ニュージーランド北島.オハクネ火口産高マグネシア質 安山岩と同質デイサイト
黒田 直1・野村忠司2・浦野準臣3
High M由一andesite and−dacite from Ohakune crater,
NorthlsIand,New Zealand
NaoshiKURODAl,TadashiNoMURA2andHayaomiURANO3
Abstract The Ohakune crateris one of the parasitic vents around Ruapehu voIcano.
01ivineandesiteandbronzitedaciteoccurinandaround the crater,the eruption of which tookplaceexplosively on theflatlaharicplain surroundingRuapehuvoIcano.
The Ohakune Crater rOCks.contain some phenocrysts of Mg−rich olivine(Fo88)or Orthopyroxene(En89),indicating their deriVation from the mantle peridotite.The olivine andesites have high contents of MgO(7.3−6.6%)and SiO2(55.5−57.4%),Similar to magnesian andesites from someisland arcs and continentalmarglnS.The bronzite dacite alsohasMgO(5%)despiteitsrelativelyhighSiO2(63.7%).
The high−Mg olivine andesites fall near the area of parental basalts and andesites of Verylow−Kand−Rbin thelinear trend of the Tongariro voIcanic rocksinthe K−Rb rela−
tion,Whereas the high−Mg daciteis plotted on the area of relatively high−K and−Rbin
thesamelineartrend.Thedacitemayhaveformedbycontamination(ormiⅩing)oftheoli−
Vineandesite−formlngmagmaWith ahigh−Kand−Rb,felsiccrustalmaterial.
Key words:island arc,mantle peridotite,CryStal fractionation,COntamination,high−K
crustal material
はじめに
1988年8月、黒田と浦野は海外学術研究「南太平洋産 マントル起源高マグネシア安山岩の研究」(浦野,
1993)の一員として、ニュ、−ジーランド北島のタウポ 火山帯、トンガリロ火山群の高マグネシア安山岩の野 外調査を行った。ここに野村(1991MS)の資料をもと に、オハクネ火口の高マグネシア安山岩と同デイサイ トを、小笠原諸島の無人岩や四国北東部の五色台の火 山岩と岩石学的に比較して報告する。
オハクネ火口と3つの採集岩石
オハクネ火口はニュージーランド北島タウポ火山帯 南端の、複成火山ルアペフの南西麓にあり、ルアペフ 火山周辺のいくつかの寄生火道の一つである(Hackett
&Houghton,1987)。タウポ火山帯は北のプレンティー 湾に向かってのび、最近およそ200万年間、活動を続け ている。ルアペフ火山の最古の溶岩の年代は約23万年 である。オハクネ火口は5万年より新しい時代に、ルア
ペフ火山の周辺に平らに広がる湿地性の、再堆積した 火山砕屑物(ラハール)の上に爆発的に開いた(Fig.1)。
この地域は現在と変わりなく、おそらく当時も地下水 が豊富だった。
オハクネ火口は、北西一南東にいく分のびた長径約 800m、短径約650mの長円形をなす。噴出物はほとん ど、黒色多孔質のかんらん石安山岩の砕片放出物と溶 岩である。上昇してきたマグマは、地下水に接触して 急冷、発泡、砕片化し、激しい水蒸気爆発を伴って地 表に噴出した。火口は中心付近のスコリア丘と、スコ
リア丘の外側のタフ・リングから成る。
3つの採集岩石のうち、2つは黒色多孔質かんらん石 安山岩の溶岩砕片である。その一つ(OA2)は火口の 南縁で、他(OAl)は火口から南南西に5km離れたオ ハクネ湖近くの道路端で採集された。3番目の岩石(OD)
は、斜長石の斑晶が目立つ暗灰色の古銅輝石デイサイ トの溶岩で、OA2の採集地点からやや西に寄った火口 南縁で採集された。
1静岡大学理学部地球科学教室.,静岡市大谷836
Institute of Geoscienees,Schoolof Science,Shizuoka University,8360ya,Shizuoka422Japan.
2全日本空輸株式会社,東京都大田区羽田空港1−6−6
AllNippon Airways Co.Ltd.,Haneda Airport,Ota−ku,Tokyo,144Japan.
3愛知教育大学教育学部地学教室,刈谷市井ケ谷広沢1
Department of Earth Sciences,AichiUniverslty Of Education,1Hirosawa,Igaya,Kariya,448Japan・
5 10km
Fig・1Geologicalmap around Ohakune crater(Hackett&Houghton1987).
岩石記載
黒色多孔質かんらん石安山岩では、直径約8mmに達 し、かんらん石・斜方輝石・単斜輝石から成る緑色結 晶集合物が目立つ。時どき、長さ8−10mmのチャートの 白色砕片が包有される。暗灰色古銅輝石デイサイトは、
長さ数mmの白い斜長石の斑晶に非常に富み、同じく らい長くのびた黒い斜方輝石と単斜輝石の斑晶を含む。
Tablelに、3つの岩石の斑晶と微斑晶のモード組成が 示してある。
1. かんらん石安山岩(OAl) かんらん石斑晶
(長さ2.5mm)と徴斑晶は、自形のものから丸みをおび て湾入をもつものまで変化に富む。斜方輝石と単斜輝 石でしばしば縁取られ、ときには完全に包まれる。ま れにクロム・スピネル(径0.14mm)を包有する。似た 大きさのクロム・スピネルが独立した微晶として産す
る。かんらん石と斜方輝石の微斑晶のなかには、骸晶 をなすものがある。斜方輝石斑晶(長さ1.3mm)は単 斜輝石を時どき包有する。単斜輝石斑晶は長さ1.4mm、
微斑晶では十字構造を示すことがある。両輝石は連晶 する。斜長石は、微斑晶として時どき見られるが、斑 晶(長さ0.6mm)としては非常にまれにしか産しない。
石基は斜方・単斜輝石、鉄鉱、短冊状斜長石、褐色 ガラスから成る。包有チャート砕片は輝石で縁取られ ていない。時には、直径0.2mmの泥質岩砕片やチャー
トに由来する丸みをおびた小さな石英粒が見られる。
この岩石の孔隙率は30%に及ぶ。
2.かんらん石安山岩(OA2) かんらん石斑晶
(長さ2mm)は丸みをおび、斜方輝石と単斜輝石で縁
取られたり、時には完全に包まれたりする。また、割
れ目にそって、わずかにイデイングサイトに変質して
いることがある。斜方輝石斑晶は長さ1.3mm、単斜輝
oA2 0D
Fig・2 Composition of phenocrysts and micro−
phenocrysts of olivine,Orthopyroxene and clino−
pyroxene from the Ohakune crater rocks,OAl・2and OD・Obtained from microprobe analysIS・OAl・2:
01ivine andesites.OD:Bronzlte dacite.0:01ivine.●:
Orthopyroxene and clinopyroxene.
Ab ArI
Fig・3 Composition of plaglOClase phenocrysts and microphenocrysts from the Ohakune crater rocks.
Obtained from microprobe analysIS.
石斑晶は長さ2.5mmである。両輝石は連晶する。斜長 石は、微斑晶としてまれに含まれる。きわめてまれに、
完全にオパサイト化した角閃石が見られる。
石基は斜方・単斜輝石、まれなクロム・スピネル、
鉄鉱、短冊状斜長石、褐色ガラスから成る。単斜輝石 は十字構造を示す。チャート砕片は、一部溶融して輝 石粒で縁取られたり、完全に溶融して褐色ガラスと輝 石粒の集合物(1.3mmXO.5mm)に改変されたりして いる。この岩石の孔隙率は約13%である。
Table l Moda1% of phenocrysts and micro−
Phenocrysts froml′he Ohakune crater rocks.OAl・2:
01ivine andesites.OD:Bronzite dacite.
Phenocryst
and microphenocryst
OAl OA2 0DOlivine O「thopyroxene
C=nopy「OXene
HornbIende
汗On Ore
PIagioctase
0 0 8
2 4
■ d
﹁
1 6 7 1 2 A J
−
−
7 1 1 7 2 5
−5・4・0・刀21
Tab.e 2 Chemical composition of phenocrysts and microphenocrysts of olivine(a),Orthopyroxene(b)
and clinopyr?Ⅹene(C)from OAl・2and OD・Deter一
mined by mlCrOPrObe analysIS.M:Microphenocrysts.
C:Core.r:Rim.
a.Olivine
OAト1c OAト2c OA1−2「OA2−1c OA2−11・
SiO1 39.29 38.84 38.88 37、72 37.64 TiOl O.04 0.03 0.01
AtlO3 0,01 0.02 0.03 0.02 FeO ll.96 12.16
HnO O.24 0.23 日90 47.88 47.57 CaO O.13 0.13 HalO O.03 0.05 KlO O.01 0.02
〉103 0.01
C「ユOJ O・02 0・03
侶0 0.13 0.22
14.06 18.76 19.51 0.2t7 0.22 0.29 45.83 42.96 42.52 0.15 0.12 0.12 0.03 0.06 0.03 0.01 0.02 0.04
0.03 0.02
0.06 0.10 0.08
Total 99.69 99.31 99.37 100.02 100.25
Fo 87.7 87.5 85.3 80.3 79.5 Fa 12.3 12.5 14.7 19.7 20.5
(co几血ued o几neズfpαge)
3.古銅輝石デイサイト(OD) 斜長石斑晶は長 さ4mmで、反覆累帯が著しい。丸みをおびた核をもつ 逆累帯斜長石、蜂巣状斜長石も含まれる。両斜長石は 組織上、外来結晶と見られる。斜方輝石斑晶(長さ1.2 mm)は、(100)に平行な単斜輝石ラメラを時どきも ち、時には単斜輝石を包有する。単斜輝石斑晶(長さ0.
8mm)は斜方輝石と連晶する。両輝石は斜長石と集合
物をしばしばつくる。時どき、長さ2.8mmに及ぶ帯緑
色角閃石が目につく。ほとんどの角閃石は、鉄鉱に富
む黒色オパサイトに分解している。完全に分解した角
(rb k2con点れued)
b.Ol、thopy「OXene
OA1−1c OAト2H OA2−1c OA2−1r OD−1日
SiO1 54.74 52・97 53・98
TiOと 0.08 0.13 0.14
Alユ03 0,74 2.11 1.02
FeO ll.99 12.54 12.58 日110 0.30 0.29 0.21
0 ︑ J
ユ 0 0 a ユ ヱ H U n V
C「203 HiO
30,08 29.06 30.09 1.66 1.51 1.48 0.06 0.04 0.06 0.01
0.02 0.11 0.15 0.04
0.08
54.49 52.77 0.06 0.22 1.05 1.46 11.85 18.44 0.24 0.45 30.73 24.79 1.62 1.31 0.03 0.03 0.01
8.01 0.02 0.13 0.03 0.04
Tota1 99,81
6
︻J9 9
2 2
0 0 1
4 6
9 9
2 00
の0 9
Ho 3.1 En 79.2 Fs 17.7 Mg value 81.7
6 7 7 6
り L 8 n U O
6 2 71
0 7 3 2 3 9 7 2
7 1 nO
O O 7 5 0
2 00 8 1
7 1 n O 9 ツ L 9 r h J 2 0 0 8 0 7 1 8
C.CHIlOPy「0Xene
OA1−1c OA2−1c OA2−2c OA2−3日 00−1日
SiOI TiOユ Al203
FeO
0 0 0
n
‖ n y a
H H C
HalO KlO Vユ03
C「ヱ03 HiO
51.49 52.56 0.22 0.10 2.84 1.24 6,19 4.55 0.15 0.10 16.42 17.99 22.29 22.31 0.26 0.20 0,02 0.01 0.02 0.27 0.79 0.02
51,43 48.44 52.57 0.26 0.76 0.40 2.81 4.84 2.34 6.79 8.70 9.06 0.18 0,21 0.03 16.91 15.29 15.47 21.45 20.82 19.31 0.26 0.25 0,34 0.01 0,02 0.05 0.05 0.07 0.31 0.14
0.08 0.02
Tota1 100.15
99 89 1 00 45 9 9 5 9Ho 44.6 En 45.7 Fs 9.7 Hg vatue 82.6
3 9 0 0 3
〇 一 リ
︐ 4 5
A﹁ 4 1 71
6 5 9 00
2 3 3 5 4 4 1 7 7 0 0 5 6 2 6 0 1 4 4 1 0 0
n O 2 0 ハ b
3 9 7 7
4
4
●
8
閃石は、斜方輝石・単斜輝石・鉄鉱・斜長石から成る。
かんらん石の結晶(長さ0・4Pm)と鉄鉱の斑晶(長さ0.
7mm)は、きわめてまれにしか見られない。
石基は非常に細粒で、斜方・単斜輝石、鉄鉱、短冊 状斜長石、淡褐色ガラスから成る。まれに燐灰石が産 する。この岩石の孔隙率は約6%である。
鉱物組成
Fig.2にオハクネ火口産かんらん石安山岩OAlと2、
古銅輝石デイサイトODの、かんらん石・斜方輝石・単 斜輝石の、Fig.3に斜長石のEPMA分析による組成が 示してある。またTable2には、これら3つの岩石のいく つかのかんらん石・斜方輝石・単斜輝石のEPMAによ る分析値が示してある。
OAlと2のかんらん石の組成範囲は、それぞれFo88−7 8とFo82−76である。OAlはOA2よりMgに富むかんらん 石を含む。
斜方輝石斑晶の組成はOAlではEn81−77、OA2ではEn 80−68、ODではEn89−63である。ODのEn89の斜方輝石
はOAlのかんらん石(Fo88)に比肩する。微斑晶は、
OAlよりOA2でいくらかFs成分に富むが、ODではかな り高Fsで、紫蘇輝石に相当するものを含む。
単斜輝石はだいたい普通輝石で、最大Mg値[100Mg
/(Mg+Fe)(原子比)]はOAlで84、OA2で88、ODで 87である。徴斑晶と斑晶の縁は、ややFs成分に富む。
単斜輝石のA1203含有量はOAlで1.5−2.8%、OA2で0.2−4.
8%、ODで1.2−2.9%である。徴斑晶ではA120。含有量は 高く、Mgが減るとAlが増える傾向がある。
斜長石の組成はOAlの微斑晶ではAn76−72、OA2の微 斑晶ではAn75−73、ODではAn57−41である。組成範囲は OAlと2では狭いが、ODでは広い。
全岩化学組成
3つの採集岩石、かんらん石安山岩OAl・2と古銅輝 石デイサイトOD、及び他の2つのオハクネ火口のかん らん石安山岩OA3・4(Cole1978;Hackett & Houghton1987)の全岩化学組成が、Table3に示して
ある。
SiO2含有量は、かんらん石安山岩では約55−57%、古 銅輝石デイサイトでは63%を越す。前者は6%以上の MgOを含み、後者は5%に近いMgOを含む。5つの岩石
はSiO2含有量に比べてMgOに富む。
Na20とK20の含有量は、かんらん石安山岩の間では さほど変化しないが、デイサイトではそれより高い。
特にK20含有量は、かんらん石安山岩では非常に乏し く、デイサイトでは、かんらん石安山岩の2倍を越す。
またデイサイトでは,かんらん石安山岩より約3−5倍高 いRbを含む。Fe203とFeOを見ると、3つの採集岩石 はOA3・4より非常に酸化している。CaOはかんらん石 安山岩よりデイサイトで著しく低い。斜長石斑晶を多 く含むデイサイトではA1203はかんらん石安山岩より約 1−2%高く、ノルム・コランダムが現れる。
5つの岩石のTi02は高くはなく、MnOとP205は低い。
3つの採集岩石のH20+は非常に低い。
かなり高いMgOをもつ古銅輝石デイサイトODを、
ルアペフ火山のいくつかの斜長石酸性安山岩(Hackett
0 1 2 3 4 5 6
totalFeO/MgO Fig.4SiO2−tOtal FeO/MgO relation for the Ohakune
crater rocks.+:01ivine andesite・Large open.circle:Bronzite dacite..●:Some Chichi−jima boninlteS.r:Average Chichi−jimaboninitp(Shirakietal・1985)・Smallopen circles:The voIcanlC rOCks from Goshikidai,Shikoku
(Sato1981).Calc−alkalic and Tholeiitic:The fields of Calc−alkalic rocks and tholeiites,divided bv Mivashiro
(1974).
totalFe0
NiP+KP M90
Fig.5AFM diagram for the Ohakune crater rocks.
+:01ivine andesite.0:Bronzite dacite.Solidline:
The area of Chichi−jima boninite series(SHIRAKI et al.1985).Dashedline:The area of voIcanic rocks with olivine andesites(□)and orthopyroxene andesites(◇)from Goshikidai,Shikoku(Sato1981).
&Houghton1987のTable4)と比較すると、ODはル アペフの酸性安山岩よりSi02に富み、CaOに乏しい。
両者は、他の成分については調和しているように見え
Table3 Chemical composition ofthe Ohakune crater olivine andesites(OA1−4)and bronzite dacite(OD).
a霊Le慧霊漕禦鋸1讐三iム慧竃‥怒監藍喜
Fe20。/FeO=0.20.
一︻J036261・57−1705160亡V9201く一1
6200●08136一〇9一︻JOく一11992605〇一bt.7−0600200
一12000量リ3337−9′3∧VAY583く一18826∧V61一〇54一〇682○○0051
62一326▲V一丁一︳092一・〇q−111亡V8260605■■−0600〇人V
617606−〜5−9046・3︐−01−61−2607050J一一〇一〇8000051
11000r▲−iO⁝0−.eleOnO90aOalL010tOJ▲ST▲FF=HClIPHH
錆 引 09別 封 ‖ 95 日 月 出 目
3 0 7・
〇 l
〇 一
3 1 0 仁 V
● 1 0 1 9 6 一 b
▲ J 2 9 1 2 一
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To【a1 99.71 99.99 9g.63100.01100.0 gl.29100.01 99.63100−00
翫=川■ 10.0 9.0 16 10 購.8
●
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●∵.−一・▲
●︑
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●
√
◆●
OA2 − ●
_・二二‥・二
◆
OAl
10 30 50
Rb(PPn)
70 90
Fig 6 K−Rb relation for the Ohakune crater rocks lOA1−3 and bronzite dacite(○)]and the Goshikidai rocks[basalt(△),01ivine andesite(□)and Orthopyroxene andesite(◇)],plotted on the
詣欝;蒜了0lcanicrockswitholivineandesites(+)
る。
オハクネ火山岩の成因
オハクネ火口産かんらん石安山岩OA1−4と、古銅輝 石デイサイトODはカルク・アルカリ岩である(Fig.4)。
SiO2−全FeO/MgO関係(Fig.4)とAFM図(Fig 5)
によると、オハクネかんらん石安山岩は父島の無人岩
よりかなり低MgOで、分化しているものの、父島の無
Table4Chemical composition of a groundmass glass from the Ohakune crater bronzite dacite.Determined by microprobe analysIS.
SiO之 77・97
TiOl O・38
Alユ03 9・06
FeO 1.28 HnO O.ひ1 日90 0.34 CaO O.48
Na之0 1.84
Kと0 3・72
1110 4・92 Tota1 100.00
人岩の近くにある。OA2で褐色ガラスと輝石粒の集合 物に完全に改変されたチャートの砕片包有物が見られ ることから、かんらん石安山岩のSi02の一部は取り込 まれた珪質物質におそらく由来するだろう。Fig.4に よると、ODは高Si02であるが、全FeO/MgO比ではか んらん石安山岩に類似し、四国、五色台の火山岩に似 る。さらにODは、Fig.5では五色台のかんらん石安山 岩よりもどちらかといえば斜方輝石安山岩に、K20−Rb 関係(Fig.6)では五色台のかんらん石安山岩に似る。
OAlと2で、かんらん石は斜方輝石で縁取られている から、両鉱物は反応関係にある。両鉱物の組成変化を 見ると(Fig.2)、OA2のかんらん石と斜方輝石はどち らも、OAlのものよりもFe成分に富んでいる。OAlと2 の全岩化学組成はよく似ているが、OA2はOAlからわ ずかに分化したもののように見える。OAlと2のH20+
含有量はきわめて少ない(Table3)。しかし両者では斜 長石は、斑晶としても、微斑晶としてもまれにしか産 しないから、かんらん石安山岩を生成したマグマの PH20は高かっただろう。OAlと2で時どき見られる、か んらん石と斜方輝石の骸晶、単斜輝石の十字構造はガ ラスの存在とともに、おそらく上昇してきたマグマが 地下水で急冷したことを示す。急冷効果はまた、OA2の、
いくつかの普通輝石微斑晶で見られるMgの減少に伴う Alの増加に現れている(Table2C;白木ほか1984)。
3つの採集岩石、かんらん石安山岩OAl・2と古銅輝 石デイサイトODが含むかんらん石・斜方輝石の斑晶と 微斑晶の組成は、これらの岩石の起源を知る上で重要 である。すなわち、OAlのFo88のかんらん石斑晶はマ ントル上部物質のかんらん石に匹敵する。ODはEn89の 古銅輝石の斑晶を含むが、En89以上の斜方輝石はかん らん岩を除いて、無人岩(たとえばKuroda eと α7.
1978)や瀬戸内火山岩(たとえばSato1989;白木・副 島1989;白木・笹本1992;白木ほか1992)などの Si02とMgOに富む火山岩以外からは知られていない。
したがってオハクネかんらん石安山岩と古銅輝石デイ
サイトは、マントル上部に由来するMgOにも、Si02に も富む高マグネシア安山岩から派生した。
高マグネシアの古銅輝石デイサイトODはSiO2含有量 に比べて、いくらか高K02で、石基にNa20の2倍のK20 が濃集したガラスを含んでいる(Table 4)。トンガリロ 火山群の火山岩のK−Rb関係(Fig.6)で見ると、OD とOA1−3は火山岩の直線上配列の上にのり、対照的な 位置を占める。ODはかなり高K・Rbである。一万、両 元素にきわめて乏しいOA1−3はトンガリロ火山群の本 源的な玄武岩一安山岩に酷似する。オハクネかんらん 石安山岩を含めてのトンガリロ玄武岩−かんらん石安 山岩は、五色台の玄武岩・かんらん石安山岩(高K・Rtn とはっきり違っている。ODの、石基中の高K20ガラス と高En値をもつ斜方輝石斑晶の組み合わせは、通常の 結晶分別作用では成就しにくいように見える。高マグ ネシアの苗鋼輝石デイサイトODで見られる化学組成上 の不調和は、オハクネ火口から噴出したかんらん石安 山岩を生成したような高MgOで、適度に高Si02のマグ マと高Kの珪長質地殻物質の混成作用(または混合)
につながる、と考えられる。しかし、わずかの泥質岩 とチャートの砕片や外来結晶様の斜長石を除いて、特 徴ある包有物はOAl・2とODから見つかっていない。
Cole(1978)もまた、玄武岩質マグマが高Kで珪質の基 盤岩を同化して、Si02に富む火山岩を生成した、と考 えた。
謝 辞
この海外学術研究への参加者は、ほとんどが始めて のニュージーランド訪問で不案内であったが、前静岡 大学教授、故鮫島輝彦先生(当時オークランド大学客 員研究員)に北島の地熱地帯を中心にした数日の野外 巡検案内の労と、日常の便宜を親切にはからっていた だいた。ここで、感謝の気持を深く表したい。なお、
この研究は文部省科学研究費補助金(海外学術研究630 41068)の一部によって支えられた。
文 献
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