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公理的集合論における論理

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Academic year: 2021

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公理的集合論における論理

依岡 輝幸 静岡大学

現在までの公理的集合論の研究から、様々な数学世界が存在することがわかってきた。連続体仮 説に関すれば、成り立つ数学世界を考えることも出来れば成り立たない数学世界を考えることもで きる。これは数学の標準的な公理系から連続体仮説が証明も反証もできないことを意味する。だか らといって、「連続体仮説を証明せよ」というヒルベルトの第一問題(連続体問題)が解決された とは考えず、それならどういう数学世界を考えるべきか、またそのとき連続体仮説は果たして成り 立っているか、と考える動きが公理的集合論にはある。

その代表的な例が、ゲーデルのプログラムと呼ばれるものである。ゲーデルのプログラムとは、

巨大基数公理と呼ばれる数学の公理系の無矛盾性より強い公理で連続体仮説の真偽を導くものを発 見する、というプログラムである。強制法と巨大基数公理のある関係から、このプログラムは成立 しないことは実は良く知られているのだが、

Forcing Axioms

と呼ばれる部分的な強制拡大を取る 操作で閉じている公理たちを仮定すると、連続体濃度は

2であることが証明されている。いずれ

Forcing Axioms

も、その無矛盾性にはある巨大基数公理の無矛盾性が必要不可欠であること

から、これらはゲーデルのプログラムを実現していると考えるのが、集合論者の大方の見方である ように思われる。さらに近年、公理的集合論の指導的研究者の一人である

W. Hugh Woodin

は、

Ω-logic

と呼ばれる論理を導入し、連続体問題の解決を図っている(もしくは解決した)。

Forcing Axioms

Ω-logic

の両方とも、強制拡大の絶対性という概念が鍵となる。数学的命題

ϕ

が 強制法

P

による強制拡大で絶対であるとは、

ϕ

の真理値が

P

による強制拡大での真理値と一 致するときをいう。

Forcing Axioms

はそれと対応する強制拡大の絶対性と同値であることが知ら れており、

Ω-logic

のアイデアはまさに強制拡大の絶対性に由来している。この講演では、強制拡 大の絶対性という考え方を通して現在の公理的集合論の解説を行う。

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