九州大学学術情報リポジトリ
Kyushu University Institutional Repository
尾道学資料 : 小林和作の思い出
荒木, 正見
総合文化学会・哲学・倫理学・心理学
https://doi.org/10.15017/2552919
出版情報:総合文化学論輯. 9, pp.35-, 2018-11-01. 総合文化学研究所 バージョン:
権利関係:
35
尾道学資料
音声資料
小林和作の思い出
1992 年 2 月 8 日
小林和作氏御夫人小林敏子氏および御息女小林年子氏へのインタビュー 聴き手:荒木正見(本稿執筆とも)
※本誌の特徴として、学会員がそれぞれに研究・教育・社会活動に携わる記録や資料を 必要に応じて格納し、広く社会に公開して文化発展の助けにするという側面がある。
荒木正見は「尾道学」の必要性を初めて唱えたものとして、手元に多くの尾道関係資料 を有するし、また現在も活躍中の尾道学研究会のメンバーも貴重な資料収集に当たって いる。それらの多くは現在編纂中の新規「尾道市史」のために尾道市に収納されつつ あるが、中には収納されにくい資料もあるし、重なっても本誌にも残しておきたい資料 もある。それらを柔軟に格納できる本誌の特徴を生かして尾道学資料を格納していく。
画家小林和作(明治21年(1888)~昭和49年(1974))は、山口県秋穂に育った後、京 都、東京を経て昭和9年(1934)に尾道に移住し86年の生涯を閉じるまで40年間を尾道で 過ごした。それが小林和作と尾道とにとってどれほどの深い意味があるかについて、筆者 は、かつて『尾道という場所論 ―志賀直哉・小林和作・大林宣彦の風景―』(荒木正見 著・中川書店・1993年)で論じた。今回提供する音声資料はその書籍執筆の基礎資料の一 端である。尾道市長江2丁目の高台にある旧居でご親切かつ丁寧にお話しくださってから 27年の歳月が流れた。カセットテープが辛うじて聞き取れるいま、残す最後の機会だとい うことでMP3方式に複製した。お二人ともすでに亡くなられた今、生の資料を半永久的 に残すために、当時、筆者をお二人に引き合わせて下さったご親族とも話し合って本誌に 掲載する。
今改めて聞いても、御夫人と御息女の愛情のこもった思い出の語りは、当時の光景を まざまざと呼び起こすのみならず、小林和作その人の豊かな人格を生々しく感動的に伝え てくれる。
なお、聴き手である筆者の技術不足で、聴き手の音量が大きすぎるきらいがあることと 筆者の聞き取り技術のひとつで、このような方々とお話しする場合、ラポールを得るため に筆者自身の状況を語りつつ場を作るが、時に耳障りであることをお詫び申し上げる。