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工学部情報システム工学科の情報環境・情報教育

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Academic year: 2021

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工学部情報システム工学科の情報環境・情報教育

工学部情報システム工学科 1  はじめに

1 9 9 8

4

月、工学部電気情報工学科が改組となり、電気電子工学科と情報システム工学科がスター トした。長崎大学にもようやく本格的な情報系学科が誕生したわけである。情報工学/情報科学は、

工学部の他学科のような特定の自然科学に特化したものではなく、計算機に関連するすべての事柄を 包含するある意味では広範な学問領域である。このため、本学科における情報教育は、今まで工学部 の各学科で実施してきたものとは異なったものとなり、守っかりづらい点があろうかと思われる。本稿 は、本学科における情報教育の目標、内容、環境を紹介するものである。

2  情報システム工学科の紹介

計算機はすべての学科で教育されているが、それらはほとんどが「各分野での計算機の利用法」の 教育であろう。しかし、情報システム工学科においては、そのような利用教育よりも、「計算機/ソフ トウェア/応用システムを創る

J

ことに主眼をおいた教育/研究がなされている。情報システム工学科 は、計算機工学、数理・応用ソフトウェア工学、情報応用システム学の三大講座から成り立っており、

ハードウェア/ソフトウェア/応用を三本柱としてそれぞれ以下のような分野の教育/研究を行なって いる。

講座 分野

計算機工学 計算機構成、ネットワー夕、基本ソフトウェア、データベー ス、人工知能

数理・応用ソフトウェア工学 情報数学、計算理論、パターン認識、情報検索、知識ベース 構築

情報応用システム学 画像処理/圧縮、 CG、ネットワーク応用

これらで、情報工学/情報科学の全分野を網羅できるわけではないが、学科の教育基本方針として、

「基本的なことを一通り教育し、どの分野に進んでも不足のない基礎知識をつけさせる」を目標とし ている。

3  情報システム工学科の教育内容 3 . 1  

カリキュラーム

工学部の他学科に比べ歴史の浅い学問分野である情報工学/情報科学では、粒の揃った人材育成策 として、情報処理学会、

IEEE

ACM

、文部省などで検討された「コアカリキュラム

J

という標準的 なカリキュラムを定めている。しかし、あくまでも「コア」であり、各大学の情報系学科では、それ ぞれの特色が出せるようなカリキュラムを構築/実施している。本学科でも、前述したように基本的な 事項の習得と学生への啓蒙が実現できるようなカリキュラムの構築を念頭において、学科開始の一年 以上前からカリキュラムの検討を行なってきた。以下に一年時のカリキユラムの構成を示す。一年時

‑29‑

(2)

においては応用への展開がなく、応用の基礎ともなる数学教育を重視した構成になっている他は、上 記のハードウエア/ソフトウェア/応用という三本柱に沿った構成となるよう配慮した。各科目担当教 官の間で、講義内容、学生の理解度、進捗状況などについてのデイスカッションを行ない、各科目の 有機的な連係を図っている。図中の矢印はそれらの中でもとくに結び付きの強いものを示している。

今後、年次進行に伴い、多くの専門科目が開講されても、このような有機的な連係を保って講義を進 めていく予定である。

l年次前期 l年次後期

F電気回路 !電子園路工 ハードウエア)

I  ‑ 1   \\J~-.

:  I

計 算 機 概 論 ¥ !計算機ハードウヱア基礎

-~~-・↑---}--…-う寸

ソフトウェア、

応用

情報工学概論ギー‑→二プログラミング概論

↑  

{全学教育)

形代数学B 複素解析

(全学教育) ¥ ¥   : 

微分積分学B I.  工工ム←→微分積分学B工工工 { 全 学 教 育 全 学 教 育 )

1 :情報システム工学科一年次のカリキュラム構成

また、全学教育科目が、専門科目への入門として機能するように全学教育の B科目群と専門科目 との関連付けを行なった。

3 . 2  

インフォーマルな教育

一年時で実施している全学教育、専門科目は基礎学問であり、学生にとってはなかなか興味がわか ない可能性がある。もちろん、我々教官サイドは、これら基礎学問の重要性、今度の展開を逐次学生 に説明しているが、「それ以上の何かりをしてみたいという知的好奇心の強い学生がし、ることも事実 である。我々は、このような学生の希望になるべく沿うように、以下のような講義以外のインフォー マルな教育を実施してきた。

3 . 2 . 1  

工学部紹介

1 9 9 8

7

月に、高校生のための工学部紹介が開催された。工学部紹介は、以前から実施されてお り、情報システム工学科の学生の中にも、以前の工学部紹介での関連講座が行なったデモを見て、本 学科への進学を決めた学生もいる。この工学部紹介の参加者を募ったところ、

1 0

人の一年生が自発 的に希望し、教官、大学院生、四年生との共同作業で、自前の設備と情報処理センタの設備をお借り

して、企画、運営を行なった。研究室紹介以外の実施内容は以下の通りである。

‑30‑

(3)

1. 

web+movie

ファイルによる情報システム工学科各教官の研究内容紹介

研究室紹介を見逃してしまった場合など、各研究室/教官がどのような研究を行なっているのか?

ということを確認するための企画。総合情報処理センタ新端末室にて実施。一年生は、司会、ビ デオ取り、

web

ページ作成などを行なった。

2 .   MBONE

プロトコルを用いた各研究室紹介

AV

入力装置を備え、ネットワークに接続可能なノート

PC(OS

U N I X )

を持って、いくつかの 研究室(情報、電気電子、構造、機械)に伺い、その研究室の研究内容をi¥'1

BONE

プロトコルを 用いて、ネットワーク上に放送する企画。総合情報処理センタ新端末室、一号館

3F

エレベータ 前に

AV

入力可能なワークステーションを設置し、そこで、放送を見たり、各研究室の人とネァ トワーク上で対話することが可能となった。一年生は、インタビュー、機器設定

( U N I XPC

の 設定変更など)を担当した。

3 .   c h a t

によるネットワーク上での対話

キ一入力が相手の画面上に表示される

c h a t

を行ない、ネットワークを手軽に実感してもらう企 画。総合情報処理センタ新端末室にて実施。一年生は、

c h a t

の相手、インストラクタを担当した。

この時期の一年生は、専門の入口に入りかけた時期であり、基礎科目の重要性を認識させる意味で意 義のある企画であった。また、参加しない学生も、参加した学生からの口コミの情報により、同様な 効果があったと思われる。「参加すればよかった。」、「来年はぜひやってみたい。」との声が聞かれた のは我々にとって望外の喜びである。

3 . 2 . 2   PC

カンファレンス

1 9 9 8

1 1

月に生協主催で、九州地区の

PC

カンファレンスが実施された。情報システム工学科は、

この企画に全面的に参加し、「手作り

PC

講座」、「家庭からのインターネットの有効利用法」などの 企画で、一年生が講師、アシスタントとして参加した。この企画は一般市民、大学関係者などのユー ザが相手であり、人に説明する場合に必要となる経験/知識の必要性を認識させるのに有効であった。

3 . 2 . 3  

そのイ也

上記のような単発の企画以外に、定常的なインフォーマル教育として、教官所有のワークステー ションを希望する一年生に開放して、「ワークステーション管理者養成講座

J

を実施し、知的好奇心

旺盛な学生の要求を満たすよう努力している。これ以外にも、各教官の研究への参画、勉強会の実施 などを計画している。

情報システム工学科の計算機環境

4 . 1  

現状

情報システム工学科は、旧電気情報工学科時代に導入した教育用計算機設備を利用して、教育を行 なっている。簡単に述べれば、サーパマシン

( 1 0

数台のワークステーション)と可搬型

X

端末の組合 せを用いている。また、講義以外での利用には、

2

号館

4 F

に設置しであるワークステーションを利 用することも可能である。だた、現状の一年生は、工学部に来ることが週に一日(月曜日)しかなく、

4 F

の端末室はほとんど利用されていない。かわりに図書館、総合情報処理センタの

PC

から、

2

号館 のサーパに

t e l n e t

l o g i n

して、メールの読み書き、演習などを実施している。

‑31‑

(4)

4 . 2  

今後

旧電気情報工学科で導入した計算機設備は2000年3月にリプレースされる予定である。旧システ ムは、計算機の利用に重点をおいた設備であり、教育用計算機システム(講義、演習で利用)以外に、

研究用(専門教育用)計算機システムも存在した。情報システム工学科では、利用教育以外にも、前 述のように計算機製作、基本ソフトウェア開発などの教育も必要となるため、旧システムでの教育用 計算機システムを拡充する必要がある。そのため、新システムは、教育用計算機システムのみとし、

利用教育だけでなく多用途に利用できるものとする予定である。また、専門教育用システムは、情報 システム工学科の各講座所有のものを利用する予定であり、その分の予算を教育用システムの充実に 当てる予定である。

5  おわりに

情報システム工学科における情報教育のあらましを紹介した。我々はまだスタートしたばかりであ り、今まで長崎大学にはなかったタイプの情報教育を行なう困難さを身にしみて感じているところで ある。今後、学科内外から、多くの問題が噴出するであろう・と予想される。我々は、先に述べた理念 に基づき、それらの問題を乗り越える所存である。皆様の御理解、御指導をいただければ幸いである。

‑32‑

参照

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