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―ESD は地方創生に貢献しうるのか

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Academic year: 2021

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特別寄稿

ESD 研究連携への期待

―ESD は地方創生に貢献しうるのか

前田 剛

地方創生は人の集中と減少によって生じる諸問題に対する政策群で、都市部への一極集 中の緩和と地方の人口減少対策の均衡的解決に向けた施策が主を成している。大きく、地 方での「暮らしづくり」(移住定住支援)と「生業づくり」(起業・創業支援)、そして、地 方の暮らしや仕事に都市部住民が魅力を感じられるような「イメージづくり」(情報発信)

の三つに分けられよう。

ここで感じられるのが「人づくり」という視点である。地方創生には地域の成長や維持 を図るための政治的意図がありながら、日本全体では人口減少時代に転じているため、地 域間には共存共栄ではなく競争が生じる。この地域間競争を生き抜くには、もちろんのこ と優れた人材が地域には必要となる。地域資源がどれだけ優れていても立地条件が恵まれ ていようとも、それらを守り活かすのは人次第である。特に、グローバルな知識基盤社会 においては、他地域と相対比較しながら地域の資源価値を認識し、さらなる高付加価値・

多付加価値を創造していかなければ、競争に打ち勝つことはできない。

総務省地域おこし協力隊制度のように、そうしたクリエイティブ人材を都市部から即戦 力として呼び込むことだけでなく、隊員たちの協力も得ながら、地域でクリエイティブ人 材を育てていくことが、地域に持続可能な安定をもたらすと感じている。また、地域の実 情や予測される厳しい人口急減の未来を直視するならば、ダウンサイジングせざるをえな い地域社会の生活諸機能に対する順応は不可避であり、そのような状況においても、人が いかに安心して豊かに暮らすことができるのか、人の価値観や地域の規範の変革が求めら れることになる。

厳しい環境や条件下でも、人が地域に暮らし、地域づくりを担うには、強い郷土愛と志、

そして自ら道を切り拓けるスキルを養わねばならず、そのためには、学校教育、社会教育、

家庭教育の枠を超え、しかも、地域の定住人口だけでなく、域外の交流人口も含め、ロー カルもグローカルも学べるような総合的・包括的な教育の展開が必要となる。

その要請に対応できるのが

ESD

ではなかろうか。

ESD

に対する関係主体の理解は多様で、

多様であるからこそ、様々な議論やつながり、連携を生む可能性を有している。実際に、

対馬で

ESD

の推進が掲げられたことで、学校・地域・行政、小・中・高・大・生涯学習の つながりが生じようとしている。これまでの諸教育活動はバラバラに進められていたが、

ESD

の推進を通じ、小中高大・生涯学習の各教育ステージにおける目標や取り組み内容、

そして各ステージ間の連携が図られ、一貫性・発展性のあるものになると期待している。

ESD

について萌芽的な段階にある対馬において、地方創生(地域創生)を意識しながら

ESD

を推進することは、

ESD

による地方創生の可能性や課題を実証しやすい。また、地域

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の大人たちや子どもたちだけでなく、当市が重要施策の一つとして推進している域学連携 に見られるよう、都市―農村交流の中での相互の学び合いが見られることも、

ESD

の可能 性や課題にさらなる示唆を与えるものと感じている。

その実証の際、対馬で学んだ子どもたちや大学生、またそれを支える地域住民や関係者 が、その後の自己の成長や地域づくりにどうつなげていくのかを明らかにするには、大学 の専門性を踏まえた長期的なモニタリングや追跡調査が必要となる。

長期的な視点に立ち、対馬をはじめ、羅臼や西伊豆1など複数のフィールドとの合同研究 に立教大学が有する知見と専門性が加えられることで、

ESD

による地域創生という新たな 知の地平線が拓かれるのではなかろうか。

(まえだ・つよし 対馬市市民協働・交通対策課主任)

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2016

年度、立教大学

ESD

研究所は、文部科学省私立大学戦略的研究基盤形成支援事業「

ESD

による地域創生 の評価と

ESD

地域創生拠点の形成に関する研究」(研究代表者・阿部治 平成

27

31

年度)の一環として、

対馬市、北海道羅臼町、静岡県西伊豆町と

ESD

研究連携に関する覚書を締結。今後も同様の覚書を他自治体 と締結し、それらの自治体間で合同研究等を実施する予定。

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