公益社団法人日本経済研究センター Japan Center for Economic Research コロナ前水準回復 2023 年にも ESP フォーキャスト調査長期予測からー 2020 年 12 月 15 日 1 伊藤由樹子 四半期別実質 GDP は 2022 年 1~3 月期までプラス成長が

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全文

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http://www.jcer.or.jp/ 2020年12月15日

コロナ前水準回復、2023年にも

―ESPフォーキャスト調査長期予測からー

伊藤由樹子1  四半期別実質 GDP は、2022 年 1~3 月期までプラス成長が続く見通し。GDP の 水準は新型コロナウイルス感染拡大前の水準にかなり近づくが、なお下回 る。  半年に一度実施する長期予測の結果から GDP の水準を計算すると、総平均で は、2022 年度には感染拡大前の水準に届かないが、26 年度には超える。仮に 23~26 年度が同じ成長率で推移すれば、23 年度には感染拡大前の水準に到達 する。  国と地方の基礎的財政収支は、2029 年度にも黒字化を達成しない見通しであ る。 12 月調査では、5 年先と 10 年先の長期予測と国と地方の基礎的財政収支につ いて調査している。成長率予測から GDP の水準を計算し、2020~31 年度までの見 通しを概観する。 1.四半期の見通し 実質 GDP 成長率(前期比年率)は、2020 年 7~9 月期に 22.9%(実績)と 4 四 半期ぶりにプラスに転じた後、12 月調査結果では、10~12 月期以降もプラスを 維持する見通しとなった。しかし、10~12 月期の伸び率は 3.44%と鈍化し、そ れ以降も 1~2%台にとどまる。 成長率の予測値から GDP の水準を計算すると、四半期の予測対象期間中には新 型コロナウイルス感染拡大前の水準にかなり近づくものの、なお戻らない見通し である(図表1)。22 年 1~3 月期の GDP 水準は、19 年 10~12 月期を 100 とする と 99.4、20 年 1~3 月期を 100 とすると 99.9 である。 1 日本経済研究センター主任研究員

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http://www.jcer.or.jp/ 図表1 四半期の実質 GDP の見通し (注)2015 暦年連鎖価格。 (資料)内閣府、ESP フォーキャスト 12 月調査 図表2は、四半期別景気判断についての回答から総合景気判断 DI を計算した ものである2。調査票では、該当四半期に景気動向指数 DI(一致指数)が 50 超に なると考えられる場合は「上昇」、50 未満は「下降」、50 近傍または明確な動き にならないと思われる場合は「横ばい」と回答する。総合景気判断 DI は、全員 が「上昇」と回答した場合は 100、全員が「下降」と回答した場合は 0、「上昇」 と「下降」の回答者数が等しければ 50 となる。12 月調査結果をみると、21 年 1 ~3 月期と 10~12 月期以降はやや低まるが、上昇するという見方が強いと捉えら れる。 図表2 総合景気判断 DI (注)4 月調査は特別集計の数値。 (資料)ESP フォーキャスト調査 2 総合景気判断 DI は、「上昇」を 100、「横ばい」を 50、「下降」を 0 として回答数で加 重平均した値である。 480 500 520 540 560 580 1~ 3 月期 4~ 6 月期 7~ 9 月期 10 ~ 12 月期 1~ 3 月期 4~ 6 月期 7~ 9 月期 10 ~ 12 月期 1~ 3 月期 4~ 6 月期 7~ 9 月期 10 ~ 12 月期 1~ 3 月期 2019年 2020年 2021年 2022 年 (兆円) 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 10~12月 1~3月 4~6月 7~9月 10~12月 1~3月 4~6月 7~9月 10~12月 1~3月 4~6月 7~9月 2019年 2020年 2021年 2022年 1月調査 4月調査 8月調査 12月調査

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http://www.jcer.or.jp/ 2.年度の見通し 2020 年度の実質 GDP 成長率は、12 月調査ではマイナス 5.37%の見通しとなっ た。1 月からの予測の推移をみると、4 月と 5 月に大幅に下方修正され、7 月から 9 月まで再び下方修正された後、11 月以降は上方修正されている(図表3)。11 月調査と 12 月調査は修正の方向は同じだが、修正の内容が異なる。11 月調査で は、内需は個人消費を除いて下方修正されたが、個人消費と輸出が上方に、輸入 が下方に修正されたことを反映した結果だ。一方、12 月調査は、公的需要が上方 修正され、成長率を押し上げた。 21 年度は内外需ともプラスの寄与に転じ、成長率は 3.42%の見込みである。 図表3 成長率と内外需別寄与度の見通しの推移 (注)「4 月(特)」は特別集計の数値。 (資料)ESP フォーキャスト調査 -7 -6 -5 -4 -3 -2 -1 0 1 1月 2月 3月 4月 4月(特) 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 2020年 (%) (予測月) 2020年度 0 1 2 3 4 5 6 7 8 1月 2月 3月 4月 4月(特) 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 2021年 (%) (予測月) 2021年度 純輸出 内需 実質GDP成長率

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http://www.jcer.or.jp/ 12 月調査では、半年に一度の長期予測に関する調査を実施した。2022~26 年 度と 27~29 年度の実質 GDP 成長率の見通しは、年平均でそれぞれ 0.99%、 0.70%である。 図表4は、調査票で質問した 20 年度、21 年度、22 年度の成長率、および 22~ 26 年度と 27~29 年度の年平均成長率から GDP の水準を計算したものである。22 年度には、なお新型コロナウイルス感染拡大前の水準には達していないことがわ かる3。その次の予測時点である 26 年度には、感染拡大前の水準は超えている4 したがって、22 年度から 25 年度の間で感染拡大前の水準を超えることになる が、その間の成長経路は不明である。仮に、23~26 年度が同じ成長率で推移する とすれば、23 年度には感染拡大前の水準には到達する計算である5 個別のフォーキャスターごとに GDP の水準を計算すると、2018 年度の GDP 水準 を超えるのは最も早くて 22 年度で、3 人(回答者の約 9%)である(図表5)。 この人数は 26 年度には 30 人(回答者の約 88%)まで増加する。 図表4 年度の実質GDP の見通し (注)2015 暦年連鎖価格。 (資料)ESP フォーキャスト 12 月調査 3 2022 年度の GDP の水準は、18 年度を 100 とすると 99.1、19 年度を 100 とすると 99.5。 4 2026 年度の GDP の水準は、18 年度を 100 とすると 102.4、19 年度を 100 とすると 102.8。 5 2023 年度の GDP の水準は、18 年度を 100 とすると 100.0、19 年度を 100 とすると 100.3 となる。 500 520 540 560 580 600 2015 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 (兆円) (年度)

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http://www.jcer.or.jp/ 図表5 2018・19 年度の GDP 水準を超える時期別フォーキャスター数 (資料)ESP フォーキャスト 12 月調査 3.基礎的財政収支の見通し 国と地方の基礎的財政収支の対名目 GDP 比は、24 年度はマイナス 4.20%、29 年 度はマイナス 3.35%と、7 月に内閣府が試算したベースラインケースよりも厳し い状況が続く(図表6)。高位 8 機関平均では、29 年度には内閣府のベースライケ ースを超えるが成長実現ケースには及ばず、なお黒字化は達成しない見通しであ る。29 年度に黒字化を見込むフォーキャスターは 30 人中 1 人である。 図表6 成長率と基礎的財政収支の見通し (資料)内閣府「中長期の経済財政に関する試算」2020 年 7 月、ESP フォーキャスト 12 月調査 なお、12 月調査の予測において想定している新型コロナウイルス対策としての 財政出動の規模は、19・20 年度合計で名目 GDP 比 10.89%である(図表7)。 -16 -14 -12 -10 -8 -6 -4 -2 0 2 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2 0 2 9 年 度 基 礎 的 財 政 収 支 ( 名 目 G D P 比 、 %) 2020~29年度実質経済成長率(年平均、%) ESPF平均 ESPF高位 ESPF低位 内 閣 府 ・ 成 長 実 現 ケ ー ス 内 閣 府 ・ ベ ー ス ラ イ ン ケ ー ス (人) 2020 2021 2022 2026 2031 2018年度水準 超える 0 0 3 30 30 超えない 35 35 31 4 2 2019年度水準 超える 0 0 5 31 31 超えない 35 35 29 3 1 予測対象年度

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http://www.jcer.or.jp/ 図表7 新型コロナウイルス対策としての財政出動の規模と成長率 (資料)ESP フォーキャスト 12 月調査 -6.0 -5.8 -5.6 -5.4 -5.2 -5.0 -4.8 -4.6 0 4 8 12 16 20 24 実 質 G D P 成 長 率( %) 新型コロナウイルス対策としての財政出動 (名目GDP比、%) 高位平均 低位平均 総平均

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http://www.jcer.or.jp/ 《参考1》1月調査、4 月調査(特別集計)、8 月調査、12 月調査の予測の比較 (注)日経平均株価、円相場、原油価格の他は前年比(%)。GDP と需要項目は実質。 (資料)ESP フォーキャスト調査 0.0 2.0 4.0 18 19 20 21 政府最終支出 ▲ 18.0 ▲ 16.0 ▲ 14.0 ▲ 12.0 ▲ 10.0▲ 8.0 ▲ 6.0 ▲ 4.0 ▲ 2.00.0 2.0 4.0 6.0 8.0 10.0 12.0 18 19 20 21 輸出 輸 ▲ 8.0 ▲ 6.0 ▲ 4.0 ▲ 2.0 0.0 2.0 4.0 6.0 18 19 20 21 輸入 0.0 2.0 4.0 18 19 20 21 公公共投資 ▲ 14.0 ▲ 12.0 ▲ 10.0▲ 8.0 ▲ 6.0 ▲ 4.0 ▲ 2.00.0 2.0 4.0 6.0 8.0 10.0 18 19 20 21 IIP ▲ 1.0 ▲ 0.5 0.0 0.5 1.0 18 19 20 21 CPI 102 104 106 108 110 112 18 19 20 21 円相場 (円/㌦) ▲ 8.0 ▲ 6.0 ▲ 4.0 ▲ 2.0 0.0 2.0 4.0 6.0 18 19 20 21 民間消費 ▲ 10.0 ▲ 8.0 ▲ 6.0 ▲ 4.0 ▲ 2.0 0.0 2.0 4.0 18 19 20 21 GDP 1月調査 4月調査 8月調査 12月調査 (%) ▲ 10.0 ▲ 8.0 ▲ 6.0 ▲ 4.0 ▲ 2.0 0.0 2.0 4.0 18 19 20 21 設備投資 ▲ 1.8 ▲ 1.3 ▲ 0.8 ▲ 0.3 0.2 0.7 1.2 18 19 20 21 名目賃金 ▲ 10.0 ▲ 8.0 ▲ 6.0 ▲ 4.0 ▲ 2.0 0.0 2.0 4.0 18 19 20 21 民間住宅投資 ▲ 0.15 ▲ 0.10 ▲ 0.05 0.00 0.05 0.10 18 19 20 21 国債流通利回り 19000 20000 21000 22000 23000 24000 25000 26000 27000 18 19 20 21 日経平均株価 (円) 30 35 40 45 50 55 60 65 70 18 19 20 21 原油価格 (㌦/bl ) ▲ 8.0 ▲ 6.0 ▲ 4.0 ▲ 2.0 0.0 2.0 4.0 6.0 18 19 20 21 米国GDP 0.0 2.0 4.0 6.0 8.0 10.0 18 19 20 21 中国GDP ▲ 10.0 ▲ 8.0 ▲ 6.0 ▲ 4.0 ▲ 2.0 0.0 2.0 4.0 6.0 18 19 20 21 ユーロ圏GDP 2.0 2.5 3.0 3.5 18 19 20 21 公 失業率

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http://www.jcer.or.jp/ 《参考2》1 年以内に景気の転換点がくる確率 (注)1.転換点が「過ぎた」という回答の場合、確率は 100%として計算。 2.「山」「谷」の後の丸数字は、下表に示した景気循環の順序による番号。 (資料)ESP フォーキャスト調査 0 20 40 60 80 100 1 4 7 10 1 4 7 10 1 4 7 10 1 4 7 10 1 4 7 10 1 4 7 10 1 4 7 10 1 4 7 10 1 4 7 10 1 4 7 10 1 4 7 10 1 4 7 10 1 4 7 10 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 % 予測月 景気後退期 山⑭ 谷⑭ 山⑮ 谷⑮ 山⑯ 谷⑯ 山⑰ 谷⑰ 山⑭=2007.10 (暫定) ▼[2009.1.29] 谷⑭=2009.3 (暫定) ▼ [2010.6.27] 山⑭=2008.2 谷⑭=2009.3(確定) ▼ [2011.10.19] 山⑮=2012.4 (暫定) ▼ [2013.8.21] 谷⑮=2012.11 (暫定) ▼ [2014.5.30] 山⑮=2012.3 谷⑮=2012.11(確定) ▼ [2015.7.24] 2012.11以降山 は設定されない ▼ [2017.6.15] 景気動向指 数研究会 ▼[開催日] 2017.8以前に山 はつかない ▼ [2018.12.13] 山⑯=2018.10 (暫定) ▼ [2020.7.30] 循環 谷 山 谷 第13循環 1999年1月 2000年11月 2002年1月 第14循環 2002年1月 山⑭ (2008年2月) 谷⑭ (2009年3月) 第15循環 谷⑭ (2009年3月) 山⑮ (2012年3月) 谷⑮ (2012年11月) 第16循環 谷⑮ (2012年11月) 山⑯ 谷⑯ 第17循環 谷⑯ 山⑰ 谷⑰

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