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原子力発電所用安全系ケーブルの 健全性評価に関する研究

Study on the integrity evaluation for safety-related cables

in nuclear power plants

2019年2月

皆川 武史

Takefumi MINAKAWA

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原子力発電所用安全系ケーブルの 健全性評価に関する研究

Study on the integrity evaluation for safety-related cables

in nuclear power plants

2019年2月

早稲田大学大学院先進理工学研究科 および東京都市大学大学院工学研究科 共同原子力専攻 加速器応用理工学特殊研究B

皆川 武史

Takefumi MINAKAWA

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目次

1章 序論 ··· 1

2章 熱・放射線によるケーブル絶縁体の劣化機構 ··· 18

3章 重大事故模擬環境におけるケーブルの絶縁性能の検証 ··· 37

4章 重大事故模擬環境に暴露したケーブルの劣化機構の調査 ··· 94

5章 ケーブルの難燃性に対する経年劣化処理の影響 ··· 146

6章 結論 ··· 171

謝辞 ··· 178

本論文に関する研究業績 ··· 179

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1

2011年3月11日に発生した東日本大震災に伴う大津波は,東京電力福島第一原子力発 電所事故という未曽有の原子力災害をもたらした。事故後には,原子力規制行政の一元 化等を目的として原子力規制委員会が設立されるとともに[1],事故の教訓や国内外の 知見を踏まえて新たな規制基準が制定された[2]。国内の原子力発電所では,事故から得 た教訓を基に,原子力安全対策の強化が図られている[3]。一方で,経済産業省が示した 2030年度のエネルギー需給見通しにおいては,原子力発電は,電源構成のうち20~22%

を占めるとされており[4],依然として,長期的なエネルギー需給構造の安定性に寄与す る重要なベースロード電源と位置付けられている[5]。

2019年1月11日時点において,国内には38基の原子炉が存在する。このうち,16基は 運転開始後30年以上が経過している。さらに,このうち4基は,運転期間延長認可申請 の審査に合格し,最大60年までの運転期間延長が認可されている[6]。このように,原子 炉の高経年化が進行する中で,原子力発電の安全性を維持・向上していくためには,原 子力発電所の機器・構築物の劣化評価を国内外の最新の知見を取り入れて行うとともに,

評価結果に基づく適時の経年劣化管理を行っていくことが重要である。

原子力発電所で使用されているケーブルは,原子炉1基当たり1000~2000kmに及ぶと 言われている[7]。これらのケーブルは,発電所内の機器に電力を供給する機能や,機器 を監視・制御するための信号を伝送する重要な機能を担う。また,ケーブルは,長期間 使用されることが想定される機器の一つである[8]が,ケーブルの絶縁材料には,高分子 が使用されており,通常運転時に熱や放射線環境にさらされることにより,徐々に経年 劣化が進行する。さらに,事故発生時において,事故の拡大を防止し,速やかに収束さ せるための安全機能を有するケーブル(以下「安全系ケーブル」)の一部は,長期間使用 されて経年劣化した後に,冷却材喪失事故(loss-of-coolant accident,以下「LOCA」)等の 設計基準事故(design basis accident,以下「DBA」)が発生し,原子炉格納容器内等で高温 蒸気及び高線量率・大線量の放射線に暴露されても絶縁性能を維持すること(耐環境性) が要求される[9, 10]。

図1-1に耐環境性が要求される安全系ケーブルの布設状況の模式図を示す[11]。このよ うな安全系ケーブルは,例えば,事故時に弁を閉止するための動力ケーブルや,格納容 器内の機器等の温度等を監視するための計装ケーブルとして使用されている。また,火 災防護対策として,原子力発電所で使用される全てのケーブルは難燃性を有することが 要求される[12, 13]。難燃性とは,火災により着火し難く,著しい燃焼をせず,燃焼部が 広がらない性質と定義される[13]。これらの要求事項を満たしているかを検証するため,

健全性評価試験が行われる。試験では,原子力発電所の布設環境における経年劣化や事 故時等の使用条件を的確に模擬し,実際の状況に対応した評価を行うことが重要であり,

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2

ケーブルに関する最新の要求性能や知見を反映した健全性評価手法を整備していくこ とが重要となる。

本学位論文は,安全系ケーブルの耐環境性及び難燃性に係る要求性能・規格基準の変 遷や国内外における過去の研究開発を様々な文献や情報をもとに調査した上で,その成 果及び安全系ケーブルに関する最新の性能要求や評価手法を踏まえ,安全系ケーブルの 健全性評価に関する知見を拡充するための広範な実験を行った研究の成果についてま とめたものである。

本章では,学位論文の第1章として,原子力発電所における安全系ケーブルの要求性 能・規格基準の変遷,安全系ケーブルの経年劣化管理,長期運転のための安全系ケーブ ルの健全性評価の考え方について整理する。また,これまでの安全系ケーブルの健全性 評価に関する研究について整理する。さらに,これらを踏まえ,安全系ケーブルの健全 性評価に関する研究課題について述べる。

1.2. 安全系ケーブルの要求性能・規格基準の変遷

これまで,国内外の原子力発電所では,様々な事故・トラブルを経験してきたが,そ の都度,得られた教訓を反映して,規格・基準類の見直しが行われてきた。ケーブルに ついても例外ではなく,ケーブルが直接的に事故やトラブルの原因でない場合であって も,原子力発電所の安全性向上の観点から,ケーブルに対する要求性能の高度化や,こ れに対応するための健全性評価試験手法の検討が行われてきた。これまで,このような 取り組みは,原子力発電の先進国である米国が牽引しており,米国において整備された 規格・基準類を基に,国際原子力機関(以下「IAEA」)の基準やガイド類の整備が行われ

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3

米国原子力委員会は,1967年7月に,軽水型原子炉の基本設計に関する最低限の要件 を定めた,米国連邦規則10CFRPart50「生産及び利用施設の認可規則」Appendix A「原子 力発電所一般設計指針」[10]を公表した。本指針では,ケーブルの健全性評価に関わる 内容として,指針3“Fire protection”(火災防護)が規定され,「可能な限り不燃性及び耐 熱性の材料を使用すること」とされた。本規則及び指針に対するパブリックコメントを 経て,1971年2月に公表された新たな指針では,指針4“Environmental and Missile Design Bases”(環境条件および動的影響に対する設計基準)として,「環境条件への適合」が追 加され,安全上重要な機器は,LOCA等のDBAを含む環境にも適合することが規定され た。これらに対応するため,米国電気電子学会(The Institute of Electrical and Electronics

Engineers, Inc,以下「IEEE」)により,原子力発電所の安全系電気・計装設備の機器認定

について規定したIEEE Std 323-1971[14]が試行ガイドとして発行され,その後,この改 定版であるIEEE Std 323-1974[15]が発行された。さらに,個別機器の規定として,原子 力発電所の安全系ケーブル及びスプライス接続の機器認定について規定したIEEE Std 383-1974[16]が発行された。本規格では,安全系ケーブルの耐環境性(設計基準事故を想 定)と耐延焼性(難燃性)の評価のための試験手法が規定されており,規格発行以降,安全 系ケーブルの健全性評価に広く用いられてきた。その後,本規格の改訂版であるIEEE Std 383 2003[17]では,耐延焼試験の規定が削除され,IEEE Std 1202-1991[18]に移管され た。IEEE Std 383 1974とIEEE Std 1202-1991の耐延焼試験方法は,若干の差異があるが,

いずれの方法も,米国原子力規制委員会(以下「NRC」)の火災防護に関する規制ガイド

「Fire Protection for Nuclear Power Plants」(RG 1.189-2009)[19]で容認されている。その後,

2011年の東京電力福島第一原子力発電所事故を受け,原子力施設の安全上重要な電気設 備の認定に関するIECとIEEEの共同規格IEC/IEEE 60780-323-2016では,重大事故条件で 機能を維持することが要求される設備の評価に関する規定が追加された[20]。

1.2.2 日本における状況

日本では,原子力委員会が1970年4月に策定した「軽水炉についての安全設計に関す る審査指針について」[21]においては,安全系ケーブルの耐環境性及び火災防護に関す る規定は示されていない。その後,1975年に米国ブランズフェリー1号機で発生したケ ーブル火災を受け,1975年12月23日に「発電用原子力設備に関する技術基準を定める省 令」が改訂され,「火災による損傷の防止」が規定された。この変更は,「発電用軽水型 原子炉施設に関する安全設計審査指針」(原子力委員会,1977年6月14日発行)[22]の指針

6「火災に対する設計上の考慮」に反映されるとともに[23],「発電用軽水型原子炉施設

の火災防護に関する審査指針」(原子力安全委員会,1980年11月6日)[24]にも反映され,

難燃材料の使用が要求されることとなった。また,耐環境性については,「発電用軽水

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4

それらの環境条件に適合できる設計であること」とされているが,詳細な内容は規定さ れていない。

1979年3月28日に,米国のスリーマイル島原子力発電所2号機で炉心損傷事故が発生し た。これに対し,国内では,原子力安全委員会の下部に,米国原子力発電所事故調査特 別委員会が設置され,調査及び規制行政や安全研究に関する勧告を行う役割を担った。

同委員会の第2次報告書では,「わが国の安全確保対策に反映させるべき事項」が示され ており,安全系ケーブルに関係する内容として,「LOCA条件下の格納容器内機器の信頼 性の研究」の必要性が指摘された[25]。また,原子力安全委員会は,審査,設計等関す る反映事項として,「事故監視計器の設計方針の確立」を挙げ[26],その後の検討の結果,

1990年に「発電用軽水型原子炉施設の安全機能の重要度分類に関する審査指針」[27]が 策定され,機器の重要度が明確化された。

規格の整備に関しては,IEEE Std 383-1974[16]を参考として,1982年に電気学会にお いて,「原子力発電所用電線・ケーブルの環境試験方法ならびに耐延焼性試験方法に関 する推奨案」(以下「電気学会推奨案」)[28]が策定され,安全系ケーブルの耐環境性及び 難燃性に関する試験方法が規定された。その後,安全系の電気・計装設備の耐環境性能 の試験方法として,日本電気協会において,「原子力発電所の安全系電気・計装品の耐 環境性能の検証に関する指針」(JEAG4623-2008)[29]が策定され,この中でケーブルにつ いては,電気学会推奨案[28]を用いることが容認されている。ケーブルの難燃性につい ては,「原子力発電所の火災防護指針」(JEAG4607-2010)[30]において,「難燃性ケーブル とはIEEE Std 383-1974の垂直トレイ試験に合格したものである」とされている。

2011年の東京電力福島第一原子力発電所事故を受けて作成された日本国政府の報告 書[31]では,事故から得られた教訓の一つとして,「原子炉及び格納容器などの計装系の 強化」が挙げられており,「原子炉と格納容器の計装系が十分に働かず,事故対応に必 要な原子炉の水位等の情報を的確に確保することが困難であった。このため,重大事故 時に十分に機能する原子炉と格納容器などの計装系を強化する」と述べられている。

2013年に施行された原子力発電所の新たな規制基準「実用発電用原子炉及びその附属 施設の位置,構造及び設備の基準に関する規則」[32]では,重大事故対策が要求事項と なり,重大事故に対処するための機能を有する設備(重大事故等対処設備)は,「想定され る重大事故等が発生した場合における温度,放射線,荷重その他の使用条件において,

重大事故等に対処するために必要な機能を有効に発揮するものであること」[32]と規定 された。本要求は包括的なものであり,個別機器であるケーブルに対する詳細な要求事 項は示されていないが,これにより,重大事故等対処設備に該当するケーブルは,供用

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5

1.3. 安全系ケーブルの経年劣化管理

前節で述べたように,ケーブルに対しては,耐環境性と難燃性の要求がある。耐環境 性については,これに影響を与える経年劣化事象として,絶縁性能の劣化(絶縁特性低 下)が挙げられており[33],経年劣化の評価及び経年劣化管理が行われる。一方,難燃性 については,ケーブルの設計で性能を担保するとの考え方に基づき,経年劣化による性 能の低下は想定されておらず,難燃性に着目した経年劣化管理は行われていない。この ため,ここでは,耐環境性に着目した経年劣化管理について述べる。

一般的に,ケーブルの絶縁性能に関する健全性確認は,原子力発電所の定期検査時に 絶縁抵抗測定やケーブルに接続された機器の機能試験により行われる。安全系ケーブル のうち,事故時雰囲気において機能要求のあるケーブルについては,これらのケーブル の管理に特化した機器認定プログラム(equipment qualification program,以下「EQプログ

ラム」)が各原子力発電所において整備され,経年劣化管理が行われることにより,健全

性が維持される。EQプログラムの概要を図1-2に示す[34]。

図1-2に示すように,EQプログラムでは,まず,「Design inputs」(①)において,対象機 器の抽出,要求性能の特定,各個別プラントにおける想定使用環境(通常運転時及び事 故時)の特定を行う。次に「Establishing EQ」(②)では,健全性評価試験において,模擬 的に経年劣化を付与した供試体を事故模擬環境に暴露し,健全性を確認するとともに,

Fig. 1-2. Schematic diagram of the process and activities in the equipment qualification (EQ) program for the electrical and I&C equipment in nuclear power plants [34].

Design Inputs Establishing EQ Preserving EQ

Feedback

Design Inputs Establishing EQ Preserving EQ

Upgrading EQ

identify PIEs

specify service conditions

determine required safety functions

develop list of equipment, including functions and mission time

define EQ requirements and criteria

select qualification method

establish qualification

assess ageing effects

define installation and maintenance requirements

document qualification results

installation and maintenance control

replacement control

modification control

service condition monitoring

analysis of degradation and failures

analysis of experience feedback

personnel training

documentation

Upgrading EQ is a special case of establishing EQ that applies to existing equipment in operating plants.

Upgrading EQ may also involve establishing or verifying design input information.

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6

拠資料の文書化を行う。その後,「Preserving EQ」(③)においては,前の項目で特定した 保守管理の実施,機器の状態監視,布設環境の監視,文書化等を行う。また,ここで得 られた知見及び運転経験・研究開発の知見については,適宜①,②にフィードバックさ れ,新たな評価に反映される[34, 35, 36]。このように,機器の健全性評価試験は,保守 管理の内容を決定するための根拠を与えるものであり,EQプログラムの中でも重要な 要素であると言える。このため,最新の要求性能に対応した健全性評価手法を確立し,

EQプログラムに反映していくことが重要となる。

1.4. 長期運転のための安全系ケーブルの健全性評価

図1-3に世界で供用中の原子力発電所の運転年数の分布を示す。2018年12月31日現在 において,全454基中298基が運転開始後30年以上,95基が運転開始後40年以上経過[37]

しており,高経年化プラントが増加している。原子力発電所が,認可期間,設計寿命又 は規制基準等により当初設定されていた期間を超えた運転(長期運転)を行うためには,

発電所の安全上重要な機器・構造物等の劣化評価及び経年劣化管理活動の妥当性確認を 行うことが必要となる[38]。

国内においては,発電用原子炉の運転期間は法令により40年と規定されているが,原 子力規制委員会の認可を受けた場合,1回に限り最大20年間延長することができ,60年

Fig. 1-3. Number of operational nuclear power reactors by age in the world [37].

(10)

7

設備については,延長しようとする期間において,「環境認定試験による健全性評価の 結果,設計基準事故環境下で機能が要求される電気・計装設備及び重大事故等環境下で 機能が要求される電気・計装設備に有意な絶縁低下が生じないこと」が要求されている。

本要求事項を踏まえ,電気事業者が作成する劣化状況評価書においては,安全重要度等 を考慮して評価対象機器が抽出され,運転時の温度,放射線線量率等の使用条件を反映 した評価が行われる。このうち,設計基準事故時の事故環境において機能維持が要求さ れる安全系ケーブルについては,電気学会推奨案[28]及び後述する「原子力発電所のケ ーブル経年変化評価試験ガイド」[41]に基づく健全性評価試験により,設計基準事故時 の健全性が評価されるとともに,寿命が評価されている。また,重大事故等対処設備に 該当する安全系ケーブルについては,電気学会推奨案[28]に基づく健全性評価試験によ り,重大事故時の健全性が評価されるとともに,寿命が評価されている[42, 43]。これら の評価の結果,安全系ケーブルの寿命が原子炉の運転期間に満たないと判断される場合 は,取替計画が策定され,寿命に至る前に取替えが行われる[42, 43]。

1.5. 安全系ケーブルの健全性評価に関する研究

1.5.1 安全系ケーブルの耐環境性に関する研究

1982年に策定された電気学会推奨案[28]は,それまでに行われた試験研究により取得 したデータ及び米国IEEE規格等を踏まえて安全系ケーブル健全性評価手法としてまと めたものである。電気学会推奨案[28]では,試験手法を規定するとともに,試験手法に 関する以下の研究の必要性を指摘している[28]。

a. 通常運転時の劣化の模擬として,熱劣化と放射線照射を同時に行う手法の研究

b. LOCA時の環境条件の模擬として,放射線照射と蒸気暴露を同時に行う手法の研究

c. LOCA時の酸素の影響

1983~1988年度に,「原子炉用電線類の健全性試験法に関する研究」(以下「JAERI研

究」)が日本原子力研究所により行われた。JAERI研究では,LOCA時の高温蒸気及び放 射線暴露による複合環境を模擬できる原子炉用電線材料健全性試験装置(SEAMATE-II) が製作され,この装置を用いて事故模擬環境下における安全系ケーブルの被覆・絶縁材 料の劣化挙動が,系統的に調査された。これらの調査は,上記の電気学会推奨案[28]で 指摘された課題のb及びcに対応するものである。その結果,蒸気暴露時に空気が存在し ない場合は,蒸気と放射線に同時に暴露(同時法)する場合と放射線暴露後に蒸気暴露す る(逐次法)場合で,劣化はほぼ等しくなることが確認された。一方,蒸気暴露時に空気 が存在すると,同時法は逐次法と比較して大きな劣化を与えることが確認された[44]。

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8 以下の課題が指摘された[8]。

a. 経年劣化の模擬において,過度な加速劣化(高温,高線量率)を与えると,実プラント とは異なる劣化機構となる可能性がある

b. 絶縁体の活性化エネルギーは,添加剤の配合により異なるので,評価対象の個別の ケーブル絶縁体について活性化エネルギーを算定する必要がある

c. 複数の環境要因を逐次的に模擬するよりも,同時に模擬する方が,相乗効果によっ て,劣化が激しく進行する可能性がある(1)

このような活動から,国内では,電気学会推奨案[28]の試験手法が,必ずしも実際の 原子力発電所における使用条件を正確に模擬できていない可能性があることが改めて 認識された。2002~2008年度に,国の研究プロジェクト「原子力プラントのケーブル経 年変化評価技術調査研究」[45](以下「ACA研究」)が財団法人発電設備技術検査協会(2003 年10月以降は原子力安全基盤機構に研究を移管)により行われた。ACA研究[45]では,安 全系ケーブル健全性評価試験手法の検討のため,熱劣化温度の影響,熱・放射線の劣化 手順の影響,ケーブルトレイ内の段積布設状態の荷重による劣化への影響,ケーブル供 試体の長さの影響などの調査が行われた。また,国内の原子力発電所で使用されている 主要な14種類の安全系ケーブルについて,従来手法よりも低温,低放射線線量率の条件 により,絶縁体の熱劣化データ,熱・放射線同時暴露による劣化データが取得された。

(1) 例えば,ケーブルの布設環境における劣化要因が熱と放射線であり,健全性評価試験でこれらによる 経年劣化を模擬する場合において,ケーブルを熱と放射線に同時に暴露する方が逐次に暴露するより も,劣化が進行する,といった場合が該当する。

(a) IEEJ Recommendation [28] (b) JNES Guide [41]

Fig. 1-4. Comparison of cable type test procedures between the IEEJ Recommendation and the JNES Guide.

(1) Pre-aging (Simultaneous thermal and radiation exposure

at 100oC and 100 Gy/h) (2) Accident simulation

(Radiation exposure at 10kGy/h or less) (3) Accident simulation

(Steam exposure) (4) Voltage withstand test

(JIS C 3005: 2000) Thermal aging

(121oC for 168 h, etc.)

Accident simulation (Steam exposure) Voltage withstand test

(Equivalent to IEEE Std 383)

Radiation aging (10kGy/h or less) Accident simulation (Radiation exposure at 10kGy/h or less)

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9

所のケーブル経年変化評価試験ガイド」(JNES-RE-2013-2049,以下「JNESガイド」)[41]

が発行された。図1-1に,電気学会推奨案[28]とJNESガイド[41]の健全性評価試験手順の 比較を示す。JNESガイド[41]の手法の電気学会推奨案[28]からの主な変更点は,経年劣 化の模擬を熱・放射線による同時暴露で行うこと,健全性判定試験をJIS規格で行うこと である。

さらに,経済産業省原子力安全・保安院により,2006年度から2010年度の5年間にわ たり,原子力発電所における高経年化対策のための基盤を整備することを目的とした高 経年化対策強化基盤整備事業[46]が実施され,この中で,ケーブルの劣化メカニズムに 関する研究が行われた。本研究では,特に絶縁材料に配合されている添加剤である酸化 防止剤に焦点を当てた検討が行われ,実プラントで使用されている安全系ケーブルの絶 縁材料(エチレンプロピレンジエンゴム,架橋ポリエチレン,ポリ塩化ビニル)をベース として,厚さ及び酸化防止剤の添加量を変化させたシート試料について,加速倍率の高 い劣化条件(最高温度175°C,60Coによるγ線の線量率1kGy/h)による劣化処理を行った後,

引張試験,顕微赤外分光等により分析が行われた。その結果,熱酸化に対しては酸化防 止剤がある限界濃度以下となると酸化劣化の速度が上昇すること,放射線に対しては劣 化の抑止効果は無いこと,酸化防止剤は高温で蒸発して,また,放射線では分解して,

濃度が低下すること等が確認された[47]。

1.5.2 ケーブルの難燃性に関する研究

米国サンディア国立研究所により,熱劣化が電気ケーブルの燃焼性に与える影響につ いての研究が行われた。この研究では,米国の原子力発電所で使用されている主要な2 種類のケーブル(低圧動力・制御用の架橋ポリエチレン絶縁ネオプレンゴムシースケー ブル,計装用のエチレンプロピレンゴム絶縁クロロスルホン化ポリエチレンシースケー ブル)について,熱劣化を付与した後,垂直トレイに設置して燃焼させ,発熱量及び燃焼 時の温度が測定された。その結果,劣化ケーブルの方が未処理ケーブルよりも,発熱量 が小さく,燃焼時の温度が低いことが確認された。このことから,劣化ケーブルは未処 理ケーブルよりも燃焼性が低下すると考えられることが示されている[48]。国内では,

ケーブルメーカにおいて,121°Cで7日間の熱劣化した後のケーブルを用いて,IEEE Std 383-1974に基づくケーブルの耐延焼性や酸素指数が調査された[49, 50]。

1.5.3 ケーブルの状態監視に関する研究

海外においては,静的機器であるケーブルは定期的な保全が不要な機器とされ,十分 な保全が行われないケースもあった。原子力発電所の運転期間が長期化する中で,米国

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10

された。状態基準認定は,安全系ケーブルの劣化状態を把握するための状態指標を定期 的,継続的に監視し,この結果に基づき,事故時環境における安全系ケーブルの健全性 を評価する手法であり,状態監視が1.3節で述べた機器認定の手法の一つと位置付けら れている。さらに,2012年9月に,IECとIEEEは,「安全上重要な原子力発電所の計装と 制御-電気設備機器の状態監視方法」(IEC/IEEE62582)[53]を発行し,原子力発電所のケー ブルに対し,インデンターモジュラス(IM)測定,破断時伸び(EAB)測定,酸化誘導時間 (OIT)測定等を適用する際のガイダンスを示した。

こ のよう な状況 を踏まえ ,2012年よ り,IAEAに おいて 共同研 究プロ ジェク ト

“Qualification, Condition Monitoring, and Management of Aging of Low Voltage Cables in.

Nuclear Power Plants”[54]が実施され,ケーブルの状態監視に活用される可能性のある 電気的手法(時間領域反射測定法(TDR),周波数領域測定法(FDR),tan等),機械的手法

(EAB測定,IM測定等),分光学的手法(フーリエ変換赤外分光法(FT-IR)),熱分析手法(示

差走査熱量測定(DSC),熱重量測定(TGA))等について,ベンチマーク試験が行われた[55]。

また,米国NRCは,2015年から,一般的に用いられているケーブル状態監視技術の有効 性評価を行うことを目的とした研究を行っている[56]。研究では,ケーブルを従来の手 法よりも低温,低放射線線量率で熱・放射線に同時暴露して,最終的に原子力発電所の

80年相当の劣化を付与する。その間,種々の状態監視手法(例えば,EAB測定,圧縮弾性

率の測定,FDR,FT-IR,TGA,OIT測定等)により測定を行い,劣化時間との相関を調査 することが計画されている[57]。

国内においては,前述のACA研究[45]において,非破壊劣化診断技術とEABの間の相 関についてデータが取得され,エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM),シリコーンゴ ム(SiR)に対しては,IM測定が有用であることが確認された[11]。また,前述の高経年化 対策強化基盤整備事業の一研究項目として,FDRの適用性を調査するための研究が行わ れた[58]。これらは,通常運転時の経年劣化の評価のために状態監視技術の適用するこ とを検討するものである。

一方,安全系ケーブルの健全性評価試験の設計基準事故時を模擬する蒸気暴露中に状 態監視技術を適用し,安全系ケーブルの性能を評価する研究も行われている。スウェー デンでは,電力会社等による原子力発電所の電気設備の経年劣化に関する共同研究の中 で,熱劣化を付与したEPDM絶縁ケーブル等について,DBAを模擬するLOCA試験時に 絶縁抵抗等の測定が行われた。その結果,EPDM絶縁ケーブルの絶縁抵抗は,ケーブル 長さ1メートル当たり105m程度まで低下することが確認されている[59]。国内において は,ケーブルメーカにおけるIEEE Std 383-1974の要求に適合する安全系ケーブルの研究 開発で実施したLOCA試験時に,絶縁抵抗を間欠的に測定した例がある[60]。近年,安

(14)

11 る[61]。

1.6. 安全系ケーブルの健全性評価に関する研究課題

前節までに示した安全系ケーブルの健全性評価に関する研究の変遷や,現在行われて いる安全系ケーブルの評価を踏まえ,研究課題を以下に示す。

(1) 熱・放射線によるケーブル絶縁体の劣化機構の解明

先行研究では,ケーブル絶縁体の熱及び放射線による劣化挙動の調査は,主にEABを 劣化指標として行われてきた。また,現状のケーブル健全性評価手法の加速劣化は,主 にEABを劣化指標として,アレニウス則等により条件設定が行われている。しかしなが ら,比較的低温度,低放射線線量率で長期間劣化処理を行った場合の化学構造の変化や EABの低下の要因に関する知見は少ない。このため,これらの知見を拡充することが課 題となる。

(2) 重大事故環境における安全系ケーブルの絶縁性能及び劣化機構の解明

東京電力福島第一原子力発電所事故を契機とした規制基準の整備により,新たに重大 事故対策が要求事項となり,重大事故等対処設備として使用される安全系ケーブルは,

重大事故時においても所定の機能を維持することが求められている。しかしながら,重 大事故対処設備に属する安全系ケーブルの健全性評価は,電気学会推奨案[28]に基づく 試験により行われており,電気学会推奨案[28]に代わる試験法として提案されている JNESガイド[41]の経年劣化の模擬手法は用いられていない。また,過去に実施された設 計基準事故を模擬した試験結果に基づき評価されている場合があり,このような評価で は,設計基準事故を模擬する蒸気暴露試験の温度条件が重大事故時の温度条件を包含す ることをアレニウス則により説明している[42]。また,重大事故を模擬する蒸気暴露中 の安全系ケーブルの絶縁性能の詳細は明らかではない。このため,重大事故を模擬する 手法を確立し,蒸気暴露時の安全系ケーブルの絶縁性能や劣化機構を調査することが課 題となっている。

(3) 安全系ケーブルの難燃性に対する経年劣化処理の影響の調査

ケーブルの難燃性に対する経年劣化の影響について試験研究が行われた例はいくつ か報告されているが,劣化ケーブル供試体についてIEEE規格[16, 18]に基づく垂直トレ イ試験を行っていない[48, 49],または,垂直トレイ試験は行っているが,経年劣化の模 擬を熱劣化のみで行っている[50]といった課題がある。また,先行研究で試験されたケ ーブルは,現在原子力発電所で使用されている主要な安全系ケーブルとは,製造メーカ や仕様が異なっている。ケーブルの性能は,製造メーカや添加剤の配合等により大きく 異なることが知られており[11],個々のケーブル種類について試験し,評価する必要が

(15)

12

1.7. 本論文に係る研究の目的

以上の調査結果を踏まえ,本研究では,原子力発電所用安全系ケーブルの健全性評価 手法の高度化に資することを目的として,ケーブルの耐環境性及び難燃性に関する以下 の検討を行う。すなわち,耐環境性については,通常運転時の熱・放射線によるケーブ ルの劣化機構を明らかにする。また,劣化ケーブルの重大事故環境条件下における絶縁 性能について詳細に明らかにするとともに,重大事故環境におけるケーブルの健全性評 価手法を確立する。さらに,重大事故環境条件下におけるケーブルの劣化挙動について 明らかにする。難燃性に関しては,ケーブルの難燃性に対する経年劣化の影響について 明らかにする。

1.8. 本論文の構成

本論文は,6章からなる。第1章「序論」では,本研究の背景として,ケーブルの健全 性評価の現状,評価の高度化に向けた研究開発状況について説明した。また,福島第一 原子力発電所事故を受けて発生した課題について説明した上で,本研究の目的とそれに 対するアプローチを述べた。第2章「熱・放射線によるケーブル絶縁体の劣化機構」で は,原子力発電所のケーブルの使用環境における劣化機構について研究した内容を述べ る。第3章「重大事故模擬環境におけるケーブルの絶縁性能の検証」では,国内の原子 力発電所の重大事故時雰囲気環境下において機能要求のあるケーブルについて,JNES ガイド[41]の手法に従って熱・放射線により模擬的に経年劣化を付与した後に,想定さ れる重大事故条件を十分に包含できる試験条件に暴露し,同時に,絶縁抵抗測定等の状 態監視技術を適用することにより,絶縁性能について検証した結果を述べる。また,高 温蒸気中におけるケーブルの絶縁抵抗低下の要因や,絶縁抵抗低下が計装システムによ る測定結果に与える影響について考察する。第4章「重大事故模擬環境に暴露したケー ブルの劣化機構の調査」では,第3章で重大事故模擬環境に暴露した後のケーブルにつ いて,特に,絶縁機能を担う部位である絶縁体に焦点を当てて,分光学的,熱的及び機 械的手法により詳細に分析し,経年劣化処理及び重大事故模擬条件によるケーブル絶縁 体の高分子構造,機械特性の変化等を調査した結果を述べる。また,これらの結果から,

蒸気暴露中における絶縁抵抗低下の要因について考察する。第5章「ケーブルの難燃性 に対する経年劣化処理の影響」では,原子力発電所で使用されている主要な安全系ケー ブルについて,JNESガイド[41]の手法に従って熱・放射線により模擬的に経年劣化を付 与した後に,IEEE規格[16, 18]に基づく垂直トレイ試験等を行い,ケーブルの経年劣化 が難燃性に与える影響について検証し,考察する。最後に,第6章「結論」では,第5章 までの研究で得られた成果と知見をまとめた上で,今後の展望を述べる。

(16)

13 http://elaws.e-

gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=424AC1000000047 (2019年1月22日確認)

[2] 原子力規制委員会,“実用発電用原子炉にかかる新規制基準について-概要-”

http://www.nsr.go.jp/data/000070101.pdf (2019年1月22日確認) [3] 電気事業連合会HP,“原子力発電所の安全対策”

https://www.fepc.or.jp/nuclear/safety/torikumi/taisaku/index.html (2019年1月22日確認) [4] 経済産業省,“長期エネルギー需給見通し”,p.7,2015.

[5] 資源エネルギー庁,“エネルギー基本計画”,p.19,2018.

[6] 日本原子力産業協会HP,“日本の原子力発電炉”

https://www.jaif.or.jp/cms_admin/wp-content/uploads/2019/01/jp-npps- operation190111.pdf (2019年1月22日確認)

[7] 中村孔亮,渡辺清,“電力システムに利用される電線・ケーブル”,日立ゴム協会誌,

Vol. 84,No.5,p.165-170,2011.

[8] International Atomic Energy Agency, “Assessment and management of ageing of major nuclear power plant components important to safety: In-containment instrumentation and control cables”, IAEA-TECDOC-1188, Volume I, pp.14, 26, 27, 2000.

[9] 原子力規制委員会,“実用発電用原子炉及びその附属施設の位置,構造及び設備の 基準に関する規則(第十二条第三項)”,平成25年原子力規制委員会規則第5号,2013.

[10] United States Nuclear Regulatory Commission, “General Design Criteria for Nuclear Power Plants”, 10 CFR Part 50 Appendix A, Criterion 4, 2017. [Online]. Available:

https://www.nrc.gov/reading-rm/doc-collections/cfr/part050/part050-appa.html. Accessed Oct. 16, 2018.

[11] 原子力安全基盤機構,“原子力プラントのケーブル経年変化評価技術調査研究に関

する最終報告書”,JNES-SS-0903,2009.

[12] 原子力規制委員会,“実用発電用原子炉及びその附属施設の技術基準に関する規則

(第十一条第一号)”,平成25年原子力規制委員会規則第6号,2013.

[13] 原子力規制委員会,“実用発電用原子炉及びその附属施設の火災防護に係る審査基 準”,平成25年6月19日原規技発第1306195号,p.6,2013.

[14] Institute of Electrical and Electronics Engineers, “IEEE Trial-Use Standard: General Guide for Qualifying Class1 Electric Equipment for Nuclear Power Generating Stations”, IEEE Std 323-1971, 1971.

(17)

14

Electric Cables, Field Splices, and Connections for Nuclear Power Generating Stations”, IEEE Std 383-1974, 1974.

[17] Institute of Electrical and Electronics Engineers, “Qualification of Safety-related Cables and Field Splices for Nuclear Power Plants”, IEEE Std 383-2003, 2003.

[18] Institute of Electrical and Electronics Engineers, “IEEE Standard for Flame Testing of Cables for Use in Cable Tray in Industrial and Commercial Occupancies”, IEEE Std 1202-1991, 1991.

[19] United States Nuclear Regulatory Commission, “Fire Protection for Nuclear Plants”, RG 1.189, 2009.

[20] International Electrotechnical Commission / Institute of Electrical and Electronics Engineers,

“International Standard Nuclear Facilities – Electrical equipment important to safety - Qualification”, IEC/IEEE 60780-323, 2016.

[21] 原子力委員会,“軽水炉についての安全設計に関する審査指針について”,昭和45年

4月23日, 1970.

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[22] 原子力委員会,“発電用軽水型原子炉施設に関する安全設計審査指針”,昭和52年6

月14日,1977.

http://www.aec.go.jp/jicst/NC/about/ugoki/geppou/V22/N06/197702V22N06.html (2018年 10月16日確認)

[23] 高嶋進,“発電用軽水型原子炉施設に関する安全設計審査指針の改定”,日本原子力

学会誌,Vol. 19,No.11,p.728-732,1977.

[24] 原子力安全委員会,“発電用軽水型原子炉施設の火災防護に関する審査指針につい て”,昭和55年11月6日,1980.

http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/t19801106001/t19801106001.html (2018年12 月24日確認)

[25] 原子力安全委員会米国原子力発電所事故調査特別委員会,“我が国の安全確保対策 に反映させるべき事項”,昭和54年9月,1979.

http://www.rist.or.jp/atomica/data/pict/02/02070406/02.gif (2018年10月16日確認)

[26] 原子力安全委員会,“「我が国の安全確保対策に反映させるべき事項」について(審

査,設計及び運転管理に関する事項(基準関係の反映事項は除く))”,原子力安全 委員会決定,昭和55年6月23日,1980.

(18)

15 査指針”,平成2年8月30日,1990.

http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/t19900830002/t19900830002.html. (2018年10 月16日確認)

[28] 電気学会,“原子力発電所用電線・ケーブルの環境試験方法ならびに耐延焼性試験 方法に関する推奨案”,電気学会技術報告(II部)第139号,1982.

[29] 日本電気協会,“原子力発電所の安全系電気・計装品の耐環境性能の検証に関する 指針”,JEAG4623-2008,2008.

[30] 日本電気協会,“原子力発電所の火災防護指針”,JEAG4607-2010,2010.

[31] Nuclear Emergency Response Headquarters, Government of Japan, “Report of the Japanese Government to the IAEA Ministerial Conference on Nuclear Safety -The Accident at TEPCO’s Fukushima Nuclear Power Stations-,” p.XII-8, June 2011.

[32] 原子力規制委員会,“実用発電用原子炉及びその附属施設の位置,構造及び設備の 基準に関する規則(第四十三条第一項)”,平成25年原子力規制委員会規則第5号,

2013.

[33] 日本原子力学会,“原子力発電所の高経年化対策実施基準”,AESJ-SC-P005:2015,

2015.

[34] International Atomic Energy Agency, “Equipment Qualification in Operational Nuclear Power Plants: Upgrading, Preserving and Reviewing”, IAEA Safety Reports Series No. 3, 1998.

[35] International Atomic Energy Agency, “Safety of Nuclear Power Plants: Design”, IAEA Specific Safety Requirements No. SSR-2/1 (Rev. 1), Requirement 30, p.30, 2016.

[36] United States Nuclear Regulatory Commission, “Environmental qualification of electric equipment important to safety for nuclear power plants”, 10CFR Part 50.49. [Online].

Available: https://www.nrc.gov/reading-rm/doc-collections/cfr/part050/part050-0049.html.

Accessed Oct. 16, 2018.

[37] International Atomic Energy Agency, Power Reactor Information System. [Online].

Available: https://pris.iaea.org/PRIS/WorldStatistics/OperationalByAge.aspx. Accessed Jan.

1, 2019.

[38] International Atomic Energy Agency, “Ageing Management and Development of a Programme for Long Term Operation of Nuclear Power Plants”, Draft Specific Safety Guide DS485, pp.12-13, 2016.

[39] 核原料物質,“核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律”,平成二十九年法律第十

五号,第四十三条の三の三十二,2017.

(19)

16 2013-2049,2014.

[42] 関西電力,“高浜発電所運転期間延長認可申請書(2 号発電用原子炉施設の運転の期

間の延長)の一部補正について(添付書類二:高浜発電所 2 号炉劣化状況評価書)”,

関原発第111号,2016.

http://www.nsr.go.jp/data/000153497.pdf (2018年11月21日確認)

[43] 日本原子力発電,“東海第二発電所運転期間延長認可申請書(発電用原子炉施設の運 転の期間の延長)(添付書類二:東海第二発電所劣化状況評価書)”,発室発第176号,

2017.

http://www.nsr.go.jp/data/000210828.pdf (2018年11月21日確認)

[44] 日馬康雄,岡田漱平ら,“原子炉用電線類の健全性試験法に関する研究-SEAMATE II

を用いた絶縁材料のLOCA時の劣化の研究-”,日本原子力研究所,JAERI-M 88-178,

1988.

[45] 原子力安全・保安部会原子力安全基盤小委員会報告~原子力の安全基盤の強化につ いて~,第45回原子力委員会資料第1-2号,p.46.

http://www.aec.go.jp/jicst/NC/iinkai/teirei/siryo2007/siryo45/siryo45-1-2.pdf (2018 年 12 月10日確認)

[46] 原子力安全基盤機構,高経年化対応技術戦略マップ2008,p.9.

http://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/10224321/www.nsr.go.jp/archive/jnes/content/00001 2922.pdf (2018年12月10日確認)

[47] T. Seguchi, K. Tamura, A. Shimada, M. Sugimoto, H. Kudoh, “Mechanism of antioxidant interaction on polymer oxidation by thermal and radiation ageing. Radiat. Phys. Chem. 81, pp.1747-1751, 2012.

[48] Sandia National Laboratories, “The Impact of Thermal Aging on the Flammability of Electric Cables”, NUREG/CR-5619, 1991.

[49] 井田正士ら,“原子力発電所用ケーブル-第3 報ケーブルの事故時特性-”,藤倉電線

技報,第55号,p.57,1976.

[50] 片山史郎ら,“難燃性ケーブルの耐延焼性について”,タツタ電線技報,No. 11,1978.

[51] United States Nuclear Regulatory Commission, “Submerged Safety-Related Electrical Cables”, NRC Information Notice 2002-12, 2002. [Online]. Available:

https://www.nrc.gov/reading-rm/doc-collections/gen-comm/info- notices/2002/in02012.html. Accessed Dec. 2, 2018.

[52] United States Nuclear Regulatory Commission, “Inaccessible or underground power cable failures that disable accident mitigation systems or cause plant transients”, NRC Generic

(20)

17

control important to safety – Electrical equipment condition monitoring methods – Part 2:

Indenter modulus,” IEC/IEEE 62582-2, 2011.

[54] International Atomic Energy Agency HP

[Online]. Available: https://www.iaea.org/newscenter/news/iaea-publishes-results-of-a- research-project-on-cable-ageing-management-in-operating-and-next-generation-reactors [55] International Atomic Energy Agency, “Benchmark Analysis for Condition Monitoring Test

Techniques of Aged Low Voltage Cables in Nuclear Power Plants – Final Results of a Coordinated Research Project”, IAEA-TECDOC-1825, 2017.

[56] United States Nuclear Regulatory Commission, “Research Activities FY 2018-2020”, NUREG-1925, p.150, Revision 4, 2018.

[57] Stephanie Watson, “Service Life of Electrical Cable and Condition Monitoring Methods”, [Online]. Available:

https://www.nist.gov/sites/default/files/documents/el/building_materials/Watson_SLPMarc hMeeting_2.pdf. Accessed Oct. 10, 2018.

[58] Y. Ohki and N. Hirai, “Effects of the Structure and Insulation Material of a Cable on the Ability of a Location Method by FDR”, IEEE Transaction on Dielectrics and Electrical Insulation, Vol. 23, No. 1, 2016.

[59] K. Spang, “Aging of Electrical Components in Nuclear Power Plants”, Swedish Nuclear Power Inspectorate (SKI), SKI Repor97:40, p.45, 1997.

[60] 栗山将,長谷川徹,小椋二郎,大西隆雄,木村洋,“原子力発電所ケーブルの開発”,

日立評論,Vol. 58,No. 3,1976.

[61] International Electrotechnical Commission / Institute of Electrical and Electronics Engineers,

“IEEE/IEC Draft International Standard - Nuclear Power Plants-Instrumentation and Control Important to Safety - Electrical Equipment Condition Monitoring Methods. Part 6: Insulation resistance”, IEC/IEEE P62582-6, 2015.

(21)

18

原子力発電所で使用されているケーブルは機器へ電力を供給する機能や機器の監視・

制御信号を伝達する機能を有する。このうち,安全系の低圧ケーブルは,供用期間中の 設計基準事故を含む想定される全ての環境条件下において機能を維持することが必要 となる[1, 2]。これらのケーブルの絶縁体には高分子化合物が使用されており,主に通常 運転時の熱及び放射線により経年劣化が進行するとともに,設計基準事故時の高温水蒸 気と高線量率・大線量の放射線に曝されることにより急激な性能低下の可能性がある。

このため,これらのケーブルは,実プラントで使用されるものと同型式の新品ケーブル を供試体として通常運転時相当の劣化を付与した後,最も厳しい事故条件を模擬する環 境条件に曝露して要求機能を満たすことを検証する健全性評価試験により,供用期間中 の健全性が評価される[3, 4]。

通常,健全性評価試験における通常運転時の熱及び放射線による劣化の模擬は,加速 劣化処理が用いられる。しかし,健全性評価試験の加速劣化処理は,高温,高放射線線 量率(例えば,温度130°C以上,線量率104Gy/h以上)で行われることがあり,実プラン トと異なる劣化モードとなる可能性が指摘されている[5, 6, 7]。また,熱と放射線を逐次 で与える劣化処理が行われており,運転時に熱・放射線に曝される実プラントの状況と は異なっている。

これらを踏まえ,著者らは,実プラント環境条件により近い条件下における健全性評 価試験方法の検討の一環として,実プラントで使用されるものと同型式の新品ケーブル の絶縁体を対象として,従来の健全性評価試験の条件よりも低温,低線量率(温度100°C,

放射線線量率 100Gy/h)で長期間の熱劣化処理及び熱・放射線による同時劣化(以下「同 時劣化」)処理を行い,劣化挙動の分析を行ってきた[8]。分析にあたっては,ケーブル の熱劣化と放射線劣化による絶縁性能の低下は絶縁体である高分子材料の伸びの低下 として顕著に現れる[4]ことを踏まえ,劣化指標として広く用いられている破断時伸び (EAB)[9, 10]を用いた。

本研究では,ケーブル絶縁体において見られる,劣化処理によるEAB 低下の要因を 詳細に調査するため,3 種類の絶縁体について架橋度測定,示差走査熱量分析(DSC)及 び全反射型フーリエ変換赤外分光法による赤外吸収スペクトル測定を行い,EAB と固 体構造の変化との関係について検討を行った。

2.2. 試験方法 2.2.1 試料

本研究では,実プラントの安全系低圧ケーブルとして使用されるものと同型式の新品 ケーブルを解体して絶縁芯線から導体を引き抜いた管状の絶縁体を試料として用いた。

(22)

19

XLPEで34,546h,FR-XLPE及びFR-EPDMで42,481h)加熱し,熱劣化試料を製作した。ま た,管状試料をガンマ線照射施設内に設置した恒温槽内に入れ,100°Cで所定期間(最大 劣化期間:XLPEで2,723h,FR-XLPEで4,619h,FR-EPDMで11,646h)加熱しながら,60Co ガンマ線100Gy/hを照射することで,同時劣化試料を製作した[8]。熱劣化処理の加熱温 度は,加速劣化を十分に進行させるため供試ケーブルの最高許容連続使用温度以上とし,

さらに,ポリエチレンの融点105~110°C[11]を考慮して100°Cとした[8]。また,線量率は 絶縁体内部まで均一な劣化が生じると考えられる値として100Gy/hとした[8]。

Table 2-1. Names, materials, structures, sizes, and lengths of the tested cables.

Name Insulation Nominal

external diameter (mm)

Nominal conductor

size (mm2)

Number of cores

Nominal insulation

thickness (mm) Jacket

XLPE cable Cross-linked polyethylene

11.0 2.0 3 0.8

Vinyl FR-XLPE cable

Flame-retardant cross-linked

polyethylene 11.0 2.0 3 0.8

Flame-retardant special heat- resistant polyvinyl chloride FR-EPDM

cable

Flame-retardant ethylene

propylene diene rubber 11.5 2.0 3 0.8

Polychloroprene (CR)

2.2.2 試験項目 2.2.2.1 引張試験

JIS C 3005-2000「ゴム・プラスチック絶縁電線試験方法」の4.16項“絶縁体およびシー

スの引張り”[12]に基づき,熱劣化及び同時劣化試料の破断時の伸びを室温で測定した。

なお,引張速度は,同規格[12]に基づき,XLPEとFR-XLPEは200mm/min,FR-EPDM は500mm/minとした[8]。

2.2.2.2 架橋度測定

EAB が大きく低下するのは,熱劣化及び同時劣化処理による絶縁体の低分子量化が 要因ではないかと考え,XLPE,FR-XLPE及びFR-EPDMについて,EABが低下してい る領域における代表的な試料を対象として,架橋度の測定を行った。測定は,JIS K6796- 1998「架橋ポリエチレン製(PE-X)管及び継手−ゲル含量の測定による架橋度の推定」[13]

に基づいて行った。すなわち,ミクロトームを用いて管状試料を芯線長手方向と垂直に 輪切りにした試料をステンレスメッシュ製のかごに入れ,沸騰キシレン中で加熱した後 に得られる残留物の質量から架橋度を算定した。なお,管状試料が少量であったことか

(23)

20

2.2.2.3 示差走査熱量分析

結晶性高分子化合物であるポリエチレンがベースポリマーとして用いられている

XLPE及びFR-XLPEに関しては,EABが大きく低下するのは,劣化処理に伴う絶縁体

の結晶構造等の固体構造の変化が要因ではないかと考え,EAB が低下している領域に おける代表的な試料を対象としてDSC測定を行った。なお,FR-EPDMのベースポリマ ーのエチレンプロピレンジエンゴムは,結晶性高分子ではないため,本試験項目による 評価は行っていない。測定には,マックサイエンス社(現ネッチジャパン社)製DSC3100 を用いた。各試料の薄片7~8mg をアルミニウム製試料容器に入れ,窒素 50ml/min 気 流中で液体窒素により-140°Cまで冷却した後,20°C/minで200°Cまで昇温して測定を 行った。測定結果をもとに,融解温度をJIS K7121-1987[14]に従って算出した。また,

融解熱をJIS K7122-1987[15]に従って算出した。さらに,式(2.1)により,結晶化度C

算出した。

𝐶 = (∆𝐻 ∆𝐻°)⁄ × (100/𝑤) × 100 (2.1) ここで,Hは絶縁体の融解熱(J/g),Hoは完全結晶体融解熱量287J/g[16],wは絶縁体 中のベースポリマーの重量割合(%)である。

2.2.2.4 赤外吸収測定

熱劣化及び同時劣化処理による絶縁体中のより微視的な官能基レベルの分子構造の 変化を調べるため,XLPE,FR-XLPE及びFR-EPDMについて,JASCO製FT/IR6000シ

リーズATR PRO ONE測定装置を用いて赤外吸収の測定を行った。管状試料をミクロト

ームで芯線長手方向に対して45度の角度で切断し,この断面を測定対象とした。測定 スポット径は2mm,1試料あたりの測定積算回数は64回,波数分解能は4cm-1である。

2.3. 試験結果 2.3.1 引張試験

XLPE,FR-XLPE及びFR-EPDMのEABと劣化時間の関係を図2-1に,左側の縦軸を

使って示す[8]。ここでは,データ点の少ないFR-EPDMの熱劣化試料を除き,ロジステ ィック関数により回帰曲線を描いた。絶縁体種類によりEABが減少する劣化時間の領 域は異なるが,同時劣化及び熱劣化いずれでも劣化時間とともに低下している。また,

同時劣化でより早期に低下しており,より厳しい劣化が起こっていること分かる。

(24)

21

た。また,EABが十分に低下した試料を含むXLPE及びFR-XLPEについて,EABと明 確な相関は確認されなかった。

(a) XLPE

Fig. 2-1(1/2). Elongation at break and gel fraction of XLPE, FR-XLPE, and FR-EPDM as a function of aging time.

102 103 104 1050

20 40 60 80 100

Gel fraction (Initial) Gel fraction (Thermal) Gel fraction (Simultaneous) EAB (Thermal)

EAB (Simultaneous)

Aging time (h)

Gel fraction (%)

0 100 200 300 400 500 600

Elongation at break (%)

(25)

22 (b) FR-XLPE

(c) FR-EPDM

Fig. 2-1(2/2). Elongation at break and gel fraction of XLPE, FR-XLPE, and FR-EPDM as a function of aging time.

102 103 104 1050

20 40 60 80 100

Gel fraction (Initial) Gel fraction (Thermal) Gel fraction (Simultaneous) EAB (Thermal)

EAB (Simultaneous)

Aging time (h)

Gel fraction (%)

0 100 200 300 400 500 600

Elongation at break (%)

102 103 104 1050

20 40 60 80 100

Gel fraction (Initial) Gel fraction (Thermal) Gel fraction (Simultaneous) EAB (Thermal)

EAB (Simultaneous)

Aging time (h)

Gel fraction (%)

0 100 200 300 400 500 600

Elongation at break (%)

(26)

23

W/gずつ移動させて図示した。XLPEの未劣化試料では,図2-2(a)のように,107°Cに融 解ピークが観測された。同時劣化試料では,劣化時間995hの試料において融解ピーク

が116°Cまで高温側にシフトした。なお,熱劣化試料においても,同様に融解ピークは

113°Cまで高温側にシフトした。FR-XLPEの未劣化試料では,図2-2(b)のように,97°C

に融解ピークが観測された。同時劣化試料については,測定データが得られている劣化

時間1,958h以降の試料において,未劣化試料の97°Cの融解ピークに相当するピークが

縮小するとともに高温側の113°C及び低温側の70°C近傍のピークが増大した。最終的 に,劣化時間3,987hの試料では,97°C付近の融解ピークは完全に消失した。

XLPE及びFR-XLPEの未劣化試料及び同時劣化試料のDSC曲線を図2-3に示す。熱

劣化試料のDSC 曲線については,同時劣化試料よりも劣化処理時間が長い領域におい て同様の挙動が見られた。

XLPE 及び FR-XLPE の結晶化度と劣化時間の関係を図2-4 に,右側の縦軸を使って

示す。また,図2-4では,結晶化度とEABの関係を示すために,EABを左側の縦軸を 使って示している。XLPE は,図 2-4(a)に示すように,結晶化度の劣化時間による有意 な変化は観察されなかった。一方,FR-XLPEでは,図2-4(b)に示すように,熱劣化試料,

同時劣化試料共に劣化時間とともに結晶化度が増加した。

(27)

24 (a) XLPE

(b) FR-XLPE

Fig. 2-2. DSC spectra of XLPE and FR-XLPE aged by simultaneous heat and gamma-irradiation, as a function of aging time. Note that the spectra are plotted with vertical offsets of 1.0 W/g for (a) XLPE and 0.15 W/g for (b) FR-XLPE for clarity.

-100 -50 0 50 100 150 200

-7 -6 -5 -4 -3 -2

Heat flow (W/g)

Untreated

Simultaneous aging for 322 h Simultaneous aging for 559 h Simultaneous aging for 995 h

Temperature (°C)

-100 -50 0 50 100 150 200

-1.4 -1.2 -1.0 -0.8 -0.6 -0.4 -0.2 0.0

Heat flow (W/g)

Untreated

Simultaneous aging for 1,958 h Simultaneous aging for 2,500 h Simultaneous aging for 3,165 h Simultaneous aging for 3,987 h

Temperature (°C)

(28)

25 (a) XLPE

(b) FR-XLPE

Fig. 2-3. DSC spectra of XLPE and FR-XLPE aged by heat, as a function of aging time. Note that the spectra are plotted with vertical offsets of 1.0 W/g for (a) XLPE and 0.15 W/g for (b) FR- XLPE for clarity.

-100 -50 0 50 100 150 200

-7 -6 -5 -4 -3 -2 -1

Heat flow (W/g)

Untreated

Thermal aging for 6,489 h Thermal aging for 8,649 h Thermal aging for 14,386 h

Temperature (°C)

-100 -50 0 50 100 150 200

-1.4 -1.2 -1.0 -0.8 -0.6 -0.4 -0.2 0.0

Heat flow (W/g)

Untreated

Thermal aging for 8,433 h Thermal aging for 19,161 h Thermal aging for 33,466 h Thermal aging for 42,481 h

Temperature (°C)

(29)

26 (a) XLPE

(b) FR-XLPE

Fig. 2-4. Elongation at break and cristallinity of XLPE and FR-XLPE as a function of aging time.

102 103 104 1050

10 20 30 40 50 60

Crystallinity (Initial) Crystallinity (Thermal) Crystallinity (Simultaneous) EAB (Thermal)

EAB (Simultaneous)

Aging time (h)

Crystallinity (%)

0 100 200 300 400 500 600

Elongation at break (%)

102 103 104 1050

10 20 30 40 50 60

Crystallinity (Initial) Crystallinity (Thermal) Crystallinity (Simultaneous) EAB (Thermal)

EAB (Simultaneous)

Aging time (h)

Crystallinity (%)

0 100 200 300 400 500 600

Elongation at break (%)

(30)

27

1ずつ移動させて図示した。図2-5(a)のXLPEについては,C-H結合に由来する吸収(2920 及び2850 cm-1近傍:CH2伸縮振動,1470 cm-1近傍:CH2変角振動,720 cm-1近傍:CH2

横揺れ[17])のみが確認された。一方,FR-XLPE及びFR-EPDMについては,図2-5(b)及 び(c)に示すように1400~1100cm-1及び1800~1650cm-1近傍にもベースポリマーの化学 構造に由来しない複数の吸収が見られる。これらは,添加剤に由来する吸収であると推 定される。

熱劣化及び同時劣化を行ったXLPE,FR-XLPE及びFR-EPDMの赤外吸収スペクトル

(1800~1200cm-1)を図 2-6 に示す。ここでは見やすさのため吸収スペクトルを縦軸方向

にそれぞれ 1 ずつ移動させて図示した。また,得られたスペクトルを比較するため,

1470cm-1近傍のメチレン基の吸収ピーク高さ(以下「吸光度」)により規格化を行った[18]。

XLPEでは,図2-6(a)の右の拡大図に示すように,劣化時間が995時間の同時劣化試料

において 1713cm-1近傍のカルボン酸及び 1740cm-1近傍のカルボン酸エステルによる吸

収[19]によるピークの増大が見られる。また,FR-XLPE及びFR-EPDMについては,そ

れぞれ図2-6(b)及び(c)の右の拡大図に示すように,劣化時間とともにカルボン酸による

ピークの増大が見られた他,1774cm-1近傍に無水カルボン酸[19]のピークが見られる。

高分子絶縁材料の劣化は,主に酸化劣化によるものと考えられている[20]。本研究では,

酸化劣化反応により発生すると考えられるカルボン酸[21]の生成量と EAB の相関を求 めることとした。ただし,図2-6(b)及び(c)に示すように,FR-XLPE及びFR-EPDMでは,

未劣化試料であっても 1713cm-1近傍に添加剤に含まれるカルボニル基に起因する吸収 ピークが存在することから,この影響を除去するため,劣化試料の吸光度から未劣化試 料の吸光度を差し引いた。劣化処理により生成したカルボン酸に起因する吸光度の変化 を図2-7の右側の縦軸を使って示す。また,図2-7では,カルボン酸に起因する吸光度 とEABの関係を示すために,EABを左側の縦軸を使って示している。同時劣化試料で は,全ての絶縁体種類で劣化時間が長くなるとともに吸光度の変化分が増加しているが,

この増加は,EABの低下が見られる劣化時間領域と重なる領域において起こっており,

絶縁体種類により異なる。一方,熱劣化試料では,EAB が十分に低下した試料を含む

XLPE 及び FR-XLPE においても,吸光度の変化分は劣化時間に対して明確な変化は見

られなかった。

(31)

28

Fig. 2-5. FT-IR spectra measured for XLPE, FR-XLPE, and FR-EPDM before aging treatment.

Note that all the spectra are normalized by peak intensity of 2920 cm-1 and are plotted with vertical offsets of 1 for clarity.

4000 3500 3000 2500 2000 1500 1000 500 0 1

2 3

718 cm-1 CH2 bending

1713 cm-1 Additive

1018 cm-1 Talc 1460 cm-1 CH2 scissoring

(c) FR-EPDM (b) FR-XLPE

3676 cm-1 Talc

2849 cm-1 CH2 symmetric stretching 2918 cm-1

CH2 asymmetric stretching

Wave number (cm

-1

)

(a) XLPE

Absorbanc e

(32)

29

respective peak intensities at 1470 cm-1 and that spectra of left figures are plotted with vertical offsets of 1 for clarity.

(33)

30 (a) XLPE

(b) FR-XLPE

Fig. 2-7(1/2). Elongation at break and infrared absorption at 1713 cm-1 for XLPE, FR-XLPE, and FR-EPDM, as a function of aging time.

102 103 104 1050.0

0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 EAB (100 °C) 0.6

Aging time (h)

Absorbance

0 100 200 300 400 500

Elongation at break (%)

102 103 104 1050.0

0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7

FT-IR (100 °C and 100 Gy/h) FT-IR (100 °C)

EAB (100 °C and 100 Gy/h) EAB (100 °C)

Aging time (h)

Absorbance

0 100 200 300 400 500 600

Elongation at break (%)

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