排出量取引制度の
現状と動向
社団法人 日本能率協会
地球温暖化対策センター
平川 雅宏
2010年10月6日
温暖化の仕組み
温室効果ガスとは
※京都議定書における規制対象ガス 温室効果ガス 構成比(%) 地球温暖化係数 排出源・用途 二酸化炭素(CO2) (エネルギー起源) 64 1 化石燃料の燃焼など 二酸化炭素(CO2) (非エネルギー起 源) 工業過程における石灰 石の消費や、廃棄物の 焼却処理など メタン(CH4) 19 23 稲作、家畜の腸内発酵、 廃棄物の埋め立てなど 廃棄物の埋め立てなど 一酸化二窒素(N2O) 6 310 燃料の燃焼、工業プロ セスなど ハイドロフルオロ カーボン類(HFC) 10 140~11700 スプレー、エアコンや 冷蔵庫などの冷媒、化 学物質の製造プロセス など パーフルオロカーボ ン類(PFC) 1 6500~9200 洗浄剤、半導体の製造 プロセスなどたくさんある排出権(クレジット)の種類
海外の主な排出権
・京都議定書排出権(CER ERU AAU)
・EU-ETS排出権(EUA)
国内の主な排出権
国内の主な排出権
・JVETS初期割当量(JPA)
・京都議定書に基づき行われるCDMにより発行されるCER
またはJIにより発行されるERU(jCER)
・試行排出量取引スキームの排出枠
・国内クレジット
・オフセット・クレジット制度(J-VER)
−6%達成に使用可能
−6%達成に使用不可
排出量取引制度とは?
A社
実際の排出量
削減目標
未達成分
排出量取引制度導入前
B社
実際の排出量
削減目標
超過達成分
せっかく目標以上に
減らしたのに・・・
自社で削減すると
コストが高い。
どうしよう・・・
排出量取引制度とは?
A社
実際の排出量
削減目標
排出量取引制度導入後
B社
実際の排出量
削減目標
B社コメント
A社にクレジットを売却して、努力した
A社コメント
B社からクレジットを購入して、
自社で削減するより低コストで済
んだ!
クレジット
排出量取引の種類
排出量取引制度
Cap & Trade
ベースライン & クレジット
GHG総排出量をあらかじめ設定
オークション:排出枠を入札形式で購入
グランドファザリング:過去の排出実績から排出枠を決定
•GHG総排出量をあらかじめ設定
•その排出量(枠)を企業、自治体に配布
•配布された排出量の一部を取引
試行排出量取引制度
JVETS、
東京都排出量取引制度
排出量取引の種類
排出量取引制度
Cap & Trade
ベースライン & クレジット
CDM JI
①GHG削減につながるプロジェクト(事
業を実施した場合の排出量
②このプロジェクトが実施されなかった場
合の排出量(ベースライン)
②-①=GHG削減量として取引
CDM、JI、
国内クレジット
J-VER制度
ベースライン&クレジットとは?
ベースライン(シナリオ及び排出量)とは、
提案するプロジェクトがなかった場合に排出されていたであろう
温室効果ガス排出量を合理的に表すシナリオ
排出量
期間
ベースライン排出量 プロジェクト排出量排出削減量=
ベースライン排出量-プロジェクト排出量
排出削減量
京都メカニズム
付属書Ⅰ国
先進国A
非附属書Ⅰ国
途上国B
共同の削減
資金
技術
プロジェクトの
クリーン開発メカニズム(CDM)
プロジェクト
削減量
削減量
CER
プロジェクトの
立案
自国の
削減目標達成へ
有効化審査
検
証
出展:京都メカニズム情報プラットホーム京都メカニズム
共同実施(JI)
先進国同士が共同で事業を実施し、
その削減分を投資国が自国の目標
達成に利用できる制度
グリーン投資スキーム
(GIS)
具体的な環境対策と関連付けさ
れた排出量取引の仕組み
先進国A
先進国B
先進国A
先進国B
資金 技術先進国A
先進国B
共同の削減 プロジェクト 削減量 削減量先進国A
先進国B
目標 以上の 削減量 排出 割当量 資金 具体的な 環境対策自主参加型国内排出量取引制度とは?
J
apan’s
V
oluntary
E
missions
T
rading
S
cheme
(JVETS)
【制度の概要】
○国内排出量取引に関する知見・経験の蓄積を目的として、環境省が2005年度から開始。 ○CO2排出削減設備に対する設備補助、一定量の排出削減の約束、柔軟性措置である排出枠の取引により、 積極的にCO2排出削減に取り組もうとする事業者を支援し、確実かつ費用対効果に優れた形で削減を実現。 ○本制度の参加者は、「排出量取引の国内統合市場の試行的実施」における試行排出量取引スキームの参加者 として位置付けられる。 排出削減目標達成の ため償却する排出枠A社
B社
15 CO2排出削減設備に対する 設備補助(2010年度) 一定量の排出削減の約束 ため償却する排出枠 ※1:排出枠(JPA)初期割当量 =基準年排出量(過去3年間の平均値)−削減実施年度の年度削減予測量 排出枠(JPA) 初期割当量 (※1) 不足分の 排出枠を 購入A社
排出枠(JPA) 初期割当量 余剰 排出枠B社
余剰排出枠の売却 (排出量取引)環境省
排 出 枠 排 出 量 排 出 枠 排 出 量 ○目標達成 余剰排出枠 売却 ×目標未達成 排出枠購入で 埋め合わせ 環境省資料国内クレジット制度の概要
「中小企業等」
・大企業等の支援により、排出を削減 ・国内クレジットを売却資
国
内
ク
協
働
平成20年10月より実施
「大企業等」
・中小企業等に資金・技術を提供 ・国内クレジットを購入資
金
・
技
術
ク
レ
ジ
ッ
ト
(
共
同
)
事
業
第三者認証機関
自主行動計画の
目標達成に活用
CO2削減量の認証国内クレジット
主な方法論
方法論番号 方法論名称 1 ボイラーの更新 001-A バイオマスを燃料とするボイラーの新設 2 ヒートポンプの導入による熱源機器の更新 002-A ヒートポンプの導入による熱源機器の更新(熱回収型ヒートポンプ) 3 工業炉の更新 4 空調設備の更新(PDF:187KB) 5 間欠運転制御、インバーター制御又は台数制御によるポンプ・ファン 類可変能力制御機器の導入 7 コージェネレーションの導入 8 太陽光発電設備の導入 10 変圧器の更新 11 コンセント負荷制御機器の導入 17 小規模水力発電設備の導入全部で33種類
国内統合市場
①試行排出量取引スキーム
企業が自主削減目標を設定、目標達成のため、排出枠・ クレジットが取引可能。 総量目標、原単位目標など様々なオプションが選択可能。 大企業等が技術・資金等を提供して中小企業等が行った排出抑制の取組を認証②国内クレジット
資金・技術 排 出 削 減 協働(共 同)事業 自主行動計画 と整合的な目排出量取引の国内統合市場の試行的実施の概要
自主行動計画への反映等を通じて京都議定書目標達成に貢献 削減目標 B社 実 排 出 量 A社 実 排 出 量③京都クレジット
海外における温室効果ガス削減分 C社(中小企業等) 国内クレジット 減 削 減 量 と整合的な目 標。妥当性を 政府で審査。 排出量の 算定・報告、 検証等を 実施。 JVETSは①の参加類型の一つ東京都と埼玉県の排出量取引制度
東京都
埼玉県
対象事業者 前年度の燃料、熱、電気の使用量が、 原油換算で1500kl以上の事業所 前年度の燃料、熱、電気の使用量が、 原油換算で1500kl以上の事業所 取引制度対象事業 者 3年連続して原油換算で1500kl以上使 用量の事業所 3年連続して原油換算で1500kl以上使 用量の事業所 者 用量の事業所 用量の事業所 基準年度排出量 原則:2002年度から2007年度までの 間の連続する3ヵ年度の平均 原則:2002年度から2007年度までの 間の連続する3ヵ年度の平均 排出量取引対象ガ ス エネルギー起源のCO その他5.5ガスは削減義務には利用可 能(取引不可) エネルギー起源のCO2 その他5.5ガスは削減義務には利用可能 (取引不可) 削減期間 第一計画期間:2010~2014年度 第二計画期間:2015~2019年度 第一計画期間:2011~2014年度 第二計画期間:2015~2019年度東京都と埼玉県の排出量取引制度
東京都
埼玉県
削減義務率 オフィスビル等と地域冷暖房施設 8% オフィスビル等と地域冷暖房施設 8% オフィスビル等のうち、地域冷暖房等を 多く利用している事業所 6% オフィスビル等のうち、地域冷暖房等を 2割利用している事業所 6% 上記以外の事業所(工場等) 6% 上記以外の事業所(工場等) 6% 検証制度 基準排出量の申請時 排出量の報告時(毎年度) その他制度(トップレベル、都外クレジッ ト等)認定を希望する場合 排出量取引を行うとき(取引を行う時点で、 基準年排出量、平成23年度以降の排出量) 目標達成状況報告時(実施状況報告書を提 出する際に、基準年度排出量、平成23年度 以降の排出量) その他制度(トップレベル、県外クレジッ ト、森林等)認定を希望する場合 措置命令:義務不足量×1.3倍の削減量J-VER制度
主な方法論
方法論 プロジェクト種類 E001 化石燃料から未利用の木質バイオマスへのボイラー燃料代替 E002 化石燃料から木質ペレットへのボイラー燃料代替 E004 廃食用油由来バイオディーゼル燃料の車両等における利用 E006 低温排熱回収・利用 E011 ボイラー装置の更新 E012 空調設備の圧縮機の更新 E012 空調設備の圧縮機の更新 E015 小水力発電による系統電力の代替 E016 コジェネレーション設備の導入 E018 廃棄物由来のバイオガスによる、熱および電力供給のための化石燃料代替 E019 熱源設備の更新によるヒートポンプの導入 R001 森林経営活動によるCO2吸収量の増大(間伐促進型プロジェクト) R002 森林経営活動によるCO2吸収量の増大(持続可能な森林経営促進型プロジェクト)全部で23種類
JVETS削減対策事例①
補助対象
事業
の概要
LNGサテライト基地の設置及びC重油仕様ボイラから
天然ガス仕様ボイラへの改造
新規導 入 C重油焚か ら天然ガス ガス 発電用蒸気 電力(コジェネ発電) LNG 焚へ改造 LNGタンク 1000kl×1基 2号発電ボイラ 1号発電蒸気タービン LNGサテライト設備 温水ボイラ×3缶 事業所内 電力負荷ボイラ 蒸気吸収式冷凍機 エアハンドリングユニット(AHU) A重油 冷 温 使用停止