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Vol.53 , No.2(2005)057和田 真二「鈴木大拙研究の諸問題-『鈴木大拙全集増補新版』の一側面-」

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﹃鈴

す で に 知 ら れ て い る 如 く 、 ﹃ 鈴 木 大 拙 全 集 ﹄ は こ れ ま で に 二 回 刊 行 さ れ て い る 。 そ し て 、 今 回 新 た に 増 補 新 版 と し て 、 初 版 刊 行 よ り 三 十 一 年 後 の 平 成 十 一 年 十 月 か ら 、 お よ そ 四 年 余 を 費 や し て 、 平 成 十 五 年 十 二 月 末 に 刊 行 が 終 了 し た 。 こ の 度 の 刊 行 の 特 徴 は 、 第 二 次 全 集 を 底 本 と し な が ら 、 第 二 巻 か ら 第 二 十 五 巻 ま で は 前 回 全 集 を 踏 襲 し 、 第 二 十 六 巻 以 下 は 既 収 の 資 料 と 併 せ て 前 回 未 収 録 の 新 資 料 を 増 補 整 理 し 、 新 編 成 と し 巻 数 も 四 十 巻 と し た こ と で あ る 。 今 回 奇 し き 因 縁 の 故 か 、 全 集 の ﹁著 作 索 引 ﹂ ・ ﹁書 名 索 引 ﹂ の 編 纂 の 任 に あ た り 、 そ の 立 場 か ら 反 省 を も 含 み 、 今 回 の 全 集 に つ い て 関 説 す る こ と を 許 さ れ た い 。 四 年 余 の 明 け 暮 れ の 中 で の こ と で あ る 。 あ る 種 の 責 も 感 じ る 。 今 回 、 私 は 本 全 集 に 出 現 す る そ の 作 品 と 全 巻 中 の 書 名 、 人 名 の 数 を 拾 っ て み た 。 そ れ に よ れ ば 次 の よ う な 数 が 判 明 し た 。 (但 し 、 ﹁書 簡 篇 ﹂ は 除 く ) 全 作 品 数 七 六 〇 印 度 學 佛 教 學 研 究 第 五 十 三 巻 第 二 号 平 成 十 七 年 三 月 書 名 数 ( 日 本 名 ) 二 二 〇 二 書 名 数 (欧 文 名 ) 三 五 三 人 名 数 (日 本 名 ) 三 六 六 一 人 名 数 (欧 文 名 ) 三 二 三 今 こ こ で 、 書 名 に よ る ﹁ 書 名 出 現 頻 度 上 位 十 位 ﹂ ま で を 順 に あ げ る と 、 1 景 徳 伝 燈 録 2 金 剛 般 若 波 羅 蜜 経 3 楞 伽 経 4 碧 巌 録 5 法 華 経 6 華 厳 経 7 六 祖 壇 経 8 維 摩 経 9 聖 書 10 般 若 経 と な る 。 欧 文 の も の で は 、 こ な る 。 次 に 人 名 に よ る ﹁ 人 名 出 現 頻 度 上 位 十 位 ﹂ ま で を あ げ る と 、 圧 倒 的 に 群 を 抜 い て い る の が 釈 尊 の 名 で あ る 。 1 釈 尊 2 六 祖 慧 能 3 菩 提 達 摩 4 臨 済 義 玄 5 趙 州 従 論 6 イ エ ス ・ キ リ ス ト 7 馬 祖 道 一 8 親 鸞 9 百 丈 懐 海 10 盤 珪 二 四 九 729

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鈴 木 大 拙 研 究 の 諸 問 題 (和 田 ) 永 琢 の 順 に な る 。 欧 文 の 人 名 で は 、 で あ る 。 こ れ ら の 名 数 か ら 考 察 す る に 、 大 拙 自 身 の 関 心 事 が 何 処 に あ り 、 兼 ね て そ の 思 想 体 系 の 最 も 重 要 な 事 柄 が 何 で あ り 、 又 そ の 思 想 の 広 さ と 範 囲 が Ⅳ の 名 数 の 上 か ら も 窺 う こ と が で き る で あ ろ う 。 少 し 具 体 的 に い え ば 、 か つ て 古 田 紹 欽 氏 は 鈴 木 大 拙 の 学 問 を 六 つ の 思 想 的 峰 と し て 現 わ さ れ た こ と が あ る 。 そ れ に よ れ ば 、 一 つ は 英 文 ﹃ 禅 論 ﹄ 第 三 巻 に 見 ら れ る 華 厳 思 想 研 究 に よ る 思 想 の 峰 で あ り 、 第 二 に は 達 摩 の 研 究 の 思 想 で あ り 、 第 三 は 盤 珪 の 不 生 禅 の 研 究 で あ り 、 第 四 に は 浄 土 系 思 想 と も 関 連 を 持 つ 無 心 を 論 じ た 思 想 の 峰 で あ り 、 第 五 は 日 本 的 霊 性 を 問 題 に し た 思 想 の 峰 で あ り 、 第 六 に は 臨 済 の 人 思 想 の 峰 で あ る 。 今 こ れ ら の 思 想 の 峰 に 見 ら れ る 書 名 人 名 を 私 が 前 述 し た 名 数 十 位 の 所 に あ て は め る と 、 そ の い ず れ も が そ の 範 囲 内 に は い る の で あ る 。 全 集 所 収 書 名 総 数 二 五 五 五 件 と 人 名 総 数 三 九 八 四 件 中 上 位 十 位 ま で に 大 拙 の 思 想 を 形 成 す る 重 要 な 語 録 や 経 典 類 が あ り 、 人 名 な り が あ て は ま る と い う こ と は 、 あ る 意 味 で は 私 の 驚 き で も あ り 、 又 発 見 で も あ っ た 。 二 五 〇 次 い で 今 回 新 資 料 を も 含 め 、 新 編 成 さ れ た 全 集 第 二 十 六六 巻 よ り 第 四 十 巻 中 に 見 ら れ る 各 篇 数 の 新 ・ 旧 資 料 の 異 同 を 数 の 上 か ら 表 わ し て み た も の を 次 に 揚 げ る 。 (括 弧 内 は 新 収 録 ) 翻 訳 (第 三 十 六 巻 ) 8 篇 (3 ) 講 演 一 (第 二 十 七 巻 ) 37 篇 (11 ) 二 (第 二 十 八 巻 ) 23 篇 ( 10 ) 三 (第 二 十 九 巻 ) 41 篇 ( 11 ) 論 考 一 (第 三 十 巻 ) 94 篇 ( 20 ) 三 (第 三 十 一 巻 ) 82 篇 (21 ) 三 (第 三 十 二 巻 ) 68 篇 (10 ) 四 (第 三 十 三 巻 ) 62 篇 (19 ) 五 (第 三 十 四 巻 ) 74 篇 (36 ) 雑 篇 (第 三 十 五 巻 ) 26 篇 (22 ) 以 上 の 翻 訳 以 下 雑 篇 ま で の 四 項 目 の 総 篇 数 は 五 一 五 篇 と な り 、 そ の 内 一 六 五 篇 が 新 資 料 と な る 。 次 に 書 簡 に つ い て 、 そ の 異 同 を 示 す な ら ば 書 簡 一 (第 三 十 六 巻 ) 一 ∼ 六 五 四 二 (第 三 十 七 巻 ) 六 五 五 ∼ 一 三 四 四 三 (第 三 十 八 巻 ) 一 三 四 五 ∼ 二 〇 六一 四 (第 三 十 九 巻 ) 二 〇 六 二 ∼ 二 六 五 二 と な る 。 こ こ で 底 本 と し た 第 二 次 全 集 の ﹁ 書 簡 ﹂ 総 数 が 一 一 九 三 通 な の で 、 従 っ て こ こ ま で の 新 資 料 書 簡 数 は 一 四 六 〇 通 と な る の で あ る 。 が 次 に 示 す 補 遺 ( 第 四 十 巻 ) 中 730

(3)

の 次 の 数 篇 、 即 ち 論 考 4 、 講 演 3 、 翻 訳 小 篇 2 、 雑 篇 12 、 草 稿 篇 3 、 書 簡 追 補 二 六 五 四 ∼ 二 六 八 七 を そ れ ぞ れ の 項 目 に 追 加 加 算 し 、 そ れ に 別 項 目 の 草 稿 篇 の 3 篇 を 加 え て み る 。 す る と 各 項 目 の 総 数 は 次 の 如 く な る 。 (括 弧 内 が 新 収 録 ) 翻 訳 小 篇 十 篇 (七 ) 、 講 演 一 〇 四 篇 (三 五 ) 、 論 考 三 八 四 篇 ( 一一 〇 ) 、 雑 篇 三 十 八 篇 ( 三 四 ) 、 書 簡 二 六 八 七 通 ( 一 四 九 四 ) と そ れ に 別 項 目 の 草 稿 篇 (三 ) と な る 。 従 っ て 、 今 回 本 全 集 の 第 26 巻 以 下 40 巻 ま で の 資 料 総 数 は 五 三 九 篇 と 書 簡 二 六 八 七 通 と な る 。 そ の 内 、 新 資 料 数 は 翻 訳 以 下 雑 篇 ま で の 四 項 目 一 八 九 篇 と 一 四 九 四 通 の 書 簡 と な り 、 こ れ ら が 今 回 の 全 集 を 数 の 上 か ら 辿 っ た 結 果 と な っ て い る の で あ る 。 次 に 新 資 料 の 内 容 に つ い て 少 し 触 れ て お き た い 。 そ れ は 今 回 特 筆 す べ き こ と の 一 つ に 書 簡 集 の 大 幅 な 増 補 が あ っ た こ と で あ る 。 そ の 中 に 大 拙 の 思 想 研 究 の 上 で も 第 一 級 の 資 料 と 目 さ れ る も の が あ る 。 そ れ は 大 拙 か ら の 西 田 幾 多 郎 宛 の 書 簡 が 見 え る こ と で あ る 。 五 十 二 通 あ る 中 で 四 十 六 通 が 新 資 料 で あ る 。 そ れ に 加 え て 、 親 友 の 山 本 良 吉 宛 の 書 簡 が 百 二 十 二 通 が 発 見 さ れ た 。 又 、 こ れ ま で 全 く 世 に 出 な か っ た ビ ア ト リ ス 夫 人 宛 の 書 簡 が 二 通 を 別 に し て 二 百 二 十 三 通 が 新 し く 見 え る 。 鈴 木 大 拙 研 究 の 諸 問 題 (和 田 ) 又 別 に ポ ー ル ケ ー ラ ス 宛 の も の が 八 十 三 通 も 発 見 さ れ て い る 。 こ れ ら 四 者 宛 の 書 簡 は 若 き 大 拙 の 思 想 を 知 る 上 で 見 逃 す こ と の 出 来 ぬ も の で あ る と 共 に 、 こ れ ら の 書 簡 の 発 信 月 日 が 微 妙 に 前 後 錯 綜 し て い る 。 こ れ ら は 今 回 の 全 集 の 大 き な 収 穫 の 一 つ と い え る で あ ろ う 。 既 刊 の 西 田 幾 多 郎 の 大 拙 宛 書 簡 と 山 本 良 吉 の 大 拙 宛 書 簡 と を 合 わ せ 研 究 す る 必 要 が あ ろ う 。 し か し な が ら 、 今 回 の 全 集 に 問 題 が な い わ け で は な い 。 何 と な ら ば 、 大 拙 に は ま だ ま だ 未 整 理 の も の が あ る か ら で あ る 。 約 四 十 年 に 亘 る 日 記 ( ? ) 、 未 邦 訳 の 英 文 著 作 、 米 国 の 大 学 で の 講 義 草 稿 や 講 演 類 、 そ れ に 多 く の 遺 漏 の ま ま の 書 簡 等 が 未 整 理 の ま ま 存 在 し て い る 。 今 回 の 書 簡 に 注 の な い こ と も 指 摘 さ れ て い る 。 こ れ ら の 詳 細 に つ い て は 、 今 回 の 全 集 編 集 協 力 者 の 桐 田 清 秀 氏 の 全 集 月 報 40 号 を 散 見 さ れ た い 。 こ れ か ら の 大 拙 研 究 は 、 桐 田 氏 が い わ れ る 如 く ﹁ よ う や く 大 拙 研 究 の 揺 藍 期 に 入 っ た ﹂ 今 、 大 拙 全 集 を 完 壁 な も の へ 近 づ け る 努 力 と 共 に 、 大 拙 が 常 に い っ て い た ﹁宗 教 経 験 の 事 実 ﹂ に そ の 研 究 者 は 眼 を 向 け な け れ ば な ら な い で あ ろ う 。 ︿キ ー ワ ー ド ﹀ 鈴 木 大 拙 、 鈴 木 大 拙 全 集 、 宗 教 経 験 (帝 塚 山 学 院 大 学 講 師 ) 二 五 一 731

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