※ 当誌は、株式会社 時事通信社がライセンスに基づき Dow Jones & Company, Inc.の発行する BARRON’S 誌の内容を利用して作成したものです。
※ 当誌は、情報提供を目的としてのみ作成したものであり、有価証券の売買の勧誘を目的としたものではありません。また、当誌は当社が信頼できると判断した資 料およびデータ等により作成しておりますが、その正確性および完全性について保証するものではありません。また、将来の投資成果や市場環境を保証するもの ではありません。投資決定にあたっては、投資家ご自身の判断でなされますようお願いいたします。
T HIS W EEK’S M AGAZINE Week of May 1
1. Caterpillar Stock Revs Up キャタピラー株に回復の兆し→ - 2 - 【キャタピラー】
同時多発的逆風が収まり、業績と株価は上昇軌道に
2. Under Trump Tax Plan, Banks, Restaurants, MLPs Could Win Big 減税効果→ - 4 - 【法人減税】
減税の恩恵を受ける業界は多いが、一番の勝ち組は消費者かもしれない
3. Paul Wick: Bullish on Micron, Bearish on Tesla ハイテクに強気→ - 7 - 【インタビュー】
テクノロジーの専門家は、マイクロンに強気、テスラには弱気
4. Wall Street Pros Are Bullish on 2017 2017年は強気→ - 10 - 【ファンドマネジャー調査】
2018年後半には景気後退を予想 セクター別ではハイテクと金融を選好
5. The Trader 好決算と見通しの引き上げから続伸→ - 15 - 【米国株式市場】
ナスダック総合指数はハイテク株の決算発表を受けて6000の大台に乗せる
6. The Virtues of Investment-Grade Corporates 投資適格社債の効能→ - 19 - 【米国債券市場】
見通しの悪い時期を乗り切るために
7. Up and Down Wall Street 今年の米株式市場の主役はFAANG銘柄→ - 21 - 【コラム】
アクティブ運用マネジャーがハイテク勝ち組に集中投資、バブルの形成を招く恐れも
8. Mobile First 劇的に進化するオンライン証券取引→ - 23 - 【デジタル投資】
モバイル・アプリの活用によるサービスの充実が決め手
9. Technology Stocks as Payout Plays 配当銘柄としてのハイテク株→ - 25 - 【配当銘柄】
ハイテク企業は成熟し成長は減速しても、増配する企業は多い
10. Preview 今週の予定→ - 27 - 【経済関連スケジュール】
大統領就任後最初の100日間の株価上昇は幸先が良い
1. Caterpillar Stock Revs Up キャタピラー株に回復の兆し 【キャタピラー】
同時多発的逆風が収まり、業績と株価は上昇軌道に
■ トランプ政策が追い風
建設機械大手のキャタピラー(CAT)に復活の兆しが 見え始めている。先週発表された第
1
四半期決算がウ ォール街の予想を大きく上回ったことで株価は1
週間 で8%上昇し、2014
年12
月以来となる100
ドルの大 台を回復した。トランプ政権の影響が大きいようだ。同社は業績好調 の理由について、コモディティー価格の回復や中国で の受注の好調に加え、トランプ大統領の企業寄りの政 策に後押しされて国内での見積り依頼が増えているこ とや、前政権時代に棚上げされていたパイプラインプ
ロジェクトが復活したことを挙げた。法人減税はキャタピラー自身の懐が豊かになるだけでなく、顧客の購 買意欲が高まるという点でも好材料である。海外資金の還流も同様だ。
業績が低迷していた間に進めた企業改革も効果が表れ始めており、利益の押し上げが予想される。コンセン サス予想では
2020
年までに1
株当たり利益(EPS)が現在の2
倍になるとみられているが、これでも保守 的かもしれない。本誌は約2
年前の2015
年8
月、株価が77
ドル強だった時にキャタピラー株を推奨した。現在の株価は
102
ドル強だが、3%の配当利回りを含めた今後 1
年間のトータルリターンは20%もあり得る。
■ 同時多発的逆風で史上最悪のスランプ
大手製造業各社にとって、約
10
年前の住宅バブル崩壊から金融危機、世界的な景気後退による影響は極め て深刻だったが、同社はその後も売上高が一段と大幅に落ち込んでいた。住宅市場の冷え込みにより、売上 高は480
億ドルのピークからわずか1
年間で295
億ドルまで落ち込んだ。その後、企業買収などでやや持ち 直したものの、2016年までの4
年間で再び、631億ドルから358
億ドルという大幅な減収に見舞われ、同 社史上最悪のスランプとも言われた。鉱山機械部門拡大の賭けがコモディティー価格の急落で裏目に出たことが原因とされる。運の悪いことに、
さまざまな逆風が同時多発的に発生した。同社は
2011
年に重機メーカーのビサイラス・インターナショナ ルを債務込みの86
億ドルで買収した。同社の大型ショベルとキャタピラーの巨大な鉱山トラックは極めて 自然な組み合わせだった。しかし同じ年には、中国の2
桁の経済成長率と米国の金融緩和策に伴うインフレ 懸念から上昇していたコモディティー価格は、ピークを過ぎようとしていた。その後、原油価格は
1
バレル=100ドル超から40
ドルを割り 込むまでに下落した。天然ガス価格も下落し、電力会社は石 炭から天然ガスへの切り替えを進め、鉱山機械の需要が落ち 込んだ。建設活動は世界的に減速し、もう一つの主要鉱物で ある鉄鉱石の価格下落で掘削機の需要が低下した。石油リグ は停止し、キャタピラーのエンジンや周辺装置も稼働を止め た。鉱山各社は2012
年までの7
年間に各種機器を大量に購 入していたため、後に残ったのは大量の不要な機械だった。各社は余った機械の部品を活用したため、部品の受注も減少 した。中国やブラジルなど、キャタピラーが最も期待してい た国で経済成長が大幅に減速した。米国の地方自治体は公共 投資を削減した。
競合のコマツ(6301)は昨年、鉱山機械メーカーのジョイ・グローバルを業績低迷時の年間売上高とほぼ同 等の金額で買収した。キャタピラーがビサイラスを買収した時は、業績好調時の売上高の
3
倍以上を支払っ ている。ダグ・オーバーヘルマン前最高経営責任者(CEO)の失態はこれだけではない。2012年6
月には 中国のERA
マイニング・マシナリー(年代煤砿機電設備製造)を6
億7700
万ドルで買収したが、半年後に は同社の不正が発覚し、5億8000
万ドルの評価損を計上した。キャタピラーでは今年、ジム・アンプレビ ー氏が新CEO
に就任した。2015
年8
月の時点では業績回復の兆候はなく、本誌の推奨は可能性に期待したものだった。過去の失敗は ともかく、キャタピラーは業績低迷時も生産能力を削減することなくコスト削減を実現している。需要が上 向けば、利益の急激な伸びが期待される。■ 今後の回復を示唆する第
1
四半期決算先週、その一端が示された。減収が予想されていた第
1
四半期売上高は前年同期比4%増となった。建設、
エネルギー、輸送の各部門がわずかな増収となる中、資源部門は
15%という大幅な伸びだった。事業再建費
用を除いたEPS
は前年同期比で低下が予想されていたが、実際は2
倍の1.28
ドルとなった。経営陣は今年 の通期EPS
見通しを2.90
ドルから3.75
ドルに上方修正した。第1
四半期決算を見る限り、これは上振れす る可能性が高い。キャタピラーには大きな回復余地がある。同社の昨年の鉱山トラック販売台数は約
70
台だったが、今年は2
倍が見込まれるという。それでも鉱山トラックの販売台数としては過去2
番目に悪い数字だ。バークレイズ・キャピタルのアナリスト、ロバート・ワートハイマー氏は
2
月に、「今ほど買いの好機はない」としてキャ タピラーの投資判断をイコール・ウエートからアウトパフォームに引き上げた。同社の主要市場は軒並み停 滞しているが、各市場の回復時期がずれれば、同社の業績回復は数年にわたることになる。ウォール街では2018
年の売上高は6%増、EPS
は28%上昇して 5
ドルを上回ると予想する。経営陣は業績ガイダンスの上方修 正と同時に、ベルギーとイリノイ 州オーロラの生産ラインの閉鎖に 伴う事業再編費用の予想も引き上 げた。さらに同社は海外顧客が来 社する際の利便性を考え、本社を シカゴ近郊に移転する予定である。
■ 株価には十分な上昇余地 キャタピラー株をめぐるリスクと しては、税処理に関して行われて いる調査と生産性向上に向けた長 期的取り組みが考えられる。米当 局は
3
月に、スイス子会社で計上 された利益に関する調査でキャタ ピラーの施設を捜索した。米歳入 庁(IRS)によれば、追徴課税と 罰金で20
億ドルが課されるとい う。キャタピラー側は争う構えだ が、訴訟は数年に及ぶ可能性があ る。しかし、最終的には最初の請 求額から大幅な減額で解決するの が一般的だ。また、自動車ではウーバーなどのシェアリングサービスや 自動運転の普及による自動車販売台数の低下が懸念されて いるが、自動車で可能なことが掘削機でも起こるかもしれ ない。ただしこれは何年も先の話だ。短期的には、機器の レンタルが自社所有からシェアを奪い、販売台数に影響が 及ぶ可能性がある。
とはいえ、少なくとも
2020
年までは、キャタピラーの利 益は急速な伸びが見込まれる。現在の株価は2017
年予想 株価収益率(PER)26倍でやや割高にみえるが、EPSが2017年予想の 4ドル弱から 2020年に 8ドルに上昇すれば、
PER
は13
倍である。2017年の事業再編費用は36
億ドルとなる見通しだが、そうした支出が利益率向上に つながれば、EPSはサイクルのピークで10
ドル超えもあり得る。その場合、株価が120
ドルとなってもPER
は過去のピーク時を下回る。キャタピラー株の上昇余地は十分にある。Caterpillar Inc. (CAT) Komatsu Ltd. (6301)
チャートは3年
By JACK HOUGH (Source: Dow Jones)
2. Under Trump Tax Plan, Banks, Restaurants, MLPs Could Win Big 減税効果【法人減税】
減税の恩恵を受ける業界は多いが、一番の勝ち組は消費者かもしれない
■ 法人減税の見通しで株価は過去最高水準に上昇 連邦法人税を
35%から 15%に引き下げるというトラ
ンプ大統領の提案は、国内市場を中心とする小売り、通信、地方銀行、飲食チェーン、医療保険などの業界 にとって朗報だ。これらの業界には
35%近い税率が適
用されており、州税や地方税を含めるとさらに高くな る。S&P500
指数構成企業の平均税率は約28%である。
法人減税の可能性は株価の上昇につながった。
S&P500
指数は先週1.5%上昇して 2384
と、史上最高値から
1%以内の水準に達した。しかし、投資家が税
率の高い企業を選好する動きは見られていない。これは大幅な法人減税の実現に対する懐疑的な見方や、企 業が投資や消費者還元を増やすことで減税の最終的な損益への影響が打ち消される懸念を反映しているため かもしれない。例えば、競争の激しい医療保険業界では減税分に対する値下げ圧力があるほか、電力業界で は料金策定の要素である税額の減少で電力料金が値下がりするなど、米国の消費者が法人減税の最大の受益 者となる可能性がある。
■ 海外利益還流の減税は
IT
大手に朗報アップル(AAPL)、マイクロソフト(MSFT)、グーグルの親会社アルファベット(GOOGL)といった
IT
大手は米国外に莫大(ばくだい)な現預金を保有しており、トランプ大統領が提案する海外利益還流の減税 から恩恵を受けそうだ。税率は発表されていないが、10%前後の有利な水準になると予想する向きが多い。IT
業界は税率の低い米国外の利益が多く、法人減税から受ける恩恵は比較的小さい。アップルは2016
年末 時点で2450
億ドル相当の現金および同等物を保有しており、その9
割が米国外に存在すると推定されてい る。一方、通信大手のベライゾン・コミュニケーションズ(VZ)や
AT&T(T
)は米国内を中心に展開している ことから、高い税金を支払っている。■ 勝ち組と目される
MLP、医療保険、飲食チェーン、銀行業界
トランプ大統領は、マスター・リミテッド・パートナーシップ(MLP)などのパススルー事業体に対する税
率を
15%とする提案をしている。現行法上、投資家の多くは MLP
の配当のかなりの部分について課税を繰り延べることができるものの、MLPの利益には個人所得税の税率が適用され、最高税率は
39.6%となる。
MLP
の投資家は最も恩恵を受けることになるかもしれない。なおこれらは全て、トランプ大統領が提案している内容の法制化を前提としている。民主党議員の多くは、
財政を圧迫し富裕層を利すると考えられている減税案に反対する可能性が高い。
バークシャー・ハサウェイ(BRK.A)
は、税金の支払額が減り、巨額の繰り 延べ税金負債が縮小するという、二通 りの恩恵を受けることになりそうだ。
バークレイズでアナリストを務めるジ ェイ・ゲルブ氏は、法人税率が
15%に
下がった場合、バークシャー・ハサウ ェイの自己資本は11%増加すると推
計している。主要業界でも有数の高い税率を負担し てきた医療保険業界では、トランプ氏 の計画が増益につながりそうだ。投資 銀行リーリンクでアナリストを務める アナ・グプテ氏によると、医療保険大 手のアンセム(ANTM)の利益は
2017
年予想に対して32%、 1
株当たり3.65
ドル増加する可能性がある。しかし、減税効果がどこまで最終損益 に反映されるかは疑問だ。グラビテ ィ・パートナーズのアダム・シーセル 氏は、「政府や企業その他の有力組織 が、アンセムやユナイテッドヘルス・
グループ(UNH)などが減税で節約 した資金をため込むことを認めるとは 考えにくい」と述べる。医療保険業界 の利益率は低く、アンセムの税引き後
利益率も
4.9%だ。米国各地での競争
も激しい。減税は保険料の減額という 形で消費者に還元される可能性もある。
レストラン運営企業に対する減税も、消費者を助けるかもしれない。「市場シェアの獲得競争が激化する。短 期的に株主の利益はあまりないかもしれないが、消費者には恩恵があるだろう。減税によって宣伝競争が再 燃する可能性が高い」とヘッジアイのハワード・ペニー氏は指摘する。
バークレイズで銀行業界のアナリストを務めるジェイソン・ゴールドバーグ氏は、JP モルガン・チェース
(JPM)、キャピタル・ワン・ファイナンシャル(COF)、コメリカ(CMA)が、銀行の中で減税から最も 恩恵を受ける可能性があると考えている。同氏の推計によると、税率が
35%から 20%に下がった場合、銀
行の今年の増益率は平均12%、JP
モルガンでは20%になる。
米国企業にとって減税の当たり年となる可能性があるが、どの程度が最終損益に反映されるかは依然として 不透明である。
Apple Inc. (AAPL) Microsoft Corp. (MSFT) Alphabet Inc. Cl C (GOOG)
Verizon Communications Inc. (VZ) AT&T Inc. (T) Berkshire Hathaway Inc. Cl A (BRK.A)
Anthem Inc. (ANTM) UnitedHealth Group Inc. (UNH) JPMorgan Chase & Co. (JPM)
Capital One Financial Corp. (COF) Comerica Inc. (CMA)
チャートは3年
By ANDREW BARY
(Source: Dow Jones)
3. Paul Wick: Bullish on Micron, Bearish on Tesla ハイテクに強気 【インタビュー】
テクノロジーの専門家は、マイクロンに強気、テスラには弱気
■ ポール・ウィック氏はハイテク銘柄を選好 ポール・ウィック氏はコロンビア・セリグマン・コミ ュニケーションズ・アンド・インフォメーション・フ ァンド(SLMCX)を
27
年間運用しており、過去10
年間の年率平均リターンは11.7%だ。テクノロジーに
関する深い知識で、投資家に価値を提供している。本誌:最近のハイテク市場の様子はどうか?
ウィック氏:ソフトウエアや半導体を含め、大半のセ グメントのファンダメンタルズは良く、プライスライ ン・グループ(PCLN)やフェイスブック(FB)など のインターネット企業も非常に好調だった。
Q:好調の要因は何か?
A:需要面からみると、大規模なクラウドデータセンターでは、顧客を満足させ、セキュリティー強化のた
めに容量を増やし続ける必要がある。Q:従来の技術がクラウドに取って代わられるとか、スマートフォンの販売が減速しているなどのニュース
をどう思うか?A:多くは間違っている。データセンターは多くのストレージが必要であり、ソリッドステートドライブ
(SSD)が必要だ。スマートフォンは販売台数では精彩を欠くものの、単価は上昇している。端末
1
台当た りのメモリー容量は増え、Wi-Fi(ワイファイ)の機能も向上し、3Dセンサーなども加わり、使用される半 導体全体の価格も上昇している。■ クラウドの時代には高価な半導体が必要
Q:半導体価格は上昇しても、供給過剰で価格が崩壊するとの懸念が常にあるが、どう思うか?
A:業界再編が進み、航空業界同様、各企業の収益性が改善した。さらに、ムーアの法則は弱まりつつあり、
最先端の半導体の価格は値上がりしている。これが業界の新たな動きで、半導体業界にとって非常に明るい ことだ。サムスン電子(005930.韓国)は、シェア拡大や競合を駆逐しようとしていた以前の経営方針とは 異なり、利益を重視するようになったとみられるので、注視すべきだ。
Q:ムーアの法則の終焉(しゅうえん)は半導体メーカーには好材料なのか?
A:その通り。インテル(INTC)のプロセッサーの平均価格は過去 5~6
年上昇してきた。エヌビディア(NVDA)やブロードコム(AVGO)も製品価格が上昇した会社の例だ。われわれは新しい時代に入ってお り、半導体メーカーの株価は依然として割安だ。クラウドコンピューティングやいわゆるモノのインターネ ット(IoT)にかける投資をするなら、半導体メーカーを通じることも可能で、インターネット企業やソフ トウエア企業よりもリターンが良い。
■ 選好銘柄は、ラム・リサーチ、ウエスタン・デジタル、マイクロン・テクノロジー
Q:最近選好している銘柄は?
A:
半導体製造装置大手ラム・リサーチ(LRCX)を選好している。特に前四半期の決算は好調だった。増 収率は前年同期比60%程度あり、成熟産業とされる事業にしては素晴らしい。利益率も過去最高水準で、キ
ャッシュの創出も強い。株価は145
ドル程度だが、ネットキャッシュは1
株当たり20
ドル、今年の1
株当 たり利益(EPS)は11~12
ドル。株価収益率(PER)15倍を適用し、ネットキャッシュを加えると200
ド ルとなる。さらに、同社より利益率や成長率が低い資本財銘柄の多くがPER20
倍程度であることも加味す べきだ。Q:半導体で選好する銘柄は?
A:ストレージソリューションを提供するウエスタン・デジタル(WDC)や半導体大手のマイクロン・テク
ノロジー(MU)をはじめとするメモリー業界を選好している。2014
年のマイクロンは、株価は30
ドル台、EPS
は3
ドル程度だった。現在マイクロンの株価は20
ドル台半ばで、EPSは5~6
ドルと見込まれる。現 在のファンダメンタルズの方が底堅い。Q:設備能力過剰に関する懸念はどう思うか?
A:今のところ、新たな生産能力が過剰に増えているわけではない。また、1990
年代のマイクロンの華々しい株価上昇はほぼ全面的にパソコンにけん引されていた。
DRAM
はコモディティーで、他社製品による代替 も可能だった。しかし現在DRAM
の売上高の中でパソコンが占める割合は低い上、デバイスごとの仕様が 異なっている。競合企業の数は減り、商品の差別化が進行。事業として以前より良くなった。DRAM
価格の 変動も小さい。3D化に伴い、粗利益率も以前の20%から 30%へと上昇した。今後は 40%台に上昇するこ
とだろう。Q
:本誌は2015
年に、機械学習などの発展に伴いマイクロンが最重要なメーカーの一つになると述べたが。A:需要はまさにそこにある。先進運転支援システム(ADAS)などの一部では、24
ギガバイトのDRAM
を使用している。クラウドや人工知能(AI)、機械学習にとって最も重要な要素は、大量で安いメモリーだ。
Q:ウエスタン・デジタルはどうか?
A:ウエスタンはハードディスクドライブ(HDD)と NAND
型フラッシュメモリーの二つの事業の側面を持つ。単純に見れば
HDD
は衰退が予想されるが、データの総量は1
年で35%増加しており、ウエスタンの
価格決定力は強い。NAND
型フラッシュメモリーでは利益率の構造が競合企業中で最高だ。われわれは、コ ンセンサス予想は低過ぎるとみている。■ 回避したい銘柄はテスラとネットフリックス
Q:回避したい銘柄はあるか?
A:まず、 IBM
(IBM)。実効税率の低下や知的財産からの収入などの恩恵を受けてきたが、そろそろ種切れか。2016暦年には非キャッシュの年金基金への拠出を行ったが、実質的には現金同等の証券の流出だから、
フリーキャッシュフローは過剰に計上されているとみなしてよいだろう。
20
四半期連続で売上高が減少して おり、今後も続くだろう。溶ける氷も同然だ。Q:次に何を挙げるか?
A:電気自動車(EV)メーカーのテスラ(TSLA)と動画配信のネットフリックス(NFLX)は最も割高な
大型株のうちの2
社だ。テスラが黒字化するという主張は論理的でない。莫大(ばくだい)な赤字に鑑みる と、今後も資金調達を続けることだろう。結局審判の日を遅らせているだけだ。金利上昇も悪材料だ。ネッ トフリックスは、もう4
年も大幅なキャッシュフローの赤字が続いている。昨年だけで17
億ドルの赤字で、今年は
20
億ドルの赤字の見込みだ。コンテンツに多くの資金をつぎ込んでいるが、加入者増につながらな い。コンテンツ制作費の償却方法を他社と比べると、利益を過剰計上していると言ってよいと思う。私にはこの
2
社は、内在 的価値ではなく非合理的な期待が株価をつり上げている例だと 思う。ネットフリックスは、自らのコンテンツと加入者を抱えるケー ブルテレビ放送局の
HBO
のようになるとみられるが、通常市 場ではこのような企業のバリュエーションは予想利払い・税引 き・償却前利益(EBITDA)の10~15
倍程度だ。ネットフリ ックスの場合は現在約66
倍だ。ウォルト・ディズニー(DIS)やアップル(AAPL)やアルファベット(GOOGL)が買収す るとも思わない。独占企業ではなくキャッシュフローは赤字と いった場合、永久に投資ストーリーが続くものではない。
Columbia Seligman Communications
& Information Fund;A (SLMCX)
Priceline Group Inc. (PCLN) Facebook Inc. Cl A (FB)
Samsung Electronics Co. Ltd. (005930.
韓国)
Intel Corp. (INTC) NVIDIA Corp. (NVDA)
Broadcom Ltd. (AVGO) Lam Research Corp. (LRCX) Western Digital Corp. (WDC)
Micron Technology Inc. (MU) International Business Machines
Corp. (IBM) Tesla Inc. (TSLA)
Netflix Inc. (NFLX) Walt Disney Co. (DIS) Apple Inc. (AAPL)
Alphabet Inc. Cl C (GOOG)
チャートは3年
By TIERNAN RAY
(Source: Dow Jones)
4. Wall Street Pros Are Bullish on 2017 2017 年は強気 【ファンドマネジャー調査】
2018 年後半には景気後退を予想 セクター別ではハイテクと金融を選好
■ 景気・政治見通し
本誌は春と秋の
2
回、ビッグ・マネー調査を実施している。マネジャーは世界経済に対して強気で、米国経 済が今後数カ月で加速するとみている。政府のインフラ投資が経済成長の力強いけん引役となる可能性がある。また。企業業績の顕著な向上が、経 済にとって良いニュースになるという意見もある。マネジャーは景気後退を注視していないが、金利上昇が 将来の景気後退のきっかけになる可能性が最も高いとのコメントを寄せている。
経済は活気づいているようにみえるが、大半の回答者はインフレ率が上昇する、あるいはドル高になるとは 懸念していない。しかし、米連邦準備制度理事会(FRB)が、今年
3
回の利上げ目標の約束を破るとも予想 していない。その結果、10
年債利回りが上昇するとみられている。イエレン議長については、一部でハト派 過ぎるとみられている。政治に関しては、米国政府と市場は同じ方向を見ているようだが、議会に対する評価は低い。
■ 株式市場見通し
株式市場はドナルド・トランプ氏の大統領選挙勝利の昨年
11
月8
日以降、減税、規制緩和および国内のイ ンフラ投資による好景気という投資家の期待を背景に12%超上昇している。
マネジャーは相場上昇の恩恵を受けているが、今後についてはあまり楽観的ではない。強気と回答したマネ ジャーはわずか半分で、強気派は今後
14
カ月で株価が約8%上昇すると予想している。しかし、財政政策が
道を誤り、トランプ大統領が企業寄りの政策を実施できなければ、新たな高値への途上で暴落する可能性が あるとも警告している。強気・弱気にかかわらず、マネジャーは政策が重要になると予想している。トランプ政権は先週、米国史上 最大の減税を提案した。内容は、法人税率の最高
39.6%から一律 15%への引き下げと、米国企業が海外に
保有している推定2
兆ドルの現金に対する税率の引き下げである。政府の勝利が部分的であっても、減税は 企業利益を押し上げ、株価の主なけん引役となる。同様に、約半分のマネジャーが、政治の混乱または政治のミスが、強気派が直面している最大の脅威とみて いる。
株式の強気相場は
9
年目で、過去2
番目の長さとなっているが、マネジャーは資産クラスの中で株式のパフ ォーマンスが最高になるとみている。債券市場の強気相場は
35
年目で、米国債利回りは過去 最低をわずかに上回る水準で推移している。多くのマネ ジャーが、債券投資を最も好ましくない選択肢とみなし ていることは驚くべきことではない。米国株式は他国の主要株式市場を近年アウトパフォーム しているが、外国株式も新たな関心を集めている。マネ ジャーは、欧州と新興国の株式市場の見通しに関して特 に強気で、米国と日本の配分を減らして、比較的割高で ないそれら市場への配分を増やしている。
ほぼ全てのマネジャーが、今年の企業利益が増加すると 予想している。増益の一因は、企業の自社株買いである。
市場の株価収益率(PER)は過去と比較して高い水準にあるが、それを支えているのは増益だけでなく、超 低金利であるとの声もある。
投資家は、アクティブ運用ファンドから資金を引き上げる一方で、低コストの上場投資信託(ETF)に投資 してきており、多くのマネジャーはその傾向が続くと予想している。とはいえ、本誌の調査によると、アク ティブ運用ファンドを除外すべきではない。
金の価格は往々にして投資センチメントの指標で、価格低下は懸念後退を示唆している。原油価格は経済の 力強さの指標である。
■ 個別銘柄・セクター
IT
と金融が選好されている。ヘルスケアも、一部のマネジャーにとって有望に見えているようだ。個別銘柄では、バークシャー・ハサウェイ(BRK.A)とアルファベット(GOOG)が例年通りに好まれてい る一方で、約
3
分の1
の回答者が電気自動車メーカーのテスラ(TSLA)が最も割高とみている。同社の予 想PER
は290
倍となっている。Berkshire Hathaway Inc. Cl A
(BRK.A) Alphabet Inc. Cl C (GOOG) Tesla Inc. (TSLA)
チャートは3年
By JACK WILLOUGHBY (Source: Dow Jones)
5. The Trader 好決算と見通しの引き上げから続伸 【米国株式市場】
ナスダック総合指数はハイテク株の決算発表を受けて 6000 の大台に乗せる
■ 企業業績とフランス大統領選挙の結果が原動力
先週、株式市場で注目を集めたのは税制改革だったが、最近数カ月間で最も上昇した週となった先週の原動 力は、企業業績と選挙結果の両方が複合してもたらされたものだった。
主要株価指数は大きく上昇し、ダウ工業株
30
種平均(NYダウ)は1.9%高の 2
万940
ドル51
セントで引 けた。上昇率は2016
年12
月以来の高いものだった。S&P500
指数は1.5%の上昇となって 2384.20
で引け、今年
1
月以来の上昇率だった。ナスダック総合指数は2.3%高となり、 6047.61
と初めて6000
を超えて週末 を迎えた。小型株のラッセル2000
指数は1.5%高の 1400.43
で引けた。先週は大幅な上昇で始まった。月曜日に
NY
ダウが216
ドル上昇したのは、フランスの大統領選挙の結果が 比較的市場の期待に沿うものとなったからだ。反欧州連合(EU)の政策を掲げる二人の候補のうち、一人 しか決選投票に進めなかったことを市場は好感した。マーケットフィールド・アセット・マネジメントの最 高経営責任者(CEO)であるマイケル・ショール氏は、市場が警戒していた選挙結果にならなかったことで、もう少し早く見られたはずの上昇がようやく見られたと語り、「フランスの大統領選挙がなければ、もう少し
早く市場は現在の水準に達していただろう」と続けた。
好材料はこれだけではなく、企業業績も市場で 好感された。マクドナルド(MCD)や産業機械 大手のインガソール・ランド(IR)などから市 場の予想を上回る業績が発表されただけでなく、
各企業が発表した見通しも良かった。バンクオ ブアメリカ・メリルリンチのストラテジストで あるダン・スズキ氏は、市場の予想を上回るガ イダンスを発表した企業の数が、予想を下回る 企業の数を
2
カ月連続で上回ったと指摘する。通常は下回る企業数の多い方が普通である。第
1
四半期の決算発表が始まってからこうした楽 観的な見通しが出されているため、アナリスト は通年の業績見通しを引き上げているが、この 時期としてこうした状況になるのは2012
年以 来のことだ。スズキ氏は「今回は信じられない ほど良い決算発表シーズンだ」と述べる。■ 懸念材料
それでも、悪材料が先週なかったわけではない。
トランプ大統領の税制改革は詳細まで詰められ ておらず、市場を上昇させる要因とはならなか った。また、第
1
四半期の国内総生産(GDP)成長率は市場予想の
1.0%を下回る 0.7%にと
どまった。ストラテガス・リサーチ・パートナ ーズのダニエル・クリフトン氏は、今回の低い 成長率が「共和党に対する米国経済からの警告」になったと顧客向けレポートの中で指摘してい る。つまり、米国経済が
2%以上で成長して共
和党が中間選挙でも議会過半数を握りたければ、健康保険改革法案を断念することになった内紛 を終わりにして、税制改革法案を通過させなけ ればならないという警告になったという。「内 紛が続いて成長率が低いままだと、中間選挙で 投票率が低下して共和党が過半数を失うことに なる」と同氏はみている。
共和党が政策を推し進めつつ、「国境税」の実施が留保されれば、
企業業績の向上につながるだろう。そうなれば、最終的にはこれ までの長い上昇相場とは異なる株価の支援材料になりそうだ。ウ ェドブッシュ・セキュリティーズの株式責任者を務めるイアン・
ウィーナー氏は「株価の支援材料となるストーリーのほぼ全てが 実現するとの自信がなければ、投資家がこの高値で株を買おうと しないだろう」と言う。
支援材料がほぼ全て実現するというのは、最低限の条件かもしれ ない。
■ ナスダック総合指数からバブルのざわめきが聞こえるか?
ナスダック総合指数が先週
6000
を超え、「バブル」との見方が戻ってきた。これは、ナスダック総合指数が 大台に乗せるたびに、かつての「ハイテクバブル」を思い出させる声が聞こえてくるという意味だ。もう存 在しない「ドットコム企業」の多くが、売上高や利益などの伝統的な指標ではなくホームページの閲覧数な どで当時は評価され、とんでもなく高い株価が付けられていた。この時代を思い出させる声が、3 年以上前 に指数が4000
台に乗せた時、2015年3
月に5000
台に乗せた時にも聞かれた。そして今回は、ハイテク株 指数が年初から12%上昇して S&P500
指数の6.5%を大きく上回っているため、一段と大きく聞こえるよう
だ。しかし冷静に考えると、現状のナスダック総合指数はハイテクバブルの時とは異なり、結論を先に言うと、
7000
の大台を目指す途中だと言えそうだ。もちろん、全ての指標が上昇を示唆しているわけではなく、例え ばナスダック総合指数をS&P500
指数で割った値は現在2.53
倍で、ハイテクバブルの崩壊途中だった2000
年9
月以来の高水準であり、懸念材料となり得る。しかし、ナスダック指数と
S&P500
指数の構成銘柄の業種ウエートを勘案すると、最近のパフォーマンスの 違いが説明できる。つまり、過去12
カ月間で32%以上上昇したハイテク株の比率がナスダック指数の場合
は半分近くで、12%しか上昇しなかった素材株や下落したエネルギー株の比率は非常に小さい。一方、S&P500
指数ではそれぞれのウエートはバランスが取れており、ナスダック指数に比べて出遅れの原因となっている。
もちろん、ハイテク株のファンダメンタルズが株価と不釣り合いであれば問題かもしれないが、少し見ただ けで問題がないことが分かる。サーラス・リサーチでクオンツリサーチの責任者を務めるパンカジ・パテル 氏は、大型ハイテク株を見れば、売上高が平均的な大型株よりも伸びが大きく、利払い・税引き・償却前利 益(EBITDA)での利益率は平均的な大型株を
10%ポイント以上上回っていると指摘する。実際、先週発表
されたアルファベット(GOOGL)、マイクロソフト(MSFT)、アマゾン・ドット・コム(AMZN)の業績 を見ると納得させられる。また、これまでの上昇にもかかわらず、バリュエーション面で大きく懸念する必要はなさそうだ。例えば、
大型ハイテク株の株価純資産倍率(PBR)を大型株全般と比較しても、過去の平均と同程度で割高感は見ら れず、売上高に対する企業価値(時価総額と純負債の合計)の比率での割高感は驚くほど強いわけではない。
パテル氏は「ハイテク株にはやや割高感はあるものの、かつてのバブルのような状況には達していない」と 述べる。
また、仮にバブル時の高値をその後のインフレ率で割り引いて考えると、現時点では
7196.56
に相当すると いう。この水準に達するのが不可能だと示す要素はほとんどない。マーケットフィールドのショール氏は、ナスダック指数の背後にはモメンタムがあり、
投資家がアップル(AAPL)やフェイスブッ ク(FB)やネットフリックス(NFLX)を見 限るには、業績が市場予想を下回ることや、
その他に何らかの要素が必要だと指摘する。
例えば、金融政策の変更や現在の非常に高い 利益率を低下させるようなコストの上昇、そ して各企業が同じ市場内で争うような状況に なることが挙げられる。こうしたことは、長 期的には懸念すべき事項かもしれないが、短 期的な問題ではない。ショール氏は「来週問 題になることはないという一言で片付けられ てしまう問題だ」とみている。
■ 主要指標
Friday's
Close Week's
Change Week's %
Chg. Last
Week Week
Earlier
DJ Industrials 20940.51 + 392.75 + 1.91 NYSE Advances 1,901 2,055
DJ Transportation 9097.63 – 36.18 – 0.40 Declines 1,175 1,009
DJ Utilities 704.35 – 1.66 – 0.24 Unchanged 61 68
DJ 65 Stocks 7217.27 + 65.41 + 0.91 New Highs 544 295
DJ US Market 596.53 + 8.52 + 1.45 New Lows 71 61
NYSE Comp. 11536.07 + 146.94 + 1.29 Av Daily Vol (mil) 3,879.6 3,323.7 NYSE MKT Comp. 2529.36 + 15.71 + 0.63 Dollar (Finex spot index) 99.04 99.98 S & P 500 2384.20 + 35.51 + 1.51 T-Bond (CBT nearby futures) 152-310 154-050 S & P MidCap 1732.76 + 15.10 + 0.88 Crude Oil (NYM light sweet crude) 49.33 49.62 S & P SmallCap 851.36 + 12.00 + 1.43 Inflation KR-CRB (Futures Price
Index) 181.73 181.87
Nasdaq 6047.61 + 137.08 + 2.32 Gold (CMX nearby futures) 1266.10 1287.40 Value Line (arith.) 5513.68 + 77.04 + 1.42
Russell 2000 1400.43 + 20.57 + 1.49 DJ US TSM Float 24737.28 + 356.86 + 1.46
McDonald's Corp. (MCD) Ingersoll-Rand PLC (IR) Alphabet Inc. Cl C (GOOG)
Microsoft Corp. (MSFT) Amazon.com Inc. (AMZN) Apple Inc. (AAPL)
Facebook Inc. Cl A (FB) Netflix Inc. (NFLX)
チャートは3年
By BEN LEVISOHN
(Source: Dow Jones)
6. The Virtues of Investment-Grade Corporates 投資適格社債の効能 【米国債券市場】
見通しの悪い時期を乗り切るために
■ 投資適格社債への投資はどんなシナリオ下でも有効 投資適格社債について考えてみよう。世界経済に対する重要 度は米国債ほど高くなく、かといって、ジャンク債ほどエキ サイティングでもないため、見過ごされがちである。しかし、
投資家は恐らく見過ごすべきではない。
減税による景気刺激効果を期待する投資家と悲観的な見方を 強める投資家の間で見方が半分に割れているような確信の持 てない時期に、リスク分布の中間に位置する投資適格社債は 完璧な妥協策になり得る。米国債やジャンク債とは異なり、
投資適格社債は大抵のシナリオの下で、まずまずのパフォーマンスを上げることができる。
先進国経済が低成長、低インフレ、低金利というニューノーマルの状態から抜け出せないままであれば、投 資家は、なるべく利回りが高い債券を手に入れようとするので、最も恩恵を受けるのはジャンク債だろう。
しかし、そのすぐ後に続くのは、国債よりも利回りの高い投資適格社債だ。
その一方で、米国がどうにか難局を切り抜けた場合、投資適格債は最も高いパフォーマンスを示す可能性が ある。このシナリオでは、大規模な税制改革法案が議会を通過し、経済に対する楽観的な見方が強まり、米 国債利回りは上昇する。ジャンク債にもメリットはあるだろうが、投資適格債には及ばない。なぜなら、多 くのジャンク債発行企業は税金を払うほど稼いでおらず、一方で、議会が法人税率の引き下げによる税収減 を補うために金利費用の損金算入を廃止した場合、影響を受ける企業も出てくるためである。
最後に、もしも、何かのきっかけで景気後退懸念が生じてしまった場合は、米国債の価格が上昇し、利回り は低下する。ジャンク債の利回りは上昇するだろう。しかし、投資適格債は発行体のバランスシートの相対 的な強さが反映されるため、それほど大きく価格が動くとは限らない。
■ ジャンク債有利の現状
今の状況では、投資家がジャンク債を手放すのは難しい。ブルームバーグ・バークレイズ指数のデータをみ ると、この
1
年間のジャンク債のリターンは13.9%で、それに対して投資適格債は 3.5%、米国債はマイナ
ス
0.2%だ。年初来では、それぞれ 3.75%、2.18%、1.32%となっている。
明らかに、現在はジャンク債が有利な状況であり、まだこれが続く可能性が高い。幾つかの憂慮すべき地政 学的ニュースにもかかわらず、世界経済はまずまずの状態に見える。ハイイールド企業のデフォルト率は低 下傾向を示している。なおかつ、世界中が低金利状態で、世界で最も重要な中央銀行
3
行のうちの2
行が、依然として積極的な債券買い入れプログラムを継続する中、投資家は、金融政策から財政政策への移行を長 らく待ち続けている。
ピープルズ・ユナイテッド・ウェルス・マネジメントの債券ストラテジスト、カリッサ・マクドノー氏は、
「今はまだ、米連邦準備制度理事会(FRB)の援助を受けた環境にある」と述べ、このような支援がある限 りは、ボラティリティの高い資産クラスが下支えされる、との見方を示す。
■ 戦略の転換も
それでも、一部のファンドマネジャーは、投資戦略の転換を始めている。コロンビア・スレッドニードル・
インベストメンツのストラテジック・インカム・ファンドでは、
2008
年後半以降で初めて、投資適格社債の 保有額がジャンク債を上回った。同ファンドの運用担当者の一人であるジーン・タヌッツォ氏によると、リスクの高い債券は、価格に見合わないとの懸念を反映したものだという。
ブルームバーグ・バークレイズ指数の直近のデータによると、ジャンク債と投資適格社債の平均利回り格差
は
2.4%ポイントで、10
年間の平均の4.2%ポイントを大きく下回っている。経済に関する悪いニュースが
出れば、この差は拡大する可能性がある。今より状況が良くなってもハイイールド債にはリスクがあると懸 念する向きもあり、タヌッツォ氏もその一人だ。
同氏は、「税制改革に伴うリスクはもろ刃の剣だ」と述べ、「金利費用の損金算入が廃止された場合、最終的 には企業の債務削減の動きにつながるが、今の状況からそこに至るまでのプロセスは極めて破壊的だ」と指 摘する。
By SAM GOLDFARB
(Source: Dow Jones)
7. Up and Down Wall Street 今年の米株式市場の主役は FAANG 銘柄 【コラム】
アクティブ運用マネジャーがハイテク勝ち組に集中投資、バブルの形成を招く恐れも
■
5
銘柄の不釣り合いな寄与度宝くじの昔の宣伝文句に「買わなければ当たらない」
というのがあった。今年の米株式市場で勝者になる ためには、
FAANG
銘柄――フェイスブック(FB)、 アマゾン・ドット・コム(AMZN)、動画配信大手 ネットフリックス(NFLX)、グーグルの親会社であ るアルファベット(GOOG、GOOGL)の 4
銘柄に、ハイテ ク業界の堂々たる リーダー、アップル
(AAPL)を加えた
5
銘柄――に投資しておく必要 があった。先週、ナスダック総合指数が終値ベース で初めて6000
を突破したが、この5
銘柄がS&P500
指数の今年の上昇分に占める割合は不釣り合いなほ ど大きい。好調な第
1
四半期決算を受けてアマゾン株とアルファベット株は先週の終わりに急騰したが、それ以前でさ え、2017年の株式市場の上昇に対するFAANG
銘柄の寄与度の高さは、金融調査会社ビアンコ・リサーチ がはじき出した数字を見れば分かる。S&P500指数の時価総額には年初から4
月24
日までに1
兆1900
億 ドルが上乗せされた。そのうちのFAANG
銘柄の増加分は3920
億ドルで、アップルの増加分だけでも1400
億ドルになるという。S&P500
指数の年初来トータルリターンは6.72%だが、FAANG
銘柄はそのうちの3
分の1
近い2.2%分に
寄与したことになる。時価総額で最大のアップルは単独でS&P500
指数のリターンの10
分の1
以上を占め てきた。S&P500指数のセクターの中でも明確な勝ち組となっているのはハイテク――4月 25日の午前の取引を終え
た時点までで
S&P500
指数全体の上昇率の2
倍以上となる14.1%の上昇――であり、S&P500
指数に連動 している上場投資信託(ETF)のSPDR S&P500(SPY)といったインデックスファンドに投資するだけで
もハイテク株の恩恵は十分に受けられる。そうした大型ハイテク銘柄のリターンはインデックスファンドやETF
のリターンにも反映されるので、そうした低コストのパッシブ運用ファンドに人々が殺到するのも当然 と言える。■ ファンドによる保有高が多い銘柄と少ない銘柄
バンクオブアメリカ・メリルリンチの株式ストラテジストやクオンツストラテジストによると、インデック スファンドと競い合いながら自らの運用手数料を正当化するために奮闘しているアクティブ運用マネジャー は、そうした勝ち組に集中投資を行っているという。
同社の
2008
年以降の記録によると、アクティブ運用マネジャーは集中投資によってこれまで以上にベンチ マークから逸脱した投資を行うことで「隠れインデックス投資家」になるのを避けてきた。メリルリンチが追跡調査しているファンドの
24%がハイテクセクターをオーバーウエートしており、これは
過去最高の数値である。年初から4
月25
日までのリターンが10%と S&P500
指数のセクターで2
番目に好 調だった一般消費財セクターをオーバーウエートしているファンドは32%で、ピーク時の 34%にはわずか
に届かなった。最も多く保有されているS&P500
指数構成銘柄はアルファベットのクラスA
株とクラスC
株、アマゾン、クレジットカード大手のビザ(V)とマスターカード(MA)、医療保険・管理医療サービス 大手ユナイテッドヘルス・グループ(UNH)、バイオ医薬品大手バイオジェン(BIIB)、ケーブルテレビ(CATV)大手のコムキャスト(CMCSA)などだという。
その一方でメリルリンチは、最も人気のない銘柄を保有し、人気銘柄をアンダーウエートすることによって 最大のリターンが生み出されるという事実も発見した。ちなみに保有高が最も少ない
S&P500
指数構成銘柄 は公益持ち株会社のアライアント・エナジー(LNT)、半導体大手アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)、 検出・診断システム会社アイデックス・ラボラトリーズ(IDXX)、蒸留酒製造大手ブラウン・フォーマン(BF.B)、 税務申告代理サービス会社H&R
ブロック(HRB)、本誌の出版元で新聞・出版大手のニューズ・コーポレ ーション(NWSA)、エネルギー・通信関連の持ち株会社スキャナ(SCG)などである。とはいえ、今のところは、インデックスファンドに単純に投資していれば、急上昇している銘柄やセクター へのエクスポージャーを自動的に得ることができる。そしてアクティブ運用マネジャーは大手ハイテクの勝 ち組に殺到している。ほぼ循環論法(証明すべき結論を前提に用いる論法)になってしまうが、関連するイ ンデックスにペースを合わせようとすると、運用マネジャーは超人気銘柄を組み入れなければならず、それ によって超人気銘柄の価値はさらに上昇する。ナスダック総合指数が初めて
5000
に達した前回のハイテク バブルが崩壊した背景にはそうした流れがあった。今回のハイテクブームを支えているのは単なる観測ではなく、実際の利益なので、確かに前回とは状況が異 なる。しかも、当時に上場されていたのは
FAANG
のAA――アップルとアマゾン――だけだった。それで
も、ハイテク銘柄の比重が大きいインデックスファンドへの殺到とそれにならおうとするアクティブ運用マ ネジャーの間には当時と同じような熱狂の気配がある。Facebook Inc. Cl A (FB) Amazon.com Inc. (AMZN) Netflix Inc. (NFLX)
Alphabet Inc. Cl C (GOOG) Apple Inc. (AAPL) SPDR S&P 500 ETF Trust (SPY)
VISA Inc. Cl A (V) Mastercard Inc. (MA) UnitedHealth Group Inc. (UNH)
Biogen Inc. (BIIB) 4Cable TV International Inc. (CATV) Comcast Corp. Cl A (CMCSA)
Alliant Energy Corp. (LNT) Advanced Micro Devices Inc. (AMD) IDEXX Laboratories Inc. (IDXX)
Brown-Forman Corp. Cl B (BF.B) H&R Block Inc. (HRB) News Corp Cl A (NWSA)
Scana Corp. (SCG)
チャートは3年
By RANDALL W. FORSYTH (Source: Dow Jones)
8. Mobile First 劇的に進化するオンライン証券取引 【デジタル投資】
モバイル・アプリの活用によるサービスの充実が決め手
■ モバイル対応がオンライン証券の可能性を広げる
オンライン証券大手の
TD
アメリトレード(AMTD)によると、モバイル端末経由の取引の割合は2012
年第
1
四半期に6.4%だったのが、 2017
年第1
四半期には過去最高となる21.5%に達した。そして興味深いこ
とに、写真・動画共有アプリのスナップチャットを運営するスナップ(SNAP)が新規株式公開(IPO)し た今年
3
月2
日は、この割合が24.4%に達した。
TD
アメリトレードは、スマートフォンやタブレット端末から口座を開設できるさまざまなモバイル・アプ リを提供している。モバイル・ユーザーによる口座開設数は1
日に平均2735
件だが、スナップが上場した 日はその数が倍増したという。同社の取引部門ディレクターのビクター・ジョーンズ氏は、「ブレグジットをめぐる国民投票や米国大統領選 挙の直後、あるいは比較的若い世代の投資家が関心を持つ商品を提供する企業の
IPO
など、破壊的影響を持 つイベントの際はモバイル端末による取引が急増する」と説明する。もう一つ興味深いのは、資産クラスの 構成が「株式だけでなく、先物にも大きく傾いている」ことだという。先物は1
日24
時間、週6
日の取引 が可能なため、先物のトレーダーは市況を常時確認している。今後に関しては、同社の取引のモバイル比率は上昇し続ける一方で、特定の地域と年齢層で特に上昇すると ジョーンズ氏は考えている。そして「世代が変化する結果、投資家のし好はモバイル・ファーストにシフト する」とみる。同氏の任務の一つは、顧客との全てのやり取りがプラットフォームに依存せずに同じように 行われ、さらにデスクトップ
PC
とモバイルにおいてデータを等しく提供することだ。■ 若年層トレーダーにとってモバイル・アプリとデジタル・コミュニケーションは必須
金融サービス・コンサルティング会社のコーポレート・インサイトが昨年秋に発表した金融サービスとデジ タル世代に関するレポートは、「金融サービス企業への重要な提案の一つは、口座情報の管理と取引の実行が でき、しかもモバイル端末が持つ能力を活用した先進的モバイル・サービスの開発だ。換言すると、モバイ ル・ウェブサイトを訪問してもらうのではなく、アプリを開発することが重要だ」と指摘している。
このレポートはミレニアル世代(1980年代半ばから
2000
年代初めに生まれた世代)について、「自分たち の世代を決定づける特徴として、テクノロジーの使用を挙げる傾向が他の世代よりも強い。また、オンライ ン投資やモバイル・バンキングなどのサービスへの期待が高い一方で、チャンネル間の使い勝手の一貫性の 欠如への許容度は低い。金融サービス企業は、こうしたモバイル・ファースト世代をターゲットに競争した いのであれば、卓越したモバイル体験を提供することが必要だ」と指摘している。また、サービスの担当者がツイッターで反応し、モバイル・アプリでライブ・チャットに参加できるように するといったデジタル・コミュニケーションも重要だ。フォーラムで他のトレーダーと交流し、投資アイデ アを練るために他の投資家の発言をフォローできるようにすることへの要望は、ジェネレーション
X
(1960 年代初めから1970
年代に生まれた世代)やベビーブーマーよりもミレニアル世代の方がはるかに強い。■ 著名投資家の戦略を模倣したロボアドバイザーが登場
投資助言会社のバリデアは、ピーター・リンチ氏やウォーレン・バフェット氏、ベンジャミン・グラハム氏 といった偉大な投資プロフェッショナルの投資行動をモデル化し、ロボアドバイザー事業に参入した。平均 的な個人投資家にとって投資をより簡単で分かりやすいものにし、成功している投資家の戦略を使用して長 期的に市場をアウトパフォームする仕組みをつくる狙いだ。
同社が運営するロボアドバイザー・サービスのバリデア・レジェンド・アドバイザーには、顧客のリスク・
リターン特性に対する姿勢に応じて
10
種類のモデルが用意されている。他のロボアドバイザーと同様、顧 客が口座開設の際に質問に答え終わると、リスク特性が計算される。同アドバイザー・サービスは、オンライン証券会社 のフォリオの証券取引サービスとして提供されてい る。顧客が口座を開設して質問に答えると、「保守 的」から「非常に積極的」までの
5
種類の資産配分 の一つが適用される。ポートフォリオにはバークシ ャー・ハサウェイのクラスA
株式(BRK.A)が10
~25%の範囲で含まれるため、どのモデルを選んで も誰もがバフェット氏と投資先を部分的に共有でき ることになる。
長期リターンを改善するため、モデルは相関の低い 資産クラスを使用するように設計されている。市場 ローテーション・モデルでは、テクニカル指標が下 降傾向を示唆している時には比較的リスクの高い資 産への投資を減らす。モデルの投資先には、株式と 債券に加え、上場株式を通じたプライベート・エク イティ投資、現物資産(コモディティーと木材)、金、
不動産が含まれる。口座開設時の最低投資額は
2
万5000
ドルで、管理手数料や取引手数料、上場投資信 託(ETF)の信託報酬を含む手数料の合計は口座残 高の0.52~0.80
%である。TD Ameritrade Holding Corp. (AMTD) Snap Inc. (SNAP) Berkshire Hathaway Inc. Cl A (BRK.A)
チャートは
3
年、SNAPは1
年By THERESA W. CAREY (Source: Dow Jones)
9. Technology Stocks as Payout Plays 配当銘柄としてのハイテク株 【配当銘柄】
ハイテク企業は成熟し成長は減速しても、増配する企業は多い
■ 大手ハイテク企業の配当に注目
大手ハイテク企業の中には成熟期を迎えた企業も ある。その結果、以前のように高成長ではないが、
多額のキャッシュを配当として株主に還元する企 業もある。実際、多くの大手ハイテク企業は配当 を増やしている。
しかしながら、「多くの人はハイテク企業を今で もインカムやトータルリターンと結び付けて考え ない」と、運用資産
1
億3400
万ドルのヘンダー ソン・ディビデンド・アンド・インカム・ビルダ ー・ファンド(HDAVX)のリードマネジャーで あるベン・ロフトハウス氏は語る。ハイテク銘柄は伝統的な利回り銘柄ではないが、マイクロソフト(MSFT)の直近の利回りは
2.3%、シスコシステムズ
(CSCO)は
3.4%だ。
S&P500
指数構成銘柄のハイテク銘柄の直近の配当利回りは1.42
%と、指数平均の2%を下回り、 11
セクターの中で最も低い。しかし、2009年と
2010
年の1%を下回る水準よりは高い。
ロフトハウス氏は運用するヘンダーソン・ファンドで配当ハイテク銘柄というテーマを実践している。保有 銘柄には、マイクロソフト、シスコシステムズ、台湾積体電路製造(TSMC、ティッカーは
TSM)などが
ある。ハイテク企業はグループとしての利回りは低いが、配当総額は大きく増加している。ヘンダーソン・グロー バル・インベスターズによると、昨年、ハイテクセクターで配当支払額の多い
10
銘柄の配当合計額は約550
億ドルとなり、2009年の約200
億ドルから増加した。けん引役はアップル(AAPL)で昨年の配当支払額は
122
億ドル。続くマイクロソフトは115
億ドル、IBM(IBM)は
53
億ドルだ。2009年のトップはマイクロソフトで配当支払額は2016
年の半分未満の46
億ド ルだった。これらの大手ハイテク企業が成熟に伴って巨額のキャッシュを蓄積する理由の一つには、公益企業などと異
なり、多くの投下資本を必要としな くなることがある。「もし、これらの 銘柄の株価が将来上がると考えるな ら、配当を受け取りながら待てばい い。配当がなければ、辛抱強く待つ のは難しい」とロフトハウス氏は述 べる。
■ 増配情報
会員制量販店のコストコ・ホールセ ール(COST)は
1
株当たり7
ドル、総額
31
億ドルの特別配当を行うと 発表した。同社は四半期配当を1
株 当たり45
セントから同50
セントに 引き上げることも発表した。先週末 の株価水準(177.52ドル)で配当利 回りは1.1%となる。
IBM
は四半期配当を7%増の 1
株当たり
1.50
ドルにすると発表(配当利回りは3.75
%)。地方銀行のコメリカ(CMA)の四半期配当は13%増
の26
セント(同1.45%)
。資産運用会社インベスコ(IVZ)の四半期配当は28
セントから3.5%増の 29
セント(同
3.45%)
、トラック製造大手のパッカー(PCAR)の四半期配当は24
セントから4%増の 25
セント(同
1.5%)となった。
Henderson Dividend & Income Builder Fund;A (HDAVX)
Microsoft Corp. (MSFT) Cisco Systems Inc. (CSCO)
Taiwan Semiconductor Manufacturing Co. Ltd. ADR (TSM)
Apple Inc. (AAPL) International Business Machines Corp. (IBM)
Costco Wholesale Corp. (COST) Comerica Inc. (CMA) INVESCO Ltd. (IVZ)
Paccar Inc. (PCAR)
チャートは3年
By LAWRENCE C. STRAUSS (Source: Dow Jones)
10. Preview 今週の予定 【経済関連スケジュール】
大統領就任後最初の 100 日間の株価上昇は幸先が良い
■ 過去の事例に基づくと年内の相場は上昇する 市場はトランプ大統領の就任後
100日間の働きぶりを認
め、同期間のS&P500
指数は5.3%上昇した。問題は、
大統領が株価をさらに押し上げられるかである。過去の 大統領の例を参考にすれば、トランプ大統領の勝算は十 二分にある。
独立系調査会社
CFRA
のデータによると、就任後100
日間で株価が上昇した大統領は、フーバー大統領以来で
7
人いる(トランプ大統領を除く)。うち5
人の場 合は、その後も年末にかけて株価が上昇した。オバマ前大統領もその一人である。同氏の
1
期目の任期は、金融危機後の市場の低迷が予想される中で始ま った。就任後100
日間でS&P500
指数は2.8%上昇した後、2009
年末までにさらに27.6%上昇した。ケネ
ディ大統領の時は就任後100
日間で株価が9%上昇し、1961
年末までにさらに9.8%上昇した。ケネディ政
権下の華やかで幸福な時代は、「キャメロット」という名で呼ばれることとなった。本誌読者の中にも、その 時代を実際に体験したり、本で読んだりしたことのある方もいるだろう。では、就任後
100
日間の節目が注目されるきっかけを作ったフランクリン・ルーズベルト大統領はどうだろ うか。同氏の就任後100
日間で、株価は何と86.5%も上昇した。これは、米国の景気回復と経済発展のため
に、大統領が次々と法案を成立させたことを受けたものだ。しかし、その後の株価は年末にかけて7.3%下
落した。世界恐慌の現実を前にして、楽観論が後退したのである。トランプ大統領は、運が良ければ、任期中に世界恐慌ほどの大問題に直面せずに済むかもしれない。
By JOHN KIMELMAN
■ 今週の予定
5
月1
日(月)・
3
月個人所得・個人消費支出と4
月サプライ管理協会(ISM)製造業景況指数が発表される。・ メーデー。ブラジル、ドイツ、フランス、香港など多くの国や地域で市場が休場。
・ 半導体大手アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)、建築内装材大手アームストロング・ワールド・
インダストリーズ(AWI)、保険大手
CNA
ファイナンシャル(CNA)、複合企業ロウズ(L)が四半期決 算コンファレンスコールを開催。5
月2
日(火)・ たばこ大手アルトリア・グループ(MO)、ホテル運営大手ヒルトン・ワールドワイド・ホールディング