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九州のジオパークに対する観光客のイメージ ―

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(1)

九州のジオパークに対する観光客のイメージ

4 つのジオパークにおける観光客アンケート調査から―

深見聡

*

・有馬貴之

**

Tourists’ Image for Geoparks in Kyushu,Japan

― From Tourists Survey Result in 4 Geoparks ―

Satoshi FUKAMI

Takayuki ARIMA

Abstract

In Japan, there is no proceeding study attempt to figure out tourists’ consciousness which is essential for structural elements for Geoparks and Geotourism. Thus, in this study, we conducted questionnaire “survey research on tourism promotion” at 4 Geoparks in Kyushu (Shimabara, Amakusa-goshoura, Aso, and Kirishima) to obtain basic data of Geoparks images of tourists, then made the result public promptly.

As a result it became clear that it was still difficult to say that the image of Geoparks was prevailing among tourists who visit the area. For public notoriety of Geoparks, it needs a devisal focusing on development of desired experience menu which showed high rate in each Geoparks, etc. In doing so, careful selection must be done by academic experts who evaluate Geo site from scholarly viewpoint, local residents, residents who live outside of the area (local entities who do not have regional bond), tourists, travel agents, and administration, meeting all together.

Also, it is important to consider the meanings of principle adoption of Geoparks and Georism especially, where already flourished as tourist resort.

We need to review continuously about where are the needs which are common or proper in the area.

Key Words : Geoparks,Tourists,Questionnaire Analysis,Image of Geoparks

1. はじめに

1.1.

本論の背景と目的

わが国におけるジオパークと観光振興に関する研 究は、日本ジオパークネットワークが組織され、

2009

年に島原半島など

3

つの世界ジオパークの認定がな されたことを契機に注目されるようになった。その 際、ジオツーリズムと呼ばれる観光振興では、歴史 観光や産業観光などとは異なり、 「地学・自然地理学」

といった理科的な地域特性が前面に存在するため、

「大地の遺産」を観光客に紹介できるかが重要とな る。ジオパークによる観光振興(ジオツーリズム)の 実践的な取り組みも各地域でなされるようになり、

オンサイトツーリズムの

1

つとして期待され始めて いる(横山,2008;尾方,2009;廣瀬,2010)。

一方、ジオパークでは独特な「難しさ」を実感す ることがある。報道においても、ユネスコが認定す る世界遺産にくらべ、ジオパークやジオツーリズム の知名度が著しく低い点が指摘されている(深見,

2010a)。そもそも社会的に地学・自然地理学に対す

る関心が低いこともあり、ジオパークそのものへの 視点も向かいにくいことも想定される。わが国にお けるジオパークの議論は、まさにこれからが正念場 といえよう。

そのような状況にあって、少なくとも日本におい てジオパークやジオツーリズムの構成要素として不 可欠な、観光客の意識を把握することは必要であろ う。しかし、これらに対する観光客の意識を調査し た先行研究はみられない。今後、ジオパークやジオ

*

長崎大学大学院水産・環境科学総合研究科

**首都大学東京大学院都市環境科学研究科 (

受理年月日

2011

5

1

)

(2)

ツーリズムが、地域にとって有用な仕組みとして根 づくことができるのか、意識の把握に努める必要が ある

(

宮原,

2008)

本稿は、このような問題意識に立脚し、観光客か らみたジオパークのイメージという基礎的データを 把握するため、 『観光振興に関する意識調査』をおこ なった。本調査は九州にある

4

か所のジオパーク

(

島 原・天草御所浦・阿蘇・霧島

)1)

で実施した。本稿に おいてこの結果を速報的に公表し、今後のジオパー クの展開において求められる役割は何なのかを考え てみたい。

なお、この調査は、NPO 法人地域づくり・観光ツ ーリズム研究所

(

代表:深見聡

)

(

)

県民ボランティ ア振興基金の助成「島原半島ジオパークの持続可能 な展開に関する調査事業」として実施したものであ る。その成果を学術的見地からさらに深めていくこ とを目的としている点を付記しておく。

1.2. アンケート調査の実施概要

2010

11

月から

12

月にかけて、上掲

4

か所のジ オパークにあるコア施設(博物館・資料館など)を調 査箇所とした(表

1)。調査箇所では観光客をおもな対

象者とし、アンケート用紙への記入を直接依頼した。

各ジオパークで

100

部ずつのアンケート用紙を配 布・回収した。アンケート調査は、ジオパークの認 知度や、地域経済の活性化といった質問項目からな り、選択式による回答が主である(アンケート調査用 紙およびその回答方法については資料

1

を参照

)

表 1 アンケート調査の実施概要

2.

アンケート調査の結果

2.1.

観光客の属性

本章ではアンケート調査の集計結果について報告 する。まず、本節では九州のジオパーク全体におけ

る観光客の属性について述べる。

性別は男性

49%、女性51%であり、ほぼ同割合で

あった。年代別では、

10

代が

3%

20

代が

26%

30

代が

21%、40

代が

15%、50

代が

20%、60

代が

12%、

70

代が

3%

と、

20

代と

30

代の観光客が多かった。

観光客の職業としては、会社員(47%)がともっとも 多く、以下、専業主婦・主夫

11%

、公務員

9%

、自 営業と無職が各

7%

、パート

3%

、その他

16%

と続い た。

観光客の同伴者数では、

2

人が

34%

ともっとも多 く、以下、3~4 人

28%、7

人以上

17%、1

11%、5

~6 人

10%となり、数名規模での観光者が70%を超

える結果となった。

観光客の出発地としては、各ジオパークが位置す る同一の県からが

48%

と約半数を占め、ついでその 他の九州・沖縄各県

36%、首都圏 7%、中国・四国 3%

、関西と中部が各

2%

、北陸と東北が各

1%

となっ た。比較的近隣からの観光客が多かった。

2.2.

九州のジオパークについて

本節では観光客のもつジオパークへの興味やイメ ージについての調査結果について報告する。

2.2.1.

ジオパークの認知度と情報源

ジオパークという言葉に対する認知度では、全体 として「よく聞く」

16%

、「ときどき聞く」

24%

、「聞い たことがある気がする」23%、「聞いたことがない」

37%と、「聞いたことがない」がもっとも多くなった。

なお、

4

つのジオパーク間において回答の割合に有 意な差はみられなかった

2)

上記の項目において、「よく聞く」「ときどき聞く」

と回答した観光客に対し、その情報源について質問 した

(

複数回答

)

。その結果、「新聞・テレビ」が

64.2%

、 ついで「書籍」

39.7%

、「パンフレット類」

37.1%

の順と

図 1 質問 1-2(ジオパークの情報源)の回答結果

ジオパーク名 調査実施日 アンケート実施場所

島原半島 2010 年11月13 日 雲仙岳災害記念館

(

長崎県島原市

)

阿蘇 2010 年11月14 日 阿蘇火山博物館

(

熊本県阿蘇市

)

霧島

2010

12

11-12

日 塩浸温泉龍馬公園

(鹿児島県霧島市)

天草御所浦

2010

12

18-19

日 御所浦白亜紀資料館

リップルランド

(

熊本県天草市

)

(3)

なった。

各ジオパークにおいて、当該地域が世界ジオパー ク、または日本ジオパークに認定されていることに ついて質問した。その結果、全体としては「聞いたこ とがある」

30%

、「聞いたことがない」

70%

となったが、

ジオパークごとに回答の割合に差がみられた(χ

2

検 定、有意確率

0.001)

。天草御所浦では「聞いたことが ある」と回答した観光客が

40%

となり、

4

地域のなか でもっとも高かった。一方、阿蘇では「聞いたことが ある」と回答した観光客は

16%

となり、

4

地域でもっ とも低かった。

2.2.2.

ジオパークに対する興味と参加意欲

観光客のジオパークに対する興味の程度について 質問した結果、全体として「かなりそう思う」8%、「あ る程度そう思う」

42%

、「どちらでもない」

35%

、「あ まりそう思わない」10%、「まったくそう思わない」

5%

となった。なお、ジオパークごとにこの割合には 有意な差がみられ

2

検定、有意確率

0.004)

、島原は

「そう思う」と「かなりそう思う」を合わせて

65%とな

った。一方、阿蘇では「そう思う」と「かなりそう思う」

を合わせても

40%であった。

つぎに、ジオパークの活動への参加意欲の程度に ついての質問項目を設けた。その結果、「かなりそう 思う」4%、「ある程度そう思う」26%、「どちらでもな い」

45%

、「あまりそう思わない」

18%

、「まったくそ う思わない」7%となった。この割合も、ジオパーク ごとに有意な差があり(χ

2

検定、有意確率

0.020)

、島 原は「かなりそう思う」「ある程度そう思う」を合わせ

40%となった。一方で阿蘇では最低の20%であっ

た。なお、「どちらでもない」の回答についてみると、

阿蘇で

55%、島原で32%となった。

図 2 質問 4-2(ジオパークへの参加意欲がわかない 理由)の回答結果

上記の項目において「あまりそう思わない」「まっ たくそう思わない」を選択した観光客に、ジオパーク の活動への参加意欲がわかない理由としてあてはま るものを

3

つ選んでもらった。その結果、「そもそも ジオパークの取り組みとは何なのか分からない・知 らない」が

67.4%、ついで「どうやってジオパークの

取り組みに関わればよいのか分からない」と「ジオパ ークの取り組みに興味・関心がない」が各

24.4%

とな った(図

2)。

2.2.3.

ジオパークの効果に対する期待

ジオパークが地域の持続的発展にどの程度貢献す ることができるかについて観光客に質問した結果、

「かなりそう思う」

13%

、「ある程度そう思う」

53%

「どちらでもない」27%、「あまりそう思わない」5%、

「まったくそう思わない」

2%

と、「ある程度そう思う」

がもっとも多かった。

つづいて、地域がジオパークに認定されることに より、観光客が増加するかどうかの効果の程度につ いて質問した。その結果、「かなりそう思う」13%、「あ る程度そう思う」

59%

、「どちらでもない」

20%

、「あ まりそう思わない」

7%

、「まったくそう思わない」

1%

となった。また、ジオパークごとに差がみられた(χ

2

検定、有意確率

0.000)

。島原では「そう思う」「かなり そう思う」が

81%を占めたが、阿蘇では 59%にとど

まった。また、「どちらでもない」が阿蘇

(32%)

と霧島

(28%)で高いのに対して、島原では6%であった。

2.2.4

ジオパークにおけるガイドの必要性

アンケート調査では、観光客に対し、地元ガイド の必要性について質問した。結果、「かなりそう思う」

13%

、「ある程度そう思う」

49%

、「どちらでもない」

図 3 質問 8(ジオパークのイメージ)の回答結果

(4)

28%、「あまりそう思わない」8%、「まったくそう思

わない」

2%

となった。

2.2.5.

ジオパークのイメージと体験

調査では、各ジオパークにおいて想定されるイメ ージ

9

つに対して

5

段階の評価項目

(

「かなりあては まる」=5、「まあまああてはまる」=4、「どちらともい えない」

=3

、「あまりあてはまらない」

=2

、「ほとんど あてはまらない」

=1)

を設け、回答を得た。調査の結 果、全体としては「勉強になる」(3.77)、「環境にやさ

しい」

(3.67)

、「将来にわたり地域に根づく仕組みであ

る」(3.65)、「感動する」(3.52)の順で高い平均値を示し た。

これらの評価平均値において、ジオパークの間に 有意な差のみられる項目をみると、「勉強になる」で は島原

(4.14)

が阿蘇

(3.46)

と比較して高く、「心が休ま る」では霧島(3.49)が島原(3.08)に対して高くなった。

また、「分かりやすい」では島原(3.41)が阿蘇(3.06)と

霧島

(3.06)

にくらべて高く、「身近な存在である」では

天草御所浦(3.15)が島原(2.74)に対して高くなった。

「将来にわたり地域に根づく仕組みである」について は、島原

(3.91)

が阿蘇

(3.45)

よりも高くなった。

つぎに、各ジオパークにおいて経験したいものについて、

あらかじめしめされた

15

項目のなかから、あてはまる もの

5

つ選んでもらった。その結果、「温泉・地熱な ど地下エネルギー」

68.6%

、「火山」と「景勝地の地形」

図 4 質問 9(ジオパークで経験したいもの)の 回答結果

がそれぞれ

50.8%、「歴史遺産」46.3%、「郷土料理・

地産地消」

43.6%

で高い割合となった。

4

つのジオパ

ーク間において有意に高い割合をしめした項目は、

「化石」での天草御所

(44.9%)

、「温泉・地熱など地下 エ ネ ル ギ ー 」 で の 霧 島

(79.6%)

、 「 火 山 」 で の 島 原

(69.7%)、「景勝地の地形」での霧島(59.1%)、「動植物

など生物の観察」での阿蘇

(44.9%)

、「災害・防災・減 災」での島原

(30.2%)、「博物館・資料館」での島原 (47.2%)、「森林レクリエーション」での阿蘇(31.5%)

であった。

つづいて、観光客がジオパークを身の回りの人に 教えたいかどうかの程度について質問した。その結 果、 「かなりそう思う」8%、「ある程度そう思う」49%、

「どちらでもない」32%、「あまりそう思わない」8%、

「まったくそう思わない」

3%

となった。

2.2.6.

地学教育について

アンケート調査では、地学離れが進んでいること に対しての問題意識の程度を評価してもらった。そ の結果、「かなりそう思う」17%、「ある程度そう思う」

50%

、「どちらでもない」

29%

、「あまりそう思わない」

3%、「まったくそう思わない」1%となった。

また、観光客の高校在学時における地学の履修状 況を質問した結果、「履修した」

27%

、「在学校で開講 していたが選択履修せず」18%、「在学校で未開講の ため履修せず」

34%

、「分からない・覚えていない」

21%となった。

3.

考 察

それぞれの質問に対する回答から、およそ以下の ような特徴が析出される。

3.1.

九州のジオパーク全体の特徴と展開への視座

観光客の多くは、九州在住であることから、本稿 で対象とした

4

つのジオパーク認定地そのものに対 する認知度は決して低くはないと推察される。しか し、ジオパークという言葉の浸透度合い、および当 該地域のジオパーク認定については、「聞いたことは あるものの、具体的なことまではわからない」とい った状態にあると指摘できる。

ただし、多くの観光客には、ジオパークが「観光振

興や地域の持続的発展には寄与しそう」という意識

があり、「勉強になる」や「環境にやさしい」、「地域に

根づく」というイメージも強くある。これらのこと

から、ジオパークはエコツーリズムに似たものとし

て認識されていると考えられる。すなわち、ジオパ

ークという言葉の定着には未だ至っていないが、ジ

(5)

オパークの展開を考えると、エコツーリズムに近い 切り口が、無理のないその第一歩につながるといえ よう

3)

3.2.

4 つのジオパークのそれぞれの特徴

本節ではアンケート調査の結果から得られた

4

つ のジオパークそれぞれの特徴について考察する。

3.2.1.

島原半島ジオパーク

島原ジオパークは、総じてその知名度も高く、地 質的な興味も広く浸透しており、観光客の参加意欲 は高い。これは、本パークが他の

3

つの日本ジオパ ークとは異なり、より審査の厳しい世界ジオパーク の国内第

1

号の認定地であることが大きい。

日本のジオパーク活動の先駆け的な立場にあるこ とが、ジオパークの進展を後押ししていると考えら れる

4)

また、本ジオパークの象徴的存在である平成新山 を形成した一連の噴火活動

(1990~1995

)

が、本パー クの「勉強になる」や「火山」、「災害・防災・減災」と いったイメージの醸成につながっているといえよう。

3.2.2.

阿蘇ジオパーク

阿蘇ジオパークの調査結果では、総じて知名度の 低さが目立った。

阿蘇山の観光客数や国内外での知名度、旅行ガイ ド冊子での扱いをみると、本地域はよく知られた観 光地とみなせる。この地でジオパークに対する知名 度が低いのは、すでにジオパークを名乗らなくとも 集客力の強い地域であり、新たな仕組みの必要性が 低いことが考えられる。この現象は、よく知られた 観光地がジオパークに認定された場合に共通してみ られる課題であり、深く認識しておく必要がある。

3.2.3.

霧島ジオパーク

霧島ジオパークは、

4

つのジオパークのうちもっ とも新しいジオパークである。本パークでは総じて 知名度が低くなった。一方で、「温泉・地熱など地下 エネルギー」や「景勝地の地形」といった本地域のイ メージは定着している。したがって、今後の展開に おいてこのイメージを軸に特色を見出していく必要 があろう。

なお、今回の調査は

2011

1

月から活発化し始め た新燃岳の噴火活動以前におこなった。そのため今 後の展開を考える上では、この噴火による地域のイ メージに変化が生じていることを念頭に置くべきで

ある。

3.2.4.

天草御所浦ジオパーク

天草御所浦ジオパークでは、総じて知名度の高さ が目立つ。とくに、ジオパークに認定されているこ とについての認知度のが高く、「身近な存在」や「化 石」といった地域のイメージが定着していた。一方で

「温泉・地熱など地下エネルギー」「火山」「動植物など 生物の観察」「災害・防災・減災」に対するイメージは 乏しかった。本ジオパークは、天草諸島の御所浦島 という島嶼が認定対象範囲となっている。そのため、

従来から来島者の大部分は、釣りと化石見学を目的 としてきた

4)

。したがって、この特徴をさらに活か していくことが求められよう。また、

4

つのキーワ ードのうち「温泉・地熱など地下エネルギー」と「火 山」、および「災害・防災・減災」の

3

つについては、

本地域が非火山性の地質条件にあたることから、も とよりそのような体験や見学といったジオサイトが 分布しないことに起因すると考えられる。

3.3.

地学教育との関係

わが国におけるジオパークをテーマとした研究は、

岩松・星野(2005)がもっとも先駆的なものとして知 られる。そこでは、災害の多さや変動帯に位置する 地質的条件を考えると「地学は国民教養として不可 欠なもの」で、「地質遺産を保存し、自然教育を盛ん にすることは急務」と言及されている。ジオパークに は、地質遺産を中心にそれに関連する多様な自然や 文化的な見どころ

(

ジオサイト

)

が配置されているが、

それらの価値を理解するには、岩松・星野(2005)も 指摘する地学的な素養を修得していないと非常に困 難である

5)

このような問題意識から、アンケート調査では各 ジオパークへの観光客に地学の履修状況についての 質問項目を設けた。調査の結果、「地学離れ」を問題 と感じる割合は、「かなりそう思う」「ある程度そう思 う」を合わせて

67%に達した。また、高校在学時に、

地学そのものが開講されていなかったケースは

34%

にのぼり、地学選択の機会さえ生徒に与えられてこ

なかったケースも少なくない。この状況は、今日さ

らに進行していることが推測され、ジオパークの発

展においても無視できない事象である

6)

(6)

4. おわりに

本稿では、九州のジオパークにおけるコア施設に おいて、観光客に対するアンケート調査をおこない、

九州のジオパークに対するイメージについて整理し た。

九州におけるジオパークのイメージは、いまだ明 確に地域を訪れる観光客に浸透しているとは言い難 い。ジオパークの知名度向上には、各ジオパークで 高い割合を示した体験希望メニューを重点的に展開 する等の工夫が求められる。その際、ジオサイトを 学術的見地から評価する学識経験者、地域住民、地 域外住民(NPO などの地縁に依らない地域団体)、観 光客、旅行業者、行政等が一同に集い、その精選を おこなう必要がある。

また、ジオパークやジオツーリズムのもつ理念を、

すでに観光地としてにぎわいを見せている場所にお いても、わざわざ導入する意義はどこにあるのかを 考えることも大切といえよう。今後、日本では世界 ジオパークや日本ジオパークおよび日本ジオパーク の次期ジオパークの候補地

(

準会員:箱根など、オブ ザーバー:磐梯山など

)

の数は増加していくと考えら れる。今後も各地域に共通あるいは固有のニーズは どこにあるのか、継続して比較検討していく必要が ある。

付記

本研究は、

2010

年度の

(

)

県民ボランティア振興 基金助成「島原半島ジオパークの持続可能な展開に 関する調査事業」(対象団体:NPO 法人地域づくり・

観光ツーリズム研究所

)

および科学研究費補助金・基 盤研究(B) 「雲仙・島原における地熱エネルギーを用 いた地域力再生プログラムの開発」

(

研究代表者

:

馬 越孝道、課題番号:22310031)の成果の一部である。

1)

世界ジオパークとして島原半島が

2009

8

月、

日本ジオパークとして天草御所浦と阿蘇が

2009

10

月、同じく霧島が

2010

9

月に認定され た。

2)

本稿ではアンケート調査の集計結果に対し、お もにχ

2

検定

(

有意水準

5%)

による差の検定をお こなった。とくに記述がない限り、各ジオパー ク間における回答率等の差に有意な差はない。

有意な差があった場合には、クロス集計表の残 差分析をおこなった。解析にはエクセル統計

ver.6.0

を使用した。

3)

この点について、エコツーリズムの看板を掲げ

たものは玉石混淆であり、かえって自然破壊を 招いた事例も少なくない(目代,

2008)。今後、ジ

オパークで展開されるジオツーリズムは、エコ ツーリズムのたどった問題点に学び、そのあり 方を検討していく必要がある。

4)

世界ジオパークに認定される以前、島原半島ジ オパークがどのような取り組みを重ねてきてい るのかを検証したものとして小島

(2010)

がある。

5)

天草市立御所浦白亜紀資料館学芸員の廣瀬浩司 氏のご教示による。

6)

この点について、深見(2010b)は地学教育と同等 の意味で「地学・自然地理的教育」という言葉を 使用し、同様の提起をおこなったことがある。

7)

田村

(2008)

によれば、「高等学校生徒数の減少に

伴い教員数も削減され、地学教員退職後の補充 がほとんどなされていない」実態がみられると いう。

参考文献

岩松暉・星野一男

(2005)

:ジオパークと地質遺産の 保全・活用.地球環境,10(2),pp.185-196.

尾方隆幸

(2009)

:ジオツーリズムと学校教育・生涯

教育.琉球大学教育学部紀要,75,pp.207-212.

小島大輔

(2010)

:地域観光情報 島原半島におけるジ

オツーリズム.長崎国際大学国際観光学会観光学 論集,

5

pp.83-87

田村糸子(2008):高等学校における地学教育の現状 と問題点.地質学雑誌,

114(4)

pp.157-162

. 廣瀬敏通(2010):新しい地域資源「ジオツーリズム」

をはじめよう.季刊地理学,

61(4)

pp.252-253

深見聡

(2010a):ジオパークとジオツーリズムの成立

に関する一考察.地域総合研究,

38(1)

pp.63-72

. 深見聡(2010b):ジオパークと観光振興―地学・自然 地理教育の視点から―.日本観光研究学会全国大 会論文集,

25

pp.257-260

宮原育子(2008):生活者の視点をジオパークへ―地 域観光振興の立場から―.地理,

53(9)

pp.50-54

. 目代邦康(2008) :ジオパークを知るための情報資源.

地理,

53(9)

pp.47-49

横山秀司(2008):ジオツーリズムとは何か―わが国

におけるその可能性.日本観光研究学会全国大会

論文集,23,pp.345-348.

(7)

- 0 -

観光振興に関する意識調査

調査のお願い

この調査は、島 原 半島の観光振興の方策および旅行者の動向把握を目的 としています。どの質問にも正しい答えはありませんので、気軽に回答して ください。

なお、提供された個人情報は厳正な管理の下に置き、本事業の目的以外に 使用することはありません。ご協力くださいますよう、どうぞよろしくお願 い申し上げます。

*ジオパーク(Geo-park;地質公園)とは、景勝地や火山・温泉といった「大 地の恵み」を活かす観光など地域振興の仕組みのことをいいます。

長崎大学環境科学部・准教授 担当:深見 聡

連絡先:095-819-2720(研究室) [email protected](メール)

資料1 アンケート調査票

- 1 -

1. あなたの今回の旅行についておたずねします。

1. 今回の旅行の目的は何ですか。該当するもの 1 つに○を付けてください。

ア.観光 イ.業務などの出張 ウ.帰省 エ.その他( )

2. 今回の旅行の一番の目的地はどこですか。該当するもの 1 つに○を付けてください。

ア.島原・雲仙地域 イ.長崎市街地地域 ウ.佐世保・平戸・松浦地域 エ.五島・壱岐・対馬地域 オ.その他長崎県内 カ.県外(具体的に; )

3. 今回の旅行の日程はどのくらいですか。該当するもの 1 つに○を付けてください。

ア.日帰り イ.1 泊 2 日 ウ.2 泊 3 日 エ.3 泊以上

4. 今回の旅行の目的地(島原雲仙地域)を選ぶにあたり、参考にした手段について、該当す るすべてに○を付けてください。

ア.雑誌 イ.新聞 ウ.インターネット エ.テレビ オ.ラジオ カ.バス・電車等の車体・車内広告 キ.旅行代理店 ク.友人・知人の情報 ケ.その他( )

5. 今回の旅行で使われる移動手段は何ですか。該当するものすべてに○印を付けてください。

ア.航空機 イ.新幹線 ウ.新幹線以外の電車 エ.自家用車 オ.レンタカー カ.貸切バス キ.フェリー ク.その他( )

6. 通常、旅行する場合に目的とされることについて、A~I各項目の当てはまる数字 1 つ に○を付けてください。

かなり まあまあ どちらとも あまり ほとんど あてはまる あてはまる いえない あてはまらない あてはまらない

A.周遊観光 5 4 3 2 1

B.ゆったり過ごす 5 4 3 2 1

C.都市観光 5 4 3 2 1

D.温泉 5 4 3 2 1

E.祭などイベント 5 4 3 2 1

F.グルメ 5 4 3 2 1

G.スポーツ 5 4 3 2 1

H.自然を楽しむ 5 4 3 2 1

I.同行者と賑やかに過ごす 5 4 3 2 1

・上記項目以外に目的とされていることがあれば、自由にお書きください。

7. 年間のおよその旅行回数をお教え下さい。該当するもの 1 つに○を付けてください。

ア.1 回 イ.2~3 回 ウ.4~6 回 エ.7~10 回 オ.11 回以上

2.次に、「ジオパーク」のことについておたずねします。

*ジオパーク(Geo-park;地質公園)とは、

景勝地や火山・温泉といった「大地の恵み」を活かす地域振興の仕組み のことをいいます。

1. あなたは、「ジオパーク」ということばを聞いたことがありますか。

ア.よく聞く イ.ときどき聞く

ウ.聞いたことがある気がする エ.聞いたことがない

SQ. 「アまたはイ」と回答した方に伺います。それはど こで聞きましたか。あてはまるものすべてに○印を 付けてください。

a.観光ガイドブックなどの書籍 b.パンフレット、リーフリット類 c.道路などに設置されている看板・のぼり旗 d.インターネット

e.新聞・テレビなど報道 f.パックツアーなど旅行商品 g.その他( )

2. 島原半島ジオパークは、世界ジオパークに認定されていると聞いたことがありますか。

ア.聞いたことがある イ.聞いたことがない

3. 「ジオパーク」について、興味がありますか。

ア.かなりそう思う イ.ある程度そう思う ウ.どちらでもない エ.あまりそう思わない オ.まったくそう思わない

4. 「ジオパーク」の取り組みに参加したいと思いますか。

ア.かなりそう思う イ.ある程度そう思う ウ.どちらでもない エ.あまりそう思わない オ.まったくそう思わない

SQ. 「エまたはオ」と回答した方に伺います。それはど うしてですか。あてはまるものを 3 つ選び○印を付 けてください。

a.そもそも、ジオパークの取り組みとは何なの か分からない・知らない。

b.どうやってジオパークの取り組みに関われ ばよいのか分からない。

c.ジオパークの取り組みについて相談する窓 口が分からない。

d.ジオパークの取り組みに参加する機会が提 供されていない。

e.ジオパークの取り組みに参加するとなると、

敷居の高さを感じる。

f.ジオパークの取り組みに興味・関心がない。

g.その他( )

5. 「ジオパーク」の取り組みは、地域の持続可能な社会・経済発展につながると思います か。

ア.かなりそう思う イ.ある程度そう思う ウ.どちらでもない エ.あまりそう思わない オ.まったくそう思わない

6. いまあなたが訪れている島原雲仙地域は、「ジオパーク」に認定されています。そのこ とは、今後、島原雲仙地域の観光客が増えるのに役立つと思いますか。

ア.かなりそう思う イ.ある程度そう思う ウ.どちらでもない エ.あまりそう思わない オ.まったくそう思わない

7. 「ジオパーク」の取り組みのなかで、住民を中心としたガイド(案内人)の存在は不可欠 なものです。あなたは、ジオパークの認定地域に点在する地質的みどころ(地層・景勝 地などの地形を指し、これらを総称して「ジオサイト」と呼びます。)をガイドによる案 内でめぐってみたいと思いますか。

ア.かなりそう思う イ.ある程度そう思う ウ.どちらでもない

(8)

- 4 -

8. あなたは「ジオパーク」についてどのようなイメージを持っていますか。A~I各項目 の当てはまる数字 1 つに○を付けてください。

かなり まあまあ どちらとも あまり ほとんど あてはまる あてはまる いえない あてはまらない あてはまらない

A.楽しい 5 4 3 2 1

B.勉強になる 5 4 3 2 1

C.心が休まる 5 4 3 2 1

D.感動する 5 4 3 2 1

E.分かりやすい 5 4 3 2 1

F.環境にやさしい 5 4 3 2 1

G.身近な存在である 5 4 3 2 1

H.何度も訪れたい 5 4 3 2 1

I.将来にわたり地域に

根づく仕組みである 5 4 3 2 1

9. あなたが「ジオパーク」のエリア内にみられる見どころのうち、優先して出かけたり体 験したりしたいものは何ですか。あてはまるキーワードを5 つ選び○印を付けてくださ い。

ア.地層の見学 イ.化石 ウ.岩石・砂の採集

エ.温泉・地熱など地下エネルギー オ.火山

カ.景勝地(海岸・滝・川など)の地形 キ.歴史遺産(史跡・文化財・建て物など) ク.埋蔵文化財(土器・石器など)

ケ.動植物など生物の観察 コ.郷土料理・地産地消 サ.災害・防災・減災 シ.地域の人との語らい ス.博物館・資料館 セ.森林レクリエーション

ソ.その他( )

・上記項目以外にイメージされることがあれば、自由にお書きください。

- 5 -

10. 「ジオパーク」のことを、友人や知人・家族など身の回りの人にも教えたいと思いますか。

ア.かなりそう思う イ.ある程度そう思う ウ.どちらでもない エ.あまりそう思わない オ.まったくそう思わない

11.「ジオパーク」の取り組みは、「地学」の知識・技能が欠かせません。一方で、高校理 科で「地学」を開講している学校は年々減少し、教育の現場で「地学離れ」が加速し ていると言われています。このことをあなたは問題があると思いますか。

ア.かなりそう思う イ.ある程度そう思う ウ.どちらでもない エ.あまりそう思わない オ.まったくそう思わない

12. 高校生以上の方に質問します。

高校でに理科(化学・物理・生物・地学)の授業で、「地学」を選択して履修しましたか。

ア.履修した

イ.在籍の高校では地学が開講されていたが、履修していない ウ.在籍の高校では地学が開講されておらず、履修していない エ.分からない・覚えていない

13. 最後に、今後のジオパークによる観光振興についてご意見がありましたら、自由にご 記入ください。

- 6 -

※各項目の当てはまるところに○印をつけてください※

■あなたの年齢 満( )歳

■あなたの性別 ( 男 ・ 女 )

■あなたの職業 ア.会社員 イ.公務員 ウ.自営業 エ.パート オ.専業主婦・主夫 カ.無職

キ.その他(具体的にお書きください;

■同行者数(回答者を含む)

ア.1人 イ.2人 ウ.3~4人 エ.5~6人 オ.7人以上

■出 発 地 ア.県内 イ.長崎県を除く九州・沖縄 ウ.関西

エ.首都圏(東京・神奈川・千葉・埼玉・茨城・群馬・栃木・山梨) オ.東海 カ.東北 キ.北海道 ク.中国・四国 ケ.北陸

以上で質問は終了です。ご協力いただき、誠にありがとうございました。

ご記入漏れがないか、もう一度お確かめください。

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