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NIMS賞受賞者決定、NIMSコンファレンス 2014にて授賞式と記念講演を開催

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同時発表: 筑波研究学園都市記者会(資料配布) 文部科学記者会(資料配布) 科学記者会(資料配布)

NIMS 賞受賞者決定、NIMS コンファレンス 2014 にて授賞式と記念講演を開催

~高分子産業界を席巻した革新的な高分子の製造方法「精密重合法」の確立を評価~ 平成26 年 5 月 20 日 独立行政法人物質・材料研究機構 概 要 独立行政法人物質・材料研究機構(理事長:潮田 資勝(以下、NIMS))は、世界最先端の研究 者を招き、材料科学・ナノテクノロジー・環境・エネルギー関連の様々な問題を議論し、最新の研 究成果を発表する国際会議「NIMS コンファレンス」を開催しております。第 11 回目となる平成 26 年度は“ソフトマテリアルが拓く未来社会”を主題とし、7 月 1 日(火)~7 月 3 日(木)の 3 日間、つくば国際会議場にて開催します。本コンファレンスでは、物質・材料に関わる科学技術に おいて優れた業績を残された研究者にNIMS 賞を授与しております。今回のソフトマテリアルのテ ーマに沿って世界各国のトップ科学者から68 名の候補者をノミネートし、中立な立場の有識者で 構成された委員会により厳正に最終選考を行った結果、精密重合と機能性高分子の精密合成法の確 立に多大なる貢献をされている京都大学の澤本光男教授および原子移動ラジカル重合を開発され たカーネギーメロン大学のProf. Krzysztof Matyjaszewski の 2 氏に受賞者が決定いたしました。 NIMS コンファレンスにおける受賞セレモニーの後、受賞記念講演が行われる予定です。 なおNIMS コンファレンスについては以下のとおりです。 日程:7 月 1 日(火)~3 日(木)(NIMS 賞授賞式、受賞記念講演は 7 月 1 日) 場所:つくば国際会議場(エポカルつくば) http://www.nims.go.jp/nimsconf/2014/ この会議では、環境、エネルギー関連分野へ貢献し、高分子、コロイド、生体分子に代表される 未来社会を拓くソフトマテリアルを展望し、本研究分野の発展、一層の活性化を促進することを目 的としております。 金属やセラミクスなどのハードマテリアルに対する概念であるソフトマテリアルは、ゴム、プラ スチック、液晶、ゲルなどに代表される様に、そのサイズ、形状、機能も多岐にわたります。また、 衣料品、自動車、表示材料、免震ゴム、コンタクトレンズ、光ファイバや有機EL など現代社会を 支える重要な材料であるソフトマテリアルは、その活躍の場および社会からの要求は急速に拡大し ています。 今回のNIMS コンファレンスでは、有機・高分子材料に関連する基礎科学、光・電子機能の解明 と材料応用、生体材料としてのインターフェイス、ならびに環境、エネルギー関連分野へ貢献する

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NIMS コンファレンス 2014

2014 年 NIMS 賞受賞者

(アルファベット順)

Department of Chemistry

1. Prof. Krzysztof Matyjaszewski

Carnegie Mellon University (1)研究分野: 高分子化学、高分子精密合成 (2)研究成果の名称: 原子移動ラジカル重合(ATRP)の開発 (3)研究成果の概要 高分子の合成法の一つであるラジカル重合は、反応条件、モノマーなどの多様性から、工業的に も広く用いられる最も一般的な重合法である。しかし、反応を進行させるラジカル種は活性が高く、 制御が難しいため、高分子構造の精密制御には不向きとされてきた。Matyjaszewski氏は、この問 題点を解決できる重合方法である原子移動ラジカル重合(Atom Transfer Radical Polymerization, ATRP)[1] Matyjaszewski 氏は、これまでに日本の大学や企業から、約 20 人の日本人留学生および客員研 究員を受け入れており、人材育成や共同研究に多くの尽力と貢献をしている。さらに、重合手法の ライセンス供与やコンソーシアムを通じて、日本を含む世界中の企業への技術提供を行っており、 産業界へのさらなる波及効果が期待される。以上の理由から、高分子精密重合に関する新しい概念 NIMS アワードを贈り、今後、さらなるソフトマテ を世界に先駆けて開発した。ATRP法では、銅錯体の一電子酸化還元反応を重合機構に取 り込み、ハロゲン原子が重合成長末端を可逆的に活性化させることで、重合反応を制御できる。さ らに、触媒として作用する銅錯体の配位子を設計することで触媒活性を調整することができ、多種 多様なモノマー原料からの精密重合を可能とした。ATRP法の開発により、様々な分子量・組成・ 機能部位・形状をもつ高分子の合成が容易になり、高分子精密合成や有機合成分野のみならず、材 料科学、生命科学分野にも大きな変革をもたらした。一般化されたプロセスで機能性高分子の作成 が可能なATRP法は、1995 年の発表以降、2012 年までに 12,000 報を超える関連論文が報告されて いる。同氏自身もATRP法の開発および応用に関して 800 報を超える論文を発表し、総被引用件数 は60,000 回を超える(1995 年の初報は被引用件数3000 回以上)。近年では、極めて低濃度(数ppm) の触媒下での重合条件を見出すなど、環境問題にまで十分に考慮された社会的インパクトの大きい 研究を展開し、高分子化学・合成分野において世界を牽引し続けている。

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2. 澤本光男

京都大学大学院工学研究科高分子化学専攻 教授 (1)研究分野: 高分子化学、高分子精密合成 (2)研究成果の名称: 精密重合と機能性高分子の精密合成法の確立 (3)研究成果の概要 高分子化学において基礎と応用の両面から、分子量や機能基の配置など一次構造が厳密に制御さ れた高分子が広く求められている。これには重合の精密制御が不可欠であるが、従来法では重合中間 体の性質により副反応が起こりやすく、制御が困難であった。澤本氏は、精密制御が特に困難と考え られていたカチオン重合およびラジカル重合において、副反応が抑制された精密重合法である“リビ ング重合[2] リビングカチオン重合では、不安定炭素カチオンを炭素-ハロゲン結合など共有結合種に変換する ことで安定化させ、これをルイス酸 ”を世界に先駆けて開発した。 [3]により可逆的に活性化する新手法を開発した。リビングラジカ ル重合では、ルテニウムや鉄を中心とする遷移金属錯体を触媒として、炭素-ハロゲン結合を可逆的 に活性化する手法を確立し、世界初の金属錯体によるリビングラジカル重合を実現した。この2つの リビング重合法の開発を通じて築いた“休止種[4] 澤本氏の開発したリビング重合法は、多くの関連研究を触発し、高分子化学のみならず、有機合成、 生物、医学、材料科学等に波及している。また、産学連携の重要性を認識した研究展開も行っており、 例えば、澤本氏が開発した精密重合技術により合成された分子量、末端基、側鎖機能基などの一次構 造が正確に設計・制御されたブロック共重合体 による重合制御”の概念は、精密重合の一般原理とし て現在では広く認められている。 [5]、熱可塑性エラストマー[6] 1997-2001年総被引用回数日本1位、世界3位、総引用数12,000回以上、リビングラジカル重合の 第一報の被引用回数2,200回以上という突出した業績が示すように、澤本氏は高分子合成の先駆け的 存在である。これら総合すると、学術界のみならず産業界にも影響力を有し、日本の科学技術政策を 左右する物質・材料研究者の一人として、今後も高分子・ソフトマテリアル研究分野への多大なる貢 献が期待される。NIMSコンファレンス開催の機会に、これらの業績に対し澤本氏にNIMSアワード を授与し、功績を称えるものである。 、星型ポリマーなどの新 しい高分子材料においては、グローバルな産学官の実用化研究が展開されている。

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【NIMS 賞および NIMS コンファレンス 2014 に関するお問い合わせ先】 〒305-0047 茨城県つくば市千現 1-2-1 独立行政法人物質・材料研究機構 外部連携部門 学術連携室 学術交流チーム 八月朔日 早苗 TEL:029-859-2890 FAX:029-859-2161 E-mail: HOZUMI.Sanae@nims.go.jp 【報道対応】 独立行政法人物質・材料研究機構 企画部門広報室 TEL:029-859-2026

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用語説明

1) 原子移動ラジカル重合(Atom Transfer Radical Polymerization, ATRP)

Matyjaszewski氏が開発したリビングラジカル重合法2)の一つ。一般式は銅錯体(CuX/L)の一 電子酸化還元反応を含む式(1)のように表される。重合を進行させるラジカル種(Pn)は、 休止種4)Pn-X)からハロゲン原子(X)が引き抜かれることにより生成し、モノマー(M)に 付加して重合が進行する。平衡反応は安定な休止種側に偏っており、反応系中のラジカル濃度 を低く保つことで重合反応がリビング的に進行する。 2) リビング重合 長さの揃った高分子を精密につくる合成法の一つ。リビング重合では、反応が伸長していく高 分子の末端が常に活性(生きている:living)状態のため、原料が消費されても新たに原料加え ることで高分子の伸長反応を進めることができる。リビング重合の確立以来、高分子合成法で は困難であった長さや形が揃った高分子を作ることができるようになった。 3) ルイス酸 非共有電子対を持っておらず、これを受け取る事が出来る物質のこと。電子対受容体ともいう。 リビングカチオン重合では、ヨウ素やヨウ化亜鉛などの弱いルイス酸を触媒として用いること で、重合が伸長する末端を活性化する。 4) 休止種 ある化学種が反応を休止した状態にあることを休止種(ドーマント種)という。この休止種は 触媒等が作用することで、反応可能な活性種(アクティブ種)に可逆的に変換できる特徴があ る。ドーマント種が安定かつ、その数がアクティブ種に比べて多く、また、ドーマント種から アクティブ種への変化が一瞬で進行する場合、リビング重合の特徴であるポリマーの長さの制 御などが可能になる。 5) ブロック共重合体 2種類以上の原料からなる高分子のうち、同種の単量体が長く連続した部分(ブロック)を構 成しているもの。原料の種類を選ぶことで特異かつ様々な相分離構造を作ることから、ボトム アップ型の微細加工などに用いられる。 6) 熱可塑性エラストマー

参照

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