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H23運転と認知機能研究会

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運 転 と 認 知 機 能 研 究 会

2011

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第 4 回 運転と認知機能研究会

近年,高齢者の関与する交通事故が増加しており,その中で認知症ドライバーや認知機 能が低下していると考えられる高齢ドライバーへの対応が深刻な社会問題となっています. また,身体障害を持つ人への自動車運転の支援は積極的に行われている一方で,脳疾患に よる高次脳機能障害者の運転適性をどのように評価,判断するかについては十分な議論が なされていません.本研究会は,認知症や高次脳機能障害を持つ人の診療やケア,心理的・ 社会的・工学的サポートに携わるさまざまな職種の専門家が,認知機能の観点から自動車 運転の問題を考える「共通の場」となることを目的として発足しました.認知機能に問題 がある人の運転適性をどのように評価していけばいいか,運転の是非の判断をどのような 指針で行っていったらいいか,運転の継続や再開のためのリハビリテーションプログラム はどうしたらいいか,免許返納へのアプローチや社会的代替資源の利用などはどう進めれ ばいいか,などについて,自由に意見交換ができればと願っています. 認知症や高次脳機 能障害など,認知機能の低下している方が自動車運転を行う際に発生する問題を主な研究 テーマとして,安全な交通社会の形成と高齢者・障害者の自立的な移動の促進を目指して います. <特別顧問> 大内 尉義 (東京大学医学部加齢医学教授) 本間 昭 (浴風会認知症介護研究・研修東京センター長) <世話人> 荒井由美子 (国立長寿医療研究センター 長寿政策科学研究部部長) 飯島 節 (筑波大学人間総合科学研究科教授) 池田 学 (熊本大学脳機能病態学分野教授) 井上剛伸 (国立身体障害者リハビリテーションセンター研究所・福祉機器開発部部長) 鎌田 実 (東京大学高齢社会総合研究機構機構長 教授) 上村 直人 (高知大学医学部神経精神科講師) 種村 留美 (神戸大学大学院保健学研究科教授) 玉井 顕 (敦賀温泉病院院長) 鳥羽 研二 (国立長寿医療研究センター病院院長)

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プログラム

開会の辞 13:30 慶應義塾大学医学部精神・神経科学教室 三村 將 セッションⅠ 13:35~14:45 発表 10 分 質疑 5 分 座長 筑波大学人間総合科学研究科 飯島 節 1. 免許センター・教習所・医療機関間の連携に必要な要素 ~自動車教習所指導員と作業療法士に対する実態調査アンケートより~ 岡山リハビリテーション病院リハビリテーション部 ○山本祥平 岡山県作業療法士会事業部小委員会 若松 剛1),酒井英顕2),井上拓人2) 山本昌和3),三浦泰子3),野間博光3) 1)倉敷リバーサイド病院 2)岡山リハビリテーション病院 3)岡山旭東病院 2.“顔の見える連携”の必要性について ~岡山県における障害者自動車運転再開への検討会事業から見えたこと~ 岡山旭東病院リハビリテーション課 ○山本昌和 岡山県作業療法士会事業部小委員会 若松 剛1),酒井英顕2),井上拓人2) 山本祥平2),光島みゆき3),三浦泰子3) 野間博光3) 1)倉敷リバーサイド病院 2)岡山リハビリテーション病院 3)岡山旭東病院 3. 高次脳機能障害者の自動車運転に対する支援者教育 聖隷浜松病院 ○飯尾 円,杉山育子 聖隷三方原病院 片桐伯真,鈴木香菜子,藤原幸香 4. 脳卒中者の自動車運転再開に関する作業療法士および家族の思い 弘前医療福祉大学作業療法学専攻 ○成田句生 弘前大学医学部作業療法学専攻 野田美保子 5. 当院における自動車運転評価(CARD)において運転中断に至った症例の傾向・調査

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6. 高齢者ドライバーに関する運転心理教育マニュアルの作成 高知大学医学部 ○上村直人,福島章恵,今城由里子 下寺信次,井上新平,池田 学 (独)国立長寿医療研究センター 荒井由美子 7. 高齢者の道路横断判断の正確性に関する行動科学的検討 東京都健康長寿医療センター研究所 ○桜井良太,藤原佳典 休憩 14:45~14:55 セッションⅡ 14:55~16:05 座長 東京大学高齢社会総合研究機構 鎌田 実 8. 注意障害者の運転行動の特徴 -1 症例を通した検討- 北海道千歳リハビリテーション学院 作業療法学科 ○山田恭平 信州大学医学部 保健学科 佐々木 努 医療法人秀友会 札幌秀友会病院 リハビリテーション科 伊藤 玲 札幌医科大学保健医療学部 作業療法学科 仙石泰仁 9. 高齢者の有効視野と運転適性の関連 目白大学保健医療学部 ○藤田佳男 慶應義塾大学医学部精神・神経科学教室 三村 將 筑波大学大学院人間総合科学研究科 飯島 節 10. 自動車運転再開プログラムにおける脳損傷者の高次脳機能の特性 新潟リハビリテーション病院 作業療法科 作業療法士 ○外川 佑,小田俊昌 新潟リハビリテーション病院 リハビリテーション科 医師 菊池達哉,崎村陽子 11. ライブシミュレーターを使用した自動車運転評価の取り組み

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13. 高次脳機能障害者の自動車運転行動特徴と機能特性 名古屋大学大学院医学系研究科リハビリテーション療法学専攻 名古屋市総合リハビリテーションセンター 作業療法科 ○田中 創 名古屋大学医学部保健学科・大学院医学系研究科 伊藤恵美 名古屋市総合リハビリテーションセンター 作業療法科 佐藤千賀子・他 14. 高次脳機能障害者の運転状況調査 産業医科大学リハビリテーション医学講座 ○加藤徳明,岡崎哲也,蜂須賀研二 九州産業大学大学院情報科学研究科 松永勝也 休憩 16:05~16:15 Ⅲ教育講演 16:15~16:45 司会 神戸大学大学院保健学研究科 種村留美

手掌部発汗現象を用いた「自動車運転認知行動評価装置」の開発研究

信州大学医学部保健学科作業療法学専攻 教授 小林正義 休憩 16:45~16:55 Ⅳ特別講演 16:55~17:45 司会 慶應義塾大学医学部精神・神経科学教室 三村 將

認知症者に対する社会的支援

浴風会認知症介護研究・研修東京センター センター長 本間 昭

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1 免許センター・教習所・医療機関間の連携に必要な要素

~自動車教習所指導員と作業療法士に対する実態調査アンケートより~

岡山リハビリテーション病院リハビリテーション部 山本祥平 キーワード:自動車運転,連携 【はじめに】 岡山県作業療法士会事業部では今年度,高次脳機能障害者の自動車運転(以下,運 転)において,免許センター・教習所・医療機関が一体となる支援事業に着手してい る.今回,(1)「岡山県公安委員会指定の自動車教習所(以下,教習所)」と(2)「岡 山県作業療法士会会員(以下,OT)」に対し,各々の施設の体制・支援実績・支援に対 する意向と認識について,アンケートを実施した.その結果を基に,今後の支援・連 携体制に必要な要素について考察したので報告する. 【アンケート結果】 (1)教習所: 体制面:障害者専属指導員の配置あり 64%.実績面:①経験:障害者教習の依頼経験 あり 92%,②障害区分:身体機能 62 人,注意力・判断力・記憶等 29 人,言語 19 人. 課題面:障害の影響不明 41%・運転可否の要求 40%.医療機関への要望:①内容:病 気に対する注意事項・運転可否に対する主治医の意向・障害の程度,②情報提供手段: 書面 59%・同行 37%.高次脳機能障害に対する認識度:40%(名前のみ認知 34%・ 症状の理解 4%). (2)OT: 体制面:①関わりの必要性を認識:75%.実績面:①疾患:脳卒中が最多,②未介入 症例:300 人超,③支援方法:主にアドバイス 68%・神経心理学的検査 47%.課題面: 院内業務との両立・関わるべき段階の判断・職場間の意欲差・支援方法が不明・先方 の協力が不明等. 【考察】 医療機関が積極的な介入が行えていない中,教習所では医療機関からの情報がない 状態での教習を余儀なくされ,患者に対する支援が十分に行えていないことが明確に なった.また,各施設内にも支援に対する意欲差があることが明確になった.教習所・ 医療機関とも何らかの支援の必要性を感じている為,今後は各施設に向けて情報発信

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2 “顔の見える連携”の必要性について

~岡山県における障害者自動車運転再開への検討会事業から見えたこと~

岡山旭東病院リハビリテーション課 山本昌和 キーワード:自動車運転,連携,アンケート,ニーズ 【はじめに】 自動車運転再開(以下,運転)における専門機関との連携(免許センター,教習所,作 業療法士 等)に向けて,今年度岡山県では岡山県作業療法士会事業部主体による検討 事業に着手した. 事前に実施した運転再開に関する実態調査アンケート結果(県内教習所,県内作業 療法士),及び関係者間協議から得られた結果を基に,今秋県内自動車学校職員を主た る対象とした研修会事業の企画に至った.今回,顔の見える意見交換を趣旨とした検 討会事業が,今後の支援体制や連携にもたらす意味合いについて考察する. 【開催内容】 趣旨:連携に向けた現状認識の抽出 会場:岡山県運転免許試験場 参加者:公安委員会,教習所指導員,県作業療法士 内容:①導入(研修会における経緯) ②岡山県士会員及び教習所のアンケート結果報告 ③その他(高次脳機能障害における運転影響についての勉強会)④意見交換 意見交換のポイント:①アンケート結果を掘り下げて各々の思いを抽出 ②連携の必要 性について ③自組織の立場(障害者支援に対する考や障壁について)や医療機関に対 する思い(求める事)を抽出 ④高次脳機能障害について(知識の度合・運転影響におけ る認識) 【考察】 本事業で事前に実施したアンケート結果においては,教習所と医療機関は相互に支 援の必要性を感じているが,何らかの各々の立場や思いによって踏み込めていない実 情が示唆された.したがって,今秋の検討会事業では,連携に必要な要素として各教 習所の立場や思いを“顔の見える意見交換”において抽出・把握することが重要であ ると考えられた.障害者の運転再開における立場や思いを知り,相互理解が深まる事 で各々が抱える問題点を整理する事が出来,実状に合わせた円滑な連携への第一歩と なると期待している. 対象者の多様なニーズへ対応する為には標準化を図る事も大切であるが,多機関と 顔の見える連携の過程が土台となり,今後の発展に必要不可欠と考える.

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3 高次脳機能障害者の自動車運転に対する支援者教育

聖隷浜松病院 飯尾 円 キーワード:支援者教育,システム化,地域 【はじめに】 聖隷浜松病院・聖隷三方原病院・浜松市リハビリテーション病院では,2008 年より 高次脳機能障害者に対し自動車運転再開に向けた評価(運転評価システム)を自動車 学校・運転免許センターの協力のもと実施している.また 2010 年より本システムの構 築・普及を目的に上記 3 病院を含め,近隣の急性期・回復期病院スタッフ参加による勉 強会を開催している.その運営に際し,様々な課題を認めたので,ここでは支援者教育 における現状や今後の方向性について考察し報告する. 【勉強会の目標】 高次脳機能障害者が自動車運転をする上で必要な能力を神経心理学的検査(以下 検査)や行動観察から学び,運転評価の流れと要点を理解し,最終的には地域で活用可 能なシステムを作る. 【勉強会の内容】 自動車運転評価を行った症例を提示し,検査結果から考えられる生活上の問題行動 を推察しつつ,それが運転にどのように影響するかをグループディスカッション形式 で検討を行っている.毎回,7 施設から 60 名程度のスタッフが参加している. 【問題点と静岡県西部地区の現状】 勉強会を開催する中で,参加施設毎の高次脳機能障害に対する環境・知識・経験の差 が大きいことがわかった.そして検査値重視の傾向があり,対象者の問題点を見逃して しまうことをしばしば認めた.また,自動車運転評価に必要だとされる検査項目が実施 困難な機関も多く,検査に関する機関ごとのばらつきを認めた. 【今後の課題】 現状の幅広い検査バッテリーを盛り込んでいる運転評価システムを,各機関で標準 的に利用することは困難であるため,今後,地域で活用可能なシステムを作るためには, 検査項目の厳選と,行動観察含めたチェックリストが必要だと考えられた.また,今後 も勉強会を継続し,情報を共有しつつ知識を深め経験を積んでもらうことが,システム の構築・普及につながり,支援者教育に対しても有効だと考える.

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4 脳卒中者の自動車運転再開に関する作業療法士および家族の思い

弘前医療福祉大学作業療法学専攻 成田句生 キーワード:脳卒中,自動車運転,家族 【目的】 脳卒中者の運転再開のための作業療法マニュアル作成に向けた基礎研究として,脳卒 中者の運転再開に関わった経験のある作業療法士(OT)及び運転を再開している脳卒 中者の家族を対象として,運転再開に関する OT の思いや家族の思いについて検討した. 【方法】 OT(平均 OT 歴 12 年)8 名と家族(脳卒中者の妻)5 名に対して個別面接によるアン ケート調査を行った.面接所要時間は一人当たり約 60 分であった. 【結果】 OT の結果:運転が再開できた 13 例,運転再開が実現しなかった 6 例についての身 体機能,精神機能等の情報が得られた.OT が苦労したこととしては「警察,運転免許 センター,自動車学校など関連施設への問い合わせ」,「実車運転による評価ができな いこと」,「ケースに運転再開の危険性を理解してもらうこと」などが多くあげられた. 家族の結果:夫から運転を再開したいと相談された時の思いは「不安があるが賛成」 が多く,その理由は「不安があるが運転できないと夫が家に閉じこもってしまい次の 生活につながらないと考えたから」であった.運転再開までの思いの変化としては「始 めは家族が同乗していたが,本人が運転に慣れて自信をつけていったので,家族も不 安が軽減した」が多かった.家族は全員,医療者から運転に関する情報を提供されて おらず,運転に関する法制度や自動車教習所の利用等に関する情報の提供を求めてい た.現在の家族の思いは「本人が自由に行動できて気持ちも明るくなり,家族もスト レスがかからず楽である」という内容が多かった. 【考察】 以上の結果から,脳卒中者の運転再開マニュアルには「脳卒中者の運転能力に関す る情報」,「自動車関連施設の機能やサービス等に関する情報」,「運転練習が実際に行 える自動車学校」等についての情報提供を加えることが必要であること,またこれらの 情報は医療従事者のみならず家族にとっても有用であることが示唆された.

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5 当院における自動車運転評価(CARD)において運転中断に至った症例の

傾向・調査

井野辺病院 総合リハビリテーションセンター 末綱隆史 キーワード:自動車運転中断,フィードバック,調査 【はじめに】 近年,自動車運転評価に対しての関心が高まっており,自動車学校との連携等各種 評価法の実践が多く報告されている.同時に評価後の運転可・不可の判断やその後の 運転不可と判断された方に対し,いかに運転中断を促すかは特に難しい問題である. 今回,当院で運転不可とされた 14 名の特性,帰結について検討した.そして 2 症例 の中断に至るまでの過程を通して,家族の役割やフィードバック方法を報告する. 【対象・方法】 対象は平成 17 年~平成 23 年までの間で当院において自動車運転評価を実施し,運 転不可と判定された 14 名.対象者の主診断名,自動車運転評価結果(神経心理スクリ ーニング,ROAD テスト),家族構成,職業,病前の運転状況を集計した.また,運転 中断時のフィードバックの状況を担当者への聞き取り調査を実施した. 【結果】 1.主診断名:脳出血 3 名 脳梗塞 11 名 2.病前の運転目的:通勤 6 名 余暇 8 名 3.家族構成:14 名中 2 名独居.妻との 2 人暮らしは 3 名(妻免許なし 2 名) 4.フィードバック実施時の家族同席の有無:有 14 名 無 0 名 5.帰結:運転不可となった対象者 14 名中全員が運転中断となった.(当院退院時) また,聞き取り調査から,運転中断を促すには家族の関与が重要であるとの意 見が多く聞かれた. 【考察】 結果より,フィードバックにて家族,本人が運転再開の問題を話す場を共有できた 事,特に中断後の生活設計,家族の援助体制について話し合う事ができた事が運転中 断につながったのではないかと考える. 今後の展望としては運転中断に向けての指標ができるよう,運転中断者の傾向・分 析を継続していきたい.

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6 高齢者ドライバーに関する運転心理教育マニュアルの作成

高知大学医学部 上村直人 キーワード:高齢者,認知症,運転中断,運転マニュアル,心理教育 高齢ドライバーは今後ますます増加し,全交通事故者に占める高齢者の比率も増大 することが予測される.その中には認知症ドライバーが多数含まれている可能性も大 きい.そこで筆者の所属する厚生労働省研究班(以下荒井班)は 2009 年に我が国で初 めて総合的な高齢者の運転に関する心理教育マニュアルを作成し,全国の自治体,包 括支援センターなど医療福祉,行政関係に URL 形式で提供してきた. 今回はそのマニュアルの紹介と有効性について予備的な検討結果について述べる. 対象は 2002 年-2009 年に高知大学および関連病院を受診し,認知症もしくは認知機能 の低下を来しており,臨床診断時に運転を継続している者 79 名中,運転中断のための 心理教育的介入を行った 46 名(男性 33 名,女性 13 名,平均年齢 69.8±10.1 歳,平 均 MMSE20.0±5.8).調査内容として,年齢,発症年齢,臨床診断,MMSE,CDR,NPI, ZBI について評価した.心理教育の効果の判定は,運転中断告知後の中断成功の有無 と中断までの期間とした.心理教育的介入により 46 名中 34 名(73.8%)が運転中断 に成功していた.心理教育的介入から中断までの期間は 7.9±7.6 ヵ月(1-27 ヵ月)で, 発症から運転中断までの期間は 19.1±18.7 ヵ月(0-63 ヵ月)であった.運転中断の 成功と,疾患教育の有無や運転能力評価の有無は関連性が低かった.これらの結果か ら,疾患教育と認知症の運転行動に関する知識教育を同時に行う心理教育的介入は, 認知症患者を運転中断に導く手段として一定の有効性があると考えられた.また心理 教育的介入でも中断につながらない対象者の特徴としては,運転の代行者が同居者に いない,生活必需品を得るための交通手段がない地域在住の者,介護者の高齢化によ り知識教育が理解されにくい,ピック病であること等が中断阻害要因と考えられた. そのため,今後は社会資源の利用方法や背景疾患の行動特徴や運転行動に関する知見 を含めた知識や情報提供を盛り込んでいく必要があると考えられる.

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7 高齢者の道路横断判断の正確性に関する行動科学的検討

東京都健康長寿医療センター研究所 桜井良太 キーワード:高齢者,道路横断判断,歩行能力評価 【はじめに】 道路を横断する際,接近する車の走行速度と自己の歩行速度の比較が正確にできな ければ安全な横断は困難であり,このような速度比較の不一致が高齢者に多くみられ る道路横断時の事故の一因となっている可能性がある.そこで本研究は高齢者の歩行 能力に関する評価(自己歩行能力評価)の正確性と,接近する車に関する速度知覚の 関係性が道路横断判断にどのような影響を与えるか検討した. 【方法】 本研究の参加者は地域在住の高齢者 121 名と対照群の若年者 23 名であった.歩行能 力及び歩行能力評価の正確性の測定では,最初にスタート位置から 4m 地点までの最大 努力下での歩行(早歩き)自己タイムをストップウォッチで予測させた.その後,実 際の歩行時間を計測し,予測タイムと実際の歩行タイムの差から歩行能力評価の正確 性を検討した.横断判断課題では,道路を横断する際の自動車接近時の風景を模した 映像を提示し,参加者が道路を横断できないと判断した時点での車両接近距離(衝突 までの時間)を測定し,実際の歩行時間との差分から道路横断の正確性を算出した. 【結果・考察】 若年者と前・後期高齢者の道路横断の正確性を比較したところ,若年者と比較して 前・後期高齢者では車両の速度が速くなるにつれて道路横断の正確性が低下し,車両 と衝突してしまう可能性が示唆された.しかしながら,道路横断の正確性と自己歩行 能力評価の正確性の間には有意な関連性は認められなかった.以上から,本研究で認 められた高齢者における道路横断時の誤判断は速度知覚や空間認知などに起因してい る可能性も考えられる.

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8 注意障害者の運転行動の特徴 -1 症例を通した検討-

北海道千歳リハビリテーション学院 作業療法学科 山田恭平 キーワード:運転評価,運転行動,路上評価 【はじめに】 近年,運転評価に向けた取り組みが数多く紹介されており,実車による“路上評価” の実施が有用とされている.しかし,路上評価でみられる様々な運転行動と対象者の 機能的特性との関連については十分に検討がなされていない.本発表では,検査上で 注意障害の認められる症例に対して実施した路上評価における運転行動の特徴と,神 経心理学検査から考えられる症状との関連から分析を行い,一定の知見を得たので報 告する. 【事例紹介】 78 歳男性,診断名は脳動脈瘤術後,左脳出血で,軽度右片麻痺を呈していた.神経 心理学的検査は,MMSE:28 点,コース立方体テスト IQ75,TMT A/B:204/307 秒,Rey 複雑図形模写/3 分後再生:34/19 点,FAB:12 点,RBMT SP:16 点であった.日常生活 は自立しているが,配分性注意の低下に加え,課題の施行時間の経過に伴い注意の持 続が低下することや動作の切り替え,その判断に時間を要する場面がみられていた. 【路上評価】 路上評価は自動車学校協力のもと実施し,本田通信工業株式会社製のドライブレコ ーダを用いて記録した.運転行動の評価は,同乗した教官が指摘した行動,教官によ る介入(ブレーキ補助など)場面について抽出した.その結果,左折することのみに 気をとられ,速度を落とさず,確認が不十分となる場面や,評価の終盤で,前方の信 号に気づくのが遅れる場面がみられた.また,車線変更では,自車の速度を維持しな がら,他レーンの車両間に入るタイミングが計れない場面がみられた. 【考察】 検査上で認められた動作の切り替えの困難さは,1つの運転行動に注意を向けると, 確認不足となる,速度を減速/維持するといった他の運転行動が不十分となる形で認め られた.また,配分性,持続性注意の低下は,評価終盤で信号に気づかないこと,全 般的に知覚情報処理に時間を要し,交通量や評価継続時間によってそのパフォーマン スが変化するといった関連が推測された.

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9 高齢者の有効視野と運転適性の関連

目白大学保健医療学部 藤田佳男 キーワード:運転適性,高齢者,有効視野 【はじめに】 自動車免許を所持する高齢者の増加に伴い,引き起こす事故も増加している.その 対策として 2009 年より 75 歳を超える免許更新者に講習予備検査(認知機能検査)が 開始され免許を取り消される者も出てきているが,認知機能と運転適性の関係は明ら かではない.そこで高齢者に運転適性と関連が深いとされる有効視野検査と複数の認 知機能検査を行い,どの指標が実車評価との関連が深いか検討した. 【方法】 対象は 65 歳以上で月に 1 回以上運転している 20 名(65-81 歳,平均 72.3 歳)の高 齢者とした.インタビューガイドを用いて運転状況や事故経験,運転に対する自己認 識などを確認した.有効視野は独自に開発した有効視野測定ソフトウェア高齢者版 (Visual Field with Inhibitory tasks Elderly Version:VFIT-EV)を用いた.認知 機能検査は MMSE,TMT-A および B,WAIS-R の符号課題を用いた.実車評価は自動車教 習所の修了検定コースで検定員による採点を行った.それぞれの指標の基本統計量を 求め,対象者の年齢,MMSE 得点,実車得点のよって 2 群に分けたものに差があるかど うかを調べた. 【結果】 75 歳以上とそれ未満の群では MMSE 得点や実車得点に差は認められず,TMT-B のみに 有意差が認められた.MMSE 得点は 25 点以上とそれ未満の群では WAIS-R の符号課題な どに有意差が認められたが,実車得点に差は認められなかった.実車得点が-140 より 低いか否かの群では VFIT 正解率に有意差が認められた. 【考察】 現在行われている講習予備検査は見当識の得点比重が大きいが,今回の研究では MMSE と実車得点との関連は認められなかった.今後,運転適性を評価する方法として 神経心理学的検査の他,関連が認められた有効視野検査なども検討する余地があると 考えられた.

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10 自動車運転再開プログラムにおける脳損傷者の高次脳機能の特性

新潟リハビリテーション病院 作業療法科 作業療法士 外川 佑 キーワード:自動車運転評価,高次脳機能,脳損傷 【はじめに】 脳損傷者の自動車運転再開について,高次脳機能障害がどの程度影響しているかに ついて明確な安全基準は定められていない. 当院では,自動車学校と連携し自動車運転再開プログラムを実施している.今回, 院内評価で実施する高次脳機能評価の結果について分析したので報告する. 【対象と方法】 自動車運転再開プログラムを実施した症例を対象に,運転再開(以下 N.P)群,再評 価・見送り(以下 P)群の 2 群に分類し,高次脳機能評価(神経心理学的検査)の結果 を比較した.2 群間の比較項目は WAIS-Ⅲ(FIQ,VIQ,PIQ),BIT(通常・行動),TMT(partA, B),BADS の 8 項目とし,統計的手法を用いて分析した. 【結果】 N.P 群では FIQ:98.6±18.4,VIQ:98.2±20.1,PIQ:95.5±18.7,TMTpartA:46.1±16.1, partB:139.6±80.1,BIT 通常:143.1±4.9,行動:78.8±2.7,BADS:100.4±13.4 であっ た.P 群では FIQ:82.9±14.3,VIQ:85.1±17.4,PIQ:83.3±14.5,TMTpartA:81.0±40.8 秒,partB:240.2±215.7 秒,BIT 通常:139.5±7.2,行動:90.2±18.4,BADS:90.2±18.4 であった.

WAIS-Ⅲ,BADS で P 群のスコアが N.P 群より低いこと,TMT で P 群の検査所要時間が N.P 群より長いことが示唆された.

【考察】

N.P 群の結果は複数の先行研究を支持する結果となった.

また,WAIS-Ⅲの FIQ82,VIQ85,PIQ83 以下,TMTpartA80 秒以上,partB240 秒以上, BADS90 以下と上記の条件をいずれかでも満たす場合,再評価・見送りとなる可能性が あると考えられる.

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11 ライブシミュレーターを使用した自動車運転評価の取り組み

医療法人永広会 八尾はぁとふる病院 武平孝子 キーワード:自動車運転評価,ドライブシミュレーター 【はじめに】 当院では,平成 22 年より運転免許チームを立ち上げ,自動車運転再開のニーズを持 つ対象者に対して評価・情報提供を行っている.今回,ドライブシミュレーターのデ モ機(Honda 製セーフティナビ,以下シミュレーター)を使用し運転再開希望者の評 価を実施した.評価から得られた傾向および課題について報告する. 【方法】 シミュレーターの「練習走行コース」を用い,評価を実施.同意を得られた 4 名(頚 椎・脳血管疾患)について動画撮影.また,任意で「ハンドル操作検査」を実施. 【結果】 ①症例 A 後縦靱帯骨化症術後の 60 歳代男性.移動は杖歩行,両上肢感覚障害・巧緻性低下あ り.シミュレーターでは時間とともにハンドルから手が離れる様子や,アクセルとブ レーキの踏み替えが十分に行えない様子が観察された.現在,運転は仕事や通院など 主に近隣のみで実施. ②症例 B 心原性脳塞栓症の 40 歳代男性.ADL は自立しているが,言語障害・注意機能低下・ 右半盲あり.復職にあたり運転再開の希望はあるものの,過去にも脳梗塞の既往があ り,発症後に 3 回の自動車運転中の事故を起こしているとの情報を得ていた.シミュ レーターでは,コースの右寄りもしくは左寄りを走行する傾向がみられた.ハンドル 操作評価では,標的を通り過ぎた後に別のレーンに入ってしまうことがあった.自動 車運転再開にあたりリスクが予想されることから,教習所との連携を図りペーパード ライバー講習を実施する予定である. 【考察】 臨床検査では予測できない部分が評価できる点や,運転に際し起こり得るリスクを 体感し危険認知を高めることができる点で,シミュレーターの利用は有効であると考 えられる.ただし,ハンドルが小さいこと,目視ができないことなど,実際の運転と

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12 注意機能が必要な走行課題を含むドライビングシミュレータでの走行と

Trail Making Test との関連 ~健常者と脳卒中患者データ~

三田市民病院 神戸大学大学院保健学研究科 藤井聖子 キーワード:自動車運転,注意機能,神経心理学的検査

【はじめに】

自動車運転には注意機能が重要であり,近年運転中の脳神経活動の研究が行われ, 注意機能が必要な走行課題についても報告されている.また,脳損傷後の運転可否の 評価には,実車運転との関連が報告されている Trail Making Test(以下 TMT)が適して いるとされている.今回,注意機能が必要な走行課題を含むドライビングシミュレー タ(以下 DS)上での事故の有無と TMT との関連について健常者と脳卒中患者を対象に検 討したので報告する. 【方法】 対象:健常者 11 名,脳卒中患者 6 名(男性 15 名,女性 2 名).使用機器:ハードウェ アはパーソナルコンピュータ,ディスプレイ 3 台,Driving Force GT を使用.ソフト ウェアは松永・合志らが開発した DS を改造.走行内容:走行時間は約 10 分.直線・ 右左折あり.制限速度が違う道路環境を含み,信号機,追従走行・併走・横断車への 対応が必要.手続き:走行前にハンドル・アクセル・ブレーキの位置を確認・修正. 走行経路は提示せず,看板の「三田」を目指すように指示した. 【結果】 今回使用した DS の結果を事故あり群となし群にわけると,事故あり群 8 名(横断車 との接触,右折時や道を間違え事故),事故なし群 9 名となった. TMT 平均±標準偏差は,事故あり群Α51.5±48.0 秒Β89.8±62.1 秒Β-Α38.3±19.2 秒,事故なし群Α30.8±6.6 秒Β47.5±6.8 秒Β-Α16.8±7.7 秒で,2 群間において Β(p<0.05),Β-Α(p<0.01)で有意な差を認めた(Mann-Whitney の U 検定). 【考察】 「無事故者に比較して事故者は突発的な認知・反応時間の遅延を認める.」と,注意 機能との関連が述べられ,また脳卒中後遺症者の運転可否には特に TMTB の値が重要と いわれている.この DS においても TMT の値の特徴が DS 上の事故あり・なしに影響す ると推察される.

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13 高次脳機能障害者の自動車運転行動特徴と機能特性

名古屋大学大学院医学系研究科リハビリテーション療法学専攻 名古屋市総合リハビリテーションセンター 作業療法科 田中 創 キーワード:高次脳機能障害者,自動車運転,ドライビングシミュレーター 【目的】 高次脳機能障害者が運転を再開する際に,運転可否について明確な判断基準がない ことが課題として挙げられている(平田ら,2002).本研究では,高次脳機能障害者の 機能特性と運転行動特徴を健常者と比較する事で明らかにし,運転可否判断に有効な 指標を検討することを目的とするものである. 【方法】 運転再開を希望する独歩可能な高次脳機能障害者 23 名(46.9 歳±10.6)と健常者 23 名(46.1 歳±12.8)を対象とした.機能特性は,竹井機器工業社製「リアクション B-G」を用いて棒反応時間測定を行い上肢の敏捷性を評価した.「Trail-Making-Test (鹿島ら,1986)(以下,TMT)」を用い視覚性注意機能を測定した.認知・知覚・身体 機能を組み合わせた包括的指標として,任天堂社製「Wii-Fit」の「トレーニング(ヘ ディング)」を実施した.運転行動特徴は,ドライビングシミュレーター(三菱プレシ ジョン社製 DS-6000R)を用いてペダル踏み替え検査と模擬運転による基本的な運転操 作能力評価を行った.また,配分性注意と注意・情報処理速度を評価するために飛び 出しに対するブレーキ反応時間と空走距離を測定した. 【結果】 高次脳機能障害者と健常者の 2 群間で機能特性と運転行動特徴を比較した.高次脳 機能障害者は TMT-A(U=84.50,p<0.01),TMT-B(U=107.00,p<0.01)が有意に 遅く,Wii-Fit(U=136.0,p<0.01)の得点が有意に低かった.棒反応時間は有意な 差がみられなかった.また,高次脳機能障害者はブレーキ反応時間が遅く(t=2.184, p<0.05),空走距離も長かった(t=2.086,p<0.05).基本的な運転操作能力得点と ペダル踏み替え時間は有意な差がみられなかった. 【考察】 高次脳機能障害者は,配分性注意と注意・情報処理速度の低下がみられ,複数の刺 激に同時に注意を配分する場面において運転の危険性が表面化すると考えられた.複

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14 高次脳機能障害者の運転状況調査

産業医科大学リハビリテーション医学講座 加藤徳明 キーワード:運転状況調査,簡易自動車運転シミュレーター,事故 【はじめに】 我々は自動車運転適性評価に役立てるため簡易自動車運転シミュレーター(シミュ レーター)の健常者成績より標準域を設定した.今回,シミュレーターを実施した患者 の運転状況調査を行った. 【対象・方法】 2006 年 4 月から 2011 年 5 月までにシミュレーターを実施し,発症(受傷)から1 年以上経過している運転免許保有者 86 名へ運転状況に関する質問紙を郵送した.57 名より回答が得られ(回収率 66.3%),うち高次脳機能障害評価を目的に入院してい た 47 名(45.4±12.6 歳)を今回の解析対象とした.調査結果をもとに非運転者や運 転再開後に事故を起こした者(事故者)のシミュレーターの成績を検討した. 【結果】 <運転状況> ① 現在の運転実施の有無:運転者 23 名,非運転者 24 名 ② 非運転者の運転中止理由:身体面の不安 9 名,注意力・記憶の低下 9 名,判断力の 低下 8 名,助言があった 8 名,再開したが事故を起こした 2 名 ③ 運転者の事故の有無:無 16 名,有 7 名 ④ 運転中に注意していること:速度を控えめにする 13 名,長時間の運転を避ける 9 人,夜間の運転を避ける 9 名,注意していることはない 2 名.無事故者で速度を控 えめにしている者が 11 名と多かった. ⑤ 運転中に良くある状況:走行位置が不安定 4 名,ブレーキ操作が遅れる 4 名,追い 越されるとカッとなる 4 名,の回答が比較的多かった.事故者は回答した者が 3 名 と無記入が多かったが,良くある状況が多いわけではなかった. <シミュレーター> 非運転者や事故者は認知反応時間の平均値が標準域外となる傾向があった. 【考察】 非運転者のうち助言で運転を中止した者は 8 名であり,自主的に中止した者が多か った.また,運転者の多くが何らかの注意をしながら慎重に運転を継続していること がうかがえた.シミュレーターは運転中止や事故の予測に有効である可能性がある.

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教育講演

手掌部発汗現象を用いた「自動車運転認知行動評価装置」の開発研究

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手掌部発汗現象を用いた

「自動車運転認知行動評価装置」

の開発研究

第4回運転と認知機能研究会 小林正義 信州大学医学部保健学科 第4回運転と認知機能研究会 (2011.11.26) 背 景 高齢者の自動車運転事故が社会的問題となっている 高齢運転者には認知症予備軍が30万人以上含まれる とされる 現在,免許更新時の高齢者講習で70歳以上を対象に 「警察庁方式CRT運転適性検査」が,75歳以上で予備 検査(認知機能検査)が行われ る 検査(認知機能検査)が行われている CRT運転適正検査 しかし,CRT検査は状況認知 を評価するものではなく,認 知機能検査は紙筆検査であ り,いずれも運転適正の評価 としては不十分とされている 警察庁方式CRT運転適性検査 1.画面の色マークによりペダルを操作する ●→アクセルから足を離す ●→アクセルを踏み続ける 手掌部(精神性)発汗は常温条件 下で覚醒時に絶えず認められ,精 神的な緊張,興奮,構えなどの情 緒変化によって増加する 中枢は情動と関係の深い大脳辺 縁系,視床下部の一部,海馬・扁 桃体が関与すると推測されてい 手掌部発汗現象 桃体が関与すると推測されてい る

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宣言的記憶の想起時に生ずる手掌部 発汗を誘発する脳内電位発生源をダイ ポールトレーシング法によって追跡した. 1. 暗算や記憶想起によって皮膚交感神 経活動が生じ,手掌部発汗反応が誘 発された.発汗反応をトリガーポイント とし直前の脳波を加算平均すると,約 5秒前に動揺性のslow spikeがみられ 手掌部発汗の電位発生源

Saburo Homma,et.al:Intracerebral source localization of  mental process‐related potentials elicited prior to mental  sweating response in humans.Neuroscience Letters 247:25‐ 28,1998 た. 2. 被験者の1人は精神刺激によって発汗 反応の5秒前Frontal Gyrusの下部に 電位発生源がみられ,その0.5秒後に hippocampus(海馬)側面にも電源がみ られた. 3. また,別の被験者では同様にamygdala (扁桃体)の中央部に電源が認められ た. 手掌部発汗と皮膚電位反射 手掌部発汗反応

Palmar Sweating Response

“危ない”

皮膚電位反射

Skin Potential Reflex

発汗反応は反応の定量評価に適すが,反応(変動)が小さい 場合には反応開始時点を同定しにくい 皮膚電位反射は反応量の評価はしにくいが,反応開始時点を 特定しやすい 自動車運転認知行動評価装置 ch1 ch2ch3ch4 A/D変換器 映像提⽰装置(60〜80dB)PCスピーカ ハンド ル 発汗計 SKN-1000 ⽪膚電位計SPN-01 ch5 ペダル踏み込み信号 外部電源 運転動作計測装置 (1)映像開始直後 (2)見通しの悪い交差点を直進,対向車線に停止中のト ラック通過,一時停止 (3)第1カーブ(左折) (4)歩行者を避ける (5)第2カーブ(右折) (6)狭い車道で対向車とすれ違い 乗用車の通過を待つ 自動車運転映像 (住宅地コース) (8) (9) (10) 自転車追い越し ボールとび出し 歩行者・車避け徐行 人とび出し (b) (a) Goal (8)緩やかなカーブ,自転車追い越し,対向車に道をゆ (6)狭い車道で対向車とすれ違い,乗用車の通過を待つ (7)第3カーブ(左折) (6) 自転車追い越し

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目的 「自動車運転認知行動評価装置」を用いて高齢者 の応答特徴を探索した 対象 高齢者:65名(男性35,女性30,69.6±5.8歳) 若年者:49名(男性14,女性35,21.6±3.0歳) 装置 自動車運転映像 発汗計プローブ 発汗計 SKINOS SKN-2000 皮膚電位計 SKINOS SPN-01 ポテンションメータ (可変抵抗器) A/D変換器 皮膚電位計 電極 ブレーキ アクセル ハンドル 実験風景(高齢者) 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 発汗量 (m g/cm 2/mi n ) 歩行者 飛出し -0.2 0 SPR (mV) ボール 飛出し 対向車 すれ違い 自転車 追い越し 歩行者 徐行 計測波形の一例 Subject : male, 68 yr 0.2 -1 0 1 2 ブレーキ (m V) 0 1 アク セ ル (m V) ※アクセル・ブレーキを同時に踏んでいる 0.150.2 0.250.3 0.350.4 0.45 ‐0.08 ‐0.06 ‐0.04 ‐0.02 0 00 発汗量 (mg/cm 2/mi n ) SPR (mv) ⾼齢者と若年者の平均波形 ー 高齢者 (n=65) ー 若年者 (n=49) 歩行者 飛出し ボール 飛出し 対向車 すれ違い 自転車 追い越し 歩行者 徐行 0.00 0.02 0.04 0 0.2 0.4 0.6 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2 アク セ ル (mv) ブレーキ (mv)

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ー ⾼齢者 (n=65) ー 若年者 (n=49) 危険回避場面の応答(ボール飛び出し) 0.25 0.3 0.35 0.4 0.45 手 掌部発汗 m g/ cm 2/m in ) 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 175 180 185 190 195 (sec.) ブレーキ操作 (mv ) 0.4 ル 操作 m v ) p<0.0001 p<0.0001 p=0 10 0.15 0.2 0.25 175 180 185 190 195 (sec.) 手 (m ‐0.080 ‐0.060 ‐0.040 ‐0.020 0.000 0.020 0.040 175 180 185 190 195 (sec.) SPR (mv ) 0.0 0.2 175 180 185 190 195 (sec.) アク セ ル (m ‐0.2 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 175 180 185 190 195 (sec.) ハンドル操作 (mv ) p<0.0001 p=0.10 p<0.0001 危険回避場面の応答潜時(ボール飛び出し場面) 3.0 4.0 5.0 (sec.) p=0.072 p=0.025* p=0.352 p=0.164 0 030 ■ 高齢者 (n=65) ■ 若年者 (n=49) mean±SD,t-test (片側 p値) 0.0 1.0 2.0 mean 0.66 0.84 SD 0.47 0.55 1.01 1.08 0.43 0.33 1.48 1.51 0.38 0.33 2.11 2.58 0.99 1.30 2.99 3.51 1.49 1.58 ハンドル (回避操作) アクセル (放す) ブレーキ (踏む) SPR 発汗 p=0.030* 場面1:交差点直前の徐行 場面2:T字路直前の徐行 危険予測場面のブレーキ操作 場面1 & 2で 踏込みなし 場面1 or 2で 踏込みなし 場面1 & 2で 踏込みあり 計 (人) ブレーキ踏み込み A群 (n=21) 60歳代 B群 (n=21) 70〜80歳代 Χ 2 test 有 なし 有 なし p 危険場面 21(100) 0 21(100) 0 ー 危険予測場面 10(48) 11(52) 4(19) 17(81) 0 049* 高齢者の危険予測場面でのブレーキ操作 高齢者42名を年齢でA群とB群に2分 危険予測場面 10(48) 11(52) 4(19) 17(81) 0.049* (%)

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アクセル踏み込み A群(n=11) B群(n=17) Χ2検定 有 なし 有 なし p値 危険予測場面 (十字路手前) 5 (45) 6 (55) 12 (71) 5 (29) 0.183 高齢者の危険予測場面でのアクセル操作 危険群 (%) -0.1 0.1 0.3 0.5 0.7 0.9 1.1 1 3 5 7 9 11 13 15 17 19 21 アクセル ブレーキ -0.1 0.1 0.3 0.5 0.7 0.9 1.1 1 3 5 7 9 11 13 15 17 19 21 アクセル ブレーキ 十字 路 十字 路

67 yr, female 69 yr, male

(mv ) (mv ) 1. 高齢者は若年者に比べ,模擬運転操作時の手掌部発 汗反応,SPR,ブレーキ・ハンドルの操作反応が有意に 大きく,アクセルの操作量は小さい傾向を示した. 2. 危険場面の応答潜時は,ハンドル,アクセル,ブレー キ,SPR,手掌部発汗の順に短く,いずれも高齢者で 応答が早い傾向を示した. 3 高齢者の33%は危険が予測される場面でブレ キを 結 論 3. 高齢者の33%は危険が予測される場面でブレーキを 踏んでおらず,70歳代以上ではアクセルを踏み続ける 者が増加した. 4. これらの結果は,模擬運転操作における高齢者の緊 張感の高さ,「構え」の強さ,動作反応の低下を示して おり,危険が予測される場面でのブレーキ操作には加 齢に伴う認知機能(注意機能・予測機能)の低下が関 係していると思われた. 課 題 1. 危険予測場面を適切に配置 した広角運転映像の作成 3. 実車の質感に近い装置の 構築 4. 標準的な反応曲線の決定 5 運転適性判定プロトコルの 0 1 標準値 あなたの反応 <出力イメージ> 5. 運転適性判定プロトコルの 作成 6. 認知機能評価の妥当性の 検証 視線動作解析 実車走行との差異 0 ↑1 ↑2 ↑3 1.車両追越 周囲への注意が不足しています 2.飛び出し 回避の遅れがあります 3.交差点 ボール飛び出し 0.1 0.3 0.5 ‐0.2 ‐0.1 0 発汗量 (mg/cm 2/mi n ) SPR (mv) A B A ボールが視界に入る 視線動作解析 ‐0.2 0.3 0.8 1.3 0.3 ブレーキ・ア ク セ ル (mv) B ボールを見た瞬間

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本技術に関する知的財産権 発明名称 :自動車運転認知行動評価装置 公開番号 :特開2011-059269 出願人 :信州大学 発明者 :小林正義 発明者 :小林正義 [お問い合せ先] 信州TLO Tel:0268-25-5181 Fax:0268-25-5188 http://www.shinshu-tlo.co.jp/topics/

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特別講演

認知症者に対する社会的支援

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参照

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