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最重点要望項目 1. 先進国最悪の貧困率! ひとり親世帯に重点的支援を! ひとり親世帯の子どもたちの半数以上が貧困状態にあり OECD 加盟 34 か国の中で最悪の状態にある 経済的困窮は 子どもたちの学習や部活動にも影を落としている 2014 年のあしなが育英会の調査 ( 以下 2014 年調査

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2014年12月7日

子どもを誰ひとり

見捨てない・ひとりぼっちにしない

社会に

-遺児を含めたひとり親世帯への温かい支援を-

第26回あしなが遺児と親の全国大会 要望

第26回あしなが遺児と親の全国大会

実行委員長 島田北斗(国士館大学3年)

第 8 9 回 あ し な が 学 生 募 金 事 務 局

事務局長 島田北斗(国士館大学3年)

【賛同団体】

アスイク(宮城)/あっとすくーる(大阪)/Atlas(滋賀)/学習支援団体 Apolon

(京都)/大阪子どもの貧困アクショングループ(大阪)/キッズドア(東京)/こ

こわらねっと(北海道)/佐倉こどもステーション(千葉)/しんぐるまざあず・ふ

ぉーらむ(東京)/全国父子家庭支援連絡会(新潟)/チャンス・フォー・チルドレ

ン(兵庫)/豊島 WAKUWAKU ネットワーク(東京)/宮城県父子の会(宮城)/山科醍醐

こどものひろば 子どもの貧困対策事業部(京都)/YouthLINK(東京)/幸重社会福

祉士事務所(滋賀)/ゆずりは(東京)

【50 音順】

子どもがバイトしなくても 親が仕事をかけもちしなくても

安心して暮らしていける制度の充実を

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1

最重点要望項目

1.先進国最悪の貧困率!

ひとり親世帯

重点的支援

を!

ひとり親世帯の子どもたちの半数以上が貧困状態にあり、OECD 加盟 34 か国の中で最悪の状態にある。経済 的困窮は、子どもたちの学習や部活動にも影を落としている。 2014 年のあしなが育英会の調査(以下、「2014 年調査」)では、あしなが育英会の高校奨学生(以下、「高奨 生」)の 37%に「バイト経験があり」、その使途は、「通学、部活など学校の費用」41%、「家庭の生活費」25%。 「生活をするためには私がバイトで稼がなければいけなくて、学習する時間が上手くとれない」、「部活をあき らめてバイトしている」。高校生の声には、本来ならば学習や部活動に当てることができた時間が、生活費を 稼ぐためのバイトに費やされていることが示されている。「友だちといるとお金がかかるのでいつも 1 人でい る。学校でも 1 人ぼっちでいる」。経済的な困難は、希薄な友人関係にもつながりかねない。高いひとり親世 帯の子どもの貧困率は、大きな重荷を背負って生きているひとり親世帯の子どもたちの多さを物語っている。 親の努力だって限界だ。ひとり親の 8 割以上が既に就業中で、2013 年のあしなが育英会の調査(以下、「2013 年調査」)では、就業している親の 15%が仕事をかけもちしている。非正規雇用がおよそ 4 割を占める日本で、 ひとり親が安定した正規雇用で働くことは困難だ。結局、2 つも 3 つもパートをかけもちし、働いても働いて も生活は楽にならないワーキングプアから抜け出せない。心労が積み重なり、身体と心の健康を崩してしまう 親も多い。「病気・病気がち」43%、「気分が沈み、気が晴れない」42%、「いつも駆り立てられて不安」41%。 「学費・生活費を何とかしなくてはいけないのだけれど、体は 1 つしかなく、これ以上は働く時間もとれない。 私が死んで保険金でももらった方が子どもはお金の心配をする事なく大学に行けるのでは…」 ひとり親世帯の親子の努力はもう限界だ。以下の 4 項目の実現を強く訴える。

■児童扶養手当の増額、とくに

2人目以上の子どもへの加算

の増額を!

就業しているひとり親世帯の親は 8 割で世界トップレベルだ。ひとり親世帯の貧困を削減するためには、雇 用安定、賃金アップ、または経済給付を行い、家計にテコ入れするしかない。多くのひとり親世帯に支給され ている児童扶養手当の増額こそ、求められている。また、高奨生の中でも兄弟姉妹が3人以上の場合には、「大 学・短大進学希望」は 35%で、一人っ子の 48%より 13 ポイントも低い。子どもの数が多いほど、大学に通え ない。児童扶養手当の多子加算は、2 人目 5 千円、3 人目以降 3 千円では少なすぎる。増額を強く求める。

■遺族年金や児童扶養手当の子どもへの支給を

20 歳まで

に延長を!

遺族基礎年金と児童扶養手当は、高校卒業で打ち切りになる。大学や専門学校への進学しようとしても一番 お金が必要なときに支援がない。「18 歳が終わったとたん、すべてが今より苦しくなる恐怖」。進学をあきら める高校生、学費が払えきれず中退した大学生。お金がないことで進学をあきらめる子どもたちをこれ以上な くすためにも、大学や専門学校の就学中の支給期間の延長、せめて 20 歳までの延長することを強く求める。

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2

■2014 年4月以前に死別の父子家庭にも遺族年金を支給するとともに、

遺族厚生年金などにおける

55 歳の年齢要件の撤廃

を!

父子家庭だって、限界だ。家事と子育てと仕事の両立をたったひとりでどこまでできるだろうか。「父子世 帯の父や子は妻の死により、ただでさえ心が痛み、傷ついているのに、様々な制度で差別を受けている。いつ になれば、妻が他界しても、社会制度が私達父子世帯を支えてくれたと、素直に言える様になるのでしょうか」 (「2013 年調査」)。2014 年 4 月以降に死別した父子世帯と同様に、それ以前の世帯にも支給が必要だ。 そして、遺族厚生年金などでは夫が死亡した場合の妻の年齢要件はないが、妻が死亡したときは夫の年齢が 55 歳以上でなくてはならないのは、認められていいはずがない。 すべての父子家庭に遺族年金を支給し、遺族厚生年金などの年齢要件を撤廃することを強く求める。

■「高等技能訓練促進費」の

制度周知

を徹底し、月額10万円を

増額

し、

修学期間

にあわせて、

支給期間の延長

を!

高奨生の母親の 63%が非正規雇用で働き、平均手取り月収は 13 万円(「2013 年調査」)。「間違いは許されま せんし、気苦労も多くて、大変な職場で働いています。労働格差がなくなるといい。働いてもワーキングプア ってこのことだと思います。正社員には手当がついて本当にうらやましい」(「2013 年調査」)。親が看護師や 介護福祉士などの資格を取得し、安定した仕事に就き、貧困から抜け出すことが大切で、それを支援する「高 等技能訓練促進費」は大きな成果をあげている。しかし、多くのひとり親世帯がこの制度を知らない。制度周 知が徹底されれば、この制度の利用を考える親も増えるはずだ。また、修学期間の上限を2年間に制限せず、 就学期間の全期間にわたって支給することを強く求める。あわせて、支給額の増額も強く求める。

2. 継続して

効果の高い子どもの貧困対策の推進を!

平成 26 年8月 29 日に「子どもの貧困対策に対する大綱」が閣議決定された。教育の支援、生活の支援、保 護者への就労支援、経済的支援、子どもの貧困に関する調査研究、施策の推進体制などが盛り込まれている。 特に「施策の推進体制」の整備は、具体的な子どもの貧困対策が、継続的に効果的に動き出すために必要不 可欠だ。子どもは常に成長し続ける。寄り添い、成長段階に即した切れ目ない施策の実施のためにも、担当省 庁間だけではなく、子どもの貧困対策に関連するあらゆる省庁と横断的に、また、国や都道府県、市町村が一 丸となって対策を推進することが重要だ。そこで、私たちは、以下の4点について、その実現を強く求める。

「子どもの貧困対策基金」

を政府や企業がお金を出しあって設立を!

子どもは、まさに日本の未来だ。だからこそ、社会全体で支援する必要がある。国が子どもたちを直接支援 する必要があるだけではなく、例えば、子どもの貧困対策を効果的にすすめているNPOなどへの財政的な支 援も不可欠だ。そのために国だけではなく、民間の企業などからも理解を得て寄付を募り、対策を進める必要 がある。その資金の受け皿として「子どもの貧困対策基金」を設立することを強く求める。

■当事者、支援者、有識者による恒久的な

「子どもの貧困対策審議会」

を!

民間で先進的な取り組みを進める NPO などが全国での子どもの貧困対策の質を高めるような提案を行える など、支援者や有識者が知恵を出し合う建設的な議論の場として、「子どもの貧困対策審議会」の設置を求め ている。また、実際に貧困の中で育ってきた子どもたちが意見を表明し、「子ども目線」の対策が推進される

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3 ためにも当事者の声が汲み上げられる場が必要だ。そこで、当事者、支援者、有識者による恒久的な「子ども の貧困対策審議会」の設置を強く求める。

■政府一丸の対策推進のために

「子どもの貧困対策室」

を!

自殺対策基本法では、「自殺対策推進室」が設置されることで担当府省庁の横断的な連携が進み、大きな成 果があがった。子どもの貧困対策法でも「子どもの貧困対策室」を設置し、政府一丸となった子どもの貧困対 策の推進を強く求める。また、国や都道府県、市町村との全国的な子どもの貧困対策の推進のためにも、各自 治体に少なくとも「子どもの貧困対策担当者」をおき、対策の質を高めることを強く求める。

■各地での積極的な対策のため

国が地方自治体へ

十分な

予算措置

を!

都道府県には「子どもの貧困対策計画」の策定が「義務」ではなく「努力義務」だ。地方自治体がすすんで 子どもの貧困対策を進めようにも、すべて地方自治体の予算だけに頼っていては、財政の厳しい自治体ほど実 際に対策を進めることができない。先進的な取り組みを進める京都府のように、都道府県や市町村が、地域に 根ざした一層充実した対策を進めていくためにも、国から地方自治体への十分な予算措置を強く求める。

3. 見えにくい

子どもの貧困の実態の徹底的な「見える化」を!

子どもの貧困は、見えにくい。安価で質が高い衣料品の流通で見た目には貧困だと必ずしも判別できないし、 子どもも親もかなり無理してでもいじめられないように「普通の子」であるようにふるまわざるを得ない。そ の一方で、義務教育や高校教育を含め、教育にかかる費用は高く、貧困は教育格差という形で現れている。ま た、貧困世帯の子どもたちとそれ以外の子どもたちは、学校や居住地などにおいて分断されており、多くの子 どもや親たちも、貧困世帯の子どもたちの実態を肌で知る機会が限られている。だからこそ、子どもの貧困の 実態が徹底的に「見える化」する必要がある。また、限られた予算の中で効果的な対策を講じるためにも、各 種データなどを明らかにする必要がある。そこで、以下の2点について強く求める。

■子どもの貧困のさまざまな

指標の改善・削減

などの

目標設定

を!

子どもの貧困対策大綱では、改善すべき指標として 25 の指標が盛り込まれた。ひとり親世帯の子どもたち や児童養護施設の子どもたちなど生活保護世帯にとどまらない指標の設定は評価できる。また、進学率だけで はなく中退率も改善すべき指標として盛り込まれたことも「卒業まで」を視野に入れた効果的な対策につなが ることから大きな意義がある。今後さらに裾野の広い対策を進めていくためにも、ぞれぞれの指標の改善・削 減など具体的な目標設定が必要だ。

■お金、剥奪経験、健康、教育など子どもの貧困の

多面的な実態調査

を!

相対的貧困率は、国際比較がしやすく統計的に洗練された指標として、貧困リスクの偏りなどを把握し、国 際的な位置づけを確認するためにも重要だ。一方で貧困率は、その実態を把握するデータのひとつに過ぎない ことも事実だ。そこで、子どもの貧困の実態をより広く・深く把握するために、お金や剥奪経験、健康、教育 などの多面的な実態調査を進め、公表することを強く求める。

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4

子どもの貧困対策をさらに進めるために

●だれもが

安心して大学や専門学校に通える

ための制度充実を

貧困家庭の子どもたちは学費の問題に頭を抱えている。奨学金や学費免除などの制度は存在していても、誰 もが受けられるわけではなかったり、将来返還の義務があったりして、子供たちはその不安と戦いながら学校 生活を送っている。「安心して学校に通える制度」とはこういった悩みから解放され、いま自分がしたい勉強 をなんの不安もなく思いっきりできる環境を作るための制度であり、その充実が急務である。

 日本学生支援機構奨学金は、低所得世帯の学生には

無利子

にして返還も

「出世払い」

現在の日本学生支援機構奨学金は 2 種類あり、多くは有利子の奨学金となっている。無利子の方には、成績 基準が設けられているため、低所得世帯だからといって受けられるものではない。あしなが育英会の大学・専 門学校奨学生の貸与規程は、先月変更され「優秀な学生」という限定を解除した。同様に、低所得者世帯の学 生には、成績要件をなくし、だれもが無利子奨学金を受けられるようにする必要がある。また、返還も所得に 応じた柔軟な「所得連動返済型」という出世払いへの制度変更も必要だ。それにより、安心して奨学金を借り て大学などに進学できる子どもがかなり増えると期待する。

 国公立も私立も大学・専門学校の

授業料の減免

制度の

大幅拡充

主に国公立大学では授業料の減免が行われているが、私立大学や専門学校は、特に優秀な学生以外には不十 分のままだ。日本福祉大学では、経済的に厳しい家庭の学生を対象に成績は問わず、国家資格の取得をめざす など「やる気」のある学生の半額の授業料減免制度を実施しており、成果をあげている。こういった大学独自 の取り組みを国が後押しすれば、多くの私立大学や専門学校に入ることができる貧困世帯の子どもたちもかな り増えると思われる。

●きめ細かい

小学校・中学校・高校での教育支援

の充実を

 小中学生には就学援助の充実を、高校には「奨学給付金」をだれもが月1万円に

小中学生への学用品や給食費などの「就学援助」制度の周知も各地方自治体ごとにバラバラで、その支援に も差がある。全国一律にさらに充実させる必要がある。今年度から、低所得者世帯の高校生を対象とした「奨 学給付金」制度がスタートした。しかし、長男・長女や一人っ子には、月3千円足らず。来年度予算で文部科 学省が概算要求しているとおり、すべての低所得者世帯の「奨学給付金」を月1万円への増額が必要だ。

 放課後や週末の時間を利用した

学習支援

などの充実で学力保障と向上を

低所得者世帯では、子どもが家事やバイトに追われたり、学習塾に行く費用が出せなかったり、親が子ども の勉強を見ることができなくてそもそも学習習慣が身についていないなどの理由で、学力低下の傾向がある。 一人ひとりの子どもに寄り添って、学習する習慣の定着や意欲の回復などに各地で実施されている学習支援な どが大きな成果をあげている。学習支援などのさらなる充実を求める。

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●すべての子どもに

「支援情報」を届ける仕組み

政府や行政が支援する仕組みを作っても、その支援を必要としている人に届いていない。「手続きやお知ら せをもう少しわかりやすく表してほしい。言葉が難しく理解が難しい」(「2014 年調査」)。対象となる人々がし っかり理解できるように、わかりやすく読みやすいパンフレットなどをつくり、支援情報を必要としている人 にきちんと届ける仕組みを作ることが必要だ。

 学校や保育園、保健所や児童館などを

拠点

にした子どもの貧困対策を進める

大人目線の貧困対策だけではなく、子どもたちに一番近い学校や保育園、保健所や児童館などを拠点にして 日頃子どもたちと接している方々とともに、子どもたちの立場になって考え、子どもたちが今一番何を必要と しているのかが反映される貧困対策を進めることを強く望む。

スクールソーシャルワーカー

をつなぎ役に教育・福祉・医療・

NPO など

地域全体の連携

「同じ地区とか、同じ市とかで、同じ境遇の知り合いとかがわかる制度があればいいなとか思う」「まだま だ偏見があって辛い。精神的にしんどくなっても父親がいないからと言われたことがある。もっと身近に相談 ができる場所がほしい。お金も確かに不自由な所はあるけれど、それ以上に心のサポートが充実してほしい。」 (「2014 年調査」)。このような子どもたちが必要としているあらゆる支援を教育・福祉・医療・NPO などが地 域単位で連携をすることにより、その人に合った支援が円滑に行えるようになることを望む。またそのつなぎ 役として、スクールソーシャルワーカーをフルタイムで配置することが重要だ。

●子どもの

「よく遊び・よく食べ・よく眠る」

を守る

「場」

「人」

子どもにとって、最も基本的なあり方は「よく遊び、よく食べ、よく眠る」ことではないか。この3つを満 たすことができない子どもたちが、この日本にはどれほど存在しているだろうか。子どもの貧困対策で必要な 視点は、まず子どもたちの「よく食べる」を確保することだ。「腹が減ってはベンキョーできぬ」だ。「よく食 べる」ことはすべての基本になる。また、「よく眠る」ためには、眠りやすい環境はもちろん、子どもたちが 心から安心できることが重要だ。子どもたちが「すやすや」と「ぐっすり」と眠ることができるような安らげ る場づくりを、大人がしていかなければならない。そして、上の2つの条件を満たしてはじめて、子どもたち は「よく遊ぶ」ことができる。無我夢中で遊んでいる子どもたちの姿が、地域に増えていくような手助けが必 要とされている。子どもたちが安心して子どもらしくあれる地域づくりのために、3つの項目を要望したい。

 地域などの見守りの中で遊べたり宿題をしたり食事がとれる子どもの

居場所づくり

「学校」にも「家庭」にも安心できる居場所がない。貧困の中で、多くの子どもたちが、そのようなしんど さを抱えている。「いじめを受けたとき、『自分は必要のない人間』『無意味な存在』としか思わなくなった。 保健室には行けなくて、トイレのすみっこの方でいつも泣いていた。教室に入るのが怖かった」「お金がなく て進学できないかもしれない。家族がこわれている。死にたい」(「2014 年調査」)。子どもたちは必ずしも専門 家の助けを求めているわけではない。普通のお兄さん、お姉さんの温かい「まなざし」や、温かい食事、安心 できる家。そんな「当たり前」のことが、子どもたちが再び生きる力を取り戻すきっかけになる。地域に根ざ した居場所づくりの先進事例もあり、そのような NPO などを支援し、そのノウハウなどを全国に広げることで、 すべての子どもたちが安心できる居場所を手に入れられる取り組みを進めることを求める。

(7)

6

 悩みを抱える子どもや学生が互いに話し合える

機会づくり

ネットワーク構築の支援

「心の貧困」は、子どもたちから生きる力を奪ってしまう。そして、子どもたちが「心の貧困」から抜け出 すには、専門家のケアはもちろん、共感しあえる同世代の友人の存在が重要だ。同じように生きづらさを抱え た子どもや学生が、「自分だけではない」と実感する機会は、生きていくことへの大きな勇気になる。そんな 機会づくりを行っている NPO などを支援し、NPO 間の連携を進める支援を求める。

 貧困の状態にある親子の医療費は、全国一律に本人負担と窓口負担の軽減を

「多少の痛みやしんどさでは病院に行かないようにしている」(「2013 年調査」)貧困家庭の子どもたちは、 お金がないために適切な医療を受けられず、結果的に重症化し、その健康が損なわれる傾向がある。また、就 労や職業訓練の前に、そもそも親の健康が確保されていない現実もある。自立のためにはまずは適切な医療を 受けられることが必要だ。「ギリギリまで、医者に行かないか、親は、まったくがまんしている状態です」(2013 年調査)目先のお金がないために医療機関の受診を控え、その結果、重症化し、かえって生活が厳しくなる。 国の医療費も増えることになる。親子の医療費の本人負担と窓口負担を減らすことは、病気の悪化を食い止め、 貧困家庭にとっても国にとっても、長期的に見ると負担を減らすことになる。また、地域でバラバラの医療費 助成も是正し、全国どこでも質の高い医療費減免制度が必要だ。国の早急な対応を求める。

親の安定就労と所得の再分配

の強化を

親がパートのかけもちから開放され正規雇用で働けることで、夜や週末などに子どもとともに過ごす時間を 増やすこと。そして親が心身ともに健康に暮らせるためにも何より大切だ。多くの親ができることなら、自分 が稼いで子どもたちをしっかり養いたいと願っている。また、日本の場合、所得の再分配後に子どもの貧困率 が改善することがほんのわずかにすぎない。親子ともに「普通の暮らし」ができるためには、親の安定就労と 所得の再分配は不可欠だ。

 親が

正規雇用

で働けるために、あらゆる支援の強化を

あしなが育英会の 2013 年調査によると、保護者の就業形態は、「非正規雇用」57.7%にものぼる。母子世帯 の母親は 63.2%が「非正規雇用」だ。また、就業している保護者の 14.7%が「仕事をかけもちしている」。と くに母子世帯の母親は 15.8%が「かけもち」している。親がダブルワークやトリプルワークのパート勤務を しなくてもよくなるために、あらゆる支援が必要だ。

 税金や社会保険料の

負担を軽く

し、さまざまな

社会保障給付の拡充

2006 年には所得の再分配後にかえって子どもの貧困率が悪化する「逆転現象」が存在し、2009 年以後には 逆転現象自体は解消したが、依然として再分配は不十分だ。特に低所得世帯にも一律に課される税金や社会保 険料の負担を軽くし、児童扶養手当の拡充などさまざまな社会保障給付の拡充を求める・

児童養護施設

母子生活支援施設

などの子どもたちへの

さらなる支援

「いろいろな『育ち』があっていい」ひとり親だったり、両親がいなかったり、親に障害があったり、ネグ レクトや虐待、いろいろな「育ち」がある。しかし、日本には、どうしても両親がそろっていることが当然と いったところがないか。異質な「育ち」を排除したり、見て見ぬふりをしていないか。社会の成熟とは、「違 い」を認め合えることだ。社会的養護のもとに育つ子どもたちが、自然に「自分は必要とされている」と実感 できるような社会の実現を急がなければならない。必要な制度は挙げればきりがないが、私たちは、特に以下 の2点の実現を求める。

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 施設退所後も困りごとがおきたときに安心して相談できる

アフターケアの基盤

身近に頼れる人がいない孤独ほど、しんどいものはない。生きることに精一杯で、いつのまにか困りごとが 積み重なっている。施設を出て、突然自立を強いられる子どもたち。必要なことは、施設退所後に子どもたち が孤立の状況に陥らないような安心して相談できるアフターケア基盤の整備だ。相談できる相手がいるという 心のゆとりと、困りごとと制度とがつながることが大切だ。施設退所後のアフターケアを行う NPO などを支援 し、優れたモデルを全国に拡げることで、全国で適切なアフターケア基盤が構築されることを求める。

 高校卒業後、自立していくための準備期間として

20歳まで

の積極的な

措置延長

高校を卒業したからといって、一律に社会に押し出し、自立を強いることは、かえって子どもたちの継続的 な安定を阻害しかねない。経済的精神的に頼ることができる「場」と「人」が少ない施設出身者とって、高校 卒業後すぐに施設を出なければならない現状は、社会から見捨てられることに等しい。高校卒業後に、進学や 就職など次のライフステージへ進む段階での「接続」がうまくいくために、自立するための準備期間が必要だ。 高校卒業後もせめて20歳までは児童養護施設などでうな措置延長を強く望む。

参照

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