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安全 補償制度の盲点

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子供をとりまく社会の変化と

PTA

安全 補償制度の盲点

⎜⎜ 新・教育基本法 からみた実態に合った商品開発を中心 として ⎜⎜

早 川 淑 人

■アブストラクト

PTA団体では安全補償制度として各種保険を採用しているが,社会環境 の変化と活動の多様化から,活動の実態から乖離した補償内容になりつつあ る。特に,法律と保険約款における 学校管理下 の解釈の相違,授業補助 や少子化による他社会教育団体と連携するPTA活動では,保険金・給付金 支払いの可否が問題になることがある。本稿では,PTA活動の現状を調査 分析し, 新・教育基本法 の観点から必要とされる補償内容が実際に商品 化されるまでの安全補償制度上の諸問題を考察し,①団体活動上は,活動方 法が社会の流れとともに変化する点,②補償上は,保険商品が作られた当時 とは社会背景が異なっている点,③安全補償制度上は,学事歴と保険始期が 一致しないなどの運営上の問題点があると指摘した。これらは子どもの成長 過程に応じた教育課程単位でのPTA専用商品の開発や,社団法人日本 PTA全国協議会などの全国組織を契約者にすることで一定の解決が図られ ると思われる。

■キーワード

PTA,独立行政法人日本スポーツ振興センター法,ワーク・ライフバラ ンス

165

*平成22年12月17日の日本保険学会関東部会報告による。

/平成23年7月14日原稿受領。

欧文のやり方 Laws,.-欧文の中の数字11.,‑ “”

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1.はじめに

子供をとりまく教育は学校教育,家庭教育,社会教育の3つに大別され,

PTA活動は学校施設を主たる活動場所として保護者の自主的な参加で実施 されてきた。日本PTA全国協議会は昭和27年10月24日に結成され,設立当 初のPTAの主たる目的のひとつは学校教育を補完するための家庭の役割で あった。社会教育法(昭和二十四年六月十日法律第二百七号)第13条により 社会教育関係団体に補助金を交付できるようになったことから,現在は社会 教育団体としての役割を担っている。

PTA活動に利用される保険はPTA団体傷害保険,学校契約団体傷害保 険(または学童団体傷害保険=以下,学校契約団体傷害保険とする),PTA 管理者賠償責任保険などが考えられる。A損害保険会社(以下,A社とす る)によるとPTA団体傷害保険は昭和55年12月に認可され,実際は昭和58 年以降販売された。また学校契約団体傷害保険は昭和31年9月に認可され,

昭和42年時点ではすでに販売されているので,他の損害保険会社においても 同様な時期に商品化されたと考えられる。しかし昨今では時代の変化や PTA活動内容の拡大にともない,これらの保険では補償できない問題や,

特に 学校管理下 については保険約款と法律上の解釈の相違も生じている。

本報告では新しい教育基本法の視点から,PTA活動に必要な安全補償制 度(安全互助会)の補償内容と問題点について考察する。なお本論では PTA団体傷害保険と学校契約団体傷害保険を中心に述べることとする。

2.社会環境の変化にともなう PTA活動の多様化

⑴ 教育基本法(平成18年法律第120号)による影響

新しい教育基本法では第10条に家庭教育,第11条に幼児期の教育,第13条 に学校,家庭及び地域住民等の相互の連携教育が新設され,第12条には旧教 育基本法の第7条社会教育の2に, その他の社会教育施設の設置 , 学習 の機会及び情報の提供について が追加された。これは既存の図書館,博物

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館,公民館などの社会教育施設のほかに学校の施設の有効活用を行うととも に,学校や社会教育施設は子供にとって 安心・安全・楽しい場所でなけれ ばいけない との考え方である。子供の居場所作り事業は 放課後子どもプ ラン として,文部科学省では 放課後子ども教室推進事業 ,厚生労働省 では 放課後児童健全育成事業 が実施されているほか,中学校区を中心と した校区内の幼小中の合同活動,地域貢献活動,学校での授業支援,町内会 や商店会,地域の青少年育成団体などとの活動や他団体への後援事業などが ある。これらは一つ一つのPTA事業をこなす活動から,子どもの健全育成 という時代が変わっても本質は変わらない PTA運動へ という考え方の 変化によるところが大きい。PTA運動とは日々のPTA活動,1週間,1 カ月,学期単位のPTA活動から1年,5年,10年といった長期間の活動の 連続がPTA運動となるものであり,時代とともに活動内容も変化してきて いる。

⑵ 教育基本法以外の社会的背景

平成19年5月24日に男女共同参画会議はワーク・ライフバランスについて の中間報告を発表した。保護者が安心して働ける環境づくりは,子どもの安 全な居場所作りが必要となる。PTA活動内容の変化は教育基本法以外の社 会的背景の変化によるところも大きい。特に大きな影響を与えたものには次 のようなものがある 。

・ 犯罪被害者等基本計画 (平成17年12月)

・ 子どもの安全・安心加速化プラン〜非行や犯罪被害から子どもを守る ために〜 (平成18年6月20日 犯罪対策閣僚会議・青少年育成推進本 部合同会議了承)→子どもが放課後等に安全で健やかに過ごせる活動拠 点(居場所)の確保(文部科学省・厚生労働省)

・ 再チャレンジ支援総合プラン (平成18年12月25日 多様な機会のあ る社会 推進会議)→厚生労働省 放課後児童クラブ (留守家庭児童を 1) 各省庁ホームページから報告者作成。

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対象)

・ 第166回国会における安倍内閣総理大臣施政方針演説 (平成19年1月 26日) どこの学校でも,どこの子にも起こりうる いじめ問題

またこれらの一連の流れは犯罪被害者等基本法(平成十六年十二月 日法 律第百六十一号)によるところが大きいと考えられる。

3.市 PTA協議会安全補償制度運営上の諸問題(調査結果)

報告者は平成20年9月にB市PTA協議会において安全補償制度運営上の 問題点につきアンケート調査を行った。B市は人口約190万人の大都市で,

単位PTA数はB市立幼稚園17園,B市立小学校207校,B市立中学校96校 の合計320単位PTA,PTA会員数は約12万5千世帯であり,幼児・児童・

生徒の被保険者数は約14万1千人(調査当時)である。本調査によりB市と B市PTA協議会の規模を考えれば,日本全国のPTA団体における安全補 償制度上の問題点を幅広く把握できたと思われる。B市PTA協議会は平成 18年度までは活動の一つとしてB市PTA安全互助会を運営してきたが,無 認可共済の関係から平成19年度より損害保険会社との契約に切り替え,保護 者はPTA団体活動中のみ補償,子どもは安全互助制度の精神を引き継ぎ24 時間補償とし,学校契約団体傷害保険,PTA団体傷害保険,PTA管理者 賠償責任保険の三つの保険で安全補償制度とした。保険契約者はB市PTA 協議会会長であり,被保険者はPTA会員の教諭,保護者,特別会員,園児,

児童,生徒である。

調査の質問項目は B市PTA協議会安全補償制度についてご意見をお聞 かせください の一つの質問のみでアンケート用紙に自由に記入してもらい,

記入者は各単位PTA会長あるいはPTA担当教諭に限定した。回収数は78 単位PTA,回収率は24.3%である 。

2) 複数項目の回答があるので,合計しても回収数とは一致しない。

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⑴ 補償内容に対する問題

① 学校管理下 の範囲について法律と保険約款上の解釈の違い

学校など教育現場での園児,児童,生徒に対する傷害や一部の疾病は,独 立行政法人日本スポーツ振興センター法に基づき,独立行政法人日本スポー ツ振興センター災害補償規定で補償される。学校の正規の教育計画に基づく 授業や部活動などの課外活動が対象となり,土曜日曜に開催される運動会や 修学旅行なども学校管理下として補償対象となる。B市PTA協議会では学 校教育,家庭教育,社会教育のそれぞれの活動が独立して子どもに対応する のではなく,包括的に連携して子どもの健全育成を行う観点から学校契約団 体傷害保険を 学校管理下不担保 として24時間補償する方式を採用してい る。しかしA社の学校契約団体傷害保険における傷害保険普通保険約款・特 約条項で学校管理下の解釈は,

第2条(学校の管理下)(報告者編集)

前条の 学校の管理下 とは,次の各号に掲げる間をいいます。

⑴学校の授業中および休憩時間中

⑵学校の授業開始前または授業終了後における在校中

⑶学校の授業のため学校または学校の指定する場所と被保険者の住所との 通常の経路の往復中

⑷教育委員会その他の機関または団体が行う教育活動行事への参加中およ び行事の場所と被保険者の住所との通常の経路の往復中

となっており,学校の敷地内にいるときは 学校管理下 との解釈である。

PTA活動中を含めた24時間補償を求めつつ,保険料を抑えるために独立行 政法人日本スポーツ振興センター災害補償規定で補償される重複部分を排除 した 学校管理下不担保 特約契約では,学校敷地内での補償に空白が生じ

3) 本報告現在,A社においては 支払い責任の変更に関する特約条項 (PTA 団体傷害保険用)を新たに認可取得したことにより補償された。

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ることになる。

一例として,B市には教育委員会以外が所管する児童会館のほかに小学校 の空き教室を利用してミニ児童会館が設置されているが,行政上の区分では ミニ児童会館も所管外となっている。この館内での事故は,独立行政法人日 本スポーツ振興センター法で規定される学校管理下には当たらず,同法災害 補償規定の支払い対象外となる。しかしA社を含めた他社ではミニ児童会館 は学校施設内にあるため 学校管理下 としてみなされ, 学校管理下不担 保 特約により,あるいは 学校管理下外担保 特約によりミニ児童会館で の事故は児童会館同様に補償の対象にはならない。

教育計画を中心とした法律上の 学校管理下 と,学校施設を中心とした 保険約款上の解釈が異なる。前者は教育計画上の管理がなされているかどう かで判断するが,後者は施設賠償責任保険のように,その施設を誰が管理維 持しているかで判断している。

もう一つの事例として,夏休み期間中を利用した 学校開放プール事業 があり,単位PTAが教育委員会から運営を受託しPTA事業として行われ ている。この件に関して独立行政法人日本スポーツ振興センター災害共済給 付の基準に関する規定では,学校管理下の範囲として 放課後,休業日など に教師の監督のもとに行われる学校のプール指導などに参加した場合 (施 行令第5条第2項第2号4⑷)には,教育計画上の学校管理下であることが 支払い要件とされている。

この件に関しては受託者である単位PTAでは,学校経由で教育委員会か らの依頼や所属学校でのPTAとしてのお手伝いととらえる向きが非常に多 く,大半が責任の所在が理解されないまま事業運営されている。PTA会員 や子どもの事故はPTA団体傷害保険,あるいはB市のように学校契約団体 傷害保険 学校管理下不担保 特約の契約が締結されていれば補償されるが,

それとは別に管理監督責任の観点から賠償や補償事件に発展することが想定 され,そのような場合はこれらの保険とは別にPTA管理者賠償責任保険が 必要となる。

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これらのことから 学校管理下 に対する解釈は消費者(保険契約者・被 保険者)に誤認させぬためにも法律と約款の解釈を一致させる必要がある。

② 特別支援学級の送迎

学校契約団体傷害保険の 学校管理下不担保 特約のケースである。該当 する児童は一週間のうち所属学校に1〜2日登校し,残りの日は校区ごとに 特別支援学級が設置されている学校に登校する。独立行政法人日本スポーツ 振興センター災害補償規定では,これらの特殊なケースにおいても教育計画 に基づく授業の一環ととらえ,補償の対象としている。また登下校は同法に おいても 学校管理下 として補償の対象になっている。該当する子どもの 年齢にもよるが,所属学校ではない特別支援学級が併設されている学校への 登下校ならびに所属学校から特別支援学級への再登校,そこからの所属校へ の再登校において,前掲の普通保険約款・特約条項⑶で 通常経路の往復中 が問題になる場合があることが判明した。学校契約団体傷害保険では登下校 は学校管理下とみなされるので補償対象に入るが,学校管理下不担保特約を つけることで通常の登下校は補償の範囲外となる。このケースでは所属学校 と他校内に併設されている特別支援学級との間を,通常経路を利用して登校 する時は学校管理下とみなし,学校管理下不担保特約では補償されない。し かし子どもが両校間を通常経路以外で登下校をした時は学校管理下とはみな されず,逆に補償の対象になるといったことも指摘されている。

③フランチャイズ3日規定

損害保険会社の学校契約団体傷害保険でフランチャイズ3日の認可をとっ ている会社は,外資系のG社と安全互助会からの契約切り替え直前にフラン チャイズ3日を認可取得したA社だけであった。多くの損害保険会社はフラ ンチャイズ7日が主流である。普通傷害保険では1日の入院,1日の通院だ けでも補償の対象となり,生命保険の日帰り入院が給付の対象になる流れを

4) 本報告現在,A社においては拡大解釈により補償された。

5) 独立行政法人日本スポーツ振興センター災害補償規定では,自賠責保険が優 先される。

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考えれば現代にマッチした補償内容とは言いがたい。商品認可取得時の時代 背景と現在の社会背景を考えれば,補償に対しても柔軟に改定する必要があ ると思われる。

PTA行事に参加した親族に対する補償範囲の拡大

A社の例では通常の保護者は父親や母親あるいは親権者をさし,PTA 体傷害保険におけるPTA会員たる保護者の地位は固定されているとの立場 を取っている。しかしこの点においてもPTA活動の活性化と会員の参画お よびワーク・ライフバランス推進面からすると,PTA団体傷害保険におけ る保護者=被保険者の範囲拡大について検討する余地があると考えられる。

⑤傷害事故時の手術給付金の給付について

A社の傷害保険普通保険約款においては第7条(入院保険金および手術保 険金の支払) ④(略)入院保険金を支払うべき傷害の治療を直接の目的と して別表5に掲げる手術を受けたときは(略) となっている。これは学校 契約団体傷害保険,PTA団体傷害保険においても同様である。しかし現実 には健康保険制度においても必要のない長期的な入院を避けるために,入院 期間の短縮や入院をともなわない通院治療,ケガの程度により日帰り手術も 増えている。このことから,安全補償制度に採用されるPTA団体傷害保険 や学校契約団体傷害保険においては傷害保険普通保険約款第7条を非適用と する特約改定が必要と思われる。

⑥その他の問題

アンケート結果では前掲の他にも,幼稚園送迎時の補償 ,未就園児にた いする補償 ,認定子ども園への補償 ,他校のPTA活動に参加 日射 病・熱中症・凍傷(しもやけ)への補償,食中毒や飲食にかかわる事故への

6) 本報告現在,A社においてはPTA会員と同居する親族,または別居であっ ても保護者の代理の親族は補償の対象とされた。

7) 前掲注4)参照。

8) 前掲注4)参照。

9) 前掲注4)参照。

10) 前掲注4)参照。

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補償 についても意見があったが本稿では割愛させていただいた。

⑵ 保険料に対する問題

①保険料請求のための在籍基準日について

B市PTA協議会ではPTA団体傷害保険,学校契約団体傷害保険,PTA 管理者賠償責任保険の保険期間は6月1日から1年間となっており,PTA 管理者賠償責任保険は契約者であるB市PTA協議会が全額負担し,PTA 団体傷害保険,学校契約団体傷害保険は各幼稚園,学校経由でPTA会員か ら徴収することとなっている。安全補償制度は単位PTAとして加入・非加 入の議決を要し,4月下旬から5月中旬に開催するPTA総会で正式に決定 する。単位PTAとして加入・非加入を決定するので,世帯ごとに加入・非 加入を選択する余地は無い。これらが決定した後,B市PTA団体協議会全 体の総加入者数を合計することで10万人以上,10万人以下の保険料が決定す る。その後,各単位PTAで在籍する子どもの人数分と一世帯分の保険料を 徴収し,6月25日までに各単位PTAからB市PTA協議会へ振込が行われ る。B市PTA協議会は加入を決定した単位PTAの保険料総額を,一旦B PTA協議会で集めたうえで6月末までにA社に振り込んでいる。

ここでは始業日,総会決議日,または保険料振込日を基準として在籍数と 世帯数が確定した後に,会員が転入,転出した際の取り扱いが問題となる。

PTA会員がB市内で転入や転出をした場合,転出元の学校が安全補償制度 に加入し,会員が保険料を支払済みの場合には,転入先の学校の安全補償制 度への加入・非加入を問わず自動的に補償対象となる。また転出元の学校が 安全補償制度に非加入であった場合,PTA会員の意思に関係なくPTA 員の加入は不可能であるが,転入先の学校が安全補償制度への加入していれ ば自動的に加入したことになる。ただし転入先がB市以外の場合は転出元で 保険料を支払済みであっても自動的に被保険者の身分は終了する。問題点は

11) 本報告現在,A社においては食中毒においても傷害事故同様に,PTA団体 傷害保険の入院通院給付の対象となった。

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在籍基準日では在籍していたが,確定人数報告後にPTA会員数が減じた場 合,その保険料の差額は誰が負担するかである。出金元はあくまで単位 PTA会計からであるが,単位PTAの会計科目に未集金,欠損金の項目は 存在しない。また単位PTAでは企業並みの正規の会計手続きが行われてい るところもあれば,子どもの小遣い帳に手を加えた程度の内容の単位PTA も存在する。結果的にPTA会長や役員の個人的な持ち出しとなることから,

小額の保険料処理が出来ずにB市PTA協議会への支払が遅れる単位PTA は,単位PTA総数の約3分の1に上る。在籍基準日とならんでPTA会計 の統一化や標準化を図るなど運用面での工夫が必要である。

②保険料徴収に関する問題点

園児,児童,生徒の種別による保険料の相違はない。またPTA団体傷害 保険においては一世帯あたりの保険料が設定されており,片親だけの保護者 であろうが両親が保護者であろうが保険料は同一である。しかしある世帯で 子どもが幼稚園1名,小学校1名,中学校1名の合計3名の場合,子どもは それぞれの学校に所属するPTA単位で計算される。これに対し保護者の保 険料は,幼稚園や学校のPTA組織はそれぞれ独立した単位PTAであり,

活動内容も異なっているとの考え方から,この世帯の場合は一家庭でありな がら3世帯分の世帯保険料を支払うことになる。このことに対して同一契約 者(この事例ではB市PTA協議会)に所属する被保険者(保護者)は一世 帯分のPTA団体傷害保険料のみで免除されるべきとの意見も多い。この点 に関しては単位PTAごとに加入すると考えるか,単位PTAに所属すれど も保護者に関しては一世帯単位で加入するとみなすかが今後の検討課題とな ろう。

また,昨今の給食費未納問題同様に保険料を徴収することが困難な場合も ある。B市PTA協議会安全互助会の時はこれらを考慮し,各単位PTA おける在籍数の95%以上の保険料納付をもって安全互助制度での完全納入と みなしていた。これらのことから保険料徴収の時期と保険始期や運営方法の 見直しとともに,保険会社募集の仕組みを検討する必要があると思われる。

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③保険料未納者対策

ここでいう保険料未納者とは,生活保護世帯などの支出困難な世帯や単位 PTAで加入決議したにもかかわらず加入する意思の無い者のことではない。

前掲⑵で一部掲げた給食費未納問題に端を発する類の未納者への対応である。

単位PTAで加入を決議したにもかかわらず確固たる意思を持たぬままいつ までも支払いをしない者,あるいは義務教育では給食費やPTA会費も無償 にするべきだ等の理由で支払わない者をさす。この問題は単位PTAだけで は解決できぬ問題であり,またB市PTA協議会においても効果的な対応方 法は導き出されていない。

⑶ 保険金・給付金手続き関係問題

①請求手続きの簡素化

B市安全互助会の運営では保険金や給付金の手続きは,医師の診断書が必 要な場合を除き,治療完了後に事故報告兼請求書を提出する方式を採ってい た。本調査時点(平成20年9月)で損害保険会社は商法第658条をもとに,

傷害保険普通保険約款第23条(事故の通知)第1項 (略)その原因となっ た事故の日からその日を含めて30日以内に事故発生の状況および傷害の程度 を当会社に通知(略) することを契約者に義務付けていた。これに対し単 PTAおよび各校のPTA担当教諭は過去にもとづき,事故報告と請求の 二度の報告に費用がかさむ,あるいは二度の報告は面倒である,または今ま での安全互助制度が無認可共済に指定されたことで保険会社の商品を購入せ ざるを得なくなったことへの不満から,保険金・給付金請求と同時に事故報 告する例が相次いだ。損害保険会社においても請求書類の記入内容の簡素化 だけではなく,支払の簡便さを含めた検討が必要と思われる。

② 不同意者名簿

保護者の考え方としてPTA組織そのものやPTA安全補償制度に対する 反発を背景とした保険料納付拒否の場合は,加入に同意しない意思を 不同 意者名簿 に記載(PTA会員,保護者としての署名)してもらい,単位

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PTAからB市PTA協議会に提出することで保険会社は被保険者から除外 する措置をとっている。実務上は単位PTAの総会で 加入 決議を得た際 は,各単位PTA事務局から 安全補償制度保険料徴収のお知らせ を各家 庭に配布し,この用紙に 何らかの理由で加入をしない場合は担任を通じて お申し出ください と明記のうえ個別対応をしている。申し込み用紙を使用 すれば不同意者に対する確認は不要だが,被保険者数の多さから一人一人被 保険者として入力するには事務処理が煩雑になるとの理由で, 不同意者名 簿 方式を採用した経緯がある。

B市には市立幼稚園園長会,市立小学校校長会,市立小学校教頭会,市立 中学校校長会,市立中学校教頭会があるが, 不同意者名簿 を取り付ける こと自体を否定する強い意見が寄せられた。理由は そのような名簿の存在 が公になれば特定政党 から(議会で)指摘される である。PTAという ある意味 公団体 では,扱い方を間違えれば大きなトラブルになりかねな い危険性をはらんでいることがうかがえる。

⑷ PTA活動の多様化に関連する問題

PTA行事の明確化

昭和40年代〜昭和50年代での学校やPTAの安全に関する問題の多くは,

交通事故と誘拐に対する啓蒙が主たる内容であったが,現在の安全対策はそ れらに諸種の危険対策が加わる。後述するPTSD 問題もその一つである が,大きな違いは学校やPTA関係者だけが関与する子どもへの健全育成で はなくなったことである。単位PTAの活動も変化している。まず挙げられ るのは少子化によるPTA予算の減少で事業内容の見直しが行われ,単位 PTA単独主催事業から近隣の単位PTAとの共催事業へ,単独主催事業か ら上部団体(B市の事例では区PTA連合会やB市PTA協議会)の主催に 変更,PTA以外の団体との共催や他団体に対する補助金助成,他団体に対

12) 本論では 特定政党 と記したが,実際には個別の政党名が挙げられた。

13) 心的外傷後ストレス障害(Post Traumatic Stress Disorder)。

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し補助金や助成金を拠出する後援事業,他団体に対して補助金や助成金の拠 出をともなわない名義後援などが増えた点である。青少年健全育成団体や健 全育成効果を期待できる事業主催者に対し,補助金や助成金拠出することで PTA団体としての活動の低下を肩代わりしてもらう色彩が強い。

安全補償制度としての問題点は主催者がPTA団体ではなく,PTAが名 義後援をした場合である。実行委員としてPTA団体から担当者が派遣され れば,共催としてPTA活動と認められる。これはPTA団体自らが主催す る事業ではないが,PTAが主催する事業と同等の青少年健全育成効果があ ると認めたものに対し,B市PTA団体協議会から単位PTA経由で各会員 に連絡される。市PTA団体協議会または区PTA連合会の理事会,役員会 で後援を決めることにより,PTA組織として認めた正式な事業へ参加とい う扱いになり,事故の際も安全補償制度で対応できるという考え方である。

このようにPTA団体活動は,PTA団体単独の活動から地域の他の団体 を巻き込んで,あるいは地域の他の団体から巻き込まれて正に学校とPTA 団体,地域社会,家庭との連携をもって,共通の目的である青少年の健全育 成を達成するための運動へと変化している。安全補償制度面では,①保険会 社が商品改定や特約新設で対応できる場合,②保険会社だけの対応では困難 な場合に保険会社がイエスと言いやすい環境をPTA団体自らが用意する場 合(PTA会則や規約の変更で,組織がPTA活動とみなすように変更する),

③そのどちらも厳しい場合には,保険会社に現場のニーズを的確に把握して いただいたうえで新たな商品開発を依頼することなどが考えられる。PTA 団体が希望する保険商品を全く新しい商品として開発してもらう以外に,現 状の保険商品の基本部分に新たな特約を付加する場合,あるいは既存商品を 活用しながら約定履行費用保険としてニーズを満たすなどが考えられるが,

それらだけでは社会の変化についていけない。PTA団体が関係する青少年 健全育成についても主人公である子どもに対する施策だけではなく,ワー ク・ライフバランスのように子どもをとりまく大人の社会環境整備が必要と 考えられる。

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別な事例として,夏休みや冬休みを利用して教員が教育委員会の支援・指 導のもとに,市内の各学校から子どもたちを募集し参加費を徴収して行う社 会教育活動の一つに,宿泊をともなう林間学校,海浜学校,雪中教室などが ある。教育委員会と教諭による教育研究会が関与することから教育委員会等 が主催する行事と受けとられがちだが,運営主体は野外活動教育研究会名で 行われるため,独立行政法人日本スポーツ振興センターでの支払い対象とは ならない。A社ではこれにPTA協議会の 後援 が加わった場合にPTA 団体傷害保険の 支払責任の変更に関する特約条項 第一条(当会社の支払 い責任)①を適用し,独立行政法人日本スポーツ振興センターの支払い対象 にはならないとの理由で保険支払いの対象とし, 学校管理下 とはみなさ ず学校契約団体傷害保険(学校管理下不担保特約)からも支払われる。しか し同一条件であってもPTA協議会が行事に対する 後援 をしない場合は PTA活動中とはみなされない。したがってPTA団体傷害保険からの補償 は得られず, 学校管理下 ではないので学校契約団体傷害保険学校管理下 不担保特約だけから支払われる。今回の調査結果からもPTA活動の明確化 と統一ガイドラインの制定が不可欠だといえる。

② 子どもへの見守り活動 に対する考察

PTA会員資格には教諭,保護者のほかに特別会員という会員資格がある。

学校事務員・学校事務主任・学校業務員・学校給食調理員・学校評議委員,

民生委員・児童委員・保護司など,園児・児童・生徒に係わる法務大臣委嘱 の非常勤国家公務員,卒園・卒業等で子供の在籍しないPTA  OB・OG 員,地域町内会役員や一般会員,スポーツ技能指導者,少年団指導者,学校 開放事業指導者などが該当するが,当然のことながらPTA会費を払わなけ れば会員とは認められない。学外者であっても特別会員であれば,PTA 動中の事故はPTA団体傷害保険で補償される。昨今では学校,PTAと地 域町内会などとの学校区懇談会で,子どもへの交通安全活動や不審者対策に 対する町内会側からの支援として, 子どもへの見守り活動 を町内会主催 で実施したいとの申し出が相次いでいる。このことからもPTA活動の多様

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化に関連する問題は,PTA関係保険の補償内容の見直しをせずして安心と 信頼ある安全補償制度の維持は困難と思われる。

⑸ 安全補償制度運営上の問題

①安全補償制度加入・未加入校間での転校について

安全補償制度の加入・未加入の決定は当該年度のPTA総会で決定するこ とを述べた。B市内の安全補償制度加入校間での教諭の転勤や転校は同一市 内なので補償されるが,加入校から未加入校への転勤や転校は加入校で当該 年度の保険料を支払い済みであれば補償される。PTA総会で安全補償制度 に加入する決議を得たとしても,PTA会員が保険料の支払いをする前に転 校した場合,転校先の学校が安全補償制度非加入の決議をしていた場合はそ PTA会員は安全補償制度への加入を希望しても加入することはできない。

また保険料が支払い済みであれば同一市内の転校先が未加入校であっても,

事故の際には補償の対象とされる。ただし転校先の学校が翌年度のPTA 会でも非加入を再度選択した時は,その会員は翌年度からは補償を得ること ができない。これらは保険会社の問題というより契約者であるB市PTA 議会の運営上の都合によるところが大きいが,加入希望者のニーズを満たせ るような仕組みや募集体制は事務処理との兼ね合いもあるので,保険会社と ともに前述の 不同意者名簿 と併せて考えていく必要があろう。

②生活保護世帯・養護施設居住児童生徒に係わる問題

独立行政法人日本スポーツ振興センター法施行令では第三条(災害共済給 付の給付基準)第三項6において センターは,生活保護法(昭和二十五年 法律第百四十四号)による保護を受けている世帯に属する義務教育諸学校

(法第十 に規定する義務教育諸学校をいう。以下同じ。)の児童及び 生徒(以下 要保護児童生徒 という。)に係る災害については,医療費の 支給を行わない。 としている。これに対し保険会社の傷害保険普通保険約

14) 独立行政法人日本スポーツ振興センター法(平成十四年十二月十三日法律第 百六十二号)。

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款では,第7条(入院保険金および手術保険金の支払)① (略)入院保険 金として被保険者に支払います。,第8条(通院保険金の支払)① (略)

保険証券記載の通院保険金日額を通院保険金として被保険者に支払います。

としている。生活保護世帯においては自治体から支給される生活保護費と就 労等からの収入のバランスにより,一定額以上の保険給付金を受け取ると生 活保護費の削減や支払を停止される場合がある。また被保険者の死亡保険金 を受け取った場合,再度生活保護費の要支給状態になるまで生活保護費の支 給は打ち切られる。このことから生活保護家庭においては本来相互扶助であ るはずのPTA安全補償制度においても,生活保護費の支給打ち切りを恐れ て給付金や保険金の請求をためらうケースがある。

問題を一層複雑にし保険会社も取り扱いに苦慮しているのは,被保険者で ある子どもが死亡あるいは高度障害を負った場合である。一般的に死亡保険 金は法定相続人が請求し受領する。PTA安全補償制度においても被保険者 死亡の際には法定相続人が請求することになる。養護施設居住の子どもの場 合であっても法定相続人が請求することとなるが,法定相続人=保護者=親 権者とは限らないなどの問題がある。これらはPTA団体や保険会社だけで 解決を導ける問題ではない。しかし安全補償制度を継続するかぎりは,これ らの対応方法を検討しておく必要があると思われる。

4.今後検討を要する各種の事件による心の問題と商品開発に必要な PTA活動の考え方

⑴ 独立行政法人日本スポーツ振興センター法災害補償規定と保険会社での 子どもの自殺の扱いについて

文部科学省は独立行政法人日本スポーツ振興センターに関する省令(平成 十五年十月一日文部科学省令第五十一号)を平成一九年七月六日文部科学省 令第二一号として改正し, (略)この省令による改正後の独立行政法人日本 スポーツ振興センターに関する省令第二十四条第三号の規定は,平成十七年 七月九日以後の児童生徒等の死亡でその原因である事由が学校の管理下にお

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いて生じたものに係る死亡見舞金の支給について適用する。 とした。これ はいじめなどの理由で子どもが自殺した原因が 学校管理下 に起因する場 合は,学校外での自殺であっても独立行政法人日本スポーツ振興センター法 災害補償規定を改正して見舞金を支払うとしたものである 。

これに対し傷害保険普通保険約款では第二章保険金を支払わない場合,第 三条(保険金を支払わない場合−その1)①⑶ 被保険者の自殺行為(略) とされている。PTA活動に必要なの傷害保険は他の損害保険,生命保険同 様に,保険という制度維持上も自殺免責は当然の事であろう。しかし考慮す べきは 積極的自殺 ではなく,昨今の子どもを取り巻く環境で虐めによる 殺害 と,苛めによる 消極的自殺 である。前者は家庭内での虐待を主 とし,後者は家庭以外の生活時間にかかわる学校滞在中に起因する結果によ るところが大きいと考えられる。PTA団体の保険では 自殺した結果 に 対する支払ではなく, 自殺した ことにより,あるいは前者の 殺害され た ことによる他の子どもやPTAの構成者である保護者への精神的な影響 を最小限に抑えるために支出する費用,言い替えれば物保険同様の支出費用 として位置付けることも必要ではなかろうか。

自殺した本人以外にも,同級生や身近な知り合いがそういった末路を選択 したことを見聞きしたことに対する精神的なショックに対してPTSDが発 生するとされている。考え方としてはゴルファー保険のホールインワン特約 のように物保険の出費として考え,支出名目としては子どもと日常的に接す る保護者へのPTA主催のカウンセラー派遣費用や,啓蒙費用,PTAの立 場からの緊急調査費やアッピール費用,また,PTA組織としての香典,弔 電,献花費用などであろう。これらは 積極的自殺 ととらえない限り,モ ラルリスクに反しないと考えてよかろう。また子ども達自身に対しての PTSD対策は教育委員会の責務であるから,PTA契約として保険会社の担 保範囲に含める必要は不要と考えられる。しかし,いじめの原因が学校内に

15) 独立行政法人日本スポーツ振興センター法施行令第五条第一項第七号(注)

44・45,第 号(注)47。

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起因すれば自殺に対しても見舞金を支払うと改定した独立行政法人日本スポ ーツ振興センター法との整合性を鑑み,損害保険会社や生命保険会社におい てもその補償面でPTSD対策を組み込んだ特約や,PTA団体で必要とされ る新たな保険商品を考える際には 自殺したこと で保険金等を支払うとい う考え方ではなく,交通事故死や病死同様に 結果として死亡した ことに 対して保険金等を支払うという考え方が採用される必要がある。このことか らいじめによる自殺に対しては,子どもをとりまく社会環境を見据えながら 新たな検討材料とすべき時代が来たと思われる。

⑵ 商品開発にあたっては, PTA活動 のための保険ではなく, PTA運 動 のための保険ととらえる

PTA団体として総会で決議された会則・規約にもとづく活動は,子ども の育成に必要な社会環境への時代的対処療法といえる活動であり,その日々 の積み重ねがPTA運動である。個々のPTA活動が対処療法であるのに対 し,PTA運動は予防療法も含めた息の長い社会的運動である。今までの PTA団体傷害保険は商品販売当時のリスクを考慮して開発された補償であ る。今後のPTA運動に必要な保険は予防医学的な対応が可能な保険であろ う。

5.まとめ

PTA関連の保険の今後の商品開発にあたっては,1980年代の英国でのユ ースサービスの考え方が大きなヒントとなる。 青少年に必要な社会環境や 生活に配慮した法律面,文化面,社会面など日常生活における青少年に必要 なありとあらゆる支援をすること がユースサービスの目的である 。これ からの保険商品は事後開発商品ではなく,子どもをとりまく社会背景や被保 険者の生活環境の変化,保険会社の利益だけに終始しない社会的な価値,中

16) 早川淑人 1982年度 英仏における青少年育成指導者調査研究 ㈳青少年育 成国民会議主催調査事業における調査。

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でも未来を予測した商品開発が必要であり, PTA活動 のための保険で はなく PTA運動 のための保険としてとらえることである。

最後に本論の焦点となる安全補償制度の盲点について,PTA団体側にあ る問題点と,保険商品側の問題点,学事歴による問題点の三つにわけてまと めておきたい。PTA団体側の最大の特徴は,その活動方法が社会の流れと ともに変化していくことである。それをPTA団体という一括りにした活動 に当てはめること自体に無理がある。またPTA会員自身もPTA活動さえ すれば何でも補償の対象にしてもらえるという,旧PTA安全互助会時代の 感覚が抜け切れていない点もある。

また,補償面の問題点としては,補償内容が既に時代にそぐわないことが あげられる。熱中症や食中毒を傷害保険の補償対象に加えることには本質が 異なるとして異論のむきもあるが,傷害総合保険が熱中症を補償範囲にして いることを考えれば,傷害保険で補償できない範囲は新たな専用商品を開発 すれば事足りる問題である。本論を報告するにあたり,これらの指摘にもと づきA社ではいくつかの問題点を乗り越え,保険商品に反映させてきた。こ のことを考えればメーカーである保険会社が現在のPTA活動の実状を知ら ないまま保険商品を販売していることが最大の問題であるといえよう。一つ の方向性として,例えば,賠償責任保険では必要な特約を付加する方式では なく,最初にオールリスクで引き受けることで予測外のリスクも全て補償で き,不要な補償を特約で削除(不担保特約)することで保険料の低廉化も図 られよう。

最後の問題点としてPTA団体にも補償面にも当てはまらない安全補償制 度への加入校と未加入校間での転校生の扱いの問題,学事歴による問題があ る。前者の解決方法の一つとして,幼稚園,小学校,中学校,子供の成長に 応じた教育課程単位でのPTA専用商品を開発し,それらを全国一律で提供 することである。公立の幼稚園,小学校,中学校でのPTAをまとめる組織 として社団法人日本PTA全国協議会がある。このような全国組織を契約者 とする団体商品を開発することにより,新たな運営上の問題は発生するであ

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ろうが転校生問題などは一定の解決が図られよう。後者は現在の学校教育制 度が4月入学〜3月卒業の制度を採用している限り,6月のPTA総会での 可決を経なければ保険に正式加入できない問題である。しかし前者同様,全 国組織を契約者とし日本全国で共通化された制度や商品が導入されれば,一 定の成果を得られると思われるが,現時点では前者,後者ともに明快な解決 策を持ち合わせていない。この点については今後の研究課題としたい。

(筆者は札幌学院大学大学院地域社会マネジメント研究センター研究員)

参考資料・ 献等

放課後子どもプラン推進事業の実施について 文部科学省・厚生労働省 学校管理下の死亡・障害事例と事故防止の留意点 平成20年版>

独立行政法人日本スポーツ振興センター編

傷害保険 普通保険約款・特約条項(平成19年8月1日改定)

傷害保険特約条項集(平成19年8月1日改定) ニッセイ同和損害保険㈱

平成19年中における自殺の概要資料 警察庁 平成19年度 文部科学白書 文部科学省

子どもの心のケアのために―PTSDの理解と予防―(保護者用) 文部科学省

子どもの心身の健康を守り,安全・安心を確保するために学校全体としての取組 を進めるための方策について (答申)(平成20年1月17日)中央教育審議会

・独立行政法人日本スポーツ振興センターホームページ http://www.naash.go.jp/

参照

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