まえがき=オープングレーチングは,開口を有する格子 状の床構造で,軽量であることを第一の特徴とする。身 近な例としては,溝蓋などに利用されているが,これを 大型化し,橋梁の床版として利用するケースが多々ある。
本四連絡橋のような長大吊橋では,開口構造であること を利用して,耐風安定性を増すための風抜きとして利用 されている1)。また最近では,雪のつもりにくい床版あ るいは除雪の容易な床版として活用しようとする試みも なされている2)。除雪の容易な床版とは,一般自動車の 走行により積雪を踏抜き落とすことが可能な床版という 意味である。一方,ニューヨークやシカゴに数多く見受 けられる可動橋では,軽量床版として利用されている例 が多々ある3)。
上述のように,オープングレーチングは開口床版・軽 量床版として特殊な橋梁で活用されているが,国策とし てコスト縮減が求められるなか,当社はオープングレー チングをより積極的に活用した軽量橋梁の検討を行って きた。
本稿では,まずオープングレーチングが橋梁の床版に 適用された例を概観し,次いで各種特性について述べる。
さらに,オープングレーチングを有する桁橋と中小吊橋 について設計例を示しながら,その有用性を論じる。
1.オープングレーチングが橋梁に適用された例
オープングレーチング床版は,可動橋の木製床版を交 換するために 1920 年代にアメリカで開発された。ニュー ヨークには 80 年ほど前に架設された 25 橋の可動橋があ り,そのほとんどがオープングレーチングに交換されて いる。シカゴ市内でも 37 橋の可動橋があり,その 75%
に使用されている。その目的は,軽量化,車両の大型化 に対する耐久性の向上,不燃性化にある。オープングレー チングが開口部を有することから,吊橋の耐風安定性の
向上を目的として,1950 年に完成した新タコマ橋で,車 線境界線に用いられた。1957 年に完成したマキナック橋
(写真 1)では,4 車線のうち中央 2 車線に用いられ,
本格的な走行路面として採用されている。
わが国では,当社が 1960 年に開発した「アマグレート
(溝蓋用オープングレーチング)」の製造技術を基にし て,1968 年に鋼道路橋示方書に準じた設計荷重に耐えう る対象支間 0.5 〜 2.0m の I 形鋼を用いたオープン型 I-B GRATE が開発された4)。1969 年 3 月に苫小牧港桟橋橋 に採用され,著者らが知る限りではこれが国内はじめて のオープングレーチング橋である。
わが国で本格的にオープングレーチングが採用された のは,1973 年に完成した関門橋で,明石海峡大橋にいた るまで補剛桁形式の吊橋で,路肩及び中央分離帯に用い られている。このほか表 1に示すように,桟橋・可動 橋・小規模吊橋の走行路面に用いられており,近年では 積雪対策として,無雪橋梁の実現に向けての適用検討が 行われている。
新形式の 2 層オープングレーチングを利用した軽量橋梁
Lightweight Bridges Utilizing a New Type of Two-layer Open Grid Deck
Open grid deck lattice-like floor structures are very light. They are becoming increasingly popular in Japan as a way to reduce bridge construction costs. Kobe Steel developed a new type of lightweight bridge which utilizes open grid decks for the bridge flooring. This paper introduces a number of existing bridge types which use open grid deck floors, and describes the various characteristics of open grid decks. In addition, design examples for a girder bridge and a medium-span suspension bridge using open grid decks are given.
■鋼構造・合成構造特集 FEATURE : Steel and Composite Structures
(論文)
広沢正雄* Masao Hirosawa
*都市環境・エンジニアリングカンパニー 構造技術部 **技術開発本部 機械研究所
窪田 晃* Akira Kubota
内藤純也**
Junya Naito
本家浩一**(工博)
Dr. Koichi Honke
岡田 徹**(工博)
Dr. Toru Okada
写真 1 マキナック橋 Photo 1 The Mackinac Bridge
2.新形式オープングレーチングの特性
2.1 オープングレーチングの 2 層構造化
オープングレーチングを本格的な走行路面に用いるこ とに対し,従来の形式(図 1)ではすべり摩擦係数・走 行特性の向上と疲労耐久性を同時に満足させることは困 難と判断し,図 2に示すような舗装に相当する表面グ レーチングと通常の床版に相当する構造グレーチングの 上下2層構造が提案された5)。2 層構造にすることにより,
表面グレーチングは摩擦・走行特性がよく,容易に交換 できる。また,使用目的に応じて,自動車専用道路の長 大吊橋には開口率が高く摩擦特性の良いもの,一般道路
には 2 輪車などの走行を重視し部材間隔が密で走行特性 の良いもの,歩道部には歩行者なども安心して歩行でき るように透水性の充填材を埋めたものなど,さまざまな バリエーションが可能となった。
2.2 表面グレーチングの走行特性
2.2.1 表面グレーチングの改良と走行試験
オープングレーチングの走行特性は,当初,自動車専 用道路への適用を目的として,すべり摩擦係数の改良が 行われていたが6),2 輪車走行の不安が指摘され7),自転 車走行もある一般道路橋へ適用するための検討が始まっ た。
オープングレーチングを一般道路橋の床版に適用する ためには,①道路構造令の設計値を上回るすべり摩擦係 数が確保できること,②自転車などを含む 2 輪車走行に 不安がないこと,③疲労耐久性が高いことが条件である。
このため,溶接でなく圧接接合で疲労耐久性を高め,す べり摩擦特性の良い部材を密に配置した圧接型グレーチ ングに着目し,制動試験と簡易動摩擦係数の測定を行っ た。
実験に用いたオープングレーチングは,①突起のある 形鋼を主部材として 3cm 間隔に配置し,□ 6mm のスク リュバーを 10cm 間隔に圧接した形鋼タイプと,②平鋼 にパンチ穴による突起を設けた主部材を,形鋼タイプ同 様にスクリュバーで圧接したパンチタイプの,2 種類と した。そして,おのおのを延長 60m 区間配置し,湿潤走 行状態において,主部材方向を車両進行方向(縦配置)
及び車両進行直角方向(横配置)とした走行試験を実施 した。
試験の結果,制動停止距離は湿潤状態で 60km/h のと き,アスファルトは 21m,パンチタイプの縦配置で 22m,
パンチタイプの横配置及び形鋼タイプの横配置は 25m,
形鋼タイプ縦配置で 34m であった。制動距離はアスファ ルトにくらべるとやや長くなるが,形鋼タイプ縦配置を 除けばほぼ同程度であり,いずれも道路構造令の設計値
Position applied Year completed
Bridge type Location
Bridge name
Traffic lane 1920s
Movable U.S.A.
New York Willis Avenue Br.
and other 25 Br.
Traffic lane 1920s
Movable U.S.A.
Chicago La Salle BR. and
other 25 Br.
Shoulder, Separator 1950
Suspension U.S.A.
Tacoma Narrows Br.
Traffic lane 1957
Suspension U.S.A.
Mackinac Br.
Traffic lane 1966
Suspension Portugal
April 25th Br.
Traffic lane 1969
Pier Hokkaido
Tomakomai Br.
Shoulder, Separator 1973
Suspension Fukuoka
Yamaguchi Kanmon Br.
Traffic lane 1973
Suspension Kochi
Nirogawa Br.
Traffic lane 1974
Suspension Kochi
Kaminirogawa Br.
Traffic lane 1976
Suspension Kochi
Yamasaki Br.
Traffic lane 1977
Movable Hyogo
Marushima. Br
Shoulder, Separator 1983
Suspension Hiroshima
Innoshima Br.
Shoulder, Separator 1985
Suspension Tokushima
Onaruto Br.
Shoulder, Separator 1988
Suspension Okayama
Shimotsuiseto Br.
Shoulder, Separator 1988
Suspension Okayama
Kitabisanseto Br.
Shoulder, Separator 1988
Suspension Kagawa
Minamibisanseto Br.
Shoulder, Separator 1998
Suspension Hyogo
Akashikaikyo Br.
Traffic lane 1999
Movable Kumamoto
Nagasutahira Br.
表 1 オープングレーチング床
版を使用した主な橋梁 Table 1 Bridges using open grid
deck
Connection plate Main member Ⅰ-44 Twists bar
図 2 2 層グレーチング構造
Fig. 2 Structure of two-layer open grid deck
Supplementary member Cross member
Distributing cross beam Ⅰ-105 Main member Ⅰ-50
図 1 従来型グレーチング構造
Fig. 1 Structure of conventional open grid deck
45m を満足している。また,タイヤロック時の動摩擦係 数は,両タイプとも目標値 0.4 が確保されることが確認さ れた。400cc 自動 2 輪車,50cc 自動 2 輪車,自転車の制 動停止確認と車線変更試験では問題なく,アンケートに よるフイーリング調査でもおおむね良好な結果が得られ た。
2.2.2 実橋での走行試験
圧接タイプのオープングレーチングを使用した一般道 路橋(今別橋)が,2002 年 7 月に青森県で完成した(写 真 2)。今別橋に用いたのは形鋼タイプとパンチタイプの 2 種類である。主部材間隔は 3cm で,自転車走行を考慮 して,横部材であるスクリュバーの間隔は 5cm とした。
完成後の共用開始前に普通乗用車,400cc 自動 2 輪車,
50cc 原付バイクの走行試験を行い,タイヤロック時の動 摩擦係数 0.4 を確保していることが確認された8)。 なお,今別橋では 2003 年 2 月に試験走行車による冬期 走行試験が実施され,良好な結果が得られた。
2.3 腐食耐久性
オープングレーチングは,マキナック橋のように塗装 仕様の場合もあるが,一般的には溶融亜鉛めっき仕様で ある。塗装仕様のマキナック橋の場合 45 年経過している が,大きな腐食損傷は見られない。また,めっき仕様の 4 月 25 日橋は 36 年経過しているが,同様に健全と報告 されている3)。日本でも,関門橋の中央分離帯と路肩部 分にめっき仕様で使用されており,30 年経過しているが 健全な状態である。
溶融亜鉛めっきを施したオープングレーチングの健全 度評価は,17 年間経過した因島大橋で劣化度評価が行わ れている9)。一部純亜鉛層が残存している部位もあるが,
ほとんどの部位で合金層が露出している。しかし,合金 層に赤錆が発生している部位であっても素地鋼板の腐食 は認められていない。また,残存めっき厚も平均で 100 μm 程度あり合金層による防食性能が保たれていると報 告されている。純亜鉛層が自然消滅した場合,合金層の 鉄部分が赤錆となるが,通風・通水が良好なことから比 較的緩やかに錆が進行しているものと考えられる。
また,溶融亜鉛めっきを施したオープングレーチング は再めっきも可能であることから,交換が容易な構造に することにより,ほぼ永久的な腐食耐久性が確保できる。
2.4 疲労耐久性
表面グレーチングに形鋼圧接タイプを用いた 2 層構造
オープングレーチングの構造特性を明らかにするため,
2001 年大阪工業大学で多点移動式静的載荷試験と定点 疲労試験を行なった10)。
多点移動式静的載荷実験では,構造グレーチングの主 部材と横主部材の交差部 2 次応力や,構造グレーチング と表面グレーチングの接触状態の影響などが明らかにな った。また,疲労試験は多点移動式載荷実験結果から,
構造グレーチングに疲労上最も厳しい位置で繰返し載荷 を行い,最大荷重 140kN を 200 万回,及び 210kN を 2 万回,さらに 280kN を 2 万回の繰返し載荷を行ったが,疲 労亀裂は確認されなかった。
また,旧土木研究所と本四公団の共同研究で行われた 輪荷重移動載荷実験では11),階段載荷 280kN で構造グ レーチングに亀裂が発生し,圧接タイプの表面グレーチ ングには亀裂は確認されていない。
従って,2 層構造グレーチングは,構造グレーチング で RC 床版(道路橋示方書 H8 年対応)程度の疲労耐久 性と,圧接タイプの表面グレーチングはそれ以上の耐久 性があるものと考えられる。
2.5 騒音
オープングレーチングの騒音特性は,現時点では十分 に解明されていないが,海外調査団の報告3)によるとマ キナック橋でオープングレーチング部は約 90dB,舗装部 で約 80dB である。
今別橋では,普通乗用車を用いて,走行速度 60km/h・
30km/h・30km/h(惰性走行)時の騒音測定を行った9)。 測定位置を図 3に示す。
オープングレーチング部での騒音レベルは,60km/h 走行時にアスファルト舗装部に比べ 15dB 大きく,その近 傍では 90dB を超える。しかし,オープングレーチング部 から 25m はなれた民家前地点での測定では 70dB まで減 少し,車両が民家前を通行するときの騒音 75dB に比べて 十分小さい。
また,急ブレーキによる音はアスファルト舗装に比べ かなり音色が低いことが確認されている。
3. 一般橋梁への適用性に関する検討
3.1 橋梁主構造との関係
床版にオープングレーチングを用いた橋梁(以下オー プンフロアブリッジと呼ぶ)の標準的な断面を図 4に示 す。また,図 5のような下路桁も可能である。下路桁は
写真 2 今別橋の車両走行
Photo 2 Vehicles running over the Imabetu Bridge
図 3 今別橋における騒音計測位置
Fig. 3 Noise measuring position in the Imabetu Bridge
1 200
4 000 2 450
3 000
Wheel
Microphone Microphone
河川上の橋梁で桁下空間が充分に確保できない場合など に有効である。
オープングレーチング床版は,その床版としての特性 から,主部材を橋軸方向に平行とすることが合理的な配 置となる。橋梁主構造は,橋軸方向に配置された主桁に,
横桁あるいはブラケットを橋軸直角方向に設置し,床版 は横桁及びブラケットに支持されることになる。床版支 間はグレーチング主部材の断面剛性から決定されるが,
一般的に防護柵の支柱間隔が 2m であることから,ブラ ケット及び横桁間隔は 2m として,床版支間は 2m を標 準とすることにした。
オープンフロアブリッジは床版形式としては,鋼床版 の一種と考えられるが,床版の主桁作用がないため,桁 形式としては非合成鋼床版桁である。
また,オープングレーチング床版は,地震や風などの 横荷重による水平力に抵抗する部材として考慮していな い。従って,横荷重に対しては横構で抵抗させることに している。今別橋は桁支間 12m 単純桁であり,一般的な 橋梁としては横構を省略できるが,水平抵抗力が未検証 であることから,パイプ断面の横構を設置した。横構を パイプ断面としたのは,圧縮部材として全断面を有効に 活用できることと,雪やゴミなどが堆積しにくいことを 目的としている。
3.2 オープンフロアブリッジの特徴 1) 軽量で低コスト化が可能
オープングレーチングの重量は 150kg/m2程度であり,
これは 70mm 厚のアスファルト舗装に相当する。床版が 非常に軽量であるため,主構造である主桁の軽量化も図 ることができ,RC 床版の合成桁に比べ,上部工全体重 量は半分程度となる。このため,合成桁だけでなく,PC 桁に比べてもコストが安くなり,かつ,橋梁の長支間化 が可能となる。軽量で長支間化が可能なことから中間橋 脚を省略し,コンパクトな下部構造とすることができ,
橋梁全体のコスト削減が可能となる。
2)施工が早く簡単で低コスト化が可能
写真 3に示すように,桁仮設後直ちに床版の設置がで き,床版上を重機が自走しながら架設が可能である。ま たコンクリート打設や鋼床版のように現場溶接もないこ とから,特殊な技能も必要とせず,現場工期が大幅に短
縮でき,コスト削減が可能となる。
3)維持管理が容易でコスト削減が可能
開口部を有する床版であるため,排水設備が不要で地 覆や伸縮装置なども簡素化できる。このため付属物に関 するメンテナンスが大幅に省略できることや,橋梁内面 の外観観察や堆積物の除去も橋面上から簡単にでき,検 査路も不要で維持管理が容易である。
4)雪や火山灰などの堆積対策に有効
オープンフロアブリッジは,雪や火山灰などが橋面上 に積もりにくく,除去し易いことから注目されている。
日本道路公団北陸支社で,1998 年に糸魚川付近の工事用 桟橋と,翌年,親知らず付近のパーキングエリア内で確 証実験が行われ,オープングレーチングの積雪対策に対 する有効性が確認されている3)。また,オープンフロア ブリッジは,雪や火山灰対策だけでなく,桟橋などの波 圧対策や光漏れ効果による橋面下の植生物に対する環境 負荷低減などが期待されている。
4.中小吊橋への適用性の検討
4.1 耐風安定性の検討
オープングレーチングを採用することにより,橋梁の 耐風安定性の面についてもその有効性が期待される。
床版にオープングレーチングを,補剛桁にパイプトラ スを用いた吊橋の耐風安定性に関する検討を行った12)。 検討時の風洞実験で用いた床版タイプを図 6に示す。
風洞実験では,床版がない場合は,仰角 3°;0°;− 3°
のいずれの場合も不安定振動は発生していない。全床版 の場合は仰角 3°(風洞風速 4.0m/s)でねじれフラッタが 発生し,− 3°(風洞風速 8.5m/s)で連成フラッタが発生 している。オープングレーチングの場合は,仰角 3°(風 洞風速 16m/s)でねじれフラッタが発生するが,− 3°
(風洞風速 18m/s)及び 0°(風洞風速 20m/s)で不安定 な振動は発生していない。ただし,仰角 0°では風洞風 速 3m/s 時,限定振動が発生している。これらの実験結 果を中央径間長 600m の吊橋に換算して検討すると,以 下のようになる。
オープングレーチングの有風時の特性は,床版のない 場合に近く,仰角 3°(風洞風速 16m/s)で発生するねじ 図 5 下路式オープンフロアブリッジの構造
Fig. 5 Structure of through-style bridge using open grid deck Pedestrian deck
Upper surface slab
Lower structural slab
写真 3 今別橋架設状況
Photo 3 Construction of open grid deck (The Imabetu Bridge) 図 4 上路式オープンフロアブリッジの構造
Fig. 4 Structure of deck-style bridge using open grid deck Pedestrian deck
Upper surface slab
Lower structural slab
れフラッタは実橋風速に換算すると 142m/s であり,床 版のない場合に近く,耐風安定性が高いことが分かる。
ただし,仰角 0°では低風速(実風速 26.7m/s)でねじ れ限定振動が発生し,レイノルズ数の異なる実橋で同様 な現象が発生するかどうかは定かでないが,何らかの対 策を検討することが望ましい。
4.2 中小吊橋の基本特性
図 7に示す 2 箱桁断面を用いて,中央径間長が 150 〜 800m の吊橋の試設計を行い,中央径間長と補剛桁の必要 重量・必要断面及び活荷重たわみについて検討を行った。
道路橋示方書の適用範囲外となる 200m 以上の橋梁では たわみに関する規定はないが,200m 以上についても道路 橋示方書の活荷重たわみの許容値 1/350 を満足させるも のとして計算した。また,道路橋示方書では,吊橋主ケー ブルの安全率は 3.0 と規定されているが,比較検討のため,
本四公団の上部工設計基準に従って安全率 2.5 とした場合 についても試設計を行った。200m 以上については,安全 率 2.5 を用いた。活荷重は道路橋示方書の B 活荷重及び 本四基準の等価 L 荷重に準じたものを設定した。中央径 間長と必要吊構造部重量の関係を図 8に示す。
必要吊構造部重量は,活荷重たわみの中央径間半載状 態で決定している。必要吊構造部重量は,サグ比 1/10 以上の場合中央径間長 300m で最大となり,サグ比 1/15 の場合は 200m で最大となる。活荷重たわみは補剛桁の 剛性とケーブルの断面によって決定されるが,中央径間 が長くなるとケーブル断面の影響が大きくなり,必要吊 構造部重量は小さくなる。また,サグ比を小さくするこ とによりケーブルの断面積を大きくし,吊構造部重量を 小さくすることができる。
中央径間長と補剛桁の必要断面の関係(図 9)から,
サグ比 1/15 の場合はすべての支間長において基準断面 でたわみ制限 1/350 を満足する。しかし,サグ比 1/10 以上で中央径間長 300m 以下の場合は基準断面を補強す るか,パイプトラスのように軽量で断面剛性が高い構造 とする必要がある。
たわみ制限を考慮しない場合,たわみ値と補剛桁の応 力度は基準断面で試設計した場合,表 2に示すようにな る。
図 10に示す吊橋(箱桁,オープングレーチング)と 斜張橋のモデルについて総工費の比較を行った結果,図 11に示すように,箱桁形式の吊橋では中央径間 400 〜 600m で斜張橋と同程度であるが,600m 以上になると吊 橋が経済的となる。また,オープングレーチングを用い た場合は,すべての径間長で斜張橋のコストを下回る。
なお,吊橋の下部工のコスト試算は重力式アンカレッジ と水中基礎による主塔基礎を前提として行ったが,陸上 部基礎でトンネルアンカなどが施工可能な地形条件であ れば,さらにコスト削減が可能である。
これまで,吊橋は長大橋に着目した検討が多々行われ てきたが,中小吊橋に関してはあまりなされていない。
吊橋はそのなだらかな曲線から,自然環境に溶込み易く,
観光資源としても地域社会に貢献している。このため,
景観的にも,技術的・経済的にも軽量な中小吊橋の適用 が考えられる。
むすび=本稿では,オープングレーチングの諸特性及び 橋梁床版への適用性について述べた。結論は以下のとお
125 284
125 34
125
125 34
Space Space
Space Mesh
Rotation center Rotation center
Rotation center
8282
(b) Open grid deck (a) Solid deck
(c) Open space
82
Timber plate
図 6 風洞実験に用いた床版タイプ
Fig. 6 Deck types used for wind tunnel experiment
13 750 12 350
3 000 3 000
Open grid deck
400 600 500 750600
700 700
3 500
2 800 2 800
FLG t=12 WEB t=12
11 150
1 500 1 500
2 000
図 7 解析に用いた基準断面
Fig. 7 Standard section used for analysis
200
150
100
Suspended structure weight (kN/m) 50
100 200 300 400
Length of center span (m)
500 600 700 800
:l/8, sf=2.5
:l/10, sf=2.5
:l/15, sf=2.5
:l/8, sf=3.0
:l/10, sf=3.0
:l/15, sf=3.0 f/l:Sag ratio sf:Safety factor
図 8 吊橋の必要重量
Fig. 8 Relationship between required weight of suspension bridge and length of center span
1.5
1.0
0.5 Required area/ standard area
100 200 300 400
Length of center span (m)
500 600 700 800
:l/8, sf=2.5
:l/10, sf=2.5
:l/15, sf=2.5
:l/8, sf=3.0
:l/10, sf=3.0
:l/15, sf=3.0 f/l:Sag ratio sf:Safety factor
図 9 補剛桁の必要断面積
Fig. 9 Required cross sectional area of stiffening girder
800 600
400 Center span length (m)
1/400 1/355
1/340 Deflection/span(All load)
1/263 1/230
1/229 Deflection/span( Half load)
79.7 100.3
128.8 Stress of girder (N/mm2)
378 323
256 Diameter of cable (mm)
表 2 吊橋の試設計結果
Table 2 Trial calculation result of suspension bridge
りである。
1)オープングレーチングを床版として利用した橋梁は,
欧米において多数の実績を有しており,現在も供用さ れている。
2)改良型オープングレーチングの走行性,防食性能,
疲労耐久性について各種実験を実施し,橋梁用床版と して十分な機能を発揮することを示した。
3)一般橋への適用性を検討し,2 層構造のオープング レーチング床版を有する軽量のオープンフロアブリッ ジを提案した。
4)中小吊橋への適用性を検討し,耐風安定性にすぐれ,
軽量かつ経済的な吊橋が実現できることを示した。
最後に,国土技術政策研究所道路研究室,土木研究所 構造物研究グループ,青森県土整備部道路課,本州四国 連絡橋公団長大橋技術センター,海洋架橋調査会から ご指導と貴重な資料提供をいただきました。ここに記し て謝意を表します。
参 考 文 献
1 ) 米田昌弘ほか:構造工学論文集,Vol.44A(1998),p.917.
2 ) 広沢正雄ほか:土木学会第 54 回年次学術講演会(1999). 3 ) 海洋架橋調査会:海峡横断,Vol.17(1998),p.59.
4 ) 桑原重雄ほか:R&D 神戸製鋼所技報,Vol.18,No.2(1968), p.144.
5 ) 中島英輔:海峡横断,Vol.17(2001),p.59.
6 ) 土木研究所・本四公団:グレーチングの走行安全性に関する
共同研究報告書(その 1)(2000).
7 ) 常田賢一ほか:土木技術資料 Vol.42,No.8(2000), p.20.
8 ) 青森県・海洋架橋調査会:今別橋オープングレーチングの走
行特性調査に関する共同研究資料(2002). 9 ) 有馬敬育ほか:第 24 回道路会議(2001),p.284.
10) 広沢正雄ほか:土木学会第 57 回年次学術講演会(2002). 11) 高橋 実ほか:土木学会第 57 回年次学術講演会(2002). 12) 岡田 徹ほか:構造工学論文集 Vol.46A(2000),p.1115.
1 100.0 850.0
575.0
800.0 150.0
150.0 600.0
400.0
315.0 200.0 450.0 200.0 250.0 600.0 250.0
unit:m
Suspension bridge Cable stayed bridge
125.0 125.0
87.5
130.0 130.0
87.5
図 10 計算モデル橋
Fig.10 Calculated model bridges
240 220
181
45 75 64 36 55 48
A B C
A B C
28 36 32 Bridge type A
Bridge length
B
1 100m 850m
575m C 63
91 57 93
46
78 117
153
97 152
78 126
116 195 145
300
200
100
0
Cost (Million yen)
Superstructure Substructure A:Cable stayed bridge
B:Suspension bridge (1-box girder)
C:Suspesion bridge (2-box girder with open grid deck)
図 11 各種橋の建設コスト比較
Fig.11 Comparison of construction costs on various bridge types