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吸収量である オーストリア国土の 47.2% は森林で LULUCF 分野を常に炭素の吸収源とすることに大きく貢献している 森林はまた バイオマス中に 339±42Mt の炭素および 土壌中に 463±185Mt の炭素を貯蔵しており この数値は 1990 年にオーストリアが放出している CO2 C

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Ⅲ.オーストリアの森林吸収量の算定・報告の情報について I.条約の下での森林吸収量の算定・報告の情報 1 基本事項 オーストリアの土地利用及び土地利用変化のマトリックス(1990~2008) 1.1 土地及び土地利用変化の把握方法 森林面積及び森林からあるいは森林への土地利用の変化は国家森林調査(National Forest Inventory)のデータに基づいている。農地に関しては STATISTIK AUSTRIA(オーストリ ア統計)から毎年数値が得られる。また、農業構造調査(1993,1995 等)から全草地面積の 情報が得られる。湿地の面積は変化がほとんどない。水域及び住居地の情報は不動産デー タベースから得られる。その他の土地の面積はIPCC-GPGに基づき報告されている。 森林調査は系統的(システマティック)に測定された統計なので、最も信頼性が高いとみ なされている。 NFI は、全国を網羅したサンプルプロットの実測によるので、信頼性が高く、NIRを作 成するための森林データの基礎となっている。この調査は全国のシステマチックサンプル グリッド(定点観測網)を使い、4×4kmのグリッドごとに300m2の調査プロット を設け、その箇所の土地の状況を調査年に調査し、集計するものである。NFIの調査は、 1986-90, 92-96, 2000-2002 年に実施されており、最近の 2007-09 は取りまとめ中である。 調査データのない年については、内挿により推定している。 1.2 森林の定義 森林の定義は国家森林調査における定義(下記2.1参照)と同じであり、下位区分はな い。林業に関連したり、森林に付随した土地は木がなくても森林に含めている(木材搬出 施設、林道、木材貯蔵施設など)。一方、30年以下の周期で伐採される場所や、クリスマ スツリー、果樹園は森林に含めず、農地としている。列状に植わっていても、公園の木は 森林に含めない。 2 吸収量 ○ 森林(5A)によるCO2吸収・排出量の時系列の算定結果内訳は下表のとおり。森林に よる吸収量はLULUCF活動の大半を占め、年間13,636~24,780Gg CO2(平均 19,584Gg CO2)であり、その大部分は転用のない森林(Forest Land remaining Forest Land)による

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吸収量である。 ○ オーストリア国土の47.2%は森林で、LULUCF分野を常に炭素の吸収源とす ることに大きく貢献している。森林はまた、バイオマス中に339±42Mtの炭素およ び、土壌中に463±185Mtの炭素を貯蔵しており、この数値は1990 年にオーストリ アが放出しているCO2、CH4、N20の約40倍の数値と大きなものである。 ○ 前述のように森林の炭素吸収量は1990-2008 年に年間 13,636-24,780GgCO2 吸収して おり、その多くは「転用のない森林」のカテゴリーの森林による。土壌のCO2 放出は不確 実要素が大きく、また枯死木による除去量はわずかな影響しか与えない。 ○ 「5A森林」分野の炭素ストック変化量は年によって大きく振れており、これは年成 長と年伐採量が気候、木材需要や価格、風倒木等によって大きな影響を受けるからである。 2003年以降はその振れが小さいのは、2002年以降NFIが行われていないので、 推定値が使われているためである(なお、NFIが2007-9 年行われたので、今後はこのデ ータを加えて修正されることになる)。 ○ 前述のように、NFIは全国に4×4km のグリッドを張り巡らし、各グリットで4つ の永久サンプルプロット(各300m2)を設け、そこの土地の状況、森林の生育状況等 を地上で調査する。この方法では、森林から他の土地利用への変化、および他の土地利用

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から森林への変化が全国的にそれほどに多くないため、このデータは森林全体に関するデ ータと比べかなり高い不確実性をもっている。NFIによると1991/96 調査から 2000/02 調査までの間の森林の増加は68,000ha で、一方減少は 32,000ha で差し引き約 36,000ha の増加となった。森林と他の土地利用との変換は、草地との間が一番多いとの結果がでて いる。 2.1 方法論 2.1.1 転用のない森林 2.1.1.1 生体バイオマスの炭素ストック変化量 ○ 生体バイオマスの炭素ストック変化量の算定に当たっては、IPCCのGPGfor LULUCF Tier3 (2003)による国独自の方法をとっている。枝、針葉、地下バイオマスのた めの国独自の変換関数及びバイオマス係数により、オーストリアの森林により適した数値 となっている。推定の主な基礎は、NFIによる森林面積、(5cm以上の胸高直径の木の) 森林蓄積の増加及び減少(収穫その他による減少)の測定値である。このほか使用されて いるデータは、年間森林伐採報告およびオーストリア森林収支であり、これらは実地の測 定データではない。このため、NFIのデータがより正確であり、推定にはNFIの数値 が用いられるが、各年の収穫指数を導き出すためにこれらの統計のデータが使われ、また 不確実性分析のために全収穫量が使われている。 ○ オーストリアのすべての樹種について、NFIにおいて樹皮込みで測定された材積 (m3)としての幹の成長量と収穫量は、収縮値、絶乾密度および炭素含有量を使って重量(t) としての炭素の増加または炭素の収穫量に変換される。この係数はNFIを実施する期間 ごとに算出している。(例えば、針葉樹では、皮付き材積から乾重量への変換係数0.39、間 重量から炭素重量への変換係数0.50) ○ 幹以外の部分(枝、針葉、根)の増加量、収穫量を推定するために、バイオマス係数 (Biomass functions (BF))およびこれらの部分への炭素含有量(針葉樹 0.47、広葉樹 0.48) が使われる。これらのデータは樹種ごとに大量の単木を測定してNFIのために推測され る。 2.1.1.2 枯死木・土壌の炭素ストック変化量 ○ 枯死木については,調査対象は、収穫量(倒れた枯死木の量を含んでいる)との重複を 避けるため立木状態のものに限定した。また、NFI データにより国内固有の蓄積量が得ら れるため、Tier3の手法で推定した。すべての樹種の枯死木の平均は 1992/96 では、 4.5m3/ha、2000/02 では、6.1m3/ha であり、1986/90 から 1992/96 の間に枯死木の 10% 増加が推定された。推定に当っては、枝葉根は無視し、樹幹のみの炭素量を生体バイオマ スと同じ係数で変換して推定した。これは、枯死木の根はすでに土に含まれる炭素の一部 とみることができること、枯死木の枝は、量が少なく無視できると考えたためである。N FIデータからは、オーストリアの枯死木が増加していることが示されている。しかし、 純増加量は年間600GgCO2 と LULUCF 全体の中で無視できる量であった。 ○ 土壌については、1987-89 年に 8.7×8.7km格子点で全国森林土壌調査が行われ、地表 下50cm までの土壌内炭素蓄積が推定されているが、土壌の炭素蓄積量の変化は大変小さく、 ゆっくりであり、その後、蓄積変化の実測値がない。そこで、1961-1996 年の蓄積変化を モデリング手法によって推定した結果、土壌の炭素吸収量はこの期間に森林バイオマスの 純吸収量の約10%であり、1990-2006 年の間には年間 0.5MtC(気温変化を無視すると 0.7MtC)と推定された。 この主な原因は森林面積および森林蓄積の増加によるリター供給の増加、伐採の増加によ

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る残材の増加である。しかし、この結果には繰返し調査による検証がないため、仮説段階 であり、また、英国で実施された土壌調査では、土壌炭素が土地利用とは無関係に減少し ており気候変動の影響が重視されている。これらのことからGPG の Tier1 の手法により森 林土壌内の炭素蓄積は変化しないものとする。森林土壌の炭素蓄積量については地区を選 定して現在再評価を実施中である。また、NFI の有機腐植層の変化についてのデータや文 献からモデルを作る検討も進んでおり、炭素蓄積の推定精度の向上が期待される。 2.1.1.3 バイオマスの燃焼 ○ 管理された火入れはオーストリアの森林では行われていない。森林火災によるCO2 の放出は5.A.1(転用のない森林)でカウントされている。森林火災による CO2以外のGHG 排出はGPG Tier1 の手法で、3.2.30 の方程式を適用して算出される。 Lfire (t GHG) = A*B*C*D*10-6

A: area burnt (ha)

B: mass of available fuel, kg dm ha-1 C: combustion efficiency D: emission factor ○ 消失面積A は 1990-2008 年に亘るデータがあり、8~200ha/年である。IPCC GPG で は、バイオマス消費量は平均で19.8t/ha が適用される。排出係数 D は、N2O,CH4 につい て、表3.A.1.16(IPCC GPG2003)を適用している。 しかし、森林消失面積が小さいため、森林火災によるN2O,CH4 の排出は CO2 換算 0.005 ~0.58Gg CO2と無視できる量であった。 2.1.2 他の土地利用から転用された森林 2.1.2.1 生体バイオマス ○ NFIの調査結果を基礎に国立森林自然災害地形研究訓練センター(Federal Research and Training Centre for Forests, Natural Hazards and Landscape)の専門家は、森林への、 及び、森林からの土地利用変化した土地でのバイオマスの増加あるいは減少数値を次のよ うに見積もっている(Schadauer, pers, comm.)。

○ 森林への土地利用変化した土地での皮付き幹材積の増加は年3m3ha-1 と推定される。 これは、森林へ変わったすべての土地利用タイプに適用される。 ○ 一方、森林から他の土地利用へ変化した土地の年平均皮付き幹材積の減少は、広葉樹 および針葉樹について60m3ha-1 と推定される。この数値は森林からすべてのタイプの 土地利用へ変化した土地に適用される。 ○ 下表はすべての生体バイオマス(針広区分をしていない地上および地下のバイオマス 量)の増大および収穫を算定するのに適用される変換係数を表している。この係数は森林 からのあるいは森林への土地利用変化がされた土地にのみ適用され、幹材積の増大及び減 少の数量(前節で説明した)を全バイオマス量のtCに変換するものである。

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表 森林への土地利用変化における変換係数 ○ 森林へ変化した土地での生体バイオマスにおける年間蓄積量の変化は次の式となる。 3*0.8*0.49=1.176tCha-1a この定数は他のすべての土地利用から森林に変わった土地で20年の土地利用変化の移行 期間における年変化に使われる。 ○ また、この計算の結果、森林から他の土地利用へ変化した土地での生体バイオマスの 年間ヘクタールあたり変化量は次のようになる。 60*0.72*0.49=21.168tC ha-1a-1 この数値には次に実際森林から他の土地利用へ変化した土地の面積を乗ずる。 2.1.2.2 枯死木・土壌 <枯死木> NFIでは、幹材積の評価の中に立っている枯死木も含めているので、森林から他の土地 利用に変化した土地では、幹材積の減少の中に枯死木もカウントされている。 他の土地利用から転用された森林では、林齢が若いので、また、それまでの土地利用では 枯死木はなかったと考えられるので、他の土地利用から森林への変化による枯死木の材積 の変化はないものとみなされる。 <土壌> ○ 土地利用変化にともなう土壌中の炭素量の変化は移行期間の20年をかけて変化する ものとみなし、次の式で表している。 ⊿SOC=(SOCo-SOCo-γ)/20 ⊿SOC=移行期間における土壌及びリター中の年間炭素量変化 SOCo=土地利用変化後の土壌及びリター中の炭素貯蔵量(例 森林土壌→121tC ha-1) SOCo-γ=土地利用変化前の土壌及びリター中の炭素貯蔵量(例 草地のタイプごとの 面積で荷重平均した森林へ変換される前の草地:102tC ha-1) ○ 森林土壌中の炭素蓄積量は0-50cm の鉱物土壌プラス全腐植層(IPCC GPG でのリタ ー)における炭素量をあらわしており、土壌中の炭素の変化を表すのも0-50cmの層とリ ターを対象とした。他の土地利用での土壌炭素量及び他の土地利用変化での土壌炭素の増 減は0-30cm の深さまでを対象にしているが、森林との土地利用の変化に伴う土壌炭素量の 記載には0-50cm の深さまでの炭素蓄積量(例えば、森林:121tC ha-1、農地:60tC ha-1、 ワイン栽培地:58tC ha-1 など)を使用することとした。 ○ 森林、農地及び草地での炭素貯蔵量はオーストリア森林農地土壌調査(Austrian soil inventories for forests (BFW 1992) and agricultural land (AMT Der Steiermarkischen Landesregierung 1988-1996 他6種の調査をまとめたもの))による。

○ 土壌の炭素蓄積量の調査結果及び、NFIで把握されている、6種の土地利用より詳 細な土地利用種類の記述に基づき、面積加重平均により、森林との土地利用変化があった 6種の土地利用の箇所の平均的土壌炭素貯蔵量を算出した。

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2.2 不確実性と時系列の一貫性 ○ 数年前に生体バイオマスの炭素蓄積量変化の不確実性の推定が行われた (Umweltbundesamt 2000)。(表 220 参照) 表220 従来の 5.A.1 バイオマス推定の相対的不確実性(UMWELTBUNDESAMT 2000) ○ 一方、計算方式が変更され、オーストリア独自のバイオマス係数が使われている。こ れらの変更により、表220 の不確実性は減少することと考えられる。新しい不確実性の評 価が計画されている。今までの5.A.1(バイオマス)のカテゴリーの報告データに関する不確 実性の計算は、次のことを考慮している。 ―森林調査の統計的不確実性 ―毎年のデータの計算に関する不確実性 ―各種統計の一貫性の欠如に関する不確実性 ―それぞれの変換係数、拡大係数の不確実性 ○ 全体的不確実性の計算にはerror propagation が使われており、1961 年から 1996 年の 間の年間バイオマスC炭素変化量に関して平均±30%となった。 ○ NFIは全体として蓄積の増加、収穫量、樹種の分布その他のオーストリアの森林の 状況を表すものとして大変正確で信頼できるデータを提供している。4×4kmの規則的 グリッドはこの情報を提供するためには適している。言うまでもないが、偶然にも森林の 境界を示すようなNFIのグリッドが観察されるのはごくわずかに限られている。さらに、 土地利用の変化にともなう土壌中の蓄積の変化は代表的な平均値の算入あるいは差し引き に基づいている。このため、森林と他の土地利用との間の土地利用の変化については、高 い不確実性があることを考慮する必要がある(専門家の判断では、50~100%)(p320)。 2.3 QA/QC NFIは大変総合的な品質保証(QA)システムに基づいており、グリッドの位置およびサン プルポイントを確実に同定でき、同じ樹木を繰り返し測定することが可能である。5.A 森林 分野のデータの計算は、オーストリアGHGインベントリー全体のQA/QC システムに組み 込まれている。 2.4 再計算 IPCC GPG の解釈の間違いから、森林火災による放出の推計に間違いがあった。方程式は 修正され、森林火災による放出の経年数値は修正された。 また、今回の報告書では、”生産されていない保護林”(非生産林)の面積についての情 報が記載されている。 3 排出カテゴリーの情報 記載無し

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Ⅱ.京都議定書第3 条 3 項及び第 3 条 4 項に関する情報 1 京都議定書 3 条 3 及び 4 の下での排出・吸収の推計の概要 3 条 3 項および 4 項の活動の報告情報 吸収源活動 カーボンプール GHG発生源 地上 バイ オマ ス 地下 バイ オマ ス リ タ ー 枯 死 木 土 壌 施 肥 土 壌 排 水 土 地 転 用 石 灰 施 用 バイオマス燃焼 N2 O N2 O N2 O CO 2 CO 2 CH 4 N2O 3 条 3 項 新規植林・再 植林 R R IE NO R NO NO NO NO NO 森林減 少 R R IE IE R NO NO NO NO NO 3 条 4 項 森林経 営 NA NA NA NA NA NA NA NA NA NA NA 農地管 理 NA NA NA NA NA NA NA NA NA NA 放牧地 管理 NA NA NA NA NA NA NA NA NA 植生回 復 NA NA NA NA NA NA NA NA NA 引用:KP-LULUCF Table NR1

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3 条 3 項および 4 項の活動による排出・吸収量 GREENHOUSE GAS SOURCE AND SINK ACTIVITIES BY(5) Net emissions/removals(1) Accounting Parameters Accounting Quantity 2008 Total (Gg CO2 equivalent) A. Article 3.3 activities A.1. Afforestation and Reforestation -2,530.67

A.1.1. Units of land not harvested since the beginning of the

commitment period -2,530.67 -2,530.67 -2,530.67

A.1.2. Units of land harvested since the beginning of the commitment period NO Austria NO NO NO A.2. Deforestation 1,223.61 1,223.61 1,223.61 B. Article 3.4 activities B.1. Forest Management (if

elected) NA,NO NA,NO NA,NO

3.3 offset 0.00 NA,NO

FM cap 11,550.00 NA,NO

B.2. Cropland Management (if

elected) 0.00 NA,NO NA,NO 0.00 0.00 B.3. Grazing

Land

Management (if

elected) 0.00 NA,NO NA,NO 0.00 0.00 B.4.

Revegetation (if

elected) 0.00 NA,NO NA,NO 0.00 0.00 引用:KP-LULUCF Table Accounting

2 一般的情報 2.1 森林の定義

オーストリアの森林の定義は国家森林調査(NFI)における基準にしたがっている。こ の概要は次のとおり。

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最少面積 0.05ha 最少樹冠被覆率 30% 最低樹高 2m 平均森林幅 10 m以上 林業に関連したり、森林に付随した土地は木がなくても森林に含めている(木材搬出施設、 林道、木材貯蔵施設など)。一方、30年以下の周期で伐採される木や、クリスマスツリー、 果樹園は森林に含めず、農地としている。列状に植わっていても、公園の木は森林に含め ない 2.2 選択した3条4の活動 選択しないこととした。 2.3 3条3活動、3条4活動に関する定義の一貫性 京都議定書の下での新規植林、再植林、森林減少(ARD)面積の報告は、UNFCCC の温暖化ガスインベントリにおける森林と他の土地利用との間の変化面積の報告に使われ ているものと同じベースである(ただし、ARDの場合は1990年から開始されている)。 オーストリアでは森林と他の土地利用との間の土地利用変化はすべて直接人が関与したA RDであるとみなしている。また、植林と再植林活動は一つにして報告されている。この 背景は、「5.京都議定書3条3の活動」に記した(注:森林法での森林の規定と森林の性 質から、ある土地が森林に転用される、あるいは森林が他土地利用に転用される場合に、 全て人の関与があるとし、またすべての森林は管理された森林であるとの説明も導いてい る)。 ARD に関する情報はNFIをベースとしている。1981-85 のNFIのときから常設のグリ ッドシステムを設置しており、ARD活動もそれぞれのNFI調査の際のそれぞれのグリ ッドとサンプルプロットでの測定に基づいている。1990年以来、定義と調査手法は変 わっておらず、統計的にも時系列的にも一貫性を確保している。最も新しいNFIは2007-9 年に実施された。 3 土地に関する情報 3.1 土地転用マトリックス ○ 2008 年の土地転用マトリクスは次の通り。 表273:土地転用マトリックス:本年と前年の間の面積の変化(CRF NIR-2 表) 3.2 第 3 条 3 の対象となる土地ユニットの面積を確定するために使う空間的評定ユニット ○ ARDの面積についての情報はオーストリアのNFIの評定に基づいている。NFI は1961-70, 71-80, 81-85. 86-90, 92-96, 2000-02 に行われているが、京都議定書の報告期間

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に相当するのは1986-90, 92-96, 2000-02 である。また、2007-09 の調査が最近終了した。 ○ ARDユニットの総面積を推定するためにはIPCC GPG LULUCF(2003)の Reporting Method 1 に従った統計的方法がとられている。 NFIでは4×4kmのグリッドの固定調査地を設け、各4つのサンプルプロット (300m2)を設置し、オーストリアの森林及び森林へのまたは森林からの土地利用変化の ある土地についてシステマチックに測定したデータを提供している。調査ポイントのうち 森林に適さない箇所を除き、そのポイントの将来の新規植林及び再植林の可能性について 地上で調査している。 ○ このように、京都議定書のLULUCF表の提出のための空間的評価ユニットはオー ストリアの国土のすべてをカバーしている。 ○ ARDの活動は森林の定義と直接関連づけてカウントされている。固定サンプルプロ ットで既存の森林に隣接してARDが見いだされる場合、それが0.05ha より小さいもの でもサンプルの10分の1の大きさ(30m2)以上あればカウントする。また、現地で スケッチを描きデータをGPSに入力する。 ○ NFIがオーストリア全国をカバーしており、森林区域と森林から及び森林への土地 利用変化のある土地の変化を偏らずに報告することを可能にしている。このため、NFI のデータのみをベースとして3 条 3 項に該当する面積を出すことを妥当としている。 ○ NFIのサンプルプロットで土地利用の変化が見られた場合、周辺の非森林での土地 利用の種類が記録される。しかし、この記録は2000-02 年のNFIから得られるようにな った。このような森林の境界のデータの2/3 から推定した土地利用変化とAR面積、D面積 の関係は次の表271 と表 272 に表してある。 ○ なお、1992-96 年から 2000-02 年の間における全体のAR面積は 68,000ha であった。 また、全体のD面積は約32,000ha であった。 表271:NFI調査期間 1992-96 年から 2000-02 年の間におけるAR面積(BFW2004a)

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表272:NFI 調査期間 1992-96 年から 2000-02 年の間におけるD面積(BFW2004a) ○ この表から見て取れるように、ARDは主に草地からまたは草地への利用区分の変化 する箇所で生じている(59%, 53%)草地以外の土地利用と森林との間では、土地利用の変 化は非常に小さい。1997年以前は、土地利用の種類ごとに面積の把握がされていなか ったので、上記の傾向と同様とみなすこととした。図36はARD面積について概観する ものである。

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3.3 地理的境界を特定するために用いる地図情報及び地理的境界のIDシステム ARDの区域を地理的な場所として明らかにするデータベースとシステムがNFIによる 評価システムを代表する。このシステムによりランダムにARDの活動が行われている箇 所を明らかにする。ARDの地域は全国に広がっている。 4 活動別の情報 4.1 バイオマス ○ NFIの結果を基に専門家が推計した、森林への土地利用変化に伴う年間皮付き樹幹 材積の増加は3m3ha-1 である。この数値はすべての土地利用タイプからAR箇所に変わっ たところに適用される。一方、針葉樹及び広葉樹の平均について皮付き樹幹材積の年間の ロスは60m3ha-1 である。この数値は森林からすべての他の土地利用に変換されたときに 使われる。 ○ ARDの箇所における材積の増加及び減少は、オーストリアの平均値よりはるかに低 く、これは、天然更新で材積の増大が遅い場合や、樹木が十分に蓄積されていない森林が かなり含まれていることなどが考えられる。2007-09 年のNFIでは、かなり詳細な測定を 行っているので、上記の推計はより正確な推計を行うことができるようになるだろう。 4.2 変換係数(BEF) 表274はARDの箇所における総生体バイオマス増加あるいは減少量の転換係数を示す。 これらの係数は、ARDの箇所において皮付きの樹幹材積の増減量m3から炭素量へ換算 するものである。これらの算出はオーストリアの主な樹種の林齢に特有のBEFから引き 出されたものである。 表274 森林への土地利用変化の変換指数 4.3 枯死木 ○ NFIの樹幹材積の推計には立枯木も含まれている。このため、森林から他の土地利 用へ変化した土地における幹材積の減少には立枯木の減少も含まれている。 ○ ARの箇所については、林齢が若いので、枯死木はないと仮定しており、枯死木の蓄 積の変化は起きないと想定される。2007-09 年のNFIではARDにおける正確な枯死木の 蓄積が得られるようになる。 4.4 土壌 ○ 土壌の炭素蓄積量はARDの箇所ではリターの変化を伴い以下の方程式に従う。この 結果、蓄積の変化はARDの活動のあと最初の20年間継続する。 ⊿SOC=(SOCo-SOCo-γ)/20 ⊿SOC=ARDの活動のあと20年にわたる土壌及びリター中の年間炭素量変化 SOCo=土地利用変化の20年後の土壌及びリター中の炭素貯蔵量(例 森林土壌→

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121tC ha-1) SOCo-γ=土地利用変化前の土壌及びリター中の炭素貯蔵量(例 草地のタイプごとの 面積で荷重平均した、森林へ変換される前の草地:102tC ha-1) 4.5 改善計画 ○ 最近行われた2007-09 のNFI では、3条3の報告の必要性に合うように追加の情報や 特定の情報(例、枯死木、ARDの箇所での詳しいバイオマス評価)を収集している。こ れらの情報は2011 年のNIRに間に合う予定である。また、これらのNFIの成果がでて くると、今までのNFIに基づく活動データの修正が可能になる。リターの変化について は今までのように土壌炭素のプールには入れられずに、リターのプールに分類されるであ ろう。 ○ 次回のNIRからは、森林から農地への転換にともなうN2Oの放出について報告さ れるであろう。 ○ 土壌の炭素の変化についてのモデル研究は2010年に終了し、ARD箇所における 炭素貯蔵量の変化の推計の向上が可能になろう。 4.6 間接及び自然要因の分離(ファクタリングアウト) IPCC GPG及びどこにおいても、入手可能な手法が欠けており、間接的かつ自然要 因のGHG放出・吸収はいまだに分離されていない。 4.7 不確実性評価 ARDにおける排出/吸収の不確実性を評価するモデルを基礎としたアプローチは2011 年度に向け計画されている。 5 京都議定書3条3の活動 5.1 90年1月1日以降の人為的活動の判断 <森林及び新規植林、再植林の法的枠組み> ○ オーストリアでは、森林に関すること、森林の評価に関することは森林法(Austrian Forest Act)が主に基礎となっており、オーストリアのすべての森林に対して有効である。 他の森林関連の法令はその一部を規定しているもので、森林法が基本的に規定しているこ とを変えるものではない。 ○ 森林法では第1a 条で森林を定義している。(付表に載った)樹木の種類があり面積が 少なくとも1000m2 あり、平均 10m の幅があること。他の目的のために一時的に蓄積が減 少、あるいは除去される場合も含む。森林に直接関連し、あるいは林業の目的のために直 接役立つ永続的に蓄積の無い場所(集材システム、木材貯蔵場所、空き地など)。 ○ 森林とみなさないものとしては、60年たっても樹冠が3/10 に達しないもの、公園、 保護林以外での灌木のはえた場所、並木、森林法ができる前からの鉄道林、国境の植生除 去地帯がある。 ○ また、30年以内のローテーションで利用される箇所(樹木園、採種園、クリスマス ツリーの育成、果樹園など)が除かれる。 ○ 森林としての土地の評価に当たっては、オーストリアの森林法に規定される森林のみ が法的に対象となる。森林と定義された土地になるように利用が変換された土地は「森林 へ変換の土地」とみなす。 ○ 森林法では、森林を持続させることが公共の利益として、非森林化を基本的に禁止し ている。このため、土地所有者は、土地が森林になると、それを元に戻すには特別な場合

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に限られる(非森林化を人々がよしとする場合)ので、森林にならないように森林化を防 ぐ法的必要性が土地所有者にあり、この結果、望まれる土地で森林の再成長が行われるの で、これは「直接人間が関与する活動」とみなされる。 ○ 天然更新はオーストリアではよくみられ、そして望ましい場合がよくある森林管理方 法で、森林法でも適切な管理活動として認定している。すなわち、「直接の人のかかわる活 動」に入る。オーストリアの行政裁判所の決定(1996)では、土地所有者が天然更新 に土地をまかせたときは、「森林利用」または「森林管理」とみなすとしている。 ○ 新規植林の定義は、植栽して10年たっていること、天然更新で樹冠が5/10 を占め、 樹高が3mに達していること、規定されている(高地のいくつかの樹種では1mと規定)。 ○ 土地所有者がそれまでの土地管理をやめなければ森林の更新は不可能なわけで、森林 が育つことは森林所有者の森林化への決定のあらわれである。 ○ 森林の定義は森林法とNFIではほとんど変わらないが、NFIでは500m2を森 林としている。 ○ 「森林経営」の定義について、オーストリアでは、すべての森林は管理された森林で ある。森林法ではたとえば樹冠を失った森林は再造林しなければならないと規定、また、 病虫害を防ぐ手段をとる必要、公道沿いでの訪問者の事故を防ぐなどが規定されている。 また、オーストリアの森林はすべて持続可能な形で経営されなければならないと森林法に 規定している。持続可能な森林経営については、森林大臣のための汎欧プロセスとして幅 広い規定がされており、これもIPCC GPG の方向に沿ったものである。 ○ オーストリアの森林はすべて管理されているということについては、「ヨーロッパの森 林の状況2003」などいくつかの国際的に報告された文書にのっている。また、FAO のFR A2010 にはオーストリアの森林は 100%サステナブルに管理されていると報告されている。 ○ 3条3項の下で、オーストリアの森林はすべて管理された森林である。IPCC GPG に 従って、管理された森林への変化は「直接の人的関与のある」新規植林/再植林である。 LULUCF についての IPCC GPG では「直接人的に関与した」新規植林/再植林の広い定義 は有効としている。 5.2 一時的なストック減少と森林減少を区別する方法 森林減少は、①NFIの森林定義に当てはまらなくなり、②土壌の構造または植生に目視 で判断できる顕著な変化があらわれ、自然遷移により森林に復することはない、の2条件 で判断。②が認められなければ、蓄積を失った土地でも森林とみなされる。 6 京都議定書3条4の活動 オーストリアでは3条4の活動を選択していない。 7 その他の情報 7.1 キーカテゴリー 森林から他の土地利用または他の土地利用から森林への転用はすべて、キーカテゴリとみ なしている。 7.2 京都議定書6条に関する情報 オーストリアではLULUCF 分野では第6条に関する活動はない。

表 272:NFI 調査期間 1992-96 年から 2000-02 年の間におけるD面積(BFW2004a)  ○  この表から見て取れるように、ARDは主に草地からまたは草地への利用区分の変化 する箇所で生じている(59%, 53%)草地以外の土地利用と森林との間では、土地利用の変 化は非常に小さい。1997年以前は、土地利用の種類ごとに面積の把握がされていなか ったので、上記の傾向と同様とみなすこととした。図36はARD面積について概観する ものである。

参照

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