フ トす る こ と に な った 。 そ れ は先 進 的 技 術 と経 営 資 源 の移 転 を進 め 、 賦 存 資 源 に対 応 す る労 働 集 約 的 製 造 業 の 発 展 に大 き な イ ソセ ソテ ィブ とな り、 彼 らの 外 向型 経 済 へ の 転 換 を い っそ う促 進 した 。 タイ 、 マ レー シ ア 、 イ ソ ドネ シ ア3国 で は直 接 投 資 の流 入 増 大 と と もにGDPに 占 め る工 業 部 門 比 率 が 増 加 した が 、 そ れ と並 行 して1980年 代 中 期 以 降 はい つ れ も輸 出 工 業 化 率 が 急 激 に増 大 して お り、経 済 成 長 を押 し上 げ た傾 向 が 見 て取 れ る。(表2参 照)ASEAN諸 国 で は 、 この 時 期 に製 造 業 の輸 出 産 業 化 傾 向 が 進 む 。 例 え ば タイ で は1984年 か ら93年 に か け て 、輸 出構 造 に著 しい 変 化 が見 受 け られ た 。 す なわ ち、 タイ で は 輸 出 指 向工 業 化 へ の 転換 期を は さん で 工 業 製 品 の輸 出 比重 が 高 ま り、 しか も1993年 輸 出 品 目構 成 に 見 る よ うに 、衣 料 品 ・組 み立 て 産 業 に代 表 され る労 働 集 約 的 製 造 業 種 が上 位 品 目を 占 め て い る な ど、1960年 代 末 のNIES諸 国 に 類 似 した 輸 出 構 造 へ の 変 容 が 顕 著 で あ る。(表3参 照)そ れ は 、 比較 優 位 的 製 造 業 種 の輸 出 を通 じた 国 際 市 場 へ の 参入 が経 済 成 長 を 主 導 す る、 とい う台 湾 や 韓 国 な どに 見 られ た 発 展 メカ ニ ズ ム が 、1980年 代 中 期 以 降 の タ イの 場 合 に も適 応 され た こ と を示 す もの で あ り、ASEAN経 済 が この 時 期 に至 って 急 速 に外 向型 経 済 に 変 貌 して きた こ とが 分 か る ので あ る。 しか し、 経 済 成 長 の 特 徴 に か ん す る表 面 的 な 類 似 性 に もか か わ らず 、 西 太 平 洋発 展 途 上 諸 国 が 成 し遂 げ て きた 輸 出指 向 工 業 化 の 内実 は 、 必 ず し も一 様 で は な か っ た 。 先 行 したNIES諸 国 で は 冷 戦構 造 の 下 、 「反 共 の 防 波 堤 」 と して の戦 略 的 位 置 付 け か ら ア メ リカ か ら潤 沢 な援 助 が 提 供 さ れ る一 方 で 、 「開 発独 裁 体 制 」 と 呼 ば れ る国 家 権 力 の強 力 な リー ダー シ ップ が工 業 化 政 策 に必 要 な諸 資 源 を一 元 的 に管 理 し、 政 府 は 財 閥 に対 す る低 利 融 資 な どの 金 融 支 援(韓 国)や 払 い戻 し税 ・ 投 資 減 税 な ど の財 政 支 援(台 湾)な どを 通 じて 、 輸 出産 業 の 育 成 に極 め て 能 動 的 な機 能 を担 って きた。 ま た 、NIES国 家=「 開 発 独裁 国 家 」 で は 国 家 権 力 は 資 本 家 や 労 働 組 合 な ど の社 会 的 諸 グ ル ー プ の利 害 圧 力 か ら相 対 的 に隔 絶 して 存 在 し、 外 国 資 本 の 影 響 力 も限 定 的 で あ った た め に(10)、 政 府 は経 済 開 発 計 画 の 策 定 や 金 融 ・基 幹 産 業 な ど の経 済 管 制 高 地 を掌 握 す る 国営(公 営)企 業 の 資 源 動 員 に よ っ て市 場 経 済 に効 果 的 に 介 入 す る こ と が可 能 で あ り、1970∼80年 代 に は 輸 出 産 業 高 度 化 の た め の 重 化 学 工 業 化 、 情 報 産 業 化 に一 定 の イ ニ シ ア テ ィ ブ を発 揮 す る こ とが で きた 。 韓 国 や 台湾 の経 済 発 展 は 、 国 際経 済 環 境 の 変 化 を 見定 め た政 府 の 諸 ガ イ ドライ ソ の誘 導 と、 そ れ に対 応 した民 間 の 起 業 家精 神 の 結 合 の所 産 に 他 な ら な か っ た。 これ に 対 して 、 シ ソガ ポ ー ル を除 くASEAN諸 国 の ケ ー ス は や や異 な っ て い た 。 そ こに は 「開 発 独 裁 体 制 」 と呼 べ る強 固 な リー ダー シ ップ も、 有 効 な成 長 政 策 ガ イ ドラ イ ソを策 定 で き る機 能 的 官 僚 機 構 も不 在 で あ り、 時 々 の政 権 は 華 人 ビ ジ ネ スや 不 在 地 主 な どの社 会 的諸 グル ー プ か らの 利 害 圧 力 に 従 属 して い た。 そ う した 社 会 ・権 力 構 造 はASEAN諸 国 の 中 で 比較 的 強 固 な 権 力 を持 つ と言 わ れ た ス ハ ル ト体 制 下 の イ ソ ドネ シ ア とて 例 外 で は な か った 。 そ の 意 味 で 、ASEAN諸 国 政 府 の権 力 基 盤 はNIES諸 国 に比 して 相 対 的 に脆 弱 で あ り、 した が って 工 業 政 策 へ の 関与 度 や 信 51
表2タ イ 、マ レ ー シ ア 、イ ン ドネ シ ア3国 の 製 造 業 生 産 額/GDP比 率(A)、 輸 出 工 業 化 率 (※B)、経 済 成 長 率(C)お よび 外 資 直 接 投 資 額 計(D)の 推 移(1980∼95年) 国 名 年 A平 均(%) B平 均(%) C平 均(%) P(百 万 ドル) タ イ 1.1980∼82年 平 均 21.8 36.6 5.4 674 II.1983∼85〃 22.3 39.4 5.3 910 IIL1986∼88〃 24.6 5ユ.8 9.4 1718 IV.1989∼91〃 27.4 63.4 10.7 6233 V.1992∼94〃 28.0 70.3 8.4 4479 VI.1995 29.2 74.4 8.7 2300 マ レ ー シ ア 1.1980∼82年 平 均 19.3 28.6 6.7 3596 II,1983∼85〃 19。8 28.3 4.3 2753 IIL1986∼88〃 22.7 42.4 5.2 1622 IV.1989∼91〃 26.9 56.3 9.2 7998 V.1992∼94〃 29.5 68.1 8.4 14537 W.1995 33.1 49.2 9.6 5800 イ ソ ド ネ シ ア 1.1980∼82年 平 均 11.9 4.8 6.7 538 II.1983∼85〃 14.4 11.7 4.6 824 IIL1986∼88〃 !7.4 26.5 5.5 1219 IV.1989∼91〃 19.6 38.7 7.2 3257 V.1992∼94〃 22.1 51.9 7.3 5890 Vl.1995 23.9 52.2 8.1 4500 ※ 注:Bは 国 際 貿 易 分 類 基 準1位 数 分 類(SITCI)第5∼9部 輸 出 額/総 輸 出 額 で 算 出 出 所:ア ジ ア 開 発 銀 行 、KeyIndicators&ADBOutlook,variousyears 表3 タ イの 輸 出 品 目構 成 割 合推 移(1984年 、993年 比 較)と1993年 の 輸 出上 位 品 目 ・輸 出 上 位 品 目(百 万 バ ー ツ)・ ① 衣 料 品89,594 ② 情 報 機 器 ・同 部 品65,271 ③ 宝 石 類43,495 ④ 冷 凍 エ ビ37,844 ⑤ プ ラ ス チ ック製 品36,773 ⑥IC製 品35,550 ⑦ 米32,959 ⑧ 天 然 ゴ ム.29,183 ⑨ 靴27,942 ⑩ 缶 詰 め25,660 出 所:DepartmentofBusinessEconomics,MinistryofCommerce,TradeStatistics& EconomicIndicatorsofThailandよ り 作 成 。
頼 性 もNIES諸 国 の 場 合 よ り希 薄 な も の だ っ た 。ASEAN諸 国 の輸 出指 向 化 転 換 に大 きな 役 割 を 果 た した もの は 、 政 府 の 政 策 ガ イ ドラ イ ソ とい うよ りは 、 む しろ外 資 導 入 促 進 を 目的 と した一 連 の 規 制 緩 和(自 由 化)措 置 で あ る。 そ れ らは1980年 代 前 期 か ら次 第 に本 格 化 し、 関 税 率 の引 き下 げ 、単 一 為 替 レー ト制 へ の 移 行 な どの 保 護 措 置 撤 廃 や市 場 開放 の 推 進 と と もに 、 輸 出 加 工 区 設 定 や 輸 出産 業 育 成 の た め の外 資100%企 業 の 承 認 な ど、 外 国資 本 に と って 大 幅 な 参 入 規 制緩 和 が進 め られ る こ と に な った の で あ る。(表4参 照)輸 入 代 替 期 の 工 業 化 に 中心 的 役 割 を果 た して きた 国 営 企 業 に 代 わ って 、 自 由化 措 置 展 開 過 程 で 特 に重 要 な役 割 を果 た した の は 外 国 資 本 と、 合 弁 事 業 ア クセ ス上 の特 恵 を付 与 さ れ た現 地 の民 間 ビジ ネ ス ・グル ー プで あ っ た。 タ イの サ ハ ・グル ー プ(華 人 系)や イ ソ ドネ シ ア の ビマ ソ タ ラ ・グル ー プ(ス パル トー 族 の 民 族 系)な ど、ASEAN 諸 国 の財 閥 が 短 期 間 に 急 速 な発 展 を 遂 げ て きた の は 、 この よ うな背 景 に拠 る もの で あ る。 NIESとASEAN諸 国 で の経 済 発 展 フ.ロセ ス に か んす る諸 研 究 の 中 で 、 興 味 あ る もの がA.マ ッ キ ソ タイ ア ー 助 教 授(米 国 ・カ リ フ ォル ニ ア 大 大 学 院)ら の 比較 研 究 で あ る。 彼 らは ア ジ ア諸 国 の 経 済 離 陸 に果 た した 政 府 の 役 割 に 注 目 し、 ア ジア発 展 途 上 諸 国 の経 済 発 展 パ ター ソを 「東 北 ア ジ ア ーモ デ ル 」 す な わ ち韓 国 、 台 湾 を典 型 と す るNIES諸 国 の ケ ー ス と、 「東 南 ア ジ アーモ デ ル 」 す な わ ち シ ソガ ポ ー ル を 除 い たASEAN諸 国 の ケ ー ス に 区 分 して い る。 前 者 に あ って は 高 度 に 中 央 集 権 化 さ『れ 、政 策 遂 行 を可 能 とす る機 能 化 され た官 僚 機 構 が経 済 を統 轄 し、 国 家 の 政 策 ガ イ ド ラ イ ソ と輸 出 指 向 の展 開 と は 並 行 的 に 進 展 した。 「東 北 ア ジ アーモ デ ル 」 とは ∼ そ の 意 味 で 介 入 主 義(interventionism)を 基 調 とす る成 長 モ デ ル で あ る と規 定 す る。 そ れ に 対 して 、 後 者 で は 政 権 が社 会 的 諸 グル ー プ か らの 強 い利 害 圧 力 に さ ら され る一 方 で 、 彼 らの利 害 を擁 護 す る(そ こ に は しば しば 金 銭 や ポ ス トの 授 受 な ど が 介 在 す る)と い う相 互 癒 着 関 係(同 氏 は そ れ をバ トロ ソー ク ラ イ ア ソ ト ・ リソケ ー ジ と呼 ん で い る)に 拘 束 され て お'り、 権 力 の相 対 的 脆 弱 性 ・他 律 性 ゆ え にNIES的 方 法 に よ る経 済 発 展 は 困 難 で あ り、 む しろ政 府 は 市 場 介 入 か らの 撤 退 、民 間 企 業 活 動 の 自 由裁 量 の 拡 大 、 賦 存 資 源 の再 配 分 に か ん す る主 導 権 の 民 間 企 業 活 動 へ の 禅 譲 等 の措 置 に よ っ て 、 輸 出指 向 へ の 転 換 を進 め て きた 。 国家 の 介 入 度 の減 少 が 輸 出 指 向工 業 化 の 進 展 に並 行 した と い う意 味 に お い て 、 「東 南 ア ジ アーモ デ ル 」 は規 制 緩 和 型 も し くは 自 由化(liberalization)型 成 長 で あ る と い う。(11)確か に、 輸 入 代 替 期 に 強 固 だ った 市場 メ カ ニ ズ ム へ の 諸 規 制 と輸 出指 向工 業 化 期 に お け る資 本 ・貿 易 政 策 の 自由 化 措 置 との 対 照 、 先進 諸 国 か らの外 資 進 出 動 向 と の関 係 を勘 案 した 時 、ASEAN諸 国 の経 済 成 長 メ カ ニ ズ ム が 彼 らの 言 う 「自由化 型 コー ス」 に則 った もの で あ っ た こ と は 明 ら か で あ る。 もっ と も 、 こ こで 言 う 「東 南 ア ジ アーモ デ ル 」 とは 、 実 際 に は マ ッキ ソ タ イ ア ー助 教 授 らが 言 う よ り複 雑 な もの で あ る。 確 か に 、ASEAN諸 国 へ の外 資 進 出 が経 済 成 長 を牽 引 した 一 大 フ ァ ク タ ーで あ った こ とは 、 各 時 期 に お け る経 済 成 長 率 と直接 投 資 額 の イ ソ フ ロー合 計 間 に か な りの 相 関 が確 認 で き る こ と か ら も分 か る。(表2中 、Cお よびD項 参 照)す な わ ち、 経 済 成 長 の テ ソ ポ が 急 速 だ った タイ や マ レー シ アな どで は 、 成 長 率 と外資 導 入 額 の 間 に は 比 較 的 明 らか な相 関 が 見 られ る。 た だ し、 この こと は外 資 の み が経 済 成 長 に おけ る独 立 ・単 独 的 な生 産 主 体 で あ った と い う こ と を 必 ず し も意 味 す る もの で は な い 。 た と え ば 、 表5はASEAN4各 国 の 同期 間 に お け る 国 内 総 固 定 資 本 形 成 に 占 め る外 資 比 率 の推 移 を示 した もの だ が 、 そ の 数 値 は 自由貿 易地 区(輸 出加 工 区=FTZ)の 「飛 び地 経 済 」 ウ エ イ トが 高 い マ レー シ ア を 除 い て は2桁 に達 して お らず 、 た と え 総 固 定 資 本 形 成 値 に不 動 産 な ど非 生 産 的 部 門 へ の投 資 も含 まれ る こ とを考 慮 に 入 れ た と して も、 必 ず し も大 き な もの で は ない 。 しか もそ れ はASEANの 高 度 成 長 期 と言 わ れ る1980年 代 の 後 半 に 53
表4ASEAN諸 国 に お け る 主 な投 資 規 制 緩 和 措 置(1980年 ∼) 年 シ ソ ガ ポ ー ル タ イ マ レ ー シ ア イ ソ ド ネ シ ァ フ ィ リ ピ ソ 1980 ・IMF8条 国 移 行 ・IMF8条 国 移 行 以前 (1968) (1968) ・外 為管理完 全廃 止 (1978) 1980 ・輸 出関連部 門で の10 0%外 資認可 1981 ・世銀 の構造 調整 計画 実 施 下 で貿 易 ・金 融 の 自由化開 始 ・投資 奨励法 制定 1982 ・ 「 ワ ソ ス ト ツ プ サ ー ビス セ ソ タ ー」 設 立 、 投資手続 き簡 素化 1983 ・外貨預 金 に対 す る諸 税撤廃 1984 ・資 本 集 約 、資 源 加 工 、 輸 出指 向業種 での70 %外 資出資 承認 1985 ・投 資 促進 法制 定(自 由貿 易地 域内 内企 業 に10鯔 外 資認可) 1986 ・外 資優遇 制度(一 定 ・輸入 関税 引 き下 げ ・非 石油 ガス産 品輸 出 基準下で法人税減免) ・工 業 調 整 法 ラ イ セ ソ 促進お よび投資 促進 ・輸入 自由化の本 格化 ス取 得義務 緩和 策 (∼1990) ・外資 出資比 率規制緩 1・輸 入 関 税 引 き下 げ 和 、100%外 資 出 資 ・既存 国内企 業へ の外 対 象業 種拡 大 資 出資拡大 ・公 営企 業民営 化方針 1987 ・証 券会 社へ の外資 参 ・「投 資 奨励 地 域 に か ・証 券会 社 への外資参 ・繊 維 、鉄 鋼 、電 機 、自 ・政府 企業 の民営化 に 加 ガ イ ド ラ イ ソ か る基 準の見 直 し」 加 ガ イ ド ラ イ ソ 動車 工業 の輸入規 制 関す るガ イ ドライ ソ 公 告(投 資の地:方分 緩 和' 発効 教 化 の促進) 1 ・鉄鋼 等の輸 入 自由化 ・包 括 投資 法 制定(法 , ・輸入 関税 の改定 人税 減 免 、特 定 業 種 ・外資 の資本 現地化議 に100%外 資 認 可) 無条件緩和 1988 ・外 国銀行支 店開 設認 ・輸 入独 占 の 排除(鉄 可 鋼 製 品 、プ ラ ス チ ッ ク) ・IMF8条 国 移 行 ・貿 易手続 きの簡 素化 等 ・外 国銀行 支店 開設規 制緩和 1989 ・外 国投資 に関す る閉 鎖 分野の縮 小
年 シ ソ ガ ポ ー ル タ イ マ レ ー シ ア' イ ソ ド ネ シ ア フ ィ リ ピ ソ 1990 ・IMF8条 国 移 行 に 伴 う為 替 自 由化 促進 、 輸 入関税 率大 幅引 き 下げ等 ・「投 資奨 励 地域 に か かる基 準」の再 々見 直 し ・機械 類輸 入関税 大幅 引 き下 げ 1991 ・ 自動 車、ユ ソ ピ ュ ー ・民 営 化 マ ス タ ー プ ラ ・投 資 ネ ガ テ ィ ブ リス ・外 国投 資 法制 定 、規 タの輸入 関税大 幅引 ソ発表 トの 改訂 、投 資 規 制 制分 の 明確 化 、10鯔 き下 げ ・外国投資 優遇 措置縮 業種消滅 外資の認 可拡大 ・外 為取 り引 き規 制緩 小 和 1992 ・合弁出資 比率改訂 ・外 資出資比 率規制緩 ・銀行、保 険、建設 分野 和 の外資規制緩 和 1993 ・BIBF免 許 交 付 ・輸 入関税 引 き下 げお よび多分野 での輸入 許 認可取 得義務 の撤廃 1994 ・100%外 資 の 許 可 ・外国銀行 自由化 法発 ・合弁 形式 の当初外 資 効 1 出資 比率引 き上げ 等 ・外 資規制 分野 の縮 小 出所:通 産 省 『通商 白書 』平成7年 度 版付注 、および大 野 ・岡 本編 『EC・NAFTA・ 東 ア ジアと外国直接 投資 』(ア ジア経済研 究所刊 、1995 年3月)p25-27に 基 づ き作 成 お い て さ え 、 依 然 限 定 的 な の で あ る。 経 済 発 展 と の関 連 で 、 む しろ重 要 な要 因 と な って い る の は 国 内 総 固定 資 本 形 成 率 の 上 昇 で あ る。1980年 代 初 頭 か らASEAN4の 国 内 総 資 本 形 成 率 は 、、フ ィ リ ピ ソが 後 半 期 に低 落 傾 向 に な った の を 除 い て概 ね20%台 か ら30%台 で推 移 し、90年 代 に は4力 国 全 て が上 昇 に 転 じて い る。(表6参 照)そ れ は 、発 展 途 上 諸 国 に あ って は 相 対 的 に高 い貯 蓄 率 を 背 景 と して(12)タイ 、 マ レー シ ァ 、 イ ソ ドネ シ ア な ど で この 期 間 に活 発 な設 備 投 資 が 行 な わ れ た 事 実 を 間 接 的 に 反 映 した もの で あ り、結'果と して そ れ が製 造 業 部 門 の拡 大 再 生 産 と輸 出産 業 の 育 成 を支 えた と考 え られ る。 す なわ ち 、ASEANの 経 済 成 長 は 第 一 義 的 には ハ ロ ッ ド=ド ー マ ー ・ モ デ ル が 示 した よ うな投 資 の 拡 大 に牽 引 され た もの で あ り、 それ が輸 出製 造 業 の 生 成 発 展 を 促進 す る と い う投 資 主 導(investment-1ed)プ ロセ スの 所 産 で あ る。 そ の 意 味 に お い てP.ク ル ー グ マ ソ ・米 国MIT教 授 が か つ て 議 論 を喚 起 した よ うな 「資 本 ・労 働 要 素 の 集 中投 入 に よ る成 長 」 と い う ア ジ ア経 済 発 展 の 主 要 因 に関 す る分 析 は 、ASEANの 場 合 に 一 定 妥 当す る と思 わ れ る の で あ る。(13)そして 外 資 の 役 割 は 、 「数 量 的 な大 きさ と い う よ りはむ しろ 、 マ ネ ー ジ メ ソ ト、 マ ー ケ テ ィ ソ グ ・ノ ウハ ウ を含 む先 進 経 営 技 術 の 現 地 へ の移 転 、 お よび 国際 市 場 へ の ア ク セ ス方 法 の 提 供 」(H.プ ロ ソ ク ビス ト(14))にお い て重 要 だ った と言 え よ う。 さ らに近 年 で は 、 所 得 増 加 に伴 って 民 間 消 費 が活 性 化 し、 拡 大 した 内需 が 経 済 成 長 を さ ら に押 し上 げ て い る と い う効 果 も、ASEANの 経 済 成 長 を考 え る上 で 見逃 せ ない フ ァ ク ター と な って い た 。1980年 か ら93年 の 間 にASEAN諸 国 の実 質 民 間 消 費支 出 は フ ィ リ ピソ で こそ1.46倍 に留 ま っ た もの の 、 マ レー シ ア で1.96倍 、 イ ソ ドネ シ アで2.05倍 、 タ イで ほ2.25倍 に も増 大 した。('5)香港 一55一
表5ASEAN4の 国 内総 資 本 形 成 に 占め る 外 資 の 割 合(%) 国 名 1,1980-82年 平均 II.1983-85年 平 均 llL1986-88年 平 均 W.1989-91年 平 均 V.1992-94年 平 均 W.1995年 タ イ マレーシア イソドネ汀 フィリピソ 2.3 13.5 0.9 0.2 2.6 8.8 L3 0.5 3.5 7.0 2.0 7.2 6.4 18.6 3.5 5.7 2.9 32,0 4.7 6.9 3.2 27。0 8.2 9.1 出 所:表2掲 載 資 料 表6ASEAN4の 国 内総 資 本 形 成 率*(%) 国 名 1.1980-82年 平 均 II.1983-85年 平 均 IIL1986-88年 平 均 W.1989-91年 平 均 V.1992-94年 平均 W.1995年 タ イ マレーシア イソ陳 汀 フィリピソ 27.6 34.5 23.5 27.5 28.1 32.6 23.5 23.9 28.7 25.1 26.8 17.4 39.5 31.9 27.3 2L6 40.1 38.4 26.6 22.8 42.8 44.6 28.8『 22.3 *国 内総 資 本 形 成 額/GDP出 所:前 表 に同 じ 誌 『フ ァー一イ ー ス タ ソーエ コ ノ ミッ クーレ ビ ュー』 誌 に よ れ ば 、 ア ジア発 展 途 上 諸 国 の 〃中産 階 級 〃 は西 暦2000年 に は約5億 人 に達 す る と言 う。(16)ここ で 言 う〃 中産 階 級 〃 の概 念 は 必 ず し も社 会 学 的 に定 義 され た 厳 密 な もの で は な く、 した が って 数 自体 も ま た曖 昧 な も ので は あ る と の留 保 は必 要 だ ろ うが 、 少 な くと も経 済 発 展 の 中 長 期 的 な 帰 結 と して 所 得 上 昇 と格 差 の縮 小 化 が 随 伴 す る こ と は 先 進 諸 国 で の 経 験 則(い わ ゆ る 「ク ズ ネ ッ ツ の 逆U字 型 」 説)が 示 す と こ ろ で あ り、 ASEAN諸 国 に お い て も、 特 に都 市 部 に は 比 較 的 富 裕 な ホ ワ イ トー.カラ ー層 が 確 実 か つ 広 範 に 出 現 しつ つ あ る。 また 別 の 研 究 に よれ ば(17)、そ う した階 層 に属 す る人 々 は マ レー シ ア 、 フ ィ リ ピ ソ、 シ ソガ .ポール、 タイ4力 国で8,400万 人(1989年 値)に 達 して い るとい う。そ して、 多様 な消 費 ニ ー ズ を持 ち 、商 品選 好 能 力 を高 め た 人 々 の 増 大 とい う トレ ソ ドを反 映 して、 都 市 部 流 通 機 構 は 大 き く変 容 しつ つ あ り、零 細 小 売 業 と顧 客 との 伝 統 的 相 対 取 り引 きか ら、 今 日で は大 規 模 チ ェー ソ店 に よ る正 札 販 売 へ の 合理 化 が 進 展 して い る。(18)内需 の拡 大 効 果 こそ が成 長 の カ ギ と な る と い う、 近 年 生 起 して きた傾 向 は 今 後 よ り強 固 な もの と な る こ と は 容 易 に 推 察 で き る と ころ で あ る。 1997年 夏 期 以 来 の通 貨 金 融 不 安 に 伴 う信 用 収 縮 に よ って 、ASEAN諸 国 で は こ の数 年 こ そ 内 需 拡 大 の ペ ー ス が 大 幅 に ス ロ ー ダ ウ ソす る こ とが 予 想 され る もの の 、 中 長 期 的 に はASEAN経 済 は 付 随 して きた対 外 依 存 性 を漸 減 させ つ つ 内需 主 導 型 の 経 済 へ 移 行 して い くと思 わ れ るの で あ る。 そ して こ の トレソ ドこ そ は 、ASEANを よ り統 合 的 な 広 域 市 場 に転 換 して い くこ と を要 請 し、 域 内 経 済 連 携 の深 化 を 促進 す る モ ー メ ソ トと もな って い くだ ろ う。 3.ア ジ ァ 太 平 洋 経 済 の 中 のASEAN-APECを め ぐ る 拮 抗 関 係 ASEANの 「早 熟 性 」 ・ 「後 進 性 」 の 特 徴 は 、拡 大ASEAN組 織 の 地 域 的経 済 統 合 の あ り方 と そ の 展 望 を 考 察 す る う えで の 前 提 と な る もの で あ る。 す な わ ち 、ASEANの 近 十 年 に及 ん だ 高 度 成 長 は 、基 本 的 に は進 出外 資 に誘 発 され た投 資 活 動 に 負 うと ころ が大 き か っ た 。 そ の こ とは 逆 に
言 え ばASEAN経 済 が 先 進 諸 国 ・NIES諸 国 な ど の域 外 経 済 と リソ ク し、 そ れ ら に依 存 す る形 で しか 発 展 で きな か った こと を物 語 る も の で あ り、ASEANが 域 外 へ の 開放 性 を指 向 せ ざ る を得 な い 体 質 を有 した 地域 機 構 で あ る こ と を端 的 に 示 す もの で も あ る。 そ れ は 、ASEANが 自己 完 結 的 (よ り自給 的)な 地 域 経 済 統 合 体 と して で は な く、 よ り外 向 的 な そ れ と して 発 展 す る こ と に よ っ て の み 、 継 続 的 発展 が 可 能 で あ る こ と を予 感 させ る。 この こと は 、ASEAN経 済 の 脆 弱 性 を示 す と も捉 え得 る(事 実 、 昨 今 の 通 貨 金 融 不 安 は そ れ を物 語 って い る)が 、地 域 ブ ロ ッ ク化 や 保 護 主 義 化 が 懸 念 され る現 在 の 国 際 経 済 情 勢 に あ って は 、 世 界 貿 易 機 関(WTO)な ど が 指 向 して い る よ り 自由 な貿 易 体 制 の形 成 との 整 合 性 を保 ち 、 そ れ を 維 持 発 展 させ る た め の 地 域 経 済 統 合 体 と し て 、 よ り積 極 的 な意 義 をASEANに 付 与 す る。 具 体 的 に は 、ASEANは よ り広 域 な地 域 経 済(ア ジ ア太 平 洋 経 済)の 一 部 に イ ソテ グ レー トされ る こ と を通 じて 、 欧 州(EU)や 北 米(NAFTA) 地 域 の 「要 塞 化 」 を阻 止 す る拮 抗 軸 と な る一 方 で 、 イ ソ ドシ ナ諸 国 の包 含 や 中 国 と の経 済 交 流 を 通 じて 、 ア ジ ア社 会 主 義 諸 国 の 閉 鎖 主 義 を打 破 す るモ ー メ ソ トを創 出す る機 能 をい っそ う強 く持 つ こ とが で き る。 そ れ は また 、ASEANが ア ジ ア太 平 洋 経 済 とい う広 域 フ レー ム の 一 翼 を 占 め る こ と に よ って の み 、 自 らの レー ゾ ソーデ ー トル を更 新 し、対 外 交 渉 力 を強 化 す る こ と が可 能 で あ る こ とを 意 味 す る。 ア ジ ア太 平 洋地 域 と の リ ソケ ー ジ に 拠 って 立 つASEANの 国 際 社 会 で の こ う した 存 在 意 義 を 、 山影 進 教 授(東 大)はrASEANの 自己 サ ブ シス テ ム化 」 と規 定 して い る。(19) と ころ で 、 今 日の ア ジア 太 平 洋 地 域 に 存 在 す る最 大 の 経 済 フ レー ムがAPECで あ る。1994年 現 在 、 ス リー ・チ ャ イ ナ(中 国 、 香 港 、 台 湾)を 含 む 参 加18力 国 総 体 で 人 口21億 人(世 界 全 体 の38 %)、GNP合 計14.3兆 ドル(同56%)(20)を 擁iし、 首 脳 会 談 を毎 年 開 催 す る ま で に至 った こ の経 済 協 議 体 は 「世 界 の成 長 セ ソ ター 」 の 中 核 的経 済 フ レー ム で あ り、 「ア ジア 太 平 洋 経 済 の サ ブ シ ス テ ム」 た る帰 結 と'して 、 拡 大ASEANは 同協 議 体 の 方 向 性 に否 応 な く大 き く影 響 を受 け ざ る を え な い。 ウル グ ア イ ーラ ウ ソ ドで の 係 争 に 伴 う欧 米 で の 地 域 主 義 の 台 頭 状 況 を背 景 に して い た と は い え、1989年 発 足 当 初 のAPECは 投 資 や 貿 易 の 自 由化 自体 を優 先 的 目的 と した の で は な く、 も と も とは 加 盟 諸 国 間(原 加 盟12力 国)で の経 済 協 力 と、 経 済 発 展 を促 進 す る産 業 基 盤 整 備 、 お よ び そ れ に必 要 な援 助 誘 導 の た め の 政 策 的 協 調 を 指 向す る緩 や か な 協 議 体 と して 出 発 した 。APEC の起 源 と も言 え る 「太 平 洋 自 由 貿 易 地 域 構 想 」(小 島 清 教 授 提 案 、1965年)に お い て も、 当時 の 仮 構 目的 は 太 平 洋先 進5力 国(米 、 加 、 日、 豪 、 ニ ュ ー ジー ラ ソ ド)の ア ジ ア開 発 途 上 諸 国 に対 す る協 同 の 経 済 協 力政 策 に重 点 が お か れ 、資 本 財 援 助 を テ コ と した 東 南 ア ジ アの 農 業 生 産 改 善 と 輸 出軽 工 業 の 育 成 を促 進 す る こ とが 提 唱 され て い た こ と は銘 記 して お く必 要 が あ ろ う。(21) そ のAPECが 交 渉 重 点 を貿 易 と資 本 の 自 由化 を 目指 す 「自 由貿 易地 域 」 の設 定 へ と移 行 させ て い っ た の は 、 米 国 に ク リ ソ トソ政 権 が 誕 生 し、 ポ ス ト冷 戦 期 の ア メ リカ外 交 が 経 済 目的 に重 点 を 移 行 させ て 以 降 の こ とで あ る。 米 国 の 製 造 業 は 近 年 輸 出 を急 速 に拡 大 して い る。 そ の 中 で も、特 に 日本 、 中 国 、NIES3(韓 、 台 、香)、ASEAN7を 合 わ せ た 西 太 平 洋地 域12力 国 へ の商 品 輸 出 は1987年 か ら93年 まで で も2.06倍 に伸 び 、 そ の 拡 大 ぶ りが顕 著 で あ る。 そ の 一 方 で 、 同 期 間 の 西 太 平 洋 地 域 諸 国 の対 米 輸 出 は 、 絶 対 額 に お い て こそ 米 国 か らの輸 出額 を依 然 上 回 って い る もの の 、 そ の増 加 は1.47倍 と緩 慢 で あ り、 む しろ経 済 発 展 の 顕 著 な西 太 平 洋 地 域 内 で の 相 互 輸 出 が2.52倍 と大 き く成 長 して い る。(22)すな わ ち 、 近 年 の 環 太 平 洋 貿 易 の トレソ ドは 西 太 平 洋 地 域 の 〃米 国離 れ 〃 と 〃 自立 化 〃を特 徴 とす るわ け だ が 、 そ れ らは 西 太 平 洋地 域 諸 国 へ の い っそ うの輸 出 拡 大 を 目指 す 米 国 の 利 益 とは 相 屎 して い る。 ク リ ソ トソ政 権 の 対 環 太 平 洋 政 策 が そ う した趨 勢 の 挽 回 を 目指 した もの で あ る こ と は、 政 権 成 立 以 来 の 数 々 の施 策 か ら も明 確 で あ る。1993年7月 の 「ア ジ 57
ア太 平 洋 共 同 体 構 想 」 、 す な わ ちNAFTAを 究 極 的 にAPECに 包 含 し単 一 の 自 由貿 易 圏 とす る と の グ ラ ソ ド ・デ ザ イ ソや 、 同年11月 の シ ア トル に お け る初 のAPEC非 公 式 首 脳 会 談 で の 貿 易 投 資 自 由化 問 題 へ の 交 渉重 点 の 移 行 な どは 、 米 国 の 環 太 平 洋通 商 政 策 の要 諦 が ア ジア太 平 洋 貿 易 の 拡 大 が 進 む 中 に あ って 、 い か に して 「世 界 の成 長 セ ソ ター」 か ら疎 外 され る こ と な く、 自 らの イ ニ シ アテ ィ ブの 下 にそ れ を取 り込 ん で ゆ くか 、 とい う一 点 に 置 か れ て い る こ とを如 実 に 示 して い た 。 米 国 の通 商 交 渉 は 市 場 ア クセ ス の た め に は2国 間 ・多 国 間 に か か わ りな く、 あ らゆ る手 段 を動 員 して(そ れ らは ス ー パ ー301条 適 応 ア ク シ ョソや 数 値 目標 の設 定 な ど、 しば しば 管 理 貿 易 的 色 彩 の 濃 い もの で あ る)、 そ れ ら を便 宜 的 に組 み 合 わ せ 進 展 を 図 る とい う、 い わ ゆ る 「マ ル チ=ト ラ ッ ク方 式 」 を そ の 基 調 とす る。(23)その 中 に あ っ て 、 対APEC戦 略 の基 本 と な って い る の は NAFTA成 立 に見 られ た 複 数 諸 国 間 交 渉 に よ る通 商 フ レー ム作 りで あ り、 よ り広 域 の 交 渉 テ ー ブ ル にお いてNAFTAを モ デ ル とす る 自 由貿 易 圏 を ア ジ ア太 平 洋 地 域 に拡 大 して ゆ く、 と い う もの で あ る。 こ こで い う 「NAFTAモ デ ル 」 と は 、 第1に 目標 実 現 の た め の 特 有 の手 法 を指 して い る 。 す な わ ち 、 協 定 内 容 が 明 ら か に して い る よ う に 、NAFTAは 明 文 化 され た 強 固 な 機 構 を 指 向 し (第1章)、 自 由貿 易 地 域 結 成 に対 す る各 国 ・各 品 目の 関 税 撤 廃 ス ケ ジ ュー ル を 定 め(第3章)、 紛 争 処 理 や 紛 争 解 決 に か んす る取 り決 め と対 抗 措 置 の ル ー ル 化(第!1、19、20章 等)な ど を 規 定 して い る。 そ れ らは 、 い うな れ ば 「明示 され た 措 置 、 計 測 可 能 な効 果 」 を集 大 成 す る も ので あ り、 対 日通 商 交 渉 に お け る数 値 目標 提 示 な ど と同 じ発 想 に 根 ざ して い る もの で あ ろ う。 第2は 、 拘 束 的'協定 に よ る域 外 〃差 別 〃的 な措 置 の 適 応 で あ る。 締 結 国 の 特 定 商 品 に対 す る特 恵 関 税 適 応 、 繊 維 ・ア パ レル 製 品 の原 産 地 規 制 強 化 、 自動 車 部 品 に 関 す る ロー カ ル ーコ ン テ ン ツの 引 き上 げ(米 加協 定 時 の50%か ら62.5%へ の引 き上 げ 一 い つ れ も:NAFTA協 定 第3章 、 第4章)な どの 措 置 は 、 NAFTA発 足 後 の 北 米 大 陸 が 域 内保 護i主義 的 傾 向 を強 め て ゆ くの で は で は な い か と の 懸 念 を域 外 諸 国 、 と りわ け ア ジ ア発 展 途 上 諸 国 に 持 た せ る根 拠 と な って い る。 第3は 、'「自由 化 」 概 念 を拡 大 し、 国 内 問題 を 貿 易 交 渉 と リソ ケ ー ジ させ る傾 向で あ る。 環 境 や 労 働 に 関 す る規 制 がNAFTA フ レ ー ム に よ っ て 、 国 内 法 で は 簡 単 に 処 理 で き な くな る5(同 補 完 協 定)そ し て 第4が 、 NAFTA全 体 に 貫 か れ て い る トー ソ と して の 相 互 主 義 的 性 格 で あ る。 「自由 化 の タ ダ乗 り」 を 許 さず 、 域 内諸 国 の最 恵 国 待 遇 は域 外 諸 国 に は 無 条 件 に は 適 応 しな い とい う、 自由貿 易 圏 結 成'協定 と して の 本 質 自体 を 、 こ こで は指 して い る。(24) こ れ らの 特 徴 は 、 特 に ア ジ ア 諸 国 か ら見 て 大 き な 問 題 を 含 ん で い る と 言 わ ざ る を え な い 。 NAFTAの 成 立 がASEANに 及 ぼ す 影 響 を 東 南 ア ジア ・北 米 の 貿 易 商 品 構 成 か ら分 析 したM・ プ ル マ ー 助 教 授(豪 ・ブ ラ ソ デ ー ス 大)ら の研 究 は 、NAFTAの 影 響 と してASEANか ら の多 くの 北 米 向 け 輸 出 品 が メキ シ コ、 カ ナ ダ と の競 合 に よ り強 く曝 さ れ る と予 想 し、 しか も米 国 、 メ キ シ コ とい う経 済 発 展 段 階 の大 き く異 な る市 場 統 合 組 織 で あ るNAFTAに あ って は 、繊 維 製 品 、 家 電 製 品 、 トラ ソ ジス タ な ど幾 つ か の製 造 業 に お いて 、 そ の 代 替 性 の 高 さゆ え に容 易 にASEANか ら メキ シ コへ の 貿 易 移 転 効 果 が 生 じ るの み な らず 、 投 資 移 転効 果 も加 わ る と結 論 付 け て い る。(25) 言 う まで もな く、 西 太 平 洋 地 域 諸 国 はNAFTAモ デ ル がAPECに 拡 大 適 応 され る こ と に批 判 的 で あ る。 彼 ら か らす れ ば 、APECの ス ケ ジ ュ ー ル優 先 化 ・強 固 な機 構 化 は 厂緩 や か な協 議 体 」 か ら、厳 密 な ル ー ル に基 づ く 「交 渉 機 関 」 へ と変 質 させ る動 き で あ り、 域 外 差 別 的 な 措 置 の設 定 や 投 資 や 貿 易 の 自 由化 に か ん す る最 恵 国 待 遇 の 選 択 的 適 応 な ど は 、 オ ー プ ソ ・リー ジ ョナ リズ ム を 経 済 発 展 の 依 拠 原 則 とす べ き西 太 平 洋 諸 国 の 成 長 戦 略 とは 相 反 す る。 と りわ け 、 イ ソ ドシナ 諸 国 を包含 し外 向型経 済 へ の転換 を地 域 ぐるみ で遂 げつ つ あ る拡 大ASEANに とって 、 「APECのNAFTA
化 」 は これ ま で の 成 長 パ タ ー ソ とそ の経 済 的 成 果 を な し崩 しにす る危 険 性 を高 め る もの で あ り、 した が って 米 国 の 対APEC戦 略 に対 す る嫌 悪 感 は 根 強 い 。ASEAN諸 国 に と って 「NAFrAモ デ ル 」 に対 す る ア ソ チ ーテ ー ゼ の提 示 は 域 内経 済 結 束 を 図 り、APECに お け る 自身 の 対 外 交 渉 力 を 強 化 す る意 味 で も火 急 の課 題 で あ った 。 か く して 、 北 米 で のNAFTA調 印(1992年12月)を 射 程 に 入 れ つ つ 、ASEAN域 内 にAFTA(ア セ ア ソ 自 由 貿 易 地 域)が1993年1月 よ り発 効 した 。 NAFTA発 効 の一 年 前 とい う この タイ ミソ グは 、APECに お け る両 者 の拮 抗 関 係 を考 慮 した 時 、 極 め て 意 味 の あ る もの と 言 え る。AFTAは 、 カ ソ ボ ジ ア紛 争 の終 結 や ベ トナ ム のASEAN加 盟 に' 伴 う地 域 的 緊 張 の 消 滅 を うけ て の 域 内経 済 の 結 束 確 認 を背 景 と して 成 立 して い る。 そ の 第 一 義 目 的 は 、ASEAN域 内 の 貿 易 ・投 資 の 自 由化 を 主 体 的 に進 め る こと を通 して 、 「規 模 の経 済 」 の 実 現 可 能 な 、魅 力 あ る投 資 市 場 の創 設 を 図 り、 域 外 諸 国 へ の外 資 分 散 を阻 止 し よ う とす る もの で あ る。 しか し、 同 時 に そ れ は 欧 米 地 域 で の経 済 的 〃要 塞 化 〃を 懸 念 す る東 南 ア ジア諸 国 が ブ ロ ッ ク の狭 間 へ の埋 没 を 恐 れ 、地 域 経 済 の 発 展 と安 全 保 障 へ の 交 渉 能 力 拡 大 の た め切 った 重 要 カ ー ドで もあ った 。(26) AFTAの 特 徴 は 、 自由 化 措 置 に 伴 う成 果 の 適 応 方 法 に あ る。 す な わ ち 、AFTAに あ って は域 内 自由 化 措 置 に伴 う関 税 譲 許 成 果 をASEAN域 内 に留 め る こ と な く、 域 外 国 がASEAN諸 国 に 対 し て 自国 市 場 を 開放 す る か 否 か に 関 わ らず(つ ま り、 あ え て 「自 由化 の タ ダ乗 り」 を 許 容 して さえ も)、 全 て の 国 に 最:恵国 待 遇 を 無 条 件 的 に適 応 す る こ と が確 認 され て い る。 これ は 、 オ ー プ ソ ・ リー ジ ョナ リズ ム原 則 の保 障 こそ が域 内経 済 発 展 の キ ー で あ る とす るASEANの 立 場 を雄i弁に物 語 る も めで あ り、 無 差 別 主 義 に立 つ そ の 適 応 方 法 は 、NAFTAに お け る米 国 の相 互 主 義 的 立 場 と は 自ず と対 立 す る。 しか もAFTAは 「自 由化 」『そ の もの の進 め 方 に も、NAFTAの 機 構 化 ・ル ー ル 化 と は対 照 を成 して い る。 発 足 当 初 、AFTAは 西 暦2008年 まで に域 内 関税 を5%以 下 にす る こ と を 目標 に 定 め て い た。 こ の 目標 達 成 期 限 は ポ ス ト ・ウル グ ア イーラ ウ ソ ドの 自 由貿 易加 速 を 待 望 す る国 際 世 論 と、 ア ジ ア他 地 域 の 自 由化 路 線 に促 進 さ れ る形 で2003年(さ らに 現 在 で は2000年 目標 に 調 整 中)へ と前 倒 しさ れ る に至 っ て い る。・しか し この 目標 年 次 は あ く まで も最 終 的 期 限 で あ り、 この 間 の対 象 品 目の 拡 大 や 関 税 率 低 減 過 程 な ど、 達 成 に至 る ア プ ロー チ に つ いて は画 一 的 ス ケ ジ ュ ール や ル ー ル を 定 め ず 、 域 内 各 国 の 自主 性 に委 ね 、 協 調 を 図 っ て ゆ くとい う、 い わ ゆ る 「'協調 的 自発 的 自 由化 」(ConcernedUnilateralAction)に よ る方 法 論 を確 認 して お り、 こ れ は 同 時 にASEANの 対APEC戦 略 の基 調 と も な って い る。 さて 、AFTA構 想 の基 礎 ス キ ー ム と な って い る の が1992年12月 の 同評 議 会 で 合 意 され た共 通 特 恵 関 税 制 度(CEPT)で あ る。CEPTは90年 代 に 入 っ て 徐 々 に 拡 大 を遂 げ て き た域 内 貿 易 の活 性 化 状 況 を背 景 に 生 ま れ た も の で あ り、 関 税 率 引 き下 げ の対 象 品 目及 び 除外 品 目の 選 別 と タイ ム ス ケ ジ ュ ー'ルの 設 定 、 ロ ー カル ーコ ソ テ ソ ツ(ASEAN1力 国 ま た は 複 数 の 累 積 で40%以 上)、 お よ び 実 施 に あ た っ て の 監 視 と調 停 等 に つ い て 定 め て い る 。 表7中 に 見 る よ う に 、 発 足 当 初 の CEPTは 国 ご とで ば らつ きが あ り、 農 産 物 や サ ー ビ ス分 野 が カ バ ー され て い な い 、 また 加 速 品 目 は 全 体 の40%程 度 に 留 ま っ て い るな どの 問 題 点 が あ る。 ま たCEPTは 条 約 と して の 法 的 取 り決 め で は な く、 実 質 的 拘 束 力 が無 い こ と、 紛 争 処 理 規 定 が 無 い こ と 、達 成 目標 の み が共 通 で具 体 的 ス ケ ジ ュ ール や 適 応 除 外 品 目に つ い て は各 国 の 自主 的 判 断 に 委 ね られ て い る こ と等 か ら して 、 きわ め て緩 や か な フ レー ム で あ り、 した が っ てAFTAも ま た 、 目標 年 次 まで に各 国 が 自発 的 ・弾 力 的 に 実 施 す れ ば 良 い と い う一 種 の 〃 フ ァ ジー さ を備 え て い る。 事 実 、 そ の運 用 ス ケ ジ ュー ル は 域 内 で も 自 由貿 易 立 国 で あ る シ ソガ ポ ール と戦 略 的 保 護 産 業 を 抱 え る他 の 国 々 で は 、依 然 と して 大 き 59
表7CEPT対 象 品 目数(1993年1月 発 効 時) 対 象 品 目 除 外 品 目 合 計 国 名 商品分類 桁数 加 速 品 目 (A) 一 般 品 目 (B) 小 ・計 (C)=A+B 割 合(%) (D)=C/G 暫 定 品 目 (E) 恒 久 品 目 (F) (G) C十E十F タ イ 6 1,936 2,764 4,700 88.4 ※118 ※500 5,318 マ レー シア 9 3,251 6,895 10,146 86.4 648 952 11,746 イソドネシァ 9 3,170 4,196 7,366 79.9 1697 159 9,222 フィリピソ 8 916 3,568 4,484 80。2 681 426 5,591 シソガポ「ル 9 2,200 3,514 5,714 98.0 … .118 5,832 ブ ル ネ イ 9 2,341 2,843 5,184 91.! 314 195 5,693 ※ 注:タ イ の 除 外 品 目の うち暫 定 品 目は10桁 ベ ー ス に よ る。 出 所:通 産 省 、 『通 商 白書 』 平 成5年 版 各 論p43よ り引 用 な差 異 が認 め られ る。 だ が 、AFTAの 内実 が 緩 や か な 合 意 で あ る と い う こ と が、 即ASEANが 域 内 自由 化 に 保 守 的 で あ る と い う こ と を 意 味 す る も の で は な い こ とは 銘 記 さ れ るべ きで あ ろ う。 「大 競 争 時 代 」 と呼 ば れ る今 日の苛 烈 な国 際 的 ビ ジネ ス競 争 の 時 代 に あ って 、ASEANに は よ り 巨額 で技 術 力 を備 え た 外 資 の導 入 の 必 要 性 が か つ て な い ほ ど に強 ま って い る。 外 資 の 効 率 的 誘 導 に失 敗 す る国 は成 長 成 果 を享 受 で きず 、 した が っ て外 資 規 制 の緩 和 と市 場 開 放 に よ る新 産 業 の育 成 ・国 内産 業 の 競 争 力 強 化 こそ が 今 後 の 発 展 に と っ て 不 可 欠 で あ る こ と を、 彼 らは この10年 の経 験 か ら学 ん だ 。 自 由化 に乗 り遅 れ て は な らな い とす る心 理 が 今 日のASEANほ ど強 く働 い て い る 地 域 は無 く、 そ れ が 各 国 に 自由 化 を強 い る実 質 的 圧 力 へ と転 化 して い る。 問 題 は 自由 化 の 是 非 自 体 で は な く 、 む し ろ そ の ア プ ロ ー チ の 方 法 と イ ニ シ ア テ ィ ブ の 所 在 で あ ろ う。 す な わ ち 、 ASEANは 市 場 メカ ニ ズ ム に依 拠 しつ つ も、 あ くまで も 自 ら の イ ニ シ ア テ ィ ブの もと で 自由 化 を 推 進 した い の で あ って 、 そ れ 自体 に け っ して 消 極 的 で は ない こと を留 意 す べ きで あ ろ う。
実 際 、ASEAN諸 国 は1996年4月 に 「ASEAN産 業 協 力 協 定 」(AICO)に 基 本 的 に 合 意 し (同 年11月 よ り実 施)、BBCで は 自動 車 メ ー カー の み を 対 象 と して い た 特 恵 関 税 制 度 の適 応 範 囲 を拡 大 す る道 を 踏 み 出 した 。 す な わ ち 、AICOで は 特 恵 関 税 制 度 を 製 造 業 全 般 に拡 げ 、 現 地 調 達 率40%(BBCで は50%)、 地 元 資 本 比 率 が30%以 上(BBCで は規 定 無 し)の 合 弁 企 業 製 品 を も
「域 内製 品 」 と して 認 定 し特 恵 関税 率(0∼5%)を 適 応 す る こ と、 また 対 象 品 に は 完 成 品 も含 む な ど、ASEAN諸 国 の 積 極 的 な域 内 貿 易 自 由 化 姿 勢 が う か が わ れ る。ASEANと して はWTO やAPECな どの 自 由 化 計 画 に 先 ん ず る形 で域 内関 税 引 き下 げ を 断 行 す る こ とで 、域 外 か らの 資 本 進 出 を促 し、域 内展 開 を よ り容 易 に す る こ と を通 して 域 内 の 貿 易 ・投 資 を よ り活 性 化 させ る と と も に、 中 ・長 期 的 に は そ れ を テ コに産 業 競 争 力 育 成 を 図 ろ うと の 目論 見 で あ る。 こ う見 て くる と、環 太 平 洋地 域 の 「東 縁 」(北 米=NAFTA)と 「西縁 」(拡 大ASEAN・AFTA) で進 行 して い る地 域 経 済 統 合 の各 々 の内 実 に は 、大 き な差 異 が認 め られ る こ とが 分 か る。 「東 縁 」 で の そ れ は相 互 主 義 的 原 則 に立 つ地 域 経 済 統 合 の 機 構 化 ・ス ケ ジ ュー ル 化 ・ル ー ル化 を特 徴 とす る 自由 貿 易 地 域 で あ る。 そ れ は 、域 内 諸 国 の優 待 化 を 第 一 義 と し、結 果 と して 域 外 諸 国 に 一 定 の 譲 歩 を迫 る 「交 渉 的 機 能 」 を 強 く持 つ地 域 統 合 体 と な る。 ち なみ に 、 こ う した 地 域 経 済 統 合 は GATTル ー ル に 必 ず し も抵 触 す る も の で は な い。 す な わ ち 、GATT24条 で は 地 域 経 済 統 合 を 進 め るに あた って の 一 定 の 条 件 を示 し、域 外 国 へ の 適 用 関税 率 の 高 水 準 化 な ど 、 明 らか な域 外 差 別