利用実証への期待
-情報化施工への適用に向けて-
日本大学理工学部
社会交通工学科
佐田 達典
第8回 衛星測位と地理空間情報フォーラム
2010年9月21日
1.情報化施工とRTK測位
情報化施工:設計データと実施工データを常時比較して工
事を進めてゆく施工技術
RTK(Real-time Kinematic)測位技術の導入
高精度(20mm)
リアルタイム性が高い(20Hz)
課題(操作性)
・高精度測位には初期化が必要(5基以上の衛星受信)
・3基以下では測位精度が大幅に劣化、再初期化必要
準天頂衛星
GPSと相互運用性を持つ準天頂衛星によって、衛星数の
増加による効果(安定した測位)が期待される
衛星測位を用いた情報化施工の例(施工機械)
振動ローラ
車載モニタ
3D-MC GPSドーザー 3D-MC GPSショベル
3次元マシンコントロールシステム
締固め管理システム
出典:トプコンHP4
衛星測位を用いた情報化施工の例(工事測量)
基礎杭位置決め作業を 効率化
着
工
位置出し等の
準備期間 本
工
事
開
始
大幅短縮
基礎杭の図面 基礎杭の打設
RTK測位による誘導
目標点
現在位置
12533.35
12533.35
12533.35
1275.25
1275.25
2.準天頂衛星システムを導入した
場合のRTK測位シミュレーション
準天頂衛星の情報化施工への適用効果を検討するため
移動体観測における連続的な高精度測位(RTK測位)
を対象とした推定を実施。
紹介内容は(財)衛星測位利用推進センターからの委託
研究成果の一部である。
6
ID
Health
Eccentricity 0.7115840912 E-002
Time of Applicability (s)
Orbital Inclination (rad)
Rate of Right Ascen (r/s) -0.7712515071 E-008
SQRT(A) (m 1/2)
Right Ascen at Week (rad) -0.1291834712 E+001
Argument of Perigee (rad)
Mean Anom (rad) -0.2380016565 E+001
Af0 (s) 0.1726150513 E-003
Af1 (s/s) 0.3637978807 E-011
week
0.9908466339
5153.555176
-1.794147491
433
01
000
589824.0000
******** Week 433 almanac for PRN-01 ********
図 アルマナック航法ファイル(YUMAフォーマット) 図 ケプラーモデル概念図
• 可視衛星数の推定
① 可視衛星数は軌道情報を基にしたケプラーモデルから
受信機から観測できる衛星を算出する。
② 周辺障害物の情報を適用して間引きする。
RTK測位シミュレーションの構築
測位開始条件:
可視衛星数5基以上かつPDOP6.0以下
測位継続条件:
可視衛星数4基以上かつPDOP6.0以下
未初期化
初期化済
可視衛星数4機以上
かつPDOP6.0以下
可視衛星数4機未満
またはPDOP6.0以上
可視衛星数5機以上
かつPDOP6.0以下
可視衛星数5機未満
またはPDOP6.0以上
測位利用可能時間の加算
初期化済判定
初期化済取り消し
測位持続判定
初期化不可
初期化可実行
初期化可否判定
可視衛星数の推定
シミュレーション終了
終了時刻の判定
t=t+1
シミュレーションの継続
t=0
RTK測位シミュレーション
の処理フロー
10
• 準天頂衛星の軌道要素の算出
準天頂衛星の軌道要素は準天頂衛星インターフェイス仕様書と
軌道推定ソフトAGI-STK(Satellite Tool Kit)を用いて算出した
表 準天頂衛星のケプラー軌道要素
図 準天頂衛星システムの衛星軌道
(AGI-STKによる算出結果)
準天頂衛星の適用
QZSS1 QZSS2 QZSS3
元期(ToE)
軌道半径(A)
離心率(e)
軌道傾斜角(i)
近地点引数(ω)
昇交点赤経(Ω) 225deg 105deg 345deg
平均点角(M) 0deg 120deg 240deg
1 Jan 2010 17:15:25.000 UTCG
45deg
42164km
0.075
270deg
10
準天頂衛星システム導入効果の検討
シミュレーション内容
「GPSのみ」を使用した場合と
「GPSと準天頂衛星3基を併
用」
した場合のRTK測位利用可能時間の変化から準天頂
衛星の導入効果を検討する
シミュレーション条件
推定期間
: 平成22年1月8日午前0時から24時間
観測点 : 札幌、東京、明石、福岡、那覇
観測環境 : 市街地、住宅地、山間部
推定値
: RTK測位利用可能時間
: 有効測位利用可能時間
準天頂衛星システム導入効果の検討
観測環境(市街地)
15
m
20m
建
物
建
物
市街地
E
N
S
W
RTK測位利用可能時間のうち
8分未満(移動ルート1周の所要時間)を除いたものを
有効利用可能時間とした
12
シミュレーション結果
市街地
RTK測位利用可
RTK測位利用不可
市街地ではRTK測位利用可能時間率が
26.99%増加した。
0 0
.
0
4
1
6
…
0
.
0
8
3
3
…
0
.
1
2
5
0
.
1
6
6
6
…
0
.
2
0
8
3
…
0
.
2
5
0
.
2
9
1
6
…
0
.
3
3
3
3
…
0
.
3
7
5
0
.
4
1
6
6
…
0
.
4
5
8
3
…
0
.
5
0
.
5
4
1
6
…
0
.
5
8
3
3
…
0
.
6
2
5
0
.
6
6
6
6
…
0
.
7
0
8
3
…
0
.
7
5
0
.
7
9
1
6
…
0
.
8
3
3
3
…
0
.
8
7
5
0
.
9
1
6
6
…
0
.
9
5
8
3
…
1
時刻(時:分)
札幌GPS
札幌GPS
+QZSS
東京GPS
明石GPS
福岡GPS
那覇GPS
東京GPS
+QZSS
明石GPS
+QZSS
福岡GPS
+QZSS
那覇GPS
+QZSS
552
829
521
876
535
871
566
948
365
958
利用可能時間(分)
0:
00 6:
00 12:00 24:
00
18:
00
時刻(時:分)
シミュレーション結果
市街地
初期化回数が減少し、有効利用可能時間増加したことから
RTK測位を安定して利用できるようになると考えられる
仰角マスク
シミュレーション時間(分)
利用可能時間(分)
利用可能時間率(%)
有効利用可能時間(分)
有効利用可能時間率(%)
RTK初期化回数(回)
項目 平均 標準偏差 平均 標準偏差
可視衛星数(基) 4.86 1.41 6.98 1.53
持続時間(分) 1.87 4.50 3.75 10.47
10.72 39.61
281.20 241.00
507.80 896.40
35.26 62.25
154.40 570.40
GPSのみ GPS+QZSS
市街地
1440
14
準天頂衛星システム導入効果の検討
観測環境(住宅地)
15m
6m
住宅 住宅
160m
80m/分
1
6
0
m
住宅
N
160m
80m/分
1
6
0
m
住宅
160m
80m/分
1
6
0
m
住宅
N
N
E
N
S
W E
N
S
W
住宅地 A
E
N
S
W E
N
S
W
住宅地 B
可視衛星数は、観測環境の影響を大きく受けるため、
住宅地では非遮蔽方向を4方位とするマスクAと
非遮蔽方向をマスクAから方位角45度ずらした
マスクBを使用した。
シミュレーション結果
住宅地マスクA・マスクB
RTK測位利用可能時間率が住宅地マスクAでは11.26%、マスク
Bでは4.13 %増加した。
E
N
S
W E
N
S
W
住宅地A
住宅地B
E
N
S
W E
N
S
W
0:
00 1:00 2:00 3:00 4:00 5:00 006: 7:00 8:00 9:00 10:
00 11:
00 0012: 13:
00 14:
00 15:
00 16:
00 17:
00 0018: 19:
00 20:
00 21:
00 22:
00 23:
00 0:00
時刻(時:分)
1382
1248
1292
1224
1226
1261
1438
1410
1414
1418
利用可能時間(分)
札幌GPS
+QZSS
東京GPS
札幌GPS
那覇GPS
福岡GPS
明石GPS
那覇GPS
+QZSS
福岡GPS
+QZSS
明石GPS
+QZSS
東京GPS
+QZSS
0:
00 1:00 2:00 3:00 4:00 005: 6:00 7:00 8:00 9:00 10:
00
1
1:
00
12:
00
13:
00
14:
00
15
:00
16
:00
17
:00
18
:00
19
:00
20:
00
21:
00
22:
00
23:
00
0:
00
時刻(時:分)
1420
1380
1325
1390
1400
1364
1432
1434
1434
1436
利用可能時間(分)
札幌GPS
+QZSS
東京GPS
札幌GPS
那覇GPS
福岡GPS
明石GPS
那覇GPS
+QZSS
福岡GPS
+QZSS
明石GPS
+QZSS
東京GPS
+QZSS
16
シミュレーション結果
山間部
山間部ではRTK測位利用可能時間率が23.31%増加
した。
0:
00 1:00 2:00 3:00 4:00 005: 6:00 7:00 8:00 9:00 10:
00
1
1:
00
12:
00
13
:00
14:
00
15
:00
16:
00
17:
00
18:
00
19:
00
20:
00
21:
00
22:
00
23:
00
0:
00
時刻(時:分)
1336
1047
1108
994
1005
1079
1432
1384
1380
1379
札幌GPS
+QZSS
東京GPS
札幌GPS
那覇GPS
福岡GPS
明石GPS
那覇GPS
+QZSS
福岡GPS
+QZSS
明石GPS
+QZSS
東京GPS
+QZSS
利用可能時間(分)
RTK測位利用可
RTK測位利用不可
E
N
S
W
山間部
18
シミュレーション結果
観測点に関する考察
「GPSのみ」
観測位置 市街地 住宅地A 住宅地B 山間部
札幌 38.3 90.1 92.0 76.9
東京 36.2 86.3 92.4 72.7
明石 37.2 87.6 94.7 74.9
福岡 39.3 85.1 97.2 70.0
那覇 25.3 85.0 96.5 69.0
観測位置 市街地 住宅地A 住宅地B 山間部
札幌 57.6 96.0 98.6 92.8
東京 60.8 98.1 99.7 95.8
明石 60.5 98.2 97.2 95.8
福岡 65.8 97.9 99.6 96.1
那覇 66.5 99.9 98.8 99.4
「GPS+QZSS」
観測位置 市街地 住宅地A 住宅地B 山間部
札幌 19.2 5.8 6.6 15.8
東京 24.7 11.8 7.4 23.1
明石 23.3 10.6 2.5 20.9
福岡 26.5 12.8 2.4 26.1
那覇 41.2 14.9 2.2 30.4
増加量
表 RTK測位利用可能時間率(%)
まとめ
①
RTK測位シミュレーションを構築した
②準天頂衛星はRTK測位の利用可能時間を著しく
増加させることを確認した。
③既にRTK測位が利用できる地域においても、準天
頂衛星システムが
RTK測位の利用を安定させる
効果があることを確認した。
20
①静止時実験
周辺環境(障害物)を数種類設定して観測する。
電子基準点を用いたスタティック測量値と比較する。
通常のRTK測位との比較を行う。
3次元点群データによる船橋キャンパス鳥瞰図
静止観測
22
②低速移動時実験
セグウエイを使用 (走行速度:3km/h~20km/h)
走行ルートを数種類設定(東西方向、南北方向)
自動追尾型TS、通常のRTK測位との比較
船橋キャンパス内の走行路 セグウエイによる走行
23
③QZSのGPS補完効果の検証
実験時に天頂付近を通過するGPS衛星の一つをQZS
とみなし、その衛星の電波受信をオンとする場合とオ
フとする場合とで測位解種類と測位誤差を比較する。
擬似的にQZSのGPS補完機能の効果を推定する。
GPS衛星をQZSとみなす
ON/OFFで比較
:GPS衛星
北
東
南
西
G07
G13
G23
G19
G03 G06
G16
G24
G31
G21
天空図の例
24