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平成 22 年度自由貿易協定等情報調査分析検討事業モンゴルにおける農林水産業と農林水産政策等の調査 分析プロマーコンサルティング 表 21 地域別耕地面積 単位 : 千ヘクタール 割合 6-9 成長率 合計 162,4 22, , ,168 西部地

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モンゴルの農業

4.1

概況

4.1.1 作付面積と収穫量 モンゴルは厳しい自然環境で農業に適した気候とは言えないが、社会主義時代に始まっ た小麦栽培の他、じゃがいもや野菜、菜種等の栽培も行われている。2009 年の収穫量は小 麦が39 万トン、じゃがいもが 15 万トン、野菜が 8 万トン等となっており、モンゴル政府 は小麦とじゃがいもについては自給率100%を達成したとしている。 表 20 主な耕種作物の作付面積・収穫量(2009) 作付面積 (千ヘクタール) 収穫量 (千トン) 合計 282 635 麦 252 392 うち小麦 249 388 じゃがいも 14 151 野菜* 7 78 飼料作物 3 10 菜種 6 4 出所:NSO「モンゴル農牧業統計 2009」 注:*野菜はキャベツ、カブ、ニンジン、タマネギ、キュウリ、トマト、スイカ等 耕種農業は中部地域に集中しており、小麦栽培が盛んなセレンゲ県やダルハン県、トゥ ブ県などで耕地面積の74%を占める。また、近年中部地域、ハンガイ地域を中心に耕地面 積が拡大している。

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表 21 地域別耕地面積 単位:千ヘクタール 2006 2007 2008 2009 09 割合 06-09 成長率 合計 162,040 202,729 192,496 282,168 西部地域 6,794 8,640 8,567 9,393 3% 11% バヤン・ウルギー 620 684 709 742 ゴビ・アルタイ 1,034 1,308 1,510 1,934 ザブハン 608 609 600 868 ウブス 2,026 3,391 2,971 3,553 ホブド 2,507 2,648 2,777 2,296 ハンガイ地域 31,870 34,512 32,489 52,318 19% 18% アルハンガイ 1,420 1,631 2,291 4,810 バヤンホンゴル 376 407 437 485 ブルガン 19,249 17,640 17,641 28,510 オルホン 2,574 3,280 2,492 2,794 ウブルハンガイ 2,198 2,353 1,221 1,638 フブスグル 6,053 9,199 8,406 14,082 中部地域 108,350 147,864 143,303 207,969 74% 24% ゴビスンベル 27 29 23 47 ダルハン 5,747 10,782 8,234 12,064 ドルノゴビ 37 33 51 117 ドンダゴビ 41 43 60 99 ウムヌゴビ 216 229 202 176 セレンゲ 74,124 101,323 105,800 145,022 トゥブ 28,158 35,426 28,933 50,444 東部 13,753 10,522 6,991 11,353 4% -6% ドルノド 2,953 2,702 3,442 2,945 スフバートル 46 64 73 185 ヘンティ 10,754 7,756 3,476 8,223 ウランバートル 1,273 1,192 1,147 1,134 0% -4% 出所:NSO「モンゴル農牧業統計 2009」 4.1.2 農場数・規模 牧畜に関しては毎年センサスが行われているのに対し、耕種農業に関してはあまりデー タが収集されてきていないのが現状で、統計局で把握しているのは作物別の作付面積と収 穫量、農業設備に関するデータ程度である。MOFALI によれば、現在確認されている農業 企業の数は1,200 社で、この他に 6 万世帯の個人農家がある。農業企業の 9 割は広い耕地 で小麦を栽培する穀物企業で、個人農家は100 ヘクタール以下の土地で野菜を栽培してい る農家が多い。2008 年~2010 年にかけて実施された「第三次農業復興計画」の結果、2007 年~2010 年の間に新たに約 600 社の農業企業が設立され、6,000 人の雇用が生み出されと される。

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表 22 農業企業、個人農家別栽培面積 栽培面積(千ヘクタール) 割合(%) 麦 じゃがいも 野菜 飼料食物 麦 じゃがいも 野菜 飼料作物 合計 252.4 13.5 6.5 3.3 100 100 100 100 農業企業、組合 232 3.5 0.9 1.6 91.9 25.8 13.7 47.7 個人農家 20.4 10 5.6 1.7 8.1 74.2 86.3 52.3 出所:NSO「モンゴル農牧業統計 2009」 4.1.3 水資源と灌漑システム34 モンゴルでは年間降水量が 100~300mm という雨が尐ない気候条件から、農業を行う 上で水が最大の制約要因となってきた。北部・西部地域にはセレンゲ川、オルホン川、ヘ ルレン川、トゥール川等、北部の山脈に源流を持つ主要な河川があり、社会主義時代には 旧ソ連の支援によりこれらの地域を中心に重力灌漑システム及び自走式大型スプリンクラ が導入された。 しかし、市場経済化により灌漑システムは所有権が曖昧になり、国の補助もなくなった ため適切なメンテナンスが行われないまま老朽化した。また、鉄製のパイプの一部はスク ラップメタルとして中国に売られ、灌漑はほとんど行われなくなった。 近年灌漑システムは徐々に復旧が進められており、特に大規模な小麦農場ではスプリン ク ラ に よ る 灌 漑 が 行 わ れ て い る が 、 国 連 食 糧 農 業 機 関 (Food and Agriculture Organization-FAO)データによれば灌漑面積は耕地全体の 10%に当たる 8 万ヘクタール に過ぎない。農業の生産性を向上させるためには今後さらに灌漑システムの整備が必要で あるが、セレンゲ川、オルホン川、トゥール川はいずれも最終的にはロシアのバイカル湖 に流れており、過剰な水の摂取を行うとロシアとの関係で問題になる可能性があるとの指 摘もある。35 また、現地援助関係者の話によれば、モンゴルでは近年稲作栽培に対する関心も高まっ ている。日本の自治体関係者等、モンゴルで農業をやりたいという人が増えており、モン ゴル側からも稲作への協力要請もある。稲作は苗をハウス栽培である程度まで育てればで きなくはないという話もあるが、水の制約により実現性は薄いと見られている。36

34 1)ADB(2006)”Technical Assistance Consultant’s Report: Mongolia Agriculture Sector Strategy

Study”

2) FAO AQUASTAT’s Country Profile of Mongolia

35 モンゴル政府とロシア(旧ソ連)は 1974 年にセレンゲ川の水資源の利用と保護に関し、また 1995 年

にはモンゴルからロシアに流れる100 の小規模河川に関して合意を結んでいる(FAO AQUASTAT)。

36 一方、報道によれば、北海道滝川市の観光大使に就任した横綱の白鳳の要請により、滝川市が寒冷地

での経験を生かして稲作技術指導を行うことが合意されており、稲作栽培の可能性調査や農作物の栽培技 術支援、研修生の受け入れ等が計画されている。(2010 年 5 月 12 日付 北海道新聞)

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4.2

小麦生産

37 小麦は社会主義時代の国営農場設立と耕種農業の振興により生産が拡大したことにより 消費が一般的になった。モンゴルの小麦生産量は1950 年代後半以降順調に増加し、1985 年には69 万トンの生産量を記録し、穀物不足であった旧ソ連への輸出も行われていた。 しかし、市場経済移行後、国営農場の民営化により農場の小規模化が進むと同時に、旧ソ 連からの農業機械や種子の供給がストップしたこと等により、生産量は2000 年には過去 最高であった1985 年の約 5 分の 1 まで低下した。 小麦生産は2005 年以降徐々に回復し、2009 年には約 39 万トンの生産量を達成して国 内の需要をほぼ賄えるようになっている。MOFALI によれば、2009 年の高い自給率の達 成は、2008 年からの「第三次農業復興計画」の下で実施されている小麦の種子購入や農業 機械に対する国の補助等の農業政策が功を奏し、生産が回復していることによるものであ るが、単に気象条件がよかっただけではないかという日本人専門家等の見方もある。 モンゴルの小麦生産は春小麦のみで、播種が 4 月中旪~6 月上旪、収穫は 8 月中旪~9 月中旪である。降水量が尐ないことから、地力の維持や土壌水分確保のため隔年栽培が行 われている。 図 17 小麦の生産量推移 出所:FAOSTAT 37 国際農林業協力協会 (2002)「モンゴルの農牧業」 0 10 20 30 40 50 60 70 80 1980 1981 1982 1983 1984 1985 1986 1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 万 ト ン

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図 18 小麦の作付面積と単収 出所:FAOSTAT モンゴルの穀物農場は、大部分が社会主義時代の大規模国営農場を引き次いでいること から、現在でも経営規模が大きい。穀物企業の数は1,090 社で、300~500 ヘクタール規 模の企業が大部分を占めるが、3,000 ヘクタールを超える企業も 30 社ある。農業機械はロ シア製の古いものが使われているが、老朽化して数が不足している。特にハーベスターは 共同利用となっており、大規模な農場が貸し出す形になっているが、数量が足りずに収穫 が遅れる場合もある。一方、ここ数年政府の補助等により収穫機や播種機の数は増加傾向 にある。 表 23 規模別穀物企業数 農場規模 企業数 合計 1,090 社 3,000 ヘクタール以上 30 社 1,000-3,000 ヘクタール 130 社 500-1,000 115 社 300-500 ヘクタール 815 社 出所:MOFALI 表 24 種類別農業機械数 農業機械 2000 2003 2006 2009 トラクター 4,733 4,193 3,891 2,898 穀物収穫機 1,086 1,072 617 967 トラクター播種機 1,995 1,585 934 1,859 車両 6,621 5,717 6,257 6,750 出所:NSO “Mongolia Statistical Yearbook 2009”

モンゴル政府は小麦の生産や国内での製粉加工を促進するため様々な措置を講じており、 0 200 400 600 800 1000 1200 1400 1600 1800 0 10 20 30 40 50 60 1980 1981 1982 1983 1984 1985 1986 1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 単収 kg /h a 作付面積 万 Ha 作付面積 単収

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「第三次農業復興計画」の中で、農場当たりの耕地面積の上限を3,000 ヘクタールから 20,000 ヘクタールに引き上げた他、農業機械や小麦加工機械に係る輸入関税と VAT の廃 止、小麦種子の半額補助、農業機械の貸し出し、燃料補助等を行っている。また、2009 年には穀物法を改正し、製粉工場に対して、その年の穀物価格と生産状況により、製粉1 トン当たり5~8 万トゥグルグの補助を行っている。 2009 年に小麦の自給率 100%を達成できたことから、モンゴル政府は今後さらに小麦の 生産を拡大し、余剰分を隣国の中国やロシアに輸出したい意向である。MOFALI によれば、 小麦については、中国に輸出できるよう中国政府と交渉中である。

4.3

野菜生産

4.3.1 じゃがいも じゃがいもは小麦に次ぐ重要な作物であり、現在1 人当たりの年間消費量は約 38kg で ある38。じゃがいもは小麦と同様に1980 年代に生産量が急増し、1990 年には 13 万トン に達したが、市場経済化以降生産量が激減し、1996 年には 5 万トンと 1990 年の約 3 分の 1 にまで落ち込んだ。じゃがいもの生産は 2000 年以降順調に回復し、2009 年の生産量は 過去最高の15 万 1 千トンを記録した。モンゴル政府はじゃがいもについて 100%自給を達 成したとしているが、でんぷん用等として中国等から約2 万トンのじゃがいもを輸入して いる。 図 19 じゃがいもの生産量推移 出所:FAOSTAT 38 モンゴル農牧業統計(2009) 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 1980 1981 1982 1983 1984 1985 1986 1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 万 トン

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図 20 じゃがいもの作付面積と単収 出所:FAOSTAT 4.3.2 野菜 モンゴルでは社会主義時代の耕種農業の振興に伴って野菜が生産されるようになり、特 に近年は都市部を中心とした食の多様化により野菜を食べる機会が増えてきている。中国 からの輸入品が多く、様々な野菜が市場やスーパー等、都市部を中心に出回っている。現 在、野菜の 1 人当たりの年間消費量は 22kg 程度であるが、都市部では 25kg、地方では 17kg と開きがある39。都市部ではベジタリアンレストラン等もできているが、一般的には サラダや付け合せとして食べる程度で、まだまだモンゴルの食生活に浸透しているとは言 い難い。 モンゴルで生産されている主な野菜は、キャベツ、スウェーデンカブ、テーブル・ビー ト、カブ、大根、ラディッシュ、キュウリ、レタス、チョロギ、ニンジン、フパーブ、ト マト、タマネギ、にら、にんにく、ネギ等15~16 種類である40。野菜の生産量は2000 年 の44,000 トンから、2009 年には 78,000 トンと 77%増加している。一方、中国からの野 菜の輸入量も増加傾向にあり、2009 年には中国からキャベツ、ニンジン、かぶ、タマネギ、 にんにく等5 万トン以上を輸入している。 現在、野菜の86%は個人農家や家庭菜園で栽培されている。モンゴル政府は 1998 年か ら2004 年にかけて「グリーン革命国家計画(フェーズ 1)」を実施し、野菜の生産量増加 や世帯収入の向上を目的として、農家に対して温室や野菜栽培用の機具、野菜の種の提供 39 NSO「モンゴル農牧業統計 2009」 40 国際農林業協力協会 (2002)「モンゴルの農牧業」 0 2000 4000 6000 8000 10000 12000 14000 0 2 4 6 8 10 12 14 16 1980 1981 1982 1983 1984 1985 1986 1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 単収( kg /h a ) 作付面積( 千 Ha ) 作付面積 単収

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等の支援を行った。この結果、野菜を栽培する農家は1997 年当時と比較して 2.5 倍増加 したとされる。41 モンゴルは気候上病害虫が尐なく、夏場には昼間は高温になり、日照にも恵まれること から、ほとんどの野菜が無農薬状態で栽培されており、中国からの輸入品の安全性への懸 念が増す中で都市部の高所得者層を中心に国内産の野菜は人気がある。しかし、根菜類以 外は夏場しか手に入らず、中国産の野菜と比べて高価なため、市場での競争力は低い。 図 21 野菜の生産量推移

出所:NSO “Mongolia Statistical Yearbook 2003,2009”を元に作成

表 25 主な野菜の生産と需要量の関係 単位:千トン、% 需要(国内生産+輸入) (千トン) 国内生産 (千トン) 自給率(国内生産/需要) (%) 2006 2007 2008 2009 2006 2007 2008 2009 2006 2007 2008 2009 トマト 4.2 4.8 8.5 4.1 2.3 2.4 2.8 1.4 55.7 50.9 32.9 34.6 タマネギ、 ニンニク 7.2 5.6 18.5 15.3 2.9 3.7 4.2 4.1 40.3 65.4 22.8 26.7 キャベツ 28.8 33.5 39.9 38.8 18.5 20.6 19.3 19.0 64.1 61.3 48.5 49.0 ニンジン、 カブ 37.2 44.4 45.2 57.0 36.6 38.9 39.5 41.9 98.3 87.6 87.3 73.5 キュウリ 4.1 4.7 7.1 4.0 3.0 2.9 2.8 3.1 72.5 61.1 40.1 76.0 スイカ 8.0 8.4 11.0 6.6 4.5 5.3 6.5 4.9 56.3 63.4 59.0 75.2 その他 3.4 3.7 4.8 4.4 2.7 2.7 3.4 3.6 81.3 73.1 70.1 80.6 合計 92.9 105.1 135.0 130.2 70.5 76.5 78.5 78.0 75.9 72.8 58.1 59.9 出所:NSO「モンゴル農牧業統計 2009」 41 NSO「モンゴル農牧業統計 2009」 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 千 ト ン

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4.3.3 菜種 菜種は休耕期の作物として栽培されており、中国から種子を持ち込んで栽培されている ケースが多い。2009 年には 6,200 ヘクタールの土地で 3,600 トンの菜種が栽培されたが、 多くの農場で小麦栽培に転じたことから収穫量は2007 年以降大幅に減尐している。 MOFALI によれば、2010 年は 2009 年よりは栽培量が増えている。同省は今後菜種を中 国に輸出したい意向を持っており、中国政府と交渉中ということであるが、菜種の栽培は 年によって変動が大きい。また、現地貿易企業の話によれば、菜種栽培には中国の農業企 業が関わっているが、出入りが激しいため安定した投資の受け皿になっておらず、今後ど の程度栽培が増加するかは予測がつきにくい。 表 26 菜種の作付面積と収穫量の推移 単位:千ヘクタール、千トン 2006 2007 2008 2009 作付面積 15.3 58.4 14.3 6.2 収穫量 11.0 17.2 6.6 3.6 出所:NSO「モンゴル農牧業統計 2009」 4.3.4 チャツルガン チャツルガンはグミ科の植物で、各種栄養素が豊富なため機能性食品や飲料に使用され ている果物の一種である。チャツルガンはもともと野生の果樹であるが、果物で唯一畑で の栽培が行われており、現在約2,000 ヘクタールで栽培されている。モンゴル政府は国内 の果物需要への対応や鉱山開発エリアでの森林再生を目的として、「チャツルガンプログラ ム」(2010 年~2016 年)を実施中である。プログラムでは、栽培面積を現在の 10 倍の 20,000 ヘクタールに拡大し、ジュースやジャム等として加工・輸出することが目標である。 チャツルガンは冬に収穫され、市場でそのまま売られている他、現在ジャムやコンセン トレート、ジュース等として加工され、販売されている。栄養価が高く、油や栄養補助食 品、ジャム等として輸出すれば優良な輸出品目になり得ると考えられている。

4.4

農業の発展を阻害している要因

モンゴルの耕種農業は市場経済化の混乱の中で生産に係る技術が分散し、農業機械や灌 漑施設の老朽化や資金不足により生産が大きく低下した。2000 年代を通じて農業は徐々に 回復を遂げており、特に小麦は降水量が尐ない場所でも生産が可能であることから、今後

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灌漑施設の整備や農業機械・肥料の投入などにより生産拡大の可能性はあると言える。一 方で、これまで農業の発展を阻害してきた多くの要因が解消されたとは言えず、短期的に 生産が大きく増えることは考えにくい。 以下に農業が直面している主な課題を挙げた。  低い生産性:農業機械の不足、低品質の種子の使用、灌漑設備の老朽化や不足により、 全般的に生産性が低い。  自然・気候条件による制約:降水量が尐なく、寒冷な気候のため栽培できる作物や期 間が限られている。  銀行融資制度の未整備:穀物の生産には大規模な大型機械や十分な営農資金が必要で あるが、銀行システムが十分に発達していないことから、必要な資金の貸付が受けら れない。

表  21  地域別耕地面積  単位:千ヘクタール  2006  2007  2008  2009  09 割合  06-09 成長率  合計  162,040    202,729    192,496    282,168    西部地域  6,794    8,640    8,567    9,393    3%  11%    バヤン・ウルギー  620    684    709    742      ゴビ・アルタイ  1,034    1,308    1,510    1,934
表  22  農業企業、個人農家別栽培面積      栽培面積(千ヘクタール)  割合(%)  麦  じゃがいも  野菜  飼料食物  麦  じゃがいも  野菜  飼料作物  合計  252.4  13.5  6.5  3.3  100  100  100  100  農業企業、組合  232  3.5  0.9  1.6  91.9  25.8  13.7  47.7  個人農家  20.4  10  5.6  1.7  8.1  74.2  86.3  52.3  出所:NSO「モンゴル農牧業統計 20
図  18  小麦の作付面積と単収  出所:FAOSTAT  モンゴルの穀物農場は、大部分が社会主義時代の大規模国営農場を引き次いでいること から、現在でも経営規模が大きい。穀物企業の数は 1,090 社で、300~500 ヘクタール規 模の企業が大部分を占めるが、 3,000 ヘクタールを超える企業も 30 社ある。農業機械はロ シア製の古いものが使われているが、老朽化して数が不足している。特にハーベスターは 共同利用となっており、大規模な農場が貸し出す形になっているが、数量が足りずに収穫 が遅れる場合も
図  20  じゃがいもの作付面積と単収  出所:FAOSTAT  4.3.2  野菜  モンゴルでは社会主義時代の耕種農業の振興に伴って野菜が生産されるようになり、特 に近年は都市部を中心とした食の多様化により野菜を食べる機会が増えてきている。中国 からの輸入品が多く、様々な野菜が市場やスーパー等、都市部を中心に出回っている。現 在、野菜の 1 人当たりの年間消費量は 22kg 程度であるが、都市部では 25kg、地方では 17kg と開きがある 39 。都市部ではベジタリアンレストラン等もできているが、
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