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台所用合成洗剤への一考察

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Academic year: 2021

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台所用合成洗剤へ の一 考案

佐 藤 ひ ろ み

A Study

on Synthetic

Detergent

Research

on Consciousness

of Users

and Actual

State

of Use

of Synthetic

Detergent

Hiromi Sato

In 1962, it was publicized that synthetic detergent is harmful for human body. Since then the problems of its safety and the environmental pollution caused by synthetic detergent have been discussed very often. Even today, these problems are important as ever. We conducted the research on synthetic detergent in 1973. And this time, adding to this research, we carried out similar researches twice, and analyzed the change of consciousness of consumers. As a result, we found that there were many consumers who still have doubt on safety of synthetic detergent and that the number of consumers who answered "have experienced injury on the skin" were pretty large. We have been investigating synthetic detergent, about its acute toxicity, stimulation_ to the skin, the residual amount of LAS for table wares and the current state of use. The aim of this paper is to put together the results of abovementioned three risearches and to examine them. Even now, we don't have no scientific conclusion about harmfulness of synthetic detergent. And the environmental pollution, for example, water pollution of Lake Biwa has become a social issue again. Considering the current state of these affairs, it is necessary for the consumers not to have groundless anxiety and to increase the knowledge about synthetic detergent. We think it is important for us to keep the standard and right usage by following the directions of synthetic detergent.

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は じ め に 食 物 に付 い た 汚 染 物 を除 去 す る とい う"衛 生 意 識"は す で に猿 類 の 日常 生 活 に は あ る ら (1) しい 。 森 らの著 書 「野 生 ザ ル の 王 国 」 で は猿 が芋 な ど を水 で 洗 っ て 食 べ る習 慣 が あ る こ と を報 じて お り,か つ て筆 者 も多摩 動 物 園 で 土 の つ い た リ ン ゴ を そ ば の プ ール で洗 って 食 べ るの を見 た こ とが あ る。 動 物 も人類 も最 初 の 清 浄 剤 は水 で あ っ た。 続 い て 人類 は天 然 ソ ー ダ を利 用 し,次 いで 木 灰 を利 用 した 。2000年 ほ ど昔,ロ ー マ のSapo の 丘 の 焚 火 の 灰 中 で偶 然 に生 成 され た 石 ケ ン が 使 用 され 始 め た の を起 源 に生 活 の 中 に清 浄 剤 と して 用 い られ る よ うに な った 。 か つ て英 国 で は清 潔 は 品位 と教 養 を意 味 す る と言 わ れ て い た。 石 ケ ンの 使 用 は 日常 生 活 に全 く定着 した。 しか し第一 次 大 戦 後,ド イ ッ を 中心 に 石 ケ ンの 原 料 で あ る動 植 物 油 脂 資 源 が 不 足 し 食 糧 との 競 合 を避 け るべ く合 成 洗 剤 が 研 究 さ れ今 日の 合 成 洗 剤 の 基 礎 と な り,そ の 後 の科 学 の進 歩 は短 期 間 の うち に現 在 の 合 成 洗 剤 を もた ら した。 い わ ば合 成 洗 剤 は石 油 科 学 の進 歩 に よ る産 物 とい え よ う。 清 浄 ・洗 浄 な どの 衛 生 面 か ら,い まや 日常 生 活 に欠 かせ な い も (2) の とな っ た 。 とこ ろ が 昭 和37年 の有 害 説 の 発 表 を端 に発 して,合 成 洗 剤 に対 す る問題 は人 体 に対 す る有 害 説,環 境 汚 染 等 あ らゆ る角 度 (3)一一(9) か ら問 題 が 指 摘 さ れ て い る。 有 害 説 に つ いて は問 題 の 重 要 さ を 認 め て直 ち に科 学 技 術 庁 が 中心 とな り国 内の 諸 研 究 機 関 を動 員 して,広 (io) 範 綿 密 な 実 験 研 究 が な さ れ た。 そ の 報 告 を受 け て合 成洗 剤 は適 正 に使 用 され るな らば,人 体へ の影 響 は ない とい う"厚 生 省 見 解"が 発表 され今 日にい た って い る。それ に もか かわ らず, 合 成 洗 剤 は有 害 で は な いか と い う 不 安 が 消 費 者 の 間 に潜 在 して い る。 こ の こ とは 筆 者 の こ (11)一一(14) れ まで の 調 査 か ら推 定 さ れ る と同 時 に国 民 生 (15)(16) 活 セ ン タ ー,消 費科 学 連 合 会,東 京 都 都 民 生 (17) 活 局 な どの調 査 結 果 も示 して い る 。 しか し,い ま全 国 で 合 成 洗 剤 を 追 放 し,油 脂 石 ケ ンに切 り替 え よ う とい う運 動 が 消 費 者 を 中心 に広 が り始 め て い る。 こ れ は37年 の 有 害 無 害 論 争 以 来 引 き続 き解 消 さ れ る こ とな く 行 な わ れ て い る。 最 近 で は 河 川,湖,海,地 下 水,飲 料 水 な ど生 活 環 境 全 般 の 汚 染 問題 と 発 展 し,一 層 激 しい 論 争 を展 開 して い る。 "洗 剤 を考 え る"集 会 や 消 費 生 活 セ ン タ ー主 (18)∼(20) 催 の 学 習 会 な どが ひ らか れ,全 国 の 消 費者 団 体,水 道 労 働 組 合,日 本 消 費 者 連 盟,日 本 労 働 組 合 総 評議 会,日 本 婦 人会 議,公 害 問題 研 究 会 な どで構 成 す る"合 成 洗 剤 追 放 全 国連 絡 会"は 合 成 洗 剤 の 不 売 運 動 や 洗 剤 公 害 の 告 発 な ど を呼 び か け て い る。 ま た漁 業 資 源 保 護 の た め,全 国 の 漁 業 協 同組 合 連 合 会 も追 放 を決 議 して い る。 この よ うに して天 然 石 ケ ン を使 う運 動 が 地 域 ぐ るみ の運 動 と展 開 して い る。 今 日,合 成 洗 剤 問題 は,洗 剤 そ の もの の 有 害 無 害 の 科 学 的 問題 に と ど ま らず,二 次 的 な影 響 と して 大 きな社 会 問題 と な っ て い る。 最 近 で は琵 琶 湖 の富 栄 養 化 に よ る 赤潮 や 奇 形 魚,ま た近 畿 地 方 の 水 道 水 の 異 臭 等 の 原 因 が琵 琶 湖 に注 が れ る家 庭 排 水 の 合 成 洗 剤 中の ㈲ リン酸 塩 に起 因 して い る とい う報 告 も あ っ て 滋 賀 県 で は使 用 禁 止 条 例 が 可 決 さ れ て い る。 こ れ は琵 琶 湖 汚 染 の 問 題 と して と ど ま らず 急 速 に 日本 各 地 に 発 生 し得 る 問 題 と して ク ロ ー ズ ア ップ され て きて い る。 わ が 国 で は洗 剤 に対 す る総 合 的 な科 学 的 結 論 は 出 て お らず,使 用 禁 止 の 条 例 か らの 波 紋

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は大 きい もの が あ る。 以 上 の よ う な こ とか ら洗 剤 の 人 間 生 活 に及 ぼ す 生 活連 鎖 的 な 有害 性 を も含 め た科 学 的 究 明 を急 ぎ,使 用 者 の 高 ま る不 安 を一 日 も早 く 解 消 す る こ とが 緊 急 課題 で あ る とい え る。 筆 者 は 昭 和48年 以 来,合 成 洗 剤 の 使 用 実 態 調 査,各 種 洗 剤 の 毒 性 と皮 フ 刺激 性 の 検 討, お よび洗 剤 の 食 器 へ の 残 留 等 に つ い て の検 討 な ど を行 な い報 告 した。 今 回 これ らの 成 績 を 整 理 し総 合 的 に 考 察 す る と と もに,そ の後 得 られ た 新 しい 知 見 を加 え て こ こ に報 告 す る。 1.台 所 用 合 成洗 剤 の使 用 実 態 調 査 結 果 の考 察 合 成 洗 剤 の 安 全 性 や 環 境 へ の 影 響 に 対 す る 疑 問 の 声 が あが り始 め た の は,昭 和30年 代 後 半 か らで あ るが,第1回 目の 調 査 を行 な った 48年 に は 食 品 衛 生 法 改 正 に よ り,台 所 用 合 成 洗 剤 の 農 度 規 制 が 制 定 され,さ らに都 下 の 学 校 で の 使 用 中止 決 定,東 京 都 衛 生 局 の 合 成 洗 剤 に関 す る調 査 研 究 の 中 間 報 告 な ど で世 論 は 洗 剤 問題 の頂 点 に あ った 。 さ らに最 近 で は前述 の よ うな 消 費 者 運 動 の 展 開 や 消 費 者 セ ン タ ー (12)一(14) 調 査 報 告 書 な どの 傾 向 か ら問 題 意 織 は か な り 高揚 して い る とい え る。 そ こ で筆 者 は48年 に行 な っ た 実 態 調 査 結 果 51年,53年 お よび54年 の 調 査 結 果 を整 理 し以 下 に 考察 を加 え た 。 図1に 台所 用 合 成 洗 剤 の 意 識 調 査 結 果 を示 した。 埼 玉,越 谷近 辺 居 住 の主 婦 を主 に調 査 の 対 象 と した 。母 集 団,調 査 時 期 等 の 条 件 は 表1に 示 す 通 り,一 定 で は な い が,大 枠 の傾 向 を 考 察 す る た め に比 較 し,以 下 の よ うな こ とが わ か っ た 。 合 成洗 剤 の使 用 率 は 多少 減 少 す る傾 向 は あ 表1調 査 条件 調 査 時 期 対 象 人数 回収率 第1回48年7月 主 婦 600 98% 第2回52年6月 主 婦 680 94 第3回53年7月 主 婦 1590 54% 第4回54年4月 飲 食店従 業員 95 99 るが い ず れ も90%以 上 の使 用 率 で,現 時 点 で は台 所 に 合 成 洗 剤 は欠 かせ な い もの で あ る と い う こ とが 明 らか で あ る。 野 菜 ・果 物 洗 いへ の使 用 傾 向 は48年 に は 「全 く使 用 しな い 」 もの が37%で あ っ たの に 比 べ 53年 に は17.4%も の 増 加 が あ り,そ の 理 由 と して は 洗 剤 の 残 留 物 が 有 害 だ か ら とい うの が 圧 倒 的 で あ った 。 一 連 の 有 害 説 以 来,都 民 生 活 局調 査 や 消 費 科 学 連 合 会 調 査 ・兵 庫 県 柏 原 (15) 生 活 セ ンタ ー 報 告 に お いて も,野 菜 ・果 物 に は洗 剤 を使 用 しな い 傾 向 が 報 告 さ れ,本 報 告 と一 致 した 比 率 で あ る。 安 全 性 に か な り不 安 を抱 きな が ら も食 器 洗 い に は そ の す ぐれ た 洗 浄 効 果 の為 に 使 用 し続 け て い る現 状 の よ うで あ る。 また 洗 剤 の使 用 量 につ い て は,洗 剤 容 器 に 表 示 して あ る標 準 濃 度 を 「きち ん と守 る」 人 は 増 加 の 傾 向 が み られ る が,い ず れ も10%以 下 の 低 率 で あ る。 安 全 性 に か な り不 安 を持 っ て い る に もか か わ らず 自己 防 衛 が な さ れ て い な い 。「大体 守 る」 と答 え た もの は 最 も高 率 で あ り経 年 的 に 増 加 の 傾 向 に あ るが 不 確 定 要 素 が あ る 。 使 用 量 を 「全 く意 識 して い な い 」, 「守 っ て い な い 」 な どの と くに表 示 を全 く無 視 す る もの は,経 年 的 に は減 少 の 傾 向 を示 し て は い るが,使 用 量 に 関 す る意 識 は急 速 に高 め る よ う配 慮 せ ね ば な らな い 。 これ らの 事 実 は前 述 した 厚 生 省 の"適 正 に使 用 す る"の 大 前 提 が 充 分 に 消 費 者 に 理 解 され て い な い こ と

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図1台 所 用 合成洗剤 の 使 用意識 調査 結果

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を示 唆 して い る。 次 に 公 共 飲 食 店 従 業 員 に つ い て 行 な っ た 調 査 を 参 考 資 料 と して つ け 加 え る と, 合 成 洗 剤 の 使 用 率 は99%で あ り,ほ とん ど の 人 が 洗 浄 力,簡 便 性 の 点 か ら合 成 洗 剤 の 必 要 性 を強 調 して い た 。 こ れ は一 般 家 庭 の 主 婦 よ り も営 業 的 観 点 か ら食 器 の清 浄 保 持 に 欠 か せ な い こ とが 明 らか で あ る 。 野 菜 ・果 物 洗 い に80%の もの が 「使 用 しな い 」 と答 えて い るが,こ れ は そ の 主 な 理 由 と して,主 婦 の 場 合 は有 害 性 の 不 安 か らで あ る の に対 し洗 剤 使 用 後 の処 理 時 問 に余 裕 が な い こ と,経 済 性 な どの 理 由 で あ る。 また 使 用 濃 度 につ い て は,意 識 して い な い もの が 主 婦 の 場 合 よ り もか な り高 率 で あ る。 使 用法 につ い て は,水 か 湯 で うす め て 使 う と答 え た もの が 70%以 上 で あ っ た。 これ は洗 浄 方法 の 簡 便 さ, 経 済 性 な どの 理 由 か らで あ ろ う。 また 皮 膚 障 害 経 験 者 は41%と 高 率 で あ り,主 婦 よ り も洗 剤 に接 す る 回数 が 多 い の で 当然 予 想 さ れ 得 る 結果 と い え よ う。 以 上 の こ とか ら主 婦 の 意 識 に つ い て は,洗 剤 に対 す る不 安 を抱 き なが ら も簡 便 で 汚 れ の 除 去 に効 率 の よい 合 成 洗 剤 使 用 をや め られ な い とい う事 が 明 らか とな っ た が,公 共 飲 食 店 従 業 員 に お い て は,有 害 性 の 問 題 よ り も,洗 浄 力の 点 か ら使 用 し続 け て い る とい う こ とが 判 明 した 。 合 成 洗 剤 の 使 用 意 識 結 果 か ら表 示 の標 準 使 用 量 を 守 る人 の 率 が 非 常低 く,ま た洗 浄 法 も 過 半 数 が 洗 剤 を直 接 ス ポ ン ジ に つ け て 使 用 し て い る こ とが 明 らか とな っ た の で,使 用 濃 度 や 洗 浄 法 の ち が い に よ る残 留 実 態 を検 査 し, 結 果 を表2,表3に 示 した 。

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前 述 の 調 査 で 「 きち ん と使 用 量 を守 っ て い 表2洗 剤使 用 希釈 液のLAS濃 度 実験 者 数 使 用 希 釈 濃 度 (ppm) 標 準 使用 量 に 対 す る倍 率 35人 992±485 3.3±1.6 *標 準 使 用 希 釈 液(水14に1.7mの を300ppmと す る。 表3洗 剤使 用 希釈 液のLAS濃 度 使 用 濃 度 ・方 法 平 均残 留量 ・標 準 偏差 原液 スポ ンジ使 用 172±31.5 3倍 濃 度 に 希 釈 142±22.4 標準 使 用量 に希釈 47.7±8.5 る」 と答 え た もの35名 に つ き実 際 に洗 剤 使 用 希 釈 液 を作 らせ て,そ のLAS濃 度 を 分 析 し た 結果,表2に 示 す よ う に,使 用 濃 度 は 平 均 で 標 準 使 用 量 の3.3倍 もの 過 剰 使 用 で あ っ た 。 使 用 方 法 の ち が い に よ る残 留 量 は洗 剤 原 液 を直 接 ス ポ ン ジ につ け た もの が 最 も高 濃 度 の 残 留 を示 し,標 準 使 用 量 に希 釈 して洗 浄 した もの に比 べ る と3.6倍 もの 残 留 値 で あ っ た。 ま た洗 剤 を直 接 ス ポ ン ジ につ け て使 用 す る 場 合 に は 手 に洗 剤 原 液 が 接 す るの で,皮 膚 障 害 を起 こ しや す く,と くに実 際 に は家 庭 で 安 易 に行 な わ れ や す い 方法 で あ るの で,手 荒 れ の 因 子 とな りや す い。 ま た手 荒 れ な どの 皮 膚 刺 激 を経 験 した もの は35%以 上 と高 率 で あ っ た 。 これ は東 京 都 都 民 生 活 局 の モ ニ タ ー ア ンケ ー ト,消 費 科 学 連 合 会 で も同様 な 報 告 を して い る。 こ れ に つ い (11) で は,す で に著 者 が 報 告 したパ ッチ テ ス トに よ る皮 膚 刺 激 試 験 で も,皮 膚 刺 激 反 応 の あ る 者 が何 例 か 認 め られ て い る。 以 上 の こ と よ り,実 際 に 家 庭 で 行 な わ れ て い る洗 浄 法 に か な りの 問題 点 が あ り,有 害 性, 皮 膚 刺 激 性 の 両 面 か ら も標 準 使 用量 を守 り,使 用法 を準 守 す る こ との 周 知 徹 底 が 大 切 で あ る とい え よ う。 II台 所 用 合成 洗 剤 の 食 器 へ の残 留 前 述 の意 識 調 査 結 果 よ り合 成 洗 剤 使 用 者 は 高 率 で あ る こ とが 明 らか で あ る。 しか し,野 菜,果 物 洗 い に は使 用 しな い もの が 増 加 して い る こ とか ら,食 品 に付 着 した 洗 剤 を経 口摂 取 す る こ とよ り,消 費 者 の 盲 点 とな っ て い る 食 器 に残 留 した洗 剤 を摂 取 す る こ とが 多 いで あ ろ う とい う こ とが推 定 さ れ る。 (11) 筆 者 の 以 前 の 報 告 に あ るLAS系 洗 剤 の 急 (22) 性 毒 性 試 験 の 結 果 はHodgeら の 分類 に従 う と中等 度 毒 性 で あ っ た。 しか し,合 成 洗 剤 は む しろ こ う した 急 性 毒 性 よ り も,食 品 や 食 器 に残 留 した もの を長 期 間 の 日常 使 用 に よ り摂 取 され る慢 性 的 な影 響 が 問 題 で あ る と思 わ れ る。従 っ て 日常 毎 日使 用 す る食 器 へ の残 留 は 見 の がせ な い 重 要 な 問題 で あ る とい え よ う。 そ こで 一 般 家 庭,各 種 飲 食 店 お よび 給 食 施 設 な どの 食 器 へ の 残 留 量 を検 査 した 結 果 を表 4に 示 した 。 家 庭 お よび 各 種 外 食 施 設 に お け る食 器 へ の 残 留 量 は差 が 大 き く,一 般 家 庭 に お い て は と くに高 濃 度 残 留 して お り,和 食 飲 食 店 よ り も 高 濃 度 の 残 留 量 で あ る こ とが 明 らか で あ る。 各種 飲 食 店 の 中 で は 中 華 料 理 店 が 最 も高 く, 給 食施 設 で は 全体 的 に残 留 量 が 多 い。 検 査 した 食 器 へ の 残 留 量 に差 が 大 きい こ と が 認 め られ た の で,食 器 へ の残 留 量 に影 響 を 及 ぼ す 因 子 に つ い て検 討 した。 主 な 因 子 と し て は,洗 浄 方 法,使 用 濃 度,使 用 温 度,す す ぎの 回 数,食 器 の 材 質,キ ズの 有 無,油 脂 付 着 の 有 無,食 器 に入 れ る料 理 別 な どが 考 え ら

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表4一 般 家庭,各 種外 食施 設 にお け る食 器のLAS残 留 量 単 位 μg/食 器1ヶ 当 り 一 般 家 庭 食 器 の 種 類 x±o 食 器 の 種 類 x十6 食 器 の 種 類 x±Q 御 飯 茶 椀 39.2±.12.2 ラ ン チ 皿 146±120 V ト

;

ラ ン チ 皿 56.9±17.6 汁 椀 41.3±6.1 御飯 どんぶ り 15.4±9.2 カ レ ー 皿 81.7±28.3 ラ ン チ 皿 353±195 汁 椀 47.2±23.3 サ ラ ダ 皿 36.4±22.9 ラ ー メ ン容 器 284±196 華 料 理 店 ラー メ ン容 器 134±126 カ レ ー 皿 180±117 中 華 丼 皿 70.4±21.5 *以 下,単 位kg/食 器1ヶ 当 りに 残 留 す る もの とす る。 れ,さ らに,す す ぎ後 に温 水 処 理 を加 え た場 合 の 残 留 につ い て 検 討 した結 果 を表5か ら表 炊 め も の 皿 93.8±33.8 ス ー プ 椀 47.0±12.1 和 食 料 理 店 御 飯 茶 椀 10.0±6.4 汁 椀 13.8±9.2 刺 身 鉢 14.6±7.8 そ ば どん ぶ り 39.6±17.5 12に 示 し た 。 給 食 施 設 に お け る機 械 洗 浄 と手 洗 浄 に よ る ち が い は表5に 示 す とお りで あ る。 全 体 的 に 表5洗 浄 方法 に よるLAS残 留 量 単位 μg/食器1ヶ 当 り 食器 洗浄法 の種類 機 械 洗 浄 手 洗 浄 ラ ン チ皿 15.9±6.9 153±209 汁 椀 36±49.2 123±6.3 どん ぶ り 9.1±7.4 23.9±6.3 表6洗 浄温度,方 法別 のLAS残 留 量 単 位μ8/食器1ヶ 当 り 洗浄 方法 洗浄 温度 標 準 濃 度( 1.7m2/1の 標 準 の 3倍 濃 度 ス ポ ン ジ に 原 液2.5㎡ x±o x±o x±Q 流水 のみ 209.8±69.3 218±53.0 367±152 温水40℃ 160±145.3 201±7g.g 294±81.7 熱湯65℃ 122.6± 一.60.3 126±97.7 136±62.1 手洗浄 は機 械洗 浄 に比べ 高濃 度のLAS残 留 を示 し,特 に ラ ンチ 皿 に つ い て は著 しい 差 が み られ た 。 そ こ で 手 洗 浄 の洗 浄 法,使 用 濃 度 の ち が い につ い て モ デ ル 実験 した結 果 を表6 に示 した 。 洗 浄 温度 は 高 い ほ ど残 留 量 は 減 少 表8食 器 の材 質別 に よ る残留 量 単 位μ8/食器1ヶ 当 り 材 質 x± σ 陶 器 製 9.5±3 メ ラ ミ ン樹 脂 製 54.2±5 ス テ ン レ ス 製 186±92.3 表9食 器 のキ ズの 有無 に よる残留 量 単位 μg/食器1ヶ 当 り キ ズ の 有 無 x±6 キ ズ 有 177±X3.1 キ ズ 無 54.6±25.5 表7す す ぎ回数 によ る残 留 量 単 位μ8/食器1ヶ 当 り す す ぎ回数 x±o 10回/5秒 168.4±119 20回/10秒 26.0±19.0 表10油 脂 付着 の 有無 に よる残留 量 単位ug/食 器1ヶ 当 り 付 着 の 有 無 x±6 油 脂 付 着 有 77.4±.25.2 付 着 無 32.7±16.9

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表11料 理 別 に よ るLAS残 留 量 単 位 μg/100mP 料 理 の 種 類 x±Q 御 飯 13.2±8.6 味 膾 汁 33.1±24.9 ラ ー メ ン ・176±166 カ レ ー ラ イ ス ・106±76.3 ラ ン チ(外 食) ・99.9±95.5 炊 め も の ●93.8±33.8 中 華 丼 ・70.4±21.5 中 華 ス ー プ 47.0±12.1 日 本 そ ば 39.6±17.5 サ ラ ダ 36.4±22.9 刺 身 14.6±7.8 表12温 水 処 理 に よ るLAS残 留 量 単 位 μg/100m4 処 理 温 度 x± σ* 流 水 です す ぎのみ 165.±54.8 すす ぎ後 温 水40℃ で処 理 82.1±31.9 すす ぎ後 温 水65℃ で処理 60.6±30.0 す す ぎ後 熱湯95℃ で処理 11.9±8.6 *標 準使 用量 の3倍 濃 度 で実験 し,65℃ で は流 水 時 の1/2と な った 。 また 洗 浄 法 で は,洗 浄 原 液 を ス ポ ン ジに つ けて 洗 浄 す る と標 準 使 用 量 で洗 浄 した 時 の 平 均3.5倍 濃 度 の残 留 で あ る。 す す ぎ回 数 の差 に よ る残 留 量 は 表7に 示 す よ う に回 数 を2倍 にす る と残 留 量 は1/6に 減 少 した 。 食 器 の 材 質 の差 異 に よ る残 留 量 は ス テ ン レ ス製 が最 も高 濃 度 で 次 い で プ ラ ス チ ッ ク製 で あ り,日 常 よ く使 われ る陶 器 製 へ の 残 留 量 が 最 も少 な か った 。 食 器 の キ ズの 有無 で は キ ズ の あ る もの は無 い もの の3倍 の残 留 を示 した 。 油 脂 付 着 の有 無 で は油 脂 を付 着 させ た 食 器 につ い て は 約2倍 の 残 留 が み とめ られ た 。 ま た食 器 に盛 られ る料 理 別 で は,ラ ー メ ン, カ レー ラ イ ス な ど油 脂 を 多 く含 む と思 わ れ る 料 理 につ い て は 高 濃 度 の 残 留 が み られ た 。 ドイ ツ や 欧 米 諸 国 で は 食 器 洗 浄 の 仕 上 げ に 熱 湯 処 理 を して い る とい う こ とや,わ が 国 で も大 量 給 食 施 設 で は機 械 洗 浄 の仕 上 げ に 温 水 シ ャ ワー の 処 理 を して い る こ とな どか ら,今 回 さ ら に残 留 量 を減 少 させ る洗 浄 法 と して, す す ぎ後 に 温 水 処 理 や 熱 湯 処 理 を 加 え る とい う モ デ ル 実 験 を した結 果,表13に 示 す よ う に 40℃ の温 水 処 理 後 は半 減 し,さ ら に温 度 が 高 くな るほ ど,激 減 す る こ とが 判 明 した 。 欧 米 で は 水 道 料 金 が 高 い こ とや 生 活 習 慣 の ちが い な どか ら,日 本 人 ほ どす す ぎ を気 に しな い よ うで あ るが ドイ ツ人の ように最 後 に 熱 湯 処 理 を行 な っ て い れ ば,直 接 的 に は消 毒 とな り, 間接 的 に は洗 剤 の 残 留 も少 な くな る と推 定 さ れ る。 以 上 の こ とか ら食 器 へ の残 留 量 の 差 が 大 き くみ られ る因 子 と して は① 洗 浄 方 法 ② 使 用 濃 度③ す す ぎの 回 数④ 食 器 の 材 質 ⑤ キ ズ⑥ 油 脂 付 着 量 な どの影 響 が 相 互 に 関連 して い る こ と が 明 らか とな っ た。 従 って こ れ らの 諸 点 に留 意 して使 用 す る こ とに よ っ て 食 器 へ のLAS 残 留 量 を 大 巾 に減 少 し得 る とい う こ とが判 明 した。 さ らに残 留 量 を減 少 させ る洗 浄 法 と し て は,す す ぎの 仕 上 げ に温 水 処 理 を行 な う こ と を推 奨 した い。 表13各 研 究機 関報 告の 食器 か ら摂取 す る LAS1日 推定 摂取 量 研 究 機 関 1日 推 定 摂 取 量(mg) 茨城高萩保健所 1.125 東 都 衛 生 局 0.3 科 学 技 術 庁 GeG3 本 論 文 1.02

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II-2.食 器 へ の 残 留 に よ り体 内 に摂 取 す るLAS量 前 述 したLAS残 留 量 の検 査 結 果 か ら食 器 に 高 濃 度 残 留 して い る こ とが 明 らか とな っ た の で,食 器 を通 じて 体 内 に摂 取 す るLAS量 を推 察 した。1日 平 均 使 用 食 器 数 か らLAS 摂 取 量 を筆 者 の 検 査 報 告 の平 均 値 か ら推 算 し て 求 め る と,1日 平 均 のLAS摂 取 量 は1.02 mgと な り,こ れ は表14に 示 す よ う に各 調 査 機 関 の 結 果 と も,す で に 発 表 され て い る慢 性 毒 性 評 価 で の最 大 無 影 響300mg/kg/日 か ら判 断 す れ ば,現 段 階 に お い て は,人 体 に は,無 害 と云 わ れ る数値 で は あ る。 しか しこ の よ う に 食器 を通 して 摂 取 す るL AS量 の 他 に,野 菜 ・果 物 等 食 品 を通 して 直 (3) 接 摂 取 す る量 を文 献 的 に 見 て7mgと す る と, 全 体 と して の1日 推 定 摂 取 量 は8.02㎎ とな る。 (24) しか し柳 沢 も報 告 して い る よ う に,実 際 に1 日の う ち に摂 取 す るLAS量 はか な り多 く, 食 器 や,野 菜 果 物 に残 留 して い る もの の み な らず 日常 口に す る食 物 や 食 器,あ る い は容 器 な どか ら直 接,間 接 に摂 取 す る量 は 少 な く と も この 数 十 倍 は あ ろ う とい う こ とを 推 察 す る と無 視 で きな い 問題 で あ る 。 さ らに 今 回,実 態 調 査 か ら,台 所 で 食 器 洗 浄 に使 用 す る家 庭 が 非 常 に 多 い とい うこ と が判 明 した の で,食 器 か らの摂 取 量 は,考 慮 さ れ るべ き大 切 な 問 題 で あ る と い え る。 お わ り に 従 来 か らの 人体 へ の 有 害 論 争 に環 境 汚 染 問 題 が新 た に提 起 さ れ,さ らに洗 剤 追 放 運 動 等 の 消 費者 運 動 も加 わ っ て,洗 剤 論 争 に 関 す る 議 論 は ます ます 複 雑 化 して い る。 本 論 文 は そ う した現 状 を踏 ま え て,こ れ ま で に検 討 して きた 台 所 用 合 成 洗 剤 の 急性 毒 性 試 験,皮 膚 刺 激 試 験,使 用 実 態 調 査 お よび 食 器 へ の 残 留 量 検 査 な ど に若 干 の 知 見 を加 えて 考 察 した 結 果 以 下 の 結 論 を得 た 。 合 成 洗 剤 の使 用 実 態 調 査 か らは,使 用 率 は どの 年 も90%以 上 の 高 率 で,台 所 で の 合 成 洗 剤 の 役 割 が 明 らか とな った 。 しか しな が ら野 菜 ・果 物 等 直 接 摂 食 す る食 品 には使 用 しな い 人 が 多 く,有 害 性 に対 す る不 安 が潜 在 して い る こ とが 明 らか と な っ た 。 また洗 剤 に よ る手 荒 れ を経 験 して い る人 が 非 常 に多 か っ た 。 使 用 実 態 調 査 結 果 よ り得 られ た この 事 実 は,食 品 と と も に残 留LASが 摂 取 され る可 能 性 を 示 唆 して い る。 食 器 へ のLAS残 留 量 に つ い て は次 の 考 察 が 得 られ た 。 一 般 家 庭,各 種 飲 食店,給 食 施 設 の 食 器 の 残 留 量 に差 異 が大 き く,最 も残 留 が 少 な い は ず の一 般 家 庭 で か な り高 濃 度 残 留 して い る こ とが 明 らか で あ る。 次 に洗 剤 残 留 の 差 異 の 因 子 と して は,洗 浄 法,洗 浄 濃 度,食 器 の 材 質,キ ズ の 有 無,油 脂 付 着 の 有 無,お よび 食 器 に 入 れ る料 理 別 な どの 因 子 が 交 絡 して 食 器 へ のLAS残 留 量 に 大 きな 影 響 を与 え て い る とい え る。 さ らに今 回,残 留 量 を減 少 させ る洗 浄 法 に つ い て再 検 討 した 結 果,洗 浄 温 度 が高 い ほ ど 残 留 量 が 減 少 し,常 温 で の 水 洗 後,高 温 で 温 水 処 理 を行 な う こ とに よ り大 巾 に残 留 量 を減 少 し得 る こ とが 判 明 した 。 以 上 の こ とか ら多 くの 人 が,洗 剤 の 有 害 性 に何 らか の 不 安 を抱 きな が ら も,使 用 法 の 簡 便 さか ら食 器 洗 い に は使 用 して い る こ とが 明 らか とな り,ま た 食 器 の残 留 につ いて は,消 費 者 の 大 き な盲 点 で あ っ て,洗 剤 の 使 用 濃 度 や す す ぎの 回数,食 器 の材 質,キ ズ な どが,

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大 き な 因 子 と な っ て い る こ とを考 慮 しな け れ ば な らな い 。 高 濃 度 残 留 を防 ぐ方 法 と して は 最 も基 本 的 な,洗 剤 の使 用 基 準 を守 り,す す ぎ を十 分 に し,さ らに熱 湯 処 理 を 行 な え ば, LAS残 留 量 は 大 巾 に減 少 し得 る と い え よ う。 ま た,そ れ らに よ り慢 性 毒 性,皮 膚 刺 激 性 な どの 有 害 性 に対 す る 自 己 防衛 も出 来,ま た 一 方 で は環 境 汚 染 防 止 の 点 か ら も重 要 な こ とで あ ろ う。 最 後 に本 研 究 に際 し終 始 御 指 導 下 さ い ま し た 山 中す みへ 博 士 に深 謝 致 します 。 ま た本 論 文 を御 校 閲 下 さ い ま した 並 木 貞博 士 に感 謝 致 しま す 。

文 献

1)森,三 戸 著:野 生 ザ ル の 王 国,講 談 社,1976. 2)柳 沢 文 正,文 徳:お 茶 の 水 医 学 会,1963. 3)今 木 他:洗 剤 の 科 学,ド メ ス 出 版,1971. 4)荻 野:合 成 洗 剤 の 知 識 と そ の 周 辺,幸 書 房, 1978. 5)富 山:化 学 洗 剤 と そ の 周 辺,南 江 堂,1978. 6)日 本 地 域 社 会 研 究 所 編:洗 剤 公 害 レ ポ ー ト, 日 本 地 域 社 会 研 究 所,1978. 7)富 山:食 品 衛 生 研 究,Vo1.26,No.ll,1972. 8)大 場:油 化 学,Vol.24,No.ll,1975. 9)原:油 化 学,Vol.24,No.11,1975. 10)科 学 技 術 庁 研 究 調 整 局:中 性 洗 剤 特 別 研 究 報 告,各 論1∼V,昭 和38年,総 論,昭 和40年) 11)著 者 他:文 教 大 学 紀 要 第9集,P.351975. 12)著 者:文 教 大 学 紀 要 第11集,P.911976. 13)著 者:文 教 大 学 紀 要 第12集,P.691978. 14)著 者:生 活 科 学 研 究 第1集,P.411978. 15)国 民 生 活 セ ン タ ー:合 成 洗 剤,5,149, 1973. 16)消 費 科 学 連 合 会:合 成 洗 剤 使 用 実 態 調 査 報 告 書,昭 和48年3月 17)東 京 都 民 生 活 局:東 京 都 消 費 生 活 モ ニ タ ー ・ア ン ケ ー ト集 計 結 果 報 告 書 昭 和52年 18)国 民 生 活 セ ン タ ー:第9回 国 民 生 活 動 向 調 査 結 果 報 告 書 昭 和54年3月 19)春 日部 消 費 生 活 セ ン タ ー:春 日 部 消 費 生 活 セ ン タ ー 報 告 書 昭 和52年 20)埼 玉 県 生 活 福 祉 部:消 費 生 活 相 談 ・苦 情 及 び 試 買 テ ス ト事 例 集 昭 和53年10月 21)兵 庫 県 立 柏 原 生 活 科 学 セ ン タ ー:合 成 洗 剤 実 態 調 査 結 果 昭 和49年 22)Hodge,H.C.andSterner,J.H AmericanIndustrialHygieneAssoci-ationQuaterly;10.93,1943. 23)平 他:食 品 衛 生 研 究,Vo1.25,No.2,1975. 24)藤 原,渡 辺 他 総 編 集,総 合 衛 生 公 衆 衛 生 学, 南 江 堂,1979,p.791∼797,柳 沢,中 性 洗 剤 特 論. (1979年9月28日 受 付)

参照

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