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( ) 1., ([SU] ): F K k., Z p -, (cf. [Iw2], [Iw3], [Iw6]). K F F/K Z p - k /k., Weil., K., K F F p- ( 4.1).,, Z p -,., Weil..,,. Weil., F, F projectiv

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Academic year: 2021

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代数体と函数体の類似

八森 祥隆 (学習院大理学部数学科) 1. 序 代数体が一変数代数函数体と類似していることは古くから知られていたが, 中でも有限 体上の函数体とは多くの類似点がある ([SU] 等を参照): 有限体 F 上の函数体 K ⇐⇒ 代数体 k. 岩澤も, 代数体の Zp-拡大の理論を建設していく中で, 函数体の理論との類似に気付いて

いったようである (cf. [Iw2], [Iw3], [Iw6]). それが

代数閉体への係数拡大 K ⊗FF/K ⇐⇒ 円分 Zp-拡大 k∞/k という類似である. さて, 函数体における著しい結果は Weil の定理である. それは標語的に書くと, “K の合同ゼータ関数は行列式表示をもつ” という事実であった. このことを少し言い替えると, 係数拡大体 K ⊗FF の最大不分岐アー ベル p-拡大の構造についての命題となる (定理 4.1). そして, この見方で見たときの, 代 数体の Zp-拡大の理論における類似物が, 岩澤主予想であると言える. 本稿の目的の第一は, 函数体におけるこの Weil の定理を紹介することである. そして それがどのように岩澤主予想と類似しているかを説明する. 補足として, 函数体において 成り立つ他のいくつかの事実と, その代数体における類似についても簡単に触れる. Weil の定理の証明には代数幾何的な視点が必要であった. 即ち, 有限体 F 上の一変数 代数函数体は, ある F 上定義された projective smooth な代数曲線 C の函数体であると いう事実である. そして, C のヤコビ多様体 Jac(C)/F の等分点が本質的に重要な役割を もつ. 他方, 代数体には曲線とヤコビ多様体の理論がないので, 岩澤主予想の証明には全 く別の方法が必要である (青木, 栗原氏の記事を参照). 以下の構成は次の通りである: まず §2 において函数体, §3 において有限体上の函数体 の合同ゼータ関数の復習をする. §4 では主定理を述べ, それが岩澤主予想とどのように類 似しているかを説明する. §5 で代数曲線とヤコビ多様体について復習し, ヤコビ多様体の Tate 加群と合同ゼータ関数の関係についての Weil の理論を紹介する. §6 において, 代数 閉体上の函数体について成り立ついくつかの事実と, 代数体における類似について簡単に 述べる. 最後に §7 では, 函数体で Zp-拡大を考えるとどうなるかを見る. 2. 函数体の復習 代数函数体の基本事実について復習する. 詳しくは [Iw1] 第 2 章を参照のこと. 2.1. 函数体と因子類群. K を 体 k 上の代数函数体とする. 代数函数体とは, k 上超越次 元 1 の有限生成拡大体で, k は K 内で代数的閉である体のことである. 即ち, K は有理 1

(2)

関数体 k(t) の有限次代数拡大であり, その代数的閉包 K のなかで K ∩ k = k となってい る体のことをいう. K の素点 (素因子) v とは, k 上自明な K 上の離散付値 (の同値類) のことである. この とき v の剰余体 κ(v) は k の有限次拡大となるが, その次数 [κ(v) : k] を deg(v) と書く. K の因子群 D(K) とは, 素点全体を生成元とする形式的自由アーベル群 D(K) := M v:素点 Zv のことである. f ∈ K× と素点 v に対し, ordv(f ) ∈ Z を対応させることにより, 写像 div : K× → D(K) が定義される. この余核を因子類群と言い, Cl(K) と書く. P =Pvnvv ∈ D(K) に対し, deg(P ) := P vnvdeg(v) と定義するとき, deg(P ) = 0 と なるものを, 次数 0 の因子といい, その全体を D0(K)(⊂ D(K)) と書く. このとき実は div(K×) ⊂ D 0(K) である. そこで, Cl0(K) := D0(K)/div(K×) とおき, 次数 0 の因子類群と呼ぶ. 定義により次が完全である. 0 → Cl0(K) → Cl(K) → Z. この Cl0(K) が代数体のイデアル類群の類似物と考えられる. K の種数とは, 次のように定義される: P ∈ D(K) に対し, l(P ) := dimk{f ∈ K×|div(f ) + P ≥ 0} ∪ {0} (但し Pvnvv ≥ 0 とは全ての v で nv ≥ 0 なること) とおく. 全ての P ∈ D(K) を走る ときの, deg(P ) − l(P ) + 1 の最大値のことを K の種数という. K の代数拡大 L を考えよう. L が有限次拡大ならば, k0 を L での k の代数閉包とする と, L は k0 上の函数体である. 故に L 上の素点, 因子群, 因子類群等も定義することがで きる. また, 素点の延長に関して分解や分岐などの概念が定義されることは代数体の場合 と同様である. K 上の有限次拡大 L, L0 の間の単射 L ,→ L0 に付随して, 写像 Cl(L) → Cl(L0), Cl0(L) → Cl0(L0) が定義される. 特に L/K がガロア拡大なら, Cl(L) らは Gal(L/K) 加 群である. また, ノルム写像 NL/K : Cl(L) → Cl(K), NL/K : Cl0(L) → Cl0(K) も定義さ れる。 L/K が有限次とは限らない拡大とする. L の素点とは, K の素点の延長になっている ような L の付値のことを言う. このような付値は k の代数拡大体の上では自明になるの で, L/K が有限次拡大の場合には上の定義と一致する. これに対し, 分解や分岐が同様に 定義できる. L の因子類群を Cl(L) := lim−→ M Cl(M), Cl0(L) := lim−→ M Cl0(M) により定義する. 但し, M は L の部分体で, K 上有限次拡大であるものを走るものとする. 2

(3)

特に, 代数閉包 K 内において, k の有限次とは限らない代数拡大 k0 との合成体 Kk0考えると, K ∩ k0 = k であるから, Kk0 ∼= K ⊗kk0 であり, Kk0 は k0 上の函数体となる. こ のような拡大を係数拡大と言う. Kk0/K は不分岐拡大である. k0 上の函数体と思って定 義した Cl0(Kk0) と, 上のように順極限で定義したものは一致する. 即ち, Cl0(Kk0) = lim−→ k⊂k00⊂k0 Cl0(Kk00) である. 2.2. クンマー理論と因子類群. p を素数とする. k 上の代数関数体 K に対し, K× ZQp/Zp の部分群 V (K) を, V (K) := {f ⊗ (1/pn) ∈ K×⊗ Q p/Zp| 全ての v に対し, ordv(f ) は pn の倍数 } と定義する. f ⊗ (1/pn) ∈ V (K) に対し, Pv(ordv(f )/pn)v を対応させることにより, 写像 V (K) → Cl0(K)[p∞] が定義される. これは全射であり, 核は k×⊗ZQp/Zp である. 即ち, 完全列 (2.1) 0 → k× ZQp/Zp → V (K) → Cl0(K)[p∞] → 0 が存在する. 以下, k の標数は p と異なるものとする. 更に k は 1 の p 巾乗根全てを含むと仮定する: µp∞ ⊂ k. K の最大不分岐アーベル p-拡大 Kur,p を考える. クンマー理論により, 完全対 (2.2) V (K) × Gal(Kur,p/K) → µ p∞ が, (f ⊗ (1/pn), σ) 7→ σ( pn√f )/ pn√f により定義される (全ての素点の剰余体の標数が p と 異なることに注意). 故に

(2.3) Gal(Kur,p/K) ∼= Hom

Zp(V (K), µp∞).

ZQp/Zp = 0 ならば, (2.1) より, V (K) ∼= Cl0(K)[p∞] であり, (2.3) とあわせて, 同型

(2.4) Gal(Kur,p/K) ∼= HomZp(Cl0(K)[p

], µ p∞)

を得る.

K0 を K の部分体で K/K0 がガロア拡大となるものとすると, (2.2) は Gal(K/K0)-同変

な対であり, (2.3), (2.4) は Gal(K/K0)-同型となる. 但し Gal(Kur,p/K) には Gal(K/K0)

を共役で作用させる.

3. 有限体と合同ゼータ関数

有限体上の函数体の合同ゼータ関数について復習する. 詳細は [We2], [SU] 参照. 次い で, 類体論を復習する.

(4)

3.1. 合同ゼータ関数. F を有限体とし, K を F 上の函数体とする. このとき次のことはよ く知られている. 定理 3.1 (cf. [SU] 命題 6.92). Cl0(K) は有限アーベル群である. さて, K の合同ゼータ関数とは, Re(s) > 1 に対して, ζK(s) := Y v:素点 (1 − ]κ(v)−s)−1 で定義される複素関数である. 但し, κ(v) は v の剰余体とする. これは代数体のデデキン トゼータ関数の類似物であり, 次のような事実が成り立つ.

定理 3.2 (Hasse-Weil, cf. [We2] Chap. VII §7 Theorem 4). K の種数を g とする. q = ]F とおく. (i) ある 2g 次の整数係数多項式 PK(T ) ∈ Z[T ] が存在して, ζK(s) = PK(q −s) (1 − q−s)(1 − q1−s) である. この PK(T ) を ζK(s) の主要部と呼ぶ. (ii) 次の関数等式が成り立つ: PK(T ) = qgT2gPK µ 1 qT. (iii) PK(0) = 1, PK(1) = ]Cl0(K) である. 3.2. 類体論. この節は §7 のみで必要である. 函数体と代数体との類似の一つに類体論の 存在がある. K の最大不分岐アーベル拡大 Kur を考える. 代数体の場合と異なるのは, 係 数体の拡大 KF が K 上の無限次不分岐拡大であることである. 定理 3.3 (cf. [SU] 命題 8.12). 相互写像 ρK : Cl(K) → Gal(Kur/K) が v 7→ Frobv (v についての Frobenius 写像) により定義される. これは単射であり像は dense である. また, Cl0(K) への制限により, 次の同型を得る: ρK,0 : Cl0(K) ∼= Gal(Kur/KF). また, 有限次拡大 L/K を考えると L も有限体上の代数函数体であるから, 定理 3.3 が 成立つ. 次の事実も代数体の場合と同様である. 定理 3.4 (cf. [SU]). 有限次拡大 L/K に対し, ノルム写像 NL/K : Cl0(L) → Cl0(K) と制 限写像 Gal(Lur/LF) → Gal(Kur/KF) は上の相互写像 ρK,0, ρL,0 と可換である. 4

(5)

4. 主定理とその岩澤理論における類似 有限体 F 上の函数体 K に対し, 代数閉体への係数拡大 KF(∼= K ⊗FF) を考える. これ は, F の標数を ` としたとき, K に 1 の ` と素な巾根を全て付加した体である: (4.1) KF = ∪`-nK(µn). 自然な同型 Gal(KF/K) ∼= Gal(F/F)

があるから, Gal(F/F) の Frobenius 元の Gal(KF/K) への持ち上げを Frob と書く.

p を F の標数と異なる素数とする. KF の最大不分岐アーベル p-拡大を KFur,p と書く. Y (K) := Gal(KFur,p/KF) とおく. Gal(KF/K) は Y (K) に共役で作用する. 次が本稿で紹介すべき主定理である. 定理 4.1 (Weil). (i) g を K の種数とすると, Zp 加群として Y (K) ∼= Z2gp . (ii) PK(T ) を K の合同ゼータ関数の主要部 (定理 3.2 (i)) とすると, PK(T ) = det(1 − FrobT : Y (K) ⊗ZpQp). 以下, 岩澤理論との類似について説明する. k := Q(ζp) と置き, k∞/k を円分 Zp-拡大とする. 即ち, k∞ = k(µp∞) である ((4.1) と比 較せよ). kur,p を k∞ 上の最大不分岐アーベル p-拡大とし, X(k) := Gal(k∞ur,p/k∞) とおく. この X(k) が Y (K) の類似物であることは容易に首肯されよう. しかし, 定理 4.1 の類似を考える場合には, X(k) のマイナスパート X(k)− (Gal(k/Q) の複素共役が −1 倍で作用する最大部分群) を考えたほうがよい. いつものよ うに, X(k)− は Γ = Gal(k∞/k) の作用により, 完備群環 Zp[[Γ]]-加群となる. Λ := Zp[[T ]] とおくとき, Γ の生成元 γ を固定することによって同型 Zp[[Γ]] ∼= Λ を γ 7→ T + 1 によっ て定め, X(k)− を Λ-加群と見る. Gal(k/Q) の偶指標 χ 6= 1 に対し, f(T, χ) ∈ Λ を, p 進 L 関数 Lp(s, χ) に対応する元 とする. 即ち, κ : Γ → Z×p を円分指標として f (κ(γ)s− 1, χ) = L p(s, χ) となるものである (f (T, χ) は γ の取り方に依存). Weierstrass の準備定理によって定ま る f (T, χ) の多項式部分を Qχ(T ) とおき, Q(T ) := Y χ6=1:偶指標 Qχ(T ) ∈ Zp[T ] とおく. 次は本報告集で何度も触れられている事実である. 5

(6)

定理 4.2 (岩澤理論). (i) X(k)− の µ-不変量は 0 である (Ferrero-Washington). また, 自 明でない有限部分 Λ-加群を持たない. 即ち, Zp-加群として X(k)−∼= Zλ−k p . (ii) X(k)− の Λ の作用による特性多項式を char Λ(X(k)−)(∈ Zp[T ]) とおくと, charΛ(X(k)−) = Q(T ) 定理 4.2 (i) を定理 4.1 (i) と見比べれば, X(k)− の λ-不変量 λ−k が函数体の種数の 2 倍 2g の類似であると考えることが出来る. また, より一般の代数体に対しても円分 Zp-拡大 の µ-不変量が 0 であると予想されている理由も分かるであろう. 定理 4.2 (ii) について は, 次の事実に注意する: 補題 4.3 (cf. [Wa] p.292). ねじれ Λ-加群 M に対し, Γ の生成元 γ の作用を T + 1(∈ Λ) 倍で定義する. M の µ-不変量が 0 であるならば, charΛ(M) = det((T + 1) − γ : M ⊗ZpQp) である. (少し紛らわしいが, 右辺において T は不定元として考え, M には作用しないも のとする.) これによれば, (ii) は Q(T ) = det((T + 1) − γ : X(k)− Zp Qp) と言い替えることが出来る. これを定理 4.1 (ii) と比較すれば, 合同ゼータ関数の類似物 が p 進 L 関数であるということが納得されると思う. 反対に, 函数体の係数拡大が, 代数体の円分 Zp-拡大と違うところは, (1) KF/K は不分岐拡大であること, (2) Gal(KF/K) ∼= Gal(F/F) ∼= ˆZ であること (その完備群環上の加群の構造は Λ のよ うには簡単ではない), (3) Frob という標準的な元が Gal(KF/K) の中に存在すること, (4) PK(T ) が p によらず, 整数係数の多項式であること, 等が挙げられる. より単純な類似を考えると, 1 の巾根を全て付け加えた体 ∪nQ(µn) を考えるほうが自然なようだが, この場合には定理 4.2 のような結果を得ることは出来な い ([Ho], [Ku] 等を参照). その一つの理由として, この体は Q 上全ての素点で分岐してし まうということが考えられる. p のみを考えるというのが岩澤のアイデアのひとつなので ある. 5. 函数体と代数曲線 ここでは, 函数体と代数曲線の対応を復習し, 曲線のヤコビ多様体の理論によって定理 4.1 が証明されることを説明する. 6

(7)

5.1. 代数曲線とヤコビ多様体. この節については [DK] 第8章, [AG] Chap. V, VII 参照.

k を完全体とする. 次のような1対1対応がある (反変関手):

{k 上の一変数代数函数体の同型類 } ⇔ {k 上の projective smooth な代数曲線の同型類 } ⇐ は, 代数曲線 C/k に対してその関数体 K(C) を取ればよい. ⇒ は, 函数体 K に対し, {K の素点全体 } ∪ {“generic point”} に適当な構造を入れることにより projective smooth

な代数曲線が得られる. C/k を projective smooth な代数曲線とする. その関数体を K と書く. C の種数とは, K の種数のことである. 以下, g を C の種数とする. また, 任意の拡大体 M/k に対し, CM := C ×Spec(k)Spec(M) は M 上の代数曲線とな り, その関数体 K(CM) は K ⊗kM である. Weil は, C/k に付随するヤコビ多様体 Jac(C) を構成した. それは, k 上定義された g 次元のアーベル多様体で, 任意の拡大体 M/k に対し, functorial な同型 Jac(C)(M) ∼= Cl0(K(CM)) が存在するようなものである. 即ち, 代数拡大 k0/k に対しては, (5.1) Jac(C)(k0) ∼= Cl0(Kk0) (Kk0 = K ⊗ kk0) である. k0/k がガロア拡大ならば, 左辺には Gal(k0/k) が, 右辺には

Gal(Kk0/K) が作用するが, 自然な同型 Gal(Kk0/K) ∼= Gal(k0/k) によって, (5.1) はそれ

らの作用を保つ同型である. p を k の標数と異なる素数とする. 代数閉体 k に対して, Jac(C)[pn] := Jac(C)(k)[pn] と書く. アーベル多様体の一般論により, Jac(C)[pn] ∼= (Z/pn)2g, Jac(C)[p∞] ∼= (Qp/Zp)2g であることが知られている. 更に Weil は, Gal(k/k)-同変な非退化歪対称対 (5.2) Jac(C)[pn] × Jac(C)[pn] → µ pn を構成した (Weil pairing). この対は, pn と pn+1 の間で, 自然な単射と p 倍写像が可換になるので, 非退化対 (5.3) Jac(C)[p∞] × Tp(Jac(C)) → µpn

を得る. 但し, Tp(Jac(C)) は Jac(C) の (p-)Tate 加群と呼ばれるもので,

Tp(Jac(C)) := lim←− n Jac(C)[pn] (逆極限は p 倍でとる) で定義される. Tp(Jac(C)) ∼= Z2gp 7

(8)

であり, (5.3) により Gal(k/k)-同型

(5.4) Tp(Jac(C)) ∼= Hom(Jac(C)[p∞], µp∞)

を得る. また, (2.4), (5.1), (5.4) により, 次を得る.

命題 5.1. 係数拡大体 Kk の最大不分岐アーベル p-拡大を Kkur,p とおくと, Gal(Kk/K) ∼= Gal(k/k)-同型

Gal(Kkur,p/Kk) ∼= Tp(Jac(C))

が存在する. 5.2. Weil の理論. 有限体 F 上の代数函数体 K を考える. K を関数体とする代数曲線を C とする. F の標数と異なる p に対し, Vp := Tp(Jac(C)) ⊗Zp Qp とおく. Vp には Gal(F/F) が作用する. 次が Weil による有名な結果であり, 定理 4.1 は この定理の帰結である.

定理 5.2 (Weil, cf. [We1]). PK(T ) を定理 3.2 (i) の合同ゼータ関数の主要部とする. この

とき, PK(T ) = det(1 − FrobT : Vp). 注意 5.3. この定理の証明については, 詳しく述べられないのだが, ζK(s) = exp( X n ]C(F(n)) n q −ns) (但し ]F = q, F(n) は [F(n) : F] = n なる唯一の拡大体) であることから, 次を示すことが 鍵となる: ]C(F(n)) = 1 + qn− Tr(Frobn: Vp). (Frobn は Gal(F/F(n)) のフロベニウスを表す.) 定理 4.1 は次のように容易に導かれる: 命題 5.1 より Gal(KF/K) ∼= Gal(F/F)-同型 Gal(KFur,p/KF) ∼= Tp(Jac(C))

がある. 故に定理 4.1 (i) は Tp(Jac(C)) ∼= Z2gp による. (ii) が定理 5.2 と等価であること

も明らかであろう.

5.3. 関数等式. Weil pairing の存在によって定理 3.2 (ii) の関数等式も示すことが出来る. (5.2) を, 全ての項で p 倍写像による逆極限をとることにより, 非退化歪対称対

Tp(Jac(C)) × Tp(Jac(C)) → lim←− n

µpn,

従って

<, >: Vp× Vp → Qp(1)

(9)

を得る. ここで Qp(1) := (lim←−nµpn) ⊗ZpQp は Frob が q 倍で作用する 1 次元ベクトル空

間である. ガロア同変なので, 任意の x, y ∈ Vp について

< Frobx, Froby >= q < x, y >

を満たす. このことから

det(1 − FrobT : Vp) = (qT )2gdet(Frob : Vp)−1det(1 − Frob(qT )−1 : Vp)

を得る. また, <, > が非退化歪対称であることから (5.5) det(Frob : Vp) = qg が導かれることは線形代数でよく知られている. 故に関数等式が示された. 岩澤理論における合同ゼータの類似物が p 進 L 関数であることを見たが, p 進 L 関数 にはこのような簡明な関数等式は知られていない. その事情については尾崎氏の記事を参 照されたい. 6. 更なる類似 この節では, 代数閉体上の函数体について成り立ついくつかの事実と, それらの代数体 の円分 Zp-拡大の理論での類似について簡単に述べる. 6.1. Riemann-Hurwitz の公式. K, L を 代数閉体 k 上の代数函数体とし, それらの種 数を g(K), g(L) とする. 定理 6.1 (Riemann-Hurwitz cf. [Iw1] p. 311, [DK] 定理 8.14). L/K が有限次分離拡大で, 全ての素点の分岐が tame になっているとする. このとき, 2g(L) − 2 = [L : K](2g(K) − 2) + X v0:L の素点 (e(v0) − 1) 但し, e(v0) は L/K における v0 の分岐指数. §4 において, k = Q(ζp) の円分 Zp-拡大の λ−-不変量 (X(k)− の λ-不変量 λ−k) が, 函 数体の種数 (の 2 倍) の類似であることを見た. k が一般の CM 体のときも全く同様 に, λ−-不変量を考えることができる. CM 体の拡大に対する λ−-不変量の変化の公式が,

Riemann-Hurwitz の公式の類似として得られている. (木田の公式, [Ki], [Iw5]. 正確には 体の拡大は p-拡大のみ).

6.2. 最大不分岐 p-拡大. K を 代数閉体 k 上の代数函数体とする. p を k の標数と異なる 素数とし, ˜K を K 上最大不分岐 p-拡大 (アーベルとは限らない) とする.

定理 6.2 (Grothendieck, cf. [NSW] Theorem 10.1.2). Gal( ˜K/K) は 2g 個の元 x1, x2,

· · · , x2g で生成され, 唯一つの関係式

[x1, x2][x3, x4] · · · [x2g−1, x2g] = 1

をもつ pro-p 群である.

(10)

代数体の円分 Zp-拡大体上の最大不分岐 p-拡大のガロア群の構造が [Wi] で考察されて いる. [NSW] の Chap. X も参照のこと. 7. 有限体上の函数体とその Zp-拡大 最後に, 有限体上の函数体について, 代数体の岩澤理論を真似るとどうなるかを見る. [Iw4] §12, [Wa] §7.4 参照. 7.1. Zp-拡大. F を有限体とし, p を F の標数と異なる素数とする. このとき, F の代数 閉包 F は 1 の p 巾乗根全体 µp∞ を含むから, 拡大体 F(µp) を考えると, そのガロア群 Gal(F(µp∞)/F) は Z×p の開部分群となる. 従って F(µp∞)/F の中間体 F で Gal(F∞/F) ∼= Zp であるようなものがただ一つ存在する. F は F 上最大 p-拡大である. F∞/F の n 番目 の中間体を Fn とおく. そこで K の Zp-拡大 K∞ を K 内での合成体 K∞:= KF∞ として定義する. K∞ は F 上の代数函数体である. Γ := Gal(K∞/K) とおけば Γ ∼= Gal(F∞/F) ∼= Zp である. また, K∞/K の n 番目の中間体を Kn とおくと, Kn = KFn であり, Kn は Fn 上の代数函数体である. 7.2. 類体論と岩澤類数公式. 岩澤理論の類似をたどるので, 因子類群の p-part を考える. A(K) := Cl0(K)[p∞] とおく. K の最大不分岐アーベル p-拡大 Kur,p を考える. F∞/F は最大 p-拡大であり, K∞ ⊂ Kur,p だから, KF ∩ Kur,p = K∞ である. 故に定理 3.3, 3.4 より, 次を得る. 定理 7.1. 相互写像により,

A(K) ∼= Gal(Kur,p/K∞)

である. また, 有限次拡大 L/K に対し,

A(L) −−−→ Gal(Lur,p/L )   yNL/K   y

A(K) −−−→ Gal(Kur,p/K ) は可換である. さて, An:= A(Kn) とおき, ノルムによる逆極限を X(K) := lim←− n An 10

(11)

とおく. X(K) は Γ の連続に作用するコンパクト Zp-加群であり, 従って Zp[[Γ]] が作用 する. Γ の生成元 γ を固定することにより, 同型 (7.1) Zp[[Γ]]→ Λ∼ を γ → T + 1 により定め, X(K) を Λ := Zp[[T ]]-加群とみる (§4 と同様). 定理 7.1 によ り, 代数体のときと全く同様に, Λ-同型 (7.2) X(K) ∼= Gal(K∞ur,p/K∞) がある. (Γ は Gal(K∞ur,p/K∞) に共役で作用.) ここで, 次のような代数体の場合よりも 簡明な等式が得られるのは, K∞/K が不分岐だからである. 定理 7.2. ωn(T ) := (1 + T )p n − 1 ∈ Λ とおけば, An∼= X(K)/ωnX(K) である. An は有限群だったから, X(K) は有限生成ねじれ Λ-加群である. とくにその λ, µ, ν-不変量を λK, µK, νK と書くと, 十分大なる全ての n に対して ]An= pλKn+µKp n K. Proof. (7.2) の同一視によって ωnX(K) に対応する K∞ur,p の部分体を Mn とおけば,

Mn/Kn は, K∞ur,p に含まれる Kn 上アーベルな最大の拡大である. Knur,p ⊂ K∞ur,p

あるから, Knur,p ⊂ Mn. 一方で, Mn/Kn は不分岐拡大であるので, Knur,p ⊃ Mn. 故に,

Knur,p= Mn でなければならぬ. 即ち, X(K)/ωnX(K) ∼= Gal(Knur,p/K∞) ∼= An. ¤

7.3. Zp-拡大の場合の定理. X(K), λK, µK を定理 7.2 のとおりとする. 定理 7.3. アーベル群として, X(K) ∼= ZλK p であり, λK ≤ 2g である. (g は K の種数.) 特に µK = 0 である. X(K) は Λ-加群であったので, その特性多項式を考えたい. Frob ∈ Γ を Γ ∼= Gal(F∞/F) によって Frobenius 写像を持ち上げたものとする. 同型 (7.1) を, Γ の生成元として Frob−1 を選ぶことによって定める. ここでは, 話を簡単にするため, 次の仮定をおく. (Hyp): Cl0(K)[p] ∼= (Z/p)2g. 定理 7.4. K が (Hyp) を満たすとする. X(K) を Γ の生成元を Frob−1 に取ることによっ て Λ-加群と見たとき, charΛ(X(K)) = q−gPK(T + 1) となる. 但し, PK(T ) は定理 3.2 (i) の 合同ゼータ関数の主要部である. 注意 7.5. C を K を函数体とする曲線とすると, Cl0(K)[p] ∼= Jac(C)(F)[p] である. (Hyp)

を満たすならば Jac(C)(F)[p] = Jac(C)[p] であるから, Weil-pairing の存在により F ⊃ µp

でなければならない. また, K に対し, 係数体のある有限次拡大 F0/F を取ることにより, 係数拡大 KF0 を考えれば, KF0 に対してはこの (Hyp) は満たされる (F0 として Jac(C)[p] の座標を全て付加した体 F(Jac(C)[p]) を取ればよい.)

(12)

7.4. 定理の証. C を K を函数体とする曲線とする. まず K が (Hyp) を満たすときを考 える. 次を言えばよい.

補題 7.6. (Hyp) の下で, Jac(C)(F∞)[p∞] = Jac(C)[p∞].

Proof. よくある議論により, Gal(F(Jac[p∞])/F) は GL2g(Zp) → GL2g(Z/p) の核の部分群に同型である. 従ってそれは pro-p 群である. ところが, F∞ は最大 p-拡大 であったから, F∞⊃ F(Jac[p∞]) である. ¤ (Hyp) の下では F ⊃ µp であるから, F ⊃ µp∞ であり, (2.4), (5.1), (5.4), (7.2) と補題 7.6 をあわせて, (7.3) X(K) ∼= Tp(Jac(C))

を得る. 補題 7.6 により Jac(C)[p∞] への Gal(F/F) の作用は Gal(F∞/F) を経由するこ

とに注意すれば, (7.3) は Gal(F∞/F)-同型である. Γ の生成元を Frob−1 でとったことと,

X(K)(∼= Tp(Jac(C))) の µ 不変量は 0 であることから,

char(X(K)) = det((T + 1) − Frob−1 : Tp(Jac(C)) ⊗Zp Qp)

である (補題 4.3). det((T + 1) − Frob−1) = det(−Frob−1) det(1 − Frob(T + 1)) であるか ら定理 5.2 と (5.5) により定理を得る.

注意 7.7. 証明を見れば分かるように, Jac(C)(F∞)[p∞] = Jac(C)[p∞] であれば (Hyp) を

満たさなくても定理 7.4 は成り立つ. K が 一般の場合には, F0 ∞:= F(Jac(C)[p∞]) とおく. すると, 位数が p と素な有限巡回 群 G によって Gal(F0∞/F) ∼= Zp× G である. F0 を Zp に対応する F0∞ の部分体とすると, Gal(F0 ∞/F0) ∼= Zp, Gal(F0∞/F∞) ∼= G. また, X(K) ∼= X(KF0)G を示すことができる. G は p と素だから X(KF0)G は X(KF0) ∼= Z2gp の直和因子となる. 従って X(K) は階数が 2g 以下の自由 Zp-加群となり, 定理 7.3 を得る. 注意 7.8. 注意 7.7 とあわせれば, 一般に charΛ(X(K)) ∈ Zp[T ] は q0−gPK0(T + 1) の約多 項式となる. ここで, K0 = KF0, q0 = ]F0 とする. 注意 7.9. 本論とは直接関係ないことではあるが, A∞:= Cl0(K∞)[p∞] とおけば, A∞ = lim−→ n An であった. (Hyp) の下で A∞∼= (Qp/Zp)2g であり, また, (2.4) と (7.2) により次を得る: lim ←− n An∼= Hom(lim−→ n An, µp∞). 12

(13)

References

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e-mail: yhachi@math.gakushuin.ac.jp

参照

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