平成 21 年度
エンジニアリング産業向け 実費精算方式契約の調査・検討
成果報告書
平成 22 年 3 月
財団法人 エンジニアリング振興協会
この事業は、競輪の補助金を受けて 実施したものです。
http://ringring-keirin.jp/
本報告書は、財団法人JKAより機械工業振興資金の補助を受けて、財団法人エンジニア リング振興協会契約法務部会の平成21年度事業として、調査研究を行った成果を取りまと めたものであります。
当協会では、従来よりモデルフォームの整備に注力しており、1986年に刊行した海外に おけるプラント建設工事の標準約款である『ENAAモデルフォーム』初版を嚆矢とし、1996 年に、海外におけるパワープラント建設工事向『ENAA パワープラントモデルフォーム』
を、2004年に、わが国初の『国内プラント建設契約約款』を刊行し、さらに2007年には、
請負者の所掌を設計と資機材の調達・供給に限定した『ENAA プラント設計・調達・契約 モデルフォーム』を刊行しました。これらは各方面で高く評価され、世界銀行の各案件で 使用されるStandard Bid Documents(1996年1月発行)は、1992年に刊行した『ENAA モデルフォーム』プロセス・プラント92年改訂版を参考として作られました。これらのモ デルフォームは全て契約法務部会において作成されたものであります。
平成21年度においては、モデルフォーム整備業務と並行して、実費精算方式により契約金 額を定める契約につき調査検討を実施致しました。そのなかでも近年英国を中心に採用さ れる例が増加していると言われている目標金額(ターゲット・プライス)を設定し、契約 金額がターゲット・プライスを超過した場合、発注者と請負者で合意した割合で超過額を 分担する(契約金額がターゲット・プライスを下回り余剰額が生じた場合、両者に余剰額 を分配する)とする契約金額の決定方式に着目し、同方式を採用している英国で代表的な 契約約款の検討を踏まえ、ロンドンに調査団を派遣し、それら契約約款を発刊している機 関で中心的な役割を担っている関係者と面談、意見交換し、加えて、モデルフォーム策定 につき助言を得ている英国法律事務所より同方式に係る報告書を取得し、それらの結果を 本報告書として取りまとめました。
本報告書を、わが国エンジニアリング業界の更なる発展に資する資料としてご利用願えれ ば幸甚です。最後に、調査検討にご協力頂いた関係者、各企業の方々に対しまして心より 御礼申し上げます。
平成22年3月
財団法人エンジニアリング振興協会 会長 増田信行
実費精算方式契約ワーキング・グループ 委員名簿
リーダー 大篭 則夫 千代田化工建設(株)プロジェクト管理本部
(幹事) 本部長代行 兼 法務部長
サブリーダー 内藤 和男 日揮(株)法務・コンプライアンス統括室
(副部会長) 法務・契約部 担当次長
サブリーダー 津田 大輔 (株)IHI エネルギー事業本部 本部長補佐
(幹事)
委 員 勝見 和昭 (株)神戸製鋼所 エンジニアリング事業部
(部会長) リスクマネジメント室長
委 員 井上 光彦 東洋エンジニアリング(株)プロジェクト管理本部
(幹事) ビジネスマネジメント部 部長
委 員 小島 智巳 川崎重工業(株)法務部 法務課 主事 委 員 山浦 勝男 (株)クボタ 法務部東京法務審査グループ長 委 員 千葉 文男 (株)熊谷組 国際支店 海外技術部担当 副部長 委 員 向出 博 JFEエンジニアリング(株) 理事 法務部長 委 員 中尾 恵一 新興プランテック(株) 総務部 法務グループ
委 員 宮田 美香 新日鉄エンジニアリング(株)
マネジメントサポートセンター総務部 法務・契約室長
委 員 伊藤 雅一 大成建設(株) 国際支店 プロジェクト管理部 課長
委 員 内田 貴宏 大成建設(株) 管理本部 法務部法務室(国際)
課長代理
委 員 酒井 康 日立造船(株) 参事 海外業務室 室長
委 員 酒井 哲 (株)日立プラントテクノロジー 営業戦略本部 国際戦略企画部 課長
委 員 村田 哲男 (株)日立プラントテクノロジー 営業戦略本部 海外法務部 主任
委 員 藤塚 宏希 富士電機ホールディングス(株)
経営企画本部 主任(法務担当)
委 員 深田 亮一 丸紅(株) 法務部 法務第一課 課長補佐 ニューヨーク州弁護士
委 員 藤本 珠青 三菱重工業(株) 法務部 海外法務グループ 主任
委 員 郡家 賢治 横河電機(株) 海外事業部 YEI事業企画部 契約管理グループ グループ長
アドバイザー 星 弘美 国際取引契約・法務コンサルティングオフィス代表 オブザーバー 山田 真幸 (株)IHI 契約法務部 契約グループ 課長代理
オブザーバー 榊原 章洋 (株)神戸製鋼所エンジニアリング事業部 リスクマネジメント室 次長
オブザーバー 志村 吉明 JFEエンジニアリング(株) 国際業務部 部長 シニアコントラクトコーディネーター
オブザーバー 廣場 真哉 (株)日立プラントテクノロジー 国際営業本部 アジア(オセアニア)部 主任
事務局 中里 興一 (財)エンジニアリング振興協会 業務部 主管 事務局 尾崎 信也 (財)エンジニアリング振興協会 業務部 主管
団 長 大篭 則夫 千代田化工建設(株)プロジェクト管理本部 本部長代行 兼 法務部長
団 員 津田 大輔 (株)IHI エネルギー事業本部 本部長補佐 団 員 鞍田 哲 日揮(株)法務・契約部 カウンシル・英国法弁護士 団 員 志村 吉明 JFEエンジニアリング(株) 国際業務部 部長
シニアコントラクトコーディネーター
序 委員名簿 団員名簿
頁 1.はじめに ··· 1 2.調査・検討の項目 ··· 3 3.検討結果のまとめと考察 ··· 5 3.1 アンケート結果 ··· 5 3.2 各モデルフォーム検討結果 ··· 6 3.3 英国弁護士報告書 ··· 13 3.4 考察 ··· 14 4.今後の課題 ··· 18
添付1:契約法務部会委員に対するアンケート結果 添付2:各モデルフォームの検討結果及び面談記録 添付2.1 IChemE Burgundy Book
添付2.2 NEC3 Option C 添付2.3 AIA A201/A111 添付3:英国弁護士の報告書
2008年9月15日のリーマン破綻に端を発する世界金融危機に見舞われるまでの数年間、
世界経済は空前の活況を呈し、世界的に設備投資が過熱した。大規模のプラント建設およ びインフラ整備が集中的に計画され、また一部が実施されたことにより、プラントやイン フラ工事に使用する金属素材、機器資材、工事熟練工、建機重機その他リソースが実需に より、また思惑により軒並み払底した。国際プラントビジネスにおいて通常用いられてい る一括定額請負(ランプサム)契約においては、請負者がリソースの調達及び高騰リスク を負担することから、請負者は遂行プロジェクトにおいて工事費用が見積時の想定より超 過し想定外の赤字を蒙り、リソース不足から工程進捗が著しく遅延した。請負者は、これ らのリスクを吸収する為、入札金額に従来よりも高額の予備費を計上せざるを得ず、それ がプラント価格を更に高騰させた。入札手続において各請負者から提出された入札金額が 発注者が予想していた金額を超過し、想定していた事業採算(feasibility)が充足せず、最 終投資決定(FID:Final Invesment Decision)に至らず中断に追い込まれるプロジェクト が多く現れた。
世界金融危機を境に、設備投資熱は雲散霧消し、リソースの払底、高騰は沈静化した。し かし、景気浮揚の為各国政府が積極的な公共投資を行い、金融当局が金融の量的拡大を実 施することにより経済回復の兆しが認められ、また、人口増加や世界経済の拡大による世 界的なエネルギーや資源の逼迫の趨勢が底流にあり、早くも一部のプラント原価上昇の再 来も予測されている。世界金融危機以前程ではないとはいえ、国際プラントビジネスにお いてランプサム金額の見積が困難な状況が継続している。
上記リソース払底時期において、発注者はプラント価格の高騰から、請負者は一括定額請 負(ランプサム)リスクからの回避を主な動機として、国際プラントビジネスにおいて主 流であるランプサム契約の代替として、実費精算方式の適用が検討された。
実費精算方式は、契約対価を定額(ランプサム:lump sum)でなく、請負者が支出した実費 を発注者において精算する(reimbursable、実費(cost)以外の対価(fee)と合わせて"cost plus fee"契約とも呼ばれる)という契約金額の決定方法を言う。英米では国内工事に多く採 用されていると言われている。プラント建設における実費精算方式契約のモデルフォーム としては、英国化学技術士協会(IChemE)が英国国内化学プラント工事向に作成した通称 Green Bookが著名である(1976年初版)。
実費精算額に限度額を設けない場合(Green Bookもそのように規定しているが)、契約金 額はプラントが完成するまで確定せず、発注者は契約時に想定した金額を大きく超過する 契約金額を負担するリスクを負うこととなる。このリスクが国際プラントビジネスにおい て実費精算契約方式が採用されない理由の一つとされていた。
ス)を設定する仕組みが考案された。精算される実費がターゲット・プライスを超過した 場合、超過額の全部または一部を請負者が負担するというものである。この方式において は、契約金額が大きく超過するリスクが全部または一部軽減する。近年になって、この方 式を採用した契約のモデルフォームが英国で相次いで刊行された(後述NEC1993年初版、
IChemE Burgundy Book2003年初版)。英国ではこのターゲット・プライス方式が広く利
用されているという(添付資料ご参照)。
ターゲット・プライス方式を採用した各種モデルフォームを検討し、国際プラント契約に おいて実費精算方式、特にターゲット・プライス方式を採用するにあたっての留意点を考 察することが本報告書の目的である。
調査・検討は以下の要領で実施した。
(1)契約法務部会委員に対するアンケート実施
エン振協加盟企業における実費精算方式契約を採用したプロジェクトの実績を推測する目 的で、契約法務部会委員にアンケートを実施した(工事目的、業務範囲、規模など)。対象 はEPC案件に限り、FS、概念・基本・詳細設計業務または建設工事・同SVに関する 単価契約は除外した。
アンケートの集計結果は添付1の通りである。
(2)ターゲット・プライス方式を採用しているモデルフォームの調査・検討
近年英国で刊行されたターゲット・プライス方式を採用している2つのモデルフォームの 最新刊、すなわち
- IChemE (Institute of Chemical Engineers), International Form of Contract, Target cost contracts (International Burgundy Book) First edition 2007(以下「IChemE Burgundy Book」)
および
- ICE (Institute of Civil Engineers)/NEC, Engineering and Construction Contract, June 2005 (NEC3). Option C: Target contract with activity schedule(以下「NEC3 Option C」)
を検討する。また、各々の発行元関係者と面談する機会を持ち上記モデルフォームの狙い などを中心に幅広い意見交換を実施する。
更に、米国で著名なAIAモデルフォームにもターゲット・プライス方式を採用しているも のがあり、併せて検討する
- AIA (American Institute of Architects), Contraction forms and contract A201/A111(以 下「AIA A201/A111」)
はターゲット・プライスおよび実費精算の対象となる費目とその調整規定並びにフィーの 定義と算定方法などについて、後者は主要な契約条件と責任並びに発注者と請負者間の契 約リスクの分配などを検討した。
各モデルフォームの検討結果及び面談記録は添付2の通りである。
(3)英国弁護士の報告書
本報告書のテーマについて、ENAA EPSモデルフォームの策定、プロセス・プラントモデ ルフォーム改定にあたり助言を得た英国Lovells法律事務所A. R. Marshall弁護士に相談
し、上記NEC3 Option Cに係わるICE関係者との面談にも同席戴いた。同弁護士に、英
国における実費精算方式およびターゲット・プライス方式の採用状況や国際プラント契約 への適用に関して意見を求めた。
同弁護士より受領した報告書は添付3の通りである。
3.1 アンケート結果
受注案件に限定せずに見積案件まで調査対象を拡大したが、実費精算方式を採用したEPC 契約の実績を有する会員企業は7社にすぎず、アンケート回答数の半数にも達していない。
また、実績を有する会員企業においても、実費精算方式を採用する契約案件に目立った増 減傾向は見当たらず、世界経済の動向は国際プラント商談において契約代金の算定方式を 変更するまでに至っていない。尚、本アンケートは傾向を理解する一助とする目的で契約 法務部会に参加する委員に対して認識する範囲における回答を求めたものであり、ENAA 会員企業の実績を正確に反映していることを保証するものではない。
国際プラントビジネスにおいて、実費精算方式が用いられていない実態を改めて確認する 結果となった。本報告書のテーマから若干外れるところもあるが、以下の理由が推測され る。
① 前述したが、実費精算額に上限を設けない場合、発注者は契約金額が想定よりも大幅 に超過するリスクを負う。ランプサム契約においても、一定の条件(例えば法令改廃、予 測し難い地下条件の変更、発注者支給情報・資機材の誤り、除外危険、戦争危険など)で 契約金額は調整されることを認容する契約は多いが、資機材やプロジェクト従事者などリ ソースの手当て(availability)と費用変動リスクは特約のない限り原則請負者が負担する ため、契約金額の増加は限定的とされる。
② 費用が増加した場合、ランプサム契約においては利益の減少に直結することから請負 者はその増加を極力抑制するが、実費精算契約においては何らかのインセンティブが課せ られていない限り、それは発注者負担となり、請負者に費用増加を抑制する動機
(motivation)が薄弱となる。このことから、実費精算契約ではランプサム契約と比較し て費用増加を抑制する機能が乏しくなると考えられている。
③ 実費精算方式では、契約金額の支払請求にあたっては実際に対象プロジェクト遂行に 支出した費用の特定と証憑書類の裏付けが必要であり、発注者もその確認のため、ランプ サム契約と比べて手間がかかる。
④ 精算される費用は他プロジェクトの費用と峻別されることが必要であるが、実費精算 方式を採用している当該プロジェクト専任でないプロジェクト要員や共用設備部分の請求 方法など会計システムが未整備であると、費用を100%回収できない虞がある。
⑤ 実費精算方式では、精算の方法によってはプロジェクト原価が発注者に対してガラス 張りとなることから、他のランプサム契約での入札戦略に影響を与える可能性がある。
ジェクト遂行の判断において発注者の承認を求めることが多い傾向がある。ランプサム契 約と比較してより入念な承認手続の整備、運用が求められる。
以上より、本報告書のテーマである契約条件の整備以外にも、実費精算方式契約の採用に あたっては、会計システムや遂行手続書の整備及びその運用が出来る人材の育成を要する ものと考える。
尚、アンケートにおいては、実費精算方式に実績のある企業より、対象プラントの種類、
地域、契約金額規模、条件についても回答を得たが、回答数が限られているので個別事情 は別として、全体の傾向を読み取ることは難しいと判断し、その分析は行わないことにつ いてご容赦願いたい。
3.2 各モデルフォーム検討結果
(1)コマーシャル分析:対価の構成(コストの定義、フィーの定義、算定方法)
各モデルフォームとも、対価をコストとフィーで構成する。
コストは、費目の分類は各モデルフォームで異なるものの、プロジェクトの遂行に費やさ れた費用を指す。実務においては、どの費目については証憑書類を必要とする実費であり、
どの費目については(証憑書類を要さない)単価または実費に対する割合額となるかが、
実務的には関心事であるが(価格競争上も費用回収上も重要となる。実費部分が大きく、
単価または割合額が少ない方が競争上は有利であるが、証憑書類の不足等を理由に実費の 精算を拒絶された場合、収益が低下してしまう)、本報告書のテーマより外れるので、その 詳細な検討または各モデルフォームの比較検討は省略する。
フィーは、定額またはコストの一定割合額(%:percentages)(モデルフォームによっては、
請負者自身が支出する費用と資機材提供業者(vendors)や建設業者(subcontractors)な ど外部へ支払う費用と各々個別に割合額を設定するものもある)で示される。フィーは、
コストで精算対象とされなかった費目と利益をカバーすることとなる。納期遅延や瑕疵担 保責任など契約条件リスクを担保する予備費(contingencies)もフィーの一部として認識 することとなる。
フィーが定額の場合、コストが増加した場合に売上高(または社員の実働時間)に対する 利益率が低下し、予備費の請負金額に対する割合が相対的に低下する。このため、請負者 に費用の増加を抑制する何がしかの動機が生じると考えられる。
らず納期遅延中に発生した費用であっても、ターゲット・プライスに達しておらず、契約 で定める手続に従っている限り精算される。ターゲット・プライスを超過した場合につい ては後述のインセンティブ・スキームの項目で検討する。
実費精算方式を採用している契約において特有の問題は、瑕疵担保責任のように請負者が 瑕疵の修補という特定履行義務を負担する場合にその費用は実費精算の対象となるかとい う点にある。ランプサム契約では、請負者が瑕疵修補責任を負う場合、その費用も請負者 が負担することが通例である(請負者に起因しない事由による瑕疵(例えば、発注者の運 転や保守管理の誤りに起因する瑕疵など)については有償で修補する義務を瑕疵担保責任 期間中は負う場合もままある)が、実費精算契約では請負者が修補義務を負担していても 発注者よりその費用が精算される場合がある。後述の瑕疵担保責任の項において、本問題 は検討する。
(2)リーガル分析:納期保証と瑕疵担保責任を中心に
各モデルフォーム毎に、契約リスクの規定の仕方に特徴があるため、ターゲット・プライ ス方式に特有の規定を見出すためには、同じモデルフォームのシリーズのランプサム方式 を採用しているもの(IChemEであればRed Book、NEC3であればOption A、AIAであ
ればA101)との比較が必要となる。本報告書は各モデルフォーム全体の比較を行うことを
目的としていないことから、最も主要な契約条件である「納期保証」と「瑕疵担保責任」
に絞って検討する(損害賠償と保険、特許補償など知的財産権に係わる条項、不可抗力、
法令改廃、予見し難い地下条件、発注者支給情報の誤りなどについては添付資料をご参照 願う)。
更に、実費精算契約には、請負者本人の行為とそのベンダー及び工事下請負業者)の行為 と分けて考える場合があることから、「ベンダー及び工事下請負業者のミス」に関わる責任 について検討する。
A.納期保証
納期保証については、3つのモデルフォームとも請負者に課している。約定遅延賠償金
(Liquidated Damages for Delay)を規定するかオプションとするモデルフォームもある が、規定されない場合であっても納期遅延に起因して発注者が蒙った一般的損害(General Damages)の賠償義務を否定するものではない。
但し、IChemE Burgundy Bookでは、ターゲット・プライス方式ではランプサム方式より
A201/A111においては、ランプサム契約と同じ規定となっている。
B.瑕疵担保責任
プラントの完成引渡し時に瑕疵担保責任期間(保証期間)が開始し、請負者の費用で瑕疵 を修補する点について3つのモデルフォームは同様である。
瑕疵修補の費用負担であるが、IChemE Burgundy Bookでは、瑕疵修補の費用は瑕疵が請 負者の注意義務違反(過失と理解する)に起因している場合1を除き発注者より精算される
(但し、ターゲット・プライスは調整されない。これは積算時に織り込み済みとの前提で あろうか?)。NEC3 Option Cでも(設計に限定されているが)同種の特約がオプション とされている(但し、修補義務も原則負わない点及び修補した場合にはターゲット・プラ イスも調整される点がIChemE Burgundy Bookと異なる。これは積算時に想定外というこ とを前提にしているのであろうか?)2。AIA A201/A111も、請負者による損害を受けた工 事や不適合工事(damaged or nonconforming work)の修補費用でも、請負者の過失等に よる場合を除き精算の対象となる3。
尚、上記規定はIChemEにおいてはBurgundy Book特有の規定であり、ランプサム契約 のモデルフォーム(International Red Book 2007)には該当する規定がないことから、実 費精算方式であるから瑕疵修補の費用負担について過失主義を採用したものと推測するこ ともできる(この点はAIA A201/A111も同じ)。他方、NEC 3ではランプサム契約のモデ ルフォーム(NEC 3 Option A)でも同文のオプション規定が設けられていることから、実 費精算方式を理由とする責任緩和ではないと思われる。
1 a Defect is due to a failure of the Contractor to exercise the degree of skill and care which would ordinarily be exercised by properly qualified and competent persons engaged in the same manner or similar business to that of the Contractor. (Clause 37.2 (b))。
2 The Contractor is not liable for Defects in the works due to his design so far as he proves that he used reasonable skill and care to ensure that his design compiled with the Works Information. (Option X15.1) If the Contractor corrects a Defect for which he is not liable under this contract it is a compensation event.
(X15.2)
3 “Costs of repairing or correcting damaged or nonconforming Work executed by the Contractor, Subcontractors or suppliers, provided that such damaged or nonconforming Work was not caused by negligence or failure to fulfill a specific responsibility of the Contractor and only to the extent that the cost of repair or correction is not recoverable by the Contractor from insurance, sureties, Subcontractors or suppliers.”(Article 7.7.3) 尚、"specific responsibility"という文言については、いくつかの解釈の 余地が可能であるが、「契約で特記された義務」と理解する
補費用の精算の可否である。NEC3 Option Cでは、原則として費用精算を認容する(例外 は請負者が仕様書で指定した遂行要領に従わなかった場合4)。IChemE Burgundy Bookで は上述の完成後の規定が完成前にも同様に適用される(この点はAIA A201/A111も同じ)
(すなわち瑕疵修補の費用は瑕疵が請負者の過失等に起因している場合を除き発注者より 精算される)。尚、設計図書は一部暫定的であっても工事サイトにおいて修正される(field
modeficationなどと呼ばれる)ことを前提に施工図面に展開することがある(従って、発
注者に対する施工完成図面(as built drawing)の提出が別途求められている)が、修正に 要する費用の精算が上述の規定に基づき認容されるのかについては、修正の程度より判断 されるものと思われる。
C.資機材供給業者(ベンダー)・工事下請負業者
実費精算方式を用いた契約においては、ベンダー・工事下請負業者の履行遅延や提供され た資機材や工事目的物の瑕疵などのミスについて請負者本人は免責される(更に、ベンダ ー・工事下請負業者のミスに起因して請負者に発生した追加費用も精算される)と定める 契約がある。これは、実費精算方式を役務を提供する契約と認識し、責任範囲は役務(所 謂ソフト)のやり直し(re-do)に限定し、資機材や工事(所謂ハード)を含めない考え方 である。『ベンダー・工事下請負業者に支払う対価は実費精算され発注者の負担となる』の であるから、『費用負担元である発注者がベンダー・工事下請負業者を選定する最終的な権 限を保有する』のが相当であり、結果として『ベンダー・工事下請負業者のミスについて はそのようなミスをするベンダー・工事下請負業者を選定した発注者が責任を負う』のが 合理的との理由や(フィーの算定にはハードの金額を考慮しない場合)ソフトの対価(フ ィー)にハードの予備費を計上するのはバランスを逸するとの判断に基づくと考えられて いる。
今回検討した3つのモデルフォームの何れも上記考え方は採用せず、請負者がベンダー・
工事下請負業者の業務について責任を負うとしている。例えば、NEC 3 Option Cにはその 旨の確認規定がある(Core Clause 26.1)。
但し、選定権限については、モデルフォームにより若干の差がある。先ず、NEC 3 Option Cでは、ベンダー・工事下請負業者の承認手続はランプサム方式(Option A)と同一の文 言である(Core Clause 26.2/26.3)ことから、ベンダー・工事下請負業者の選定について
4 Disallowed Cost is ... the cost of ... correcting Defects caused by the Contractor not complying with the constraint on how he is to Provide the Works stated in the Works Information (Core Clause
11.2 (25)) 本規定の解釈についてNEC関係者に確認したところ精算が拒絶される場合は限
定的との説明であった。
ば、実費精算方式でも、ランプサム方式と同様に請負者が選定権限を有することが前提と されているものと推測する(信頼性に乏しいなど明らかな正当理由がない限り発注者はベ ンダー・工事下請負業者の選定について承認を拒むことは出来ないと理解する)。
他方、IChemE Burgundy Bookには発注者が請負者の承認を求めてきたベンダー・工事下 請負業者よりも高額のベンダー・工事下請負業者の選定を求めてきた場合、ターゲット・
プライスを調整する規定がある(Clause 9.2)。尚、発注者が廉価なベンダー・工事下請負 業者の選定を請負者に求めてきた場合にどうなるかの規定は見当たらない(廉価であれば 信頼性に乏しく請負者として責任を負担することを躊躇するところではあるが)。指定下請 業者(Nominated Subcontractor)の落ち度による遅れは納期延長事由とされる(Clause 14.4)ことから、発注者がその対価が低廉な業者の起用を求めた場合、指定下請業者に関わ
るClause 10.1 - 10.6や14.4を準用し、一定の条件を満たす場合には遅延や費用増加につ
いてもチェンジが認める運用も考えられよう。
AIA A201/A111においては、合理的な理由がある場合には発注者が決定したベンダー・工
事下請負業者を拒絶することができ、また請負者が推薦する業者と発注者が決定した業者 で発注金額に差額がある場合にはターゲット・プライスの調整が認められている(Article 10)。これらはランプサム契約モデルフォーム(A101)にはない規定である。
尚、ベンダー・工事下請負業者の選定については、実務的には、主要な機器または高額な 発注に関して複数の候補業者のリストを契約時に合意し、請負者はリストに載っている業 者であれば発注者の個別承認を得ないで任意に選定できるとする制度が採用される場合が 多い。この制度を採用した場合、選定に係る発注者と請負者の判断の不一致に係る紛争が 相当程度回避でき、規定の重要性は低下することとなる。
請負者の対価がターゲット・プライスを超過した場合(または下回った場合)の措置こそ が、ターゲット・プライス方式の肝である。
IChemE Burgundy Bookでは、超過した場合に超過額を発注者と請負者で分担することを
Pain Share、下回った場合に余剰額を発注者と請負者に分配することをGain Shareと称し、
詳細は当事者の合意に委ねているが、ガイダンスでは以下の例を挙げている(Schedule 19 Part (b))。
Pain Share Gain Share
1 一定比率で分担 超過額が増大するに連
れて請負者の負担割合は増加 一定比率で分配(50:50が典型的)
2 対等比率で分担 請負者の分担額に限度 額を設定(または設定せず)
対等比率で分配 請負者の分配額にPain
shareと同額の限度額を設定
3
一定額(ターゲット・コストのX%)まで は一定比率で分担 一定額を超過した費 用は全額請負者が負担(マネージメン ト・フィー5を限度額とする)
上記何れか
4 上記に加え、ターゲット・プライスを範囲(neutral band:例えば±2%)で認識し、
その範囲はGain ShareもPain Shareもなしとする
尚、IChemE Burgundy Bookガイダンスには、Pain/Gain Share以外に、早期完成の場合 のボーナスや費用削減に繋がる仕様変更(一般にはvalue engineeringなどと呼ばれる)の 場合の費用削減分の請負者への分配策も合わせて活用すべきとする。特に後者に関しては、
プロジェクトの設計段階では設計費用自体の削減を図るよりも余分な設計費用をかけても 機器資材費用や工事費用の削減を図る方が総費用の削減効果が期待できるとしている。
5 head office overheads(general overheadのことか)と利益の合計額をmanagement fee とするのが一般的とする。他方site office overheadsは費用として認識されるべきとする。
尚、設計料(design fee)をターゲット・プライスの外で合意する方法もありとする。
range)に応じて請負者のシェア割合(Contractor's Share percentage)を合意する(Core Clause 53)。以下に合意例と請負者への分配額または請負者の負担額の計算例を示す:
Share Range Contractor's Share Percentage
less than [80] % [15] %
from [80] % to [90] % [30] % from [90] % to [110] % [50] % greater than [110] % [20] %
ターゲット・プライスが100億円、実際に支払われた対価が75億円の場合の計算:
5億円(80%未満の額)×15%+10億円(80%~90%の額)×30%+10億円(90%~110%の 額)×50%=0.75億円+3億円+5億円=8.75億円(請負者に支払われる)
同じく、実際に支払われた対価が115億円の場合の計算:
▲10億円(90%~110%の額)×50%+▲5億円(110%を超過した額)×20%=▲5億円+▲1 億円=▲6億円(請負者が発注者に支払う)
NEC 3ガイダンスは、支払われるべき対価が一定額を超過した場合に、2つの極論、すな
わち、①超過額全額を請負者が負担する考え(Contractor's Share Percentage:100%)(こ の場合、当該一定額を"guaranteed maximum price"と称するが、固定ではなく、チェンジ 等ターゲット・プライスを調整する事由の場合にはguarantee maximum priceも調整され るとする)と②超過額全額を発注者が負担する考え(Contractor's Share Percentage:0%)
(この場合を、フィーの一部は請負者に残る為であろうか、"minimum Fee"と称している)
が可能であり、その間の数値を選択することでリスク分配は変動すると説明している。
AIA A201/A111は、シンプルにターゲット・プライスをGuaranteed Maximum Priceと称 し、超過した費用は全額請負者負担とする。IChemE Burgundy BookやNEC 3 Option C にあった対価がGuaranteed Maximum Priceを下回った場合のインセンティブはAIAに は規定がない(但し、実務では、例えば30%のContractor's Share percentageを特約で合 意する例があるという)。
報告書の記載は多岐に渡るが、以下に注目すべき点をいくつか挙げる。
1.最新(2010年2月12日公開)のRICS(Royal Institute of Chartered Surveyors)調 査結果によれば、2007年度に実施された約80%の建設プロジェクトはランプサム方式を採 用しているJCT(Joint Contracts Tribunal)スタンダード・フォームを用いており、ター ゲット・プライス方式を採用しているプロジェクトが4.5%ある。NECモデルフォームの中 ではターゲット・プライス方式を採用しているOption Cが最も利用されている。
2.ターゲット・プライス方式は大型プロジェクトで採用される傾向がある。
3.ターゲット・プライス方式においてキーとなるのはオープン・ブック経理である。中 近東やアフリカ市場において活用するには発注者側も請負者側も準備すべき点が多いもの と思われる。
3.ターゲット・プライス方式を採用する契約のドラフトにあたっては、対価と支払条項 の作成が肝要である(この点IChemE Burgundy Book/Green BookのSchedule 18/19が 示唆に富む)。
4.ターゲット・プライスを合意するには、その前提条件が固まっている必要がある。前 提条件が固まる以前に合意すると、ターゲット・プライスを調整する場合に紛争が生じや すい。パートナリング(partnering)やアライアンス(alliancing)といった協業形態の延 長線上で発注者と請負者の共通の理解がある場合にはこのような紛争を回避することがで きよう。
(1)本報告書は、限度額なしの実費精算契約が実務で使用例が乏しいことの解決として、
ターゲット・プライス方式に着目し、同方式を採用している3つのモデルフォームの検討 をしたものである。
AIA A201/A111は、ターゲット・プライスを超過した費用は全額請負者が負担する
Guaranteed Maximum Priceメカニズムを採用していることから、費用増加リスクの発注
者・請負者間の分配という点に関しては3つのモデルフォームの中では(専ら請負者が増 加費用リスクを負担する)ランプサム方式に近い構造となっていると言うことができるが、
ターゲット・プライスの設定次第で(設定金額が高くなれば)限度額なしの実費精算契約 に接近していく。
IChemE Burgundy Bookは、契約対価がターゲット・プライスを超過した場合にその差額
を発注者と請負者間で合意された比率で分担するPain shareメカニズムを採用しているこ とから、費用増加リスクの発注者・請負者間の分配という点に関しては、ランプサム方式 と限度額なしの実費精算契約の間に位置していると言える。NEC 3 Option Cもこの点
IChemE Burgundy Bookと同様の構造を採用している。変数がターゲット・プライスのみ
のAIA A201/A111と比較して、分担比率、neutral bandの設定の有無、限度額の設定の有
無、限度額を超過した場合の処置(Guaranteed Maximum Priceとするか、minimum Fee とするか)等合意すべき変数が多い。これら変数の設定によりランプサム方式と限度額な しの実費精算契約の間でどの位置を占めるか柔軟に設計できるが、反面仕組みが複雑にな ると契約合意にエネルギーを要するものと思われる。
何れのモデルフォームにおいても、変数の設定次第で、請負者がランプサム方式で負担し ているエスカレーションや業務量増加等を原因とする費用増加リスクを、発注者と請負者 間で分担することが可能となっていると判断される。
(2)IChemE Burgundy Bookは、契約対価がターゲット・プライスを下回った場合にそ の差額の一部を請負者に配分するGain shareを採用する。この仕組みは、利得の配分によ り費用削減に関する請負者のモチベーションを高める効果を狙ったものである。NEC 3 Option CもIChemE Burgundy Bookと同様の構造を採用し、win-winの関係構築を意図 している。AIA A201/A111は、Gain shareを採用していないが、実務では特約で補充され ることがあるということであり、3つのモデルフォームで実質的な差異はなさそうである。
プサム契約と異なる規定ないしガイドラインを設けて、差別化する意図が伺える。例えば、
IChemE Burgundy Bookでは、ターゲット・プライス方式ではランプサム方式より責任が
軽減されるべきとするガイダンスの記述がある。NEC3 Option Cでは、プラント完成前の 瑕疵修補費用の精算を原則として認容する。AIA A201/A111では、合理的な理由がある場 合には発注者が決定したベンダー・工事下請負業者を拒絶することができ、また請負者が 推薦する業者と発注者が決定した業者で発注金額に差額がある場合にはターゲット・プラ イスの調整が認められている。
しかし、ランプサム方式と同様の契約リスクを求められている場合も多い。例えば、請負 者はベンダー・工事下請負業者の業務について自己の業務と同じ責任を負い、また、瑕疵 担保責任違反に起因するベンダー・工事下請負業者に発生した追加費用についても責任を 負う。国内プラント・プロジェクトと比較して契約リスクが顕在化する蓋然性が高く、金 額的インパクトが大きい国際プラント・プロジェクトでは請負者に過大な責任を負わせる 結果とならないか懸念される。
(4)ターゲット・プライスがFSでの概算見積(±20~30%)の上限付近の値であれば、
請負者としては価格変動リスクの低いプロジェクトとなるが、発注者より中間値(±0%)
に近い値を求められた場合にはリスクは高くなる(尤も、その場合でもContractor's Share
Percentage(またはpain share)の値が低く、フィーに余裕があれば、請負者の保有する
リスクは低減するのであるが)。
リスクを低減するには積算精度を上げるために詳細見積が必要となる。詳細見積をしなけ れば、ターゲット・プライスに合意できないとするならば、実費精算契約のメリットであ る早期着手が享受できない。契約までの見積精度の点からは、ターゲット・プライス方式 は実費精算契約よりもむしろランプサム契約に近くなることとなる。
NEC 3 Option Cが2012年開催予定のロンドン五輪向け施設・インフラ工事で広く使用さ
れているとのことであるが、これらが設計・施工が分離している国内工事であることがタ ーゲット・プライス方式の採用を可能としているのではあるまいか。この場合、ターゲッ ト・プライス方式を採用するメリットは、(コスト・オーバーランリスクの分担よりは)費 用の透明性であり(公共投資では重要であろう)、費用削減について発注者と請負者の利害 が一致するメカニズムの構築ではあるまいか(NEC関係者より同趣旨の説明があった)。
困難である(IChemE関係者、NEC関係者も同意なされた)。その場合には、実費精算契 約(限度額なし)で開始し、ターゲット・プライス方式またはランプサム方式に契約変更
(conversion)するのではないかという、IChemE、NEC両関係者のアドバイスがあった。
暫定的な処置として限度額なしの実費精算方式の契約を合意することが可能であれば、そ れに越したことはないが、限度額なしの実費精算方式の契約を締結することが一般的に困 難であることがそもそもの問題の始まりであった。発注者は限度額がないことについて躊 躇があり、請負者は契約リスクが軽減されない限り、EPC遂行リスクを負うことは難しい
(しかし契約変更に合意できない可能性がある以上、実費精算のままでEPC業務を終了す る場合の契約条件の合意は不可避である)。また、実費精算方式で業務を遂行しつつ、ター ゲット・プライス方式またはランプサム方式への契約変更の交渉を並行して実施すること は、費用・手間の負担が大きい(1つのプロジェクトで契約交渉を2回行なうこととなる)。
実務的にはクリアする課題が多いものと思われる。
(6)実務において、限度額なしの実費精算方式を採用したEPC契約のなかに、発注者が 全ての費用支出に関わる決定権を保有し、請負者が業務完了後保証期間に自己の費用で自 己の業務の瑕疵に係わり再履行する以外には、原則として発注者がプロジェクト遂行に関 わる主要リスクを負担するという契約例がある。具体的には、①プラント完成前の請負者 の瑕疵に起因して発生した費用は発注者負担、②ベンダーや工事業者の瑕疵、遅延などの ミスに起因して発生した費用は発注者負担、③納期遅延に関わる損害賠償義務を請負者は 負担しない等である。発注者において費用支出とリスクを管理する強力なプロジェクト・
チームが必要であることから、この形態の契約を採用する発注者は極めて限られているの が実態である。
上記契約例をベースとして、以下の条件を付加することで請負者に費用削減、納期遵守の モチベーションを与え、以てプロジェクト管理に係る発注者の負担を軽減し、実費精算契 約の適用範囲を拡大を意図する素案が考えられる
1.請負者の責に帰すべき事由により納期遅延が生じた場合、ランプサム契約であれば請 負者が支払いを求められる約定遅延賠償金(Liquidated Damages for Delay)相当額を費 用発生と看做す。
2.請負者に対する契約対価に約定遅延賠償金(納期遅延が生じた場合)を加算した金額 に対して、(NEC 3のいうところの)Contractor's Share Percentageまたは(IChemEの いうところの)pain / gain shareを設定する。請負者に過酷でランプサム契約に近似する
Guaranteed Maximum Priceや発注者に不利で限度額を設定しない実費精算契約に近似す
るminimum Feeは採用しない。
るとか、機器資材や工事に関わる追加費用(所謂ハード費用)は一部を負担するとか)の ではなく、費用に転化し、定量化したリスクについて、インセンティブ・メカニズムを適 用するというコンセプトである。請負者が契約リスクをリスクのままで引き受けるには予 備費(contingency)が必要であるが、実費精算契約では予備費はフィーに含めるしかなく、
それでは容易に発注者と請負者でフィーの金額について合意できないのではないかと懸念 した。本項冒頭に示した契約例は契約リスクを発注者に集中することにより、請負者に対 する対価に予備費を含める必要がなくなり、発注者に予備費も集中させてプロジェクト総 費用の最適化を図るコンセプトと理解する。本素案はそのコンセプトを踏襲する。本素案 におけるpain share(ターゲット・プライス超過額に対するContractor's Share
Percentage)は請負者にインセンティブを課すことにより、プロジェクト総費用低減に対 する動機付けを請負者に与えることのみを目的とする。
(1)ランプサム契約をハイリスク・ハイリターン、限度額なしの実費精算契約をローリ スク・ローリターンと観念するならば、ターゲット・プライス方式はミドルリスク・ミド ルリターンで設計すれば存在意義が高まるであろう。
契約リスク管理がクリティカルである国際プラント・プロジェクトにおいては、プライス エスカレーションや業務量増大に起因する追加費用リスクのみならず、契約リスクについ てもミドルリスクとする必要がある。
上記素案は、契約リスクをコスト(費用)と同一平面(ターゲット・プライス方式による インセンティブ・メカニズム)で処理する試みであることから、ターゲット・プライス算 定方法やContractor's Share Percentageの数値などの変数について、ミドルリスク・ミド ルリターンに仕上げるモデルケースを策定してみることによりターゲット・プライス方式 の意義が確認されるものと思われる。
(2)今回検討対象とした3つのモデルフォームは、各々実績があるモデルフォームであ る。実績と類似する状況(モデル)においては、プラント・ビジネスにおいても活用する ことは充分可能と考える(例えば、国内案件で発注者がオープンブックを求めている場合 はどうか)。
2012年開催予定のロンドン五輪向け施設・インフラ工事で広く使用されているNEC 3
Option Cについては、工事終了後にその実際の評価がなされるという。注目したい。
以上
2009年11月27日 2009年度『エンジニアリング産業向け実費精算方式契約の調査・検討』
アンケート集計結果
ENAA契約法務部会 回答: 17社
1. 実費精算方式で営業契約を見積りまたは締結した海外プロジェクトはありますか?(FS、
概念・基本・詳細設計業務または建設工事・同SVに関する単価契約は除外します)
最近 3年間(2006年~08年度): ある(6社) ない(10社) 無記入(1社)
それ以前3年間(2003年~05年度): ある(7社) ない(10社) 10年位前(1社)
2.(「ある」と回答された場合)件数の傾向を教えて下さい
最近3年間は、増加傾向にある(1社)、減少傾向にある(3社)、大きな変動ない(3社)
3.(「ある」と回答された場合)対象プラントの種類を教えて下さい(複数回答可)
石油・ガス、石油化学・化学プラント(5社) 発電プラント(1社)
その他生産設備プラント(1社) パイプライン、タンク等陸上産業施設(1社)
病院、ビルディング等建築物(2社) 橋梁、道路等社会施設(1社)
リグ等海洋構造物 (なし) その他: (なし)
4.(「ある」と回答された場合)1件あたりの契約金額規模(機器資材・建設費用を含む:
LSTK換算規模)を教えて下さい(複数回答可)
1億円以下規模(なし) 100億円超1000億円以下規模(4社)
1億円超 10億円以下規模(2社) 1000億円超 規模(3社)
10億円超100億円以下規模(5社)
5.(「ある」と回答された場合)プラントの建設現場を教えて下さい(複数回答可)
アジア・オセアニア(6社) 中近東(なし) ヨーロッパ、ロシア、中央アジア(1社)
アフリカ(1社) 北米(1社) 中南米(2社)
6.(「ある」と回答された場合)契約の概要について特徴につき回答下さい(複数回答可)
実費精算の範囲: EPC全部(6社) 一部ランプサムあり(3社)
費用償還の上限設定: 人件費にGMP(1社) 機器資材・建設費用にGMP(1社)
全て青天(4社) 未回答(1社)
フィーの算定方式:ランプサム(5社) パーセンテージ(%)(3社) インセンティブ(1社)
7.下請発注において実費精算方式が増加しているといった傾向が御座いました回答下さい 増加傾向にある 減少傾向にある(1社) 大きな変動ない(12社) 未回答(4社)
以上
改定2010年01月07日 2009年11月27日 ENAA 契約法務部会:コストプラス契約ワーキング・グループ第3回会合資料
-IChemE International Burgundy 2007 "Target Cost Contracts"/コマーシャル分析-
日揮 内藤、JFE エンジ 志村
1. 対価の構成
(1) Contract Price(total amount payable)(Schedules 18 and 19)
基本はコストプラスフィーで詳細は契約毎に詳細を Schedule 18 および 19 に規定する。
典型的な構成の一例 = アクチュアル・コスト部分 + マネージメント・フィー(利益を含むラ ンプサムだが、最終アクチュアル・コストを反映して調整されることもある) + デザイン・
フィー(ランプサムだが、変更を反映して調整されることもある) + 契約で規定されたボーナ ス(デザイン用 or 時機を得た完成用)
特定の材料や仕事をランプサムの対象にする場合もあるが、その際にはターゲット・コスト契約 特有のリスク配分(例えば、瑕疵修補の費用責任が原則注文者)をランプサム契約でのリスク配分 のようにすることを検討する必要がある。実費精算ベースではエスカレのメカニズムを考慮する 必要はないが、単価やランプサム価格が含まれる場合はエスカレのメカニズムを適用するかどう か検討する必要がある。マネージメントやデザインをアクチュアル・コストで処理する場合もあ る。
(2) 請求メカニズム (Schedule 18)
請負者の費用は以下のメカニズムの 1 つあるいは組む合わせで補償される。利益の額と支払いメ カニズムは別途規定する。
(a) ネットコストで直接請求可 (例:下請、サプライヤー) (b) 見積単価で直接請求可
(c) 直接は請求できないが lump sum 支払でカバーされるもの
(d) 直接は請求できないが他のコスト要素の単価でカバーされるもの
請負者内部で発生する費用を定量化するのは困難であるが、以下の 2 つの方法がある。
• 簡単な方法:職種ごと建機種類毎に基本単価を設定(この単価にはオーバーヘッドや利益を含 む場合と含まない場合があり) => 但し、この方法は実費精算ベースというよりも、単価契 約ベースの支払いとなる
• 代替方法:オープンブックを適用するものであり、ターゲット・コスト契約では特に有効
2. ターゲット・コスト
(1) ターゲット・コストの定義(ターゲット・コストに含まれる費目)
International Burgundy 2007 では、ターゲット・コストは契約上 Works を完了させるに必要な 全ての材料、仮設、請負者建機、人、及び工事を対象 (Sub-clause 18.4)
注 1:Contract Price に含まれてないが、ターゲット・コストに含まれるもの = 注文者支給 品/サービスのコスト(このコストはアクチュアル・コストにも名目上含む)(Schedule 19) 注 2 :ターゲット・コストには、請負者に配分されたリスクに対するアローアンスを含むこ とも可能 (Schedule 19)
(2) ターゲット・コストの調整規定 = 初期ターゲット・コスト + 変更
初期ターゲット・コストは、契約時に Schedule 19 に含まれている場合と契約後に Schedule 11 に規定された適切な期間等に合意する場合の両方を想定しており、後者の場合はそれまでに発給 された工事変更指示を考慮して初期ターゲット・コストに合意(Sub-clause 18.3)
ターゲット・コストが調整されるのは以下の場合。
Clause ターゲット・コストが調整される場合 4.4 注文者の契約違反
6.1 不正確な注文者情報 6.2 予想不可能な現場条件 7.3 法律変更
10.6 指定下請業者の義務不履行(請負者の追加費用を下請業者から回収できない場合) 11.2 PM 指示に対する請負者意見の正当性証明
注:IChemE 標準約款では注文者の代理人を Project Manager (PM)と呼び、請 負者の代理人を Contract Manager と呼ぶ。尚、Sub-clause 11.2 による PM に は公平性が要求されている。
16.2 変更工事
16.8 可能性がある変更工事に対する準備、コメント等 17.2 PM の要求による請負者提案変更工事の準備 17.3 請負者提案変更工事
(但し、減額の場合は Schedule 19 に規定がない限り調整なし) 21.13 注文者図書の間違い
26.7 契約に遵守して工事をしている状況下あるいは予期できない場合の有害物による 環境汚染等
Clause ターゲット・コストが調整される場合 31.1 注文者リスクの場合の保険のディダクティブル
33.11 PM の指示等による引渡手順の実施遅れ
35.13 請負者の責によらない理由で性能試験が遅れ受入証明書が発行されたことに伴い 要求されるボンド
35.15 性能試験不合格の原因調査等のためのプラントへのアクセス許可の遅れ 37.10 注文者が瑕疵の修補を自己の都合で遅らせた場合
37.12 修補に伴うアクチュアル・コスト扱いにならないが特記条件書の金額を超えた分の 超過費用
39.8 支払い遅れ等に起因する請負者による中断・再開 40.2 PM による中断指示
41.5 注文者の都合による契約約解除に伴うターゲット・コスト調整 42.6
請負者の責に帰す事由による契約約解除に伴うターゲット・コスト調整 42.7
42.8 42.9
45.7 PM の決定が仲裁で覆され、請負者に損害が発生した場合等
注 1: 上記には、Clauses 16 and 17 による変更工事(例えば、注文者リスクで引渡前に損害 が起き、PM が修復を指示した場合の処理は工事変更指示により行われる(30.2))の結果ター ゲット・コスト調整が行われる場合は含まない。
注 2:詳細は Analysis of AC, TC, EOT, VO and CV 参照。
(3) ターゲット・コストがオーバーラン/アンダーランした場合の効果(①費用の負担、②利益の 減額)
International Burgundy 2007 では、以下の場合が例示されている(Schedule 19)
Gain Share Pain Share 1 固定比率分配(典型的には 50:50:Gain 値に
より比率変更もあり)
固定比率分配(Pain 値により比率変更もあ り)=>途中から Contractor の責任大
2 対等分配(上限は Pain と同額) 対等分配 (Contractor の上限あり or なし) 注 1:Pain Share については、一定額の閾値(ターゲット・コストの X % )超過の場合は全 て Contractor 負担 (事態を悪化させるという見方あり) という考え方あるが、この場合で もマネージメント・フィー額で上限とすることになるであろう。
注 2:Gain Share も Pain Share も中間幅(例 ±2%)はターゲット・コストと看做す考え方あ り。
以上
改定2010年01月07日 2009年12月18日 ENAA 契約法務部会:コストプラス契約ワーキング・グループ第4回会合資料
-Burgundy Book/AIA/NEC3 リーガル分析-
Risk Provisions (Clause)
1. Schedule Guarantee
あり。納期遅延LD規定あり。詳細は別途個別規定。(13.1, 15.1 )
注:ターゲット・コスト契約では、納期遅延予定損害賠償 を課さないのが通常であり、課されるとしてもその上限は ランプサム契約の場合より限定されるべき <Guidance on Schedule 12>
注:早期完了についてのボーナスは一般条件には含まれ ず、必要なら特記条件で<Guide Note K>
2. Defect Liability i) Period ii) Extension iii) Exclusion iv) Sublimitation
i) 365 日 (37.2)
下請負業者が負担する場合及び Engineering Practice (“GEP”)違反を除き、費用は実費償還。
(37.3)
ii) 修理、交換あるいは更新した部分はその時から 365 日(37.5)
瑕疵が原因でプラントを使用できない場合等は、使用 できなかった期間だけ延長 (37.9)
iii) 注文者が修補のアクセスを与えない場合等は請負者 の修補義務なし。修補の時期を遅らす場合は追加費用 は実費償還 (37.10)
working life が 365 日以内のパーツについてはその working life が Defect Liability Period (37.11) iv) Acceptance Certificate 発行後に出てきた瑕疵を修
補する際に請負者に費用が発生し、その費用が Sub-clause 37.3 の実費償還の対象とならない場合 で、かつ特記条件に示した金額を超過した場合は、そ の超過金額は注文者負担(37.12)
3. Performance Guarantees
一般条件ではある場合とない場合両方を想定。ある場合は 性能テストの結果がある限度内であればLD規定あり、そ の限度外で GEP 違反が理由の場合(GEP 違反はターゲッ ト・コスト特有な規定)は、請負者は性能未達について注 文者に賠償。詳細は別途個別規定。(35.1, 35.3, 35.9, 35.10)
注:ターゲット・コスト契約では、請負者がリスクを価格 に含めることが出来る可能性は非常に限定されているの で、性能保証及び損害賠償を含めるかどうかの判断が必要
<Guidance on Schedule 16>
注:性能に関する全予定損害賠償の上限を設けることもあ る < Guidance on Schedule 17>
4. Liability for Loss/Damage i) Transfer of Care, Custody
and Control of Works (Plant) ii) Liability for Loss/damage
to Works/ Plant/ Materials iii) Liability for Loss/Damage
to Owner's Existing Properties
iv) Liability for Third Party
i) Take Over 時点。(30.1)
ii) あり。ただし、請負者の責任は注文者付保保険で求 償される金額に限定(控除免責金額を除く)。(30.2, 30.3)
iii) Mutual Waiver。ただし、請負者、下請負業者の誤 ったあるいは過失による作為あるいは不作為によ る注文者、その関連会社の財産の損害等については 別途記載される限度額まで請負者の責任。(30.4, 30.5, 30.6)
iv) あり。請負者、下請負業者の誤ったあるいは過失に
Risk Provisions (Clause)
よる作為あるいは不作為による場合のみ請負者の 責任。(30.7)
注:Sub-Clause 30 の規定は Red Book(Lump sum contracts) と同じ。
5. Patent Indemnity
あり。プラントの設計等に関して、ラインセンス条件等に 基いて支払われるフィー等についてはターゲット・コスト 特有の規定あり。(8)
6 Force Majeure i) Definition ii) EOT
iii) Adjustment of Price iv) Release in case of
prolongation
現場において請負者に発生した費用が実費償還できる点 以外は、通常ランプサムの規定と同じ。(14.1, 14.6. 14.8, 14.9)
7. Law Change あり。(7.3, 14.4) 8. Unforeseen Conditions あり。(6.2, 14.4)
9. Rely Upon Information あり。(6.1, 14.4, 21.13)
10. Implementation Contractors (ICs)1
i) Party placing POs and construction contracts ii) Liability for schedule delay and/or additional costs incurred by Contractor and other innocent ICs due to an IC's performance failure
iii) Liability for schedule delay and/or additional costs incurred by ICs due to Contractor's failure iv) Liability for defect of ICs'
work
i) Contractor。 下請契約発注手順に関連してコストプ ラス特有な規定あり。(9.2~9.5)
ii) iii) iv) User Guide P95 Subcontracting によると、
請負者は実費精算べースで支払われるが、下請負業者 は可能な限り固定価格の競札ベースで選ばれるべき とある。ii) iii) iv)に関することは、少なくとも以 下の示すこと以外には一般条件には明示されてなく、
下請契約の中で規定されるものと理解できる。その下 請契約には Yellow Book (IChemE の全ての標準契約に 共通の Subcontracts の契約フォーム)を使うことが 適切とされている (Schedule 7)
ii) 指定下請負業者の落ち度による遅れは工期延長の対 象 (14.4)
iv) 材料(プラントを構成する機械や材料等)供給につい ての下請契約には、下請負業者が引渡証明書の日から 365 日間(これが不可能な場合は、PM との合意に基き 現場にデリバーした日から 540 日以上の期間)瑕疵を 修補することという規定を含めるように努力する。
(9.7)
Schedule 7 に含まれる下請契約では、下請負業者が 瑕疵担保責任期間は機器の瑕疵を補修するという規 定を含める。(9.12)
11. Limitation of Liability
あり(知的所有権の侵害、工事の管理、保険の規定による 責任を除く)。下請負業者からの損害賠償等の回収につい てターゲット・コスト特有の規定あり。(43)
1 "Implementation Contractor (ICs)" means vendors and construction contractors to be employed by the Contractor under purchase orders and subcontracts in case of LSTK type contract.
Burgundy Book リーガル分析詳細資料
注:「ターゲット・コスト特有な規定あり」と示した箇所は Red Book(Lump sum contracts) との対比による
1. Schedule Guarantee あり。納期遅延LD規定あり。詳細は別途個別規定。(13.1, 15.1)
① 工事の完了以降に発行される証明書は、(substantially complete, ready for inspection and satisfying criteria in Schedule 14)=> Construction Completion Certificate => (Take Over procedures) => Take Over Certificate => (performance tests:請負者がこのテスト に基いてプラントの性能について特定の保証をする場合のみ適用され、適用されない場合は Take Over Certificate = Acceptance Certificate) => Final Certificate の順。<Clauses 32, 33, 35, 36, 37, 38>
② 請負者は個別規定(Schedule 11)にある期日前又は期間内に Take Over procedure を実施でき るように工事を完了する義務がある (Section が規定されている場合にはその Section にも適 用され、その他にある特定ことに関して期日又は期間が設定されることもある) <Sub-clause 13.1>
③ 請負者は、Sub-clause 13.1 の規定に従って工事を完了等が出来ない場合は、個別規定 (Schedule 12)により予定損害賠償を支払う義務がある(上限規定ある場合ない場合)
<Sub-clause 15.1>
但し、注文者は Taking Over の遅れに対して予定損害賠償を適用することを好む可能性があ る <Schedule 11>
④ ターゲット・コスト契約では、納期遅延予定損害賠償を課さないのが通常であり、課される としてもその上限はランプサム契約の場合より限定されるべき <Guidance on Schedule 12>
⑤ 早期完了についてのボーナスは一般条件には含まれず、必要なら特記条件で<Guide Note K>
2. Defect Liability i) Period ii) Extension iii) Exclusion iv) Sublimitation
i) 365 日 (37.2)
下請負業者が負担する場合及び Engineering Practice (“GEP”)違反を除き、費用は実費償還。
(37.3)
ii) 修理、交換あるいは更新した部分はその時から 365 日(37.5)
瑕疵が原因でプラントを使用できない場合等は、使 用できなかった期間だけ延長 (37.9)
iii) 注文者が修補のアクセスを与えない場合等は請負 者の修補義務なし。修補の時期を遅らす場合は追加 費用は実費償還 (37.10)
working life が 365 日以内のパーツについてはそ の working life が Defect Liability Period (37.11)
iv) Acceptance Certificate 発行後に出てきた瑕疵を 修補する際に請負者に費用が発生し、その費用が Sub-clause 37.3 の実費償還の対象とならない場合 で、かつ特記条件に示した金額を超過した場合は、
その超過金額は注文者負担(37.12) i) Take Over Certificate の日から 365 日 <Sub-clause 37.2>
瑕疵修補費用は下請負業者が負担する場合及び Good Engineering Practice (“GEP”)違 反を除きアクチュアル・コストを構成 <Sub-clause 37.3>
但し、引渡後に発生するこのアクチュアル・コストの記録を管理する費用を考慮すると、
引渡後の瑕疵修補及び引渡時の小さな残工事を、ランプサムにするという考え方もある
<Guide Note L>
注:GEP = to exercise the degree of skill and care which would ordinarily be exercised by properly qualified and competent persons engaged in the same or a similar business to that of the Contractor(IChemE による定義ではないが便宜的 に)
瑕疵以外の補修費用は工事変更扱い <Sub-clause 37.3>