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危機管理論 リスクとクライシスのマネジメント

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Academic year: 2021

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(1)

担当

安川文朗

課題探求科目/特別講義 20161129

危機管理論⑧

危機管理の実際

(1)

(2)

危機管理の実際

リスク・アセスメントにより客観的で専門的なリスク情報が

与えられることは必須である。

しかし、それによってリスクが十分理解されるとは限らない。

リスクコミュニケーションがリスクマネジメントにつがなる

ためには、リスクの伝達、共有とともに、正しい理解が必要

どのように「リスクマネジメント」あるいは「危機管理」が

実行されていくのか

(3)

グループでの討議

1.グループづくり

学生番号の下1桁が 1~3 ⇒ グループ1 4~6 ⇒ グループ2 7~9 ⇒ グループ3 0 ⇒ 各グループに任意ではいる

2.討議の方法

はじめに教員から、事例について簡単な解説を行うので、その後グループで、 ①当該事例における、リスクマネジメントの概要(何がマネジメントの対象 か、リスクマネジメントプロセスはどう構成されているか、キーワードや キーコンセプトは何か、など)を抽出し、 ②事例のリスクマネジメントは、どういう点が有効で、どういう点で問題が あるかを検討し、 ③問題・課題についてどう改善すればよいか、提案する。

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子宮頸がんワクチン接種問題

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子宮頸がんワクチン接種:何が問題なのか

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子宮頸がんとは

子宮頸がん(または「子宮頚がん」)には、子宮頸がんと子宮体がんがあります。 子宮体がんは子宮内膜がんとも呼ばれ、胎児を育てる子宮体部の内側にある子宮内膜 から発生します。一方、子宮頸がんは、子宮の入り口の子宮頸部と呼ばれる部分から 発生します。子宮の入り口付近に発生することが多いので、普通の婦人科の診察で観 察や検査がしやすいため、発見されやすいがんです。また、早期に発見すれば比較的 治療しやすく予後のよいがんです。一方、進行すると治療が難しいことから、早期発 見が極めて重要といえます。

子宮頸がんとヒトパピローマウイルス(HPV)

子宮頸がんの発生には、その多くにヒトパピローマウイルス(Human Papillomavirus : HPV)の感染が関連しています。HPVは、性交渉で感染することが知られているウイル スです。子宮頸がんの患者さんの90%以上からHPVが検出されることが知られていま す。HPV感染そのものはまれではなく、感染しても、多くの場合、症状のないうちに HPVが排除されると考えられています。HPVが排除されず感染が続くと、一部に子宮 頸がんの前がん病変や子宮頸がんが発生すると考えられています。また喫煙も、子宮 頸がんの危険因子であることがわかっています。 HPVには複数の型がありますが、最近、一部の型のHPV感染を予防できるワクチンが 使用可能になっています。しかしたとえ、ワクチン接種を受けた場合であっても、定 期的に子宮頸がん検診を受けることが大切です。 国立がん研究センターがん対策情報センターのHPより

(7)

子宮頸(けい)がんのワクチンで接種後の健康被害が報告されて

いる問題で、厚生労働省の検討会は16日、医療機関などから報告さ

れていない例も含めて調査を進めることを確認した。因果関係を判

断するための情報が不足しているためという。接種の一時中止など

は必要ないとの意見で一致した。

厚労省が検討会に示した資料によると、販売が開始された2009年

12月以降3月末時点の副作用報告は1968件。接種者数でみると1万人

に1人から2万5千人に1人の割合になる。

同省によると、製薬会社のグラクソ・スミスクライン製造のワクチ

ンでは、医療機関から1001件、製造販売会社から704件、別の製薬会

社、MSD製造のワクチンは医療機関から195件、製造販売会社から

68件の報告があった。接種者数に対する報告の割合は0.004~0.014%。

これまで報告されていた割合と、違いはなかった。医療機関側が接

種との関連があるとした例は733件だった。

http://apital.asahi.com/article/news/2013051600007.html

何が起こったのか

(8)

厚生労働省が子宮頸(けい)がん予防ワクチン接種の積極的な勧奨を一時中止 するよう、全国自治体に勧告した。----症例数は少ないものの接種後に激しい痛み を訴える事例が相次いでおり、同省の専門部会が、実態解明が進み適切な情報が提 供できるまで積極的に勧めるべきではないと結論付けたのを受けた措置だ。 同ワクチンは、小学6年生から高校1年生相当の女子を対象に、国がこの4月から 全額公費で賄う定期接種に加えたばかり。予防効果に対する期待も大きいため、今 回の対応でも定期接種からは外さないという。因果関係を否定できず治療法も未確 立の重症例がある以上、不安に配慮し慎重に対応するのは当然といえよう。ただ接 種を中止もしないが、勧めもしないというのは分かりにくい。----厚労省は副作用 の重症例発生頻度などを詳しく調べたうえで、勧奨再開の是非を判断するという。 ・・・・・・・ 子宮頸がんは、性交渉によるヒトパピローマウイルス感染が主な原因とされ、20 ~30代の若い患者が急増している。厚労省によると国内で年間9千人近くがこのが んにかかり、約2700人が亡くなっている。ワクチンの副作用報告は、2009年12月の 国内販売開始から今年3月までで約2千件あり、約100件が重篤な症例だった。重篤 な副作用の発生頻度はインフルエンザワクチンを上回るものの、特別に高いとは言 えないという。一方で重い健康被害を受けた子どもの保護者らが、接種中止を求め ている。----勧奨中止に伴い県保健衛生課には県民から問い合わせが寄せられてい る。3回の接種のうち1回は済ませたが2回目はどうしたらいいか-との相談が多い という。医療的な対応は県が厚労省に照会中で、分かり次第周知する方針だ。 東奥日報(2013年6月19日付)社説より

(9)

子宮頸がんのリスクとは何か

子宮頸がんをめぐる危機管理上の問題点は何か

①子宮頸がんそのもののリスク(罹患率は低下傾向だが死亡者数は変化して いない) ②ワクチン接種の副作用による事故リスク(ただし死亡例はほとんどなし) ③ワクチン接種の副作用によるワクチン忌避感情の伝播による実質的ながん 発症の増加の可能性 ①早期発見につながる検診をどう向上させるか ②政府と医療者との見解の不一致が引き起こすリスク認知上の影響 ③がん予防政策に対する信頼の失墜と国民の予防に対する消極的態度 の醸成

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風疹のリスクマネジメント

(11)

風疹は子供よりもむしろ「大人」がかかる病気!

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風疹発症後の妊娠について

風疹ウイルスに感染しますと、一旦体の中で風疹ウイルスが増えま

す。増えたウイルスは血液を介して全身に広がり、2~3週間の潜伏

期を経て、発病します。発熱、発疹、リンパ節の腫れが主な症状で

すが、すべての症状がそろわないこともあります。症状が出ない場

合もあり、これを不顕性感染と呼びます。そのため

症状のみから風

疹と診断することはとても難しい病気です

先天性風疹症候群は、妊娠初期の妊婦さんの血液中にある風疹ウイ

ルスが胎内の赤ちゃんにも感染して起こる病気です。体の中に免疫

がしっかりできあがっていれば、血液中で風疹ウイルスが増えるこ

ともありませんので、胎内の赤ちゃんに感染することもありません。

風疹を発病して、治ってからの妊娠については心配は要らないこと

になります。お母さんの体の中にできあがった免疫(抗体)は、妊

娠の後期に胎盤を通して胎児に移行します(移行抗体)。そのため、

お母さんがしっかり抗体を持っていれば、出生直後の赤ちゃんも

しっかり抗体を持って生まれてきます。出生後約6カ月程度は赤ちゃ

んも風疹に罹らずに予防できることになります。

(14)

風疹に罹ったことがない人がワクチンを接種すると、妊娠中に

しっかり免疫をもつので、妊婦さん自身の予防にも繋がり、胎

内の赤ちゃんの予防にも繋がり、更には、生まれてしばらくの

間、赤ちゃんにお母さんからの免疫が残ることから、ワクチン

を受けていない赤ちゃんであっても生後半年くらいはその病気

から守られるということになります。ワクチン接種後2カ月の

避妊期間をお願いしているのは、風疹含有ワクチン(麻疹風疹

混合ワクチンで受ける人が多いと思います)は、生ワクチンの

種類に分類されますので、接種後は一旦、体の中でワクチン用

に弱められた風疹ウイルスが増えます。その時に妊娠している

と胎内の赤ちゃんに感染する可能性があるから、2カ月間の避

妊をお願いしています。なお、妊娠していることに気づかずに

ワクチンを接種してしまった方から先天性風疹症候群の赤ちゃ

んが生まれたという報告はこれまでにありませんが、理論的な

リスクを考えて、妊娠していない時にワクチンを接種した場合、

その後2カ月間の避妊をお願いしています。

国立感染症研究所感染症情報センターHPより抜粋

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予防接種不適当者(予防接種実施規則第6 条に規定) ①明らかな発熱を呈している者 ②重篤な急性疾患にかかっていることが明らかな者 ③当該疾病に係る予防接種の接種液の成分によって、アナフィラキシーを呈したことが明らか な者 ④急性灰白髄炎(ポリオ)、麻疹及び風疹に係る予防接種の対象者にあっては、妊娠している ことが明らかな者 ⑤その他、予防接種を行うことが不適当な状態にある者接種要注意者(予防接種実施要領に 規定) ①心臓血管系疾患、腎臓疾患、肝臓疾患、血液疾患及び発育障害等の基礎疾患を有すること が明らかな者 ②前回の予防接種で2 日以内に発熱のみられた者、又は全身性発疹などのアレルギーを疑う 症状を呈したことがある者 ③過去にけいれんの既往のある者 ④過去に免疫不全の診断がなされている者 ⑤接種しようとする接種液の成分に対してアレルギーを呈するおそれのある者

風疹の予防接種における医師のマニュアル

①予診(患者から予診票を受け取る)

*問診等により、接種を受ける人の体調をチェック

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②接種不適当および接種要注意者の見極めと説明

*いくつかの基準を見落とさず、不適当となった場合はきちんと説明し同 意を受ける

③他のワクチンとの接種間隔の確認

*あらかじめ混合されていない2 種以上のワクチンを接種する場合には、 通常不活化ワクチン及びトキソイド接種の後は接種後6 日以上あける。 これは1 週間経てばワクチンによる反応がほとんどなくなるため。 また、生ワクチン接種の場合はウイルス同士の干渉を防止するため、 あるいは副反応が起こるかもしれない時期を外すため接種後27 日以上 あけて次のワクチンを接種する。 ただし、あらかじめ混合されていない2種以上のワクチンについて、医師 が必要と認めた場合には同時に接種を行うことができる。 国立感染研究所感染症情報センター編『風疹予防接種に関するガイド ライン』より抜粋

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風疹予防および予防接種における問題点は何か

風疹予防に関する情報は市民に十分伝わりうるか

①医療者にとっても、風疹かどうかの同定が難しい ②予防接種のリスクが、患者(特に妊婦)が自分の症状を正しく申告できるか に大きく依存している ③特に妊婦にとって、予防接種による胎児への影響の不確実性が大きく、安 心して予防接種に踏みきれない ①理論的リスクと実際のリスクとの違いが分かりにくい ②リスクの発現対象が胎児や妊婦に集中しているという認識が強く、実際 の疫学的情報が正しく認識されない ③ワクチン接種状況が年齢によって異なることのイメージが持ちにくい ④風疹の流行と妊婦の予防接種におけるリスクとが混同されて、問題を正 しく認識しにくい(伝染病であるという事実と、予防接種のリスク)

参照

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