物理学演習 第8回 円運動(2),摩擦力,抵抗力 解答例
ウォーミングアップ
積の積分(置換積分ですっきりいかない場合)は,部分積分の公式
∫
f(x)g(x)dx=F(x)g(x)−
∫
F(x)g′(x)dxを利用して みる.
(1)
∫
x3logx dx= x4
4 logx−
∫ x4
4 (logx)′dx= x4
4 logx−
∫ x3 4 = x4
16(4 logx−1) (2)
∫
xsinx dx=x(−cosx)−
∫
(x)′(−cosx)dx=−xcos + sinx (3)
∫
e2xcosx dx=e2xsinx−
∫
(e2x)′sinxdx=e2xsinx−2
∫
e2xsinxdx
=e2xsinx−2{e2x(−cosx)−
∫
(e2x)′(−cosx)dx}=e2xsinx+ 2e2xcosx−4
∫
e2xcosxdxここで,右辺の積分を左 辺に移項して,5
∫
e2xcosx dx=e2xsinx+ 2e2xcosx,よって,
∫
e2xcosx dx= e2x
5 (sinx+ 2 cosx)
《問A》(1) (摩擦力を求めるとき,垂直抗力の大きさがmg−Fsinθになることに注意.)
力のつり合いFcosθ=µN =µ(mg−Fsinθ)から(cosθ+µsinθ)F =µmg.∴F = µmg cosθ+µsinθ. (2) 0≤θ < π
2 の範囲で,Fの分母cosθ+µsinθが最大であるようなθを求めればよい.分母の微分=−sinθ+µcosθが0 になるのはtanθ=µのときで,分母の2階微分=−(cosθ+µsinθ)<0であるから,このθで確かに最大となる.
(3) 等速直線運動するとき力のつり合いが成立しているのでF′cosθ=µ′N=µ′(mg−Fsinθ).∴F′= µ′mg cosθ+µ′sinθ. (4) (2)と同様の考え方により,tanθ=µ′を満たすθ.
《問B》静止摩擦係数をµ,重力加速度をgで表す.半径r,速さvで円運動するための力は静止摩擦力*1で,これは向心力 mv2 r と等しい.よって,これが最大静止摩擦力µmgより小さければよいから,v≤ √µrg であればよい.
(1) mv2
r < µmgよりv <√µrg.∴v <√
0.5×10×9.8 = 7.0[m/s].
(2) v <√
0.5×50×9.8 = 1.6×101[m/s].
《問C》(1) 斜面に沿って上向きの速度をv(t)とすると,消しゴムに関する運動方程式は,mdv
dt =−mg(sinθ+µ′cosθ). この両辺を積分してv(t) =v0−g(sinθ+µ′cosθ)t,x(t) =v0t− 1
2g(sinθ+µ′cosθ)t2.(初期位置は原点とした).
ここでv(T1) = 0よりT1= v0
g(sinθ+µ′cosθ) およびL=x(T1) = 1 2
v20
g(sinθ+µ′cosθ). (2) 重力の斜面成分が最大静止摩擦力より大きいと戻ってくるのでmgsinθ > µmgcosθ.∴tanθ > µ.
(3) 斜面に沿って下向きの速度をv(t)とすると,運動方程式はmdv
dt =mg(sinθ−µ′cosθ).
これを積分してv(t) =g(sinθ−µ′cosθ)t,x(t) = 1
2g(sinθ−µ′cosθ)t2.(静止した位置を原点とし,初期位置とした)
ここでx(T2) =Lを満たすT2を求めると 1
2g(sinθ−µ′cosθ)(T2)2= 1 2
v20
g(sinθ+µ′cosθ).
∴T2= v0
g
√
sin2θ−(µ′)2cos2θ .
*1車は円運動をしているので,「動摩擦」を使うべきではないのか?という気もするが,円運動の向心の向きでは物体は「静止」しているので,静止摩擦を使う のが正しい.
《問D》おもりの位置をr =L(cosθi+ sinθj)と表すとき,この速度はv =Lθ(˙ −sinθi+ cosθj)である(v=|v|=Lθ˙ が成り 立つ.非等速の円運動でも,角速度と速度の関係は同じ).ベクトル−sinθi+ cosθj は,円の接線方向の単位ベクトルであるこ とに注意しておく.
加速度は
a=Lθ(¨−sinθi+ cosθj)−Lθ˙2(cosθi+ sinθj)
であり,この1項目が接線方向の加速度,2項目が円の法線方向の加速度になる. (下図を参照.ただしこの問題とは,座標軸が 90度回転していることに注意せよ)
θ eρ eθ
Lθ¨eθ
−Lθ˙2eρ
a
eθ=−sinθi+ cosθj eρ= cosθi+ sinθj
x y
O
また,角θにおいて,おもりに働く重力mgは,円の接線方向(θの正の向き)に−mgsinθ,法線方向(円の外側に向かって)
mgcosθに分解される
mgi=−mgsinθ(−sinθi+ cosθj) +mgcosθ(cosθi+ sinθj).
以下,法線方向は,円の外側に向かう方を正とする.
(1) (ベクトルで表した)運動方程式ma=Fは,
mLθ(¨−sinθi+ cosθj)−mLθ˙2(cosθi+ sinθj) =mgi−T(cosθi+ sinθj) となる.これを,接線方向と法線方向に分けてやればよい:
mLθ¨=−mgsinθ (接線方向)
−mLθ˙2=−T+mgcosθ (法線方向) (2) 接線方向の運動方程式の両辺にθ˙をかけて,tで積分すれば,
∫
mLθ¨θdt˙ =−
∫
mgsinθθdt˙ これを変形すれば(( ˙θ2˙) = 2 ˙θθ,¨ θdt˙ =dθに注意して)
mL
∫ ( ˙θ2˙)
2 dt=−mg
∫
sinθ dθ 1
2mLθ˙2=mgcosθ+E (Eは積分定数) t= 0のときを考えれば,θ= 0,Lθ˙=v0をこの式に代入し,1
2 m
L v02=mg+Eが成り立つことが分かる.
これよりE が決定し,1
2mLθ˙2−mgcosθ= 1 2
m
L v02−mg.
(3) 法線方向の運動方程式に,(2)で得られた式を代入してT をθで表せばよい:
T =mLθ˙2+mgcosθ=mv02
L −2mg(1−cosθ) +mgcosθ=mv20
L −2mg+ 3mgcosθ (4) θ=πのときT =mv20
L −5mgが正でなければならないのでv0>√ 5gL
《問E》(1) 球体の体積をV で表す.運動方程式は,ρVv˙ =ρV g−ρ0V g−bv. (2) v∞= 1
b(ρ−ρ0)gV とおく.*2
運動方程式で,ρV g−ρ0V g=bv∞と置き換えて. dv
dt =− b
ρV (v−v∞). 変数分離 dv
v−v∞ =− b
ρV dtして積分すると, log(v−v∞) =− b
ρV t+C, v =v∞+A e−b/(ρV)t.(C, A=eC は任意 定数)
v(0) = 0よりv=v∞(
1−e−b/(ρV)t) . グラフは下図.
※始めのうちは速さの増加度が大きいが,tが大きくなるに従って,抵抗力と重力が均衡してきて,その結果一定の速度v∞ に漸近していくことが確かめられる.
ρV b v∞(1−e−1)
v∞
t v
O
*2 v∞は,抵抗力(=浮力と粘性抵抗)と重力の和が一致するとき,すなわち運動方程式において,加速度が0となるときの速度である.v∞は終端速度と呼 ばれる