ディスカッションペーパー・シリーズ 2001‑03
結婚のコスト −結婚を抑制するもの
松浦 克己* 滋野 由紀子**
2001.4
* 郵政研究所特別研究官(横浜市立大学商学部教授)
** 元郵政研究所客員研究官(大阪市立大学経済学部助教授)
結婚のコスト
−結婚を抑制するもの
2001 年 4 月
横浜市立大学商学部 松浦 克己 大阪市立大学経済学部 滋野 由紀子
要旨
晩婚化・非婚化が急激に進んでいる。女性にとり結婚の意味は貧しい時代の
「生活のための結婚」から豊かな時代の「良い人がいれば結婚する」へと大きく変 わった。そこでは結婚しても、個人としてのプライバシーを保ちながら自分の 趣味や個性を生かす消費生活が求められる。そのためには女性の自由になる財 布・通帳が必要である。結婚して自分の財布・通帳を喪失、減少するようであれ ば、女性にとり結婚のコストは大きい。そこで独身女性と既婚女性の金融資産 の保有・蓄積状況を比較することで、結婚により自由になる財布・通帳のコスト がどの程度あるのかを検討する。
Discussionpaper series 2001‑02
Day Nurseries, Paid Parental Leave and Childbirth Yukiko Shigeno
Katsumi Matsuura
The declining total fertility rate is reducing the proportion of children in the population, a phenomenon known as shôshika in Japanese. When a woman expects loss of lifetime income due to loss of earnings caused by leaving the labor market and human capital loss at and following childbirth, she will continue in full-time employment and delay the timing of birth.
In Japan, many married women withdraw from full-time employment to take care of younger children, and later re-enter the labor market as part-time workers. Support for continuity of employment with childbirth is very important. We analyze the effects of day nursery and paid parental leave on childbirth using survival analysis.
Our estimates suggest that day nursery and paid parental leave decrease the delay in
first and second childbirth, whereas expected wages of women and higher education
postponed the timing of childbirth. The results indicate the need for policies to enable
people to remain in full-time employment while at the same time raising children.
結 婚 の コ ス ト
結 婚 を 抑 制 す る も の
−
年 月
2001 3
横 浜 市 立 大 学 商 学 部 松 浦 克 己 大 阪 市 立 大 学 経 済 学 部 滋 野 由 紀 子
晩 婚 化 、 非 婚 化 の 動 き 1
少 子 化 の 原 因 と し て 晩 婚 化 や 非 婚 化 が 進 ん で い る こ と が 上 げ ら れ て い る ( 八 代 [1999] 参 照 ) 。 少 子 化 は 労 働 力 人 口 の 減 少 を 通 じ て 。 経 済 成 長 の 抑 制 や 社 会 保 障 制 度 の 安 定 に 危 惧 を も た ら す も の と し て 懸 念 さ れ て い る 。 社 会 の 基 礎 単 位 と し て の 家 族 の 形 成 − 結 婚 − そ の も の の 魅 力 が 減 少 し て い る の だ ろ う か 。 そ う で あ れ ば 家 族 を 基 礎 と し て 築 か れ て い る 社 会 構 造 自 体 が 根 底 か ら 変 わ る で あ ろ う 。 こ こ で は ま ず 晩 婚 化 や 非 婚 化 の 動 向 を 概 観 す る と 共 に 、 結 婚 の コ ス ト と し て 女 性 が 結 婚 に よ り 自 己 所 有 に か か る 金 融 資 産 の 保 有 ・ 蓄 積 が 減 少 す る 問 題 を と り 上 げ る 。 と い う の は 豊 か な 時 代 に っ て は 、 結 婚 し て も 個 人 で 自 由 に 使 え る 資 産 が あ る こ と が 、 そ の 人 ( 妻 ま た は 夫 ) に と り 夫 婦 の 中 で も プ ラ イ バ シ ー を 守 り な が ら 自 己 の 個 性 を 享 受 す る 生 活 を 支 え る と 考 え ら れ る か ら で あ る 。
) 初 婚 年 齢 の 上 昇 1
婚 姻 ( 特 に 初 婚 ) 年 齢 が 上 昇 す る 晩 婚 化 が 指 摘 さ れ て い る 。 戦 後 復 興 期 の1950 年 の 男 性 の 初 婚 年 齢 は 25.9 歳 、 女 性 は 23.0 歳 で あ っ た 。 高 度 成 長 期 の 入 り 口 で あ る 1960 年 に は 初 婚 年 齢 は 男 性 は 27.2 歳 、 女 性 は 24.4 歳 に 上 昇 し た 。 そ の 後 60 年 代 は ほ ぼ こ の 水 準 で 推 移 し た ( 図 1 参 照 ) 。 高 度 成 長 が 終 わ る 72 年 に は 男 性 26.7 歳 、 女 性 24.2 歳 と 、 こ れ 以 降 今 日 に 至 る ま で の 最 も 若 い 初 婚 年 齢 を 記 録 し た 。 高 度 成 長 が 終 焉 し た 73 年 以 降 は 、 初 婚 年 齢 は ほ ぼ 緩 や か に 単 調 に 上 昇 し て い る 。1999 年 に は 初 婚 年 齢 は 男 性 28.7 歳 、 女 性 は 26.8 歳 と な り 、 こ
) は 静 態 統 計 の 年 齢 別 未 婚 率 か ら 計 算 さ れ る 結 婚 年 齢 で あ る 。 次 式 に よ 1 SMAM
り 計 算 さ れ る 。SMAM=(ΣCx-50 S / 1-S・ ) ( )
。 こ こ で Cxは 年 齢 別 未 婚 率 、Sは 生 涯 未 婚 率 。 生 涯 未 婚 率 は 50歳 時 の 未 婚 率 の 間 各 々 2.0 歳 、2.6 歳 上 昇 し た ( 初 婚 年 齢 は 67 年 ま で は 結 婚 式 を 挙 げ た と き の 年 齢 。68 年 以 降 は 挙 式 ま た は 同 居 を 始 め た と き の い ず れ か 早 い 方 の 年 齢 ) 。 記 録 が あ る 限 り 男 女 と も 最 高 の 初 婚 年 齢 と な っ て い る 。 こ れ が 晩 婚 化 と い わ れ る 状 況 で あ る 。
= = = = = = = = 図 1= = = = =
SMAM Singulate mean age at first marriage 1950
未 婚 率 等 を 調 整 し た ( ) で み る と 1)、
年 以 降 男 性 の SMAM は ほ ぼ 一 貫 し て 上 昇 し て い る ( 表 1 参 照 ) 。50 年 か ら 70 年
20 2.26 70 95 3.21 90
の 年 間 で 歳 、 年 か ら 年 で は 歳 も 上 昇 し て い る 。 そ の 結 果 年 に は 30歳 を 超 え る に 至 っ て い る 。 こ れ に 対 し 女 性 の SMAM は 60 年 ま で は 、 男 性 と 同 様 に 上 昇 す る が 、60 年 か ら 75 年 に か け て は 逆 に 0.52 歳 低 下 し 、 早 婚 化 が 進 ん で い る 。 こ の よ う に 高 度 成 長 期 に は 男 女 間 で 対 照 的 な 動 き と な っ て い る 。 そ の 後 女 性 に つ い て は 75 年 か ら 95 年 に か け て 3.21 歳 上 昇 し て い る 。 た だ し こ の 初 婚 年 齢 の 上 昇 幅 自 体 は 、 男 女 間 で そ う 大 き な 開 き は 見 ら れ な い ( 男 性 は 70-95年 で 3.21歳 、75-95年 で 3.03歳 )。
表 1 SMAM に よ る 初 婚 年 齢 の 推 移 ( 歳 )
1950 1955 1960 1965 1970 1975 1980 1985 1990 1995 年
--- 26.21 27.04 27.44 27.42 27.47 27.65 28.67 29.57 30.35 30.68 男 性
23.60 24.68 24.96 24.82 24.65 24.48 25.11 25.84 26.87 27.69 女 性
--- 注 ) 国 勢 調 査 に よ り 算 出 。 出 典 は 人 口 統 計 資 料 2000( 国 立 社 会 保 障 ・ 人 口 問 題 研 究 所 ) 。
) 男 性 の 初 婚 年 齢 が い ち 早 く 上 昇 し て い る 。 後 述 す る よ う に 国 際 的 に み て も 女 2
性 よ り 男 性 の 方 が 先 に 高 く な っ て い た こ と が 注 目 さ れ る 。 そ の 原 因 は 今 後 の 解 明 に 待 た れ る が 、 男 性 の 方 が 四 大 卒 の 比 重 が 高 い な ど 、 男 性 の 方 で 先 に 高 学 歴 化 が 進 展 し て い た こ と な ど が 可 能 性 と し て は 考 え ら れ る 。
挙 式 ・ 同 居 の 初 婚 年 齢 で み て も SMAM で み て も 、 高 度 成 長 が 終 焉 し た 後 の 豊 か な 時 代 に な っ て 晩 婚 化 が 進 展 し た こ と が う か が わ れ る 2)。
な お こ の SMAM で み た 初 婚 年 齢 の 上 昇 は 、 我 が 国 の 特 定 地 域 で 起 き て い る も の で は な く 、80 年 以 降 全 て の 都 道 府 県 で 男 女 と も 上 昇 し て い る ( 人 口 統 計 資 料 2000 参 照 ) 。 こ の こ と か ら も 初 婚 年 齢 の 上 昇 は 長 期 に わ た る 全 般 的 な 傾 向 で あ る と い え る 。
ま た 初 婚 年 齢 を 80年 代 末 で 国 際 的 に 比 較 す る と (89年 の 日 本 は 男 性 28.5歳 、 女 性 25.8 歳 ) 、 男 性 は 北 欧 二 カ 国 な ど に 続 き 5 番 目 の 高 さ で あ り 、 女 性 は オ ラ
11 89 99 0.2
ン ダ と 並 ぶ 番 目 の 高 さ で あ る 。 男 性 の 初 婚 年 齢 は 年 か ら 年 ま で に 歳 上 昇 し た 。 他 国 の 初 婚 年 齢 が 変 わ ら な い と す る な ら ば 、 や は り 5 番 目 の 高 さ で あ る 。 女 性 の 初 婚 年 齢 は こ の 間 1.0 歳 上 昇 し て お り 、 同 様 に 他 国 の 初 婚 年 齢 が 変 わ ら な い と す る な ら ば 、 最 近 に お い て は 男 性 と 同 じ く 5 番 目 の 高 さ と な っ て い る ( 表 2 参 照 ) 。 我 が 国 の 初 婚 年 齢 は 男 女 と も 、 国 際 的 に 高 い 水 準 に あ る こ と が う か が わ れ る 。
= = = = = = = = 表 2= = = = =
) 未 婚 率 の 上 昇 と 非 婚 化 2
未 婚 率 の 動 き を 概 観 す る と 、 年 齢 階 層 別 で み る と 75 年 以 降 全 て の 年 齢 階 層 で 上 昇 し て い る ( 図 2 参 照 ) 。 国 際 的 に み て も 伝 統 的 な 家 族 制 度 が 事 実 婚 な ど に 変 容 が 進 ん で い る ス ウ ェ ー デ ン を 除 き 、 か な り 高 い 水 準 に あ る ( 表 3 参 照 ) 。 た と え ば 男 性 35-39 歳 の 未 婚 率 は 、 日 本 が 22.6%で あ る の に 米 国 で は 14.7%に と ど ま る 。 女 性 30-34 歳 の 未 婚 率 は 我 が 国 で は 19.7%で あ る が 、 米 国 で は 16.4%で あ
) 我 が 国 の 未 婚 率 は 各 国 に 比 べ て 高 い が 、 有 配 偶 者 率 が 低 い と い う わ け で は 必 3
ず し も 無 い 。40-64 歳 男 性 の 有 配 偶 者 率 は 欧 米 と 同 水 準 、 女 性 は む し ろ 欧 米 よ り も 高 い 。 こ れ は コ ー ホ ー ト 効 果 の 問 題 も あ る が 、 離 婚 率 の 低 さ を 反 映 し て い る と み ら れ る 。
る 。 伝 統 的 な 家 族 制 度 が 根 強 い と 言 わ れ る 我 が 国 に し て は 意 外 な ま で の 高 さ の よ う に 思 わ れ る 。3)
= = = = = = = = 図 2= = = = = = = = = = =
= = = = = = = = 表 3= = = = = = = = = = =
生 涯 未 婚 率 は 、 我 が 国 で は 歴 史 的 に 見 て U 字 型 と な っ て い る ( 表 4 参 照 ) 。 戦 前 か ら 50 年 な い し 55 年 ま で 、 戦 争 期 を 除 き 、 男 女 と も 生 涯 未 婚 率 は 低 下 し て い た 。 男 性 は 60 年 の 高 度 成 長 期 か ら 、 女 性 は 55 年 の 復 興 期 か ら 生 涯 未 婚 率 が 上 昇 し て い る 。 特 に 男 性 の 生 涯 未 婚 率 は 80 年 以 降 急 激 に 上 昇 し 、95 年 に は 8.99%と な っ て い る 。 こ の 間 6.29%ポ イ ン ト 増 加 し て い る 。 こ の 増 加 幅 だ け で 95 年 の 女 性 の 生 涯 未 婚 率 の 水 準 を 上 回 っ て い る 。
表 4 生 涯 未 婚 率 の 推 移 ( )%
20 25 30 35 40 50 55 60 65 70 75 80 85 90 95
年
--- 2.17 1.72 1.68 1.65 1.75 1.46 1.18 1.26 1.50 1.70 2.12 2.60 3.89 5.57 8.99 男 性
1.80 1.61 1.48 1.44 1.47 1.35 1.46 1.87 2.52 3.33 4.32 4.45 4.32 4.43 5.10 女 性
--- 注 ) 国 勢 調 査 に よ り 算 出 。 出 典 は 人 口 統 計 資 料 2000( 国 立 社 会 保 障 ・ 人 口 問 題 研 究 所 ) 。 生 涯 未 婚 率 は 45-49 歳 と 50-54 歳 の 未 婚 率 の 平 均 値 で 、50 歳 時 の 未 婚 率 を 指 す 。
男 女 別 に み る と 、 戦 前 に お い て は 男 性 の 生 涯 未 婚 率 が 女 性 よ り も 高 い 。 こ れ
は 戦 前 の 貧 し さ を 反 映 し て い る 可 能 性 が あ る 。 戦 後 の 55 年 に は 男 性 は 1.18%、 女 性 は 1.46%と な っ て い る 。 女 性 人 口 が 男 性 人 口 を 上 回 っ て い た 時 代 に 、 女 性 の 生 涯 未 婚 率 が 男 性 よ り も 高 い の は 、 あ る 意 味 で 自 然 で あ る 。 し か し 90 年 に 女 性 と 男 性 の 生 涯 未 婚 率 が 再 逆 転 し て い る 。 こ の 90 年 以 降 の 男 女 間 の 生 涯 未 婚 率 の 再 逆 転 と 乖 離 の 拡 大 は 劇 的 で あ る 。
95 年 の 国 勢 調 査 で 男 女 別 の 人 口 を 見 る と 、40-44 歳 ( 男 性 4,527 千 、 女 性 4,479
、 、 、 、
千 ) 45-49 歳 (5,328千 5,290千 ) 、50-54歳 (4,442千 4,500 千 ) 、55-59 歳 (3,907千 千 ) で あ る 。 男 女 の 人 口 が い わ ゆ る 団 塊 の 世 代 を は さ ん で 、 男 性 人 口 が 女 4,047
性 人 口 を 上 回 る よ う に 逆 転 し て い る 。 こ の こ と が 男 性 の 生 涯 未 婚 率 の 急 激 な 上 昇 と 男 女 間 の 逆 転 の 一 つ の 要 因 と 考 え ら れ る 。 し か し そ れ だ け で は 、 男 女 間 の 乖 離 は 説 明 し き れ な い よ う に 思 わ れ る 。
) 資 産 の 保 有 ・ 蓄 積 と 結 婚 の コ ス ト 3
晩 婚 化 の 進 展 や 非 婚 化 の 上 昇 は 、 高 学 歴 に よ る 労 働 市 場 参 入 時 期 の 遅 れ や 人 口 構 成 の 変 化 に 影 響 さ れ て い る こ と は 、 疑 い な い で あ ろ う 。 し か し 原 因 は そ れ だ け に と ど ま ら な い で あ ろ う 。 そ も そ も 結 婚 に は 便 益 も あ る が コ ス ト ( 費 用 ) も か か る 。 男 女 共 に 便 益 が 費 用 を 上 回 る な ら ば 、 男 女 は 未 婚 状 態 よ り も 結 婚 を 選 択 す る で あ ろ う 。 特 に 女 性 の 場 合 に は 家 事 労 働 の 負 担 や 就 業 機 会 の 抑 制 に よ る 生 涯 所 得 の 低 下 の 等 結 婚 の コ ス ト の 問 題 は 大 き い ( 八 代 [1993] 参 照 ) 。 さ ら に 八 代 が 指 摘 す る よ う に 高 学 歴 化 の 進 展 な ど を 背 景 と し た 女 性 の 就 業 機 会 の 増 加 は 、 結 婚 の 意 味 を 女 性 に と り 貧 し く 選 択 の 余 地 が 乏 し い 時 代 の 「 生 活 の た め の
、 。
結 婚 」 か ら 豊 か で 自 活 可 能 な 「 良 い 人 が い れ ば 結 婚 す る 」 へ と 変 化 さ せ て い る 自 活 ・ 自 立 が 可 能 な 女 性 に と り 、 結 婚 に よ り 自 分 の 趣 味 や レ ジ ャ ー を 放 棄 せ ざ る を 得 な い よ う な ら 、 結 婚 に は 余 り 魅 力 を 感 じ な い で あ ろ う 。 結 婚 後 も 自 分 の 能 力 や 個 性 を 生 か す 、 あ る い は 趣 味 や レ ジ ャ ー を 享 受 す る た め に 必 要 な の は 労 働 ( 所 得 ) と 資 産 で あ る 。 結 婚 ・ 出 産 と フ ル タ イ ム 就 業 継 続 の 両 立 に 困 難 な 問 題 が あ る こ と は 繰 り 返 し 指 摘 さ れ て い る ( 松 浦 ・ 滋 野 [1996] 参 照 ) 。 そ れ に 加 え て 結 婚 は 女 性 に と り 自 己 の 資 産 の 取 り 崩 し や 、 資 産 の 維 持 ・ 増 加 を 困 難 に す る 可 能 性 が あ る 。 結 婚 に は 挙 式 費 用 や 家 具 購 入 、 新 居 の 購 入 ・ 賃 貸 な ど の 直 接 的
な コ ス ト が か か る 。 そ れ は 女 性 に と り 自 己 の 資 産 の 減 少 を も た ら す で あ ろ う 。 さ ら に は 就 業 の 断 念 に よ り 、 独 身 時 代 に は 開 設 し て い た 預 金 口 座 の 閉 鎖 や あ る い は 生 活 費 へ の 充 当 な ど に よ り 独 身 時 代 の 金 融 資 産 蓄 積 が 減 少 し て し ま う 可 能 性 が あ る 。 こ の こ と は 女 性 に と り 、 自 分 個 人 の 生 活 の 楽 し み を 奪 う こ と に な り か ね な い 。 家 計 に は 家 計 単 位 の 財 布 ・ 通 帳 が 必 要 で あ る が 、 豊 か で 自 立 可 能 な 時 代 に は 夫 婦 そ れ ぞ れ の 財 布 ・ 通 帳 も 必 要 で あ る 。 妻 が 自 由 に 処 分 で き る 資 産 が な け れ ば 、 女 性 は 結 婚 生 活 で の 自 己 の プ ラ イ バ シ ー が 保 て な く な る 可 能 性 が 強 く な る 。 そ れ で は 女 性 に と り 、 自 分 の 個 性 を 殺 す こ と に な り か ね な い 。 結 婚 に よ り 自 分 の 財 布 ・ 通 帳 を 持 つ 可 能 性 が 減 少 す る 、 あ る い は そ の 中 身 が 乏 し く な る と 女 性 が 予 想 す る な ら ば 、 そ れ は 女 性 の 結 婚 費 用 を 高 め て 晩 婚 化 や 非 婚 化 を 促 進 す る で あ ろ う 。 夫 婦 別 産 制 が ほ と ん ど 普 及 し て い な い 我 が 国 で は 、 こ の 問 題 は 考 慮 に 値 す る よ う に 思 わ れ る 。 し か し 、 こ の 検 討 は 我 が 国 で は な さ れ て い な い 。
そ こ で 本 稿 で は 既 婚 女 性 と 独 身 女 性 の 間 で 金 融 資 産 の 保 有 ・ 蓄 積 状 況 を 分 析 す る こ と に よ り 、 既 婚 女 性 と 独 身 女 性 の 間 で 自 分 の 財 布 ・ 通 帳 に ど の 程 度 の 差 が あ る の か 、 も し く は 無 い の か を 検 証 す る 。 対 象 と す る 資 産 は ① 金 融 資 産 (= 預 貯 金 有 価 証 券 保 険 ) 、 ② 預 金 、 ③ 有 価 証 券 、 ④ 保 険 で あ る 。 既 婚 女 性 の 金+ + 融 資 産 の 保 有 ・ 蓄 積 が 独 身 女 性 の 場 合 を 下 回 る な ら ば 、 女 性 は 自 分 の 趣 味 や レ ジ ャ ー と い う 生 活 の 豊 か さ や プ ラ イ バ シ ー と い う 自 由 を 享 受 で き な い と 予 想 し 、 女 性 の 財 布 や 通 帳 の 意 味 を 理 解 す る 「 良 い 人 が 出 て く る ま で 」 結 婚 を 延 期 す る で あ ろ う し 、 「 良 い 人 が 現 れ な け れ ば 」 結 婚 は し な く な る 確 率 を 高 め る で あ ろ う 、 か ら で あ る 。 こ の よ う な 既 婚 女 性 と 独 身 女 性 の 間 で 資 産 に 差 が あ る の か 無 い の か の 検 証 は 本 稿 が 初 の 試 み で あ る 。
以 下 本 稿 の 構 成 を 簡 単 に 述 べ る 。 次 節 で デ ー タ の 概 要 を 紹 介 し 、 併 せ て 既 婚 女 性 と 独 身 女 性 の 間 で の 金 融 資 産 の 保 有 ・ 蓄 積 状 況 に つ い て 簡 単 な 差 の 検 定 を 行 う 。3 節 で 金 融 資 産 に 関 す る ト ー ビ ッ ト ・ モ デ ル を 推 計 し 、 既 婚 女 性 と 独 身 女 性 で 資 産 選 択 行 動 が 共 通 す る の か 、 そ れ と も 異 な る の か を 検 証 す る 。 そ れ を 基 に 簡 単 な シ ュ ミ レ ー シ ョ ン を 行 う 。 最 後 に 本 稿 の ま と め が 行 わ れ る 。
結 論 を 先 に 述 べ れ ば 、 既 婚 女 性 の 金 融 資 産 の 保 有 ・ 蓄 積 は 独 身 女 性 の ケ ー ス を 有 意 に 下 回 っ て い る こ れ は 女 性 に 自 分 の 財 布 ・ 通 帳 が 無 く な る ( 乏 し く な る )。
) 「 消 費 生 活 に 関 す る パ ネ ル 調 査 」 の 詳 細 は 各 年 版 報 告 書 ( 印 刷 局 ) を 参 照 さ れ た 4
い 。
こ と に よ り 、 自 分 の 趣 味 や レ ジ ャ ー と い う 生 活 の 豊 か さ や プ ラ イ バ シ ー と い う 自 由 を 享 受 で き な い コ ス ト が あ る こ と を 予 想 さ せ る も の で あ る 。
2 デ ー タ と 差 の 検 定
) デ ー タ 1
本 稿 で 用 い る デ ー タ は 「 消 費 生 活 に 関 す る パ ネ ル 調 査 」 ( 財 団 法 人 家 計 生 活 研
1993-1995 3 93 24-34
究 所 ) の 年 の カ 年 の デ ー タ で あ る 4)。 同 調 査 は 年 時 点 で 年 齢 歳 の 女 性 を 対 象 に 行 わ れ た も の で あ る 。 初 年 度 の 回 収 数 は 1,500 で あ っ た 。 同 調 査 は 婚 姻 状 態 、 家 族 構 成 、 女 性 の 就 業 状 況 、 収 入 、 学 歴 等 を 詳 細 に 調 査 し て い る 。 そ の 中 で 預 貯 金 ( 郵 貯 、 銀 行 預 金 、 中 国 フ ァ ン ド な ど 。 以 下 単 に 「 預 金 」 と い う ) 、 有 価 証 券 ( 株 式 、 債 券 、 投 信 な ど ) お よ び 保 険 ( 簡 易 保 険 、 生 命 保 険 、 積 立 損 害 保 険 な ど ) に 関 し て 、 女 性 個 人 の 保 有 の 有 無 と 残 高 ( 保 険 に つ い て は 払 い 込 み 累 計 額 ) を 調 査 し て い る 。 こ れ に よ り 女 性 の 属 性 ( 婚 姻 状 態 、 学 歴 、 勤 務 状 況 等 ) 別 に 各 金 融 資 産 の 保 有 ・ 蓄 積 状 況 を 知 る こ と が で き る 。 こ の よ う に 「 消 費 生 活 に 関 す る パ ネ ル 調 査 」 は 、 婚 姻 状 態 で 金 融 資 産 の 保 有 や 蓄 積 に 差 が 有 る
、 、 。
の か そ れ と 無 い の か を 検 証 し よ う と い う 本 稿 の 目 的 に 適 し た デ ー タ で あ る
、 、 、
本 稿 で 取 り 上 げ る 金 融 資 産 は ① 金 融 資 産 ( 預 金 有 価 証 券 保 険 )= + + ② 預 金
③ 有 価 証 券 、 ④ 保 険 で あ る 。 金 融 資 産 を 取 り 上 げ る こ と に よ り 独 身 女 性 と 既 婚 女 性 で 、 金 融 資 産 の 保 有 状 況 に つ い て 全 般 的 な 動 き を 捉 え る こ と が で き る 。 預 金 は 家 計 の 金 融 資 産 の 中 核 を な す も の で あ る 。 日 常 生 活 に お け る 消 費 と 決 済 を 考 え た な ら ば 、 預 金 ( 預 金 口 座 ) を 持 つ か 否 か は 、 個 人 に と り プ ラ イ バ シ ー を 保 ち な が ら 個 性 を 生 か す 豊 か な 生 活 が で き る か ど う か に 大 き く 影 響 す る で あ ろ う 。 そ の 意 味 で 預 金 は 残 高 の 水 準 み な ら ず 、 そ れ を 持 つ か ど う か が か な り 重 要 な 意 味 を 持 つ と 考 え ら れ る 。 ④ 保 険 は 、 わ が 国 で は 預 金 に つ ぐ ウ エ イ ト を 持 つ 金 融 資 産 で あ り 、 預 金 と 保 険 を 併 せ み る こ と で 既 婚 と 独 身 別 の 資 産 保 有 の 特 徴
を 捉 え る こ と が で き る で あ ろ う 。
、 、 、
な お 資 産 選 択 関 数 の 分 析 に あ た っ て は 女 性 の 年 収 勤 務 状 況 ( フ ル タ イ ム パ ー ト タ イ ム 、 自 営 業 ) 、 学 歴 、 年 齢 を 考 慮 し た 。
具 体 的 な 分 析 に あ た っ て は 、 金 融 資 産 の 項 目 に 無 回 答 の も の 、 年 収 、 勤 務 状 況 、 学 歴 、 年 齢 に つ い て 無 回 答 の も は サ ン プ ル か ら 除 い た 。 こ れ ら の 結 果 用 い た サ ン プ ル 数 は 2,864( 独 身 1,042、 既 婚 1,860) で あ る 。 記 述 統 計 は 表 5 に 示 す と お り で あ る 。
) 差 の 検 定 2
平 均 値 の 差 の 検 定 と 比 率 の 差 の 検 定 を み る と 、 所 得 ・ 資 産 に か か る 項 目 は 全 て 1%水 準 で 有 意 に 差 が あ る 。 い ず れ も 独 身 女 性 の 方 が 高 い 値 と な っ て い る ( 表
の 値 参 照 ) 。
5 z
年 収 で は 、 実 数 値 ベ ー ス で 約 180 万 円 の 開 き が あ る 。 こ の 差 は 既 婚 女 性 が 結 婚 ・ 出 産 で フ ル タ イ ム の 正 規 就 業 を 離 れ 、 無 職 や パ ー ト に な り 年 収 が 激 減 す る 可 能 性 を 示 唆 し て い る 。
( 資 産 保 有 )
金 融 資 産 保 有 比 率 を み る と 既 婚 女 性 は 70.5%で あ り 、 独 身 女 性 を 約 20%ポ イ ン ト 下 回 る 。 こ の 傾 向 は 預 金 に つ い て み る と よ り 顕 著 に 現 れ て い る 。 独 身 女 性 の 86%は 預 金 を 保 有 し て い る 。 こ の 独 身 女 性 の 値 は 、 貯 蓄 動 向 調 査 で 家 計 ( 全 世 帯 ) の 通 貨 性 預 金 保 有 比 率 や 定 期 性 預 金 保 有 比 率 が 約 90%前 後 で あ る こ と を 考 え る と 、 家 計 が 預 金 を 持 つ 割 合 と 余 り 差 は な い 。 言 い 換 え れ ば 独 身 女 性 は 家 計 全 体 と 同 じ く ら い の 割 合 で 預 金 ( 預 金 口 座 ) を 持 っ て い る 。 こ れ に 対 し 既 婚 女 性 の 預 金 保 有 比 率 は 半 数 の 50%弱 ま で 低 下 し て い る 。 両 者 の 差 は 約 40%ポ イ ン ト で あ る 。
こ の よ う に 結 婚 す る と 女 性 は 自 己 独 自 の 通 帳 を 持 た な く な る ( 喪 失 す る ) 傾 向 が 明 瞭 に う か が え る 。 結 婚 に 際 し 挙 式 等 の 直 接 費 用 が か か り 、 預 金 を 取 り 崩 す こ と は 十 分 想 定 さ れ る 。 そ れ に し て も 日 常 の 消 費 生 活 で 、 自 己 の 口 座 を 持 た な い こ と は 相 当 に 不 便 で あ る 。 全 く 預 金 を 持 た な い と い う 状 態 は 夫 ( 配 偶 者 ) の 口
座 を 利 用 し て い る と 考 え ら れ る が 、 そ の よ う な 状 況 は 既 婚 女 性 に と っ て は プ ラ イ バ シ ー を 守 り な が ら 自 己 の 趣 味 等 を 享 受 す る 上 で ハ ン デ ィ に な っ て い る こ と が 予 想 さ れ る 。
有 価 証 券 の 保 有 比 率 も 1%水 準 で 独 身 女 性 が 高 い 。 そ の 水 準 自 体 の 低 さ は 日 本 の 家 計 全 般 を 通 じ て み ら れ る も の で あ る ( 米 澤 他 [1999] 参 照 ) 。
保 険 の 保 有 比 率 は 独 身 女 性 が 約 70%、 既 婚 女 性 は 約 50%で あ る 。 こ こ で も 約 ポ イ ン ト の 開 き が あ る 。 む し ろ 既 婚 女 性 の 保 険 の 保 有 割 合 が 預 金 の 保 有 割 20%
。 、
合 と 差 が な い こ と が 注 目 さ れ る こ れ は 結 婚 し て 保 険 を 解 約 し よ う と す る 場 合 解 約 返 戻 金 が 積 立 金 ・ 剰 余 金 を 下 回 る と い う コ ス ト が 影 響 し て い る の か も し れ な い 。
( 資 産 蓄 積 水 準 )
金 融 資 産 の 蓄 積 状 況 に つ い て も 独 身 と 既 婚 者 で は か な り の 開 き が あ る 。 金 融 資 産 全 体 で は 両 グ ル ー プ の 間 に 約 180 万 円 、 2.2倍 の 開 き が あ る 。 既 婚 女 性 の 第 3 分 位 の 値 が 170 万 円 で あ る か ら ( 表 7 の 注 を 参 照 ) 、 既 婚 女 性 の 金 融 資 産 の 減 少 が か な り 大 き い こ と が 分 か る 。
そ の 格 差 の 大 半 ( 約 150 万 円 ) は 預 金 で あ る 。 結 婚 に よ り 預 金 額 そ の も の も 大 き く 減 少 し て い る こ と が 示 唆 さ れ る 。 こ の 面 で も 既 婚 女 性 に と り 、 自 己 の 趣 味 等 を 享 受 す る 上 で ハ ン デ ィ に な っ て い る こ と が う か が わ れ る 。
= = = = = = = = = 表 5= = = = = = = = =
3 資 産 選 択 関 数 の 推 計 と 期 待 値
単 純 な 差 の 検 定 に よ り 既 婚 女 性 と 独 身 女 性 の 間 で 、 金 融 資 産 の 保 有 比 率 や 蓄 積 水 順 に 開 き が あ る こ と を 見 た 。 こ こ で は 資 産 選 択 行 動 そ の も の に 違 い が あ る か ど う か を 見 る こ と に し た い 。
) 資 産 選 択 関 数 の 推 計 1
Maddla 以 下 の よ う な 既 婚 女 性 と 独 身 女 性 を 含 む ト ー ビ ッ ト ・ モ デ ル を 考 え る ( [1983] 参 照 ) 。
ji i i
y =a+bx+u*
> )
y = yji *ji if y*ji 0 1
0 otherwise
は 番 目 の 金 融 資 産 、 は 推 定 さ れ る べ き 係 数 、 は 説 明 変 数 、 は 誤 差
yj j a,b i x i u
項 で N 0,( σ ) を 仮 定 す る 。2
既 婚 女 性 の 資 産 選 択 行 動 と 独 身 女 性 の 資 産 選 択 行 動 に 差 が あ る か ど う か を 検 証 す る た め に 、 既 婚 女 性 に か か る 定 数 項 ダ ミ ー (marriagei) と 係 数 ダ ミ ー (marzi ) を 考 え る 。 ) 式 を 以 下 の よ う に 変 形 す る 。1
y =a+bx+cmarriage+cmarz+e*ji i 1 i 2 i i 2)
は 説 明 変 数 、 は 誤 差 項 で ( σ ) を 仮 定 す る 。
zi ie N 0, 2
) 式 の 対 数 尤 度 を 、 ) 式 の 対 数 尤 度 を と 書 く こ と に す る 。 既 婚 女 性 と
1 Lr 2 uL
独 身 女 性 の 資 産 選 択 行 動 が 共 通 し て い る か 異 な る か は 、 ) 式 に お い て 帰 無 仮 説2 が 成 立 し て い る か ど う か を 検 証 す れ ば よ い 。 具 体 的 に は 両 グ ル ー プ の 行 c=c=01 2
動 は 共 通 す る と い う 帰 無 仮 説 の 下 で 検 定 統 計 量 ( − )
LR=2* Lu Lr
が 、 制 約 の 数 を 自 由 度 と す る χ 自 乗 分 布 に 従 う こ と を 利 用 し て 検 定 す れ ば よ い (Greene 2000[ ] 参 照 ) 。
こ こ で は 金 融 資 産 、 預 金 、 有 価 証 券 、 保 険 の 各 々 に つ い て 推 計 し た 。 金 融 資 産 選 択 の 説 明 変 数 と し て は 、 女 性 の 年 収 の 対 数 値 (lkasset と 表 記 ) 、 女 性 の 就 業 に 関 す る フ ル タ イ ム ダ ミ ー (full) パ ー ト タ イ ム ダ ミ ー (、 part) 自 営 業 ダ ミ ー (、 jiei) を 取 り 上 げ る ( 無 職 な ど が 既 定 値 ) 。 学 歴 に つ い て は 大 卒 ダ ミ ー (univer) を 取 り 上 げ る 。 こ の 他 に 年 齢 (age) を 取 り 上 げ る 。 ) 式 に 上 げ る ダ ミ ー 変 数 と し て は2
marriage marlin, marfull,
定 数 項 ダ ミ ー ( ) の 他 上 述 し た 説 明 変 数 の 係 数 ダ ミ ー ( 各 々、 と 表 記 ) を 加 え る 。
marpart, marjiei, maruni, marage
預 金 、 有 価 証 券 、 保 険 の 資 産 選 択 行 動 に 関 し て は 、 説 明 変 数 と し て こ れ ら に 加 え て 女 性 の 金 融 資 産 の 対 数 値 (lkasset) と そ の 係 数 ダ ミ ー (markas, 2) 式 に 対 応 ) を 加 え た 。
) 推 計 結 果 2
結 果 は 表 6に 掲 げ る と お り で あ る 。
( 金 融 資 産 )
87.54 7
金 融 資 産 全 体 に つ い て み る と 、 尤 度 比 検 定 統 計 量 は で あ る 。 自 由 度 の 5%水 準 の χ 自 乗 統 計 量 は 14.07 で あ る か ら 、 既 婚 女 性 と 独 身 女 性 の 間 で 金 融 資 産 全 体 の 資 産 選 択 行 動 が 共 通 す る と い う 帰 無 仮 説 は 棄 却 さ れ る 。
年 収 に か か る 係 数 は い ず れ も 1%水 準 で 有 意 に 正 で あ り 、 符 号 条 件 を 満 た し て い る 。 フ ル タ イ ム ダ ミ ー の 係 数 が 1%水 準 で 独 身 ・ 既 婚 と も 有 意 に 正 と い う の も 予 想 さ れ る と こ ろ で あ る 。 既 婚 者 に 関 し パ ー ト ダ ミ ー の 係 数 が 5%水 準 で 有 意 に 負 と い う こ と は 、 パ ー ト が 家 計 生 活 費 の 補 助 の 必 要 性 を 表 し て い る 可 能 性 を 示 唆 し て い る 。 い い か え れ ば 既 婚 女 性 が パ ー ト で 働 く こ と は 、 必 ず し も 女 性 自 身 の 生 活 を エ ン ジ ョ イ す る た め の 資 産 蓄 積 に は 結 び つ い て い な い 可 能 性 が あ る 。 パ ー ト が 既 婚 女 性 の 22%を 占 め て い る こ と を 考 え る と 、 女 性 に と り 結 婚 が 余 り 魅 力 的 で は な い 場 合 が あ る こ と を 、 意 味 し て い る の か も し れ な い 。
( 預 金 )
預 金 に 関 す る 尤 度 比 検 定 統 計 量 は 81.14 で あ る 。 自 由 度 8 の 5%水 準 の χ 自 乗 統 計 量 は 15.51 で あ る か ら 、 既 婚 女 性 と 独 身 女 性 の 間 で 預 金 の 資 産 選 択 行 動 は 共 通 す る と い う 帰 無 仮 説 は 棄 却 さ れ る 。
年 収 に か か る 係 数 は 、 独 身 者 と 既 婚 者 の い ず れ に つ い て も 、 統 計 的 に は 全 く 有 意 で は な い 。 金 融 資 産 の 係 数 は い ず れ も 1%水 準 で 有 意 に 正 で あ る 。 既 婚 女 性 の フ ル タ イ ム ダ ミ ー に か か る 係 数 が 5%水 準 で 有 意 に 負 で あ る 。 こ れ は や や 意 外 で あ る 。 こ の 点 に つ い て は 、 な お 今 後 の 課 題 と し た い 。
( 有 価 証 券 、 保 険 )
有 価 証 券 に 関 す る 尤 度 比 検 定 統 計 量 は 11.12 で あ る か ら 、5%水 準 で 有 価 証 券 の 資 産 選 択 に 関 す る 行 動 が 既 婚 女 性 と 独 身 女 性 の 間 で 共 通 で あ る と い う 帰 無 仮 説 は 棄 却 さ れ な い 。 た だ し 、 こ れ は 保 有 比 率 が 両 者 と も か な り 低 い こ と を 反 映
) 平 均 、 メ テ ゙ ィ ア ン 、 第 分 位 の 組 み 合 わ せ で あ る か ら 、 所 得 ・ 資 産 に つ い て か な
5 3
り 有 利 な 条 件 の 下 で の 試 算 値 と な る こ と に 留 意 が 必 要 で あ る 。 し て い る 可 能 性 が あ る 。
こ れ に 対 し 保 険 に 関 す る 尤 度 比 検 定 統 計 量 は 67.82 で あ る 。 従 っ て 5%水 準 で 保 険 の 資 産 選 択 に 関 す る 行 動 が 既 婚 女 性 と 独 身 女 性 の 間 で 共 通 で あ る と い う 帰 無 仮 説 は 棄 却 さ れ る 。 既 婚 者 に つ い て み る と フ ル タ イ ム ダ ミ ー と パ ー ト タ イ ム ダ ミ ー に か か る 係 数 は い ず れ も 1%水 準 で 有 意 に 正 で あ る こ と が 注 目 さ れ る 。 前 者 は 預 金 に 関 し て 、 後 者 は 金 融 資 産 全 体 に つ い て は 有 意 に 負 で あ っ た 。 自 営 業 の 結 果 (5%水 準 で 有 意 に 正 ) と あ わ せ る と 、 有 業 の 既 婚 女 性 は 保 険 に 対 す る 選 好 が 強 い の か も し れ な い 。
= = = = = = = = = = 表 6= = = = = = = = =
) 期 待 保 有 確 率 と 期 待 値 3
( 計 算 式 )
こ こ で は 表 6 に 掲 げ た 推 計 結 果 を 基 に 金 融 資 産 全 体 、 預 金 と 保 険 の そ れ ぞ れ に つ い て 、 独 身 女 性 と 既 婚 女 性 の 別 に 、 フ ル タ イ ム 勤 務 ( ま た は パ ー ト タ イ ム 勤 務 ) 、 大 卒 、 年 齢 30 歳 と い う 条 件 で 保 有 確 率 と 期 待 値 を 試 算 す る ( 関 数 型 が 共 通 で あ る と い う 帰 無 仮 説 が 棄 却 さ れ ず 、 か つ 保 有 比 率 が 著 し く 低 い 有 価 証 券 は こ こ で は 取 り 上 げ な い ) 。 そ の 際 各 々 の グ ル ー プ 毎 に 年 収 と 金 融 資 産 に つ い て 、 平 均 、 メ テ ゙ ィ ア ン と 第3 分 位 の 値 で 評 価 す る5)。
ト ー ビ ッ ト ・ モ デ ル の 保 有 確 率 は 、 ) 式 を 例 に 取 れ ば 以 下 の よ う に 求 め る こ1 と が で き る 。
( > ) Φ [ ( ) σ ] )
Pr y*ji 0 = a+bx /i 3
こ こ で Φ は 標 準 正 規 累 積 分 布 関 数 を 指 す 。
> の 条 件 付 き 期 待 値 は 以 下 に よ る 。 y*ji 0
φ [ (a+bx /i) σ ]
[ > ] σ )
E y | y 0 =a+bx+ji ji i 4
Φ [ (a+bx /i) σ ]
) 既 婚 者 の 中 の 平 均 、 メ テ ゙ ィ ア ン 、 第 分 位 の 値 で あ る か ら 、 既 婚 か つ フ ル タ イ ム
6 3
就 業 と い う 条 件 の 下 で の 平 均 、 メ テ ゙ ィ ア ン 、 第 3 分 位 の 値 で は な い こ と に 留 意 す る 必 要 が あ る 。 そ の よ う に 限 定 す れ ば 既 婚 女 性 の 保 有 確 率 や 期 待 値 は さ ら に 上 昇 す る で あ ろ う 。 こ こ で は 既 婚 者 に な れ ば ど う な る か に 焦 点 を 合 わ せ て い る 。 と い う の は 結 婚 ・ フ ル タ イ ム 就 業 継 続 に 厳 然 と し た 壁 が あ る こ と の 配 慮 し た か ら で あ る 。 そ う で な け れ ば 女 性 に と っ て 、 資 産 の 保 有 ・ 蓄 積 に 関 す る 結 婚 の コ ス ト の 把 握 が 不 十 分 と な る か ら で あ る 。
こ こ で φ は 標 準 正 規 密 度 関 数 。 全 サ ン プ ル の 期 待 値 は 次 に よ る 。
[ ] Φ [ ( ) σ ] ( ) σ φ [ ( ) σ ] )
E y =j a+bx /i a+bx +i a+bx /i 5
( 試 算 結 果 )
独 身 女 性 に つ い て み る と 金 融 資 産 、 預 金 の 期 待 保 有 確 率 は 、 試 算 の 前 提 条 件 の 下 で は ほ と ん ど 100%で あ る 。 こ れ 自 体 は 驚 く べ き こ と で は な い 。 独 身 女 性 に つ い て 大 卒 ・ フ ル タ イ ム や パ ー ト タ イ ム で 働 き 、 か つ 年 収 や 金 融 資 産 が 独 身 グ ル ー プ の 平 均 以 上 と い う 条 件 で あ れ ば 、 預 金 口 座 を 持 た な い と い う こ と は ま ず 考 え ら れ な い こ と で あ ろ う 。
既 婚 女 性 で は フ ル タ イ ム ( パ ー ト タ イ ム ) で 、 年 収 と 金 融 資 産 が 既 婚 者 グ ル ー プ の 中 で メ テ ゙ ィ ア ン と い う 条 件 で も 70% 74%( ) が 預 金 を 保 有 す る に と ど ま る 。 逆 に 言 え ば 、 既 婚 女 性 と し て は か な り 有 利 な 条 件 の 下 で も 、25-30%は 預 金 口 座 を 持 た な い と い う こ と で あ る 。 こ の こ と は 女 性 に と り 「 相 当 に 良 い 人 に 出 会 わ な け れ ば 」 結 婚 の コ ス ト が 高 い こ と を 示 唆 し て い る と 言 え る の か も し れ な い 。
金 融 資 産 の 期 待 値 は 、 保 有 す る ケ ー ス で 独 身 者 で は 最 も 低 い ケ ー ス ( パ ー ト タ イ ム 、 平 均 値 ) で 4.570 で あ る 。 こ れ に 対 し 既 婚 女 性 で は 最 も 高 い ケ ー ス で
( フ ル タ イ ム 、 第 分 位 ) で あ る 。
4.867 3
預 金 に な る と 、 保 有 す る ケ ー ス で 独 身 女 性 の 最 低 の ケ ー ス ( パ ー ト タ イ ム 、 メ ディアン)で 4.788 で あ る が 、 既 婚 女 性 は 最 高 の ケ ー ス ( パ ー ト タ イ ム 、 メ テ ゙ ィ ア ン ) で も 3.988 で あ る 。 独 身 女 性 に 比 べ て 、 既 婚 女 性 の 預 金 水 準 は か な り 低 い こ と が 示 唆 さ れ る 6)。
4 お わ り に
我 々 は 70 年 代 以 降 長 期 に わ た る 晩 婚 化 や 非 婚 化 の 進 展 の 中 で 、 そ の 要 因 と し て 結 婚 の コ ス ト が あ る の で は な い か と 考 え て い る 。 具 体 的 に は 以 下 の よ う な 想 定 を し た 。 結 婚 に よ り 女 性 の 金 融 資 産 の 保 有 率 や 蓄 積 水 準 が 低 下 す れ ば 、 女
。 、
性 は 自 分 が 自 由 に 処 分 で き る 資 産 が 減 少 す る そ の よ う な こ と が 起 き て い れ ば 結 婚 生 活 で の 自 己 の プ ラ イ バ シ ー を 保 ち な が ら 自 分 の 個 性 を 生 か す 消 費 生 活 な ど を 女 性 が 行 う こ と は 困 難 と な る 可 能 性 が あ る 。 そ う で あ れ ば 、 そ の こ と は 女 性 の 結 婚 費 用 を 高 め て 晩 婚 化 や 非 婚 化 を 促 進 す る で あ ろ う 。
我 々 は 、 そ の 検 証 の 第 一 歩 と し て 金 融 資 産 、 あ る い は そ の 内 訳 で あ る 預 金 等 に つ い て 、 既 婚 女 性 と 独 身 女 性 の 間 で 差 が 有 る か 無 い か を 検 定 し た 。 ま た 資 産 選 択 関 数 を 推 計 す る こ と に よ り 独 身 女 性 と 既 婚 女 性 で 資 産 選 択 行 動 に 変 化 が あ る か 、 あ る い は 期 待 保 有 確 率 や 期 待 値 に 相 異 が あ る か ど う か を 検 証 し た 。 我 々 の 分 析 で は 既 婚 女 性 と 独 身 女 性 で は 、 金 融 資 産 の 保 有 ・ 蓄 積 に 相 当 な 格 差 が あ る こ と が 分 か っ た 。 こ れ は 女 性 に と り 、 金 融 資 産 の 減 少 を 通 じ た 結 婚 の コ ス ト が 存 在 す る こ と を 示 す も の で あ る 。
我 々 の 分 析 は 第 一 歩 で あ る 。 既 婚 女 性 に お け る 金 融 資 産 の 保 有 の 著 し い 減 少 と 喪 失 が 、 ど の 程 度 結 婚 確 率 を 抑 制 し 、 晩 婚 化 や 非 婚 化 に 影 響 し て い る か の 検 証 が 次 の 課 題 で あ る 。
第 二 の 課 題 は 男 性 の 側 の 問 題 で あ る 。 結 婚 は 男 女 間 の 合 意 に 基 づ く も の な の で 、 男 性 に も 同 様 の 事 情 は あ り 得 る 。 男 性 も 個 人 と し て 自 由 に 使 え る 財 布 ・ 通 帳 が 無 く な る ( 減 少 す る ) と 考 え れ ば 、 結 婚 を 抑 制 す る こ と も あ る で あ ろ う 。 豊 に な っ た 70 年 代 以 降 に 、 晩 婚 化 ・ 非 婚 化 が 進 ん だ と い う こ と は 、 夫 婦 と し て の 生 活 と 結 婚 し て も 個 人 と し て 自 立 し た 自 由 を 男 女 が 強 く 求 め て い る こ と を 示 唆 し て い る の か も し れ な い 。 男 女 と も 「 良 い 人 が あ れ ば 」 結 婚 す る と い う 状 況 が 豊 か な 時 代 に 生 み 出 さ れ て い る と 考 え る こ と は 、 そ う 不 自 然 で は な い で あ ろ う 。 結 婚 は 、 両 性 の 合 意 の み に 基 づ く も の で あ り 、 最 も 私 的 な 意 思 形 成 で あ る 。 し か し 社 会 の 基 礎 が 家 族 に あ る 以 上 、 そ の 出 発 点 で あ る 結 婚 に 影 響 す る も の が 何 で あ る か を 明 ら か に す る こ と は 、 社 会 構 造 と 今 後 の 社 会 の あ り 方 を 考 え る 上
で 不 可 欠 の 課 題 で あ る 。 本 稿 の 試 み は そ の 一 端 を な す も の で あ る 。
参 考 文 献
松 浦 克 己 ・ 滋 野 由 紀 子 [1996] 『 女 性 の 就 業 と 富 の 分 配 』 日 本 評 論 社 八 代 尚 宏 [1993] 『 結 婚 の 経 済 学 』 二 見 書 房
八 代 尚 宏 [1999] 「 少 子 か と マ ク ロ 経 済 」 、 中 村 二 朗 ・ 中 村 恵 編 『 日 本 経 済 の 構 造 調 整 と 労 働 市 場 』 日 本 評 論 社 所 収
Greene,W 2000 Econometric Analysis 4th ed ,Prentice-Hall[ ] ( )
Maddala,G 1983 Limited-Dependent and QualitativeVariables in Econometrics, Cambridge[ ] University Press
表5 記述統計量と差の検定
‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑
‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑
全体 独身 既婚
‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑
‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑
変数 平均 標準偏差 平均 標準偏差 平均 標準偏差 z値
‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑
‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑
年収 3.643 2.458 5.386 1.024 2.645 2.484 56.579***
(〃実数値) 163.1 159.9 275.3 124.6 98.8 141.4 397.343***
金融資産の有無 0.781 0.414 0.913 0.282 0.705 0.456 12.478***
金融資産 3.842 2.305 4.874 1.843 3.251 2.335 42.476***
(〃実数値) 195.0 270.7 302.6 312.0 133.4 221.7 238.176***
預金の有無 0.619 0.486 0.857 0.350 0.482 0.500 31.250***
預金 2.923 2.497 4.346 2.067 2.109 2.354 39.074***
(〃実数値) 128.0 200.3 223.0 239.1 73.6 149.3 267.646***
有価証券の有無 0.064 0.245 0.102 0.302 0.043 0.203 12.041***
有価証券 0.294 1.154 0.455 1.398 0.201 0.976 5.861***
(〃実数値) 11.5 85.9 17.6 115.0 8.1 63.3 24.934***
保険の有無 0.574 0.495 0.684 0.465 0.512 0.500 12.957***
保険 2.334 2.164 2.770 2.059 2.084 2.184 12.163***
(〃実数値) 55.4 104.0 62.0 97.3 51.7 107.6 26.376***
‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑
‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑
フルタイム 0.400 0.490 0.737 0.440 0.207 0.405 10.537***
パートタイム 0.201 0.401 0.157 0.364 0.226 0.418 ‑17.105 ***
自営業 0.054 0.226 0.026 0.159 0.070 0.255 1.938**
大学卒 0.141 0.348 0.208 0.406 0.103 0.304 0.949 年齢 29.64 3.346 27.904 2.926 30.631 3.162 2.727***
‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑
‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑
N 2862 1042 1820 注) 所得、資産にかかる値は対数値。ただし実数の単位は万円。
***,**,*は各々1%、5%、10%水準で有意であることを示す。以下の表において同じ。
表6 資産選択 金融資産
‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑
全体 全体 独身 既婚
‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑
̲cons ‑1.867 0.843 ‑1.515 ‑0.137 (‑2.09)** (1.77)* (‑2.39)** (‑0.19) lin 0.683 0.356 0.631 0.289 (7.08)*** (10.59)*** (9.25)*** (6.32)***
full 0.887 0.855 0.838 0.480 (2.56)*** (4.56)*** (3.404)*** (3.19)***
part 0.048 ‑0.417 0.022 ‑0.515 (0.13) (‑2.41)** (0.08) (‑2.24)**
jiei ‑0.082 0.398 ‑0.076 0.649 (‑0.14) (1.62) (‑0.18) (2.03)**
univer 0.007 0.433 0.004 0.671 (0.04) (3.03)*** (0.03) (2.78)***
age 0.082 0.036 0.083 0.066 (3.01)*** (2.34)** (4.25)*** (2.79)***
marriage 1.927 (1.79)*
marlin ‑0.408 (‑3.93)***
marfull ‑0.449 (‑1.07)
marpart ‑0.559 (‑1.34)
marjiei 0.684 (1.06)
maruni 0.643 (2.28)**
marage ‑0.018 (‑0.52)
‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑
̲se 2.534 2.582 1.809 3.016 (62.33)*** (62.33)*** (42.26)*** (46.25)***
‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑
LL ‑5936.13 ‑5979.95 ‑2042.97 ‑3774.62 N 2864 2862 1042 1820 P.S 2234 2234 951 1283
注)カッコ内は漸近的t値。LLは対数尤度。P.Sは当該資産を保有するサンプル数。以下において同じ。
預金
‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑
全体. 全体 独身 既婚
‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑
̲cons ‑0.858 ‑1.155 ‑0.462 ‑3.452 (‑1.24) (‑2.89)*** (‑1.20) (‑4.75)***
lin ‑0.009 0.071 ‑0.011 0.030 (‑0.11) (2.44)** (‑0.23) (0.67) lkasset 1.403 1.497 1.273 1.655 (28.78)*** (47.33)*** (43.82)*** (30.88)***
full ‑0.126 ‑0.131 ‑0.123 ‑0.575 (‑0.47) (‑0.85) (‑0.83) (‑2.11)**
part ‑0.224 ‑0.182 ‑0.246 ‑0.243 (‑0.78) (‑1.239) (‑1.54) (‑1.06) jiei ‑0.321 ‑0.406 ‑0.288 ‑0.450 (‑0.69) (‑2.00)** (‑1.12) (‑1.49) univer 0.290 0.352 0.263 0.274 (1.99)** (3.16)*** (3.280)*** (1.21) age ‑0.066 ‑0.099 ‑0.052 ‑0.054 (‑3.08)*** (‑7.75)*** (‑4.45)*** (‑2.28)**
marriage ‑1.785 (‑2.04)**
marlin 0.048 (0.54)
markas 0.060 (0.97)
marfull ‑0.447 (‑1.33)
marpart ‑0.056 (‑0.17)
marjiei ‑0.136 (‑0.26)
maruni 0.013 (0.060)
marage 0.020 (0.74)
‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑
̲se 1.839 1.879 1.009 2.491 (56.21)*** (56.31)*** (41.54)*** (38.48)***
‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑
LL ‑4123.85 ‑4164.42 ‑1375.59 ‑2448.02
N 2862 2862 1042 1820 P.S 1771 1771 893 878
有価証券
‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑
全体 全体 独身 既婚
‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑
̲cons ‑29.149 ‑38.40 ‑28.504 ‑48.33 (‑5.70)*** (‑9.51)*** (‑5.50)*** (‑6.78)***
lin ‑0.729 ‑0.014 ‑0.713 ‑0.203 (‑1.42) (‑0.64) (‑1.42) (‑0.68) lkasset 4.182 4.261 4.098 4.372 (6.91)*** (9.69)*** (6.62)*** (6.59)***
full ‑0.526 0.316 ‑0.515 0.846 (‑0.28) (0.27) (‑0.29) (0.50) part 0.428 0.031 0.424 ‑0.981 (0.21) (0.03) (0.22) (‑0.62) jiei ‑2.897 ‑3.695 ‑2.837 ‑4.195 (‑0.75) (‑1.99)** (‑0.76) (‑1.89)*
univer 2.627 3.228 2.570 4.015 (2.86)*** (4.553)*** (2.85)*** (3.51)***
age 0.023 0.181 0.023 0.460 (0.16) (1.87)* (0.16) (2.72)***
marriage ‑17.781 (‑2.42)**
marlin 0.534 (0.91)
markas 0.071 (0.09)
marfull 1.341 (0.55)
marpart ‑1.384 (‑0.55)
marjiei ‑1.191 (‑0.27)
maruni 1.277 (0.92)
marage 0.425 (1.95)*
‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑
̲se 7.123 7.183 6.947 7.360 (15.33)*** (15.32)*** (11.66)*** (9.95)***
‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑
LL ‑954.89 ‑960.45 ‑541.95 ‑412.84 N 2862 2862 1042 1820 P.S 184 184 106 78
積立保険
‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑
全体 全体 独身 既婚
‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑
̲cons ‑6.260 ‑5.531 ‑6.082 ‑3.975 (‑6.64)*** (‑10.99)*** (‑6.75)*** (‑5.83)***
lin 0.226 ‑0.010 0.220 ‑0.005 (1.99)* (‑0.28) (2.03)** (‑0.13) lkasset 1.074 1.194 1.052 1.306 (17.16)*** (35.32)*** (17.42)*** (29.80)***
full 0.559 0.616 0.549 1.174 (1.55) (3.17)*** (1.60) (4.58)***
part 0.829 0.785 0.816 0.944 (2.14)** (4.32)*** (2.22)** (4.40)***
jiei 0.020 0.502 0.020 0.662 (0.03) (1.98)** (0.03) (2.30)**
univer ‑0.918 ‑0.804 ‑0.905 ‑0.616 (‑4.71)*** (‑5.55)*** (‑4.87)*** (‑2.79)***
age 0.056 0.063 0.056 ‑0.004 (2.04)** (3.96)*** (2.15)** (‑0.18) marriage 2.385 (2.08)**
marlin ‑0.231 (‑1.91)
markas 0.210 (2.86)***
marfull 0.596 (1.36)
marpart 0.097 (0.22)
marjiei 0.634 (0.93)
maruni 0.311 (1.08)
marage ‑0.059 (‑1.69)*
‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑
̲se 2.359 2.389 2.249 2.442 (52.54)*** (52.45)*** (34.85)*** (39.33)***
‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑
LL ‑4424.14 ‑4458.05 ‑1846.21 ‑2575.65 N 2862 2862 1042 1820 P.S 1644 1644 713 931
表7 金融資産の保有確率と期待値
独身 既婚者
‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑
パネルA
金融資産 フルタイム 保有確率 期待値1 期待値2 保有確率 期待値1 期待値2 平均 99.85 5.364 5.356 92.83 4.785 4.420 メディアン 99.85 5.380 5.372 90.61 4.530 4.105 第3分位 99.88 5.513 5.507 92.89 4.867 4.521 パートタイム
保有確率 期待値1 期待値2 保有確率 期待値1 期待値2 平均 99.39 4.570 4.542 86.46 4.080 3.528 メディアン 99.41 4.587 4.559 83.82 3.859 3.235 第3分位 99.52 4.716 4.693 97.23 4.153 3.463
‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑
パネルB
預金 フルタイム
保有確率 期待値1 期待値2 保有確率 期待値1 期待値2 平均 100.0 5.317 5.317 87.52 3.453 3.022 メディアン 100.0 4.911 4.911 69.76 2.535 1.769 第3分位 100.0 5.762 5.762 90.61 3.742 3.391 パートタイム
保有確率 期待値1 期待値2 保有確率 期待値1 期待値2 平均 100.0 5.194 5.194 90.06 3.684 3.317 メディアン 100.0 4.788 4.788 74.25 2.705 2.008 第3分位 100.0 5.639 5.639 92.65 3.988 3.695
‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑
パネルC
保険 フルタイム
保有確率 期待値1 期待値2 保有確率 期待値1 期待値2 平均 86.68 3.058 2.651 87.69 3.399 2.980 メディアン 83.27 2.847 2.237 74.65 2.668 1.991 第3分位 90.31 3.350 3.025 90.12 3.618 3.260 パートタイム
保有確率 期待値1 期待値2 保有確率 期待値1 期待値2 平均 89.07 3.240 2.886 85.66 3.246 2.781 メディアン 86.08 3.017 2.597 71.54 2.548 1.823 第3分位 92.20 3.546 3.269 88.38 3.456 3.055
‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑
注)大卒、30歳が前提条件。平均、メディアン、第三分位は独身グループと既婚者グループ内の年収と金融資産(預金と保険の み)の平均、メディアン、第三分位の値による。
注)期待値1は保有サンプル、期待値2は全サンプルによるもの。
注)喜寿統計
独身 既婚者
‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑
年収 金融資産 年収 金融資産 平均 275,3 302.6 98.8 133.4 メディアン 282.5 220.0 30.0 52.5 第3分位 350.0 430.0 144.0 170.0
注)単位万円。