ビ
ハ ーラ と は
何
か ?
一応
用
仏
教 学
の視 点
から
谷
山
洋
三
1
.は じ
め に「ビハ ー ラ と は何か ? 」は, ま さ に筆者
自
身の 疑 問で ある と同時に, ビ ハ ー ラ運 動/
ビ ハ ー ラ活 動に 関心 を持つ 研究者 と実践者へ の 投げか けで も あ る。「応 用 仏 教 学 の 視点か ら 」 と は,
文献
学的
研究
で はない とい う立 脚 点の 表 明で あ る。 よ っ て , 仏 典等 に 見 ら れ る vihEra (出 家 者 の 住 居 ) は 本稿で は 扱わ な い。 「応 用 仏 教 学 」 その もの に つ い て1
よ様
々 な見解
が あ るω 。 し か し, 筆 者 と し て は,自身
が研
究者
かつ 実践 者で あ る とい う立場か ら,自身
お よび仲
間た ち が実
践 してい るこ とを仏 教学の 枠 内で理 論化すべ く模索
して い るとこ ろで あ る。 (1
) 目 的田宮 仁が
1985 年
に 「ビハ ー ラ」 を提 唱し て か ら20
年にな る。 当初
は 「仏 教ホス ピ ス 」 に代
わ る言葉であ り, 超 宗派の 立場に よ る仏 教 的な タ ー ミ ナル ケ アを 志向し た もの で あっ た が,徐々 に活 動が 広まる に連 れて , その 内容に も変化
が見 られ る よ うになっ た。2004
年末
に は, 「仏
教 看護
・ ビハ ー ラ学会
」 が発
足 した が , その発 会式
に は,宗
教 的背
景を超えて 様々な 立場か らの 参 加が あっ た。 こ の よ うに状 況に お い て , 未だ に 「ビハ ー ラ」 の 定義が曖 昧な ま ま放 置されて い る と感 じ て い るの は, 筆 者だ けで はな か ろ う。 様々 な 立場(
宗
教 的背
景)
か ら様
々な形 態 (活動 領 域 )の ビハ ー ラ が存 在 し, ま た語 られ る よ うに なっ た 今 , 国内で のビハ ー ラ運 動につ い て再 定 義す る必 要が あ る と考え, こ こ で簡
単
に ま と め た もの を発表
したい 。 方 法本稿で は, 文 献
資
料, イ ン タ ーネ ッ ト検索
に よ る情報
の整理 を行
っ た。 平 成17年 5
月2
日に, イン タ ーネ ッ トの 検 索サ イ トGoogleTM
日本 語 版(
www .jp
)
で 「ビハ ー ラ」 を検 索 語 とし て 検 索 した 。4390
件の ヒ ッ ト が あ り, ビハ ー ラを標 榜 して い る組織 (
NPO
, ボラ ン テ ィ アグル ー プ ,医療機 関,社 会 福 祉 施設, 研 究 会, 寺 院 関係 施 設な ど)
を抽出
した。 調査対象
と な る条
件は, ビハ ー ラを その 名称 とす る , あ るい はホ ームペ ージ上 で様々な ビ ハ ーラ運 動へ の 積 極 的 関与 を表明 して い る こ とである。 さ らに 文献
等に見ら れる組
織 を補足 した。 尚, ビハ ーラに 類す る組織
で あっ て も, 上記の条件
を 満た さ ない もの は こ こ に は含めてい ない ω。 これ らの組 織につ い て そ の活 動 内容 を概 観し て, ビハ ー ラ運 動の 活 動 内容を整理 し た(
研 究 発表
で は抽
出し た全組
織を載せ た一覧表を配 布 した が, 紙数の 関係
上こ こ で は割 愛 する)
。2
. これ ま
で の定 義
まずは, 以下の
4
つ の 定 義を確
認 して お こ う。 い ずれ も,自
前の 活動 組 織 の 存 在 を前提
と した もの で あ る。 そ れ ぞ れ,は超
宗派
,は
浄
土真宗本願
寺
派,は 日
蓮宗
,は真
宗
大 谷 派を中心 と した超 宗 派 とい う背 景が あ る。 活動 領 域は,は長 岡 西病 院 ビハ ー ラ病
棟
を中
心 と し ,は さ ま ざ ま な背 景を もっ 医療 施 設 ・福 祉施 設 など を活 動の 場 と し,
は
電話相談
や面談
を主な活動 と してい る。 田宮 仁の定義 (1985
年 に提 唱)「ビハ ー ラ 」 は 「仏 教ホ ス ピス 」 とい う
表
現 に代
わ る, 仏教 を背
景 と し た ター ミ ナ ル ケ ア施 設の 呼 称で あ る。 よ り 日本 的な タ ー ミ ナ ル ケ アの在 り方を模 索す る社 会 的 な問題 展 開の一 つ とい え る。 (3)
浄土真 宗本 願 寺 派伝 道 社 会部の 定 義
(
1986 年
に活動開始)
ビハ ーラ とは何か ? 35
「ビハ ー ラ活 動 」 と は, 「生 ・ 老 ・ 病 ・死 」 の 苦しみや悲 しみ を抱え た
人 々を全 人 的 に支 援 す る ケア で あ り, 「願わ れ た い の ち」 の 尊 さに 気づ
か さ れ た 人 た ち が集う共 同体 を意 味しま す。t4 }
日
蓮
宗 医療問
題研究会
の定義 (
1994年
に活 動 開始 )ビハ ー ラ活 動 とは,
医療
や福祉
や地 域社
会 との 連 携の も とに ,寺院
にお い て , 自宅に おい て, あるい は病 院や 施 設 に お い て ,病気や 障害, 高
齢
化に悩む人た ち との苦
しみを共に し, 精 神 的, 身 体 的な苦痛を取 り除き,安心 が得られ る よ うに
支援
す る活
動の こ とで す。 (9田代 俊孝の 定 義 (
1988
年に活動開始)
our
Vihara
movementis
a supportgroup
fbr
theterminally
ill
that
is
organized around and operates according to
Buddhist
teachings .c6〕以 上の よ うに , ビハ ーラ運 動の 出 発点はタ ー ミナル ケア で あっ た が, その 後,
徐
々に その 主体 と対 象領 域が広が っ てい る。 特に その 対 象 領域は,高齢 者 福 祉,障害者 福 祉 , 心 理ケ ア な どに展 開 し て い るこ とが分か る。また,研 究 者の 立場(7〕か ら奈倉
[
1999
:7]
は ,本 願 寺 派の ビハ ー ラ活動 へ の シ ン パ シ ー を込 め な が ら,次に よ うに定 義 し て い る 。ビハ ー ラ
活動
は,医療
や福祉
の 現場に おい て , 生 ・老
・病
・死
の苦
を担 う人々 へ の 心の ケア を志す もの で ある。 上記
の 定 義 との 近似性 (も し く は へ 影 響 )が うか が え るもの の, こ の定 義が示 さ れ て い る論 文に は, 独 自の ビハ ーラ論が展 開されて お り ,
本
願寺
派 の み に拘ら ない 「浄土門」 と して の 立 場が見ら れ る。3
.検 索結
果 と
そ の考察
(
1
) 検
索
結果
緩和
ケア病棟 (
仏 教ホ ス ピス)
は2
施設あ る。本
願 寺派の ビハ ー ラ活動の 組 織 は全 国に31
団体(
教 区)
あ り,緩
和ケア病棟
だ けで な く一般 病院
福 祉 施 設な どで の ボラン テ ィ ア活 動, 地 域に よっ て は心 の ケ ア や電
話 相 談な ど 広範な活動を展 開 し て い る。本
願寺
派以外で ビハ ー ラ活動 と同様の 活 動をする
組織
や ,実
践活 動よ りも研 究 会 ・学 習会 ・研 修会 を主 とす る組 織 もあ る。その
他
, 公園が3
カ所(
うち1
カ所 は仏 教 と無 関 係)
。葬
祭関係
が3
件。 マ ン シ ョ ン ・アパ ー ト ・ビ ル が 計4
棟。 民宿
, カ フ ェ バ ー , マ ッ サ ー ジ店
,音
楽 事 務 所(
仏 教賛 歌)
, ロ ッ ク バ ン ド(
すでに解
散)
が1
件 ずつ 見つ かっ た。以上 合 計
98
件 中, 仏 教に 直接 関係 しない と思 わ れるもの は12
件 あっ た。 以下
,その12件
を除
い た(
98
−12
=)
86
件
を対象
とし て考察
を続け る。 表1
ビ八一ラ を標榜して いる組織(
2
)
提 唱者の意図
は どこ へ提 唱者の 田
宮仁
の 意図 は 「仏
教ホス ピス 」 に代わ るもの で あっ た。 こ の意 図 を具現 化 し たもの は長 岡西 病院 (
新 潟,1992
年 開 設)
と佼成 病 院(
東 京, * 本 派 とNPO に重 複 あ り2004 年
開設)
の2
カ 所 しか ない 。ま た, 同 じ く
提
唱者
は 「超宗派
」 を意
図 して い た。 しか しなが ら, 組織の 構成上特 定の 宗派へ の 偏 りが大 きい , もしくは宗 門主導
の団体
も あ る。1986
年に始 まる本 願 寺 派の ビハ ー ラ活動
が最
も有名
で あるが ,1995
年 に は 日蓮 宗も僧 侶 向け の ビハ ー ラ講 座を始
めて お り , 大谷派
で も2005
年6
月に有 志 が集 っ て ネ ッ トワ ー ク作
り を始
めた。2002
年
に高
野 山 真 言 宗が始 め た 「心 の 相 談 員 研 修 講 座」 に は, ビハ ー ラ論 とい う講 義が あ り,2006
年 度か らは高
野 山大 学に ス ピ リチュ ア ル ケ ア学科
が開設
さ れ る。大 河 内
[
2003
]
が指 摘 して い る よ うに , 田宮が深 く関
わっ てい る団体
で あ 属 性 件 数 小 計 医療機 関 6 緩和ケ ア病棟 2 医療+福祉 1 病 院 医 院,診療所3
福祉機関15
高 齢者 14 高齢者+障害者 1 ボラン テ ィ ア組織 46零 本 派の ビハ ーラ活 動 31掌 NPO (含 申請 中) 4串 諸 派 ・超 宗派 12 研究 ・研修な ど 14 研 究会 ・学 術 団体4
連絡 組織2
講 座 5 大学 ・短大の コ ース3
その他 17 仏教音楽事務 所 1 寺院関連施設 4 仏教に直接 関係な し 12 合 計 9898ビハ ーラ と は何か ? 37 っ て も, 「
超宗派
」 の 内実は 「寄 り合い 所帯
亅 に過 ぎない 。 一方で , 本 願 寺派
の ビハ ー ラ活動組織
で あっ て も他宗
派の僧侶
が関
わ っ てい る とこ ろも あ る。 ビハ ー ラ運動
の み な らず 一・般社会
に向
け た運動
に おい て は , 宗 派 色 を発 揮 した り, ま してや伝道 ・布教 を 混 合 した活 動は極め て 難しい とい うの が現状
だろ う。 (3
) 多様な活動 内容医
療
・ 福祉(
特
に高齢者)
に関
わ る活動 及び学 習会が 目立つ が , 中に は災 害 援 助,児童福祉
に関
わ っ て い る組織 や,特定
の領域
に特化
して い る団体も あ る。 「休 息の場 所 」 とい う意 味だ け を用い た施 設 も あ る。 その多様
な活
動内容
を次
の 図1
で 表 した。こ の よ うな多様 性は, ビ ハ ー ラ運 動/ 活 動の 発展に も関わっ て い る 。
【死か ら老 ・病へ
】
緩和 ケア (ホス ピ ス )か ら出 発 した ビハ ー ラ運 動 は, 「死 」 に 近い 分 野(
タ ー ミ ナ ル ケ ア, が ん 患者 )か ら徐々 に その 領 域 を広 げ,緩
和ケア以外
の病院
・高齢者福祉施設
にも その現
場 を求め る よ うに なっ た。臨床
現 場に出
か け る ば か りで はな く, 分 か ち合い の会
や電話相談
など を 主催 する組織
も現れた。【
そ して 生へ】
「い のち亅 に 関わ る とい う姿勢
に叶
う もの と し て災 害 支援, \ / _一 一る
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総
、\
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文 化 事 業/
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ノノ ノ \ 〜_ 一__ 一/ ‘’ / / 丶 〆 図1
さ らに,
青少年育成
・児童福
祉の 分 野に も広が っ て い る。 全 国で様
々 な組織 が作 られる よ うに なっ ため か,ネ ッ トワー ク作 り も行わ れて い る。 言葉
が 一 人歩
き して, 「休 息の 場 所」 とい う意 味だ けで使
用 さ れて い る こ とも興 味深 い 現象
で ある。この よ うな拡大 解 釈の流れ につ い ては, 提唱者 自身が 予見 して い た よ うで あ る。 田
宮 [
1990
:122]
は, 次の よ うに述べ て い る。「ビハ ー ラ 」 とい う呼 称の 定 着や 「ビハ ー ラ運 動」 の
高
ま りは,… (中略 )… 「い の ち 」 を 巡 る諸 問 題が ター ミ ナル ケア の 問 題を契機 に 一般的
社 会 的 問題 として展
開
し始
め た現れ とい うこ とがで きる。つ ま りビハ ー ラ運 動の 広が りに っ い て は , 必ず しも
提
唱者の意 図を超え た もの で は ない とい うこ とが うかが え る。大 きな流 れ と課 題
島 [
2005
]
が 「田宮仁
,浄土真宗本
願寺
派, 田代 俊 孝」 をその 代 表 的 な存 在 とし て提 示 し て い る よ うに, ビハ ー ラ運 動/
活動に は い くつ かの 系統が見 られ る。 今 回提 示 した資 料か ら も, その こ とが理解
さ れ よ う。提
唱者で ある田宮 仁の影 響が直 接 及ぼ さ れてい る組 織 と して は, 長 岡 西病 院, ビハ ー ラ21
,真 宗大 谷 派金沢教 区ビハ ー ラの 会 , 仏 教者
ビハ ー ラの 会 , 仏教看護
・ビハ ー ラ学会
,佛 教
大 学専
攻 科(
仏 教 看 護 コ ース ), 飯田女子 短 期大学看護学科
な どが ある。本 願 寺 派の ビハ ー ラ
活
動に 関係す る もの とし て は, 各 教 区の 組 織以外に, ビハ ー ラ花
の 里病院
介護
老 人保 健 施 設ビハ ー ラ大 野 ,特
別養護
老 人ホ ーム ビハ ー ラ十条
,淡路 介 護 老 人福 祉 施 設 ビハ ー ラ , ビハ ー ラこ の み園 ,特
別養
護 老 人ホ ーム あ そ か苑,龍 谷大学短期 大 学部 「ビハ ー ラ活 動者養
成 課程」 な ど が あ る。田代 俊 孝に関係 する組
織
と して, ビハ ー ラ医療
団と,死そ し て生 を考える 研究 会 (ビハ ー ラ研 究 会 )(8)が あ る 。他
に は, 日蓮宗
の ビハ ー ラ講座 とネ ッ トワー ク,高野
山真言宗
の 心 の相談
ビハ ーラ と は何か 7
39
員 ・ス ピ リ チ ュ アル ケ ア ワ ー カ ー研 修 講 座があ る。 教 団を あげて 人 材 育成を す るこ とに よっ て , 本 願 寺派の ような全国 組織を構 成す る素地 が で き あが る 実 例が あるこ とか ら も, 今後の 実践 に期 待 し た い 。 浄土宗で は 「ビハ ーラ 」 とい う言葉
に は関
心 が薄い よ う だ が, 「仏 教 看 護 ・ 仏 教 福 祉1 を標榜
した活 動を す る僧侶
た ち もい る。全 国
的
な広が り を見せ て い るビハ ー ラ運 動だが , 横のつ な が りが薄い とい う問
題 点が あ る。本
願 寺 派は教 団の ネ ッ トワー クに その ま ま リン ク してい る が, 他 派 との 交 流は 草の 根レ ベ ル に過ぎ な い よ う だ。 日蓮 宗で も 同様で あ る。 大 谷派の 有 志が企 画 し て い るもの も,本
願寺派
に 匹敵す る求心 力を発揮 す るこ とは容 易で はない 。 宗 門 とい う大き な流
れは ,活動
を広 げるた め に は有効
で あ る が, 一方で臨
床現 場に おい て は思想 ・信仰
におい て柔軟
な姿 勢が期待
され る。 だか らこそ, 大 きな流れを横 切る切 り口 と して, ケアの質
の 向 上 とい う観
点か ら も, 他 宗 との 積 極 的 な交 流が必 要なの で はな か ろ うか。 そ の 点 ,臨床へ の 貢献を視野 に 入 れ た学術 団体で あ る仏教看 護 ・ビハ ー ラ学 会 に期待
したい とこ ろで あ る。4
.結 論
1985 年
に田宮
仁に よっ て , 「仏 教ホ ス ピ ス 」に 代わ る言葉 と して 提唱 さ れて 以来, 日本の 仏教 界に お い て は,浄
土真宗本願寺派
の ビハ ー ラ活 動の 推 進 と , 一方で 日本各地 の草の根 運 動 と してゆ っ く り と運 動が 広が っ て い っ た。 そ の 実 際の 内容は,仏教 的 タ ー ミナル ケア か ら,仏 教 者に よ る福 祉ボ ラン テ ィ ア , 社 会福 祉 事業
へ の参画
, さ らに は災害 支援や文化 事 業まで 多岐にわ たる。こ の よ うに, ビハ ー ラ運 動の拡大 に
従
っ て その意 味 内容も広が っ た。 以 ド に,狭義 (
提
唱時
の原
義)
・広
義
・最
広義
の3
つ の定義
を提
示 す る 。狭 義 「仏
教
を基
礎 とした タ ー ミナル ケア活動
及び
その施
設 」(
例
:長 岡 西 病 院 ビハ ー ラ病棟,佼 成ビ ハ ーラ)広
義
「老 病死 を対 象とし た , 医療 及び社 会 福祉 領 域での , 仏 教 者に よ る活 動 及 びその施 設」 (例 1藤 原 胃腸 科,本 願 寺 派の ビハ ー ラ活最 広義
動
, 日蓮宗
の ビハ ー ラ活動 )
「災害援
助 ,青
少年育
成,文化事業
な ど 「い の ち 」 を支え る, ま た は 「い の ち」 につ い て の 思索
の機 会
を提
供す る,仏
教者
を主体
と した社 会 活 動」 (例 :地 球 人ネ ッ トワ ー ク飛騨, ビハ ー ラ鹿 北 , 大 阪の應 典 院 ) 実 際 に使 用さ れて い る意 味 として は,狭 義 ま た は広 義が最 も近 い と思わ れ る。 とこ ろ が,今
回調査対象
とした組織
の ほ とん どが, 広義
ま たは最広義
に 当て は まる。 そ ればか りで な く, 田宮
と田代
は共 に 狭義を 用 い な が ら も,彼 らの 影響
を受
け た組織
の活動領域
は広義
か ら最
広 義に当て は ま る。 今や, ビ ハ ー ラの 定義
は広義
を用い るべ きでは な か ろ うか。 そ して将
来 的に は, 活 動 が全国的に 発展 し, 領 域が さ らに 多様 化 して い くか も しれ ない 。 その 時に は,最
広義
を採用
すべ きか ど うか の議論
をするこ とに なるだろ う。ま た,
組織
に よっ て は 「ビハ ー ラ」 を標榜
しない に もか か わ らず,標
榜 す る組織
と同様
の活動
を して い るとこ ろ も ある。 逆に ,標
榜 しなが ら も活 動 内 容が理念に届か ない とこ ろ も あ る。 その た め に も今後, ビ ハ ー ラ運 動の 本 質 的 な もの , 様々 なビハ ー ラ運 動を通 徹 する もの を追究
す る必要が ある(9) 。 注 (1
) 例え ば,吉元 [1985
:62
]は 「仏 教学 以外の分野よ り研 究し よ う とする応用仏教 学」 と し,藤田 [1975 :609 ]は 「実際 的な学 問」 「原則が あっ て そ れ を応用する も の 」 として い る。 (2
)例 えば,「本派関係高齢者施 設連 絡協議 会 」 の サ イ ト (htlp
:〃www2 .hongwanji
,or.jp
! social!fremelkourei_itiran.htm>に は49 施 設の 一覧表が あ るが,その う ちビハ ーラを 名 称とし て使 用 し てい る の は 1施設の み である。 (3
) 田宮 [1990
:112
−113
]の 説明 を, 筆者が簡潔にまと め た。{
4
) 本願 寺ビハ ーラ の サ イ ト(http:!!www2 .hongwanji .or.jp
!sociaVvihala /htmVrinen .htm1)よ り。 (
5
) 日蓮 宗 医療 問題研 究会 [2001
:64
]が提示し て い る。 (6
) 実際の活動は, 田代 [1999 :176]の 説明よ り も広い 。 「死そ して生 を考える研 究 会 (ビハ ーラ研究会〉」 の趣旨で は 「ビハ ーラ= 仏教ホス ピス j と さ れて い るが ,ビハ ーラ とは何か ?