【資料:1791 年憲法(抜粋)】
1791 年憲法
(抜粋)
人および市民の諸権利の宣言
(Déclaration des droits de l’homme et du citoyen)
国民議会(Assemblée Nationale)を構成するフランス人民(Peuple Français)の代 表者は,人権に対する無知,忘却または軽視が,万人の不幸と政府の頽廃の唯一の 原因であると考えて,荘厳な宣言の中に,人間の生来の,不可譲の且つ神聖な権 利を示すことを決定した。それは,この宣言を常に社会のすべての構成員に対し て示し,彼らに自己の権利と義務を絶えず思い出させるためであり,また立法権 (pouvoir législatif)および行政権(pouvoir exécutif)の行為が,すべての政治制度の 目的と常に比較されることによって,社会のすべての構成員から一層尊重されるた めであり,さらに,今後,単純で争う余地のない諸原則にもとづく市民の要求が, 常に憲法の維持とすべての人の幸福に向けられるようにするためである。 したがって,国民議会は,最高存在(Être suprême)の前に且つその庇護の下に, 人および市民の次の諸権利を承認し且つ宣言する。 第 1 条 人は権利において自由かつ平等の者として生まれ,生存する。社会的区
別(distinction sociale)は,共通の利益(utilité commune)にもとづいてのみ設ける ことができる。 第 2 条 すべての政治的結合(association politique)の目的は,人の自然的な且つ 時効にかからない諸権利の維持である。これらの諸権利とは,自由(liberté),所有 (propriété),安全(sûreté)およびこれらを侵害する行為に対する抵抗(résistance à l’oppression)である。 第 3 条 すべての主権(souveraineté)の根源は,本質的に国民に存する。いかなる 団体も,いかなる個人も,明白に国民に由来しない権力(autorité)を行使すること はできない。 第 4 条 自由とは,他人を害しないすべてのことをなし得ることである。したが
って,各人の自然権(droit naturel)の行使には,社会の他の構成員に対して同一の 権利の享有を保障すること以外には何らの限界もない。この限界は,法律によらな ければ決定することはできない。 第 5 条 法律は,社会にとって有害な行為(action nuisible)のみを禁止する権限し か持たない。法律によって禁止されていないすべてのことは妨げられず,また何人 も法律が命じていないことを行うように強制されることはない。 第 6 条 法律は一般意思(volonté générale)の表現である。すべての市民は,自ら または自己の代表者を通じて法律の作成に協力する権利を有する。法律は,それ が人を保護する場合でも罰する場合でも,すべての人にとって同一でなければな らない。すべての市民は法律の前に平等であるから,自己の能力に応じ且つ自己 の徳(vertu)および才能(talent)以外による差別なしに,平等に,すべての公の顕職 (dignité),地位(place)および職(emploi)に就くことができる。 第 7 条 何人も,法律に定められた場合でなければ且つ法律の定める手続きによら なければ,起訴され,逮捕されまたは拘禁されることはない。恣意的な命令(ordre) を要請し,交付し,執行しまたは執行させる者は処罰されなければならない。但し, 法律にもとづいて召喚されまたは身柄を拘束されたすべての市民は,直ちに服従し なければならない。抵抗した場合は有罪となる。 第 8 条 法律は,厳密に且つ明白に必要な刑罰しか定めてはならず,何人も,犯 罪(délit)より以前に制定され,公布され且つ適法に適用された法律によらなければ, 処罰されることはない。 第 9 条 すべての人は有罪(coupable)を宣告されるまでは無罪の(innocent)推定を 受けるから,その人を逮捕することが必要であると判断される場合でも,その身柄 を確保するために必要でないすべての苛酷なこと(rigueur)は,法律によって厳重 に阻止されなければならない。 第 10 条 何人も,自己の意見の発表が法律によって定められた公の秩序(ordre public)を害しない限り,宗教的意見であっても,その意見のために不利益を与え られてはならない。 第 11 条 思想(pensée)および意見(opinion)の自由な伝達は,人の最も貴重な権利 の一つである。したがって,すべての市民は自由に話し,書き,印刷することがで きる。但し,法律によって定められた場合には,この自由の濫用(abus)について 責任を負わなければならない。 第 12 条 人および市民の権利の保障は公の武力(force publique)を必要とする。 したがって,この公の武力は,すべての人の利益(avantage)のために設けられるの であって,それを委託された人の個人的な利益のために設けられるのではない。 第 13 条 公の武力の維持のためおよび行政の費用(dépense d’administration)の ために共通の租税(contribution commune)が不可欠である。共通の租税は,能力 (faculté)に応じてすべての市民に等しく割り当てられなければならない。 第 14 条 すべての市民は,自分自身でまたは代表者を通じて,公の租税(contri-bution publique)の必要を確認し,公の租税を自由に承認し,その使用を監視し且 つその割当額(quotité),基礎(assiette),取立て(recouvrement)および期間を決定 する権利を有する。 第 15 条 社会は,すべての官吏(agent public)に対してその行政(administration) の報告を求める権利を有する。 第 16 条 権利の保障が確保されておらず且つ権力の分立が定められていないすべ ての社会は憲法を有しない。 第 17 条 所有権(propriété)は侵すことのできない神聖な権利であるから,適法に 認められた公の必要(nécessité publique)が明白にそれを要求し且つ正当な事前の 補償(préalable indemnité)を条件としなければ,何人も所有権を奪われない。
フランス憲法
(Constitution française)
国民議会は,上で承認し且つ宣言したばかりの諸原則にもとづいて,フランス憲 法を制定することを欲し,自由および諸権利の平等を害する諸制度を確定的に廃止 する。
もはや貴族(noblesse)も,大貴族(pairie)も,世襲的差別(distinction héréditaire) も,階級的差別(distinction d’ordre)も,封建的な制度(régime féodal)も,世襲 の裁判(justice patrimoniale)も,いかなる称号(titre)およびそれに由来する呼称 (dénomination)や特権(prérogative)も,また貴族のあかしを必要としまたは出生 による差別を前提とするいかなる騎士団(ordre de chevalerie)もいかなる同業組合 (corporation)もいかなる勲章(décoration)も存在せず,また官吏の職務執行におけ る優越(supériorité)以外のいかなる優越も存在しない。 もはやいかなる官職売買(vénalité)もいかなる官職の世襲(hérédité)も存在しない。 国民のいかなる部分にとってもまたいかなる個人にとっても一切の特権(privilège) は存せず,且つすべてのフランス人に共通な権利の例外も存在しない。 もはやいかなる職工組合(jurande)も,いかなる職業(profession),工芸(art et métier)の同業組合も存在しない。 法律は,もはや自然的な権利(droits naturels)またはこの憲法に反する宗教的な 祈誓(vœu religieux)その他のいかなる契約も認めない。 第Ⅰ編 この憲法によって保障される基本条項
(Dispositions fondamentales garanties par la Constitution)
1 この憲法は,自然的および市民的権利(droits naturels et civils)として次のこ
とを保障する。 ① すべての市民は,徳(vertu)および能力(talent)以外の差別なしに地位と職業に 就くことができること。 ② すべての租税(contribution)は,その能力に応じてすべての市民に平等に割り当 てられること。 ③同一の犯罪は身分のいかなる差別もなしに,同一の刑で処罰されること。 2①この憲法は,同様に,自然的および市民的権利として次のことを保障する。 a すべての人に対し,この憲法により定められた手続きによらなければ逮捕され 拘禁されることなしに,歩き,止まり,立ち去る自由。 bすべての人に対し,文書がその出版以前にいかなる検閲(censure)も検査 (inspection)も受けることなしに,自己の思想を語り,書き,印刷し且つ出版する 自由,および自己の属する宗教的儀式(culte religieux)を行う自由。 ② a 市民に対し,平穏に且つ武器をもたないで警察法規(loi de police)にしたがっ て集会する自由。 b個々に署名した請願(pétition)を憲法上の権力機関に提出する自由。 3 立法権は,本編において定められ且つこの憲法によって保障されている自然 的および市民的権利の行使を侵害しまたそれを妨害するいかなる法律も制定する ことはできない。しかし,自由とは他人の権利を侵害せず且つ公共の安全(sûreté publique)を害しないすべてのことをなし得ることだけであるから,法律は,公共 の安全または他人の権利を侵害し社会にとって有害な行為に対して刑罰を定めるこ とができる。 4① この憲法は,所有権の不可侵を保障し、 または合法的に確認された公の必要 がその犠牲を要求する所有権の正当且つ事前の補償を保障する。 ② 儀式についての支出およびすべての公益の職務に当てられる財産は国民に属し 且つ常に国民の処分に委ねられる。 この憲法は,法律により定められた手続きにしたがってなされたまたはなされる 権利の譲渡を保障する。
5 市民は,自己の宗教の祭祀の司宰者(Ministre de leur culte)を選ぶ権利を有す
る。
6①捨子(enfant abandonné)を養育し,貧困な病者(pauvre infirme)を助け,仕事
を得ることのできない貧困な健康者(pauvre valide)に対して仕事を与えるために, 公の扶助(Secour public)について一般的な施設(établissement général)が創設され 且つ組織されるものとする。
② すべての市民に共通し,すべての人にとって不可欠の教育部門に関して無償の 公教育(Instruction publique)が創設され且つ組織される。その施設は王国の区分と 結合した割合において順次割当てられるものとする。 7 フランス革命を忘れずに記念し,市民の間の友愛を保持し,市民をこの憲法, 祖国および法律に結びつけるために国民の祝日(fête nationale)が設定されるものと する。
8 全王国に共通の民法典(Code de lois civiles)が作成されるものとする。
第Ⅱ編
王国の区分および市民の身分について
(De la division du Royaume, et de l’état des citoyens)
第 7 条 法律は,婚姻を民事の契約としかみなさない。
立法権は,すべての住民にとって差別なく,出生,婚姻および死亡が証明される 方法を確立する。立法権は,それらの証書を受理し,保存する官吏(Officier public) を任命する。
第Ⅲ編
公権力について(Des pouvoirs publics)
第 2 条(12) すべての権力は国民のみに由来するが,国民は代表者を通じてのみ
それを行使することができる。
フランス憲法は代表制である。代表者は立法府および国王である。 第Ⅰ章
国民立法議会について
(De l’Assemblée Nationale Législative) 第Ⅱ節
第一次会,選挙人の任命
(Assemblées primaires. Nomination des électeurs)
第 1 条(26) 国民立法議会を構成するために,能動市民(citoyen actif)は都市 (ville)およびカントンにおいて 2 年ごとに第一次会に集会する。 第一次会は,当然に 3 月の第 2 日曜日に組織される。但し,法律により定められ た官吏によって,それ以前に召集された場合はこの限りでない。 第 2 条(27) 能動市民であるためには次の要件が必要である。 フランス人として出生したかまたはフランス人となったこと。 満 25 歳に達していること。 法律により定められたとき以来,都市またはカントンに居住していること。 王国内のいずれかの場所において,少なくとも 3 労働日の価格(valeur de trois journées de travail)に等しい直接税を支払い且つその支払証明書を提示すること。 召使い即ち奉公人の身分でないこと。 その居住地の市町村役場において,国民軍(garde nationale)の名簿(rôle)に登録 されていること。 市民の宣誓をしたこと。 第 3 条(28) 立法府は 6 年ごとに労働日の価格の最高と最低を定め,県の行政官
(Administrateur des départements)は各ディストリクトについて労働日の価格の 地方的決定をなす。
第 4 条(29) 何人も 2 以上の場所において能動市民権(droits de citoyen actif)を
行使することはできず,また他人によって代理してもらうこともできない。 第 5 条(30) 次の者は能動市民権の行使から排除される。 起訴されている者。 確実な書類により破産または支払不能状態にあることが確認された後,債権者の 全額受領証をもっていない者。 第 6 条(31) 第一次会は,都市およびカントンに居住する能動市民の数に比例し て選挙人を任命する。 第一次会に出席または欠席の能動市民 100 人につき 1 人の選挙人が任命される。 151 人から 250 人までについては 2 人が任命され,以下同様とする。
第 7 条(32) 何人も,能動市民たるための要件に加えて次の要件を具備しなけれ ば,選挙人に任命され得ない。 人口 6000 人以上の都市においては,租税帳簿にもとづいて 200 労働日の地方的 価格に等しい所得があると評価される財産の所有権者もしくは用益権者であること, または同じ帳簿にもとづいて 150 労働日の価格に等しいと評価される住居の賃借人 であること。 人口 6000 人未満の都市においては,租税帳簿にもとづいて 150 労働日の地方的 価格に等しい所得があると評価される財産の所有権者もしくは用益権者であること, または同じ帳簿にもとづいて 100 労働日の価格に等しいと評価される住居の賃借人 であること。 農村においては,租税帳簿にもとづいて 150 労働日の地方的価格に等しい所得が あると評価される財産の所有権者もしくは用益権者であること,または同じ帳簿に もとづいて 400 労働日の価格があると評価される財産の定額小作人もしくは分益小 作人であること。 一方で所有権者もしくは用益権者であり且つ同時に他方で賃借人,定額小作人も しくは分益小作人たる者については,これらの種々の資格での資力は,被選資格を 得るために必要な額まで累積される。 第Ⅲ節 選挙会,代表者の任命
(Assemblées électorales. Nomination des représentants)
第 1 条(33) 各県で任命された選挙人は,その任命がそれぞれの県に割当てられ ている数の代表者および代表者の数の 3 分の 1 に等しい数の補充者を選出するため に集会する。 第 2 条(34) 代表者および補充者は,投票の絶対多数で選ばれ,且つ県の能動市 民の中からのみ選出される。 第 3 条(35) すべての能動市民は,その身分,職業または納税額のいかんを問わず, 国民の代表者に選ばれる。 第 4 条(36) しかし,大臣および任意に罷免できる行政府のその他の役人,国庫
(Trésorerie nationale)の委員,直接税の収税吏(percepteur et receveur),間接 税および国有財産(domaine national)の徴収ならびに管理にあたる係官(préposé), なんらかの名称で呼ばれる宮内庁の武官部門および文官部門(maison militaire et civile du Roi)に雇用されている者は,選ばれることが義務づけられる。
同様に,行政官(administrateur),副行政官(sous-administrateur),市町村官吏 (officier municipal),および国民軍の指揮官(commandant des gardes nationales)
も,選ばれることが義務づけられる。 第 5 条(37) 司法の職務の行使は,全立法期間を通じて,国民の代表者の職務と 兼職できない。 裁判官は,その補充者によって交代され,国王は裁判所の委員会の交代者に特許 状を付与する。 第 6 条(38) 立法府の構成員は,次期の立法議会に再選され得る。それ以降は,1 立法期の間をおかなければ選ばれ得ない。 第 7 条(39) 県において任命された代表者は,特定の県の代表者ではなく,国民 全体の代表者であり,代表者にはいかなる委任も与えることはできない。 第Ⅳ節 第一次会および選挙会の開催ならびに制度
(Tenue et régime des Assemblées primaires et électorales)
第 1 条(40) 第一次会および選挙会の役割は選挙することだけである。第一次会 および選挙会は,選挙が終了後直ちに散会し,召集されなければ新たに集会するこ とはできない。但し,上記の第 II 節第 1 条(26)および第 III 節第 1 条(33)の場合は この限りでない。 第 2 条(41) いかなる能動市民も,武器をもっているときは,第一次会および選 挙会に入場することもまた投票することもできない。 第 3 条(42) 軍隊は,そこで暴力が振るわれた場合を除いて,第一次会または選 挙会の明示の要請がなければ,投票場内部に導入されることはない。
第 4 条(43) 2 年ごとに,各ディストリクトにおいてカントンごとの能動市民の 名簿が作成されるものとし,各カントンの名簿は第一次会が開催される 2 カ月前に カントンにおいて公にされ掲示されるものとする。 名簿に登載された市民の資格について抗議するためまたは不当に排除されている と主張する者からなされた異議申し立ては,異議申し立てにつき略式に裁判するた めの裁判所に送られる。 名簿は,第一次会の開催前になされた判決によって修正されなかったすべての者 について,次期の第一次会に市民の参加を認めるための決まりとして役立てられる。 第 5 条(44) 選挙会は,選挙会に立候補する者の資格および権限を審査する権利 を有し,その決定は仮に執行される。但し,代表者の権利の審査に際して立法府の 判決があったときはこの限りでない。 第 6 条(45) いかなる場合にもまたいかなる事情があっても,国王も国王により 任命されたいかなる官吏も,召集の合法性,第一次会および選挙会の開催,選挙手 続きおよび市民の政治的権利に関する問題を調査することはできない。但し,法律 により定められた場合における国王委員(Commissaire du Roi)の任務についてはこ の限りでない。その場合には,市民の政治的権利に関する問題は裁判所に提起され なければならない。 第Ⅴ章 司法権について (Du pouvoir judiciaire)
第 2 条(156) 裁判は,人民によって任期を定めて選ばれ且つ国王が拒否し得な い国王の特許状(lettre patente)によって任命された裁判官により無償でなされる。 裁判官は,正式に裁判された瀆職罪を理由としてのみ罷免され,承認された起訴 を理由としてのみ停職される。 訴追官(accusateur public)は人民によって任命される。 第 4 条(158) 市民は,いかなる委任によってもまた法律により定められた権限 や使命以外のものによっても,法律により定められた裁判官から引き離されること はない。 第 9 条(163) 重罪事件(matière criminelle)においては,陪審員によって受理さ れた訴追または訴追をなす権限が立法府に属する場合には立法府によって決定され た訴追にもとづかなければ,いかなる市民も裁判を受けることはない。 訴追が認められた後,事実は陪審員によって承認され且つ宣告される。 被告人は,理由を述べずに 20 人まで陪審員を忌避することができる。 事実を宣告する陪審員は 12 人を下ってはならない。 法律の適用は裁判官によってなされる。 審理は公開され且つ被告人に対して弁護人の援助を拒むことはできない。 適法な陪審によって無罪を宣告されたすべての者は,同一事実により再び逮捕さ れることも訴追を受けることもない。 第 10 条(164) 何人も,司法警察官(officier de police)の前に引致されるためで なければ逮捕されない。且つ何人も,司法警察官の令状(mandat),裁判所の逮 捕命令(ordonnance de prise de corps),訴追命令(décret d’accusation)を発する ことが立法府の権限である場合には立法府の訴追命令,または軽罪拘禁(prison ou détention correctionnelle)を言い渡す判決によらなければ,抑留,拘禁されない。 第 11 条(165) 逮捕されて司法警察官の前に引致された者は,直ちにまたは遅く とも 24 時間以内に取り調べられるものとする。 取り調べの結果いかなる嫌疑事由もないときは,引致された者は直ちに釈放され る。または留置場(maison d’arrêt)に送致すべき事由があるときは,直ちに送致さ れるものとし,その期間はいかなる場合にも 3 日を超えることはできない。 第 12 条(166) 逮捕された者は何人も,法律が保証金(cautionnement)を支払っ た場合に自由のままにしておくことを認めているときは,十分な保証を支払ったな らば,留置されることはない。 第 13 条(167) 何人も,その留置が法律によって許可されている場合,留置場, 拘置所(maison de justice)または刑務所(prison)として利用するために合法的且つ 公然と指示されている場所以外には引致されまた留置されることはない。 第 14 条(168) いかなる看守(gardien)または牢番(geôlier)も,逮捕状(mandat de prise de corps)もしくは逮捕命令(ordonnance),訴追命令または前記第 10 条に
定められた判決によらなければ,且つそのことが記録簿(registre)に登録されなけ れば,何人も収容しまたは留置することはできない。
第 15 条(169) すべての看守または牢番は,いかなる命令もそれを免除するので
なければ,勾留場(maison de détention)の警察権をもっている官吏(officier civil) が要求するたびに,勾留されている者をその官吏に再提出しなければならない。 勾留されている者の再提出は,その者の親族,友人,警察権を有する官吏の命令 をもっている者に対しても同様に拒むことはできない。警察権を有する官吏は,看 守または牢番が,その決定を秘密にしておくために記録簿に記録された裁判官の決 定を提示しない限り,その命令を常に与えなければならない。 第 16 条(170) 法律が逮捕権を認めていないあらゆる地位または職にある者で市 民の逮捕命令を発し,署名し,執行しまたは執行させた者,法律が逮捕を許可して いる場合であっても公然と且つ合法的に指示されていない勾留の場所に市民を連行 し,受理しまたは留置した者,および上記第 14 条,15 条の規定に違反した看守ま たは牢番は,恣意的留置の罪(crime de détention arbitraire)により有罪とされる。
第 17 条(171) 何人も,いかなる事実についても印刷させまたは出版させた文書 を理由として捜索されることも訴追されることもない。但し,その文書が,法律へ の不服従,憲法により設置された機関の堕落,憲法により設置された機関の行為に 対する反抗または法律により重罪もしくは軽罪と宣言されている何らかの行為を故 意に扇動するときはこの限りでない。 憲法により設置された機関の文書についての検閲は許される。但し,公務員の誠 実さおよび公務員の職務執行における意図の公明正大さに対する故意の誹誇中傷 (calomnie)は,その対象となった者により告訴さ(poursuivre)れ得る。 いかなる者に対してもその私生活の行為に関する誹謗および侮辱は,その者の告 訴にもとづいて処罰される。 第 18 条(172) 何人も,印刷されまたは出版された文書の事実につき,民事の方 法によっても刑事の方法によっても裁判されない。但し,陪審によって受理され且 つ(1)告発された文書の中に犯罪が含まれると宣告されまたは(2)告訴された者がそ れについて有罪であると宣告されたときはこの限りでない。 *中村義孝編訳『フランス憲法史集成』(法律文化社,2003 年)の訳を基本としているが, 異なる訳に変更した箇所がある。また,憲法第Ⅰ編には条文番号が付されていないた め,便宜上,内容の区切りごとに番号等を付した。